2021/11/28

自分の育てられ方は、正しかったのか?

 ■ 師匠が必要かどうか?

最近、クライミングを学習するにあたって、自分の育てられ方は正しかったのだろうか?とよく考えています。

最初の師匠の鈴木さんとは、師匠が必要かどうか?でまず喧嘩しました。

私は、それまで、一人で登ってきた登山者でした。八ヶ岳の中では、ピッケルがなくても登れる最も難しい山である権現岳を登れる程度までは、独学してから、来ていました。

独学って何を?というのが、一般の人には分からないと思いますが、主に天候予測です。山には近づいてよい危険と近づいてはならない危険があります。八ヶ岳なら積雪30cmは大雪なので、雪崩の危険があり、逆にただの寒さ…-25度とかは特に問題がないです。

寒いところで、濡れた手で金属を触れば、皮膚を持って行かれますが…そういうリスクも独学済み。八ヶ岳の縦走路始め、問題が起こった時のエスケープルートも、頭に入っているという具合に、山のリスクを自分の考えでカバーする方法が頭に入っているということです。チャレンジする前に、主要な尾根と谷は知っていないといけません。

そんなの誰だって分かっている、当然だろ、と思う人は、昨今の登山者を知らないかもしれません。

山岳会に属しているような人でも…いや、属しているような人だからこそ、かもしれませんが…富士山が目の前に見えているのに、北とか言ってしまいますからね。(実際にいた高齢女性登山者)

あるいは、美濃戸と言っているのに東側の尾根に歩き始めたり…。基本的なことを抑えていない人は、ただ、誰かに連れて行ってもらっていた、という人です。

そのあと、師匠が現れたわけですが…私は当初から、ずっと一人で登っていきたいと思っていたので、師匠は要らないって思っていたんですよね。だいぶ口説かれました。

■ スポーツクライミングでムーブを習得

そのあとも、問題でした。私の当時の考えでは、

  スポーツクライミングを身に着けるべき時期

でした。積雪期登山が単独でできるようになったクライマーが次に行うべきことは、クライミングムーブの習得かなぁ…と思っていたためです。

ところが、これに師匠が猛反発したんですよね…。スポーツクライミングが、あまり身についていないのは、そのためです。

しかし、私の考えでは、師匠の反発は、間違っていたと思います。

師匠がどのように考えて、インドアクライミングは要らない、と考えたのか分かりませんが、多くのクライマーは

フリークライミングこそ、登山の基礎力の底上げ

と言います。登山の生活能力(テント泊など)、ナビゲーション能力(読図ややぶ漕ぎなど)、積雪期登山(アイゼンワークなど)と並ぶのが、フリークライミングの基礎的力、と思います。

大体、外岩グレードで、限界グレードが5.12くらいまで必要です。インドアジムだと2級が登れるくらいかな?昔の山岳会のリーダーでも、そのくらいまでは努力で到達していたもののように思います。

数あるクライミングの中ではもっとも安全であるインドアで、片手でビレイするとか、壁からものすごく離れてビレイするとか、そう言う人たちと登らないようにするのがミソかもしれません。

■ リーチの問題

これは、背が低いともっと厳しくなるので、女性の場合はもっと高度なムーブ処理能力が必要になると思われます。同じ5.9でも、背が低い人にとっては10になるので。その辺りは、一般のリーダーがほとんど男性なので、40年、50年、登っていても、リーチとプロテクションの問題は理解が及ばないかもしれません。

むしろ、シットスタートがあるボルダラーのほうが、リーチの差による難易度の変化は良く理解できるかもしれません。その辺は、個人がどれくらい女性とのクライミング経験があるか?によります。大体の人は、女性と登った経験値が皆無だったり、元アスリート選手の女性と登っているとかで、一般人にアスリートを押し付けるみたいなことになってしまっていたりで、一般登山者の普通のラインが見いだせないケースが多いと思います。

私の観察では、3年毎週登るくらいの頻度でやっていれば、普通の運動能力の人でも、外岩の10代に登れるようにはなると思います。

■ 外岩リードの問題

一般に、古い教え方だと、いきなりリードです。5.6でも、5.5でもいいからリードさせます。

私もそういう教え方で、育てられたので、会で一緒に行った先輩が、小川山で私にリードさせる課題がないので、困り果てていました。

小川山はアルパインの岩場ではなく、フリーの岩場だからです。フリーの岩場というのは、5.9から上がスタートと言うことに日本ではなっており(海外は違う)、小川山にある、5.8とか、5.7とか、苔が生えんばかりの勢いです。もしくは絶賛ランナウトしており、5.8が限界の人が登ることはできないです。

それを解説する能力がほとんどの人は欠けているので、新人は、「先週、人工壁で10Aが初めて登れました!」とか言って、小川山の10Aにチャレンジ権ができたと思ってしまいます。

先輩はやれやれ、と思って、自分が登った10Aをトップロープさせるしかないわけですが…新人の側は、リードクライミングこそ、クライミングだ、とか聞かされているので、結局、「先輩、この隣の5.5を登っていいですか?」とか聞いてくるわけです。

見るとそれはコケコケでプロテクションがハーケン…つまり、誰も登らないので、リボルトも後回しだし、登られていないからコケまみれなわけです。登らせるわけにもいかないので、先輩は後輩の意欲をそがないように考えて、しかたねえなぁと掃除しながら、ハーケンの強度をチェックしつつ登る以外なくなります。

ということなので、教える側からすると、プロテクションの確かなインドアの人工壁に1年くらい通って、プロテクションの意味だの、ロープの流れだの、逆クリップだのを覚えてくれた方がうんと楽なわけです。

一方、菊池さんの本によると、昔の新人は、一年くらいは、先輩の登攀に ”金魚の糞”だったそうです。つまり、リードはお預けで、ずっとセカンドってことです。

当然、新人には難しすぎる課題を登っていることになるので、楽しくはないようです。この学び方だと、外岩しか使わないですが、どちらかというと、クライミングはあまり上手でないクライマーが出来上がるようです。

 




一体なぜこれまで、誰も指摘しなかったのだろうか?

リボルトも教育も、ここまで放置が進んだ理由はなんだろうか?

九州に来て、自分の了見で、初めての岩場でも登るということになり、ボルトに対する知見がものすごく広がった。

とくに、2000年以降の開拓の岩場とそうでない岩場の事、つまりボルト品質のことは大きい。

いまだにカットアンカーで新規開拓をする人がいる、ということも、本州の開拓者が、

「え?!まだいるんですか!」

と驚くレベル感だということが分かった。

私はもちろん、カットアンカーがそんなに不味いボルトだということは、九州に来るまで知らなかったが…。

しかし、一体どういう理由で… これほどまでの長い時間…20~40年も…無視や放置が行われたのであろう???

ボルトに人命がかかっていることとか、ランナウトが危険であること、などは、クライマーであれば、当然、分かり切っており、新人クライマーから教わるよりも、ベテランであればあるほど、ツマラナイ見栄やちょっとした魔が差した程度のことで、クライマーが死んでしまったとかいう話は、長年やっていればいるほど見聞きしているハズだ。

そういうことを含めて、なぜ、これほどの放置や、終了点の作りのまずさ…が発生したのか?

一体これまで、誰も指摘しなかったのだろうか?

なぜ私以前に誰も指摘しなかったのだろうか?

上級クライマーだと自負する人々が…だ。

自己責任で登っていると豪語する人たちが…、だ。ボルトの見極めなど、自己責任の最たるものだからだ。

  正しいビレイヤーの立ち位置。海外の動画を見るだけでも、見れば分かる。




2021/11/27

日本には海外クライマーをもてなせる楽しい岩場がない

 ■ 日本には海外クライマーをもてなせる楽しい岩場がない

小川山も世界一怖い岩場指定されていたしなぁ…。

数年前に行った台湾で、シンガポールで普段登っているというクライマーに教えてもらいました。そのシンガポールには外岩がないのだそうで、インドアジムで鍛えたら、誰しもが、よし!次は外岩だ!=海外、となるのだそうで、シンガポール人は小川山を目指したらしく、それが間違った選択肢だったと早々に気がついたそうです。

だよなぁ…。

一般に、アウトドアクライミングのデビューはスラブからです。傾斜が寝ているので、初心者向きとされているのですが、残念ながら、ボルト間隔的にはぜんぜん初心者向きではないことが多く、多くがランナウトしており、落ちたら大怪我になってしまう。それが歴史的流れなのです。これはアメリカも同じで、ヨセミテも強烈なランナウトなのだそうです。

小川山はヨセミテを範とした岩場だから、当然ヨセミテ流。日本では花崗岩の岩場はぜんぶヨセミテ流なのではないかと思います。

■ グレードの表現

一方インドアジムの人は、5.9が一本でも登れたら、つまり限界グレードが5.9だとしても、自分のグレードを5.9と表現することが多い。

私も今登れたことがある最高グレードは11Aのオンサイト。でも、もし快適に楽しく登るとすれば、10Aとかです。私がインドアで練習するなら、11Aに取り付くべきです。落ちながら強くなるのがインドアの正義。その正義をアウトドアに持っていくと?まぁ、大怪我や事故になりますね。

この教えてくれたシンガポールの人は、日本の岩場は怖いと連発していました。比叡にも行ったそうです。

その比叡は、米澤さんによると、現代はまだましになって、以前は40mランナウトしていたところが、20mランナウトくらいに収められているそうです。

昔の人は、国の威信とか、会の威信とか背負って登っており、現代の一般社会人が楽しむ健全なスポーツとしてのクライミング、趣味となり、余暇として求めらるクライミングとは、まったく話が違ってしまっています。

■ ボルト=スポートルート

それでも、ルートに打たれているのが、ハーケンやリングボルトだったら、20mのランナウトでも、40mのランナウトでも、何の誤解も生まれないのですが…ボルトが打たれているとなると、ボルトというのは、スポートルートって意味なんですよね…。一般常識では。

自分のために打つのがハーケン。あとに続く人のために打つのがボルト。自分さえよければいいのがハーケン。公共の利益のためにあるのがボルト。

ロープが出ているのが20mで、20mランナウトしていたら、墜落したら、ロープの伸びの分で、グランドフォールします…つまり、ボルトがあっても、なんの保護の役目も果たしていない…。もしそのボルトがぽっきりと折れたり、抜けたりしても、おんなじですよね。40年前に打たれたボルトは今そんな状態です。

こんなランナウトになったのは、出来るだけボルトを打たないという正しい方針のためですが、ランナウトしていたら、ボルトの役目自体が果たせないので、いっそノーボルトのほうが正直って感じです。ボルトがあると人間は安心してしまいますが、実質はボルトがないのと同じ状態なので、結局、ボルトレスと同じです。ならロープもあってもなくても一緒ってことなので、フリーソロと同じです。

20mランナウトの岩場は、20mフリーソロの岩場として売り出すほうが、正直。

そうすると、命知らずな人しか来なくなって、誤解が減る、ってものです。

■ 趣味として楽しむクライマーに命がけは勧められない

海外クライマーに何人か友達がいますが、遊びに来たいと言われても…、困る。

バケーションで楽しくクライミングしようと思っている、ノーマルで11くらい登れ、頑張ればやっと12が届くかどうか?な人なら、もしオールラウンドに、スラブも、オーバーハングも、フェイスも、クラックも、ワイドも登れるみたいな成長をした人なら、たぶん20mフリーソロのスラブで落ちることはないと思うのですが…それは人に寄ります。

大体のクライマーは平素がインドアジム。それでやっている人に、

 20mランナウトした岩場が易しい岩場があるけど、どう?

って聞けます?しかも、ルートのピッチグレード5.7とか。

普通のクライマーなら、もっと難しいのでいいから、安全なルートのほうが好みだと思います。

一方、もし彼がスラブに経験がなく、5.7?やるやる!というような状態の人だと、逆にまだ分かっていない5.7がギリギリの人かもしれず、それで5.7でランナウトした課題に取りつかせると、ヘリが飛ぶ可能性が五分五分です。5.7のスラブをノーテンションで登るには、5.9のスラブがギリギリグレードである必要があるからです。ゆとりが必要。

ゆとりが必要、というのは、もっとも現代クライマーには理解しがたいようです。

それはクライミングを初心者がどのように学ぶか?というプロセスが変わったためで、現代は入り口がクライミングジム=落ちながら成長。

という理由で、大体、外岩リードクライミングの指導ができるレベルのオールドクライマーは、ジム上がりクライマーを嫌がります。自分の指導中に気楽に落ちて、怪我でもされたら後味悪いですよね。

■ じゃ適性ボルトの岩場はどこなの?

とか聞かれて、これも困るんです…。なぜなら、海外のように岩場ごとにボルト間隔の適否が分かれているんじゃなく、

開拓者別

なんです。日本では。しかも、トポに開拓者の名前が書いてあることが少なく、開拓者の個性も、トポには記載がないです。誰が作ったルートなら安全なのか?っていうのは、ローカルクライマーに対しての、聞き取り調査、しかなく、それでは、海外から来た人は登れない。

■ 楽しくない

クライミングは危険なので、スリルを楽しむスポーツであることは確かですが…

バンジージャンプが楽しいのは、スリルであって、本当に死ぬのではないから。

同じ理由でクライミングが楽しいのは、単に死ぬかも…というのは、見せかけであって、本当に死ぬことは想定されていないから。

どうだ!と命知らず自慢をしているクライマーだって、ホントに死ぬとは思っていないから、自慢になるわけで、ホントに死んでしまったら、ただのアホです。

ので、普通のクライミンググレード…海外のインタビューでは、基本的に5.10代を登るクライマーが25%の人口を占めており、11登る人も12登る人も、全員が成長プロセスで通る道のりが10代なので、10代でランナウトしていて落ちて死ぬかもしれない作りになっていたら、クライマー人口の半分に、”来ないで”と言っているのと同じことです。

■ 適正グレードと適正ボルトが急務

というわけで、日本のクライミングが海外で一般にクライマーが楽しんでいるような、趣味として、命を掛けずに楽しんで登れる状態になるには、

5.9なのに、実は10cとか、不適切かつ不誠実なグレードが与えられていることがない

5.9しか登れないクライマーが5.9に取り付いても死なない程度のボルト間隔になっている

の2点が必要です。5.9を例に出した要るのは、タダの便宜上です。5.11でも、5.12でも、おんなじです。

適性グレードなんて、インターネット全盛のこの時代、何人も登る人がいるので投票であっという間に決着がつきそうですが、そういう仕組みがないのでつかない。

余談ですが、一般登山でも、適性グレードの問題は根深く、簡単なロープウェイで登れる山の唐松岳の隣だからというだけの理由で、後立の山の中では難易度が高い五龍に来てしまうヨレヨレ登山者が後を絶ちませんでした…帰りは遠見尾根でこれも長くて難しい道です。

登山者もクライマーもどっこいどっこいで適性グレードではないという問題は根深いです。

海外のハイキングを求める人は、日本の山と言えば、富士山一択…。発想が貧困です。夏の富士山なんて行っても楽しくないですが、そう教えても誰も話を聞かない。行ったという事実が自慢話のネタとして帰国の折に必要だからです。故郷の人が名前を知らない山に登っても、話題にならない…。

というので、適性グレードがないのは、クライミングだけの問題ではないですが、そういう問題を一足先に飛び越えて、

グレードが適正であると、ボルトが適正であるとかはごく当然のことであるラオスの環境…

ホントに羨ましいです。日本の初級クライマーはすべからくラオスで一か月くらい登れば、アウトドアへのデビューはバッチリだと思います。






2021/11/26

今から大リーグ?

 


今日の仏教説話は、諦観、だった。

もし、おかもん先生が、「俺、今から大リーガーになる」と言ったら?そりゃ、みんな、そんなわけないと思って止めるでしょう…。

私はいつも思うのだが、43歳からクライミングしている人に、あんまりプレッシャーを掛けないでほしいなぁ…と。

”43歳からクライミング”って、”おかもん先生が大リーグ”と同じことだと思います。

そのような人が46歳で、つまりきっちり勉強すれば3年で、単独でラオスに行ってパートナーを見繕って登り、帰りに韓国のアイスに行き、ラオスで会った海外クライマーとランデブーして台湾で登って帰って来れる時代、というのが正しい時代認識観であろうと思います。

クライミング力はグレードではありません。楽しむためにはグレードはほとんどイラナイというのが正しいです。むしろ。

50代からスタートして、5.12に到達した女性クライマーの方にも、お会いしたのですが、お話では、それでも、課題を良く選んで、ということでした。

私は一生、5.9でも全然かまわないというか、エンジョイクライミングのために頑張ってきたのに、エンジョイクライミングを許可されなくて、なんだか嫌になっているんですよね。

頑張り続ける以外の選択肢を許さない社会ってヤダなぁ。

普通に楽しく趣味で登れる世界が豊かな社会だと思う。

2021/11/24

平成の登り方(笑)

 ■ 古い岳人 2000年 

に菊池(ガメラ)さんの連載記事があります。

これは、”平成”の登り方で、時代はもはや、令和、ですが… 最近のロクスノには、こういう技術連載がないですが、なぜなのでしょう?

半分以上広告だし。まぁ、みなが雑誌を買わないというのは、中身がないから買いたくない→余計買わない→余計、中身がなくなる の悪循環なのかな?

図書館で、古い岳人はすべてバックナンバーがとってあるので、その場合、この菊池さんの講習的内容の連載は役立つと思います。菊池さんはアルパイン寄りなので、北山真さんが、ヤマケイ登山シリーズの1冊として、フリークライミング、だけをまとめたものが、最新として出ているので、それを読んでも役立ちますが、無料で読める情報で、いくらでも現代では情報収集できます。

なんでこんな基礎的なこともしないのかな?



■ どのようになったら、リードへ進んでよいか?

最期のところが重要です。

そのルートで落ちてはいけないところで、絶対に落ちないで登れるだけの力があること。

これが、インドアリード、人工壁リードと外岩リードの最大の差です。

落ちてはいけないところ=核心 です。

インドアでは、核心で落ちながら登ります。落ちても落ちても、頑張るというのがインドアの論理ですが、外ではそれはほとんどのケースではできないです。大体難しいところ、ランナウトしています… ランナウト(Rつき)は、ロープが落ちても自分を守ってくれないほど、長く出てしまう、したがって落ちてはいけないって意味です。



■ 昔は一年くらいはリードを許してもらえない

そういえば、おとどしくらいに、大阪に遊びに行ったら、私がリードで登れるところも、男性で初心者の人は登ることを許可されていませんでした。青ちゃん(イケイケ路線の方です)ですら、「君はまだダメ」と彼にくぎを刺していましたので、分かっている山やは、自分がよく分かっていない相手に、いきなりリードさせない。

だから、初めましてクライミングでご一緒した福岡山の会の人が、私にいきなりマルチのリードを要求してきたときには、ビックリ仰天したのでした…。普通は、相手の技量が未知数の初対面の人に、”自分の代わりにリードして”って、ないです。特にアルパインの世界では。

フリークライミングの世界は、”建前上は”どこで落ちても死なないことになっているので、相手の申告のグレードより下であれば、「いかがですか?」という程度のいざないはあると思いますが。

なんか変なの~と思った事件でした。ちなみに私と行く人は、リードを強要されることはないです。

なにしろ、ボルトの品質が低品質で、落ちて、怪我をしたり、命があやうくなるのは、登っている側ですので、相手の合意が重要というのは、セックスの合意と同じくらい重要なことだと思いますが、九州ではそのプロセスをあんまり大事にしない伝統があるような気がします。

私はやっと自分が登りたいのに登っても良い実力がついて来て、パートナーとの合意も出来てきたところだったので、その途中で膝を脱臼したのは、とても残念でした。怪我のほうは、いまだに痛いので、あまり今もクライミングすべきではありません。

とくに外のボルダーはすべき時ではありません。

”私にとっての安全”、は、”一般体格の男性クライマーにとっての安全”とは、全く違います。






とりいそぎ、岳人に学ぶべき情報は出ているよ、という情報でした。菊池さんの記事は、アウトドアクライマー寄りです。

インドアの論理をアウトドアに持ち込まない、というのが大事なことです。つまり、すぐ落ちるのはダメって意味です。

2021/11/23

開拓するなら、誰に教えを乞うべきか?

■開拓するなら、誰に教えを乞うべきか?

日本開拓クライマー協会に載っている名前のリストとGoogle検索結果のリンクです。太字は、九州の人。

昨今、ボルダラーからロープクライミングを経ず、ビックウォールも経ず、いきなり開拓に進みたいというクライマーも当然いると思いますが…ご参考にされてください。

飯山健治、 
稲垣智洋、http://piedra.web.fc2.com/
大岩純一、
大岩あき子、
奥村晃史、
小野巳年男、
加藤道浩、
北山真、
北山厚美、
木村伸介、
木村理恵、
小山田大
斉藤宣夫、
新原孝喜、http://210.252.128.113/files/NewsDetail_4476_file.pdf
杉田守二、http://www.kibi.ne.jp/~morig-/
杉野保、
宗宮誠佑、
徳永信資、
内藤直也、
永井久雄、
中根穂高、
奈良誠之、https://www.asolo.jp.net/menu62/contents54
橋本覚、
東秀磯、
樋口義朗
平山ユージ、
保科雅則、
堀洋紀、
山本和幸 https://www.climbing-net.com/news/180118/

命を粗末にするクライマー=愛に飢えているクライマー

■今日の仏教説話

家族などを亡くした人に、生きる意味を与えてあげる方法が、ビクトール・フランクル提唱のロゴセラピーとともに、紹介されていました。

 妻に先立たれた夫 → もし順番が逆だったらどうか?

 夫を不慮の死で亡くした妻 → 夫が若死にすると知っていても、結婚したか?

涸沢岳西尾根で、講習会仲間が亡くなった時、身重の妻を置いて、のことだったので、気の毒で目も当てられませんでした。残された妻がどんな苦労をするか、父親のいない家庭の子どもが、どんな苦労をするか?自分の経験から分かるからです。

その原因が、ただ、アイゼンをつけるのが面倒だった程度の些細なこと…。特に命知らず自慢ではなくても、山では、ちょっとしたことが、文字通りの、”命取り” ですね。

九州では、シリアスな山がないので、安全に対する意識が異様と言っていいレベルで低く、5.9程度のレベルしか登れないクライマーでも命知らず自慢のイケイケが普通なようで、謙虚さのレベル感、ゼロで、それに驚かされました。自然界への畏敬の念、もほとんどゼロです。

自分の命投げやり、なクライマーが基本多数で、

 自分の命など、どうなってもいい、

という、誰が見ても明らかに、ポーズ(気取り、言ってみるだけ、いきがり)の人が多いのです。でも、誰が見ても、その真意は、

「俺を愛してくれ」「俺を見てくれ」「だれか!」

という心の叫びです、むしろ…。

そういう自らの命に意味を見出せない人に、良き意味づけを与えること…について、フランクルやブッダだったらどういうのだろうか…?と今日は思いました。

「自分が死んだとき、悲しむ人のことを考えてごらん」

ではないのだろうか…。命への尊厳、超軽いレベルの人たちばかりに九州では会いますが、なんだかなぁ…。

■ 吉田和正さん

53歳で亡くなった故・吉田和正さん(クライミングを知らない人のために言うと、超・有名クライマー)は、クライミングによって、生きる意味と戦っていた典型的なクライマーと思うが、最後は、登りたいプロジェクト…彼の場合は限界へのチャレンジという意味です…もなくなり、母親が亡くなり、愛着を持っていた迷い猫が死に、生きる意味づけを消失して、この世を去って行ったように思います。

生きる意味が見いだせなくなると、神が、もういいよ、と天に招いてくれたような、そんなろうそくの炎を吹き消すような、亡くなり方でした。

もちろん、私は彼の人生の最後の、薄皮のところを知っているだけですが…

危険なクライミングをやっても、やっても、なかなか天が自分を召し上げてくれない…、と不服な人は、それはまだやり残している人生課題があるから、だということではないかと思います。逆から言えば。

人生の大きな課題は、自分の人生に意味を見出す、です。意味を生きるのが、人生。

余談ですが、吉田さんも、母親の死よりも、ペットロスに痛みを感じておられました。猫がなくなったことの方がダメージ大きかったよなぁ…。

愛着というのは、色々です。喪失の痛みを恐れて、そもそも、愛着を持つことを嫌がる人もいますが、それこそ、いくじなし、のすることですね。

クライマーは、クライミングではイケイケを気取っていても、実は人やもの、ペットなどとの愛着関係を築く勇気がないだけ=意気地なし、の人が多いので気を付けましょう。

モノ言わぬ岩を恋人にしたい、というのは、現実世界からの逃避行動であるようです。


2021/11/22

山岳同人フランベのススメ

注:この記事が余りに人気なので、心配になってきましたが、女性で普通の体力能力の人には不向きの可能性があります。女性でもリスク自慢のイケイケタイプの方は大丈夫と思います。

参考: https://allnevery.blogspot.com/2021/08/blog-post_21.html

■ 山岳会が機能していない

一般に、テクニカルなルートを登りたいアルパインのクライマーは、パートナーが必要なので、引っ越して来たら、まず最初に山岳会をチェックするものと思います。

私も同様でしたが、現代は、中高年登山全盛期で、ロープを出す登山をする山岳会は少なく、またロープを出す登山には知識だけではなく、体力がいるので、高齢化で、”今の力で行ける山に行く”という方針にすると、”初級ルート止まり”というのが、大体の現状です。

私も、福岡山の会、ムーブ、想山会、など色々な会を試しましたが、どこの会も高齢化でダメでした。しかも、教え方が40年前のものなので、山岳会ではなく、大学山岳部を前提にしており、その大学山岳部における新人像は、18歳男子、です。これが、現代の新人とは、いかにかけ離れた新人像であるか、なかなか、教える側は分からず、教え方が悪いというよりは、新人が能力低下していると考える傾向にあるようです。

その上、過去40年の間に起きた山の世界での技術進化は目覚ましいのにも関わらず、その進化をフォローしていた指導者クラスの人は皆無なようで、いまだに支点ビレイ、座ったままのビレイ、壁から離れたビレイ、ATCなのにグリップビレイ、などが当然視されています。



 

初めて教わる人はこれが間違った行為だとは、もちろん、分からないので、間違った技術が再生産されることになっているかもしれません。

が、それとなく書籍を読んで、あやまりを正しているのが、賢いクライマー連中のやり方だと思います。年配者に言っても、「俺はそうしてきた、そして死んでいない」(つまり、成功しているから、変える気はない)と言われてしまいますし…。

昨今の日本社会が行き詰まりを見せているにもかかわらず、経済の構造を変える気がない政治家と同じ論理に陥っています。最後は余談でしたが…。

■ フランベ

そのような中では、同人ではありますが、フランベ、はおススメできる会です。

会の山本君は、ムーブの高田さんに初期指導を受けたクライマーだそうですが、初めての人工壁の時、1ピン目ではしゃがんでロープを短く出してくれ、好感が持てるビレイでした。

ロクスノに雌鉾の大滝の登攀が出ているので、気後れして、”おれなんかが行っても”とかいう男子が多数ですが、別に雌鉾岳は、世紀の大記録でもなんでもありません。ルートグレードなどを昨今の人は理解できないから、すごいと思うだけです。アイスでは90度以下の寝ている傾斜は初心者でも登れる難易度です。

 これは55m相沢を登っている私です。初心者でも登れるというのが信じられるでしょう?

同じ時に二口渓谷の歴史に残るアイスクライミングの登攀がロクスノに出ましたが、こちらは女性のアイスクライマーでワールドカップにも出た石原さんの記録で、ホントにすごい記録です。”6級”つまり、傾斜が90度以上あるアイスピラーです。ピラー(氷柱)になってからが、いわゆるフリークライミング的な技術困難度になるレベルです。しかも、寝ている氷より、圧倒的に壊れやすいです…。しかし、石原さんの記録、2行。

つまり、ロクスノがどれくらい、クライミングに疎くなってしまっているか?という現れでしかありません。残念な現象です。

ちゃんとクライミングが分かる人、編集室にいないんですね…

■ 同人

話がそれましたが、普通にフリークライミングを平素はやりながら、季節季節の折り目には、マルチのルートで頂上を目指したい、チャレンジを積み上げていきたい、と考える、一般的な年齢の人に残されている山岳会は、九州では、フランベ一択ではないかと思います。

他は、高齢化してしまい、ハイキングしかしない会になっています。樋口先生のところ以外は、ぜんぶ、技術内容がセピア色です。

技術がないと、外ボルダーからステップアップ不可能。まずはスポーツクライミングをマスターするのが次なるステップなので、廣瀬さんのやっている教室も悪くないと思います。

他はいきなり、トップクラスのエリートクライマーを育成している樋口先生のところしか行くところがありません。

同人というのは、技術をすでに分かっていて、仲間が欲しい人が行くところ、であり、技術講習が必要な人が行くところではないです。

なので、「教えてくれない」などの 〇〇してくれない系の人が行くと、待っていても何も起こりません。

知っていて当然、というのが前提。

ですが、昨今、クライマー向けの技術書は充実してきており、笹倉さんの本や、新しくなった北山真さんの本など、普通に読んで来れば、ある程度の話は通じる状態になっているハズで、その程度の自己責任も負えない…カタカナが多くて覚えられないとか、ロープワークが難しいとか文句を言うようでは、その人はそもそもクライミングに適性がない。クライミングは海外から来たものなので、カタカナが多いのは当然ですし、ロープを使うのは安全のためです。生半可な知識でいいという甘えがあるようでは…屍を増やすことになります…。

とは言っても、昨今、ロープが出る山をする人の人数は少なく、どんな人でも歓迎される傾向にあるので、チャンスと言えばチャンスです。

山本君たちも心が広いな~と、後輩の誰くんだっけ?忘れちゃったけど、辛抱強くビレイしてやっている様子を見て思いました。

私の山梨アルパイン時代(つまり、初心者)からの先輩(と言っても年下男子だけど)の荒木さんも、65歳以降でボルダラーからリードクライマーに転身を希望しているクライマーのビレイを辛抱強くしてやっていました。

男性同士は、ある程度分かっていない奴、と思っても、”俺も分かっていなかったからなぁ”と自分を顧みることで、相手の分からなさ、を許せるのではないかと思います。

たとえば、自分のロープを持ってこないで人のロープを当てにしてくるとか。(通常、自分のロープをリード用に用意します。そういうプロセスで道具の使い方を覚えます)

一般に、年を取って歩けなくなり、怪我に弱い体になってきたら、フリークライミングへ進む、というのがアルパインのクライマーの順当な成長路線と言われています。

若い間はアルパインで遊びましょう… 

ワールドカッパーから直接指導を受けれるドライは今おススメ!これは岩根です。


死という現実から現実逃避している日本のクライミング界

■ 毎日おかもん先生の仏教説話を聞く

これは、おかもん先生のサイトから (https://bukkyouwakaru.com/dic/s105.html?fbclid=IwAR3ktLXLObAZR9jDuNjZyG6dGeQ4QpIfFXQf5BlPvKYOEPQzHUiokt6ATDU)

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白骨とは他人の死を見聞きしたときの驚き

次に仏説譬喩経の人間の実相のたとえ話に出てくる白骨とは何を例えているのでしょうか。

旅人は白骨を見つけて、ドキッと驚きました。白骨を拾ったときの驚きとは他人の死を見たり聞いたりしたときの驚きをたとえているのです。

レビや、新聞を見ると毎日のようにどこかで誰かが亡くなったことが報道されています。災害で、事故で、事件で、病気で、いろんなの訃報が報道されない日はないといってもいいでしょう。

★ここが問題です、クライマーの死亡や事故事例が検証されていない。ロクスノにもフリーファンにも、検証が掲載されない。事故や死はなかったことのようにスルーされている。

ショッキングな事件や事故で誰かが亡くなったことを聞くと私たちはドキッとします。通ったことがあるトンネルが落盤して数名の方が亡くなったと聞くと、「ああ、あのトンネル通ったことがある、自分だったらどうしよう」とぞっとします。近所の知人が突然亡くなったと聞くと「えっ、まさかあの人が・・人間の命ってわからないものですね」とドキッとします。

このように私たちは、思いがけない訃報や身近な人の死にふれたときに驚いたりびっくりしたりしますがこの驚きを白骨を見たときの驚きにたとえているのです。


私たちは白骨の野原を歩いている

では、私たちの足元にはいったいどれだけの白骨が散らばっているのでしょうか?世界中では1秒間に17名の方が亡くなっていると聞いたことがあります。この日本では約20秒に1人の方が亡くなっているそうです。

一日に直すと、世界では 15万人の方が日本では 3千3百人が亡くなっています。まさに雨露のように人の命は消えているのです。

私たちの足元には無数の白骨が散らばり白骨の野原を歩いているのが私たちということでしょう。

ところが私たちは、他人の死を見たり聞いたりしても他人事、他人事、と聞き流してしまい、やがて必ず自分にやってくることだということを忘れてしまっているのです

★ クライミング界では、忘れるというより、最初から、命知らずを自慢するような本末転倒になっているのは、子供が赤ちゃん返りをして、親の注目を引こうとする心理と同じになってしまっているからであるようだ。

トンネル事故を聞くと驚きますが各地の補修工事をしたそうだから滅多なことはないだろうと安心したり近所の人の訃報を聞いても、あの人は、お酒やたばこばかり飲んでいたからな自分は健康に気を付けているから大丈夫だろうとなんくせつけて、自分とは関係ことにして目を背けていないでしょうか。

白骨を見つたときは、驚いた旅人も、次第に慣れて平然と、白骨の野原を歩くようになりました。その旅人の前に、突如、唸り声とともに現れたのが餓えに狂った獰猛な虎なのです。

この虎は何をたとえているのでしょうか?

これは、私たちに必ず訪れる死という現実なのです。

誰もが死にたくありません。そして、死から目を背けて生きています。しかし、誰もが必ず死んでいかねばなりません。死と向き合ったときに本当の意味で生きるとは何なのかが問われるのではないでしょうか。

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★はクライミング業界の問題点です。毎年、一記事くらいは、大きな事故が起きているので、事故の検証を掲載するべきでしょう。

ランナウト王子で知られる佐藤祐介さんですら、事故に遭っていましたよ。

2021/11/21

ロープは覚えることが多すぎて俺には無理

 ■4歳児

日本国外では4歳児だってロープクライミングしている現代…

国内ボルダラーの言い分は…?

「ロープは覚えることが多すぎて俺には無理」






■ ボルダラーにはロープ技術は要らない?

 ボルダーの開拓。やっぱ、はしごとトップロープフィックスでの試登技術は必要ですね。

■ あれ?行縢。今開拓中?マルボーさん。





素直さ=向き合い力 

 フェイスブックは、過去の同日の記録を色々とお知らせして来る機能が付いている。

そこで、過去の今日、11月21日から考察。

■8年前 燕山荘からのお知らせ

 

トレースがないと歩けない=危険=読図力を付けよう、と発想した。
読図で歩けるようになるのに3年かかったが、取り組んでみたら、あっという間にマスターした感があった。今は山が怖いところではないので、大きな自信につながった。

自信がない人は読図をやるのがおススメ。

■ 同じく8年前 ユースケさんにジムで会う

ピラニアのリード壁に登りに行ったら、ハーネスを忘れており、残念…と思ったら、貸してくれる人がおり、その人がたまたま世界的なクライマーだった、ということで、後で、ジムのお兄さんに、あの人は佐藤祐介だよ、と教えてもらった。

その教えてくれた人も、室井登喜男さんという、日本のボルダリング界の創始者みたいな人だった。

これが、甲府で与えられる一般市民クラスのクライミング入門者への環境で、福岡にきたら、クライミングジムに行っても、、クライマーがやっていないジムばかりで、何の良き影響も受けられない。

重たい荷を背負って5.8を行ったり来たりしているクライマーを目撃することほど、未来のアルパインクライマーにとって刺激になることはないのではないか?といまだに思う。

この後、小瀬の人工壁で、ザックを背負って登ってみたが、えらいくたびれた。別物って感じだった。普通のフリーがいかに快適クライミングか、よく分かった。

後の事だが、室井さんに5級で登れない課題の登り方を訪ねたら、あっさり違うホールドを指定してきて、なんだと思った。ジムの課題で固執する必要はないらしい。

すごい人から直接教わるメリットは、当人が、自分のすごさのアピールに力を使っておらず、相手のメンツを立てるとか、相手をほめちぎるとか、めんどくさいことをしなくて良いことである。





■ 雨宮さんの投稿 追悼号を読みまくる

雨宮さんからのアドバイス=追悼号を読みまくる

私もフリーファンが来たら、ボルダリングでも、過去の事故例を先に読んでいる。

追悼号、というのは、知らなかったが…追悼号の中で、事故事例を深く検証している事例を目にしたことがない。

ボルダリングでは事故が多いが、追悼記事、にはならない事例が多い。

怪我止まりということだが… 

その場合、追悼号が出るよりも、さらに事故に対する反省は生まれにくい土壌にあると思われる。




言われたことをすぐにやる、というのが、素直な性格。素直な性格に恵まれるというのも、死なないコツの一つかもしれない。

ボルダリング=豊かさの表れ

■ 13kg、52歳、75kg

13kgかぁ…。苗の重さである。植林するには当然苗を担ぐ必要があるんだが…その重さが13kgであるそうで、その重さにあえいでいるそうだ。

しかし…13kgって、普通の登山道レベルの縦走で、コースタイムが変わるレベルの重さではないんだよなぁ…。たしかに13kgが重たいと感じる登山者もいるが、それは65歳以降のおばあちゃん登山者。あとは、メタボで、何もしないでも13kg担いでいる状態のおじさん登山者が+13kg担ぐと合計は26kgになり、重たくなる。

それでも、13kgはあまり重くない。オーバーハングのクライミングをすると重いと思うが…植林地の傾斜、ハングではなかったような…。というので、13kgでへばっていると言われて、狐につままれたような気がする。

一般に、女性25kg、男性30kgを担いで、丹沢の大倉尾根を3時間で登れる、というのが、テクニカルなルートに進んでも、まぁ大事に至らないだろうと目される体力です。それ以下だと、行くとアブナイ。最低限の体力がないということだからだ。

■ 体力がないと自己申告する男性クライマー

一般的な女性より、何もしない状態で体力がある男性が、13kg重い!と自己PRする場合、その真意というのは、どこにあるのだろうか?と思う。

そこをセールスポイントにしたくない、ということかなぁ。いつか、14,5歳の男子にクライミングを教える機会があったが、モノを持ちたがらない、ザックもロープも重たいものを母親に持たせて、母親を家来扱いしている男子が目についた。お母さんが息子の跡を追ってウロウロと息子に必要なものを持ってやっているが、息子の方は空荷で先を歩いているので、母親がくたびれて伸びているのに気がつかない。そもそも、自分のことに精いっぱいで周りのことに目が行かないのが男の子だからなぁ…。

その延長にあるのかもしれない…自分が快適なのが先という感じかもなぁ。自分がその集団の中でどのような立場を占めるのか、見えていない。

若い男子は自分が集団の中で強者だということに気がついていない。ずっと子供気分…つまり、弱者気分、で、自分が父親や母親よりも力持ちであることに、なかなか気づけない。

それは50歳を超えても、そうなのかもしれない。

■ 豊かな社会

体力が余ればそれを使い切ることが快楽になるので、オフィスでパソコンとにらめっこするだけの体力不要の仕事が増えた今、ハードなスポーツを趣味とする人が増えた。トレランもそうだし、ボルダリングも同じだ。

むかしは、トレランで走らなくても、駄賃つきで本当に仕事として、山を走っていたので、趣味に費やす体力は残っていなかったであろう。

というので、パワーを使い切る方角が、仕事から趣味に転じたということは、豊かな社会の一つの表れだろう、と思う。

仕事でオールアウトすることがなければ、趣味でオールアウトしたい、と思うだろうと。

それは生物の掟のように思う。能力を使い切りたいということだ。

そういう意味で、ボルダリングブームは、社会の流れ、豊かさの表れだと思う。

裕である社会に感謝できる、ということが大事な視点かもしれない。

岩を登るのはタダだが、第三世界でただで岩を登って遊んでいる人はいない…。

みんな、岩を登るみたいな無益な行為をしなくても、お金になる有益な行為で力を使い切っているからだ。


2021/11/19

アメリカアクセスファンドの求人

 林業でチェーンソーを使うときに使うメットですね。



2021/11/18

日本に健全な市民クライミングをもたらす

 ■ご縁

私はいつも不思議なご縁に導かれているのですが…今回の日之影との出会いのことは思ってもいなかったことでした。

私は、”日本に健全な市民クライミングをもたらす”ということをミッションにしています。

というのは、クライミングをスタートしてすぐ、無謀な行為で亡くなる友人が3人もいたからです。 私は弟を亡くしており(当時24歳)、そのことが後を引いています。

今回の延岡研修での、林業の講師は素晴らしい人でした。チェーンソーを使う=危険なことをする、のだから、より注意する、より心して基本に立ち返って自己反省する、という姿勢が素晴らしかった。

一般にクライマー、とくに西洋ではなく、東洋のクライマーは、命知らず自慢、というのをやってしまうのです。どうも東洋に強い伝統のようで、男性の自尊心の問題のような気がします。

そんなことをしていたら、自然界の力は圧倒的なので、すぐに人間の側が負けてしまいます。

私は、ほかの人が登る機会がないような、一流クライマーとも登ってきましたが、一流の人は、みなチェーンソー講師ようなタイプで、命知らず自慢とか、金がないという言い訳で、安全対策を怠る人はいない感じでした。

たとえ、その日暮らしで食費を削っても、ちゃんと安全対策は怠らない、それがクライマーの務めだというタイプの人が一流になって生き残っており、そうでない人は死んでしまうのでした。

それを目撃できるというのも、女性だから、で、若い男性クライマーは、なかなか一流の人と一緒に登り、思想の影響を受ける機会が与えられません。機会があっても委縮してしまい、出てこないです。

今回は、私は延岡に参加したいと思ったのは、椎葉村移住があったからです。長崎大村の仲間への情報共有も必要でしたが、大村は大村の道を発見しないといけません。

私が延岡で研修することになったのは、日之影との出会いのためだったのだなぁ…。椎葉村のことがなかったら、延岡研修に出ることはなかったでしょう… 

あるクライマーの強い思いが、私という存在を引き寄せたのかなぁと思ったりします。

今年の夏は茨城県の若いクライマーが私のところに来て一緒に登っていました。リボルト職人になるための修行です。昨今、クライミング技術…ロープワークのことですが、を教える上級クライマーがみな引退してしまっていません。私は珍しく暇人で教えることが可能なので、よく後輩指導をしています。

指導するばかりで得るものがなく、経費も掛かり、損だなぁといつも思っていますが、私の年齢の男性は働き盛りで忙しく手間が出せない。いきおい、私のところにしわ寄せが来ます。

ボルダーであっても、もし開拓に進んだり、クライマーとしてステップアップしたいと思ったら、私が知っているようなクライミング技術を知らないと、伸びることができません。それで私との出会いがもたらされたのかなぁと思っています。

魔が差したような椎葉移住のアイディアはこういうわけで必要だったのだ、この出会いに必要だったのだと思うと、自分の人生は、自分で動かしているようでそうではないということを思い知らされます。

ボルダーでクラッシュパッドを使っていないクライマーは、お金がないということを言い訳にします。が、登りたい人が、登るための安全にかかわる費用をケチるというのは、非常識であり、とても褒められたことではありません。

一方、クライミングの歴史では、クラッシュパッドなしクライマーが賞賛されてきた歴史があります。しかし、それはトップクラスの実力があってのことです。子供のころから登ってきたクライマーのような。トップクラスの登攀力に裏付けされてやっていることを、その裏付けがない、大人から開始した一般クライマーがやることには、疑問を感じます。

この問題解決には、町が一般のクライマー向けにクラッシュパッドの貸し出しを行ってあげるのが良いのではないか?と思います。昨今、若い人は貧乏なのです…

ちなみに瑞牆山という日本中からクライマーが集まる聖地では、クラッシュパッドの貸し出しがあります。

https://rental.climbers.network/

こちらは、小山田大さんのマットに関する方針が分かる、私の記事です。2枚めの写真をご覧ください。

https://allnevery.blogspot.com/2021/11/blog-post_96.html

ノーマットは許されないとあります。つまり、ーマットは、エリートにのみ許された特権なのです。エリートになってからやるのとなる前にやるのでは、意味が違います。

一般に、実力をあげるには、4級を100本、3級を80本、2級を50本、1級を30本、1段を10本、そしてやっと2段が1本登れる、というのが、一応クライミングのセオリーです。それで分厚い安全マージンを作らされます。

2000年の菊池さんの記事によれば、山岳会に入っても1年くらいはリードさせてもらえないというのが定石だったようです。(ちなみに私は入って1カ月、岩をスタートして3か月でリードさせられています。怖かったです。ただ山梨の岩場のボルトは九州のような状態ではなく、ランナウトも常識の範囲内です)

普通は、私のように師匠がいた人は、大量の基礎練習をさせられ、そのプロセスで安全管理の方法を学びます。

一般クライマーの場合、そういう王道と言われている基礎練習がないまま…(ジムの練習は外でないのでリスク管理は学べない)ですので、そのような状態でそのまま進むと、

・基礎力の不足で、指を壊したり、
・コントロールされていない墜落でクラッシュパッドがないため、怪我をしたり、
・あるいは、単純に思い切った練習ができないので、力が付かず悶々とし続けて年齢が上がり、時間切れ、となる可能性

もあります。怪我がないように祈っていますが…。

というのが若いクライマーの一般的な状態です。

今、林業に向かっている若い男性が増えたのは、林業というハードボイルドな世界から、リスクに対する良き姿勢を学ぶためではないか?と想像しています。

クライミングの師匠は、九州内には見出しづらいです。小山田さんを指導された米澤先生は、もう70代後半です。他に柏木さんもご健在ですが、水俣です。

九州の一流のクライマーは、全員九州の外に出てしまって…誰かの影響を受けることが困難です。

例えば、山梨であれば、現代のトップアルパインクライマー佐藤祐介の様子をクライミングジムに行くだけでも見ることができ、稀代のボルダラー室井登喜男さんの指導をジムに行けば受けることができますが、九州には、そういう影響を受ける機会がありません。

つまり、思想を学ぶ機会にも、恵まれていないかもしれません。

九州で、ボルダリングでの安全管理の方法論が発達していないのは、たぶん、そのような事情ではないか?と思います。

もっと言えば、大事なのは、クライミング技術を教わるプロセスで、命知らず自慢ではない姿勢を身に着ける、ということのほうです。

本州であっても、クライマー男子は誰もが怪我をしたのちに学ぶ系です。怪我ならいいのですが、死んでしまう人もたまにいます。

2021/11/16

オーバーハングの時代 ドライのルート図

  ■ 日本のクライミングの遅れ


を また指摘してしまうようだが、

日本にはドライのルート図集は、まだない。

時代は石灰岩クライミングになったのは、ずっと昔みたいなんだが…

日本では40年前の価値観のままだ。

被っているほうが安全で楽しい。

D9とか、M9-とか、さすがに登れる人誰?みたいな高難度ではあるが、

M7なら登れる男性はいそうだし、

W6やD6だったら、私でも視野に入るグレードである。

ちなみにこの画像は、韓国に行ったときに同じゲストハウスに泊ったアイスのワールドカッパー選手からもらった。

アルパインをやっている人で、ドライツーリングをやる人は少ないが…ドライはどちらかと言えば、コンペ寄りの競技向けクライミングなので…

しかし、昨今の若者は、中・高部活→競技クライミング→ジムのお兄さん→選手という流れなので、その選手から 外岩となるコースとしては、現在ではドライのルートが最終終着駅になるはずだ。インドアクライミングで足踏みするなら、アダム・オンドラ君と同じコースをたどるべきだが…彼が圧倒的にすごすぎて遠く及ばないのではないだろうか。

九州ではアックスを使うクライミングは、やる人が本州の輪にかけてすくないとは思うが…お隣韓国に近いお国柄、有利な立地ではあると思う。





2021/11/15

開拓クライマー向けのロープワーク

■ 開拓クライマー向けのロープワーク

最近は、ボルダラーからいきなりボルダーの開拓へ進むクライマーもいると思います。

その場合、必要なロープワーク知識は何か?ということを、私の理解できる範囲でまとめておきます。

過不足があるかと思いますが、その場合、お気づきの方からご連絡いただけると幸甚です。

■ 知識編

地権者より、開拓許可を取る。何はなくとも、この許可がないと、岩に触ることすらできません。こちらの画像が参考になる手順です。


■ アプローチ整備

道を作ることです。

■ 岩の掃除

岩の掃除は、

 ・脚立に乗る
 ・ロープにぶら下がる

の二つがあります。ロープにぶら下がること自体は、確保器一つで可能です。結び目を作っておけば、それより下にロープが流れることがないので。ただし、利便性のためにグリグリを使う人が多いです。

また、ぶら下がる支点の強度や、片方を引き抜いたらロープが引っこ抜けることがないよう、支点でロープを殺すこと、あるいは、ロープの振られ止めの設置などに注意が必要です。

しかし、常識的な範囲でのことだと思います。

グリグリ以外でも、マイクロトラクション、ロープクランプ、ユマールなど、一方向にしか動かないタイプのギアが使えますが、グリグリは下降もできるのがメリットです。

■ 支点の強度

強固な支点というのは、25kN以上の耐荷重があることを昨今は意味します。

冗長性…はどのような場合でも有効な安全策です。2個、支点を作るという意味です。

ぶら下がるロープ自体も2本にぶら下がる人もいます。

■ 登ったり降りたりを繰り返す場合

グリグリ以外に、プーリー付きのアッセンダーがあると大変便利で楽です。

■ まとめ

最低限の道具は… そう大きくない場合、

 コケ落とし用 金ブラシ
 はしご

小さいボルダーならこれで大丈夫です。

大きなボルダーになると…はしごで届かないケースが出てくるので、ロープにぶら下がりたくなるかもしれません。

そうなると、
 
 ハーネス
 ロープ
 グリグリ
 振られ止めに使用する何か
 ロープがこすられて切断される可能性がある場合は、ロープを守るための敷物
 プーリー付きアッセンダー

などが、追加で必要になります。

■ ノーマットは許されない


一般公開する場合は、ノーマットは安全上ありえないので、ノーマットにこだわる場合は、公開しないで、自分だけで楽しむのが良いのかもしれません。

公開しないにしても、苔落としは必要になり、ロープワーク技術は必要になってくるように思います。 




九州にも豊富な基礎講習を

■豊富な基礎講習

 こちらは関西のとあるジムでの講習のお知らせ


■ 山岳総合センター

私がいた山梨県もクライミングは盛んでしたが、教えてくれる講習会は年に一回のレベルで、しかも、引退した山岳会の年配の人がやっているので、技術内容が古く、あまり参考になりませんでした。

それで、結局、大町の山岳総合センターまで通うことにしましたが…。通ってその後、山岳会に入ったので、教わることはほとんどない状態で入会したので…

一般に、山岳総合センターの機能の代替えは、プロのガイド資格を持ったプロガイドが、公的機関である山岳総合センターの料金よりも、少々高いくらいでもやっているのが、東京・大阪都市部だと思います。

名古屋、札幌、福岡、あたりもこれに続く流れになれば…と思います。プロガイドはいそうなのに、やっていないんですよね。なんでなのかな?

プロガイドと言ってもガイドの資格だけの人はトップロープで登らせて、支点構築も、自分で登れるようになるためのあれやこれやも教えませんので…フリークライミングインストラクター協会の資格保持者が良いと思います。

■ 指導者も困っている

これは、ある九州の指導者の方のお言葉です。私も激しく同意します。

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リードのジムもですが、私にとっては、これらのきめ細かな多くの講習が羨ましい。

人口壁で事前講習を受けて、外に出る。

半分、いや、1/3でもいいので、このような講習をセットでできるジムがあればですね。

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■ 無知の害が顕著

こういう講習があれば、リードクライマー2名を一括でビレイしようとするオールドクライマーの様子が、ありえないビレイであることを理解できる初心者が増えるに違いありません。

年配の方もですが、若年者の方も勉強不足が著しいです… どっちもどっちになっている。

■ 使命

私は自分の意思で山梨に行ったわけではなく、登山をするようになったのは苦肉の策でした…。ので、登山からクライミングへステップアップしなくてはならなくなったときも、自らクライミングがしたい!というよりは、みんなにしなさいと言われるし…と仕方なく。

それでもなぜか、クライミングが楽しくなり、クラックでは吉田さんに出会ったり、自分のノリで飛び出した海外のクライミングではラオスに行ったり、ラオスで仲良くなったカナダ人クライマーと台湾に登りに行ったり、と一花咲かせることができました。

それもこれも、どうしてこういうことになったのか?というと、

伝達する、

という使命があったから、ではないかと最近思っているところです。

私のような遅くに始めた人でも出来るのですから、若い人はどんどん海外に出て登ってきてほしいと思います。




2021/11/14

岩場整備の資金源

■新しい仕組みのニーズ

日本のフリークライミング協会の仕組みでは、岩場は整備が進まず、うまく行っているとは言えないようだ。

台湾の岩場龍洞では、クライミングインストラクターのQXが整備や見回り、リボルトも含めやっており、ビールを飲めばリボルト基金になる、コーヒーを飲めばリボルト基金になる、ということで、とてもうまく行っている仕組みと思われた。ささやかなお金だから進んで出すし、端数が出た小銭も重いの、嫌だから入れちゃう。イラナイモノを出すのだから、あまり負担にもならない。

ラオスは、ゲストハウスを運営して、その営利資金から岩場の整備費用が出たということだろう。地域の観光資源にもなっており、地域にお金を落としているので、地域貢献企業ともいえる。たくさんの外国人を集めている。

台湾と同じことで、旅行中でイラナイモノはみんなが置いていくので、置いて行ってもらったもので、ほかの訪問者が成り立つという仕組みらしい。2度目に行ったら、余暇に読む本が増えていたり、ゲームが置いてあったりした。ヨガマット、私のは置いてきた。

ので、日本の岩場でも新しい仕組みを考えたほうがいいのではないだろうか?

庵はたぶん、先行事例何だろうと思う。

2021/11/13

ボルダーとロープ

このような投稿が回ってきました。

ボルダラーでもロープが使える技術があると、より安全に登れる、という事例として紹介させていただきたいと思います。



命知らずで知られる方です…

ランナウト王子って呼ばれていたよなぁ…

たしか、5.12をフリーソロしていらっしゃりましたが…。

命知らずをPRすることが、いつの間にか自己目的になってしまうと、安全なクライミングができなくなってしまいます…。

クライミングはあくまで遊びですから、命がけではなく、安全に楽しみましょう。

朗報・どんどん更新が進んでいる40年前のカットアンカー

■ 北海道ではクラファンでリボルト資金調達


https://readyfor.jp/projects/tamaru?fbclid=IwAR1fXA4raFA3Jerqig8ymfwzhdEEHbZVrqUKAGJ49DjX3AtsxuBKm7oDyU8

■ 九州では個人口座




■ 劣化ボルトの様子

以下のものは北海道のものですが…九州も大して変わらないレベル感…。カットアンカーです…。

こんなものを うかつに信頼して、バンバン落ちながら登っていたとは…(汗)

本当に無知とは恐ろしいものです…。

■ 25kN

新規設置ボルトでなら、カットアンカーを使って良い、という誤解が根強くある
ようですが、新規設置のボルトでも、カットアンカーは時代の要請にこたえる強度があるボルトではありません…。 25kNが世界的に岩場のスポートルートに必要とされる強度であり、カットアンカーは、施工に成功しても、最大15kNでカムノーマルサイズ並みしか出ません。

文登研の黒田さんの論文にもその旨記載してあります。

2021/11/12

山やの出口…別荘地暮らしに役立つ林業知識?

 ■ 山ヤの出口は別荘暮らし?!

御坂山岳会でもそうだったが、年配の山ヤは、最終的に別荘を山の中に買って余生を過ごそうと考える人が多数らしい。

別荘を買うと、別荘以外に不必要に広大な土地…植林地であることが多い…が、もれなくついてくる。その森をどうしたものか?よく分からないらしく、薪にする、などとして活用している人は、ほとんどいなかったよなぁ…。

私も、当時は伐倒の知識がなかったので、アドバイスしようにもできなかったのだが…。長野などでは、伐倒を別荘暮らしの人に向けて教えたら、喜ばれるに違いない。

■ 伐倒届

伐倒は届け出が必要だ。しかも、かなり前。一か月前には届け出をしていないと伐れない。

 

■ 森林の用途

放置されたら、天然林へ遷移するか?というと、杉はする可能性があるが、基本的にヒノキはほかの木と共存するのは苦手なコミュ障木であるようで、混交林化しないらしい。

ヒノキの場合は人為的にギャップを作ってやらないといけないようだ。カラマツは落葉するから、勝手ににほかの木が入っているような気がするがどうなのだろうか?小川山で観察できるが。

小川山へ行くにも信州峠を通って行けば、大規模な皆伐地を見ることがある。また近隣に昔の牧場跡があるが、大規模なソーラー設置予定地になってしまい、地元の人が設置反対運動を広げている。大平牧場だ。飯盛山にあり、奥秩父全山縦走する人にとっては、入り口、もしくは出口の山。

クライマーはのんきに小川山で必死にグレードアップに励んでいるが…。グレードで、どっちがすごいかという競争に、不毛さを感じるのは、趣味のクライマーばかりではないだろう。昨今、世界のトップクライマーは軒並み子供だからなぁ。

■ 伐採が盛んな地域=災害多発地

皆伐と大規模水害の関連は証明されているので、伐採が多いところ=皆伐地であり、水害の危険があり、下流に農地を構えるのは、要注意である。自伐型林業の先進地区である、高知は入っていない。

各県の森林計画書を見たわけでないが… 宮崎県などは、単層育林(スギなら杉しか植えない森、木のモノカルチャー畑)を是としており…そういう場所はいかんせん、大規模皆伐になりやすい。

山体崩壊が起こっている様子が、普通に林道を走っていて見える。怪しいのは、森林認証みたいなのを取っているようなPRがあることだ。

これでは、都会で自然派で良かれと思った人が騙されてしまう。大規模皆伐で伐採された材を使うことは、下流の災害と災害補助金依存体質をサポートすることになる。

行政が自伐型林業に好意的な地域を選ぶのは一つの解であろう…


■ 直径何センチが伐れたらいいか?

これは宮崎県の場合だが、28cmであれば、私のような非力な女性でも、なんとかなりそうなサイズ感である。

5cmくらいの支障木でも、受け口追い口を入れて講師は伐っていた。一般の人が伐倒した後を最近見ることがあったが、追い口も受け口もなく、当然、”つる”もなかったので、少しがっかりした。それでも何とかなっているということだ。

皆伐だと、ものすごい量を伐るのだそうだが、自伐型林業だと、せいぜい一日5本だそうだ。

クライミングでも、アスリートクラスになれば、毎日部活のノリで一日3時間くらい登っているが…エンジョイクライミングの趣味で登る人たちは、週に一日、もしくは二日、一日5本も登れば、お腹いっぱいである。

■ 間伐してているかどうか

間伐対象がないと合わせると、過半数は間伐していない。間伐対象がないというのは、保安林などにしてしまったのだろう…そのほうが固定資産税が安いのだろう。

切り捨て間伐というのは、山に置きっぱなしということで、拾って薪にすることができる。(生木なので重たい)

結局のところ、約2割しか適切な間伐は実施できていない。

ときどき山に行って薪に必要な分を伐採する、という生活は、成り立たせられそうに見える。自分が使う分なら、伐倒に人件費を上乗せしなくていいわけだしなぁ。

特に長野に別荘を構えてしまって、カラマツ林がもれなくついてきている人などは特にそうだ。



■ 皮むき間伐

埼玉で、皮むき間伐をした人たちが今回研修に参加していて、利点を教えてくれた。伐倒時に軽いこと。材を持ち出すときにも枯らした後なので軽いそうだ。

生木を伐倒しないで、皮むき間伐を行った後、伐倒するというのは、女性に適した方法であるかもしれない。

現在では鹿さんが、勝手に皮むき間伐をしてくれるのだが…。

林業男子 Kindle無料

『 林業男子』という本がKindle無料で読めますが、東京チェンソーズなどのお話が出ています。

https://amzn.to/3D8N8il

自伐型林業=小さい林業、が、水害を起こさない、つまり、大規模な林道を作って林道が壊れる→水害→水害による災害補助金→水害を待ち望む の悪循環を断ち切る、希望の道となっていますが、その先鋒隊?東京チェンソーズ。造林や育林も書かれているので、下刈り、という苦役からは開放されていないかもしれませんが…。

誤解が多いですが、下刈りや地拵えは、自伐型林業、では、行程そのものが不要になります。皆伐(全伐)すると、その後に必要になる作業が、下刈り、地拵え、再造林、です。

森林ファンド、元祖女性林業家、女性の林業者、映画『WoodJob!』の裏話など…気になる情報の裏側がたくさん書かれていて、非常に参考になりました。

映画『WoodJob!』は見ていましたが、東京チェンソーズと関連があるとは知らなかったなぁ。

また、不動産の方で、小規模特定事業者の指定で作る、”空き家リモデル”に私も注目していましたが、その森林版が森林ファンドですね。

この本、無料で読めて、参考になる取り組みが多いので、おススメです。




女子も憧れることができる薪生活

今回のトリップで、一番感動したのは、サーファー加藤さんの家。

彼は、Wwoofingをしながら、理想の居住地を求め、日南に落ち着いたそうだ。薪風呂暮らし。

水上村の人によれば、薪生活は、長野より、九州の方が楽だそうだ。長野だと同じライフスタイルを求める人が多すぎるということなのだろう…。

長野などでスタートした人たちが押し出されて、九州に流れて来ているみたいだ。


五右衛門風呂の様子


ぼっとんのトイレ。よく山小屋で見るけど、雨が降ると水位が上がっておつりがくるという問題がある。












居室は、学生のころ住んでいた長屋とほとんど同じだった。日本の木造建築は、安普請のことが多いよなぁ…。まぁ、町にあるものは仕方ないかもしれない。大阪でも町屋で保存価値があるようなものは、ほとんどない。安かろう悪かろうの家が戦後の焼け残りで残っているということの方が多い。

さて、木造建築を女性が好まないのは、おしゃれでない、からだろう。男性が、自分自身のかっこよさを求めるのと同じ程度に、女性は、見た目的に美しい住環境に身を置きたがる。

木造 × 薪生活 で、こんな住生活空間はいかが~?という図。西洋風である。というのは、現代のおしゃれさ、すてきさは、西洋に対するあこがれがベースになっているからだ。
仕方がない。

すてきなメインベッドルーム。 梁を見せる、でも、和ではなく、洋。日本でも定番の漆喰の壁でも、こんなにおしゃれ。


夫とヨセミテに行ったときに、ヨセミテバムというゲストハウスに泊ったが、こんな感じだった。インテリアグッズだけ、洋風にしたら良し。ホテルと同じだ。

これも、どこにも特殊なお金はかかっていそうではない。

 おがくずのトイレ。ぼっとんだとしても、洋式に変えるほうが現代人受けするであろう…。デイビッドは大阪の長屋に来て、和式のトイレで苦労していた。

これだけは、洋より、和の勝利と思われる…非現実的なセッティングのお風呂。

お湯を沸かす方法がないよなぁ…。五右衛門風呂を洋風化したら売れるかもしれない。白いタイルに変えればいいのではないだろうか?

甲斐駒七条小屋のように、温かい小屋はどうやって作れるのだろうか?

めっちゃあったかいよなぁ…七条小屋。








東京チェンソーズ

最近知った、東京チェンソーズ


ウエアが メット+チャップス。大事なのはチェップスが北欧風ということなのではないのかなぁ…。 

私が思うには、男子の動機の8割は、かっこいい!である。

3Kと言われる山仕事に人気がなくなったのは、たぶん、かっこよくない、と指定されてしまったからなのではないだろうか…?ふと思っただけなんだが…。

東京チェンソーズを支えるのは、東京美林倶楽部のようだ。


■ 男性の動機

男性、というより、男子、だろうなぁ…。

 1)かわいい女性がいる

 2)カッコイイ

これだけで、9割5分を占め、危険だからやりたくない、給料が安いから嫌だ、などというのは、後付けのとってつけたいい訳なんではないのかなぁ…。

本音は、

 ・頑張っても女子の注目を集めることがないから、やだ。

 ・かっこいくないとヤダ

の2点に集約されるのでは…?

だって、アルパインクライミング、超危険ですよねぇ。昔はみんな男のロマンでやっていたわけですが、年を取ると、やらなくなる。理由を聞くと?

 「寒いのはやだ」

と言われて目が点に。だって、30年前は温暖化した今よりもっと寒かったでしょうに…

そもそもやっていることが好き

というのは大事なことだと思います。

東京チェンソーズは、プロモーションの方法がとても参考になると思ったのでした。

男性はかっこよくないと動かないんですよ!!!






2021/11/11

因と縁の解析

■ 因と縁が揃って因縁

仏教的には、因と縁が揃って因縁。


種があっても、太陽と水と土が揃わないと、芽は出ない。

この場合、種=因 である。

クライミングの因は、当然、”登りたい”という思い、だろう。

 では、縁は?

パートナー と ビレイスキル と、練習する環境

の3つ。

パートナーがいない場合は、なんとかゲットする必要がある。普通は、みんな、ここで、”超いい人”化する(笑)。一緒に登ってほしいという相手に対して限定だが(笑)。

ビレイスキルがない場合、何とか身につけざるを得ない。ので、それには、ビレイを教えますと、題売っている講習会に参加するしかない。

他の人のビレイをこっそり盗み見して覚えようとしても、たぶん、間違ったビレイを覚えてしまう。それくらいビレイはちゃんとしている人が少ない。自分の子どもを登らせるのにすら、バッツンビレイで壁に子供がたたきつけられてしまうようなビレイをしているんだが、親のほうはそれに気がつかないでいたりする。(教えても聞かない)。

ビレイヤーが自分より軽いと、この危険は少ないが、私より軽い男性クライマーなんてあったことがないので、大体は下手くそビレイを我慢して登っている。

ビレイの習得は、週2半年と言われている。週4ビレイすれば、3か月で行ける計算になる。週6ビレイすれば、2か月で行ける計算になる。一般の人は週1しかビレイする時間がないと、忘れてしまって全然上達しない。1年経っても、2年経っても下手で、そういう場合は3年くらいは見たほうがいいかもしれない。

練習する環境というのは、人工壁が一般的だ。外の岩に最初から言っても、外でリードで落ちる人をキャッチする経験は積めないので、ビレイのスキルは全然伸びない。

オールドクライマーが新人だった時代には、人工壁はない。いきなり外岩。アルパインと同じ論理で死んでも落ちるな、と教わるため、オールドクライマーは落ちないクライマーをビレイした経験しかなく、落ちるクライマーをキャッチした経験がないので、見ていると、だらりんビレイをしたり、座ってビレイをしたり、支点ビレイをしたりで、現代の教科書には、”けっしてやってはいけない”と但し書きで書いてあることを、当然の顔をしてやっている…。オールドクライマーが新人だったのは40年ほど前なので、その頃の教科書には、フリークライミングのことは書いていない。やっていることが、アルパインルートに行くためのゲレンデ練習から、”フリークライミング”という別のクライミングに変化したのに、そのことにオールドクライマーは気がつく機会がない…何しろ、自分はベテランだと自覚しているから、最近出た本など読む人は少ない。

ので、結局のところ、一番ビレイが下手くそなのが、オールドクライマーということになり、特にトップロープの時は馬鹿にしており、ロープがクライマーの懐でたるんでいても、そのままだったりする。ので、初心者時代に一番一緒に登らない方が良いクライマーが、オールドクライマーなのかもしれない…。

人工壁のクライミングは、”スポーツクライミング”というクライミングで、バンバン落ちるのが当然、というのがその意味するところだ。なので、ビレイを習得したい人はスポーツクライミングをちゃんと教えている人から教わらないといけない。

ビレイを習得し、逆クリップやら、なんやら、を習得してから、外の岩場に出る。大体が、こういうことになるが、外の岩場は外の岩場で別の習得項目があるから、外の岩場に出ることは、大きなステップアップだ。

まぁ、ボルダラーからやっている人は大丈夫だが、人工ホールドを握るわけでないので、ホールドを発見することからスタートだ。

一番ボルダラーがやってしまいがちな失敗は、オンサイトで登らない、すぐに”次のホールドどこ?”と下の人に聞くことだろう…。オンサイトというスタイルが、ボルダーにはない。全員いきなりビデオトポを見て、前に登った人とそっくりの登りをしようとするのがボルダーだ。

フリークライミングの世界でそれをやると、どうなるか? あーあ、と言われるのである。せっかくオンサイトだったのに…と言われる。自分より前に登った人の登りをチラ見しただけで、もうオンサイトではなく、フラッシュになってしまう。その辺を詳しく知りたい人は、漫画版の『孤高の人』を読んでください。

ので、外の岩場に行ったら、自分が登りたい課題を登っている先客がいたら、決してその登りを観察してはいけない。オンサイトを逃すことになるからだ。

スタイルの差だけでなく、価値観の差があるのが、クライミングの各種で、その価値観を無知なために犯すと、あちこちからブーイングを食らうことになる。

現代でもっともおススメできる、リードの岩場にデビューする人への教科書的な本は、北山真さんが書いた、『フリークライミング』という本である。この本を読んでから、外の岩場に行くべし。(こちらにリンクがある)

この本には、1行目に、”支点ビレイはしてはいけない”と書いてある。こんな超・常識的なことも、オールドクライマーは知らない。自分は支点ビレイをしているが何か?と思っている。こちらも、自信たっぷりでやっている人に何かを言うこともできない。

オールドクライマーの無知の被害を受けるのは、誰か? 山は最も弱いものを狙う、とよく言われる。

クライミングも、テンションなしで登れるなら、別にビレイヤーは誰でも良いわけで、フリーソロできるなら、ロープすらもイラナイ訳なのである。つまり、きちんとしたビレイを真摯に必要とする新人にこそ、きちんとした技術的裏付けのあるビレイが必要である。つまり、新人が喰われるのである。

ということから、オールドクライマーと最も組んではならないのが、新人だ。一方の新人の方はそんな事情とはつゆ知らず、落ちた人をキャッチした経験値がもっとも浅いオールドクライマーと組みたがり、命がけの墜落劇を演じてしまうのだが…。

私の後輩は、人工壁1ピン目で落ちていた…がたいの良い男性クライマーだったが。リードフォローの練習をしていた時は、セルフを取る前に自ら手を放して落ちていたが…。彼に関しては、人工壁に来る前に、一般的なボルジムでのクライミング経験が必要と思われた。一般的にジムで5級が登れるくらいでないと、人工壁でも取り付くのは危険だろう…

というので、いかに、因 に対して、縁を取りそろえるか?という話。

■ 師匠と登ったが師匠が教えてくれたことはない

今までパートナーには恵まれてきたが、師匠は二人とも岩場で会った人だ。一人目の師匠は、岩場のてっぺんで会った。いきなり、「流動分散を作ってみせなさい」と言われた。作れた。そうして、「ここに電話しなさい」と言われた。

次の人は、小川山レイバックで会った。その後その人が勤めているジムに遊びに行って仲良くなった。

その次の人は、こちらもその人が知らない岩場に案内してあげ、お礼にその人が知っていて私が知らない岩場に案内してもらった。

米澤先生は、いきなり油山川の岩場で会った。登りに行っていた。相方は一緒に登りたいとは思わなかったみたいだが、しばらくは二人や3人で登っていた。

という感じで、一緒に登った人は、岩場であった人で、岩場以外で会った人で、仲良く一緒に登るようになった人いたっけ?いないな。

岩場に自ら行くようような因があって、たまたまそこにその人がいたという縁がある、というわけだ。因と縁で言えば。

これがパートナーゲットの秘訣と言えば秘訣なのかもしれない。

2021/11/10

下阿蘇ビーチ

 このビーチに行ったのは、本当に良き事だった…。

美々津に行って、津波注意の掲示板を見て、サーフィンと生きるということは、津波のリスクとともに生きることだと理解した半面、下阿蘇ビーチは11月でも冬シュラフが暑いくらいで、車が引っ越し荷物で満タンなので、車中泊ではなくPキャンに変更したんだが、それでも超快適だった。

朝に散策したら、波が砂浜を削って、プチシークリフを作っており、なるほど、こうしてシークリフは形成されるのか‥と思った。

城ケ崎、大堂海岸、台湾の龍洞、それくらいしかシークリフのクライミングは知らないが…石灰岩が山の中のクライミングであることに対して、シークリフは海のクライミングだ。

アルパインをやっていたら、山には行くけど、海にはいかない…ので、初めて城ケ崎に行くことになった時は、「なんで山をやっていて海にいくことになったのかなぁ?」と不思議な気がしたものだった…

自然農をやるつもりで木こりになった、みたいな感じかなぁ…

雪が好きな人は、スキーをやればとよく言われるけど、スキーにまで手を出したらギア代が半端ないよなぁと思って遠慮していた。山梨は雪国ではない。雪ではない乾燥した寒さのあるところ。雪があるところは湿度が高いところで、アトピー体質の私にはあまり快適そうではない…湿度が低いところが好き。

フォッサマグナ→ 皆伐は森林崩壊 → 下界は砂防林がある → シークリフクライミングの可能性あり 

という理解が進んだ。岸良海岸も同じような成り立ちなのだろう…

どこの田舎に住むにしても、農業のスキルと伐倒スキルはベーシックスキルセットだろう。


2021/11/07

初・伐倒!

■ 体が小さい不利をどう乗り越えるか?

私は体が小さい。体重は50kg行かないし、身長は152cmしかない。”昔”の日本人サイズ。

ボディサイズが小さいということは、出せる馬力、つまり、エンジンサイズも小さいってことだ。

その1)担げる歩荷サイズも小さい。(相方が歩けなくなっても背負い搬送できない)

その2)当然だが、手が届く範囲(クライミングでは、”リーチ”という)も狭い。

勢い、男性が背負うと普通に見える50リットルのザックを背負うと、小学1年生がランドセル背負ったみたいな状態になってしまう。

大体、クライミングしていても、リーチの問題で、あそこにガバがある!とか言われても届かない…。ガバが、ガバにならない。

この写真、分かります?でかく見えるけど、実は50リットル。男性は100リットルを担いでこのサイズ感です…。

林業では? 

チェーンソーが不必要にデカでかく見える。

お嬢ちゃん、子どもの遊びじゃねーんだよ~な雰囲気になってしまう…(まぁ、もうお嬢ちゃんって年齢でもないが)

ので、もうほんと、自信がないって言うか、

 体格的に適性に問題あり

と理性が言ってくる、伐倒…。しかし、自伐型林業を行うに際し、伐倒ができない、っていうのは、ありえないからなぁ…。

しかし、伐倒をマスターする、”易から難へのプロセス”、が、なかなか見えてこないんだよなぁ。

■ 祝・一本目


さて、このような状態で、自信がない中ですが、先日、初めてチェーンソーにて、1本目の伐倒を経験しました。

講習仲間が記念すべき、その様子を動画に収めてくれましたので、じゃーん、公開。

嬉しかった~!I村さん、ありがとう~(T_T)



ふたつ目の動画では、先生の背中から、私が講習生の中で、どのような立場であるのか?推し量っていただければ…と思います。先生の背中が物語る、そこはかとない、”しゃーねーなーな雰囲気”と”私の本気度”の不釣り合いさが、見て取れる動画です(笑)。

ホントは、そこまで気合入れるようなサイズ感でもないのよ~な感じなのかな~?

■ 細い木の方が伐倒は難しいですよ

この日は、午後雨の予報で、伐倒はチームで順番なのですが、私は3班あるうちの一班。一班では、一人はもう伐倒したので、二人目ですが、前述のI村さんが紳士的に、「僕はいつでも伐ろうと思えば、伐れますから」とバッター席を譲ってくれました。私は是非、今日中に伐倒経験を積みたいと思っていたので、全員の中で一人目…。プレッシャーあります。

前回の実習で選木した、ピンクリボンが付いた木のうち、もっとも細いものを選びました。

細い径から、大径木に行くのが、易から難、なのではないか?と思ったからです。

しかし、工藤講師によると、「細い木の方が難しいですよ」とのこと…。

うーむ。考えこんでしまいます。

しかし、間伐するとなると、不要の木を刈るわけです。太く立派な木を伐るということは、機会的に少ないような気がします。

私が伐りたい!と思う(であろう)邪魔な木、間伐したほうがよさそうな、弱った木、というのも、そう大きな太い木ではないだろうと思います。

というので、今回は、難しいという点は、指導者がいる間に、難しいケースを体験しておく、ということにしました。失敗するなら、フェイルセーフである、指導者がいる環境でやったほうがいいですよね。

■ 必要機材

さて、伐倒です。そうです。伐倒には手順があるのです。

(もう前の晩にシュラフの中で、何度もシミュレーションていますが…。)

まず、準備作業をします。

チャップスをつけ、ヘルメットをかぶり、笛、防振手袋、チョーク、楔、ハンマーを用意。

■ 林道などであらかじめ、チェーンソーの始動

朝一回目に使うときは、エンジンが掛かりにくいので、平坦なところで、あらかじめ掛けておきます。この時、エンジンオイル、チェーンソーオイルが十分に入っているか、もついでに確認。

講師に、「始動するときも、手袋してね~」と声を掛けられました。防振手袋です。

■ チェーンソーの選択

小さいチェーンソーの小軽を選択。

本来、小軽は、伐倒用途ではなく、支障木の伐採用なのですが、大きいチェーンソーは、私の体格には合っておらず、現時点では振り回されてしまい、リスクを感じます。また、私が購入する予定のものも、エコーの小型充電チェーンソー(前述の林家、佐藤さんが使っていたもの)なので、今回は、用途的に合っていないのは、目をつぶって、小軽。

本来は、ノーマルサイズ4.5~5kgサイズのものが良いようです。

写真は、プロも使っている小さめチェーンソー。充電式。

■ 支障木を伐る

・伐倒した際に邪魔になりそうな木、
・退避場所に退避するときに邪魔になる木

を伐ります。手首、足首サイズの灌木が多いです。これは手のこや、鉈でも伐れます。

みんなが手伝ってくれ、嬉しかった!

■ 伐倒方向の検討

今回は、真下、真横、右斜め45度下方、の3つの可能性がありました。

真下はできるだけ避けるべき、というのがセオリー。集材は楽そうですが、他の人の伐倒で、木が勢いよく、谷底まで流れて行ったのを見ましたしね。

真横というのは、木の重心の関係から、なかなか難しい方向なのだそうです。枝が山側ではなく、谷側に張り出しているので、大抵の木は、谷側に重心があるからですね。

そこで、相談の上、今回は、右斜め45度下方、に決定。

これは、仲間と講師で相談して決めました。一人で伐るとなると、まだ悩んでしまうところかもしれません。

■ 伐倒方法の選択

私が選んだのは、小径木だったので、おいづる伐りは要らないだろうと、想定。

林業用チョークで、受け口と追い口のマーキングをします。

この時、ぐるりと木の周りを観察。エンジンがかかると、音でも緊張して、観察できなくなりますから。

■ コール

ここまで出来たら、

「周囲の安全確認よし!上よし!伐倒方向よし!退避場所よし!」と指差し確認します。

そして、ピッピー(伐る用意していますー!)と笛をならします。

■ いよいよ伐倒です!

まず受け口を作ります。チョークマークの通りにチェーンソーを入れますが、深さは、直径の4分の1程度。一般の人が思うより浅いです。

チェーンソーの背で伐るのは、安定が悪く、私にはまだ不安なので、腹のほうで伐れる体制に体を持って行きます。

この時、

・伐倒方向との兼ね合い、
・退避場所との兼ね合い、
・山の傾斜との兼ね合い、

で、危険なところや不安定なところに立たないようにします。傾斜がきつい場所のほうが、立ち位置の選定は難しそうです。

受け口を作る時、難しいのは斜め伐りです。斜めに切るときは、背は使わない。腹です。30~45度です。なんか雪崩の頻発傾斜と同じ角度ですね(笑)。

また、こねる、という言い方をしますが、チェーンソーを伐倒する木に入れたあと、方向を変えようとしない、ということが大事です。火花が散っているときは、こねているときです。

私のは小径木だったので、受け口は比較的容易に伐れました。大事なことは

  会合点を合わせる

ことです。太い木のほうが難しいように思います。

■ ガンマークを見ます

伐倒方向は、受け口で決まりますので、ガンマークでチェックします。

■ 本合図

受け口ができたら、いよいよ、本合図をします。

 ピー、ピッピー (いよいよ、伐るぞー)

です。

■ 追い口を入れます

さて、追い口入れ、は、木が倒れ始める可能性があるので、緊張のしどころ、です。奥のほうを伐り損ねる、ということが多いので、しっかり奥まで良く見ながら、目的のところまで、チェーンソーを入れます。

この時、指導で、のこ道が閉じてしまわないように、小さい楔を入れて、伐りました。

■ 楔を打ちます

一つ目の動画は、楔を打っているところです。

楔の打ち方は、奥深いものです。基本はハの字ですが、私の木は、小径なので、ハにならない…。小さいのをどんどん打ち進めたら、長さ分、全部使ってしまいました…。大きいのを入れて、小さいのを出し、さらに打ちます。

打ちながらも、退避準備。上を見て、木が倒れ始めたら、一目散に逃げるためです。

追い口から、楔までを素早くスムーズに行うことが大事だそうです。倒れる方向が楔である程度、確約できるからですね。

打つ時は、一回一回、上をみる。パーン上を見る、パーン上を見る、というように、楔だけに集中しないようにします。

■ 成否…かかり木

伐倒の成否は、かかり木になってしまったら、失敗、って感じがしてしまいます。

伐倒方向を選ぶときに、かかり木がない方向を選ぶべきなのですが、例えば、真横、など、伐倒自体に熟達が必要で、真横を選べない、となると、次善の伐倒方向では、かかりやすい方向となってしまい、かかってしまう…ということも起こりえます。

■ かかってしまったら

残念ながら、私もかかってしまいました…くすん。このような時は、フェリングレバーの登場です。

基本的に、丸太状態になった木を回して係りを取ります。私のは、なんとか地面まで倒れましたが、かかり方によっては、右に回しても、左に回しても、周囲の枝に乗ってしまう、という状態を作ってしまうことがあります。

かかり木処理になると、余計な時間がかかるので、ばーんと地面に倒れたら、ホントにスッキリ!しますが、かかってしまったら、あーあ、って感じ。

この日の研修では、6人伐倒して、かからなかった人は2名くらいで、ほとんどかかってしいまいました。そうなると、色々と他の道具も必要になってしまいます。

かかりが取れて、材が安定したら、

「材の安定よし!」とコールして、

 ピー

で、終了の合図をして終わりです。

■ パチパチ~ 祝・伐倒

今回の伐倒は、このような感じでした。

私は以前に大阪のほうで、間伐ボランティアの経験がありますが、伊賀の森で伐った木は、手のこサイズで、「これ日ごろのストレス解消にバッチリね~」と思ったのとは裏腹に、伐倒が本格林業サイズ…20mはある飫肥スギで、緊張で汗びっしょり。あまりに濡れたので、後で着替えました。濡れたままだと低体温症です…。

これは、本気モード、っていう伐倒で、ボランティアレベルの経験値は、何の役にも立たないのだ、ということが、改めて理解できたのでした。

他の男性の研修生も約1名の慣れた人を除いては、似たり寄ったりで、伐倒は男性にとってもストレスレベルが高い作業のようです。初めての人はあたふたしています。体格的に不利がある女性の私だから、ここまで緊張して伐倒するっていうことでもないようです。

チェーンソーに慣れているK藤さん、かなりの大径木を選んでいましたが、彼は動じることなく、普段のまま。聞いてみたら、いつも薪風呂で、薪がいるので、チェーンソーに使い慣れているのだそうです。やっぱり、慣れですかね?

伐倒も一回しただけでは、「ワタシ、伐れます!」とは言い切れません。伐った後、かかり木になってしまったら、処理のために、また色々な知識や道具が必要になってしまいます。

 シンプルな道具立てで伐れる=熟達者

ということです。初心者ほど、色々なギアや知識が必要、ということは、アルパインクライミングやフリークライミングの世界とも共通でした。