■ 人のこない山はいっぱいある が、道がない山を歩ける人は少ない
以前、MTBの男性の友人に、静かでよい山として、ある山を教えたが、彼は、俺一人で行く!と主張して(そんな、簡単な山、俺一人で行けると思ったのだろう…)、私を伴わなかったので、結局、読図力の問題で、誰もいないところには、たどり着けなかった。ただ普通にさびれた山を歩くだけのことになってしまったようだった。
その反省があるので、今回は、最初の一座は連れていく。これは、先輩としては払わないといけないコストだろうと思う。
どれだけ多くの”課題”を一つの山行で、与えてあげることができるか?
それが私の今回の挑戦である。
■ ゆっくり成長し、成長のプロセスを味わうべし
ちなみに、私は、尾根を拾って降りる、だけに3年かけた人です(笑)。それくらい、のんびり成長したとしても、登山という世界は、あっという間にやることなくなりますから…。
80歳まで味わうためには、何もかもすぐにマスターしないでいいのです。
急がば回れ、をやっても、私は3年で5.11、国内アイスコンペで5位に入るくらいになってしまったので、もっと若い人がやれば、もっと早くなると思われ、あっという間に楽しい山生活が終わってしまいます…
そうならないためにも、今の課題をじっくり味わう、というのが良いと思います。
■ 新人教育 その①
道がない場所を歩く = 読図
です。山登りで一般ルートを10年、20年歩いても、ただのルートコレクターになるだけで、
未知の冒険
には、一歩も出れない。
■ 尾根読み
さて、読図という分野で、最初に課題になるのは、
尾根読み
です。沢は水線が出ているので簡単です。
尾根 = 自分の左右が低い
です。ちなみに
ピーク = 自分の前後左右、全部が低い
トラバース = 自分の左右片面が高く、前後は水平
谷 = 自分の左右が高い
です。
https://www.youtube.com/watch?v=8Y_Ctfykpyg
https://youtu.be/RjQoSnKuudo?si=vpfbC0QqHaXryfP5
https://youtu.be/bnr7z1g2nEc?si=Tdkt_NdzWUMsbnLm
色々動画が出ているので、
尾根と谷×見分け方、
でグーグル検索してみてね。
さて、
今度行くところは、
(尾根を読み分けるスキル)と (薄い踏みあとvs登山道化された道を見分けるスキル)
の2つが必要です。
■ カリキュラム
①(薄い踏みあとを見るスキル)を先に公園で伝えます。
② 登山の級を現場で覚える
1級 遊歩道 ハイヒールの人も歩ける
2級 木道など歩くだけのところ 老人でも歩ける平坦な登山道
3級 自然な登山道 多少段差がある → 普通の里山
4級 30度以上の傾斜で手で補助しないといけない箇所がある登山道 → 鎖場 公園で観察
5級 どう見ても完全にロープが必要な傾斜(60度以上)→ 公園で観察 その後山に応用
6級 オーバーハング → 石垣などで観察 その後、山で応用
これらが見分けられた上で
5.XX (デシマル)
を解説します。
大事なことは…
(5.8で40mランナウト)や(根子岳でアルパイン)や(スポーツルートみたいな祝子川へ2名で行く)が、バカバカしいだけで、全然すごくないことが分かる能力をつけることです。
若い人がバンバン死んでいる上記の二つ。死んでいることも公開されていない…。
https://allnevery.blogspot.com/2022/01/blog-post_11.html
ここを教えないと、九州の若い人は素直なので、すぐ、オヤジに騙されてしまいます。
そして、「最近の若者は、すごい、すごい」と持ち上げられて、ただ危険なだけで、全く楽しみの無い5.8 40mランナウトをリードすることが、自分のカッコよさに資する、と勘違いして、ホイホイ登ってしまいます。
そして、当然ですが、”落ちる”。 ジムではスラブは練習できません。
落ちたら、おじさんたちは、「やっぱり、俺たちは、まだまだ行ける!」と自己確信を深めるのです。
そのためのエサになっている若い人。つまり、おじさんたちのナルシシズムを強化する、巻き餌みたいなのが、素直な若い人、なのです。
体力自慢を見せつけることで、おじさんたちは、若者に影響力をつけています。
しかし、宝満山を毎日3往復しても、5往復しても、一生、ギンちゃんが登ったサフィアを登れる人は作れません。
https://www.climbing-net.com/news/saphira_20240603/
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2024年3月12日、門田ギハードがアメリカ コロラド州Vailにあるミックスクライミング世界最難ルート「サフィラ/Saphira」M15-を完登した。
「サフィラ」は2016年、アイスクライミングW杯チャンピオンにも輝いたチェコ人クライマーLucie Hrozováによって開拓された世界最難のミックスクライミングルート。エリアの右端から強傾斜を30mほど登り、途中大きなハングを2つ超え、最後は天井の巨大ルーフ(約25m)をフィギュア4を駆使してエリア左端まで横断する全長約55mの長大なルートだ。
圧倒的パワーも持久力もない。心肺機能も優れていない。握力は成人男性の平均以下。そんな門田が、自然の巨大壁面を踏破していくチャレンジに完全密着。重力と対話しながら進む極限の「逆さまの世界」を4K-HDRで描く89分の物語。
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書かれているように、
- 圧倒的パワー
- 持久力
- 心肺機能
- 握力
そんなものは、カンケー無いのです。これらの資質はないよりあったほうが楽、程度のものです。
それより大事なのは、テクニックを磨くことです。
私はドライツーリングでは、M5ほどを登ります。岩場で5.12が登れる程度の登攀力の、一般的な男子は、M7がスタートラインだと思います。
ギンちゃんは、M15です。体力ではないのです。別にみんながギンちゃんみたいになれ、というわけではありません。そこは誤解がないように。
男性は、特に、体力に魅了されるのは辞めましょう。その先にあるのは、宝満3往復で、初めて山に来ている山ガールに感心される程度の成果です。
■ 山は体格で、有利な傾斜や路面が違う…自分の強みを生かす道を見つけるのが大事
それぞれ、自分の得意なことや自分の心がこうしたい!と思うことをするのが大事です。
例えば…
ひょろっとしている人 → クライミング有利
体重が重い人 → 沢で有利、フリークライミング不利、歩荷有利、ラッセル不利
大きい人 → 沢で有利、クリッピングで有利、エイドクライミングで有利、歩荷有利
小さい人 → 雪で有利 フリークライミングで不利、内面登攀で有利、歩荷不利
アイスクライミングでは、氷の固さ次第です。固い氷だと握力がない人は不利ですが、アックスを使うクライミングでは、氷にピックを刺すわけでないので、握力はいらないです。
私が相沢55mの氷瀑をリードしたのは、シーズンの終わりで、氷が柔らかく、握力的に有利な時期です。
韓国の氷は長く傾斜が寝ているので、持久力に優れる女性に有利です。一方カナダの氷は固いそうなので、興味を失いました。
正しい山の師匠は、あなたに合った有利な戦略を立てることをアドバイスできるでしょう。
■ チームで助け合う
このように体格で有利不利があるので、山ではチームで助け合いが必要になります。
その辺の感覚とどのくらいがどのグレードなのか?という話をしようと思っています。
■ おまけ 自力解決できる課題
オマケで、テント泊技術(設営)と山でロープを出す方法(クライミングまで行かない、山でのロープワーク)を教えようと思っています。
テント泊は、テント内に全部の道具を入れないとか、パジャマに着替えないとか…(笑)実は奥が深いです。
ずっと前、冬山の豪雪の山に行ったとき、パジャマ持ってきた男性がいて、みんなにあきれられていました(笑)
こういうことは、ソロでテント泊していたら、何年たっても知らないです…。
別に荷物にゆとりがあるなら、山にパジャマ持って行って着替えてもいいんです。
でも、クライマーや本格的な山ヤでパジャマ持っていく人はいない。
登りだす前に、ロープ、スリング等のギア、テント、火器を分けて運ぶので、それぞれ持ってもらおうと思っています。
実際は、私一人でも全部担げる程度のものなのですが、そうしてしまうと、チームの意義を教えられない。
■ 山で食事する
山で、皆でマルタイ棒ラーメンを食べる。
これは大事です。
■ 初心者は知らないのが普通 = 心理的安全性が大事
みんなに超初心者の質問をしてもらって、新人のころは私も分からなかったんだよなぁ…と温故知新な気落ちになりたいと思っています。
何回言っても、パワーは関係ないってわかってもらえない… 私、普通のその辺の男子より、当然ですが、パワーないですよ?