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2023/12/30

【九州クライミング】特攻気取りの出所=歴史の無知

 ■ 特攻気どり

庵に泊まった時に、三澤さんと話をしたが、どうも、九州・比叡での、バカバカしいランナウトは、特攻気どりに源を発しているようだった。

つまり「俺が行かねば誰が行く」「お国のために」が、「俺がリードせねば、誰が行く」「山岳会のために」みたいな拡大解釈がされているということだ。

しっかし、この解釈って、基本的に間違った戦争教育による。

このことをUIAAのスティーブ・ロング氏に話したところ、氏の反応は、「バカバカしい。大の大人がそのような短絡志向をするはずがない」ということだった。しかし、これは三澤さんから、におわされた思想であり、なんか、滅私奉公を美化する文化が九州にはあるんだが…。

盲目的にお上に滅私奉公することは良いことではない。なぜなら、お上は間違うものだからだ。

つまり、戦メリのハラさん、そのままで、自分が何の悪いこと官をしたのか理解できず上官に従っただけであるのに、なぜ死刑なのか?と言うような話を現代で行ってるってことだ。

その文化は、為政者から見たら、”バカな庶民をいいように使え”という詭弁に使われる思想で、歴史的に、無知を基盤にして、庶民が騙された歴史という結果になっているのであり、戦争と言う国の大義が傾けられたものならいざ知らず、2023年の現代において、単なる趣味である、ロッククライミングで、命がけにしてしまうことは、まぁ、あんまり根拠がない… 

趣味で死にたい人います???

いや、どう大義名分を作ろうが、バカバカしい、としか思えないんですよね。

例えば、クライミングは、本来、不確実性を内包しつつ、自分の内に確実なるものを見出し、それを頼りに登っていく、と言う活動ですが、タダのランナウト自慢では、そのような精神性は考えにくいです。

私も比叡をリードしているので、その時は、この程度のレベルでは落ちない、という確信があるので、登りましたけど、だからと言って、ランナウトというものを自慢したいというのはなかったです。なんか知性がないことを宣伝するみたいな気がする。

■ 愚かな戦争観

しかし…この戦争に関する無知というのは、情状酌量の余地があるかもしれません。

というのは、戦争に関する日本側の戦争教育って…加害の歴史は知られず、一方的に被害者の歴史を語るもので、自己憐憫を起点にしています。

戦争に翻弄された哀れな俺や私を、嘆き悲しみ、憐れみ、だからこそ、戦争反対、という論理が一般的なわけですが、理解しなくてはならないのは、戦争に賛成した国民であるということなんですよね…。

また戦犯たちもさばかれず、結局のところ、憎まれっ子世に憚るという路線で、結局は、日本は同胞たちを売った売国奴たちが富を得て、その富は無数の犠牲者の上に成り立っているのに、それを黙って放置している国民性ということなんです…

その姿勢…は、大阪のピース大阪という戦争記念館でも同じでしたし、長崎の原爆資料館でも同じで、結局は、史実の無視、現実を直視しない日本人体質の強化、につながっているのでした。

■ 戦争犯罪者たちの名前

笹川良一 → 安浦ハウスで公的売春で莫大な利益を得、日本女性を売春婦ならしめた人。それだけでなく、ギャンブルを普及させ日本国民の堕落と低知性化に加担した人。

石井四郎と京都大学医学部、ミドリ十字 → 731部隊で人体実験のデータをGHQに司法取引し、戦後の薬害エイズ問題を作った人。その子孫。

自民党&博報堂 → 満州アヘンマネーを基盤にし、日本人をマスメディアにより情報操作して洗脳してきた人たち

現在のガザ地区と同じ。日本は自分たちと同じ目に遭った人たちを攻撃する側、アメリカ側に加担しており、戦争経験が生かされたとはとても言えない。

それは、負の歴史が、臭いものにふたをする方式で闇に葬られたからです。西教授のフーバーレポートはこちら。



■ イギリス女性から無差別の攻撃を受ける日本女性

昨日、夕食を食べていたら、日本企業からの駐在で、クエートやイギリス、タイなどの生活経験がある女性と隣席になり、海外の経験をいろいろ聞いてみました。

イギリスでは、戦争未亡人になったイギリス女性に、無差別に攻撃を受けたそうです。通りを歩いていたら、傘でバシッと殴られたんだと…。

私もアメリカでは、体ごと持ち上げられ、連れ去られそうになったことがあり、恋人のデイビットが心配して、小銃を携帯していたころがありました…。私は体が小さく、若く見えるので、ほんと、危険なんですよね。

当然、持っているだけでは意味ないのでシューティングレンジに行って、発砲も練習はしたんですが、握力弱いので、打つのも大変。現実的ソリューションとは思えませんでした。

女性たちが海外で苦労し、道を切り開く中で、日本国内で、男性たちは現実逃避の道を選んでいるようにも思えますね… 

後世にツケを残したまま…。



2021/12/11

九州で一回目の岩場 比叡&雌鉾岳

2018年4月17日の記録からです。

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 比叡&雌鉾岳2

比叡&雌鉾岳は、初めていく初見の岩場でした。

1)トポだけを頼りに、

2)自分たちの調べられる範囲の情報だけで、なんとかする、いうタイプの山で、

3)登攀が含まれる山

は、私にとって、北アの明神主稜以来です。乾徳山旗立岩もか。しかし、今回は、不安なく行きました。というのは、

1)相手が知っている人で、

2)自分より登攀力2、3ランクくらい上

3)ロープワークや下降、読図、運転などは私がフォローできそう(私の意見を無視しない)

4)ちょっとしたミス(試行錯誤と言う)にイライラしないおおらかな性格の人、不安がるタイプではない

と分かっていたからです。実は、情報が乏しく、

・ニードルは人気があるが、フリークライマーに人気があるのであってアルパインの人は第一スラブとかだし、もしかしてトポに表れているより難しいのでは???

・庵・鹿川の人と連絡がが取れず、場所も不明で、行きつけるか不安

・トポに下降が詳しく書いて無く、岩の3Dの姿が理解しづらく、下降(敗退)に不安

・トポのグレード感で、登れると思ったところを登っていいのか?

でした。

岩の登りも、山も、

 未知の部分

を自分たちの力で解決するのが楽しいのに、未知の部分を異様に怖がる人だと、何もかも、予定通りでなければ、精神的に動揺したりします。私はそういう人と行くと、未知の部分を楽しめないので嫌なのです。

最低限、自分の身を守るスキル、ビバークとか、衣類とか、懸垂下降とか、ちゃんと携帯電話を持つとか、そういうことを達成したら、あとは、あまり調べこまず、未知の部分を楽しみたいなと思います。

が、これは下限が難しく、全く何もかも相手にお任せ、の人と一緒だと何とかしてあげないといけない側になってしまうし、なんとかしてよオーラを出す人もいます。それどころか、どうしてくれるのさオーラを出す人もいるので、そういう人とだと、あまりにも計画通りの山しかできないことになる…。

今回は、あまりベータを調べずに行って、その結果分かったことは

ニードル

・ニードルは超風強い。そのため声も聞こえない。すごく寒い!ウィンドブレーカー必携!

・下降は下降点が不明瞭。不安があったので、同ルート下降とほぼ同じインディアンサマー側から下降したら、ブッシュが多く苦労して、下降にだいぶ時間がかかった。

・ここはフリーでフェイスの相当のスキルがないとリードは厳しい。突破力が必要なところが、登り始めなど、落ちれないところにある。

・ダブルじゃなくてシングルでもいいのかも。

大長征ルート

・ルートが錯綜して分かりづらいと思ったがその通り

・スラブはインスボンよりもノーピン区間が長い

・登攀終了してから、一の坊主と二の坊主の間までのトラバースは2級だが、ザイルは必要、どこか支点にロープを通してさえいれば、簡易的なビレイ、グリップ程度で良いのでは?屈曲が多くロープが流れない

・最後に短いハンドサイズのクラックが出てきてトップアウト

・下降は登山道だが、登山道がまた分かりづらい 薄い踏み痕が多い荒れた登山で、数回、獣道へ

・ダブルが良いと思う 弱点を突くクライミング

・大滝左の最初の5.6も5.7も、ショートの5.9はある感じでかなりピンが遠い

今回は、合ってよかったロープワーク技術&総合力って感じ!!

・ニードルでコールが聞こえず、ロープアップもされず、ロープも動かないので、しびれを切らせて、登攀。とはいえ、そのまま上るわけにはいかないので、自己確保をロープクランプでとりながら、ニードル最終ピッチをセカンドで上がる。上がったら、やっぱり聞こえていなかった。たるんで余ったロープはループに巻いて回収しながら登攀したので、登攀がグレーディングより難しくなった。

・ニードルてっぺんで寒かったので、ロープワークが雑に。結局、きちんとたたんだほうが早かったと理解。

・ニードル終了し、正面壁へ最終ピッチの出だし、IV級A1は、フリーで超えられず、3回落ちたので、あきらめて、エイド。エイドもスリングで鐙を出すだけだと無理で、プルージック登攀も併用。あってよかった登り返し技術。ここは、デシマル返還で、5.7ならリードできるんじゃないかなどと、甘く見ていたところでしたが、一目みて、無理と思いました。フットスタンスの位置がどうみても、5.7レベルじゃない。A1ということは、昔の人は鐙を出したはずで、これは鐙を持っていけばよかったなと思いました。ぬんちゃくはセカンドだったので、もっていなかったので、スリングで切り抜けました。こんな登攀をしたのは、初めて連れて行ってもらった小川山のクラックで登れずエイドに切り替えたとき以来…  屈辱(笑)?

雌鉾岳

・一般ルートの地図を持っていくべきでした。ゲレンデ感覚で下降も明瞭だと思って調べずに行ったので、なんとなく歩いていると、薄い踏み後に導かれ、ルートを外すこと数回。毎回すぐに気がついて補正しました。山歩きの経験値のたまもの。

・一枚岩のスラブが素晴らしく、ほんとにインスボンみたいでした。登攀はインスボンより若干易しかったと思う。

・インスボンよりもランナウトはひどい

どちらも、適度なスレスレ感があり、楽しめた。ニードルの登攀はアップアップ感がありました… 最近アップアップ感があることよりも、確実感で登っていたので、久しぶりのアップアップ感でした。

成長を実感する山で、なおかつ、山が素晴らしくきれいで、モミジつつじなど、お花がいっぱい。新緑が美しく、素晴らしい場所でした。泊りこんで登攀三昧でもいいな、という感じ。

2020/08/18

2名のリードクライマーを一人がビレイ





この写真の異様さに今気が付いた鈍いワタクシ…

2019年の写真ですが、ホント、落ちなくて良かった。2名のリードクライマーを一人がビレイしています…しかも写真撮ってるって…手放し???

と思うので、ホントに落ちなくて良かった…。これは福岡山の会の人と初めて行った宇土内谷でアイスが凍っていなかったために、転進になった比叡です。

一般に初対面=ゲレンデのショートでロープ合わせ…いきなり初対面でマルチに行くなどありえないので、そのつもりで装備して行ったら…マルチを登らさせられる羽目になったんですよね。

このような事態を避けるには私はどうしたらいいのでしょうか? 

その知恵がない限り、九州のクライミング業界では、私はしたくないリードを無理やりリードさせられる羽目になっており、非常に危険です。ここは初見で取りついていますが、ホント落ちなくて良かったです。



2019/02/11

アイスもとい比叡

■ 宇土内谷の氷瀑

宇土内谷の氷瀑を見たいと思い、出かけたら、残念ながら、氷結はイマイチどころか一切ない感じでした…。



その場合、代わりに比叡の岩場に登る、ということだったので、てっきりゲレンデだと思っていたら、れっきとしたアルパインでした~。いや~ビックリー。

 山行計画書がない=ゲレンデ 

と思っていたからです。基本的に安全のために、ゲレンデを共有してからしか、アルパインルートは行かない、というのが暗黙知だと思っていた。

そのため、アルパイン装備ではなく、普通のゲレンデ岩装備で行ってしまった…(笑)。

まぁ、3000mの山ではなくアプローチも下山も小さい山で、感じがゲレンデみたいだからなのかもしれません。

しかし、フリーで5.10cRP程度のゆとりを作って行って良かったです。私が思うには、アルパイン(ランナウトが当然の岩場)では、決して落ちれないため、登攀力がギリギリでは取り付くことができません。

現在の私くらい…大体、5.9ならほぼ確実で、5.10aは9割登れる、5.10bはオンサイト出来るものもある、5.10cはRPがほとんど、登れるものが1割あるかないか、5.11aはトップロープで登っている、というスキルレベルのクライマーが、初対面のビレイヤーと取りつくのに、ちょうどよいのがⅣ-だと思います。

■ 1日目、失われた草付き

アプローチ 一般登山道30分 11時半スタート
 1P目 リード 
 2P目 リード 
 3P目 途中で墜落
 4P目 セカンド
下降  一般登山道 30分 15:30終了

きれいに晴れました☆
でした。前述のように重たいザックを背負っての登攀になったので、1グレードアップ。初めてビレイしてもらう人とだったので、1グレードさらにアップ。

まぁ、1,2Pをリード出来たので満足。

2P目は、プロテクションが1本しかなくびっくりでした。スモールカムを持っていけばよかったです。

そして、3P目はワンポイントですが、フリークライミングのグレードの部分があり、そこで核心の前にプロテクションが取れないので、墜落というか、意図的にやめ、敗退にしました。黒く変色した悪いスラブ。スタンスが遠くて私には届かない。

”山には一か八かはない”と習いました。
そこを行けば、私のスキルでは、”一か八かになる”ことが明らかな箇所でしたので、行かないこと=正解。

次のピッチは途中までは楽勝そうだったのですが、上でランナウトしている中で核心があることが下から見て分かったので、自主的にセカンドに振り分けてもらいました。

この岩場に通っており、ここをリードするのが課題の人がいたので、その方がリードするというので、適切な判断になったようです。落ちていたら、どか落ち。

■ ローワーダウン核心の初心者君

翌日は1P目 ナックルスラブ、2P目奥の細道、懸垂で帰る、ということに。

これはゲレンデで空荷での登攀です。アイスを登りたいという初心者の若い男性が来ていたから。初心者は別のところで登りました。

しかし、岩2度目でマルチにセカンドとはいえ駆り出されており、ローワーダンすら怖がっており、やっぱり、つい最近初心者の男性50代が来てくれた時に、性急にマルチに連れて行かなくて良かったなーと思いました。

実は、本当の初心者の時は、ローワーダウンもちゃんとはできないです。私もアイスクライミングの講習で、保科さんの講習に出た本当の1回目のクライミングでは、クライミングと言うよりも、ローワーダウンを習得しました(笑)。

もうずいぶん昔のことの様ですが、その後ギアも持っていない初心者をアイスに連れ出して、トップロープでもローワーダウンがダメで、ずるずると荷物のようにおろされている初心者を見て、本当の初心者だと、懸垂どころか、ローワーダウンもダメだということを知っていたから、一目見て、どのくらいの初心者君か、分かりました。

20代のぴちぴち男子でしたが、怖がってローワーダウンには、たった1Pで30分くらいかかっていました…。ロープにぶら下がるということができていない…

私たちのパーティは全員経験者だったので、特に問題はありませんでしたが

1P目 5.11RPできるクライマーでも、1テン
2P目 岩場に慣れたベテランでも、1墜落

だったので、まぁそれなりにギリギリに迫ったかも(笑)。初対面でギリギリに迫るのは、心理グレードが上がると思うので、きっと頑張ってくれたんだろうなぁ…と思います。

私自身は2日目は、セカンドなので、登攀を頑張るのが課題でした。1P目のワンポイントは、ほぼほぼ、ジャーマンスープレックス的なものでした。そして、2P目は、核心はランナウト。

■ ダブル

アルパインでは、ダブルでの確保が主体になりますが、ダブルだと、繰り出しに余計に技術が必要です。1墜落の後は、下のセカンドは2名だったので、それぞれ1本ずつをビレイすることにしました。

ダブルロープは一本ずつ、一緒に組むクライマー同士が持ち寄るのが通常です。

私はダブルもシングルも持っているのですが、判断するには、ルートが屈曲が多いのか、それともまっすぐなのかを知る必要があり、トポが本来はその役目を担うのですが、今回は、頭からゲレンデだと思っていたのが間違いでした(笑)。

私の知っている会山行というものは、”山は一番弱い者に合わせる”、という原則から、大した山は登らないので、どこを登るか?もたいして気にせずに行ったので、シングルを持って行ってしまいました。私にとって初回の会山行だったからです。

■ 充足感を作るには?

私の満足を作るには、最も易しい弱点から、どんどんとステップアップするしかないのだろうな~と思いました。

壁を山と見立てるわけですね。一般ルートから雪へ、そしてバリエーションへとステップアップしたのと同じです。弱点からスタートし、徐々に強点へ。

 山には順番がある

と一番目の師匠に習いました。それは、逆に言えば、飛び級は危険、という意味です。

なので、飛び級をしないで登る、という教えを守っています。

ただ日本のマルチピッチだと、それがなかなか難しいです… というのは、初心者向けの低グレードのところは、ランナウトが核心。つまり、落ちれない。

落ちれるルートはないか?となると、ボルトが整備されたスポーツルートということになりますが、スポーツルートはスポーツルートで、今度はレベルが高騰化しており、高難度過ぎて、初心者が登って楽しいと感じられる課題がほとんどない。

ということで、外岩だけで成長するのは、難しすぎ、人工壁とボルダリングジムを併用し、登攀力のゆとりをつけてから、外岩に行く、というプロセスが必要になってしまいます。

岩登りを教えてください!とやってくる新人さんというのは、普通、山に行きたいのであって、人工壁に行きたいわけでない。しかも新人さんは、このような外岩事情が分からない。

ので、新人さんには、納得がいかないことになってしまいます。しかも、セカンドであっても、アルパインのルートでは、登攀力のゆとりが必要で、それがないと、行っても何も楽しくないのです…。

このあたりで、よく考える新人さんなら、ビレイを習得する必要があることやムーブは身に着けて損にならないことを考えて、人工壁やジム通いを飲み込んでくれるでしょうが、そうでない人は、新人時代に大きな遭難をするリスクがとても高いです。

今回も岩2度目で来た20代男性の新人さんには、こりごりの経験になってしまったかもしれません。登攀は難しすぎたようで、ものすごく時間がかかっていました。

それは、指導者が悪いとか、新人がメンタルが弱いとか言うことではなく、日本の岩場の現況が、岩を岩でスタートするには、危険すぎることになってしまっているからです。初級クラスのクライマーには、八方ふさがりということです。

そういう意味で、行き止まりになった時、私はラオスの岩場という解に巡り合い、本当に良かったなと思っています。ラオスでは、初級のクライマーであっても、5.13レベルの上級クライマーであっても、同じように安全に登攀を楽しむことができます。

■ 比叡でリードにデビューするに適したグレーディング

私の観察によると、前の会で会長さんが専属で育てていた女性がいましたが、その人が5.10b~cを登る程度になるまで、ルートは、3年間程度、オールセカンドでした。支点も懸垂下降も教わる前に3年をオールセカンドで過ごす、という方法論もあるということです。その後、本チャンで5.7のリードが課題になる。この方法論だと安全マージンは分厚く、フリーで(つまり支点に頼ることなく)登れて当然ということになると思います。

したがって、もし同じように安全度が高い状態で初心者時代を過ごしたいクライマーがいるとしたら、フリーで5.10b~cくらいになってから、アルパインで、5.7~5.9程度の場所をリードするのが適切だと思います。

もちろん、人工壁やトップロープなどでは落ちながら登攀力を高めていくのが正しいと思います。

■ グレードは言わないほうがいい?

しかし、不思議だな~ ということがありました。

フリーでの、5.10bや5.10cを、Ⅳ+やⅤ-がスイスイのベテランは、登れないのだそうです。

そんなはずはないのになぁ… 食べず嫌い?と思ったりもしましたが、デシマルグレードを申告して、私に登れる適切なルートは何か?をベテランでも、判断することは難しい、ということが分かりました。

その部分も自分で主体的に判断すべきということですね。大体、適切に判断できるようになってきたと思います。

それにしても、RCCのグレード感から、デシマルへ移行するのは、大きな差があり、難しいことだったのだ、ということなのでしょう…。

60代になってフリーを習得した私の2番目の師匠が言うには、まったく動き(ムーブ)が違う、ということでした。

私自身は、いわゆる登山での3点支持から、フリークライミングでの片手、片足だけのムーブ(=2点支持)への移行は、とても大きなパラダイムシフトでした。

しかし、現代のスポーツクライミングには、その先があるということも分かります。アイスでは、ドライツーリングが現代のスポーツクライミングのワールドカップのレベルに達しているクライミングのようです。

■ グレードを追いかけない

グレードを追いかけるな、という教育を受けました。

しかし、現代では初登ということはありえない。ので、ルートファインディングをどうやって身に着けるか?というのは、非常に難しく、沢が一般的には、その位置づけにあります。

が、沢は、縦走、ゲレンデ、と比較しても、もっとも危険が大きいです。自然を味わうなら、沢ですが、リスクが大きい、というので、いつでも敗退を前提にしていないと取りつけません。まどろっこしい。

そうした、まどろっこしさを回避すると、岩となりますが、岩のルートには、すでにグレードが付けられており、それは目安程度の話だ、といくら言っても、すでにあるグレードがいったん耳に入ってしまえば、それを一つの物差しにせざるを得ず、期待というのができてしまいます…。というので、”惑わされるリスク”があります。

1回目で惑わされるのは仕方がないかもしれませんが、2度、3度というのは、その人自身のミスです。

惑わされるリスクを避けるには、新しい岩場に行くときは、

”どんなに高い登攀力があっても、その岩場の最も易しいルートから”

というのが一つの作法になると思います。

V級=5.9だと思って取り付いたら、とんでもない!ということを避ける、ということです。

V級に色々な難しさが含まれてしまうのは、それも仕方のないことで、1960年代以前には、Ⅴ級以上がないので、Ⅴ級には、5.9から上のすべてのルートが含まれてしまった経緯があるそうです。もちろん、その後、Ⅵ級、Ⅶ級というグレードも発明されたようですが、グレードはその岩場に慣れたクライマーがつけます。

一方フリークライミングで、期待されているグレーディングは、オンサイトグレード。慣れたクライマーだと当然ながら、オンサイトグレードより、簡単に感じるので、グレードは辛く出るようです。その辛さ度合いも岩場によってマチマチのようです。

そうしたアルパインルートのV級を登るには、5.9ならノーピンで登れるくらい、5.11+が登れるくらい=ゆとり付きで安全、というのが、当たらずとも遠からずなことのようです。あるガイドさんは、スポーツクライミングで5.11を登れないとアルパインのためのロープワークすら教えないそうです。

ですので、現在の私が登るのに適切なのはⅣあたりでしょう。

■ まとめ
  • 基本的にゲレンデを共有してからアルパインルートは行く
  • 分からないときはダブルかシングルかを聞く
  • ”山は一番弱い者に合わせる”
  • とりあえず、マルチの場合、アルパイン仕様で行くべし(捨て縄)
  • 山には一か八かはない
  • 山には順番がある
  • ”どんなに高い登攀力があっても、その岩場の最も易しいルートから”

2018/04/21

雌鉾岳 スラブ登攀 長征ルート

 さて、翌日(4/16)は、大快晴での幕開け。

気分が嫌がおうにも盛り上がる。6時起床、8時出発とした。

鹿川キャンプ場から普通に登山道を上がる。岩場巡りの勘が、小川山での偵察山行などで、すでに培われていて、よかった。数年前は、岩場に行く前にその山の一般登山道を歩いて概要を把握していた。

ここは、雰囲気は、瑞牆のカンマンボロンを見に行く道と同じ感じだ。右に沢、樹林帯を行くと、だんだんと岩が迫ってくる、と思ったらもう岩の基部。

比叡も、雌鉾岳も、地権問題がなく、標識が整備されているのが良い。

30分の歩きで、すぐに美しいトラバースルートのとりつきについたが、不安だったので、もっと先に行ってみる。すると、鹿川の大滝に出た。

ぱっくり岩という岩があるところも近いらしく標識が出ていたので、しばし、遊ぶ。

沢がきれいだった。本当に瑞牆っぽい。

大滝は圧巻の眺め。岩場も大きな一枚岩のスラブで、本当にインスボンみたいだった…


 こんな風なおおーという眺め… 盛り上がる。

 いや~素敵な場所だー

新緑もすがすがしく、鹿川キャンプ場に、夫とハイキングでまた来よう!と思う。
 パックリ岩。
 こんな大きさ。
 すいません、これはもう山頂。雄鉾岳の岩は垂直で取りつくしまなし!
 山頂、終了点からの眺め。

雌鉾岩は、登攀しなくても、山頂に立てる。が、岩のマルチピッチで山頂に立った時の感動が大きい山だ。
 山頂の様子。
 これは、アケボノツツジ!とても可憐でかわいい花だった。
洞窟になっている!水も澄んで、まさにカサメリ沢みたい!

というか、ほんとにいいところだー














さて登攀の様子を書き留めておかなくては…。

岩場の基部で、とりあえず、リードしますと申告。なぜなら、1ピン目が見えたからであるが…その次が見えないくらい遠いので、まるで1ピン目の意味なし。

だが、スラブは寝ていて、これは、インスボンだったら、アプローチ扱いの場所だなと思う…。韓国のクライマーはザイルを出さないところ。もちろん、私は出してもらったが…。

ので、これくらいはリードしなくては…。去年になってしまうが、小川山スラブでは一皮むけていたんだしね!

というので、1ピッチ目で朝一リード。ロープが重かったので、ビレイしている人のほうが緊張していたに違いない。

が、怖かったので、すごく急いで支点まで行ってしまったのだった…(笑)

2P目は相方リード。強つよクライマーでも、やっぱりリードは真剣。易しいところでも手を抜かず、見直した。

3P目は再度私のリード。つるべは早いね~と相方うれしそう。3P目の出だしで、フレークに小さいカムをかませるが、フレーク自体が浮いており、あんまり役立った様子はない。でも、取れるところでとらないプロテクションはかっこ悪いので、とりあえず取る。

が、トラバース気味で、あんまり…大きな木の根元でビレイ。

4P目相方。トラバース。

5P目は大トラバース…まぁ比較的大きな負っとスタンスがあるのであるが、何しろピンが遠い。2本くらいしかない。しかも気休めちっく。

6P目相方。で美しい‥‥は終了する。

7P目は、大滝左とつなげるバンド歩き。ここのトラバースは、先ほどの大トラバースより楽だったので、ダブルの流れをヌンチャク2個賭けで流すことをしなかったら、流れず、セカンドのビレイが大変になった。自分のせいなので文句は言えない。

さて、8P目の大滝左を見上げると、5.6のスラブなのに、とてもそうは見えない。かなりピンが遠い。相方リード。

9P目は、5.7で出だしが核心、しかも屈曲も激しい…相方にリードを変わってもらう。ロープを裏返して、ビレイ体制へ。

10P目は、3の坊主の下から、2の坊主、1の坊主の間へ。トラバース。ロープが流れずピッチを切る。ロープをつないだまま、確認のため、1の坊主のほうへ行ってみる。岩角でビレイ代わりにする。

11p目は、岩のてっぺんへ登るクラック登り5.9だが、ボルトは一個しかなく、ほぼフリーソロと同じ。

粒子が荒く、手が二人とも血だらけに。

これで終わりだった。山頂は、金峰山五丈岩って感じだった。ところどころに穴が開いており、雨水がたまっている。

山頂で少しのんびりし、行動食を食べる。素晴らしい眺め!隣の雄鉾岳だろうか、岩の壁がすごい!

後ははしごを降りて、一般登山道で帰るだけだったが、これもまた不明瞭なところがところどころあり、たまに獣道へ。そのたびに、これは一般登山道の感じじゃないなと補正して戻る。

こういうのは、読図の山や、沢山行などで、培った、大地に対する感覚のたまものだ。

しかし、九州の一般登山道は、本州よりも、迷いやすいみたいだ。

途中に巨大なサルの腰掛などを見つけたり、美しいアケボノツツジを見つけたりして、癒されながら下る。

スタートは10:30.15:00トップアウト、17時30下山完了。