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2022/07/28

死は突然やってくる 

闘病ブログとクライマーブログは似ていますよね…

更新が突然止まる=死亡

いくつ知ってるかなぁ…そういうの。吉田さんもそうだし。杉野さんもそうでしたよね。

面識のないアイスクライミングの山やさんもそうでしたね…

ブログ=安否確認、みたいな部分はありますね。

 

2022/04/20

クライマーにできていない正見のリスト

 ■ 曲がった松は曲がった松とみる

今日の仏教説話は、正見でした。

現代のクライマーは、かっこつけたい気持ちと、クライミングそのものに対する理解の不足の2点で、正見、が出来ていない人が多いというのが、私の観察結果です。

そこで、きちんと見れていない事例をまとめておきます。

■ 偏見、悪見、邪見のリスト

1)ボルトルートは安全 → 40年前のボルトは、カムより危険

2)山岳会のベテランの意見を聞いていれば安心 → 人は年を取る 誰でも間違いはある

3)人工壁のビレイと外岩のビレイは同じ → 外岩はより難しい ミニマムスラック&ソフトキャッチ

4)自分はスゴイクライマーだと自己主張したいので、〇〇に登らなくてはならない

 → 趣味なので、そんなことをしなくてもいい

5)クライマーは常に上を目指すべきだ → 趣味なので、自分の好きに楽しめばよい

6)生死を掛けるのがクライミングだ → フリークライミングの時代になってからは、誰も生死を掛けることが正義だとは思っていない 

7)初登こそが価値がある → 初登に価値があったのは事実だが、価値ある初登とそうでないものがあると歴史が証明している。現代に残されたのは、落穂ひろい、であると歴史が語っている

8)現代には価値ある初登はもう残されていない → スタイルを勉強することで、まだ埋められていないスタイルによる登り方はいっぱいある

9)この岩場には俺のレベルの人間が登るルートはもはやない → 課題を難しくするのは簡単。裸足で登ってみましょう

10)叫んでいる俺ってかっこいい → かどうかは価値観によります。怖がっている人に私からは見えます。

11)フリーソロしたい → 自動化が起こるまでの大量の登りこみが必要です。公共の岩場ではなく、自分で開拓した岩場でやらないと、業界中の迷惑になる可能性が絶大。

12)トップロープは安全 → トップロープは下部で落ちる量が大きいので、スタート時をタイトにしないと、下部で落ちたらグランドフォールになります

13)トップロープは安全 → かぶっている課題では振られて危険

14)リードは危険 → かぶっている課題ではリードのほうが安全

15)アイスは危険 → アイスではテスティングをしてからしか登らないので、そこまで危険なことはない。アイスで危険なのは、気温上昇 です。雪山と同じで気温が上がる日中は避けて登る。早朝と午後の遅い時間が安全時間帯です。

16)落は運 → 落があるところを見極めることができる目を養うのが本来はスキル

17)雪崩は運 → 雪崩があるところを見極めることができる目を養うのが本来はスキル

18)ビレイヤーは奴隷だ → ビレイヤーは、リードクライマーと対等 無いと登れない

19)セカンドはリードより劣る → 劣らない ジャンボさんの話を聞きましょう

20)マルチでは、事故が起こっても仕方ない → レスキューの訓練をしても使わず帰って来れるのが成功

21)ヘッデン下山はかっこいい → それは、上級クライマーがギリギリに迫った場合のことで、無計画な山で、不作為にヘッデン下山になったのは、ただの実力不足です。

22)ゆとりがないほどかっこいい → 上級クライマーへの憧れは理解できるが、そのレベルにない人がやれば、ただのアホです

23)より高いグレードが登れる方が上だ → なら猿が一番立派なクライマー



2021/12/04

トップクライマーの言葉の重み

■ボルダリングでのマット使用

公開されている岩場でノーマットはなぁ…。怪我でもされて明るみに出たら、岩場閉鎖の憂き目にあうこともある…というので、めんどくさいことを知ってしまったぜ、ちぇっ!と思っていたんだが…、あるトップクライマーの言質を取って、伝えたら、気持ちを変えてくれたようで、

 ”マット買います”

という返事が来て一安心。でもほんとに買うか?は未知数です(笑)。

■ ジムしか知らず、誰とも登っていないクライマーもいる

しかし、現代クライマーの情報源は、クライミングジム一択。誰とも一緒に登らず、クライミングの雑誌も読まず、フリーファンの存在すら知らない(フリーファンは、日本フリークライミング協会が出している無料の冊子だが、九州のジムで配布しているジムを見たことがない)クライマーがほとんどだ。つまり、安全に関する情報を得る、きっかけや情報源が皆無。

クライミングジムが、クライミングのマーケティングを担っているということは、つまり、安全に関する、必要で、良心的な情報を決定的に、誰もクライマーに流していない、ということだ。

クライミングジムが流しているのは、”どうやって、かっこつけるか?”という情報だけである。

ネガティブ面を言わず、ポジティブ面しか言わないというのがマーケティングでは当然の行いなのだ。

トップクライマーの皆さんには、このような現代的な状況を理解いただき、かつての山岳会の先輩から、あれやこれやを教えてもらった自分の境遇の優位性を考えてみていただき、同じことを大衆に向かっているのだと、率先して自分がどんな風に安全を確保しつつ記録を更新したり、プロジェクトを完成させているのか、ということを公開していってもらいたい。

なにしろ、クライミング界の常識では自分より登れる奴の言うことしか聞かなくていい、ということになっています。

ですので、11が精いっぱいの私が言っても、誰も言うことは聞きません(笑)。

こちらは、V16(6段)がどのように登られているか?分かる動画です。ご参考に。9割落ちています。

https://allnevery.blogspot.com/2021/12/ryuichi-murai-floatin-v168c-fa.html

ジョコンダで抜けたハーケン



2021/11/28

一体なぜこれまで、誰も指摘しなかったのだろうか?

リボルトも教育も、ここまで放置が進んだ理由はなんだろうか?

九州に来て、自分の了見で、初めての岩場でも登るということになり、ボルトに対する知見がものすごく広がった。

とくに、2000年以降の開拓の岩場とそうでない岩場の事、つまりボルト品質のことは大きい。

いまだにカットアンカーで新規開拓をする人がいる、ということも、本州の開拓者が、

「え?!まだいるんですか!」

と驚くレベル感だということが分かった。

私はもちろん、カットアンカーがそんなに不味いボルトだということは、九州に来るまで知らなかったが…。

しかし、一体どういう理由で… これほどまでの長い時間…20~40年も…無視や放置が行われたのであろう???

ボルトに人命がかかっていることとか、ランナウトが危険であること、などは、クライマーであれば、当然、分かり切っており、新人クライマーから教わるよりも、ベテランであればあるほど、ツマラナイ見栄やちょっとした魔が差した程度のことで、クライマーが死んでしまったとかいう話は、長年やっていればいるほど見聞きしているハズだ。

そういうことを含めて、なぜ、これほどの放置や、終了点の作りのまずさ…が発生したのか?

一体これまで、誰も指摘しなかったのだろうか?

なぜ私以前に誰も指摘しなかったのだろうか?

上級クライマーだと自負する人々が…だ。

自己責任で登っていると豪語する人たちが…、だ。ボルトの見極めなど、自己責任の最たるものだからだ。

  正しいビレイヤーの立ち位置。海外の動画を見るだけでも、見れば分かる。




2021/11/22

死という現実から現実逃避している日本のクライミング界

■ 毎日おかもん先生の仏教説話を聞く

これは、おかもん先生のサイトから (https://bukkyouwakaru.com/dic/s105.html?fbclid=IwAR3ktLXLObAZR9jDuNjZyG6dGeQ4QpIfFXQf5BlPvKYOEPQzHUiokt6ATDU)

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白骨とは他人の死を見聞きしたときの驚き

次に仏説譬喩経の人間の実相のたとえ話に出てくる白骨とは何を例えているのでしょうか。

旅人は白骨を見つけて、ドキッと驚きました。白骨を拾ったときの驚きとは他人の死を見たり聞いたりしたときの驚きをたとえているのです。

レビや、新聞を見ると毎日のようにどこかで誰かが亡くなったことが報道されています。災害で、事故で、事件で、病気で、いろんなの訃報が報道されない日はないといってもいいでしょう。

★ここが問題です、クライマーの死亡や事故事例が検証されていない。ロクスノにもフリーファンにも、検証が掲載されない。事故や死はなかったことのようにスルーされている。

ショッキングな事件や事故で誰かが亡くなったことを聞くと私たちはドキッとします。通ったことがあるトンネルが落盤して数名の方が亡くなったと聞くと、「ああ、あのトンネル通ったことがある、自分だったらどうしよう」とぞっとします。近所の知人が突然亡くなったと聞くと「えっ、まさかあの人が・・人間の命ってわからないものですね」とドキッとします。

このように私たちは、思いがけない訃報や身近な人の死にふれたときに驚いたりびっくりしたりしますがこの驚きを白骨を見たときの驚きにたとえているのです。


私たちは白骨の野原を歩いている

では、私たちの足元にはいったいどれだけの白骨が散らばっているのでしょうか?世界中では1秒間に17名の方が亡くなっていると聞いたことがあります。この日本では約20秒に1人の方が亡くなっているそうです。

一日に直すと、世界では 15万人の方が日本では 3千3百人が亡くなっています。まさに雨露のように人の命は消えているのです。

私たちの足元には無数の白骨が散らばり白骨の野原を歩いているのが私たちということでしょう。

ところが私たちは、他人の死を見たり聞いたりしても他人事、他人事、と聞き流してしまい、やがて必ず自分にやってくることだということを忘れてしまっているのです

★ クライミング界では、忘れるというより、最初から、命知らずを自慢するような本末転倒になっているのは、子供が赤ちゃん返りをして、親の注目を引こうとする心理と同じになってしまっているからであるようだ。

トンネル事故を聞くと驚きますが各地の補修工事をしたそうだから滅多なことはないだろうと安心したり近所の人の訃報を聞いても、あの人は、お酒やたばこばかり飲んでいたからな自分は健康に気を付けているから大丈夫だろうとなんくせつけて、自分とは関係ことにして目を背けていないでしょうか。

白骨を見つたときは、驚いた旅人も、次第に慣れて平然と、白骨の野原を歩くようになりました。その旅人の前に、突如、唸り声とともに現れたのが餓えに狂った獰猛な虎なのです。

この虎は何をたとえているのでしょうか?

これは、私たちに必ず訪れる死という現実なのです。

誰もが死にたくありません。そして、死から目を背けて生きています。しかし、誰もが必ず死んでいかねばなりません。死と向き合ったときに本当の意味で生きるとは何なのかが問われるのではないでしょうか。

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★はクライミング業界の問題点です。毎年、一記事くらいは、大きな事故が起きているので、事故の検証を掲載するべきでしょう。

ランナウト王子で知られる佐藤祐介さんですら、事故に遭っていましたよ。

2021/05/22

長ヌンとレッドポイント

これは、一流クライマーを育てた樋口先生のコメントです。

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 120cm,90cm,60cm,40cm,30cmそして一般的な20cmのものを使って、流れがいいようにセットしてます。

完登できない場合でも、ロワーダウンしてくるときに余分が有れば、さらに流れが良くなるようにセットを微調整して、次のトライに備えてます。

うちうちでは、短ヌン、中ヌン、長ヌンという呼び名で

「そこ、長ヌンがいいんじゃない」とか指示出し合ってますね。

少しでもローブは流れが良い方が、登る方にも負荷がかからなくて済むので。

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■ 精密度が高い!

私も、長ヌン、持っていますが…一本だけです。あとはスリングで対応、なので、120cmスリングと60スリングです。

この写真は小滝を登攀中の私ですが…やっぱり1本目は伸ばしていますね。


■ 登る場所を選びましょう

ノーテンションで登るのは、アイスでは当然というか、岩のように、”やった!オンサイトだぜ~!” とか ”レッドポイントだぜ~!”ってのはありません。

あまりにも当然で、スタイルの区別ないです。

そもそも、登る場所を見極めること、そこからスタートです。どこでも登れるので。

岩場の場合だと、ボルトにより、ココしか登れない、と登る場所が強制的に指定されています。

自由度? ひくーい。 

これでは、見る目が育たないですよね。だって最初から、登る場所を選ぶ、という発想自体がないですからね。

ブランクの岩を見て、どこをどう登ろうか?と発案できないということです。

一般にアイスでは、もっともアイスの硬いところを探します。プロテクションの都合がクライマーの都合より優先です。

■ 結果、ロープの屈曲についても、無知でいられる

岩では、ボルトが指定され、登るところも固定されて、いいなり状態、またオンサイトか?レッドポイントか?くらいしか、評価の物差しがない…ので、その結果、ロープが屈曲したら登れなくなる、ということについて、かなり長い間、無知でいられます。(昔はプロテクションはリムーバブルで好きなところを登っていたので違いますが)

レッドポイントした後の登りについて、吟味しない。

逆にスタイルが、クライミングの安全知識を学習する阻害要因になっていますね。

レッドポイントできた!と思ったら、ロープドラッグがあっても、成功!っていう結論にまとめてしまえます…。

なんで、そんなに下手くそなのに、皆自信満々なんだろう?っていう疑問が少し溶けた(笑)。

アイスだったら、みんなに「うーん…」 「あちゃ~」という顔をされるロープの流れであっても、岩登りだと? 「レッドポイントおめでとう!」です。

これでは、反省が生まれないです。

なるほど、こういう訳だったのか。

■ 登りのゆとりは関係なし

ロープドラッグを考える…などは、クライミング中のゆとりの量が必要になります。計算する項目数がそれなりに多いからですね。

美しいライン

これのどこを登ろうか~と考えて…

こうなる。

つまり、楽しみは、どこを登ろうか~と考えるところからです。 ここを登りなさい!ではない。ボルトルートは不自由ですなー。

■ 氷との対話

ワタクシが考えたライン 満足~ どこもランナウトしていない!流れが美しい!

このような充足というか、満足を長い間、味わっていません。

 いいルートだったな~というのの、中身が岩とアイスでは、ここまで違う

ってことです。

レッドポイントもオンサイトも、私には、あまり満足をもたらさないようです。

もっと細かい、ルートとの対話が私には必要みたいなんですよね。





2021/05/21

現代ジム上がりクライマーの特徴と対策

■現代クライマーの特徴

前提:
・ジムから外岩
・パートナーはジムで見つけ、初心者同士で登ってきている
・登攀自体は、中級者以上 


1)危急時をまったく想定していない
2)長ぬん使用法を知らない 
3)基本的に自分のロープで登ることを教えられていない
4)指示を出し合って安全を向上するという関係性を前提にしていない
5)周囲が教えないとずっと分かるようにならない


今回は、全部、相方に指摘してあげることができ、良かったです。

私の学びと言うよりは、相方の学びですが… いつまでたっても経験値が増えないというサイクルを少し打破できたかな?と思います。

大事な点は、指摘してあげないと、分かるようにならない、ということも、大事な特徴かもしれません。

■ 1)危急時想定不在

フリーのクライマーの場合は当然ですが、セルフレスキューの知識がない。ので、ロープシステム(例えば、メカニカルシステム)は、きちんとは分かっていなさそうです。

これは、つまり怪我になったらどうなるか?想定がないということでもあります。

つまり、私は48Kgですが、つまり48kg以上担げないので、私と組んでも危急時対策にならない。外で怪我をした場合、レスキューが遅れるという認識がない。ので、そこから言ってあげないといけない。 つまり、山ヤじゃないのです。

捻挫したらどうなるか?骨折したらどうなるか? そういう想定がゼロなのが、ジム上がりフリークライマーの思考回路の抜け、です。

■ 2)長ぬん使用法 について

長ぬん使用法を知らないのは、ロープドラッグのために登れなくなったという経験値が足りていないためです。登れなくなって初めて人は気が付きます。最初からできる人は、少数派だと思います。

フリーや人工壁であっても、下手くそなビレイヤーにビレイされていると、ロープが重たい(1ピン目で屈曲が大きい)ので、変だな?と思って振り向いて気が付くと思います。

■ 3)ロープトラブルの対処法を知らない

ロープは購入するときに、自分の体重に合わせてロープ径やしなやかさ、などを選んでいることが多いです。私は小さく軽いクライマーで、下のビレイヤーが下手くそであることも多いので、細径のロープを選んでいます。

重たいクライマーは伸びが少ないロープを選んでいることが多いと思います。

今回は、トラブルが起きました。うどんの汁でロープを汚してしまい、そのあとの対処が悪かったです。水道水で洗ってしまったのです。雨の日でしたので、乾かない。乾かない=強度低下、です。

こちらの資料では、15%の低下が報告されています。
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-gijyutuka/shyohou2/08/08-01.pdf

濡れたロープは強度低下していますので、強度低下分を考慮して登るか、登らないか?になります。

選択肢は、

  A)自分の濡れたロープで本気トライしない、
  B)相方の乾いたロープで本気トライしない、

となります。

■ 4)安全は二人で作っていくもの 

安全は、パーティ全体で作っていくもの、です。これは初日に注意を言いました。私がクライマーとして登っているときに、安全監視を下のビレイヤーとしてやってもらえなかったからです。

片方のロープを濡らしてしまったら、乾いたロープを持っている方は、自分のロープを提供しない訳にはいかなくなります。 

■ 5)ポンピングはロープの痛みが大きい

その場合、ポンピングするスタイルで登るのは、ロープ提供者がかわいそうすぎです。

特に、自分がそのようなスタイルで登らないクライマーであれば、やはり、自分が登るわけでもないのに、ロープの痛みが最大級のポンピングスタイルと言うのは、避ける、というのが、せめてものマナーという気がします。その場合、ヨーヨースタイルで登れば、いいですね。

あるいは、登れるところまで登り、近くでオブザベーションする(自己確保で)、ロープに負担を掛けない登りを選択する、などの気遣いが可能と思います。

■ 書いていないけど、書いてある?!

このようなことは、どんなクライミングの教科書にも書いてありませんが、

ロープは各自が持ち寄り、
自分のロープで登るべきもの…
ロープの管理まで含めて自己責任、

ということは書いてありますし、

ポンピングがロープが痛む

ということも教科書に書いてあります。

長ぬんの使用法を詳述した書籍は見たことがありませんが、

ロープドラッグが危険であること、
ボルトに対しても悪いこと、
ロープにも悪いこと

は、どの本にも3行くらいは書いてあります。

パーティ行動についても、一般的な常識の範囲で書いてあります…

というので、一応、知識は、書籍においても提供はされているのですが…、問題は、それでは不十分な情報量だ、ということなのかもしれません。

というのは、今回ご一緒した彼が特殊な人とは思えないからです。ごく一般的なクライミング大好きな青年、と言う感じでした。

「窓が開いているね」と言って「寒いから締めましょうか?」と発想できる人が少なくなったのと同じ原理で、それだけの記述では、知識を与えるスタイルとして、もはや大卒エリートではない現代クライマーには、踏み込み不足なのだろうと思います。

彼は一人目ではないですし。私の以前のパートナーも、自分の本気ルート(クラックでロープがこすれてロープが痛む…)を私の新品のロープで2度もやったので、2度目は抗議しました。一回目は、小川山レイバックに連れて行ってもらったときのクレイジージャム、2度目は大堂海岸です。さすがに2度目はお目こぼしなしよねぇ…というので、指摘しました。ロープ買い取る!と言っていましたが、買い取ってくれる気配はありません(笑)。

こうしたことは、パーティ外のクライマーからは見えません。どちらがどちらを登らせてあげている関係か?ということが見えないということです…。大堂海岸の時は、私のロープで登った相方が他クライマーから、”良し!”みたいな確認を貰って、私がダメクライマーみたいな烙印を押され、なんだか釈然としない気分になったのを思い出しました…。甘えているのは、あちらで、こちらじゃない。

■ 自己責任=各自勝手に登るになっている

私は高難度は登りません(登れません)し、まだクライマーとして学ぶことがあるという自覚が自分にあるため、自分が登るときは、互いに、安全を相互協力で作れる相手と登りたいと思っています。それくらいは望みすぎではなく、人として当然、です。ところが、現代人の感覚の自己責任、というのは、自分さえよければよい、みたいなことになっている…。

例えば、見慣れぬボルトに不安を示すと、「クライマーなら自己判断で登れ」と言われるし… カットアンカーとグージョンの差が分かっているクライマーに、今まで会ったこと自体ないですけど…みんな使い分けて登っていたんですか? 私の師匠でも、たぶん、なんとなく、という虫の予感以上のことは、分かっていないで、リスク回避してきた、その程度の曖昧な知識ではないか?と思います。

海外のトポには、課題の長さ、必要ロープ長、ボルトに関しては、使用した型番、設置日まで書いてあります。そうなって初めて自己責任が可能です。

ロープに関しても同じで、自分のロープは来歴が分かりますが、人のロープだと分かりません…。私は大墜落の後は、ロープを休ませるように教わっています。当然ですが、ロープは濡らしては良くないです。泥も良くない。

支点の作り方も同様で、迷いがあるときに相談できる、ベストプラクティスを二人で作っていける関係性というのは、大事であるような気がします。

■ もう頑張ってる

また、互いに無理を押し付け合うのは禁物です。

ガンバ!というのは、クライミングではよくある掛け声ですが、私は、外岩の時は、「無理をしないように」と声を掛けます。安全とガンバ!では、インドアと外では違い、外岩では、安全が常に打ち勝つようにしないといけません。
濡れたロープを干し中

ガンバ!を優先していいのは、人工壁だけです。

外岩で、安全が後回しになるような声掛けは、禁物です。頑張ってツッコんで、怪我した場合、どう責任を取るのでしょう?

私が思うには、心根が優しくても、読解力不足と言うか、点と点の知識が、線や面となってつながり、きちんとした構造的な知識につながっていかないのです、現代のクライマーは。

例えば

A)人工壁で登るときはガンバ!
B)外岩は危険が大きい
C)外で一緒にいる人はレスキュー出来ない

= A)+ B)+ C)
= D)答え 外では無理強いはいけない

AとBとCを教えられても、Dが導けない、ということなのです。

A)ロープは各自が持ち寄り、
B)自分のロープで登るべきもの…
C)ロープの管理まで含めて自己責任、
D)ポンピングがロープが痛む、

 =A)+ B)+C)+D)= 答え)人のロープでポンピングしてはいけない

とか、

A)ロープドラッグが危険であること、
B)ボルトに対しても悪いこと、
C)ロープにも悪いこと

 =A)+ B)+C)= 答え)長ヌンが必要

とか、10年以上クライミングをしていても、答えそのものを教えてもらわない限り、合成できない、ということなのではないか?と思います。

それは、記録をつける習慣が無かったり、反省を記述する習慣がないから、というのもあるかもしれません。

ただ、ブログ等で有名で、記録をつけている有名なベテランでも、間違った写真を堂々と載せていることからすると、初心者の側からすると、それでいいのか~と思ってしまいますし… 経験者にしても、やはり、間違ったことをしていても、その自覚がない、ということではないか?と思います。

■ スタイルに安全に関する情報が欠如している

それはやはり、スタイル重視とは言っても、スタイルの説明に、オンサイト、フラッシュ、レッドポイントなどの記載があっても、それ以上のいわゆる登攀の質…”あれやこれや”と言われる細部の記載がないからです。

仮に、師弟関係で登れば、まだ5.7しか登れない時代から、師匠から、”下のクリップを外せ”だの、”クライムダウンして回収してから登れ”だの、色々と、ただまっすぐ登るだけではない指示を受けます。

(それどころか、ここを登れ、あれを登れ、と登る場所まで指定されるのは、疑問です。なぜなら、師匠と言えども、どの程度のリスクを取れるか?は、当人以上に正確には判断できないと思うからです。当人が自主的に判断できるよう、支援すべき、と思います)

私は、米澤さんと行った野北で、カムで取った1ピン目を設置する場合に、自分で設置した場所に指摘を貰いましたが、私が回収する予定だと返事をすると、そのまま行かせてくれ、2本目を取ったのち、回収してから登りました…こうしたやり取りの中で、”同じ安全を見ているのだな”と、信頼が生まれてきます。安全とはこうして作るもの、という気がします。

質の良いベテランと登ると、そういうことが、登攀歴の初期から起こりますが、現代のクライマーで、そのような環境にいるクライマーは、大変稀です。

中には、ランニングの失敗を指摘してあげると、親切な行為なのに、怒りだす人もいます(前の先輩)。

現代は、山岳会で登っていても、山岳会自体がそのような知識…適切なランニングの取り方やロープの休ませ方、あるいは、パーティ全体での安全の管理のノウハウ…を持っていません。また、ジムで会った初心者同士だと、当然ですが、知識を持っていません。

本があっても、文字列の羅列で、一般にクライマーはすぐに挫折してしまいます。

同じ10年のキャリアであっても、登れない時代から外岩経験を積むのと、インドアで鍛えてから外岩にデビューすることの間には、このようなギャップがあります。

■ パートナー的なミスマッチ

一方、私のような外岩からスタートしているクライマーは、インドアで鍛えた技がありませんので、高難度を登りません(登れません)。

ので、一緒に出掛けても、自分は登らない(登れない)ので、一緒に出掛けた場合、ビレイを提供したり、ロープを提供したり、と知恵を出す一方になってしまいます。

自分のクライミングの成果としては、得るものがない…、気がついたら、引率の先生みたいなことになってしまった…というような帰結になってしまいがちです。それは、相手に理解力がないから、ですね。

アドバイスを出すほうは、その成果…安全なクライミング…を自分の登攀向上の成果として受け取ることができない、という現実があります。

師匠クラスのクライマーは、なぜかインドアジム上がりのクライマーと組みたがらず、私が連れて行くと、腹を立てることが多かったのですが…、それはこういうことで振り回されるからですね。なるほど。

つまり、安全管理の貢献と言うのは、目に見えない。

本人は、もっとも安全なノーテン登りなので、ビレイされる時間も短く、かといって、ハングドッグ&ポンピングのクライマーの方は、それが当然だと思っているので、長い時間がかかる…と言うことになります。

なるほど、こういうわけで…と、私自身も、師匠がジム上がりクライマーと出かけたくない、その気持ちが分かったかもしれない。安全管理はこちら持ち、成果はあちら持ち、みたいなことになってしまう… 

しかし、どこにも悪人はいない…。

無知こそが原因、なのです。

■ ベテランの言うことを聞かない

教えると、基本的に嫌な思いをする、ということも師匠の場合は、あったそうでした…。

些細な点をあげつらって、さして重要でもないことを、さも重要であるかのように言っている…と一般的には感じられることが多いからです。例えば…

”ザックにボトルを外付けしてはいけない”と、指摘した時に無視され、そのクライマー君は案の定、ボトルを山道で落としたそうなのですが…。師匠とピオレドール賞クライマーは、顔を見合わせて、”こりゃダメだ”、と思ったそうでした。

私は、最初から、あまり山での行動自体は、問題視されないクライマーだったので、あまり強い指摘を受けたことはありませんが…。(一度、確保に変Dカラビナを使っていて、それはダメだと言われたことがあります)

アウトドアの基本…と言うようなことは、フリークライミングでは、環境がシビアでないので、大目に見られることができます。

例えば、”ボトル外付けダメよ”は、アプローチゼロ分の岩場で言われてもなぁ…となります。(なので、誰も指摘してくれない)

しかし、アプローチ6時間の前穂北尾根でボトルを落としたら登れなくなります…ので、昔は、簡単なところで、そういった良き習慣を身につけることにしていたのでした…。

良き習慣は身を守るといいます。

簡単なところは習慣づけの機会として使って行くのが良き考えかな?と思います。

良き習慣は身を守る、を念じながら、

 良き習慣作りに励んでいくのが、セーフクライミングのベストプラクティス

になるのではないかと思います。

今回はリスク管理の肝は、うどん汁、だったのでした(笑)。

めっちゃ、ひょんぐっていた奥壁手前の天然クーラー


ボルトのベクトル分解

 東さんから回ってきたので、転載します。算数苦手…誰か分かる方、解説してくれたら嬉しいです。


2021/05/13

邪慢

■ 邪慢

仏教用語で邪慢という言葉を知りました。

・窃盗犯がどうだ俺ほど早く人の財布をすれるものはないだろうと自惚れたり、

・刑務所では前科の回数が自慢のタネ

・どれだけスピード違反をしたかを自惚れ

・試験の点数の悪い事や、単位を落とした事を自惚れたり

”恥ずかしい事でも自惚れの材料にしてしまう”のが、

 邪慢

です。となると、クライマーバージョンのの邪慢は、やっぱりランナウト自慢とかではないのかなぁ…

■アレックス君のコメントから類推

アレックス・オノルド君、アダムオンドラ君との対談で、初めて作ったルートは手打ちだったので、「超怖いルートになってしまった…」と普通に言っており、”どうだ!俺のルート怖いだろ!これに登れない奴はくんな!っつー意味だぜ!”とか、別に言っていなかったです…。

岩的に必然性のないランナウトは、フリークライミングの世界での”正見”は、

 ただルートづくりが不慣れで下手くそだった作品、

ってだけのことみたいですよ?

■ 現代のランナウト王子

ランナウトはアルパインの伝統です。たしかにアルパインで、数ピッチ行ってから、いちいち2m起きに支点を作る意味ないというか…私もリッジ系のに登るとき、ほとんど形だけです。支点。だって落ちないですから… 落ちた時、死体が行方不明にならないためのロープなんで…。

現代のランナウト王子と言えば、佐藤祐介さんです。確かにユースケさんもランナウト王子ですもんね…

若い男性の憧れの的?アニキだったユースケさんこと、佐藤祐介さん…スーパー赤蜘蛛フリーソロの方ですよ(笑)。

ランナウト=ボルトがあって、ロープをつけている意味がない、ではなく、
フリーソロ=最初からロープ要らねー、ですからね…。

5.12が含まれるルートです…。
 
そういう記録をきちんと読んでいたら、4級でランナウトしているようなので、威張っていても、”なんだかなぁ…”という感想になるような気がするのですが…。

4級だから要らねーではなく、意味ないランナウトをして、ええかっこしいしているのって、状況見えていなくて恥ずかしいなぁみたいな?…ランナウトへの耐性は、もっと必要な時に取っておこう、みたいな気分になると思うのですが…?

山ではしたいと思わなくても、そうならざるを得ないとき、一杯出てきますからね…。

しかし、なんでこんなカルチャーになってしまったんだかなあ…

2021/05/12

安全のリレー

FBで東さんの投稿が回ってきました。考えさせられる、良い内容だったので転載します。

(赤字当方)

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ルート保全について

~お互いの安全のために~

ある岩場にて

 昨秋、30年くらい前に開拓された岩場を尋ねました。そこで劣化した支点(ハンガー)を多く見受けられましたので、その後2回程度、支点の整備に行きました。私が開拓したルートもありましたが、整備した多数は他人が開拓したルートです。写真のように「ほとんど抜けかけたハンガー」が連続した箇所もありました。

 これは非常に危険な状態で、あと数回の墜落かテンションでハンガーが脱落していたかもしれません。

支点の強度と管理

 岩場では開拓者がルートを作りますが、その支点を終生にわたって強度保証することはありません。ただし再登者は支点強度を信じて登りますので、この辺の齟齬が事故発生の危険性をはらんでいます。

またクライミングジムでは支点は管理されていますが、自然の岩でそれはありません。

言い方を変えれば「有料施設では支点は随時点検されるが、無料の岩場では支点の管理者はいない」ということになります。

今回の問題は「ハンガーをとめるボルトがずいぶんと緩んでいたのに修正されていなかった」ことです。

クライミングコミュニティと安全の保全

 クライマーは好むと好まざるにかかわらず、クライミングをしているということで「クライミングコミュニティ」の一員になります。 我々はその場にいないクライマーを意識することは困難ですが、私が今日登ったルートは将来、誰かが再登します。そのため我々は時間軸上でつながっているといえます。

 そして管理者のいない岩場では、クライマーは無料で登れる恩恵があると共に、次のクライマーのために安全な状態を保全する必要があります。例えば、「開けたドアを次の人のために押さえてあげ、その人は次の人のために・・・」というような行為、つまり「岩場では安全のリレー」が大切です。

 今まで、死亡事故が発生して利用禁止になったエリアはいくつかあります。事故は被災した本人に壊滅的な事態が生じますが、クライミングコミュニティにも大きな被害を与えます。

岩場で出来ること

ランナウトした核心部で、ハンガーが脱落しそうであっても、必死でクリップするかもしれません。ただしそこでテンションしても、体重がかかったボルトを締めることは困難です。そのため安全な支点に到達するまで危険な状態が続きます。

ボルトを修正できる可能性があるのはロワーダウンのときです。私は岩に行くときは「小型モンキーレンチ」を持参していきます。そして回転しているハンガーはそれで補修するようにしています。

ボルダリングではチョーク跡を掃除することがマナーとして定着しています。リードのハンガーや支点問題は見かけの問題ではなく、安全の問題である以上もっと深刻です。

「続登者の安全は、先行者によって保たれる」のです。そのため「安全のリレー」に努めていきましょう。

カットアンカーからグージョンに打ち直されている

緩んでいるカットアンカー


2021/05/02

カットアンカーは終コンですよ

どうも九州では(というか日向神ではなのか?)理解されていないようですが…。

カットアンカーは終コン、ですよ。

私がカットアンカーの仕組みを理解していない(ボルトの短さは強度と関係がないのだそうです。へぇ~。Byマサさん。マサさん、ありがとう~)のは、事実かもしれないですが、

カットアンカーを理解することは、クライマーとして全く重要なポイントではない

です。

カットアンカーは悪くない、を主張する日向神クライマーにマサさんの指摘を伝えたところ、カットアンカーを理解していないのはお前だろ、と、連絡がきましたが。

私がカットアンカーを理解することより、九州のクライマーがカットアンカーのルートを主体性をもって判断しつつ登れる、ほうが大事です。

カットアンカーについて理解すべきは、唯一…終コンのボルトということです。

とっくの昔…30年前に賞味期限切れのボルトです。施工が成功していて、ピカピカ状態で、せいぜいカム並みの強度しかない。

(1kN~最大15kN。UIAAが規定するスポートルート(=ボルトルートと言う意味)の強度基準は、25kN。スポートルート以外で落ちまくる=リスクテイキングなクライム、が世界のクライマーの定義です。ボルトルート登っているつもりでトラッドやっているのと同じです)

ので、落ちたい人は、各自の判断で勝手に落ちればいいでしょう。

私は、サビたカットアンカーでバンバン落ちる登りをしたいとは思えない、ですので。

”古いカットアンカーは安全です”、みたいな話だったが、ではなぜ更新になるので?というので、この方面に突っ込むのは、めんどくさい議論だった。

結論: カットアンカーの支点は終コン。

    終コンのボルトで落ちる登りをするかしないかは、個人による。

    したい人はご自由にどうぞ。

ボルトの短さは強度と関係がない


ボルトの短さは強度と関係がないそうです

カットアンカーの全体像 今も新規開拓で使う人がいます

2020/12/28

自分の価値観を譲らない強さを持つ必要性

■ 頼りない者同士であっても、協力して正解を紡いでいくのが一番

だな、と改まって振り返って反省しています。頼りなくても、自分は自分の正解をみつけることができると信頼する、ということですね。つまり、ベテランなどの外部に正解を求めたり、頼ることはできないということですね。

以前、23歳男子の後輩ができました。

当時私がいた山岳会では、たしなみ程度しかアイスクライミングをしないので、そんな練習量じゃ足りない!と鉱泉アイスキャンディーフェスにパートナーゲットに出かけたら、若い男子が私のテントを訪ねてきてくれたのです。まぁ、フェスレベルの人(今日初めて登る)と比べたら、私は断トツ登れたので…。頼りにしてきてくれたんですね。

彼はアイスは初心者でしたが、若い人は見たものをコピーする能力に優れているので、アイス40年の青ちゃんとのクライミングに混ぜてあげたら、あっという間にムーブを身につけました。

が、ロープワークを覚えないと。外アイスで時間がかかるロープワークを教えるのでは、寒すぎる。季節のいい時期に岩で、となるので、他の先輩に出動してもらったりして、岩講習を彼のためにセットアップしたり、色々と急がしかったです…。
 
たぶん、アイスをしたいのだけなのに、なんでロープワークを覚えないといけないのか?初心者の彼の立場からは分からない。

ロープワークなどは、本人がやる気にならないと、なかなか、身にもつかないわけです。本もいっぱい貸し出したりしましたが、読む時間がなかったんでしょうかねぇ…

結局、私が山梨を出るときに、彼を託した先輩曰く、「ああいう子はだめだよ」ということだったのです…。残念。

理由を考えると、その先輩も私も雑草系で、粗削りで、未習得のことはいっぱいあるだろうと想像して自覚がある中でも、独学で、やりくりして何とか自分自身を成長させてきた、ということを考えると…? まぁ、そう結論するだろうな、となります。自発性というエンジンに欠ける。

年配の人の言うことを真に受けすぎというか…素直な良い子はクライミングにはイラナイというか。

とはいえ、自発性があり、自立していこう、という独学派は抜けも多い、です。

私もそうかもしれぬという思いがあるので、いつも自信をもって教えているわけではありません。

私がやったことをそのまま他の人がやると(例:三つ峠2度目からリード)、途中で死ぬかもしれませんし、同じ失敗を繰り返す必要はないと思うし、指導ができるほどの視点には、まだ立っていないので、という部分もあります。

自己責任が身についている人でないと、教えづらいというか、教えたことがすべて正解と解釈する人だとダメなのです、クライミングは。クライミングというか、安全管理は、ですかね?登るほう、ムーブなどは、ほっといても誰でも上達するので。

というので、私も独学者の域を出ないので、自信がない。ので、来てくれた若い人は、大体、年配のベテランと言われる人たちに託してきました。経験の厚みが、抜けをカバーするものと思われたし、今まで生き残っている事実がとりあえず安全管理能力を示すからです。

■ メリットよりデメリットが多いかもしれません

しかし、抜けなく学べるというメリットは少なく、逆に間違ったことを覚えてしまうリスクのほうが高いかもしれないと、ここ最近は思います。

害悪も一緒にハンドダウンされてしまうのです。ベテランの悪いところを身につけたりとか、肝心の学ばないといけないところを教わらなかったり…とかするのです。

例えば‥‥

1)教わるべきことを教わらなない事例 登っていい氷と登ってはいけない氷の見極め
2)悪いところを身に着けてしまう事例 ビレイ

などです。

ベテランは、登っていい氷と悪い氷の見極めが的確なので、登って崩壊する氷には登らないですが、若い人は登ってしまい、案の定、氷が崩壊して骨折していました…。

岩に置き換えるとボルトや支点ですね…。

危険を排除して、登攀すべき対象を見出す、ということは、どういう課題ならベテランが登攀対象として採用するか?という観察からしか導き出せない。

【具体例】

今回は、私は日向神に一緒に本州からのベテランクライマーに行ってもらって、その支点作成や登りのスタイルの採用を見て、ずいぶんと行動指針を作るのに役立ちました。

今までは山梨で一緒に登っていた先輩と登っていましたが、彼もこんなヘンテコな支点は見たことがないので、どうしたらいいものか、お互いに分からなかったのです…。山梨は外クライミング先進国なので。九州クライマーは、これが普通だと思っているので参考になりませんし…。

ビレイも課題で、ベテランというのは、昔はフリーを練習するインドアジムなんてなかったわけなので、もれなく全員がアルパインクライマーです。つまり、アルパインクライマーと言うのは、決して落ちない。落ちない登りしかしないのです。ということは、アルパインのクライマーに育てられたビレイヤーは、要するにキャッチの経験がないということです。

これは年配のクライマーのみならず、若くても、師弟制度で登り、人工壁に行かずに外岩クライミングしかしない人は、ベテランの操り人形のごとく登っていたりします。そういう人は、ビレイ経験が形骸化するほか、思考停止の害をも受けます。

私の育てていたO君は、師匠の青ちゃんとアイスでダラリンビレイを身に着けてしまいました…。アイスではだれも落ちないからです。本当に、私はがっくりと言うか、この1年は何だったのか…という思いになってしまいました…(涙)

あるいは命知らずクライミングの価値観がハンドダウンされてしまいます。例えば、湯川では、アイスは脆く、上部はミックスで短く、つまり、落ちたら危険な課題ということです。(テクニカルで楽しいとは言えますが)

とはいえ、歩いてトップロープ支点の立木にたどり着けるので、大概の人はトップロープで登ります。命の危険を冒してまでリードする価値があると思うか?ないと思うか?は、本人の価値観次第です。リードしないと気合が入らない人はやったらいいですし、したくない人は別に必要自体がないです。

ところが、リードしろと強いられて本当に嫌でした。その時は、大勢の人の前で大喧嘩して、そのようなクライミングは否定しました。

そういう、ある種の強さ…がないと、ハイハイ、と言ってリードでとりつき、ミックスで落ちて、ダラリンビレイで下の氷にたたきつけられても、自業自得、というのがクライミングの掟というか、そもそも、人生の掟、なのです。

とくに湯川は距離が短いのでビレイはシビアなのですから…。

師匠の青ちゃんとは数えきれない喧嘩をしました…。 その一つ一つは、私にとって周囲からの評価は価値がないにも関わらず、彼にとってはある、というのが問題のようでした。その敬意の内容が、命知らずさの度合いに基づいているということだと、今振り返るとアリアリと感じられるのです…。ただ、当時から私の価値観は、
 
 リスクは度胸で登って乗り越えるのではなく、
 リスクはスキルアップで克服する

という方なので、全く合わなかったのです。
  
 合わない価値観の時に譲らない強さを身に着けるのは、この世界で身を守る大事なこと

だと思われるので、

 素直なよゐこに欠ける資質はそこかなぁと…。


2020/12/21

終了点とプロテクション

■ 終了点とプロテクション

一般化すると、4つのケースが考えられます。

1)プロテクションも悪く、終了点も悪い
=ギリギリボーイズの方限定。一般クライマーは登らない

2)プロテクションが悪く、終了点は良い
=トップロープ課題

     ---------以上、アルパインクライミングーーーーーーーーー

3)プロテクションは良いが、終了点は悪い   → TRADクライミング
=リードして懸垂で降りる

4)プロテクションは良く、終了点も良い    → フリークライミング
=普通のあるべき姿



2019/08/19

大衆化=クライマーの安全意識の低下

今回の長野遠征で良かったことの一つが奥村 晃史さんのKoWallへ行ったことです。

そこで、平山ユージさんのベースキャンプというクライミングジムで起きた、既成トップロープのアンザイレンの器具で起きた墜落事故について聞いてみました。

これはクライマーの間では有名な事故でした。

https://b-camp.jp/pickup/649.html

■エイトノットを知らないで済ませるか?と言う問題

私も体験クライミングなどのイベント的なクライミングをすることはあるのですが、その際はトップロープ限定です。当然。

その場合、エイトノットでアンザイレンするのが教科書通りですが、エイトノットをできない人に簡易的にカラビナを介してアンザイレンしてあげることがあります。

私もアイスクライミングでは、どんどん次々に順番を交代して登りたいため、シープシャンクに安全環付きカラビナ2個で登りますが…

一般的には、バイトのエイトノットに環付きビナ1つ、というのがよくあるケースです。エイトノットではなくて、ラビットノットにしているガイドさんもいます。

ベースキャンプでは、以前行ったときは、バイトのエイトノットに環付きビナだったと思いますが、このべアールのロックアップスクールと言う製品を使うようになったのはなぜだろうか?というのが最初の疑問でした。

ツインゲートって、環付きビナより、リスクが高そうな気がなんとなくします…

https://www.lostarrow.co.jp/info/notice/NT20190809_LA_RockupschoolNotice.html

奥村さんの説明では、ツインゲートは互い違いであっても、解除動作がワンアクションというのが問題に感じるそうでした。

■ 過剰なパターナリズムの国

自己責任と過剰なパターナリズムというのは、相対する概念だと最近、理解しました。

クライミングを世の中に広めたい!という思いが、強すぎて、

「エイトノット結べない?ああ、いいよ、いいよ~」となってしまうということです。

これは、まずい…。

というのは、スタートがこれだと一時が万事になる可能性があるからです。

エイトノットできない → いいよ、いいよ~!でバイトのエイトノットでアンザイレン

ビレイ習得していない → いいよ、いいよ~!で、トップロープオンリー、もしくは、グリグリ使用

ということが、どんどん積みあがって、最終的には、クライマーのレベル低下になる、ということです。

相手の良かれ、と思ってやったことが、全然良かれではない!という結果に…(><)。

それが、マズいビレイでも受け入れる習慣ということに結果としてなります。誰でも落とされて死ぬ羽目になるのは嫌なので、登れるところしか登らないクライマーとなることになりますが、そうなると、今度は成長が止まります。登れるところしか登らないと全然成長しません(笑)。

というので、これは文化的な問題でもあるのではないか?と思い始めました。

まぁ、べアールの製品は外国製品ですけど…よろしくない習慣まで外国から輸入することもなかろうと思います。

■ 例えば運転

私は、運転を習うのに、大阪で一番厳しいと評判の都島の教習所に行きました。ので、運転はとても安全重視タイプですし、都島みたいな交通量の多いところで教習したので、怖さと言うかそういうのが違います。

一方夫は、免許が取りやすいところで受けたそうで、その上、10年以上、一度も運転しなかったためにゴールド免許。

最初にぬるま湯で、免許が取れてしまうのと、どっちが良いのでしょう???

私は、アルパインクライミングに進んだ時、これはリスクがあることをするのだから、としっかりと勉強しました…

やっぱり、しっかりとリスクに向き合うほうが、「いいよ!いいよ!」と甘えるよりも、本人にとっても良いのではないでしょうか?

そこは、甘くしては、本人のためにならないのかも?

■ エイトノット、クローブヒッチ、ムンターくらいは最低限必修

クライマーでリードクライミングに進む場合は、岩場に出る前に、エイトノット、クローブヒッチ、ムンター、くらいは覚えてから出ましょう。

危険なことをするのですから、それなりに自分で自己防衛しなくては、誰も代わりに命を守ってやることはできません。

何も知りませんでは、雪の山に、冬の靴なしで行くようなものです。

■ 結び変え(通し八の字)

この件で思い当たるのは、結び変え、です。別名通し八の字とも言います。通し八の字を知らないクライマーが外岩に行くというのも、本来控えられるべきかと思います。

■ 懸垂下降

さらに思い当たるのは、懸垂下降です。懸垂下降ができない人がクライミングに来るのも、支点に問題がある場合に懸垂で降りることができないため、クライミングの基本的な安全管理教育の欠如と見なすべきのような気がします。

他には、当然ですが、ビレイ、です。

リードクライミングは、人工壁でリード慣れしてからが良いと思います。岩場のリードは、岩場しかなかった昔と比べ、今は人工壁でカラフルなプラスチックホールドを追いかける習慣ができてしまい、ルートファインディング力が必要になっていますので、ある程度のゆとりがないと、恐怖だけが先立つ経験になってしまうかもしれません。

■ チェックされて嫌なビレイヤーはいない

奥村さんのジムでは、リード壁だけのジムでしたので、ビレイヤーのチェックがありました。

ベテラン指導者の場合、マズイビレイをしていても、若年者がそれを指摘することはしづらいという問題があり、ビレイの相互チェックの網の目をかいくぐっている可能性があります。

とくにアルパイン出身のクライマーの場合、年配の人は、スポーツクライミングを経験していないことが多く、ご本人も気が付かないで、だらりんビレイになっていることがあります。それはその方の年齢だと今さらスポーツクライミングでもないし、フリーと言っても、昔の人のフリークライミングだと、そうシビアなところは登っていなかったので、ビレイで落ちるクライマーをキャッチするという行為が想定できないのかもしれません。

そのような場合でも、第三者から、ビレイの不備を指摘されて、嫌な顔をするビレイヤーはいないと思います。

どんなクライマーも、ビレイヤーが肝心だということは、肝に銘じられているものだからです。

とはいえ、失礼に当たると良くないですから、ここは、クライミングインストラクターなどの、定評がある人に第三者的な目で、ビレイチャックをやってもらうのが良いのではないか?と思います。

初心者によくあるミスは、上の手を重視して、下の手があまりよくないことです。クライマーが登っていて、ロープ操作が待機中みたいな時は、手は、ATCの屈曲部を保持していると楽ですし、すぐにロープを出す対応もできます。