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2023/07/05

リスク評価ができない人が意思決定をしていること

こんな記事が来た。

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/75801?page=3

  クライミングで事故が減らない理由

は、これかも?

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 1.5~5気圧程度のインパクトがあると、戸建ての家屋なら倒壊してしまう可能性が高い。

 東北大震災など津波の折、高さ10メートルの津波が押し寄せるというのは、大気圧に加えてもう1気圧の水圧がかかるわけです。

 0.7気圧程度でも柱が折れるわけですから、鉄筋のビルなど以外、まともでいられるわけがありません。

 高さ15メートルとか30メートルという津波がどれほど恐ろしい破壊力を持つか、このような概算でも分かるはずです。

 気の利いた高校生なら小中学生に自分の手で計算させることで、水圧の恐ろしさ、風水害や爆弾の脅威から潜水病の予防まで、幅広に教えることが可能です。

 こういう理解がない人が非常に多い。

 そしてそういう人物が企業経営に携わって深海艇などを作らせたりした場合、たとえその強度試算などに目を通しても、真のリスクなど評価できるわけがありません。

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2023/01/02

現代新人を教える言葉

 ■両親への逆コーチングは偉人にアドバイスさせる

という手法を学びました。

両親=現代の新人クライマー
偉人=山のベテラン 

と置き換えると、良いかもしれません。白亜スラブを事例にしています。実際に起こったことはこちら

このようなことを起こさないためには、どういう対話が必要か?という研究です。

■ コーチング事例

現代新人クライマー=ジム上がりで、ルート経験値は少ない、ロープワークの重要性をきちんと認識していない

新人クライマー:

「こっちで、できるクライマーってアピールするには、白亜スラブ登ればいいんですよね? 敗退なしで楽勝っすよ!11のピッチが最高難度なんでしょ?俺、5.12まで登れるし!」

山のベテラン: 「敗退なし、で、ロープワークで行き詰ったらどうするんだい?君は知ってるかい?白亜スラブのボルトは、カットアンカーですでに40年経過しているんだ。つまり、ショートの時のように、迷ったらハングドッグしてボルトに頼ることはできない。オールフリーソロで登るのと同じだけの力量が必要なんだ。5.11が最高難度だとしても、ギリギリ5.11がレッドポイント出来るだけではダメなんだよ。むろん、行き詰ったら、カムエイドって手もあるが、それじゃ、フリーで登ったことにならないよね。だからこそ、ココを登ることが実力の証明になるってことなんだよ」

現代新人:「でも、スラブは10代っすよね。俺、11まで登れるし。フェイスは5.8だし」

ベテラン:「スラブの10代をボルトレスで登れるかい?フェイスも同じだよ。それにマルチピッチで時間がかかれば、夕暮れになってしまう。ロープが上がらない、なんてことが起きれば、膠着状態になってしまうが、君はセカンドと意思疎通できないときの対処法はマスターしているかい?」

新人:「レスキューは一緒にやったけど。コールが聞こえないなんてあるんですか?」

ベテラン:「あるとも。その時の想定はしているかい?」

新人:「していないです」

ベテラン:「ロープがアップしないときは想定しているかい?」

新人:「セカンドに自己確保で登ってきてもらったらいいんじゃないですかね?」

ベテラン:「君はそんなクライミングを自慢の種にしようというのかい?」

新人:「ロープがアップしないケースなんてあるんですかね?」

ベテラン:「こないだ、君、ショートでもカムの配置ミスで、岩の屈曲にロープを当ててしまい、ロープ流れていなかったじゃないか?」

新人:「え?あれってちょっと登りにくいなぁって思っただけだったんですが」

ベテラン:「それを見過ごしていると、ロープがアップされないということになるし、セカンドは自己確保で登らないといけなくなるんだよ」

こんな会話を作ったら、分かりやすくないでしょうかね?

■ 対比用 対等レベルの会話

クライマー:

「白亜スラブ行ってくれない?敗退なしで!」

ビレイヤー: 「えー、敗退なし、なんて大丈夫なんですか?前回のルートでも、ロープジャムってたし。白亜スラブでも、同じことかもしれませんよ?こないだショートでもカムでロープスタックしていましたよね?ロープ上がらなかったら、どうするんです?」

クライマー:「でも、スラブは10代だし、俺、11まで登れるし。フェイスは5.8だし、そっちは君リードできるんじゃない?」

ビレイヤー:「スラブの10代だって、けっこう大変ですよ。いくら5.8でも、確保条件が良くなければ嫌ですよ。マルチでは落ちれないってのが定番だし。ちゃんと確保してくれるなら行ってもいいですけど、敗退前提のロープ構成が無難ではないですかね?60ダブルで行きましょう」

クライマー:「え~。それじゃ自慢にならないんだよー。俺に花を持たせてくれよー」

ビレイヤー:「参ったなぁ」


 

2022/12/12

 ロープは出すべきか出さないか?の境界の判断が一番難しい

■ どこからロープを出すべきか?をテーマに登る時期

というのが、私には、しばらくありました。その基準を教わりに御坂山岳会にいた、というのが私の御坂山岳会時代です。

ある山の先輩からこのようなアドバイスをもらいました。

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ロープは出すべきか、出さないか、の境界の判断が一番難しい所です。

一番登れない、弱い人に合わせて判断すべきです。

難しいのは、簡単な所でも、ミスをしたら危ない場所をどうするかですよね。

相手によるし、パートナーがわずかでも危険と判断したら、私はロープを出します。
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■ 山岳会 会員レベル

私は、山によって、行って良い人と悪い人がいることを差別だとは思っていません。例えば、北アの積雪期は、一週間くらい吹雪で缶詰っていうのに耐えられる人は、行ったらいいと思うので…私は山をスタートした時から、すでに耐えれないので、厳冬期北アには誘いがあっても行かないです。

山岳会の入会基準というのがあり、山梨の山岳会だと、

・好天の条件の良い時の八ヶ岳の厳冬期赤岳くらいはロープなしで歩ける

でした。

以下は、この方が下さったアドバイスです。

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GWの奥穂~西穂でロープを出すようなら、来てはいけない人です。
同じく鹿島の東尾根でロープを出すのは第一岩峰と第二岩峰。
同じく明神東稜だとバットレスの岩場20メートル。
雪のルートは条件しだいで難易度が変化するので、ロープをつかうかどうかは、一概には言えません。

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■ 大事なことは 相手を基準にすること

大事なことは自分には要らなくても、相手に要れば、だすということですね。

思いやりで、つながっているようにしないと、どんどんリスクが上がって行ってしまい、死への階段、となってしまうような気がします。

大事なことは、どのような関係性で登るか?ということですね。

九州に来たら、全然 大切にされず、私の命、まったく尊重されず、ホントに嫌でした。


 


2022/10/10

独標ニアイコール根子岳

九州の人がわからずやっぽいので、掲載

〇×がついていても危険なのに、ついていないのをうろ覚えの年配の人に連れて行ってもらって自分はセカンドでリスクをとらずに行こうというのですから…。

 

ーーーー以下 FBより引用ーーーーーーーーーーーー

< 本当に危険なんです!! >
今日は独標まで登山道整備とマーキングをしに行ってきました。
独標が渋滞しているときに、ルート以外の場所を歩いてしまう人がいるのですが、ルートから外れると不安定な岩が落す可能性があり、凄く危険です。
つい先日、ルートから外れて歩いた人が大きな岩を落し、もう少しで下を歩いていた女性を直撃するところでした。
岩を崩してしまった付近が大変危険な状態になってしまったため、落石事故を防ぐため、不安定な岩は除去し、通らないように×印をつけました。
また、独標の東端にある大きな岩は、一昨年の群発地震の影響で、いつ崩れ落ちてもおかしくない状態になっています。
立入禁止の看板を設置し、ロープを張ってあるのですが、その中に入って休む人が後を絶ちません。
中には落ちそうな岩の上に乗って写真を撮り、自慢げにSNSにアップしている人までいる始末です。
今日は恐る恐る岩に近付き、ペンキで岩に直接危険を知らせる注意書きをしてきました。
あの巨大な岩が崩れ落ちたら、その近くにいる人まで巻き込む可能性もあります。
本当に危険なんです!!
( 粟 澤 )

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2022/09/25

KY(危険予知)とHHK(ヒヤリハット気づき)

 ■ 奥多摩の東京チェンソーズ

自伐型林業を勉強している中で気が付いた、

”かっこいい人たち”

です。 東京チェンソーズについてはこちら…

 

 ■ 動くものにピンクテープ事件

最近も、九州の山やの知性の低さに愕然とする出来事があり…、もう虚脱感というか…

 道の中に落ちている動くものにピンクテープ

つけて、それがおかしいと分からないみたいでした…。

それどころか?自慢話になってる…(汗)。 

赤布やピンクテープは、読図力がない登山者のためのものです。どんなに数が少ないにしても、赤布やピンクテープを頼りに歩いている限り…その人がやっている山の本質は、初心者と同じで、目印を捜すゲームです。

本当の上級者というものは、読図力があり、尾根と谷を見極めてルートファインディングができるもの、ですので、そもそもピンクテープや赤布を必要としないんですよ?

必要とした上に、そのピンクテープが…登山道上に落ちている動くものについていることに、おかしいと気が付かないなんて…(汗)。どんだけ~ってやつです。

上級者を自覚する山やなら、その場でピンクテープを動くものから外して、動かない枝などに付け替えましょう

■ 基礎教養に問題がある

昨日、精神科医の動画を見ていたら、コロナ禍で、多くの人がガセネタに踊らされているのは、

基礎教養の低さ

に原因があると言っていました。私は正直なので、ばっかじゃないの?と思ってしまいますが…それで子供のころは母に良く、「可愛くない」と言われていました…しかし、

動くものにピンクテープをつけてあるのを見ておかしいと気が付かない

どころか、自慢の種にするって山屋… それベテランって言えますか?

はぁ…って虚脱症状になりました。

読図は、オリエンテーリングの大会なども良く行われていますし、ちゃんと取り組めば大したことはないです。特に九州には大きな山がないので、尾根一つ降りる程度の読図の練習は、気軽に取り組め、失敗したとしても、大した距離を失わないはずです。

■ KY 活動

さて、話は戻りますが、KY活動というのは、危険予知活動、です。HHKというのは、ヒヤリ・ハット・きづきの略です。

林業は、非常に事故の多い活動で、指を切断するとか、良くあります。チャップスをつけていれば、動きが止まるチェーンソーより危険なのは、刈払機での下刈りです。

ちなみに、自伐型林業を実践していれば、下刈り、という作業は、ほぼ発生しません。全伐や皆伐がないためです。

しかし、搬出の関係上、列状間伐の入ったりなどの例外での植林で、下刈りが必要になることはあるかもしれませんね…

さて、リスクが多い林業で取り入れられているのが、KYとHHKです。


 

作業前に、KYで危険予知を行い、作業後にHHKでヒヤリハットを気づきにつなげる。

平たい言葉で言えば、傾向と対策、です。こういう傾向があると気が付いたら、それに対して対策する、です。

九州のベテラン山屋を自覚する男性に関する中では、

KY= 基礎教養の欠如により、根拠の希薄なことを自慢話のネタにする傾向がある

 ↓

HHK = 間違っている点を本人にしっかり指摘して分からせる 

これで愚かな自慢話が辞めばいいですが…。もっと、恐ろしいのは、若い人がこのような言動を見て、

 動くものに目印をつけるなんて愚か者のすることだと気づかず模倣

することです。 

■ 登山口の無い山 舞岳

https://stps2snwmt.blogspot.com/2020/12/blog-post_20.html

 自慢するわけではありませんが、私がいた御坂山岳会での雪山の会山行は、目印一切ないですから。初心者のころ行った八ヶ岳のバリエーション川俣尾根も、テープ一か所、尾根の別れ目だけです。

https://stps2snwmt.blogspot.com/2015/01/blog-post_22.html

2022/08/14

表層雪崩

 これは、春山、の 鎌尾根で、見かけたものです。

こんな程度の表層雪崩でも、ちゃんと見張っていないと、下の方では人を殺すだけの量がありますからね…

登り出しの気温、と、下りの気温も重要で、山頂に早くついたからと言って、そのまま、普通のピークハントのように日中の気温が高い時間帯に下り始めるようなことはしません。

アイスで氷柱を登るときも、気温が高い(氷点下にならない)時間帯は登らない、です。 

このようなリスク管理は、何年、ただ登って降りるだけの山を続けても身につかないです。

■ 厳冬期北ア

私は冬山合宿では、北アのお誘いが来ても、断っています。

北アって冬は、悪天候が続くと、一週間くらいビバークです。つまり、一週間ビバークに耐えれて死なない人だけ行っていい、という意味です。

ので、私は、せいぜい2日がビバーク限界なので、行かない。

春山なら、すでに1泊はビバーク経験があります。山岳総合センターでの講習会でのことですが(汗)。ツエルト一枚で過ごしてみました、七倉沢で。まぁ、なんとか。

中崎尾根は、ラッセル核心の尾根なので、攻略に裏技があります。

それは、正月の後半に行くことです。つまり、他パーティがラッセルした後のすでに歩きやすくなっている条件下で行くことです(笑)。

山も長くやっていると、そんな悪知恵がついて、同じ山の名前を言っても、

   最初からバンザイラッセルしたパーティ

  後からラッセル泥棒で登ったパーティ

では、実力差、歴然です。統制のとれたラッセルには、リーダーシップが必要です。

■ 価値観の倒錯

昨今の人たちは、 

最初からバンザイラッセルしたパーティ <   後からラッセル泥棒で登ったパーティ

となっており、実力がある人たちのほうが、

あいつらバカだなぁ、一番乗りで歩くなんて… 後から歩けばこんな楽なのに

なんて言われてしまう価値観になってしまっています。 これは中高年登山者にかなり顕著です。


2022/06/28

慢が課題なのでは? 私には合掌した手に見える 

 ■ 合掌vs一番になりたい

以前カイラスに登りたいという山やが、とがっているピークに立ちたいというので、私とは全く違うなぁと思ったことがありました。

岩のてっぺんに立ってヤッホーしたい!というのは、人間の根源的な、原始的な願いの一部のような気がしますが、だからと言って、その原始的=子供っぽい感情が、ありとあらゆる環境で優先されてしかるべきというのは、人間優先の傲慢な気持ちのような気がします。

その無邪気な気持ちのコントロール、抑制こそが山との駆け引きのような?

まぁ、登山の歴史は、基本的に、人間活動が、自然界を制覇、してきた歴史なので、その傲慢さを内包するのが山なのですが…。 傲慢さが一歩の限界を超えると死に至る。 

■五体投地の変形として

これは両方、ジミーチンから来た画像なのですが、この画像が心を打つのは、ジミー・チンが東洋人で、あるからかもしれないと思ったりします。

私には、ピークは合掌した手に見えるんですよね。鳳凰三山でもそう思っていました。ですので、ピークを見ているときに感じる気持ちは、征服欲、ではなく、五体投地のようなひれ伏す感覚です。

実際、山登りというか、アルパインで何に服従して登るか?というと、自然、に対する服従であり、リーダーに対する服従ではないです。そこのところを間違って山の遭難をリーダーシップの失敗にする思考法が多いですが、そうではなく、リーダーを含む全員が、山という大自然の、自然の理(ことわり)に服従し損ねた結果だと思います。

クライミングも同じで、18歳ができることが48歳にできないのは、自然のことわりなので、出来ることをできるようにやるのが自然なことで、それを48歳に強いたら、そりゃ遭難=怪我=死、するでしょう…


■ 慢


夫は運動能力という意味では、自信がないのに、いつもやるのが、
 
いきなり長距離マラソンとか
いきなり富士山、とか
いきなり白出沢から奥穂に行こうとしたり、
 
なんですが…。
 
いきなりすぎる人の心理というのは、慢、があるように思います。
 
 俺だってやれば出来るんだ、
 
と言いたいのだと思いますが、普段、運動習慣のない人がいきなり10㎞マラソンとかするから、余計くたびれて変なことになる。
 
男性だったら、何もしなくても、私よりは体力あります。普通に読図で回るゲーム性の高いナビゲーションゲームをやると、夫の方が張り切って、チームでやると私が足手まといで負けるから、各自で参加しよう、と提案が来るほど…です。
 
一方で、普段、私の山の時は、彼が足手まといで、それは、体力不足を見せびらかしているんですが、実は体力ではなく、私が行くような山は体力がいるんでしょう…というメンタルブロックだけであり、本質的には、体力の問題ではないということが分かります。
 
登山で私の成果を妬む?人もいましたが、
 
・昇仙峡で、故・吉田和正さんのビレイヤーをする、とか
・ラオスで、海外のクライマーとバンバン登る、とか
・阿弥陀北稜を初見でソロで行く、とか
・ミックスの入門ルートにセカンドで行く、とか
 
普通にベビーステップを3年程度重ねていれば、ジムグレードで5級しか登れなくて、外岩で5.9がオンサイト出来るという程度しか登攀力がなくても 出来るということです。
 
みなが、普通に リスクに向き合えば出来ること  をしてこなかっただけではないかと思います。
 
入門程度のアルパインクライミングの成果が、体力の問題ではないことは、私が証明しているような?
 
つまり、アルパインクライミングが廃れてしまったのは、心を教えそこなっているためで、最近の若者がレベルが下がったとかいうような話ではないということです。

2022/06/16

普通の人の良識のある判断を知る機会がないこと

■ 『The Alpinist』を地で行って良い人間かどうか?を自分に問いましょう

昨日は、 マークアンドレの物語を聞いて、感動したのでした。いいなぁ、アルピニズム。

私も一人で雪の山に向かう人です。でも、厳冬期甲斐駒、程度ですよ。(言っておきますけど、甲斐駒でも一応ロープ要りますからね)

しかし、私が思ったのは、

すべての男子は、「”俺は、メスナーとか、マークアンドレに続いても、よい人材なのか?”それとも、”普通の人”なのか?」ということが判断付かないのではないか?ということ

 です。

なぜなら、多くの男性は、父親不在の家の中で、息子可愛しの母親に可愛がられて育ち、自己中心性を克服する必要が起きないまま、俺のために母親は死ぬまで自己犠牲してくれるもの、母親がいなくなったら妻が自己犠牲してくれるもの、と期待したままというか、その状況のまま、大人になるわけです。

そうすると、母親は常に自分を英雄視してくれるわけで、自分が見る実力が内的には、以上に高騰しており、実力以上のことをしてしまうもののようだからです。

というわけで、解毒剤は、普通の人の普通の判断を見ることです。これが、あまり機会がないんですよね。

昨今、山岳会は高齢化で、大人の男性の適切な判断基準ということを男性でアルパインを学習中の人に示すことができないからです。

■ 普通の人の判断 

ということで、これは普通の人のまっとうな判断として、東さんの開拓エピソードです。以下引用。

ちなみに九州では、最後の1mランジみたいなのを、やって当然だ、という空気で押しています。

ジャンダルムに中高年が群がるみたいなものです。

ーーーーーーーーーーー以下引用ーーーーーーーーー太字当方ーーーーーー

服従の下降路

先の広島・帝釈峡でのマルチピッチ開拓エピソード
 

単独での開拓を試みたときです。2ピッチ懸垂下降して、テラスに着きました。
ギアを出そうとザックを降ろした瞬間、1本のクィックドローが転げ落ちそうになったのでパッとそれを掴むと、その反動でザックが100m下の谷底に落ちて行きました。私の所持品はロープ1本と下降器、それとザックを犠牲にしたクィックドロー1本だけでした。ザックの中には開拓道具・ハンマードリル・車のカギ・弁当が入っていたのです(´Д` ) 。
しばし茫然と立ち尽くしていましたが是非もありません、2ピッチ懸垂下降して谷底に着くと、ザックは湖のようなところに沈んでいました。身体にロープを結んで潜水して、ザックにロープを結んで引き上げました。クライミングに来たのに水泳も楽しめるという素敵な日です。
ただ惜しむらくは春はまだ水泳には適していないということでした。
水没したハンマードリルのバッテリーは放電してしまい、今回の開拓はこれで終了です。T_T
しかし真の冒険はここから始まったのです。(・ω・)ノ
このままつづら折れの坂道を延々登り返すのは気が重いものでした。ふと見ると緩いスロープ状のダムの放水路が目の前にあり、それは岩壁の上部まで続いていました。私はこの直登コースに魅力を感じ、濡れたザックを背負って登り始めました。 ()V
最初は岩壁を削った急斜面でした。そこを登り切ると傾斜45度くらいのコンクリートのスラブです。ガイドテニーなら苦もなく突破出来ます。しかし登るにつれて傾斜は急勾配になり、ほとんどフリーソロのクライミングになりました。そして放水口にあと数mに迫ったとき、いよいよ危険過ぎて登れなくなりました。

最後に1mくらいのランジを決めれば頂上というところでした。下を見るとザックが落ちた湖が50mくらい下に見えます。ザックを背負ったままのランジに失敗して墜落すると、最初はコンクリートの壁を滑落して、そのあと岩の露出した斜面に叩きつけられて、最後に湖にドボンです。おそらく生還出来る可能性はゼロに近いでしょう。脳裏にはさっきのザックの墜落シーンがよみがえります。1m上の頂上を見て、50m下の湖を見て・・・、さあどうする() 。

写真はシークレットギグを登る北山さんですが、その下に例の湖が見えます。ザックを落としたのもこの撮影場所からです。

ーーーーーーーーーーーーーー写真は割愛ーーーーーーーーーーーーーー

2022/01/11

九州のアルパインルート 阿蘇根子岳について vs行縢椿

 行かないことをお勧めする第一のルートが根子岳す。



本州でも、きちんと情報を持っている(つまり伝統と繋がっている)クライマーは、穂高屏風岩には行きません。群発性地震で、脆くなって以降、行かないというのが定番になっています。実は最近、山梨で一緒に登っていたこともあるクライマーが、同所で遭難して一人死亡、友人のほうは大怪我でした。同様の場所が根子岳。

以降、2名のクライマーの言葉を引用しておきます。

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最近、インドアでガンガン登れるので勘違いして外岩にでも登れるだろうという若い人が増えたようなので注意が必要ですね。

ボルダーで段が登れると自慢していた人が、県体壁のリードで5.10台でテンションを掛けるのは珍しくありません。マルチ特に本チャンになったらなおさらですね。(※ 私個人の経験からも、”5.9の外岩がリードできないのに、エイハブ船長1級は登れる”のが若い男子でした…。ボルダーのグレードをそのままリードのグレードに置き換えるのは危険です)

阿蘇の鷲ヶ峰にはうちのメンバーには行くなと言っていますが、各地の若い人が登っているのが気になります。ここは、クライミング自体は易しいですが、

自分の立っている岩自体がいつ崩壊してもおかしくない状況です。

そんなことも気にしないで登っているので昨年の根子岳での死亡事故も

「やっぱりな」と思います。

安全なクライミングを広めていきましょう。

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阿蘇の鷲ヶ峰、虎がは昔からもろくて有名でしたが、根子岳は熊本地震前は安定していて私たちも時々行っていました。熊本地震後はアプローチのヤマタガウドルートは登山禁止になっているはず(解除されたという情報は持ちません)ですし、縦走路も天狗の南面が崩壊してしまったのでその後行く事はなくなりました。縦走路は本チャン入門としては最適でした。安全面でキチンと判断+指導できるリーダーがいれば入門者の訓練とかアイゼントレーニングとかには良いところだったのではないかな?と個人的には思っています。九州には他にはそんなところはありませんし・・・


日向神の愛のエリアとか比叡山とか龍頭泉もそうですが、1本目が遠すぎるような気がします。日向神については開拓者の一人と話をしたことがありますが、ご本人も「今考えると遠すぎる気がする。今となってはルートのグレードとかの問題もあるしボルトを打ち足すこともできないしね」と言う事を言われていました。

比叡山は極端です。あれは肝試しと同じだと思います。登山初心者がジャンダルム縦走をしてドヤ顔するのとあまり変わりないんじゃないの?なんて個人的には思います。鉾岳なんて30mピン1本が当たり前みたいな打ち方です。開拓者を尊重しなければいけないことはわかりますが、それも度が過ぎると...。

山をやってきてクライミングに進んだ人と始めからクライミングしかしていない人では温度差はありますよね。アブナイ人はどっちも危ないですが、アブナイ内容はちょっと違います。

野口あきよさんがいつも言ってるように「世間の人にクライミングと言うと、アッあの危ないやつね。と言う返事が返ってくる。クライミングは安全に楽しめるスポーツだと言う事を私は世間に広めたい」・・・本当に安全に楽しめるスポーツにしなけりゃですね。

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■ 登山史、山の本を読みましょう!

山の本を読むと、阿蘇の山では死者の列が出来ています。

『九州の岳人たち』など、図書館でもいくつか出ていますので、よく読まれてみてください。(私は九州に来て一冊目に読みました)

合わせて、日本国全体のクライミングの歴史が分かる、現代登山史を読むこともお勧めします。

RCC Ⅲ級、Ⅳ級の程度の低い脆いルートで墜死し、行縢の椿のようなルートへ行くことを逃す機会損失の無意味さをかみしめてもらいたい気がします。

そもそも、現代クライマーが命をかけるべきところはそこではないよ、って意味です。

その意味が分かるには、クライミングの歴史を一通り知るしか仕方ありません。

■ 行縢 椿

2022年1月8日にフリー化されたマルチです。

ロープスケールおよそ180m、6Pのマルチピッチ

https://www.climbing-net.com/news/tsubaki_220110/

http://blog.livedoor.jp/jamminggentleman/archives/26310298.html?fbclid=IwAR3eVo37247UzgxQEmOHwNX6bqEb6BaEyDkGgWNlM4FHCThgoGQPcB_10zw

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昨年テルくんが登った行縢山の椿5.14bを全ピッチリードでRPしたそうです。

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現代アルパインクライミングのトップクライマーらは、古いOldButGoldな壁のフリー化に向かっているようですが、基盤となっているのは、5.12がスイスイ登れるレベルと確実なプロテクションであって、まだ9も登れないうちから、肝試しコースではないかもしれないです。

ちなみにOLDButGOLDは、杉野保さんの著書のことです。https://amzn.to/336d2GP

肝試し(脆さの追求)を積み上げてしまうと、論理的に考えて、人間の力は自然界の力より劣るので、どうしても、確率の問題で、大自然に命をさらわれていくことになります…つまり、脆い山をわざと登るのは、ロシアンルーレット、です。

足元の大地が大丈夫、というその根拠は何ですか? 根拠がしっかりしていることが一番大事です。

■ 山にイチかバチかはない

山にイチかバチかはない…と私は最初に教わりました。

たとえ、脆いアイスを登って、「アイガー北壁」みたいなロープになったこんなルートでも、落ちないという確実性があるから登ったのであって、イチかバチかをしたわけではありませんでした。

こちらは私の、新人時代の一本です。非常にもろい溶けたアイスを登った記録。

中津川滑沢 http://iceclmb.blogspot.com/2014/02/blog-post.html

    アイガー北壁ロープ、と冗談で言っています。雪稜用を岩用と併用するのはNGです。