2026/07/09

【AIとの対話】岩場のうんこ問題について

 ジムを拠点にクライミングを始める層が増加している現状において、野外活動に伴う環境負荷や衛生管理の知識が十分に共有されていないという課題は、多くのクライミングエリアで議論されています。

ご提案の「クライミングジムのトイレへのポスター掲示」には、以下の利点と、実行にあたって考慮すべき論点があります。

ご提案の利点

  • ターゲットへの直接的な接触: 知識が不足している層が日常的に利用する空間であるため、最も効率的かつ直接的な教育・啓発活動となります。

  • 心理的障壁の低減: 「外岩に行くなら知っておくべき必須知識」として提示することで、初心者にとって「尋ねにくいこと」を自然に学べる環境を作れます。

実行に向けた検討事項

この施策を効果的に進めるためには、以下の要素を盛り込むことが有効です。

  1. 「マナー」ではなく「ルール・必須事項」としての提示

    単なる推奨事項ではなく、残置物(排泄物やトイレットペーパー)が環境に与える悪影響(水質汚染、景観破壊、感染症リスク)や、それによってエリアの利用禁止につながる可能性があるという「事実(リスク)」を強調することが重要です。

  2. 具体的な手法の図解

    • 携帯トイレの使用方法(キットの持ち出し方から回収方法まで)。

    • 穴を掘る場合(Cat hole)の適切な深さと、水場からの距離(国際基準であるLeave No Traceの考え方など)。

    • トイレットペーパーを持ち帰るためのパッキング方法。

      これらを視覚的に分かりやすくまとめる必要があります。

  3. エリアごとのローカルルールの尊重

    場所によっては「完全持ち帰り」が義務付けられているエリアもあります。全国一律のポスターであっても、「行く先のエリアのルールを事前に確認すること」を大前提として記載する必要があります。

  4. 配布・掲示のスキーム

    全国のジムにどのようにポスターを届けるかという課題があります。

    • クライミング関連団体やJFA(日本フリークライミング協会)などの組織を通じて配布する。

    • ジムのオーナーや管理者が「クライミングの未来を守るために必要」と共感し、自発的に掲示してくれるような、啓発性の高いデザインや文言の構築。

現状、各地のクライミングエリアでの残置物問題は深刻化しており、利用者の教育不足はエリア閉鎖の主要な要因の一つとなっています。ジム側も顧客がクライミングエリアを長く利用できる環境を望んでいるため、このアプローチは非常に現実的かつ合理的な対策と言えます。


構造的な課題:なぜ「現場」で伝わらないのか

ご指摘の通り、クライミングジムで完結する層にとって、外岩は「ジムの延長線上にある遊技場」と認識されがちです。

  1. 「持ち帰る」という概念の欠如: ジムには清掃スタッフと整った水洗トイレがあるため、「出たものは処理される」という環境に慣れきっており、野外での排泄処理(特に「持ち帰る」という行為)が自分事としてイメージできません。

  2. エリアアクセスの知識不足: 岩場が私有地や水源地であり、住民の生活基盤の一部であることを認識する機会(登山歴や山岳教育)を経由せずにフィールドへ出るため、排泄という行為が「土地所有者への重大な不敬」であるという感覚が希薄です。

啓発に対する今後の展望

ポスターの掲示は非常に有効な手段ですが、より踏み込むのであれば、ジムでの講習カリキュラムに「外岩への適応プログラム」を組み込むことが考えられます。

  • 「うんこ持ち帰り体験会」: ジムの入り口で携帯トイレキットを実際に組み立て、密封袋に入れ、ザックにしまうまでの一連の動作を研修メニューにする。

  • リスクの可視化: 過去に閉鎖された岩場の実例と、その理由(排泄物放置による住民とのトラブルなど)をセットでポスターに記載する(具体的なエリア名を出すか否かはJFA等の公式見解に準拠しつつ、事実としての重大性を強調する)。

クライマー側が「外岩を利用させてもらっている」という謙虚な姿勢を欠いたままでは、今後さらに閉鎖されるエリアは増え続けると考えられます。ジムでの周知活動は、現在のクライミング界において最も優先すべきマナー教育と言えます。

2026/07/07

サンドバッギング(グレードの過小評価)がアメリカで話題に

https://note.com/kinny2021/n/n0464af03a617?app_launch=false

クライミングにおける「サンドバッグ(sandbag)」という現象は、まさに「(登った本人や地域の基準では)5.10cの実力が必要なのに、あえて(あるいは歴史的に)5.9とラベルを貼られている」という状態を指します。

この状況を細かく分解すると、以下のようになります。

1. 「俺にとっては5.9(基準)」という心理

「実際は5.10c相当なのに5.9と呼ぶ」背景には、主に2つのパターンがあります。

  • 「歴史的・地域的な基準(ローカルスタンダード)」:

    昔の開拓者が、そのルートを「5.9だ」と言って初登したため、そのエリアの基準が全体的に低く固定されているケースです。そのエリアのクライマーにとっては「これが標準(5.9)」であるため、客観的に見れば5.10c相当の負荷があっても、彼らは「5.9」と呼び続けます。

  • 「個人の能力による主観(エゴ)」:

    質問者さんがおっしゃる「俺にとっては」という感覚に近いです。登った本人が非常に強かったり、特定のムーブが得意だったりすると、客観的には難しいルートでも「簡単だったから5.9だ」と判断してしまい、それがグレードとして定着してしまうケースです。

2. なぜそれが問題(議論の種)になるのか

提示されたテキストにもあった通り、この「サンドバッグ」は以下のような不和を生みます。

  • 後続クライマーの混乱: 5.9だと思って挑戦した初心者が、実際の5.10c相当の難しさに直面し、安全上のリスクを負ったり、自信を喪失したりします。

  • 「土嚢(重り)」という表現の意味: 本来の難易度より低いグレードを付けることは、後から来るクライマーにとって「偽りのラベル」を背負わされるようなものです。そのため、皮肉を込めて「サンドバッグ(重りを背負わされた)」と表現されます。

3. この状況をどう捉えるか

今回のテキストの著者は、この「5.10cなのに5.9と呼ぶ」という主観的で曖昧な状況を解消するために、「動きの難しさ(Vグレード)」と「持続性(S評価)」を分離しようと提案しています。

著者の主張を当てはめると、現在の「5.9」というラベルを盲信するのではなく、

  • 「核心はV0(5.10c相当)の動きがある」

  • 「全体的にS8(持続的にパンプする)である」

    といった客観的な構成要素を提示したほうが、エゴや歴史的背景に左右されずに、クライマー同士が正しい情報を共有できるのではないか、ということです。

したがって、「『俺にとっては5.9』という個人の物差しがグレードとしてまかり通ってしまう現状」こそが、まさにこのシステム提案が変えようとしている対象そのものと言えます。