2024/05/27

【沢登り技術】沢での確保はエイト環ですよ? 祝子川事故

■ GW中の祝子川の事故

最近、祝子川で事故があったそうです。

祝子川でATCガイドによるセカンド確保で、窒息死させてしまう事故が起きました。

原因は?

  水量の多い沢

  ATCガイドのガイドモードによるセカンドの確保を使っていたこと

です。

だから、言ったでしょ!って奴でした…。

滝や滝壺、渡渉など、ATCガイドによるセカンドのビレイで、セカンドを確保すると墜落や流されたりしたときに、水流の圧力がかかり、予想以上の負荷がかかり、ATCガイドの解除が困難になります。

アホな事故だと思っています。

水流の中で途中停止するような状態を起こさない確保をするのが、沢登り講習会初日に習うことだからです。

が、そんなこと、沢登り初日に教わりますけど・・・

教えていないんですかね?

ロープに引かれるのと、水流で押される力で、そのまま水の中から脱出できず、溺れてしまうというわけです。

このブログでも何回も書いていますが… 沢ではエイト環ですよ?

これがエイト環以外でも良いシーンもあるという指摘が来ましたが、沢の確保法を紹介する記事でもないのに揚げ足取りの指摘だと思いました。正確に書けっていいますが、どこにその正確な記事ありますか?見たことない。

沢やになるための最初の講習で、普通に双方向の確保器を使うように教わりますけど?

それに祝子川のようなゴルジュを楽しみに行くのに、片方しか流せないビレイ器で行きますかね?

適切と考えられる確保の方法について、多くのクライマーの間で、私を”スケープゴート”とすることで、議論が沸騰することを希望します。

■ 岩場オンリークライマー

ショートの岩場しか教わっていないクライマーは、ゴルジュでは流さないと溺れ死ぬということとも知らない。

大事なことは、初期に沢に特化した講習会に参加することです。岩のリスクと沢のリスクではリスクは何倍も違います。

岩場では、車が横付けでき、携帯電話も入ることが多いです。

沢では、車まで、何時間か歩かねばならず、携帯電話も入りません

隔絶された場所であるというリスクが、岩場の何倍も沢ではあります。

その上、2名で行けば、たとえ故意でなくても、事故が起これば、密室殺人と結局同じことになります。

■ 受動的な対策

 ロープをいつでも切れるようにナイフを携帯し切る練習をしておくことなどです。

確かに、ロープは切ろうと思ったときは、意外に切れないもの、です。

■ ほら貝のゴルジュ

私のほら貝のゴルジュの記録はこちらですが…

https://lovelysawa.blogspot.com/2015/07/blog-post_81.html

https://lovelysawa.blogspot.com/2015/07/blog-post_28.html

沢では8環なんてあまりに当然すぎるので、書いていなかった(汗)。

このほら貝のゴルジュで、高齢の女性メンバーが急な流れのトイで流されて(女性は体重が軽いので、浮力の関係で流されやすい)、その時は、下の滝つぼまで、ロープは手放して、流しました。

そうしないと、溺れちゃいますよね。

流せば、流されてドボンとなるだけのことで、あとで同じところをみんなでウォータースライダーして遊ぶのですから、彼女だけ2回ウォータースライダーしたことになりました。

同じところを彼女が登ってもまた流されると判断したリーダーは、彼女をおぶって樋を突破しました。重たいほうが急流には、有利です。

いやホント、相方が、私と二人だけで祝子川行きたがっていましたが、

ほんとに行かなくてよかった☆


■ まずは、相手の知性レベルを判定すべし!

私の相方の場合ですが…25+35が計算できない人だったり、他の人が支点ビレイされていてもそのこと自体に気が付かないとかなので、当然のようにATCでしかビレイも知らないでしょうし、樋で流されたら、どうしたらいいか?も、おそらく知らないでしょう。

相手が岩場の講習だけしか受けていない場合は、沢のリスクについて無知である可能性が大です。そのような相手と沢に行くのは、断りましょう。

基本、無知な人って無知であること自体に無知なんです。

■ 相手の性格を判定する

相手はどういう奴か? まず、女性と二人だけで山に行くのに、初見で自分で事故やけががあった場合にどうするべきか?調べるだけの興味もなく、責任感もない相手だとしたら?

そういう性格だとすると、事故っても、下手したら

  流されるお前が悪い

という逆ギレを起こされて終わりでしょう…

全部を体力や本人の責任に還元するのが、登山界の習わしです。

体力があれば(登攀力があれば)防げる、という論調のことです。

■ 第三者に意見を求める

判断に迷う場合、第三者に判断を求めるのが、一応、オーソドックスですが、気を付けないと、、熊本の指導者、祝子川を「ボルトが整備されてスポーツルートみたいな沢」とか言って、二人で行くように言ってきたんですよねぇ…

第三者に意見を求める、というのは、山岳会の慣行ですが、意見を求める相手には、くれぐれも注意しましょう。

意見はできれば、合い見積もりと同じで、3件以上からもらったほうが確実です。

 沢には、スポーツルートみたいな沢、なんてありません。

沢にあるボルトは、いつ崩れるか分からないロシアンルーレット状態ですよ、当然。

なんせ、365日、水にさらされているんだから。

サルでもわかる。

私は、他の人の愚かさのために自分の生命を犠牲にするのはごめんだ。

参考:祝子川は水難事故多発 として挙げられている

https://www.kasen.or.jp/Portals/0/pdf_mizube/2014suinan.pdf



■ 報道でも全く反省されていない… 頓珍漢な解説しかない


https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240505/k10014440961000.html
より引用

以下の引用は、まともに聞こえるが全く的を得ていない、何も反省にも参考にもならないに等しいコメント。しかも、コメントを聞く相手が、その辺の人。

これを聞いた普通の人は、行くほうが悪い、と思うだろう。

つまり、ミスリーディングである。

行くほうが悪いと印象操作されているのだから、なんの再発予防措置も講じられないであろう。
ーーーーーーーーーーーー

熊本県から登山で訪れた40代の男性は「注意していても事故は起きる時は起きてしまいますが、事前の準備や体力など自分のことをよく知ったうえで登山に臨むことが、事故を防ぐために大切だと思います」と話していました。

ーーーーーーーーー---

この事故は、注意していて起きた事故ではなく、山を舐め、必要な技術を身につけないで行ったために犠牲者が出た、という事故です。

この女性を殺した人、一生、自分の愚かさを反省してください。 

後悔に生きる、というのが人としてあるべき姿と思いますよ…?

だれでも相手のチョンボで殺されれば、死なせた相手にそう思うだろう、当然の感想だと思います。

無知がゆえに人が人を殺してしまう…そうした自己省察がないから、これまで、このような事故が起こる、ずさんな登山者教育しか、施されていない訳です。

反省するべき人が反省することは悪いことだとは思いません。

日本の登山界は、女性レイプ事件が、レイプされる女性の側が悪いと判決されてきたのと同様に、被害者の心情に寄り添わず、加害者保護が行き過ぎている、というのが私の意見です。

https://www.mskj.or.jp/thesis/8764.html

ーーーーー他クライマーから指摘をもらいましたーーーーー

②ニュース記事の「熊本から登山に訪れた40代男性」のコメント

→この方は、事故当事者ではありません。これをもって、全く反省していないと述べるのは的を得ていません。
ーーーーーーーーーーーー

コメントが事故当時者でない、のは、そうでしょう。どこを読み間違えてそうなったんですかね?

しかも、事故当事者が反省しているかどうか、発表されなければ、どうやって分かるんですか?

事故当事者の落ち度で読み取れる範囲で言えば、なぜ危険を当然ともなう祝子川へ、たった2名で行ったのか?と思います。

なんで誰も止めてやらなかったのか? それでも仲間なんですかね?

沢登りは事故が最も多い形態の山行であり、事故がいったん起こればメンバー数が必要なことは、業界では良く知られています。

私は、適切なメンバー数が集まらない場合は山行中止にしています。特に沢など、地図を持ってこないメンバーが一人でもいた時点で、中止にすると宣言してから会山行です。

参考: 上級クライマーは現実的になりましょう。 

文登研も地に落ちていると指摘が来ました。そうかもしれませんが、群れの中の一番強いオスのいうことしか、男子は聞かないんですよ。アルファがいうことしか聞きません。

今沢屋で強いといえば、誰なんです? 大西さん? 大西さんが言えば聞くんかいな???

九州で聞き取りしたことがありますが、大西さんをはじめトップクライマーに対しては、みんなとんでもなく実力を誤解…40年前のクライミング形態で登っている…と誤解しており、その誤解に基づくと、自分だって…と思っていたりします…。

エイドで登って褒められるんですよ、九州では。トップクライマーの偉業も、あれってホント?とか言って信用していないです。

そりゃ自分を起点にしたら平気で記録を偽装するんだから、あいつだってやってるだろうとなりますよね…

なので、文登研がダメならつける薬なし感があります。

沢登りの標準教科書は出版すべきです。標準指導法もセットでつけたほうがいいです。

もっと言えば必要なのは、座学の試験だと思います。

例: 祝子川ゴルジュへ沢登り計画が持ち上がった。以下の選択肢のうち正しいものを選びなさい

1)二人だけで行く
2)ゴルジュでの確保法を確認しないで行く
3)ボルトが整備されているので、カムはもたないで行く
4)ゴルジュ経験が豊富なクライマーに安全管理上必要な措置について問い合わせる

■ 総合して…

九州では、3人目の人に相談しても、動くものに道標つけてこれで良し、ってレベルですから、明らかに沢登りだけでなく、ありとあらゆる登山形式において、リスク認知が甘く、イケイケ主義の弊害が見受けられるのが、九州の山やの一般的見解である、という経験でした。

リスクを指摘しても、大丈夫だから行ってきな、という返事しか、

バカのいっちょ覚えのようにしか、返せないのですから…

  殺されようとされている…

これは、幻想や妄想ではなく、客観的事実、です。

正しいリスク認知は、Trust Your Guts feeling です。