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2024/05/14

【クライミング事情】岩レジェンドではなく、岩ローカルズに光を当てる

Stone Locals: Rediscovering the Soul of Climbing | Patagonia Films

この動画をひょんなことで発見した。パタゴニア発。

日本パタゴニアは、クライミング界に疎く、”岩ローカルズの発見能力に乏しい”、ということが分かった。

ジャンボさんが出ているから、見たんだが、ジャンボさんは、ローカルズ、ではなく、レジェンド。

で、この動画が発表された時期で、取り上げるのにふさわしい人材は、

  北平友哉さん 

つまり、ナナファテの後釜のルーフロックを運営する人になった人である。ただの一般ピープルから、世界最難のワイドクラックに挑んだ人である。


したがって、このフィルムの中では、ジャンボさんだけが、

 ・既定路線の偉業、昔からある価値観の中での成功、

という話になってしまっている。

それでも、小さい幸せを大事にする、という、新しい価値観を提示している。

■ クライミングの多様な価値観を語る、感度の高い動画


個人的にこころにひびいたのが、


  Avalonia


である。おフランスの岩場。亡くなったクライマーの親友を弔うために、岩場で岩に彫刻をして、岩場にモニュメントを作っている、多少、精神疾患があったと思われる男性クライマーの話だ。岩場に住んでいる。そして、なんとベアフットで登り、トポを出版して生計を立てている。


たぶん、岩場で生きることが本当にその人にとってしっくり来たんだろうな、と分かる。





自分がしていることは、セラピーだ、と言っている。


私が、クライミングで、みんなに伝えたいことも、クライミングがセラピーだということである。


クライミングをすることで、極度の集中状態に入れるし、ゾーン状態に入れる。


そして、クライミングを生活の中心にすることで、生活が整う。


無駄な買い物をしなくなり、無駄な食品をたべなくなり、体も心も整う。


大事なことは、母なる自然に寄り添った生活をする方で、記録を上げることではない。


なぜなら、人間は記録を上げようとすると、人工的なものに頼るから、だ。


ゾーンに入るのに、多動(高メチレーション)の人にとっては、クライミングくらい強度の強い活動が必要なのである。


廣瀬医師の運動精神療法。2時間オーバーウォーキング。


■ 私の気に行った生活


余談だが、Wwooferをすれば、自分に適したライフスタイルを疑似的に体験できる。


しかし、岩場を中心にしたライフスタイルを疑似経験させるWwoofer施設は、日本にはない。ラオスにはGCHがあり、台湾にはBivyがある。そこで、クライミング中心の生活が体験できる。


そうした生活の場を提供することが私のしたいことだ。なぜなら、そうすることで、


 心身が癒される人


がいるからだ。


私に適性があったのは、手作りのスカスカのログハウスで、犬二匹と暮らし、薪はその辺の山で拾ってきて、煮炊きに使い、豚と牛を放牧で買う生活だった。あれは楽しかったなぁ。天草。先祖はそうやって生きたのに違いない。全くストレスフリーだった。


他にも和歌山で自給自足で畑をしている人たちと暮らしたことがあるが、私のライフスタイルとは少し違うようだった。自然と接する量が足りない、って感じだった。天草との違いは、一人になる時間がないことだった。天草では、伐採跡地で森を整備しているだけで楽しく過ごせた。跡地のあとは、チェーンソーを整備して過ごした。


私は開発部では、ハードウェアのテストもしていたから、簡単なメンテなら、普通の女子以上にできる。それを仕事にしたいほど好きではないが、チェーンソー使いなら必ずできなくてはならないのが、研ぎ、だ。


その時の感じと同じ感じが、このメンタル疾患を負って15か所も施設を転々としたという男性の話や生活ぶりから伺われた。


岩に登っているとき以外は、芸術にいそしんでいるというライフスタイル。


■ 吉田スタイル=岩場バム


日本のレジェンドクライマー・故・吉田さんは、岩場に住み着くのではなく、車に住み着いていたけれど、同じように岩場の主となって、生きる場を岩場に求めた人だった。


日本だと縦に長いので、季節ごとに岩場を移動するのが、年中登るには大事なことになる。そんな故・吉田さんでも、九州までは南下してこない。つまり、岩をメインに生きる人にとっては、南下するだけの理由はなかったのだろう…


従って、九州の人には、岩場に生きた偉大なクライマー、真のレジェンドに接する機会が皆無だった、ということなのだろう。


九州は、天草に見るように、スカスカのログハウスでも死なずに快適に生きれ、外の風呂でも死ぬことなく入れる。つまり、岩場で生活するのに、気温的に何の問題もない環境なのにも関わらず、そういうことをしているクライマーは皆無だ。それどころか、ポルシェで岩場に乗り付けるような、頓珍漢な奴しかいない…。


あ、また愚痴になりそうだったが…。ちなみに山梨以北では、冬季は冬季クライミング、つまり、アイスをすれば、岩シーズンはグリーンシーズンになる。年中登りたい人は、アイスクライミングをすればいい。


さて、この動画は、かなりおすすめ、であることは間違いない。


・ワイドクラックでトップクライマーを目指した女性は、性的虐待被害者だった。


・Gym to Cragを運営している女性は、ジムクライマーが岩場で安直に死ぬのを防止しようとして啓蒙活動をしている。


・アバロニアでは、岩場に住んで、彫刻を掘り、ベアフットでクライマーたちにクライミング指導している。


・山梨では、世界を制したトップクライマーが静かな家族生活を営んでいる。


以上が、大まかに描かれていることだ。逆を言えば、


・クライミング界には、女性クライマーへの性的虐待がはびこっている。


・ジムクライマーが外岩に出るときに、事故が多い。


・岩場のアクセス問題が多発している。


・家庭生活を犠牲にした、名誉一辺倒のクライミングが既定路線になっている


以上が描かれておらず、非言語に示されているクライミングのマイナス点である。


たぶん、読書慣れしていない人たちは、ここまで書かないと理解できないのではないだろうか…


全部、良く知っている。改善努力もしている。


他にも、


 ・難病の娘をクライミングコミュニティが支えた ⇒ 現代版家族
 ・ピザ店をめぐるクライミングコミュニティとのつながり ⇒ 現代版家族


そういう映像が見れます。ぜひ、おすすめ☆


■ 関連URL


Gym to Crag
https://gymtocrag.org/


クライミングと生きる理由のポッドキャスト
https://www.fortheloveofclimbing.com/










2023/05/31

直観力、奪回中

 

■ うさとの服

クライミングが楽しかったラオスでは、織物が気になったんですよね…

去年、うさとの服と出会い、ワードローブ全部をうさとにしてもいいなってくらいなんですが…

よいところ。

1)無農薬のコットンや麻を手染めで自然染料で染めていること。

2)機織りの織子さんが自分のペースで仕事をする範囲で作れる布しか作らない

3)布の柄も指定がなく、織子さんの好きに織れる

4)できた布は、うさとが全量買い上げ。

5)服も一枚一枚、担当制で仕上げる。ので、この服は誰が縫ったものか分かる

6)販売は店舗を持たない、ポップアップ方式。

一番好きなのは、織子さんが自分のペースで織れる範囲の布しか求めないこと。

クライミングでしたいのは、私が自分のペースで成長できる範囲しか求めないこと。

がつがつとグレードを追い求める=なんか昭和な気がする…スポ根?それって、言われた通りやってみたけど、やっていることが楽しくなくなる秘訣がスポコンなんじゃないか?ってくらい、楽しくなくなりますよねぇ???

もっともっと…がイヤ。 なんで趣味のクライミングで、高校生みたいに登らなあかんねん!

クライミングは、瞑想活動としてやっていました。集中をそれなりに必要とするので…私にとってはゾーンに入れる活動なんですよね。

楽しくてやっていることだから、疲れたら、やめたらいいんだし…

何事も、自分の好きなようにやる=自分に由ってやる= 自由 なんですよ?

自分をよりどころとせず、振り回されるクライミングには、なんだかなぁ…何が楽しくて、またぞろ奴隷活動やっちゃってんの?って感じ。

さて、うさとの服を買いに行って、なんと、草履をもらいました。台所の床が硬くて、立って家事をするのがつらいんですよね。

昨日は、アクセスバーズの体験に行き、ちゃま先生のリトリートクラスに誘ってもらった♪

その先生、ヒマラヤに行ったことがあるそうでした。



2023/02/05

どさんこを移動手段とし、古い家×薪ストーブの暮らしを作る

■ 自給自足生活

クライミングを続けながら、より自然に寄り添う暮らし…自給自足的生活…をしたくて、北海道の町に出かけた。

久しぶりの寒さに、心が躍った。やっぱり寒いところが好き。何にも根拠がないが(笑)。

実際は、暮らすとなると、雪を見るのと暮らすのでは大違いで、寒さというのは、自給自足生活の妨げでしかないとは分かってはいるが…。

すっかり雪をかぶった坊主頭のような雪山だったり、カラマツにうっすらと雪がついて樹氷のようになっていると美しかった。また雪と暮らす生活がしたい。


今回、町が用意してくれた体験の一つは、森の散歩で、私は、(登山でのガイド活動はする気がないけど)積雪期ガイドステージ2が取れたくらいだから、ちゃんとした雪山でも登れるっつー話で、森の中の散歩は退屈してしまった。

-12度の気温で、運動量が少ないと冷えてウエアが貧弱なゲストたち…とくに足回りが貧弱だった人たち…は、凍傷になっちゃうよ、と言いたかった。が、ちゃんとアカゲラのぽんちゃんも見れたし、念願のゴジュウカラも見れた…。

この写真は、朝に一人で散歩に行った時のもの…ラッセルが、腰ラッセルだった(笑)。久しぶりにラッセルして楽しかった。ひと運動でこれくらいで、ちょうどよかった。 

■ 自給自足の現在地

3年ほど、自然農を学び、畑と稲作は、自分でやれそう…という見通しが立った。

食べ物、だが…、釣りは、クライミングの師匠青ちゃんが渓流釣りのベテランだったので、渓流釣りは、なんとなくわかる。

きのこはベテランに教わらないと死んでしまう…で、さしもの青ちゃんも狩場を教えてくれなかった。が、九州では、シイタケが山ほど取れるので、誰も自然のきのこは採らない。ホダキ栽培は、すごく簡単だった。 (温暖な九州だけかもしれないが)

ニワトリは簡単で八女で分かった…。

伐倒は、おとどし、林業就業者支援講習に出て覚えた。大径木はダメだが、20cmくらいの太さのなら、倒せる。どちらにせよ、薪にするようなのは、間伐でイラナイ木。自伐型。

去年、天草で、ブタと牛の放牧をしながら、だんなさんのだるまさんが建てたログハウスで暮らし、薪生活をしているのりちゃんの家にウーファーし、”その日薪暮らし”と、放牧はなんとなくできそうな気がしてきた。

家のほうは、ログハウス。ワークショップに出て、とりあえずノッチは組めるようになった。

で最後に残ったのが…車。移動の足だ。

田舎暮らしで、脱石油、と思った時、どうしても、削ることができないのが…車だ。移動の足だ。(参考:https://allnevery.blogspot.com/2022/11/blog-post_20.html

体重50Kgの人間を移動させるのに、1.5トンの車ごと移動しているんですよ?これが非効率でなくて何だろうか?

■、どさんこ ハナちゃん

今回はどさんこハナちゃん、で、町に買い物に出かけているという小峰博之さん(名寄新聞の記者さんをしている方)に会い、何もはるばる、アメリカのアーミッシュ村まで出かけて行かなくても、

 移動に馬を使うための技術

を教えてもらえることが分かった。

道産子は、私はてっきり馬搬の馬、つまり、荷物を引くための馬だと思っていたのだが、そうではなく、モンゴルの血を引いており、移動に強い馬なのだそうだ。

それで、今回の体験で、小峰さんは、みなに裸馬にまたがらせてくれた…。あったかくて、驚いた。

吹雪でなければ、町内の買い物、ちょっとした用事くらいは、馬でこなせそうだ。

実際、馬で小峰さんは、コンビニやスーパーに行っているらしい…。


 ■ 馬糞

天然のファーティライザー(肥料)となっているのが馬糞。以前、ニワトリを放し飼いにすることで、人間は鶏糞を適当に散布することができると分かったのだが、馬糞は、内容物がまったくの草ばかりだから、草マルチとおなじことらしい。

草マルチ、草たい肥だと、乾燥して、土に返すのに時間がかかるが、それを高速化、圧縮化するのが、牛や馬に食べさせる、ということなのだ、ということが分かった。

草を刈る、という重労働からも、牛を飼えば解放される…足りないくらいなので…。馬は、森の中の下草刈り、雪の下に埋もれた笹すら食べてくれるそうだ。下刈りは林業では、一番過酷で、チェーンソーの事故より、かりばらい機で下草を刈るときの事故が一番大きい。

■ 大草原の小さな家のローラ

ここ数年、九州暮らしになってから、大草原の小さな家のローラの物語を読み返している。

みんなはドラマの方を思い浮かべると思うが、私が子供のころ、憧れたのは、書籍のほうで、10巻以上ある長大な物語だ。赤毛のアン、も同様。

ローラが小躍りするのが、馬を買ってもらうこと。TVシリーズの方では、クリスマスに、かあさんのストーブ(料理ができる暖房)のために、その馬を手放してしまう。だから、馬はどれほどの高額なものか?ということが分かる。

私が理想とする暮らしは、大草原の小さな家の現代バージョンで、暖炉とストーブがある家に住めないかなぁと思っている。

■ FFストーブ×高気密住宅?

小峰さんによると、薪ストーブは古い家のほうが良いらしい。今回の視察では、高気密住宅×FFストーブで、自動的に石油の消費量の高い生活に導かれるライフスタイルしか見れなかった…。

実は別のスタイルもあるのらしい…。私がしたいと思っている生活は、

 脱・石油型ライフスタイル

なので、-30度の極寒の地での

  古い家×薪ストーブ生活 

の体験は、今回、持越し課題となった。 今度、もう一回出かけて、小峰さんに、ご自宅を見せてもらいたいかもしれない…。なにしろ、-30度でできるってことなら、日本のどこでもできるってことなんだから。

《参考》 おススメ薪ストーブ

https://kens-mw.com/index.html

■ 青ちゃんの家

青ちゃんの家は、佐久だったが、実際、それくらい寒くなり、「お前はこの寒さを分かっちゃいない」とだいぶ、頻繁に言われた。

私は甲府から、週に二日、一緒にアイスクライミングをするために、通っていたからだ…。

しかし、アイスクライミングのために引っ越す先として、佐久はいいんだが、山の上ではなく、下界に住めば、あんなに寒くなく、しかも、青ちゃんの家は周囲がカラ松の植林で、今の私なら、ヒマな時は伐倒して、薪作りができるんだがなぁ…。

田舎で定年退職暮らしをしている人はヒマでやることがない=クライミング(笑)。クライミングも、やりつくしてしまうし、ヒマだったら、伐倒というのはいい選択肢だと思う。自伐型林業と同じくらいのんびりしたペースなら、そこまで体力的にもハードではないと思うんだが。

青ちゃんには、一杯狩猟の誘いや、小屋番の誘いが来るんだそうだが、彼はどうしても、うん、と言わない…という話だった。殺すのは嫌いだし、年を取ると、さしもの山やも、寒さに弱くなるからなぁ…。小屋番って、山に行けない人種ですよね。

私が思うには、古い家は、オンドルを入れたらいいのではないだろうか?九州でもやっている人がいて、ちょっとした有名人なんだがな…。

というわけで、今後の課題…

  •   寒冷地で薪ストーブ生活をしてみて、耐えれそうか確認する。
  •   馬を飼う生活をしてみて、自分にできそうか確認する。

動物を飼うと、しばらくはその動物とお付き合いしなくてはならない、ということなのだから…。都会の人みたいに、使い捨て、という訳には行かない。


■関連記事リスト

・渓流釣り

https://allnevery.blogspot.com/2017/07/blog-post_98.html

・自然農

https://allnevery.blogspot.com/2020/09/blog-post_17.html

・鶏

https://allnevery.blogspot.com/2019/09/blog-post.html

・牛・豚放牧とログハウス暮らし

https://allnevery.blogspot.com/2022/01/blog-post_18.html

・伐倒

・ログハウスワークショップ

https://allnevery.blogspot.com/2022/11/blog-post.html

 

2022/01/18

”現代版ウォールデン” をやってきました…その日薪ぐらし

■ 現代のソーロー

ひょんなことから、”森の生活”を得た。

H.D.ソーローのウォールデン(邦題『森の生活』)は、言うまでもなく、山やのバイブル、だ。

ソーローが2年であきらめた森の生活を、20年続けた人がいる…それが、ダルマさんこと、だるま放牧豚の中村さんだ。森の生活歴20年。

その生活ぶりは?ご本人いわく、”その日薪暮らし”

アーティストのパートナーのりちゃんと森の中で、白黒二匹の犬、一匹の猫、の5人暮らし、で暮らされている。

■ 森の中のログハウス

「そうか、人間の役目は、森の再生なんだな…」

これが今回の滞在で得た山からの答えだった。山はいつだって、私の疑問に答えてくれる。

ミミズは、植物遺体を食べて土にする。蜂たちは、花々の受粉を助ける。木々は、二酸化炭素を吸収して、酸素を作る。

すべての動物が、生態系サービスに関して、何らかの役目を担っている…。その中で人間だけが、生産者ではなく、破壊者しかしていない。なんらの役目も負わず、貢献もしていない。

そして、人間がこの一世紀に犯した最大の過ちは、生態系サービスの頂点に人間存在を置いたことだ。次の図式に表される。


この図の右の生活を体験できる場、が、ダルマさんとのりちゃんの家だった。

人間界だけが、生態系サービスに何も貢献しておらず、生態系から受け取る一方で、受け取り超過になった結果が、地球資源の枯渇と温暖化だ。

世は世紀末の様相を呈し、食糧危機がリアルに感じられることから、自給自足を目指す人が増えたが、1世紀前に捨てた技術を再度身に着けられる人は少ない。

ほとんどの人は、現代文明の代償として、なす術もなく流されるままになっている…。

ダルマさんが言った、「…普通のマンションに住んでるの…」という言葉は、”まだ流されるままになっているの?まだ脱却できないの…”という哀れみのこもった言葉だ。残念ながら、ワタクシには、現代文明の足枷を突破できる強さがまだ備わっていない…ということ。

そういう人でも、ここでは、他人のふんどしで、森の生活、が実践できる。

■ 登るのはついで、だったんだよなぁ…

そう、言うは易し、行うは難し…が、ウォールデン、の生活だ。

私自身、山を始めた理由は、文明の悪から脱却し、自然界との付き合い方を学ぶためで、別に5.12を登れるようになろう!とか、思っていたわけでもなく、ギリギリボーイズの皆さんのようになって名を成したい!とか、思ったことは一度もない。(当然ですよねぇ…)

美しい山をテントの中から見れたらいいな♪って、思っただけだし、それは実現した。

厳冬期のテント泊で荘厳なる頂きを眺める経験はできた。

思えば、私はこれまで夢を実現してきたし、これからもしていくべきなのだ。

なのに、なぜ、今、自分の命を粗末にするようなクライミング仲間を制止するご意見番みたいなブログを書いているのだろう…(トホホ…)

そもそも、フリークライミングに進んだのは、それが山の基礎力であるからに過ぎない。しばらくは基礎を固めなさいということ。

基礎力をおろそかにして、高度な山に進んだために死んでいく奴を制止するのは、私の役目ではなく、死んだとしても、本人の業がなせる業に過ぎない。手放せ、手放せ、と神が言うのに、なかなか、手放すことができなかった…。

それは、弟のことがあったからだ。24歳で突然死した。アレルギーがあって口をぽかんと開けているだけで、低知能扱いされ、大した学校に行けなかった弟だ。みなが彼にも分かるように解説してやらない。クライミングのリスクも、誰にでも分かるようには説明されていない…そう感じていた。弟にも分かるように説明してやらねば…。その思いが私の業だ。亡くなった弟に亡くなる前の8年も会っていなかった罪悪感とか、そういうものがそうさせているのだろうか…。

ダルマさんの家に行く一日前、実は、まさに、その、せめぎあいの渦中にいた…。奥村講習だ。”救いの手”ということだ。なにしろ、3級しか登れないのに、ノーマットで登りたい、2段を登りたい、とかいう、頓珍漢なボルダラーに会った折に、突然、降ってわいたように現代のトップクライマーである奥村講習が出てきた。まさに天の声。急場で差し出された救い。お釈迦様が垂らした蜘蛛の糸。樋口先生、ありがとう!だ…。

■ 森づくり

さて、今回の滞在で、私が最初に任された仕事は、家の周辺での薪の集材だった。平たく言えば、”薪、拾って来て”。子供にもできる(笑)。

だが、小川山と同じことで、周辺の拾いやすい薪は、拾いつくされていた。

薪を拾うにも、人間の通り道に、一杯、支障木が出ていたので、登山道を作っているときの要領で(そう、地域山岳会でもまともなところなら、地元の山を歩くときは整備しながら。つまり、なたで枝はらいをしながら、歩かねばならない…。そして、私が所属していた御坂山岳会は、富士山の遭対協をしている由緒正しい山岳会なのだった。当然、山のイロハは新人にも伝えられる)

私が暮らしたログハウス2棟は、尾根の上に建っており、左右は傾斜の強い谷になっているので、一般登山レベルの人には、ちょっと傾斜をこなせないレベル。なので、お二人も谷へは降りていないそうだった。山やじゃないから、当然か。

尾根沿いは、当然ですが、自然林。といっても、パイオニアツリーのタラノキとか、ヤマウルシのようなもの…、枝が張り出して、通路は自然に還りそうになっていたので、なたで落として、以後、通りやすくした。つまり、整備ということだが…なんだか、整備したいのに自分の森がなくて、欲求不満だったみたいで、不満解消されて、楽しかった(笑)。途中、昔の山岳会の仲間を思い出したりして、くれさん元気かなぁ…などと感慨深い。

道をふさぐ巨大な倒木の松があった。風倒のようだった。形が良く虫に食われていない松ぼっくりを大量にゲットしたが、倒木処理だけに1時間くらいかかった(笑)。手ノコしかなかったので、まじめに手で伐ったからだ。次回はチェーンソーを持って行けば、もう少し薪が取れるが、松は脂がでるので、外の湯船の湯沸かし専用だそうだ。

私は沢もやっていたので、不整地は慣れており、谷の方にも降りてみたら、植林地は古い踏み跡があったが、下草で道が閉じてしまっていた。下に降りてから、踏み跡を伝って上がるのは簡単だけど、降りる方は、降り口が見つからないので、安全に降りようと思ったら、尾根から、遠回りしないといけない。当然だが、山では下りるのは難しく、登るほうが簡単だ。

これはよそのですが、小屋番でも
薪を上げるのは大変っていう事例

まぁ、それでも家の周辺のことで、大して距離があるわけでもない。車の生活で運動不足になりがちなので、運動がてら…が、良いかと。谷のほうは他人の植林地のため伐倒はできず、落ちている薪を拾おうと思ったら、いったん、下の広場までおろして、チェーンソーを持って降りて、運べるサイズにし、持って上がりたかったら、背負うための背負子が要りそうだ。
背負子はこういうもの

余談だが、大体、山小屋では、20代の男子が担当。強い子は、50~60kgは担げる。

女性でも本格的な山をやる人は、25kgまでは担げて歩けるはず。一般登山者は、登山装備が軽くなっていることがあり、60代のおばちゃんになると、12kgも担げない。30~50代の壮年期の男性なら、30kgは特に問題なく担げる重さです。

南アルプスの両股小屋では、60代の星さんという女性の小屋番さんが、歩荷で荷揚げしていた。”年を取って、20kgが堪えるようになってきた…”と言っていたよなぁ…。大体60代の男性と40代の女性が同じ強さなので、星さんが60代で20kg担げるというのはスーパーおばあちゃんだということだ。

■ 針広混交琳というけれど…

さて、放牧のほうはさして手がかかるわけではないので、私の持ち場、は、皆伐跡地での薪の集材だった。


これは、チェーンソーに使い慣れたい私には、とても良い持ち場だった。

持ち場には夜明け直後に到着する。山の朝はとても気持ちが良い。宇宙の英気がみなぎる時間と言われるブラフマムフルタの時間帯には、すでに起きて朝食を済ませ、夜明けとともに仕事を開始する。今の時期は日の出が遅く、7時半から8時頃。

以前、山仲間と山は何時が一番きれいか?で議論したが、8時頃の山が一番美しいという意見が強かった。たしかに午後になると、空気が疲れた感じというか、よどんだ感じがしてくるものだ。

私の持ち場は、緩やかな谷地形の皆伐跡地だったが… 分かったことがある。

広葉樹は、かかり木の元凶、ということだ。

なにしろ、横に枝を伸ばしているのだから、当然、倒した木が引っかかってしまう率が、すっくと立っている針葉樹より強いのである。

そりゃそうだなー

これを見たら、かかり木は必然だな~と思ったが、これを取るのは、フェリングレバーでは、ちと厳しそうだし、ロープで引いても同じで、登ってかかっている木を玉切りする以外に有効な手立てはなさそうに思う。

もちろん、フリークライミングの手法ではランニング支点がないので、登れない。

ので、なんらかのエイド技術が必要だが…。長いはしごを装着し、固定したら、登るのは簡単そうだし、上の枝に確保を取り、ぶら下がって、ホーリングでチェーンソーを上げ、2,3玉切りの要領で枝を落とせば、かかっている木の伐り方自体は大変そうではない。このままだと、上の木の搬出に支障が出そうだ。
 
一般に、都会の自然保護主義者は、針葉樹と広葉樹が共存している針広混交林とか言うが、現実的に、材を搬出しようとしたら、まぁ、それは手がかかる、という意味だと分かった。

今回は、私は伐倒はせず、すでに落ちている材の解体でチェーンソーを使っただけで、伐ったのも、せいぜい15cmの丸太サイズである。それでも、丸太を下におろすには、尺取り虫の要領で、丸太を持ち上げては倒す、持ち上げては倒す、と繰り返す必要があり、下に人がいると、倒した木がどこへ向かうのか、定まらないので、危ない。一人でやるのに適した作業で一人でやるのに適した場所だった。

山でもいつも単独登山で、一人が好きなので、マイペースで作業ができ、山の中でいい空気を吸って過ごすことができて、気分が良かった。マイ山バイト、農業バイトの中でも、1、2を競う、快適な仕事だった。これなら、毎日でもいいなってくらい。この現場が終わったら悲しいなぁ…。

玉切りするにしても、複雑に折り重なったふくらはぎサイズの丸太は、跳ねたりしたら、それなりに危険なので、ゴーグルで目の保護くらいは必要だし、つま先に丸太が落ちて来ても嫌かもしれない。あれこれ、一応、リスクを考えて、どこを切ると効率よく、ばらせるか?を考えるので、考えては伐り、考えては伐り、の連続だ。ただ、やっていると、飽きても来て、作業が雑にもなってくる…人間、めんどくさいと、手っ取り早くやろうとする…ので、振動障害の予防からも、朝やって、昼からは、別のことをするのがいいだろうとは思う。

そういえば、振動障害的には、一日の振動被ばく時間をトータルで2時間以下、にするように指導されている。

11時前には帰宅し、お昼ご飯を待っている間は、チェーンソーを研いで過ごした。
このゲージがすぐれものだった

私は大規模な伐倒はできないが、コツコツ小さく重ねるレベル感で、支障木とか、小さい直径の伐倒ならできると思うので、次回は、伐倒用のギアを持って出かけたい。

これは、私の延岡研修での伐倒動画。なかなか、この時は、緊張していたが、今回の仕事では、チェーンソーはあっという間に使い慣れた。サイズが小さいのが良かったのかもしれない。たぶん、大型のチェーンソーだと今でも怖いかもしれない。


くさびを使うのが現代では、標準で、伐倒方向を確実化し、飛び跳ねが最小化できる。木って倒すとき、倒す方向の反対に飛び跳ねることがあり、それが木こりにとっては危険なんですよね…。

■ なんでもあった…

さて、薪、重要! 薪、入手困難!と分かったところで、現代版ウォールデンな暮らしとは、どのようなものであろうか?

実は山小屋暮らしを経験した人には、楽勝感があった…。

実は、冷蔵庫も、洗濯機も、パソコンも、Wifiも揃っており、現代生活に必要なものは、すべてそろっていた。(ちなみに山小屋では、冷蔵庫ではなく冷凍庫)

ので、森の中に家があって環境が抜群にいい!という以外は、普通に、ここから出勤…つまり、会社勤めなども、やろうと思えばできてしまう。(そういう人がいたら楽しいだろうなぁ…)

長野の師匠の家は、いわゆる”別荘”で、カラマツの植林の中に立っている家だったが、あれが、手作りに変わっただけで、完成度の差以外は、特に変わりがない…。

人に立ててもらった家でも、ログハウスはログハウス。

でも、自分で建てれば、愛着もひとしお

長野の青ちゃんは、確保実験棟とか立てているお金で、伐倒を覚えれば、薪問題が解決し、薪の代わりにウエアを巻き上げられる(笑)ということもないのではないだろうか…。

まぁ、いくらプロが作ったログハウスでも、-20度を下回る佐久では、暖房薪だけで生活するのは、アイスクライマーくらいだよなぁ。そりゃ、寒いわ!

一方、こちらは九州の家。温暖で、薪さえあれば、寒さはいうほど堪えない。

快適な森の中の暮らしの様子

中はインテリアが、アーティストの女性が暮らしているだけに、アート作品や花が飾ってあったりして、ステキだった。ロフトもあって、ロフトで寝るようになっている。

予想せず、自分が願っていた薪生活にありつくことになった。で、

あって驚いたのが、プロパンガス。なくて驚いたのが、こたつ…。

山小屋では、こたつは必需品って感じで、小屋番していたら、特にそうだからだ。

ちょっとお勧めしたいと思ったのが、オンドル。温かい空気が、煙突から空に抜けて行ってしまうので、輻射熱以外にもオンドルで床から温められたら、嬉しいのではないだろうか?

オンドルだとそう本数が要らないそうなのだ。この家の薪ストーブは、刈っても刈っても、薪が消費されてしまい、薪の消費に供給が追い付かないみたいな感じだった(笑)。

そういう訳で、”その日薪暮らし”。

■ ご褒美は野天風呂

特筆すべき、ご褒美は野天風呂。

これは、ホーローの浴槽があるからこそ、可能になる。直火炊きの野天風呂だ。新鮮な水をゲストには入れてもらえる。炊きだしてから4時間くらいかかる。持ってくるとき、ものすごく重たかったそうだ。

これはかなりおつです。隣にテーブルを作ってお酒を飲みながらやるといいかも…


■ 森で暮らす基礎スキルとは?

さて、このウォールデン暮らしを実現する、基礎力は、トイレ対応寒さ対応だ。

具体的には、自分を凍える寒さから守れて、野ぐそが上手に出来なくてはならない。

これは、そのまま、一般登山の山やが、山をスタートしてすぐに習得することだ。

私が、今回快適に暮らせたのは、この二つの基礎力が十分身についていたから、という理由による。

■ 野トイレ

本来、自然界には、トイレはない。

この家には手作りの外トイレがあり水洗だそうだが、使う理由が見つからなかった。外の方が快適だからだ。

昨今は、登山ブームで登山口にトイレが整備されてしまい、野ぐそスキルが落ちている登山者が多く、人気がない山に行くようになるまで、スキルが身につかないという事情があるが、一般には、”お花摘み”とか、”キジ打ち”とかいう言葉で、登山者に親しまれている。

実は、野ぐそは偉大なスキルで、野ぐそだけの本も出ているくらいだ。登山者は、芯抜きのトイレットペーパーを持ち歩いている。

クライマーも本来はそうだが、例に漏れず、最近のフリークライミングでは活動自体が軟弱化し、レジャー化してしまったので、トイレスキルがない人が多いが、例えば、ヨセミテでビッグウォールをやろうと思ったら、空中野ぐそができないと登れない。

適所を見つけるのと処理がスキルの内容で、基本は、穴を掘って埋める。通行するところにはしない。小用は、雨の当たらないところにしてはいけない。どちらも分解を促進させるのが大事だ。

■ 寒さマネジメント

次は、寒さのマネジメントスキル。

これはスリーレイヤーが基本だ。アンダー、インサレーション、アウターを重ねる。

アンダーが最も大事。アンダーはウールもしくは化繊、インサレーションはダウン、アウターはゴアテックスが、定番だ。

寒さ対策ができるかどうか?は、-10度以下になる山では、生死にかかわる。なので、衣類は、ファッションではなく、装備、である。

この認識の差が都会人には、まず敷居が高い。どうしても、憧れレベルで、なんとなく森っぽいが、機能的に森での用途に満たされないものを買って来てしまう。例えば、コットン製のアウターとか。コットンは気化熱で体温を奪うので、雨が降ったら、体温を奪われ、脱いだ方が温かい。化繊かウールでないと、気化熱での低体温化は防げない。

ソックスと手袋、ネックゲイターや頭の防寒も、重要な装備だ。都会生活者は、小物を使わない生活ですっかり忘れてしまっている。なので、あえて言ってやらないと、途端に寒さを感じることになるだろう。手首、足首、首、なんでも首とつくところが寒い。頭も皮膚が薄いから当然寒い。

私が暮らした小さいほうの小屋
私が今回滞在したのは、厳冬期1月だったが、日中気温は8~10度にも上がり、朝夕でもマイナスになることはなかったので、3レイヤーの基本を守っていれば、大げさな衣類は要らない。

暑くなったら脱ぎ、寒ければ着る。

停滞時は、冷える前にすぐに防寒着を着る

これも基本だが、出来ていない人が登山者でも多い。山小屋に入ったら、アウターを脱いで、ダウンを着るんですぞ?

運動量がある、出かけるときにダウン着たままだと、すぐに脱ぐことになる。

農業もアウトドアの活動ではあるので、基本は同じなのに、農家の人でも、いい加減な服で、だましだましで、寒い寒いと文句を言う人が多い。大体、よく見たら、アンダーとかを着ていないとか、何だ、ちゃんと防御していないじゃないか、ということが多い。冬はズボン下は必須ですぞ?冷えは下から来る。靴も防寒靴、っていうのがありますが、ゴム長は断熱しないので、とても寒い。

■ すすけてしまうが不潔ではない

牡蠣焼いて食べれる
室内で薪を炊いていると、どうしても、色々なものがすすけて来てしまう。

それで、すべてのものが薄いグレーの被膜を一枚被せたみたいな色合いになって来てしまい、それを不潔だと勘違いすることもできる…

映っているケトルを見てもらえば分かると思うが、不完全燃焼する薪だと、ガス火と違って煤の焦げ付きがひどい。

衣類を薪ストーブの上で干していると、もれなく、衣類もグレーっぽくなるんだが…別に不潔ではない。

まあ、見るもの、というのは、なんでも比較の問題で、糸島ではオンボロ車に見える私のマイカーが、ダートに汚れた農業用の車に囲まれていると、高級車に見えたくらいだからなぁ…。まぁ、すすけては来るが、女性が暮らしているので、不潔ではない。

私は、立派な家でも、不潔な家だったら、速攻で帰ることにしている。前回、大阪にウーファーに行ったときは、人間も家も不潔で、一晩持たず、すぐに帰った。今回は、清潔度ではきれいで、快適。

■ 丸太小屋づくりも学べるかも?

伐倒ができるようになれば、丸太が手に入る。これは当然といえば、当然だ。

丸太が手に入れば、ログハウスができる?かというと、答えは微妙だ。

Yesでもあり、Noでもある。

まず、丸太の量の確保が問題だ。

それから、運搬

そして、積み上げには、動力がいる。

動力に、ユンボが使えないと、人力で丸太を持ち上げることになる。

この辺りは、『大草原の小さな家』を見ていれば、その実際の大変さがうかがえる。テレビドラマとはいえ、かなり事実に基づいていると思われる。(https://amzn.to/3AfnU1d エピソード1の20分のあたり)

実は、私はユンボ、使える。なんという導きだろうか…。

もしかしたら、ログハウスも作れるのかなぁ…。夢は膨らむが、出来ているログハウスに暮らせるのと作れるのは別の話だからなぁ。(ちなみに、ここのログハウスは、20年ものだけに、コーキング材がすでに痩せて抜けていて、寝ていると外の光で布団の上がストライプになる)

伐倒は、岩場の整備でも使うことがあるし、もちろん、玉切りは、女性でも取り組みやすいので、チェーンソーワークは絶対に必要だと思っていた。

が、ユンボは使うことを想定できなかった…まさか集材や作業道は、女性の私は見ているだけだろうと思ったのだった…ので、基本操作を終わったところで辞めてしまい、道作りまでは教わっていないので、2月に美里町まで教わりに行く申し込みをすることにした。

というのは、ダルマさん、別の場所に大きめのログハウスを作るアイディアを温めているようだからだ…。それには、ユンボは搬出でも、必須の技術になる。

今のログハウスのサイズは、六畳の小屋、四畳半の小屋の二つで、暖炉がある小屋が欲しいだそうだ。(本当に暖炉が出来たら、すごい)

■ まとめ

というような、今回のウーフ経験だった。

ラオスのグリーンクライマーズホームでは、岩場のすぐ後ろで、牛が草をはんでおり、さらにヤギが放し飼いされ、スマホをのぞき込んでいると、ヤギが遊びに来ていた。

寝床はカヤ付きの簡易ベッドで、ずらーっと並んでいる様子は野戦病院みたいだったが、別に生活は快適だった。シャワーはちょろちょろしか出なかったが、ヨーロッパ人は水がないのが普通なので、それに文句を言う人はいない。

それを思うと、水使い放題のログハウス生活は天国だった。

動物も犬と猫がいて、人間と動物が寄り添って暮す暮らしが実現されていた…。こういう場を日本のクライマーにも提供したら、人生が変わる人が大勢出るのではないだろうか?

クライマーは、有り余った生命力を向ける矛先を現代社会以外に求めたい人たちが多いのである…が、残念ながら、グレードを上げる以外に矛先を向ける先を見出せない人が多い。

いっくらクライミンググレードを上げたところで、世界の頂点に立つクライマーは、それこそ幼児期から、親の一流クライマーに英才教育を受けているわけで、そんな奴らが、わらわらと湧いてくる現代に、趣味のクライマーが、グレード自慢していても、目くそ鼻くそレベルの話にしか、どうあがいてもならないのであるし…

ちっぽけな自己顕示欲程度しか満たせない、そんな不毛な足の引っ張り合いをするくらいなら、地球を愛するメンバーに参加してもらいたいものである。

そもそも、ロッククライミングは、ゴルフ場開発なんかより、うんとエコフレンドリーだ。

延岡の行縢辺りに、建てれないのかなぁ… エコなクライマーズハウス。行縢は、色々なクライマーが入って、あまりローカルが牛耳っていそうでないのだが…。

2021/11/12

女子も憧れることができる薪生活

今回のトリップで、一番感動したのは、サーファー加藤さんの家。

彼は、Wwoofingをしながら、理想の居住地を求め、日南に落ち着いたそうだ。薪風呂暮らし。

水上村の人によれば、薪生活は、長野より、九州の方が楽だそうだ。長野だと同じライフスタイルを求める人が多すぎるということなのだろう…。

長野などでスタートした人たちが押し出されて、九州に流れて来ているみたいだ。


五右衛門風呂の様子


ぼっとんのトイレ。よく山小屋で見るけど、雨が降ると水位が上がっておつりがくるという問題がある。












居室は、学生のころ住んでいた長屋とほとんど同じだった。日本の木造建築は、安普請のことが多いよなぁ…。まぁ、町にあるものは仕方ないかもしれない。大阪でも町屋で保存価値があるようなものは、ほとんどない。安かろう悪かろうの家が戦後の焼け残りで残っているということの方が多い。

さて、木造建築を女性が好まないのは、おしゃれでない、からだろう。男性が、自分自身のかっこよさを求めるのと同じ程度に、女性は、見た目的に美しい住環境に身を置きたがる。

木造 × 薪生活 で、こんな住生活空間はいかが~?という図。西洋風である。というのは、現代のおしゃれさ、すてきさは、西洋に対するあこがれがベースになっているからだ。
仕方がない。

すてきなメインベッドルーム。 梁を見せる、でも、和ではなく、洋。日本でも定番の漆喰の壁でも、こんなにおしゃれ。


夫とヨセミテに行ったときに、ヨセミテバムというゲストハウスに泊ったが、こんな感じだった。インテリアグッズだけ、洋風にしたら良し。ホテルと同じだ。

これも、どこにも特殊なお金はかかっていそうではない。

 おがくずのトイレ。ぼっとんだとしても、洋式に変えるほうが現代人受けするであろう…。デイビッドは大阪の長屋に来て、和式のトイレで苦労していた。

これだけは、洋より、和の勝利と思われる…非現実的なセッティングのお風呂。

お湯を沸かす方法がないよなぁ…。五右衛門風呂を洋風化したら売れるかもしれない。白いタイルに変えればいいのではないだろうか?

甲斐駒七条小屋のように、温かい小屋はどうやって作れるのだろうか?

めっちゃあったかいよなぁ…七条小屋。