2018/04/20

心理的トラップを避ける

■ 心理的トラップ

”山をする”という”山ヤ道”には、あちこちに心理的トラップが仕掛けられている。

それらを避ける、ということには、ある種の自信がある。

最大の心理的トラップは、

  俺(私)のことを世間に認めさせたい!

という名誉欲を起源にしている。これは、一昔前の山のスタイルでは、肯定されている。しかし…

そんなことが重要か? 

答え) 全然、重要じゃない。

世間に俺を認めさせるためなら、死んでも結構!と思う人でない限り。

なので、私は、ほんの少しでも、

 競争心

を煽られた場合は、その山をお断りすることにしている。ラジャスな山はしない。

パートナーの競争心や名誉欲に付き合っていたら、自分が死ぬ羽目になるのは、歴史どころか、身近な友人の死が証明している。

しかし、自分を認めさせる相手として、重要な人が、一人だけいる。

 自分だ。

自分で自分に負けないということは唯一重要。なので、

 闘争心

は、多少必要かもしれない。と最近、考えを改めた。

 強い心

と言ってもいいかもしれない。

その(強い心)と(適切な判断力)のバランスが、山の醍醐味。

平たく言えば、ただの無謀になるか?チャレンジになるか?ということだ。

■ 事例

トレーニングはしていない、すでにメタボ、酒は飲む、予習のゲレンデでは、3手で腕アップ、みたいな人が、阿弥陀北稜というのは、ただの無謀。

それを止めない山の仲間。これは、心が広いのか?それとも、仲間としての役割を果たしていないのか?

どちらか知らないが、私自身は、相手が自滅的な行為を取ろうとしたら、それを指摘するのが最低限、パートナーとしての務めと考えているタイプのクライマーだ。悪しからず。

岩との絆を作る

■ 雪は怖くないけど、岩は怖い

私は雪で山を始めたので、雪の急斜面に対する恐怖心は、あまりない。だが、岩だと怖い。

岩は、なぜ怖いのか?

雪だって大怪我につながるし、ちょっとした失敗が命とり、ということは同じ。

一つには、上半身の筋力で自分の体重を支えることに自信がない、ということがある。

しかし、この数年間、絶賛取り組み中で、ラオスでは成果を感じている。

結局、岩で  

  未知の要素 

が出てきたときに、自分にそれに対応する

 対応力がない、

と感じている。

つまり、ムーブの引き出しがない、ムーブの代替えになるパワーもない、って意味ですね・・・

要するに、岩との絆を築き損ねている…。(というか、築いている途中)

なので、岩との絆が築けたな、と感じるまでは、やっぱり岩をしないといけないのだろうな、と。

それをデシマルグレードに直すと、大体の人のおおよその合意で、5.11ということになるのではないか?と想像しています。

それだけあれば、たいがいのところで困らないというグレードなのだろうと…。

私の中では、それ以上のグレードを追求するということは、イコール、フリーのクライマーになるってことで、アルパインのクライマーだったら、大事なことは、

岩との対話力、

ってことで、その岩との対話力を作るには、

 リードが必要

なのだと思う。

これがリードクライミングが岩の基本だということの真意なのではないだろうか?

2018/04/18

体力が揃う相手

先日、クライマーに「いつも年配の人と登っていることが多いよね」と質問されました。その通りなのです。

これは、
A)体力が落ち、リスク管理について熟知した男性クライマーと、
B)体力がそもそもなく、リスク管理について、女性であるためにそもそも非常に敏感な女性クライマー

が、体力&リスク管理面で、意識が揃うから、です。

女性は、誰でも、子供を守る本能があるため、リスクを一般的にだいぶ早めに認識します。やばいかもな、というタイミングが早いわけですね。

一方、円熟クライマーの方々は、大怪我は体験済み。もう一回大怪我したら、クライマー人生は終わり、という方が多いです。なので、一回の致命傷を負わないように、登っています。

体力も落ちて、若い女性と同じくらいに結果的になっているので、双方のスキルと意識が揃う感じでちょうどよいのです…。

若い男性だと、女性の体力レベルは推し量れない。

例えば、私と同年齢の男性クライマーとだと、筋肉量からして、私より10kg以上、歩荷してやっと同じ負担くらいになってしまいます。でも、誰でも当然ですが、自分ばかりが一方的に歩荷するなんて嫌ですよね。

※ちなみにメタボおじさん・デスクワーク組は除きます…最初から、脂肪の重り付きで歩荷よわよわなので。

年配の男性クライマーは、妻と歩いたり、娘と山を歩いていたりと、女性と歩いた山の経験値から、どれくらいで体力限界が来るか、など、データ量が豊富なことが多く、その点でも無理をさせ合わない関係が築けます。

というので、私のパートナーは、平日休みの関係からも、年配のクライマーが多かった事情がありました。

難しいのは、落ちている体力や認知力で、無理をさせない点でした…。

最初の師匠は、64歳でしたが、三つ峠登攀中にくも膜下出血…私だったら担げないので、慣れた仲間との間で起きた事故で不幸中の幸い。

2番目の師匠は大怪我の復帰後で、あまり長時間のビレイはさせられないし、寒さにも弱くなっていたので、アイスではリード練習は遠慮気味でした…。私のほうからは、「〇〇さん、無理をしないでね」といい、向こうは「お前はもうちょっと無理をしろ」という間柄でした。

私自身が先輩で、リーダー役の時は、”自分が無理なこと”は、絶対にしないです。仲間を守れなくなるから。しかし、それだと成長もできない。ので、背伸びの山をさせてくれる、体力や登攀力が上の男性の先輩は、ありがたい存在だなーとも思っています。

女子同士の登攀は、ちょっと憧れています。体力もリスク管理も、そろっていいのかな~と。

ランナウトと登攀力はセット販売

今回、鹿川の三澤さんからお話を聞くことができて、勉強になったのは、ランナウトのこと。

50mでⅢ級なら1本、4級だったらピン2本、5級なら3本、と中間支点を取るのに、基準があったらしい。それは、ランナウトに耐える部分に、価値が置かれていたから。

かつては、登攀は、名誉を求めるもの。

楽しむ、という対象ではなかった、ということなのだ。

本来、ロープをつけるのは、なぜか?

当然だが、落ちたときに確保されているためだ。この考え方では、1ピン目は近く、2本目も1ピンと同じ距離程度、3ピン目は2ピン目よりやや遠くても良く…、と、(ロープの全長)と、(最終支点から出ている長さ)が、

(ロープ全長)>(最終支点から出ている長さ)
という関係に常にあるように、支点を作る。(余談だが、これはアイスでリードすると誰でも分かる)

しかし、ランナウトしている岩場では、このような、オーソドックスな考え方は、全くされていない(笑)。

単純に4級は落ちないので、中間支点は基本的に要らないでしょう、しかし、とはいってもゼロ個では、ロープをつけている意味自体がゼロなので、申し訳程度に打ちましょう、ということなのだ(笑)。という事情で中間支点は形骸化。

ので、

 ランナウトした岩場=絶対落ちないスキルとセット販売。

ということが分かったため、今回、奇数ピッチをリードしたのは、絶対落ちないスキルがあるということで、ほっとしました(笑)。

私にとっては登攀力は最低限身につけないといけないスキル的な、ノルマ的な感じなので…。

2018/04/17

比叡&ニードル

■ 比叡

■ 個人山行で

比叡という言葉は、本州にいるときから聞いていた。楽しい岩場らしい、ということで…。漢字もかっこいいし、一度聞いたら忘れない。それで、興味の糸口はあった。

その後、こちらに来て、比叡の岩場に行く機会があったが、寝坊敗退。恐怖もなく、トポも読み、食料品などいろいろ買って、用意も万端だったのに。

私は偶然を偶然とはみなさない。これは、しばらく待ちなさい、という神の啓示と思ったのだった。

今回、会山行ではなく、個人山行で行く機会ができて、あの時、行かなくて良かった、と思ったのだった。

というのは、私は未知を楽しみたいから。

会山行で、調べないで行くと、それは依存。
個人山行で、調べないで行くと、それは自信。

本当にやばい時…自分のスキルを上回る登攀で死ぬかもしれない、というようなときは、虫の知らせというか、行きたくないと直感で分かるものだと思う。今回は、それはなく、ただ楽しみにしていただけだった。

■ ニードル左岩稜

ニードル左岩稜については、フリーで5.12登る女性が気に入っているルートだという話だったので、これは、難しいルートでは?という気がしていた…ピッチグレードを見ると、VII級で易しそう(後日談:ピッチグレードⅦ級は大変難しいです。『宮崎の岩場』にはⅦ級=5.10cと変換表が出ていますが、RCCとデシマルの返還には大いに議論があり、この表をまともに受け取ることには疑問があります)だが、私がリードできるかどうか?というのは、行ってみてみないと分からない感じ…しかし、いつも一緒に登っている人で、私の登攀力を見てわかると思っていたので、あまり心配していなかった。何年間か、通してみてくれている人とだと安心感がある、ということもある。私が、5.9もまともに登れないで、人工壁3mで落ちている時代から知ってくれている人だ。

しかし、クライミングというのは、なかなか成長しないし、成長するときは、一気にプラトー脱出だ。一皮むけたね、と言われたのは、去年の城ケ崎、ラオスの後だった。が、そこから、まだまだ先があり、2度のインスボンとラオスでの自立したクライミングでは、1回目のラオスほどの、脱皮はしなかったのかもしれない…そこまで成長感、脱皮感はない。特にクラックは、接する機会が乏しく、スキル減退気味。

朝は、ひとっ走りだが、福岡を出るのに、だいぶ時間がかかった…トンネルの料金所(310円)を過ぎてからはすぐで、あっという間だった。今回は待ち合わせ場所ですれ違い一回。車は安全を見て、ガレージに入れさせてもらう。宿泊で、シュラフがいるよ、と声をかけておく…。

千畳敷へは運転は交互に。途中、コンビニによったり、道を間違えたり、と、いろいろあったが、無事、登山口へ。千畳敷展望所へ続く登山口には、トイレがあった。(がペーパーなし。)

ギアを支度する。私もカムを一式持っていったが、ワンセットでいいだろうということで、不要だった。

千畳敷からは、ニードルが、山のシルエットの内側に入り、ニードルらしさが減じて、重なって見えてしまっていた。

とりつきの位置を探すのに、しばらく岩を観察する…。うーん、登れるのかなぁ?見てもわからない。

とりつきへは、一般登山道を15分ということで、登山道を登ると、すっかりあったかくなる。しばらく山を歩いていなかったなぁ…。 健康に良い山歩きを再開しなくては。

虎ロープが張られているところを超えて、クライマーの踏み後を辿る。クライマーの踏み後は登山道よりも薄く、踏まれていないところより濃い。その加減を言い表すのは難しいが、確実に一般道ではない感じは確かだ。

すぐにフィックスロープが出て、メタボチェックのような岩の隙間を通ると、すぐにとりつき。一番左が、ペツル。真ん中がダブルフレーク。右はノーマル。

ペツルが魅力で、スーパーにとりつくことに合意するが、これはスーパーだけに、なかなか厳しいスタートだった。フリークライミングの力が必要。

ニードルは、ともかく風が強く、寒かった。ウィンドブレーカー的なものを二人とも来ておらず、寒い。私はクライミング用のザックにジャケットが入っているがビレイ中で手が離せない。

 ニードルの登攀は、やはり難しく、私のリードはない感じだった…。最近アップアップの登攀はあまりない…確実感で登っているので、久しぶりのアップアップ感がある登攀。

3P目ではコールが聞こえず、ロープも動かないので、しびれを切らせて、ロープクランプで自己確保して登る。





ニードルのてっぺんで、寒く、ロープをまとめず、1本で懸垂したら、ロープジャムを直すのが大変だった。懸垂そのものは、まぁ大丈夫だった。途中でステミングで隣の岩に飛び移る。3mほど横移動して、登攀開始。

Aピーク正面壁も3Pだが、これも難しかった。最終ピッチの出だしは、3回落ちて、あきらめて人工した。とてもV級-、5.5ではない。どう少なめに見積もっても、5.10bは最低あるムーブで、フットホールドはなく、薄いフレークにジャミングか、ガストンで足は外にステミングで突っ張らなくてはならない。

 フットフォールドがないので、腕力が必要で、これは疲れていなければ登れたかもしれないが、すでに最終ピッチで疲れていてダメだった。

合ってよかった、自己脱出技術という感じ。久しぶりに使った技だ。


 これはすでにAピーク終了点から。

終了点には、リングがあった。少し行くと、立派な松の木に残置のスリングがかかっていた。こっちはブッシュがない。

本峰はまだあり、踏み後が見えたため、歩いて行けそう、と提案するが相方は北面を懸垂で降りたいそう。

北面はブッシュが出ていて、とても降りれそうではない。

ので、元来た道を戻ることに。サマーホリディというルートの基部に降りるそうだ。

しかし、ロープを投げる方法は、ブッシュに引っかかってそれの解除が大変…

3Pの懸垂だったが、3P目は束ねていく…。やっぱり懸垂は、場慣れだなぁという感じだ。いろいろな方法を知っておくと、時間が節約になる、ということなのだ。

最後の懸垂は、もうスタートからブッシュ。途中で落石を踏みそうになり、ひやり。というのは、下で待っているトップはヘルメットをかぶっていないで腰にぶら下げていたからだ。

ブッシュのとなりには、なーんだ、岩が出ていたのだが…そこを降りるにはどうすればよかったのだろう…。

さて降り立つも、まだまだ先が。ここはサマーホリディのとりつきなのに、下は、みじかい懸垂が必要なのではないか?というくらいの傾斜。ふと横を見ると、踏みあと。

クライマーの踏み後が当然あるはずなので、それを辿ると少しで虎ロープに出た。ほっとする。あとは登山道を降りるだけだ。

ところが薄暗いのと、沢地形であることがあり、踏み痕を外してしまうこと数回…

やっと元のザックを置いたところについた。アプローチシューズをもって上がらなかったので、足の痛みが限界。

さっさと車まで戻り、下山報告を。

あとは、庵・鹿川まで行くだけだが、これがまた場所も連絡先もわからず、難儀した。

が、車中泊もできるので、まぁ。那須商店へ行くことを思いつき、向かったら、奇跡的に電気がついており、おばちゃんが店を開けてくれ、二人で3000円相当のお買い物。

隣が庵だった。

庵では三澤さんが待ち構えており、お風呂を沸かしてくれていた。五右衛門風呂。

少しお話もしてくださり、深謝。


比叡&雌鉾岳

■ サボり?ゆとり?調べないで行く?

比叡&雌鉾岳は、初めて行く岩場でした。

1)トポだけを頼りに、
2)自分たちの調べられる範囲の情報だけで、なんとかする、いうタイプの山で、
3)登攀が含まれる山

は、私にとって、北アの明神主稜以来です。乾徳山旗立岩もか。しかし、なぜか、今回は、不安なく、ルンルン気分で、行きました。

…というのは、

1)相手が知っている人で、
2)自分より登攀力2、3ランクくらい上
3)ロープワークや下降、読図、運転などは、私がフォローできそう(私の意見を無視しない)
4)ちょっとしたミス(試行錯誤という)に、イライラしない、おおらかな性格の人、不安がるタイプではない

と分かっていたからです。実は、情報が乏しく、

・ニードル左稜線は人気があるが、フリークライマーに人気があるのであって、アルパインの人は、第一スラブとかだし、もしかしてトポに表れているよりグレードが辛いのでは???
・庵・鹿川の人と連絡がが取れず、場所も不明で、辿りつけるか?不安
・トポに下降が詳しく書いて無く、岩の3Dの姿が理解しづらく、下降(敗退)に不安
・トポのグレード感で、登れると思ったところを登っても、いいのか?

でした。

岩の登りも、山も、

 未知の部分

を自分たちの力で解決するのが楽しいのに、未知の部分を異様に怖がる人だと、何もかも、予定通りでなければ、精神的に動揺したりします。私はそういう人と行くと、未知の部分を楽しめないので嫌なのです。最低限、自分の身を守るスキル、ビバークとか、衣類とか、懸垂下降とか、ちゃんと携帯電話を持つとか、そういうことを達成したら、あとは、あまり調べこまず、未知の部分を楽しみたいなと思います。

が、これは、加減が難しく、全く何もかも相手にお任せ、の人と一緒だと、”何とかしてあげないといけない側”になってしまうし、”なんとかしてよオーラ”を出す人もいます。

それどころか、”どうしてくれるのさオーラ”を出す人もいるので、そういう人とだと、あまりにも、計画通りの山しかできないことになる…。

今回は、あまりベータを調べずに行って、その結果、分かったことは

《ニードル左岩稜》

・ニードルは超風強い。そのため声も聞こえない。すごく寒い!ウィンドブレーカー必携!
・下降は下降点が不明瞭。不安があったので、同ルート下降とほぼ同じサマーホリデー側から下降したら、ブッシュが多く苦労して、下降にだいぶ時間がかかった。
・ここはフリーでフェイスの相当のスキルがないと、リードは厳しい。突破力が必要なところが、登り始めなど、落ちれないところにある。
・ダブルじゃなくてシングルでもいいのかも。

《大長征ルート》
・ルートが錯綜して分かりづらいと思ったが、その通り
・スラブはインスボンよりもノーピン区間が長い
・登攀終了してから、一の坊主と二の坊主の隙間までのトラバースは2級だが、ザイルは必要、どこか支点にロープを通してさえいれば、簡易的なビレイ、グリップ程度で良いのでは? 屈曲が多くロープが流れない。
・隙間で、最後に短いハンドサイズのクラックが出てきてトップアウト 体感5.9
・下降は登山道だが、登山道がまた分かりづらい。薄い踏み痕が多い、荒れた登山道で、数回、獣道へ。
・ダブルが良いと思う。弱点を突くクライミング
・大滝左ルートの最初の5.6も5.7も、ショートの5.9は、最低ある感じで、かなりピンが遠い。出だしが核心で落ちれない。

■あってよかった自らを助ける技術

今回は、あってよかったロープワーク技術&総合力って感じ!!

・ニードルでコールが聞こえず、ロープアップもされず、ロープも動かないので、しびれを切らせて、登攀。とはいえ、そのまま上るわけにはいかないので、自己確保をロープクランプでとりながら、ニードル最終ピッチをセカンドで上がる。上がったら、やっぱり聞こえていなかった。たるんで余ったロープは、ループに巻いて回収しながら登攀したので、登攀がグレーディングより難しくなった。
・ニードルのてっぺんでの懸垂で、寒かったので、ロープワークが雑に。結局、きちんとたたんだほうが早かったと理解。
・ニードル終了し、正面壁へ最終ピッチの出だしは、フリーで超えられず、3回落ちたので、あきらめて、エイド。エイドもスリングで鐙を出すだけだと無理で、プルージック登攀も併用。あってよかった登り返し技術。ここは、デシマル変換で、5.7ならリードできるんじゃないか?などと、甘く見ていたところでしたが、一目みて、無理と思いました。フットスタンスの位置がどうみても、5.7レベルじゃない。ぬんちゃくはセカンドだったので、もっていなかったので、スリングで切り抜けました。こんな登攀をしたのは、初めて連れて行ってもらった小川山のクラックで登れずエイドに切り替えたとき以来…  屈辱(笑)?

雌鉾岳
・一般ルートの地図を持っていくべきでした。ゲレンデ感覚で、下降も明瞭だと思って調べずに行ったので、なんとなく歩いていると、薄い踏み後に導かれ、ルートを外すこと数回。毎回すぐに気がついて補正しました。山歩きの経験値のたまもの。
・一枚岩のスラブが素晴らしく、ほんとにインスボンみたいでした。登攀はインスボンより、若干易しかったと思う。クラックはほとんどなく、スラブのみ。スモールカムで支点構築したことが2回ありました。
・インスボンよりもランナウトはひどい

どちらも、適度なスレスレ感があり、楽しめた。ニードルの登攀は、アップアップ感がありました…(汗)最近アップアップ感があることよりも、確実感で登っていたので、久しぶりのアップアップ感でした…。

成長を実感する山で、なおかつ、山が素晴らしくきれいで、アケボノツツジ、ミツバツツジなど、お花がいっぱい。新緑が美しく、素晴らしい場所でした。

どこかに泊りこんで登攀三昧でもいいな、という感じ。


2018/04/09

5.10a オンサイトへ移行中

初夢 撮ってもらえてありがたい!
■ 5.10a オンサイト2個

昨日は2度目の日向神でした♪

■ 成績

愛のエリア
 夢中歩行 5.9 再登 MOS
 初夢 5.10a  OS

道端エリア
 スラブ 君のために 5.9 OS
     ルネッサンス 5.10b 3トライ 完登ならず
    
手前の壁 ビギナーズラック 5.10a MOS
               となりの新しい5.10b OS

ということで、なんか充実した♪

最初の初夢は、指がかじかんで大変でした…しかも、1ピン目遠い。

しかし、オンサイトはうれしいです。


愛のエリアは、この日寒かったので、2本で、そうそうに、暖かいとうわさの道端エリアへ移動しました。

道端のほうは、日が照って暑いくらいで、ウエアを脱ぐ… イチゴのような花がかわいかったです。スラブで5.9を登ったら、まぁ特に問題がなかったので、となりのルネッサンスへ… うーん。ワンムーブが出ない…。これは靴の問題もありそうでした。立ちこみに向いた靴とそうでないのがあり、今日は緩いアルパイン用しか持ってきていない。

■ 城乃井温泉 赤ちゃんの頃のデジャブー Hot Spring 250Yen!



私は菊池生まれ。(とはいっても、3つまでしかいない)

せっかく、その菊池へ行くというので、何か、アクティビティを足そう、ということで、菊池水源を訪れること、近所のおいしいお店、温泉、柚餅子、神社を訪ねる、などを考えた。

しかし、土曜日は、非常に寒く、また家事も、はかどっていたので、家を出るのがおっくうに…。

というので、出発が遅かったため、肝心のアクティビティをする時間はなく、用事であった、呼ばれていた会の総会出席になった。

が、いつもの習慣で早朝に起床。かつて、鹿島槍鎌尾根の時に、温泉は10時くらいからしか営業していないと思って、山で開店を待っていたら、実は7時営業の温泉もあった。

そんなこともあるので、ちょっとグーグルしたら、すぐにヒットした。

ので、そそくさと温泉へ。

いきしなにセブンで朝食ゲット。おにぎりが売っておらず、しかたないので、サンドイッチ。

7:00に城乃井温泉についたら、なんかデジャブー…。

どうも、赤ちゃんの頃に入った温泉のようだ。菊池神社に続く表参道に見覚えがある…。

入ってみると、温泉だけれども、生活感があり、銭湯と言ってもいい、地元密着感があった。数人がすでに入浴中だった。

入浴料も250円と安く、温泉は組み放題。菊池神社を散策もできるので、おすすめ。

ただ温泉水を組んだ容器が、紫外線で劣化していたらしく、持ち帰りの衝撃で、壊れてしまった… いつも入れている、タブバケツがあってセーフ…。

優れモノを持ち歩いていてよかった。

タブバケツは、冬は凍ったロープを入れるのに、ないと車がびしょびしょになってしまうし、無雪期はクライングのガチャ入れになっている(笑)






■ くねくねロードに辟易

いい気分で朝風呂の後、8時出発で、日向神へ。ナビに従い、ひどい目にあった。

堰堤の上を走るとは驚き
新しくできた道ではなく、どうみても峠越えの1車線の道を自信たっぷりに案内するカーナビ…。

以前、金峰山に行くのに、観音峠越えを強要されたことを思い出す…。登山口についた時点で、吐きそうだったのだった…。

落石注意なんて看板がある道を走るはずがないのだ。

とはいえ、無事についたが…

雰囲気は、奥秩父の一ノ瀬のようだった。人が去った山村という感じ。


けほぎ岩


たしか、甲府幕岩に行くときも、狭い林道に案内され、悲惨な経験を…(笑)。

よみがえる思い出…しかし、まぁ行けるところまで行くことに。

どうも取水地があるようで、水汲みの人が来ていた。空の容器がもうないので、スルー。今思えば、一口で言いから飲んでおけばよかった。水容器は複数必要。(焼酎の入っていた4リットル入りの取っ手付き容器が一番使いやすい)

調べてみるとカヌーが良い場所のようだ。

■ 八女祭り … 思わぬラッキーで三等賞

無事、日向神ダムへ着くと、なにやらお祭りのようで、トイレ休憩に入りたい、道の駅で、草餅や手作りのお漬物などを買う。漬物は、こうしたところ以外では、添加物満載すぎて買えないからだ。

ヨモギ餅は出来立てで、今丸めているところだった(笑)。

抽選権をくれ、三等賞を当ててしまう(笑)。わるいなー。ブルーベリーの苗木だった。

■ 基山PA

岩場では、無事、楽しくクライミング。

今回は、知っている人とだったため、量的にも質的にも、脳内クライミングパズルスイッチがオンになった。

帰りに、JAで野菜を少し買う。

こういうところで買っておかないと、福岡市内に戻ると、なかなか野菜が手に入りづらい。

高速に入ると、運転が退屈なのもあり、急激に眠気が襲ってきた…。あきらめて基山パーキングへ入る。

そういえば、今日は、血糖値が乱降下しやすいものばかりを食べたからなぁ…と思いつつ、また、コーヒー100円と梅が枝餅120円を食べてしまう。

基山PAは、九州各県の扇のかなめであるためか、各県のお土産が取り揃えてあった上、韓国語の記述がいっぱいあった。

韓国の人を案内するのによさそう、と思ったら、女の子二人グループが韓国語…。

どこから来たのかしら?と見やると大型観光バスが…。観光業界は、韓国人ツアーで荒稼ぎ中なんだよな~
 
あとは、渋滞につかまりつつも、7時ごろ帰宅。2時間ということで、まぁ小川山と変わらないかなぁという感じだ。

楽しく登り、充実した。今日は広背筋が筋肉痛で痛い。

・城乃井温泉 
・基山PA
・道の駅八女
・鯛生金山 中津江村 http://taiokinzan.jp/
・カヌー&カヤック http://gonature.jp/index.html

  

2018/04/01

アイスはワルツ

アイスは私が一番好きなクライミングなのですが…理由は、リーチ以外にもあります。

アイスのムーブって、1軸の体軸と2軸を使い分けなんです。

2軸だとスラブとかと同じです。1軸だと側体でツイスト。で、これは、バレエのワルツ(1軸)と、日本のナンバ歩行(2軸)と同じと思うんです。

岩のクライミングでは、音があまりしないので、音を気にすることが少ないと思いますが、アイスでは音が聞こえます。

イチニッサン、ニーニッサンっていうのが、アイスの登り方…怖いところでは、これに加え、アックス2点で、足を閉じる閉じる開く開く、です。

音がある、というので、バレエの時の感覚が生かせ、アイスがより楽に・・・ アイスがワルツと一緒だ!と理解した瞬間は、感動モノでした。

ワルツステップは、バレエでも、インサイドフラッギングとアウトサイドフラッギングがあるくらい、です(笑) アイスでインサイドを使うことはめったにないと思いますが…

考えてみると、アイスが進化したと言えるドライツーリングでは、インサイドフラッギングの進化系がフィギュア4なのではないか?と思いますが、どうなのでしょう???

2018/03/24

ひさしぶりにジム壁

■ ジム

今日は久しぶりにクライミングジムへ… 

フリーに強くなる、ためには、ジムが近道というのは、分かるのですが、なかなか触りたい気分になれないジム壁…何しろ、人工ホールドと外の岩場では、雰囲気が違いすぎて、共通点が見つけられない…

でも、今日は、行って良かったです。友人が店長をしていて、楽しく近況報告して過ごせました。ジムの課題も、楽しく登れました。

分かったこと…疲れてくると、頭が働かなくなり、ムーブが出なくなること。

初心者のころ、トラバースばかりを何度もやっていたのは、良かったってこと。持久力系トレーニングです。

今は、リード練習が必要で、私に必要なのはズバリ、自信、みたいでした。

アクシオンの壁とジム壁では、別人みたいに動きが良いのだそうで、それは、やはり恐怖心の有無が、ムーブに影響しているのだろうと。

それを思うと、私の恐怖心を払しょくさせてくれるラオスの岩場はすごい!

クライマーズサンド
人工壁はラオスよりも、ピンが近いはずですが、やっぱり怖い。のは、なんでだろうか?かぶっているから?というのは、ラオスもかぶっているので、あんまり当たらないはずなんだけど…

とりあえず、今日は楽しく登れてよかった☆ 

クライミングが好きだということが理解できた。

私のクライミングの優先順位は

本チャンルート>アイス>マルチ>クラック>スポーツ>ボルダー>インドアジム

です…


日向神

 連れて行ってもらったのに、記録をまとめていませんでした。反省。

初の日向神です。

夢中歩行 5.9 最初にヌンチャクをかけてもらって、オンサイト。そのあと、マスターでオンサイト。

■ グレーディング感

土地が変わるとグレーディング感が変わるのだそうです…

一般に、都会から離れると、グレーディングは辛くなるそうです(笑)

”辛い”、というのは、同じ5.10Aでも、難しくなるということ。

グレーディングというのは、そもそも、自分のスキルに適した課題を登るための目安として使うモノなのですが、”辛い・甘い”があると、思わぬ痛い目に(笑)?!

5.9だと思って取り付いたら、すっごい難しかった… などという羽目に陥ることもある。

というのが、土地が変わるリスク…

実際、私も、ラオスに行く前に、石灰岩の奥多摩の岩場いったんですが、5.8が怖くてリードできなかったんですよね…

岩の質も磨かれて、鏡のようにピカピカだったという… ラオスでは、今年は初の6Bオンサイトだったのになぁ… 岩場は不思議です。

今回は、真ん中にあるルートがきちんとマスターで、登れてよかった♪

■ 5.10b は、難しい

その後、近所の「狸のモモ子」や「本命チョコ」へ行ったのだが、なかなか厳しい…。

こ、これは…ワンランク上のムーブの切れ、的なものが必要と理解・・・。

なんだか、ムーブ的に、5級の壁を越えた先にありそうです。(5級はボルダリンググレードの5級、今、そこで詰まっているので…)

ボルダリング5級は、急にそこから難しくなる、というグレードです。 

■ 5級って?どんなスキル?

以前、ピラニアに通っていたころ、5級は、パワーで登る男子も、これ以上はパワーを頼りにできない、というグレードのように思いました。

9級とか8級とか、誰でも初日で登れるグレード。それでも、女性だとかぶりは、結構、正対しか知らない時期だと、ええ~?!となります。が、男子はたいてい平気。腕力で、さしたる努力もなく登れる。

ので、7~6級くらいも、同様に押し切る人もいます。クライミングはパワーだ!とおもうんですよね…そのころは。

女性だと、7-6級でも、ムーブを使わないと全課題制覇は、ないかも?背の高さにもよりますが…指力もないしね。 私は、このグレードをほぼ網羅的に登れるようになり、ムーブも分解して、2通りくらいは登れるようになったあたりで、5級は、登れる課題と、まったくダメ課題とに分かれる感じでした。

これは、以前、属していた山岳会の女性の先輩が、久しぶりにジムで会って、登っていたグレードと同じだったので、自転車に乗れるようになった系の、ひと段落したスキル、のようでした。

これより上に行かないと、まぁクライマーと呼ぶにはおこがましいだろうな。入門者時代が終わって、初級者クラスになったという段階で、まだまだ先がありそうです。

■ 一番多い人口

デシマルグレードだと、私は、5.9はオンサイトでき、5.10bRP、最近初めてオンサイト、というレベル。

5.9~5.10Aというグレードが、アメリカのクライミング雑誌、Climbingによると、クライマー人口の中で、最も多いグレードでした。

取り立ててトレーニングに血眼にならずに、楽しんで登る、というタイプのファンクライマーは、おおよそ、このぐらいのグレードに落ち着くのではないか?と思います。

ラオスでは、大体6Aは登れたので、一般的なファンクライマー人口の、ど真ん中?くらいに位置している実力ではないか?と。

■ さらなる精進が…

というわけで、なんとか平均値まで来たので、これから先は、またまた更なる精進が必要な時期に突入です…

去年、2017年は、ジムは全くクライミングできなかったのですが…、遠征で楽しんで、登れた。

■ 遠征

遠征は、カンフル剤ですね~ほんとに。遠征だと、毎日その期間は登るので、とっても上達します☆

クライミングは何といっても、二日目が良く登れますから・・・

遠征ばかりで、やりくりしたい・・・・というのが本音…でも、ジムにも行かないと、ここより上に行くのは、なかなか身体能力を上げる意味で難しいだろうなぁ。

身体能力って、毎日取り組むことで上がること、だからです。

■ おまけ

気候面では最高のコンディションだった♪

夢広がる景色を見て、帰ってきました。

楽しみながら、取り組むことが大事。

この日はプチ国際交流もできてよかった♪



スーの思い出 初の6Bオンサイト

スーは、スーザンの略称です。スーは、イギリス人のおばちゃんクライマーさんでした。欧米の伝統的なお人形、ラグ人形のアンを思わせるカーリーヘアのスーは、とても内向的で、静かな方でした。アメリカの人みたいに騒々しくない。それが、とってもイギリス人らしいな、という気がしました。

何歳になっても、まだ上達したいと望んでいる、I still want to get better... という言葉が印象的でした。背中は丸まって、完全にクライマー体形…というか、行き過ぎ感あり、でした。

彼女と登った6Bが、私のラオスでの、ベストクライム、でした。

Cannyonに行く、というのは、私の提案でした。前夜、夕食を食べているときに、オスカーが、じゃあ、みんなで一緒に明日はクライミングに行こう、と言ったとき、私が提案したのです。

Cannyonは、去年トニーと行き、11くらいから10代、9アンダーまで、幅広いグレードがあるエリアだから、グレードがまちまちな混成部隊にぴったりと知っていました。水がないゴルジュみたいな地形の場所で、狭い岩と岩の間にルートがひしめき合っているので、最大6人くらいかな。

混成パーティだと、易しいのだけがある場所だと、上級者は楽しめないし、逆だと初級者は楽しめない。それで、ここを思いついたのでした。ロープは80mを借りました。

スーは、きちんと教育されたクライマーだ、と私を判断したようで、私のビレイで、6Bを登ってくれました。その”静かな闘志”がみなぎる、後ろ姿を見て、「私も登れるんじゃないか?」という気になり…なぜか… 登ってみたら、なんかいい感じ~。

隣で登っていたオスカーからも、ムーブがかっこいいね~などと、ほめられ、スイスイと行かないまでも、さしたる困難なく、登ってしまった6B。初のオンサイト!

6B(5.10b)でのオンサイトは初めてだったので、うれしかった♪

あれは、なんで登れたのかなぁ~?

スーの登っている姿を見て、イメトレが良かったのでは?なんて思います。

こんな風になりたいな、と思える女性クライマー像を垣間見せてくれた、スー。

叶うことはないと思うけれど、もう一度組みたいクライマーです☆ 

なんか生き方的に、あり方的に、憧れました☆

生涯、夢中になれる趣味を持つ、というのは、ステキなことです。

2018/03/19

クライミング=リスクコントロール

■ 「9割、落ちてる」

知り合いの13登る男性クライマーは、落ちるのが怖くて、登攀力を上げれないでいる私に「9割、落ちてる」と教えてくれました。

これは、致し方ない面もありました。アルパインでは、”落ちる”=”死”だからです。しかも、私がパートナーにしていた人は、師匠以外はみな、ダメビレイヤーだったから、落ちて止めてもらえる確信ゼロ。

それを教えてくれたのが、丸1年と少し前。11月の小川山屋根岩1峰でした。その時は、短い5.10bがレッドポイントできたのですが、初めて外岩でたぐり落ちしました。落ちるつもりがなくて落ちました。あれ?!って感じ。

たぐり落ちは一番してはいけない落ち方です。たぐり落ちするくらいなら、手繰らないで落ちたほうがいい。

ビレイヤーが優秀で助かった。女性で12まで登る人です。彼女もバンバン落ちている。

■ 不意落ち

こういう ”不意落ち” をする人には、上手なビレイヤーが必要です。初心者のビレイヤーは、止めれないことがあるから。

普通は、クライマーは墜落をコントロールしていて、不意落ちしない。

私がたぐり落ちた原因は、クリップ動作の時に、手足が2点支持のバランスになっていなかったからです。つまり、クリッピング体制を作れていない。

それ以来、

・落ちそうと感知したら、自分から先に落ちる
・下に声をかけて落ちる
・クリップ体制のときは、2点バランス厳守

が、課題。昨日は、その3点が、なぜかできた!

今まで、どんなビレイヤーを変えても、なんだか、それができなかったんですよね…。

ラオスに行って良かったなー。怖くない外岩環境って、やっぱり必要です。

ラオスでは、落ちることなど考えもせず、バンバンリードしていたからです(笑)。

自信、それが私に必要だったもの。ちょっとリーチが遠くて、クリップしづらいとか、そんなことでも、自信は揺らぐもの・・・私にとって揺らがないラオスは、ありがたい存在です。