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2023/06/06

【クライミングのスタイル】スポーツクライミングはロッククライミングではない

 という普通のことが分からなくなっている日本の山岳上位団体…

ということが総括かなぁ。九州クライミングの。

スポーツクライミングとロッククライミングは別物です。

ロッククライマーは、スポーツクライミングができるが、

スポーツクライマーは、ロッククライミングはできない。

2019/02/11

アイスもとい比叡

■ 宇土内谷の氷瀑

宇土内谷の氷瀑を見たいと思い、出かけたら、残念ながら、氷結はイマイチどころか一切ない感じでした…。



その場合、代わりに比叡の岩場に登る、ということだったので、てっきりゲレンデだと思っていたら、れっきとしたアルパインでした~。いや~ビックリー。

 山行計画書がない=ゲレンデ 

と思っていたからです。基本的に安全のために、ゲレンデを共有してからしか、アルパインルートは行かない、というのが暗黙知だと思っていた。

そのため、アルパイン装備ではなく、普通のゲレンデ岩装備で行ってしまった…(笑)。

まぁ、3000mの山ではなくアプローチも下山も小さい山で、感じがゲレンデみたいだからなのかもしれません。

しかし、フリーで5.10cRP程度のゆとりを作って行って良かったです。私が思うには、アルパイン(ランナウトが当然の岩場)では、決して落ちれないため、登攀力がギリギリでは取り付くことができません。

現在の私くらい…大体、5.9ならほぼ確実で、5.10aは9割登れる、5.10bはオンサイト出来るものもある、5.10cはRPがほとんど、登れるものが1割あるかないか、5.11aはトップロープで登っている、というスキルレベルのクライマーが、初対面のビレイヤーと取りつくのに、ちょうどよいのがⅣ-だと思います。

■ 1日目、失われた草付き

アプローチ 一般登山道30分 11時半スタート
 1P目 リード 
 2P目 リード 
 3P目 途中で墜落
 4P目 セカンド
下降  一般登山道 30分 15:30終了

きれいに晴れました☆
でした。前述のように重たいザックを背負っての登攀になったので、1グレードアップ。初めてビレイしてもらう人とだったので、1グレードさらにアップ。

まぁ、1,2Pをリード出来たので満足。

2P目は、プロテクションが1本しかなくびっくりでした。スモールカムを持っていけばよかったです。

そして、3P目はワンポイントですが、フリークライミングのグレードの部分があり、そこで核心の前にプロテクションが取れないので、墜落というか、意図的にやめ、敗退にしました。黒く変色した悪いスラブ。スタンスが遠くて私には届かない。

”山には一か八かはない”と習いました。
そこを行けば、私のスキルでは、”一か八かになる”ことが明らかな箇所でしたので、行かないこと=正解。

次のピッチは途中までは楽勝そうだったのですが、上でランナウトしている中で核心があることが下から見て分かったので、自主的にセカンドに振り分けてもらいました。

この岩場に通っており、ここをリードするのが課題の人がいたので、その方がリードするというので、適切な判断になったようです。落ちていたら、どか落ち。

■ ローワーダウン核心の初心者君

翌日は1P目 ナックルスラブ、2P目奥の細道、懸垂で帰る、ということに。

これはゲレンデで空荷での登攀です。アイスを登りたいという初心者の若い男性が来ていたから。初心者は別のところで登りました。

しかし、岩2度目でマルチにセカンドとはいえ駆り出されており、ローワーダンすら怖がっており、やっぱり、つい最近初心者の男性50代が来てくれた時に、性急にマルチに連れて行かなくて良かったなーと思いました。

実は、本当の初心者の時は、ローワーダウンもちゃんとはできないです。私もアイスクライミングの講習で、保科さんの講習に出た本当の1回目のクライミングでは、クライミングと言うよりも、ローワーダウンを習得しました(笑)。

もうずいぶん昔のことの様ですが、その後ギアも持っていない初心者をアイスに連れ出して、トップロープでもローワーダウンがダメで、ずるずると荷物のようにおろされている初心者を見て、本当の初心者だと、懸垂どころか、ローワーダウンもダメだということを知っていたから、一目見て、どのくらいの初心者君か、分かりました。

20代のぴちぴち男子でしたが、怖がってローワーダウンには、たった1Pで30分くらいかかっていました…。ロープにぶら下がるということができていない…

私たちのパーティは全員経験者だったので、特に問題はありませんでしたが

1P目 5.11RPできるクライマーでも、1テン
2P目 岩場に慣れたベテランでも、1墜落

だったので、まぁそれなりにギリギリに迫ったかも(笑)。初対面でギリギリに迫るのは、心理グレードが上がると思うので、きっと頑張ってくれたんだろうなぁ…と思います。

私自身は2日目は、セカンドなので、登攀を頑張るのが課題でした。1P目のワンポイントは、ほぼほぼ、ジャーマンスープレックス的なものでした。そして、2P目は、核心はランナウト。

■ ダブル

アルパインでは、ダブルでの確保が主体になりますが、ダブルだと、繰り出しに余計に技術が必要です。1墜落の後は、下のセカンドは2名だったので、それぞれ1本ずつをビレイすることにしました。

ダブルロープは一本ずつ、一緒に組むクライマー同士が持ち寄るのが通常です。

私はダブルもシングルも持っているのですが、判断するには、ルートが屈曲が多いのか、それともまっすぐなのかを知る必要があり、トポが本来はその役目を担うのですが、今回は、頭からゲレンデだと思っていたのが間違いでした(笑)。

私の知っている会山行というものは、”山は一番弱い者に合わせる”、という原則から、大した山は登らないので、どこを登るか?もたいして気にせずに行ったので、シングルを持って行ってしまいました。私にとって初回の会山行だったからです。

■ 充足感を作るには?

私の満足を作るには、最も易しい弱点から、どんどんとステップアップするしかないのだろうな~と思いました。

壁を山と見立てるわけですね。一般ルートから雪へ、そしてバリエーションへとステップアップしたのと同じです。弱点からスタートし、徐々に強点へ。

 山には順番がある

と一番目の師匠に習いました。それは、逆に言えば、飛び級は危険、という意味です。

なので、飛び級をしないで登る、という教えを守っています。

ただ日本のマルチピッチだと、それがなかなか難しいです… というのは、初心者向けの低グレードのところは、ランナウトが核心。つまり、落ちれない。

落ちれるルートはないか?となると、ボルトが整備されたスポーツルートということになりますが、スポーツルートはスポーツルートで、今度はレベルが高騰化しており、高難度過ぎて、初心者が登って楽しいと感じられる課題がほとんどない。

ということで、外岩だけで成長するのは、難しすぎ、人工壁とボルダリングジムを併用し、登攀力のゆとりをつけてから、外岩に行く、というプロセスが必要になってしまいます。

岩登りを教えてください!とやってくる新人さんというのは、普通、山に行きたいのであって、人工壁に行きたいわけでない。しかも新人さんは、このような外岩事情が分からない。

ので、新人さんには、納得がいかないことになってしまいます。しかも、セカンドであっても、アルパインのルートでは、登攀力のゆとりが必要で、それがないと、行っても何も楽しくないのです…。

このあたりで、よく考える新人さんなら、ビレイを習得する必要があることやムーブは身に着けて損にならないことを考えて、人工壁やジム通いを飲み込んでくれるでしょうが、そうでない人は、新人時代に大きな遭難をするリスクがとても高いです。

今回も岩2度目で来た20代男性の新人さんには、こりごりの経験になってしまったかもしれません。登攀は難しすぎたようで、ものすごく時間がかかっていました。

それは、指導者が悪いとか、新人がメンタルが弱いとか言うことではなく、日本の岩場の現況が、岩を岩でスタートするには、危険すぎることになってしまっているからです。初級クラスのクライマーには、八方ふさがりということです。

そういう意味で、行き止まりになった時、私はラオスの岩場という解に巡り合い、本当に良かったなと思っています。ラオスでは、初級のクライマーであっても、5.13レベルの上級クライマーであっても、同じように安全に登攀を楽しむことができます。

■ 比叡でリードにデビューするに適したグレーディング

私の観察によると、前の会で会長さんが専属で育てていた女性がいましたが、その人が5.10b~cを登る程度になるまで、ルートは、3年間程度、オールセカンドでした。支点も懸垂下降も教わる前に3年をオールセカンドで過ごす、という方法論もあるということです。その後、本チャンで5.7のリードが課題になる。この方法論だと安全マージンは分厚く、フリーで(つまり支点に頼ることなく)登れて当然ということになると思います。

したがって、もし同じように安全度が高い状態で初心者時代を過ごしたいクライマーがいるとしたら、フリーで5.10b~cくらいになってから、アルパインで、5.7~5.9程度の場所をリードするのが適切だと思います。

もちろん、人工壁やトップロープなどでは落ちながら登攀力を高めていくのが正しいと思います。

■ グレードは言わないほうがいい?

しかし、不思議だな~ ということがありました。

フリーでの、5.10bや5.10cを、Ⅳ+やⅤ-がスイスイのベテランは、登れないのだそうです。

そんなはずはないのになぁ… 食べず嫌い?と思ったりもしましたが、デシマルグレードを申告して、私に登れる適切なルートは何か?をベテランでも、判断することは難しい、ということが分かりました。

その部分も自分で主体的に判断すべきということですね。大体、適切に判断できるようになってきたと思います。

それにしても、RCCのグレード感から、デシマルへ移行するのは、大きな差があり、難しいことだったのだ、ということなのでしょう…。

60代になってフリーを習得した私の2番目の師匠が言うには、まったく動き(ムーブ)が違う、ということでした。

私自身は、いわゆる登山での3点支持から、フリークライミングでの片手、片足だけのムーブ(=2点支持)への移行は、とても大きなパラダイムシフトでした。

しかし、現代のスポーツクライミングには、その先があるということも分かります。アイスでは、ドライツーリングが現代のスポーツクライミングのワールドカップのレベルに達しているクライミングのようです。

■ グレードを追いかけない

グレードを追いかけるな、という教育を受けました。

しかし、現代では初登ということはありえない。ので、ルートファインディングをどうやって身に着けるか?というのは、非常に難しく、沢が一般的には、その位置づけにあります。

が、沢は、縦走、ゲレンデ、と比較しても、もっとも危険が大きいです。自然を味わうなら、沢ですが、リスクが大きい、というので、いつでも敗退を前提にしていないと取りつけません。まどろっこしい。

そうした、まどろっこしさを回避すると、岩となりますが、岩のルートには、すでにグレードが付けられており、それは目安程度の話だ、といくら言っても、すでにあるグレードがいったん耳に入ってしまえば、それを一つの物差しにせざるを得ず、期待というのができてしまいます…。というので、”惑わされるリスク”があります。

1回目で惑わされるのは仕方がないかもしれませんが、2度、3度というのは、その人自身のミスです。

惑わされるリスクを避けるには、新しい岩場に行くときは、

”どんなに高い登攀力があっても、その岩場の最も易しいルートから”

というのが一つの作法になると思います。

V級=5.9だと思って取り付いたら、とんでもない!ということを避ける、ということです。

V級に色々な難しさが含まれてしまうのは、それも仕方のないことで、1960年代以前には、Ⅴ級以上がないので、Ⅴ級には、5.9から上のすべてのルートが含まれてしまった経緯があるそうです。もちろん、その後、Ⅵ級、Ⅶ級というグレードも発明されたようですが、グレードはその岩場に慣れたクライマーがつけます。

一方フリークライミングで、期待されているグレーディングは、オンサイトグレード。慣れたクライマーだと当然ながら、オンサイトグレードより、簡単に感じるので、グレードは辛く出るようです。その辛さ度合いも岩場によってマチマチのようです。

そうしたアルパインルートのV級を登るには、5.9ならノーピンで登れるくらい、5.11+が登れるくらい=ゆとり付きで安全、というのが、当たらずとも遠からずなことのようです。あるガイドさんは、スポーツクライミングで5.11を登れないとアルパインのためのロープワークすら教えないそうです。

ですので、現在の私が登るのに適切なのはⅣあたりでしょう。

■ まとめ
  • 基本的にゲレンデを共有してからアルパインルートは行く
  • 分からないときはダブルかシングルかを聞く
  • ”山は一番弱い者に合わせる”
  • とりあえず、マルチの場合、アルパイン仕様で行くべし(捨て縄)
  • 山には一か八かはない
  • 山には順番がある
  • ”どんなに高い登攀力があっても、その岩場の最も易しいルートから”

2018/04/21

雌鉾岳 スラブ登攀 長征ルート

 さて、翌日(4/16)は、大快晴での幕開け。

気分が嫌がおうにも盛り上がる。6時起床、8時出発とした。

鹿川キャンプ場から普通に登山道を上がる。岩場巡りの勘が、小川山での偵察山行などで、すでに培われていて、よかった。数年前は、岩場に行く前にその山の一般登山道を歩いて概要を把握していた。

ここは、雰囲気は、瑞牆のカンマンボロンを見に行く道と同じ感じだ。右に沢、樹林帯を行くと、だんだんと岩が迫ってくる、と思ったらもう岩の基部。

比叡も、雌鉾岳も、地権問題がなく、標識が整備されているのが良い。

30分の歩きで、すぐに美しいトラバースルートのとりつきについたが、不安だったので、もっと先に行ってみる。すると、鹿川の大滝に出た。

ぱっくり岩という岩があるところも近いらしく標識が出ていたので、しばし、遊ぶ。

沢がきれいだった。本当に瑞牆っぽい。

大滝は圧巻の眺め。岩場も大きな一枚岩のスラブで、本当にインスボンみたいだった…


 こんな風なおおーという眺め… 盛り上がる。

 いや~素敵な場所だー

新緑もすがすがしく、鹿川キャンプ場に、夫とハイキングでまた来よう!と思う。
 パックリ岩。
 こんな大きさ。
 すいません、これはもう山頂。雄鉾岳の岩は垂直で取りつくしまなし!
 山頂、終了点からの眺め。

雌鉾岩は、登攀しなくても、山頂に立てる。が、岩のマルチピッチで山頂に立った時の感動が大きい山だ。
 山頂の様子。
 これは、アケボノツツジ!とても可憐でかわいい花だった。
洞窟になっている!水も澄んで、まさにカサメリ沢みたい!

というか、ほんとにいいところだー














さて登攀の様子を書き留めておかなくては…。

岩場の基部で、とりあえず、リードしますと申告。なぜなら、1ピン目が見えたからであるが…その次が見えないくらい遠いので、まるで1ピン目の意味なし。

だが、スラブは寝ていて、これは、インスボンだったら、アプローチ扱いの場所だなと思う…。韓国のクライマーはザイルを出さないところ。もちろん、私は出してもらったが…。

ので、これくらいはリードしなくては…。去年になってしまうが、小川山スラブでは一皮むけていたんだしね!

というので、1ピッチ目で朝一リード。ロープが重かったので、ビレイしている人のほうが緊張していたに違いない。

が、怖かったので、すごく急いで支点まで行ってしまったのだった…(笑)

2P目は相方リード。強つよクライマーでも、やっぱりリードは真剣。易しいところでも手を抜かず、見直した。

3P目は再度私のリード。つるべは早いね~と相方うれしそう。3P目の出だしで、フレークに小さいカムをかませるが、フレーク自体が浮いており、あんまり役立った様子はない。でも、取れるところでとらないプロテクションはかっこ悪いので、とりあえず取る。

が、トラバース気味で、あんまり…大きな木の根元でビレイ。

4P目相方。トラバース。

5P目は大トラバース…まぁ比較的大きな負っとスタンスがあるのであるが、何しろピンが遠い。2本くらいしかない。しかも気休めちっく。

6P目相方。で美しい‥‥は終了する。

7P目は、大滝左とつなげるバンド歩き。ここのトラバースは、先ほどの大トラバースより楽だったので、ダブルの流れをヌンチャク2個賭けで流すことをしなかったら、流れず、セカンドのビレイが大変になった。自分のせいなので文句は言えない。

さて、8P目の大滝左を見上げると、5.6のスラブなのに、とてもそうは見えない。かなりピンが遠い。相方リード。

9P目は、5.7で出だしが核心、しかも屈曲も激しい…相方にリードを変わってもらう。ロープを裏返して、ビレイ体制へ。

10P目は、3の坊主の下から、2の坊主、1の坊主の間へ。トラバース。ロープが流れずピッチを切る。ロープをつないだまま、確認のため、1の坊主のほうへ行ってみる。岩角でビレイ代わりにする。

11p目は、岩のてっぺんへ登るクラック登り5.9だが、ボルトは一個しかなく、ほぼフリーソロと同じ。

粒子が荒く、手が二人とも血だらけに。

これで終わりだった。山頂は、金峰山五丈岩って感じだった。ところどころに穴が開いており、雨水がたまっている。

山頂で少しのんびりし、行動食を食べる。素晴らしい眺め!隣の雄鉾岳だろうか、岩の壁がすごい!

後ははしごを降りて、一般登山道で帰るだけだったが、これもまた不明瞭なところがところどころあり、たまに獣道へ。そのたびに、これは一般登山道の感じじゃないなと補正して戻る。

こういうのは、読図の山や、沢山行などで、培った、大地に対する感覚のたまものだ。

しかし、九州の一般登山道は、本州よりも、迷いやすいみたいだ。

途中に巨大なサルの腰掛などを見つけたり、美しいアケボノツツジを見つけたりして、癒されながら下る。

スタートは10:30.15:00トップアウト、17時30下山完了。

2018/04/17

比叡&ニードル

■ 比叡

■ 個人山行で

比叡という言葉は、本州にいるときから聞いていた。楽しい岩場らしい、ということで…。漢字もかっこいいし、一度聞いたら忘れない。それで、興味の糸口はあった。

その後、こちらに来て、比叡の岩場に行く機会があったが、寝坊敗退。恐怖もなく、トポも読み、食料品などいろいろ買って、用意も万端だったのに。

私は偶然を偶然とはみなさない。これは、しばらく待ちなさい、という神の啓示と思ったのだった。

今回、会山行ではなく、個人山行で行く機会ができて、あの時、行かなくて良かった、と思ったのだった。

というのは、私は未知を楽しみたいから。

会山行で、調べないで行くと、それは依存。
個人山行で、調べないで行くと、それは自信。

本当にやばい時…自分のスキルを上回る登攀で死ぬかもしれない、というようなときは、虫の知らせというか、行きたくないと直感で分かるものだと思う。今回は、それはなく、ただ楽しみにしていただけだった。

■ ニードル左岩稜

ニードル左岩稜については、フリーで5.12登る女性が気に入っているルートだという話だったので、これは、難しいルートでは?という気がしていた…ピッチグレードを見ると、VII級で易しそう(後日談:ピッチグレードⅦ級は大変難しいです。『宮崎の岩場』にはⅦ級=5.10cと変換表が出ていますが、RCCとデシマルの返還には大いに議論があり、この表をまともに受け取ることには疑問があります)だが、私がリードできるかどうか?というのは、行ってみてみないと分からない感じ…しかし、いつも一緒に登っている人で、私の登攀力を見てわかると思っていたので、あまり心配していなかった。何年間か、通してみてくれている人とだと安心感がある、ということもある。私が、5.9もまともに登れないで、人工壁3mで落ちている時代から知ってくれている人だ。

しかし、クライミングというのは、なかなか成長しないし、成長するときは、一気にプラトー脱出だ。一皮むけたね、と言われたのは、去年の城ケ崎、ラオスの後だった。が、そこから、まだまだ先があり、2度のインスボンとラオスでの自立したクライミングでは、1回目のラオスほどの、脱皮はしなかったのかもしれない…そこまで成長感、脱皮感はない。特にクラックは、接する機会が乏しく、スキル減退気味。

朝は、ひとっ走りだが、福岡を出るのに、だいぶ時間がかかった…トンネルの料金所(310円)を過ぎてからはすぐで、あっという間だった。今回は待ち合わせ場所ですれ違い一回。車は安全を見て、ガレージに入れさせてもらう。宿泊で、シュラフがいるよ、と声をかけておく…。

千畳敷へは運転は交互に。途中、コンビニによったり、道を間違えたり、と、いろいろあったが、無事、登山口へ。千畳敷展望所へ続く登山口には、トイレがあった。(がペーパーなし。)

ギアを支度する。私もカムを一式持っていったが、ワンセットでいいだろうということで、不要だった。

千畳敷からは、ニードルが、山のシルエットの内側に入り、ニードルらしさが減じて、重なって見えてしまっていた。

とりつきの位置を探すのに、しばらく岩を観察する…。うーん、登れるのかなぁ?見てもわからない。

とりつきへは、一般登山道を15分ということで、登山道を登ると、すっかりあったかくなる。しばらく山を歩いていなかったなぁ…。 健康に良い山歩きを再開しなくては。

虎ロープが張られているところを超えて、クライマーの踏み後を辿る。クライマーの踏み後は登山道よりも薄く、踏まれていないところより濃い。その加減を言い表すのは難しいが、確実に一般道ではない感じは確かだ。

すぐにフィックスロープが出て、メタボチェックのような岩の隙間を通ると、すぐにとりつき。一番左が、ペツル。真ん中がダブルフレーク。右はノーマル。

ペツルが魅力で、スーパーにとりつくことに合意するが、これはスーパーだけに、なかなか厳しいスタートだった。フリークライミングの力が必要。

ニードルは、ともかく風が強く、寒かった。ウィンドブレーカー的なものを二人とも来ておらず、寒い。私はクライミング用のザックにジャケットが入っているがビレイ中で手が離せない。

 ニードルの登攀は、やはり難しく、私のリードはない感じだった…。最近アップアップの登攀はあまりない…確実感で登っているので、久しぶりのアップアップ感がある登攀。

3P目ではコールが聞こえず、ロープも動かないので、しびれを切らせて、ロープクランプで自己確保して登る。





ニードルのてっぺんで、寒く、ロープをまとめず、1本で懸垂したら、ロープジャムを直すのが大変だった。懸垂そのものは、まぁ大丈夫だった。途中でステミングで隣の岩に飛び移る。3mほど横移動して、登攀開始。

Aピーク正面壁も3Pだが、これも難しかった。最終ピッチの出だしは、3回落ちて、あきらめて人工した。とてもV級-、5.5ではない。どう少なめに見積もっても、5.10bは最低あるムーブで、フットホールドはなく、薄いフレークにジャミングか、ガストンで足は外にステミングで突っ張らなくてはならない。

 フットフォールドがないので、腕力が必要で、これは疲れていなければ登れたかもしれないが、すでに最終ピッチで疲れていてダメだった。

合ってよかった、自己脱出技術という感じ。久しぶりに使った技だ。


 これはすでにAピーク終了点から。

終了点には、リングがあった。少し行くと、立派な松の木に残置のスリングがかかっていた。こっちはブッシュがない。

本峰はまだあり、踏み後が見えたため、歩いて行けそう、と提案するが相方は北面を懸垂で降りたいそう。

北面はブッシュが出ていて、とても降りれそうではない。

ので、元来た道を戻ることに。サマーホリディというルートの基部に降りるそうだ。

しかし、ロープを投げる方法は、ブッシュに引っかかってそれの解除が大変…

3Pの懸垂だったが、3P目は束ねていく…。やっぱり懸垂は、場慣れだなぁという感じだ。いろいろな方法を知っておくと、時間が節約になる、ということなのだ。

最後の懸垂は、もうスタートからブッシュ。途中で落石を踏みそうになり、ひやり。というのは、下で待っているトップはヘルメットをかぶっていないで腰にぶら下げていたからだ。

ブッシュのとなりには、なーんだ、岩が出ていたのだが…そこを降りるにはどうすればよかったのだろう…。

さて降り立つも、まだまだ先が。ここはサマーホリディのとりつきなのに、下は、みじかい懸垂が必要なのではないか?というくらいの傾斜。ふと横を見ると、踏みあと。

クライマーの踏み後が当然あるはずなので、それを辿ると少しで虎ロープに出た。ほっとする。あとは登山道を降りるだけだ。

ところが薄暗いのと、沢地形であることがあり、踏み痕を外してしまうこと数回…

やっと元のザックを置いたところについた。アプローチシューズをもって上がらなかったので、足の痛みが限界。

さっさと車まで戻り、下山報告を。

あとは、庵・鹿川まで行くだけだが、これがまた場所も連絡先もわからず、難儀した。

が、車中泊もできるので、まぁ。那須商店へ行くことを思いつき、向かったら、奇跡的に電気がついており、おばちゃんが店を開けてくれ、二人で3000円相当のお買い物。

隣が庵だった。

庵では三澤さんが待ち構えており、お風呂を沸かしてくれていた。五右衛門風呂。

少しお話もしてくださり、深謝。


2018/02/28

2度目のラオス

2度目のラオスから、帰ってきた。

去年ラオスに行ったとき、来年は1か月いたい!と思った。その思いは、ラオスだけではなく、韓国のアイスクライミングとセットになって実現した。

ラオスは、どうしても行きたい場所だったが、ビレイヤーがいなかった…。去年の感じから、単独でも行けるとは思っていたが、やはり、安心できる、いつものパートナーがいてくれると心強いため、彼がいることが優先だった。が、相方は、行かないと心を変えた。タイと日本の国際線はいいのだが、タイの国内線移動は、各自がとったほうが、手続きがシンプルだ。というのは、カード決済で金額が判明するのが遅いから。相方は、自分で飛行機を取ることができない、というか、自分で手配しなくてはならないくらいなら、行かない、ということらしかった。一緒にやろうと誘ってみたが、やりたがらなかった。

ということで、一人で行っても、手持ち無沙汰かもしれず…と、11月に予定していたラオス行きが、1月へ遅れ、現地にいる友人との都合も合わせたり、と、今年は3月や4月にずれ込むかもしれない、と考えていたところ、正月に帰省した大阪で、行く人がいるらしい…と小耳にはさみ、それでは、と、リスクを取って、急遽、予定した。

期間は、不本意だったが、去年より短い12日間で、それは、ラオスの帰りに長野でアイスクライミングをしていくように、という相方の誘いがあったからだった。1週間の予定だった。アイスも年に一回くらいはしておかないと、身に着けたスキルが落ちてしまう。なので、快諾した。泊りは相方の家ということで、ありがたかった。

このアイスクライミングは、急遽、同じ日程で韓国行きになった。韓国の人が誘ってくれたらしい。が、急だったので、手配がまごついた。私が最初、飛行機を取ったが、宿泊も同時に取るべきだった…と反省。

あまり詳細を詰めずに行ったので、4日間のうち2日間しか、クライミングに充てることができず、ほかは市内観光をして過ごすことになった。外国だから、それでも面白いから良いが…。

帰国後は、友人に会う予定があり、またモンチュラカップへの出場も考えていたこともあり、2月いっぱいクライミングに充てることに。

虫の予感というか、念のため、寒い家の中に張ろうと、持っていったテントで結局、厳冬期のテント泊縦走もすることになった。

2月というのは、アイスのクライマーにはハイシーズンなのだ。

岩を登るにしても、乾いていて登りやすい。雪も厳冬期で一番厳しい。つまり、やりがいがある。

結局、モンチュラカップは、岩根が宿泊いっぱいで、今年はトレーニング不足も目立ったので、参加しても、参加賞だけだと思っていたところ、友人が城ケ崎でのクラックに招待してくれたため、そちらに変更し、充実した。城ケ崎ではたくさんの友人に再会できてうれしかった。

大阪ー関東は、そう遠くないため、夜行バスで帰り、大阪の自宅へ。大阪の自宅に立ち寄り、正月中に済ませることができなかった、電子レンジを入れる用事を済ませた。

今回は、試しに直行直帰スタイルではなく、世界を股にかけてみた(笑)。

タイ、ラオス、東京、ソウル、長野、山梨、城ケ崎、大阪、池田、と多くの土地を訪ねることができた、面白い旅だった。

ラオスとアイスクライミングの気温差も激しかった。

今回のアイティナラリーをまとめておく。

1/31 出発 関空へフライト 深夜タイ入国 タイ泊
2/1 ラオスへ移動 フライト
2/2 ~ 2/10 グリーンクライマーズホームでクライミング
2/11 移動日 前夜移動でターケーク泊
2/12 移動日 ラオスからタイ、タイから深夜便で成田
2/13 移動日 早朝成田から長野
2/14  湯川アイスクライミング
2/15 韓国移動
2/16、17 韓国アイスクライミング
2/18 レスト日 韓国で友人と会う
2/19 レスト日 韓国アイスクライミングのショッピング
2/20 移動日 早朝 韓国成田 石和泊
2/21 レスト日 八ヶ岳前夜泊
2/22~23 八ヶ岳縦走 城ケ崎泊
2/24、25 城ケ崎クライミング 25夜行バスで大阪移動
2/26、27 レスト日 大阪の用事を済ませる
2/28 早朝便 帰着

宿泊等
Shinkansen to KIX 15000 JPY
rail way 1300JPY

Flight to Thai

Hopper’sGuestHouse  THB 426.70
Green Climber's home 18,1800 Kip
The Inthelar Hotel 30 USD
Amada Hotel short stay 1700THB

Narita to Tokyo 1200 JPY
Tokyo to Nagano 5560 JPY
Onsen 600JPY

Bus 2600 yen 
Bus 1000 yen
Korea flight 20000JPY
taxi 50000 won
Korea hotel 680000 won
Korea hostel 454000 won
Korea Bus 10000 won

Isawa Onsen 1550 JPY
Yatsugatake Sansou 2000JPY
Akadake kousen Tent 1000JPY
dinner 2000JPY

Night bus 7400 JPY
Taxi 2000JPY

train 1150 yen
Flight 7000 yen

ラオスへのフライトは往復で4万円前後だったと思うが控えをもう処分してしまった。



2016/06/20

乾徳山旗立岩中央岩稜

■ 乾徳山旗立岩中央岩稜

さて、早速ですが記録をまとめます。

乾徳山旗立岩中央岩稜は、『日本登山体系』8巻に記載があります。また岳人2000年11月号にも記載があります。(が、両方ともあまり役には立ちません)

登山口: 7:40~扇平(月見石)9:00

  アプローチ 扇平まで: 
          約1時間(大平牧場から)  標高差700 駐車800円
    約2時間(徳和から)      標高差1200  無料

        扇平~取り付き : 約40分 (ほぼ山頂直下から懸垂3P)

      懸垂下降点(10:00) ~取り付き(10:40): 懸垂下降を含め、40分 
      登攀:11:00~13:00 3P Ⅳ級+、Ⅲ級、Ⅲ級(Ⅲ級とあったがⅡ級と感じた)
 山頂 13:00頃 
扇平:14:00 休憩30分 夫と合流 
下山:15:00

天候:曇り 時々雨 下山終了後 雨
 
■ ルートの性格 初心者向け 難しいところもあるが短く、体力負担が軽く楽しいルート

初級向き。乾徳山は奥秩父の前衛であり、都心から手軽なアクセス(最寄駅塩山)。しかも標高2000mに届くため、ゲレンデにない、天候の変化など山の性質も併せ持つ。アプローチは大平牧場からの登路が最短。徳和からだと駐車料金無料。

今回は一緒に行ってくれる人の負担を軽くするため、大平牧場からの登路を選んだ。この道は一番歩きやすく、プロフィールが良い。徳和からの林道経由の道は、植林の中であまり雰囲気が良くない。徳和からだと少し長いが、駐車が無料になるので、価格を優先する人はこちらが良い。

さて、6:00起き、6:30出発、7:40ごろ、登山口到着。大平牧場への林道は、落石が多く、普通車も入れるが、林道の運転慣れ程度は必要だ。水・トイレは無料だが、ぼっとん。

林道と林道をショートカットする道をまじえて標高200mほど上がると、すぐに道満尾根と合流する。開けてきたら、扇平。1時間弱ほどだ。9:00頃到着し、休憩を取る。

扇平は開けた草原で気分が良いエリアだ。大きなボルダ―が転がっている。そこから山頂へ向うポッコリとしたピークが見える。

扇平から山頂を眺める ほんの一息で山頂 

今回は、同行者はベテラン。ダブルだと3人まで登れるので、もったいないな、あと一人、ということで、色々声を掛けた(と言っても、ゲレンデくらいはやっていて様子が分かる人限定)が、空いている人がいなかったため、贅沢にもベテランを独占。アプローチはハイキング程度でゆとりがあったので、夫を同伴した。

同行者は遠方から・・・また電車での合流だったので、ギアはロープは私の物で行き、屈曲したルートでもないと思われたので、60mのダブル1本と敗退用に30mを用意した。カムは同行者に甘えて、ワンセット持ってきてもらった。(私がまだワンセット購入していないため)

扇平では多くの登山者と鉢合わせした。おじいちゃんが小学生くらいの男の子を連れてきていたが、不用意に”岩の向こう側へ行ってみなさい”などと薦めているので、「そちらは懸垂下降が必要な崖ですよ」となんとなく注意したりした。

下降点のチムニー
冒険心をはぐくみたい気持ちは分かるのだが・・・目の入る範囲内に子供は納めていないと、地形を地図で確認していないで、不用意に登山道から外れると え?→すってんころりん となりかねないと思うんだが、不用意な人は不用意なだけに、そうであるとも知らないので、余計な心配と思われたであろう。

我々は、というと、首尾よく、懸垂下降点を見つける。大体の場所は分かっていたので、問題なし。

懸垂支点を見つけると、若い男性のグループが、物珍しげに寄ってきて見ていた。

大体、アルパインクライミングを見る機会がないから、ギアやロープを見た男性は大抵は興味を引かれるみたいだ。

早速ハーネスをつけ、支度をする。懸垂なので、とりあえず靴以外の装備を身に着ける。少し冷えてきたので、同行者はレインウエアを着ていた。私はまだ大丈夫と感じ着なかったが、ビレイがメインだったら着た方が良い。動かないほうが冷えるからだ。

懸垂支点はちょっぴり怖い場所にあったので、短くロープを出して、ごぼうで降り、各自をセルフを取る。ちょっとしたことで、めんどくさがって手間を省かないようにする。ここは個性が出るところで、こういうところでサボらない人が好きだ。

懸垂は25mきっちり3ピッチと教わってきた。1ピッチ目は狭いチムニーを行く。同行者が先行してくれたのでありがたかった。行き先に何があるか不明の懸垂などは、経験が生きるからだ。そういえば、先にいつも降りる側だったなぁ・・・。今回は高待遇だなぁ。

とりつき


落石を落としそうな地面なので、同行者が岩陰にいることを確認し、慎重に落石を落とさないように降りた。

2P目の懸垂も支点があった。が、ガレガレで、ラクが起きそう・・・同行者は落ちた場合、大怪我になりそうな、ミカン箱大の石を積極的に落としてしまってから行く・・・。

大きな音が山に響く・・・。これは北岳バットレスなんかではできないな~。ここは下は何もない樹海だからできるけど・・・。

以前、バットレスで私が邪魔な石を避けたら、先輩が「あ~!!」と大きな声を上げて、いかにも”なんと非常識なことをするんだ?!”と言うそぶりだったが、私は先に落とすように教わっていたので、”?”と思ったのだった。

同行者は下に誰もいなければ、積極的に落とす派のようだった。

1P目に引き続き、ラクに最大の注意を払いながら降りる。3P目は立木を支点にした。

3P目から左にトラバースして取り付きを探した。2つ目のルンゼ、2つめの尾根だった。ここは記録を読んでおいたことが役立った箇所だ。

ヒントは、ガレで始まるというものだったが、安定した古いガレで、錆びて、ぼろぼろのガス缶などが落ちていた。このルンゼのほうが、下りてきた下降点のチムニーより堆積した岩が安定していそうだった。



安定したガラ場が取り付き

1P目


■ 1P目 核心部 え?雨??

さて、1P目基部で10:40. ちょっと休憩をし、支度して、「1P目、やらせてもらってよいですか?」と取り付く。11時近くにスタート。

古いハーケンが並んで打ってあるのが見え、記録で見たハングの写真と一致する。少し上に新しいアルミ色のハーケンも見えた。とりあえずハーケンを目指す。寝ていてクライミングはやさしく、大きなクラックを縦に掴むことができるし、エッジも使える。ただ足場は逆層なので小さい。

このあたりで雨が降り出す。一瞬ドッキリするが、まだ、ぱらつく程度なので行くことにする。

1ピン目、長めにスリングを出して取る。2ピン目もハーケンなのでスリング。ここもクライミングは、そう難しくないが、足場が小さく、露出感がある。 3ピン目、早くもハングの下に来た。

私自身は直上したいと思うのだが、ハーケンの連打が右側に見える・・・。そっちに行くと、トラバースなので、屈曲してしまうなぁ~と思いつつ・・・、トラバース。これは記録に引っ張られた感じだ。

トラバースは振られると思うので、怖いが、仕方ない。足場がスメアしかできず、スタンスに乗ることはできないので、カチホールドにぶら下がる。このカチはフレークだったので、ホールドに使う前に、叩いて確認し、次のスタンスも蹴って確認した。この全体重を預けた状態で、欠けたら、えらいこっちゃ!

直上のほうがクライミングは易しそうに感じたんだけどなぁ・・・。でも、沢などでは、怖いと直上したくなり、行き詰まって落ちるというのがパターンだしなぁ。支点を優先するのが賢いか。ただ後で、上からみたら、こっちにもハーケンがあった。でも下からは見えないもんなぁ。

トラバースしたら、カンテに支点が。しかし、ヌンチャクで取ったら、岩角なので、ロープが屈曲して、次のクライミングで全然ロープがでない・・・。下から、「そこは伸ばさないと取れないよ」の声。

うーん・・・今クライムダウンは正直つらい。ので、すこしロープを手繰り、上のハーケンで支点を取ってから、折り返してごぼうにして、少しクライムダウンし、ランニング支点を伸ばす・・・。流れが良くなった。

さらに上が核心部で、ハングの乗越し。普通のロケーションにあれば、なんてことのないハングの乗越だが、ロケーションが怖い。せーの!でマントリングになる。ザックの重み分の負担付で大丈夫だろうか?確信がもてない。

・・・ので、さらにすこし右に避け、トラバース気味に乗越した。こちらは、せーの!がない代わり、スタンスが小さく、ぶら下げたカムなどが邪魔になり、苦労した。

ここは落ちたら、ヤバいと思うが、不必要な力が入ることなく、体の動きは悪くなく、あまり落ちる気はしなかった。 いや~、烏帽子岩左岩稜や数々のフリーのゲレンデ、行っていてよかったなー。

ただザックやギアが邪魔で、フリーはいいなぁと改めてアルパインの不自由さを思った。今度はザックを背負って登る練習しておこう。

すぐ上の小テラスは足場がよく、ロープの流れも、これ以上延ばすと悪いので、ピッチを切りたかったが、あいにくリングボルト1個しかなかった。

1P目核心部 

■ ビレイポイント構築

とりあえずカムでメインロープのセルフを取る。これはカムというより、ナッツみたいなセットになった。1点では不安なので、2点目もカムで取り、クローブヒッチ。2点目の収まりがイマイチだ。

スリングのセルフを冗長として、リングボルトに取った。このリングボルトが、低い位置に打ってあり、位置関係的に流動分散が作りづらい・・・。

ので、一番位置関係が良い、2つめのカムにセカンドの支点を作る。が、2点目は収まりが悪かったので、念のため、もう一つ薄い縦のクラックに、小型カムを入れた。これはバチ効きだった。

この3点で固定し、リングボルトの方はバックアップで4点とした。

後でセカンドの先輩に見てもらったが、「このカムは効いてない。ダメ」。2つめのカムは、もっと上に取った方が良かったようだ。

後で冷静になって考えると、リングボルトを除き、カム3点をスリングで連結し、固定分散を作れば良かったと思った。

メインロープの連結で済ませてしまった。

■ 2P目

さて、ロープアップし、セカンドに上がってきてもらう。次も行きたいが、考えてみたら、来てもらっているのに、一回もリードさせなかったら、悪いよなぁ。

「1ピン目はすぐ取ろうね~」と目の前のハングに次のカムを噛ませ、相方がスタート。出だしはまた乗越しだ。

しかし、どんどんロープがでるなぁ・・・。次のピッチはずいぶんロープが出た。最後5mのところで、「あと5mだよ~」と声を上げるが、返事なし。2m。心配だ~。「あと2m!!!」返事なし。変な所でロープが足りなくてフォール、ってならないよなぁ・・・、と心配し始めた頃、ロープが止まった。60mのロープがあと1.5mくらいしか残らなかった。

上がってみると、これは、超快適な岩尾根だった。うーん、これは、快適な、いいピッチだ。難しくなく、単純に楽しい。

が、上がってみると、もうすぐ眼前にそこに縦走路が見えており、ハイカーがお弁当を広げている姿が見えた・・・。なんだか、もうすぐ終わり感があるぞ。

支点もハーケンときどきカムで楽そうだ。歩けるピッチで、左右に切れた岩稜。

いいピッチだなぁ。さっきのドキドキ感はないなぁ。

■ 3P目

ビレイポイントに到着。支点は岩角だったので、とりあえずセルフとるが、すぐに、選手交代して、登り始める。登り初めに、しっかり1ピン目のランニングを取るべきだが、易しく、あまり必要を感じないでいたが、3mほどすぐ上にハーケンがあったので、ラッキーと1ピン目を取る。易しい箇所だったのだ。

さらに岩のとんがりを越えると、すぐに立派なペツルが並んで二つ。え?!終了点?

2ピッチ目をだいぶ伸ばしてくれたおかげで、きっと3p目は半分先取りって感じなのかなぁ。さっき、岩角に懸垂支点みたいな古いスリングがあったしなぁ。

というわけで、3P目はほとんど歩きだった。なんだ~ということで、あっけなく終了。

ベテランに良いピッチを登ってもらえて良かった☆
あれ?あそこにハイカーが。もう終わり?

■ 山は実力順

終了点は広場になっている。テント泊したら良さそうなロケーション。

一般登山者の人たちが不用意に「こっちに下山道あるんですか?」などと言って入ってくる。地図を見ていたら、そんなこと言わないはずだと思うんだが、人=道、と思っているのだろうと分かる。

一般生活における日本人大衆の考え方というのは、「他の人と同じことをする=安全」であるから、どうしても、山でも同じ考え方をして、誰かがいると、そこに行ってしまうのだ。

同じように日本社会で普通に受け入れられ、真実を反映していない考え方として、悪平等というのもあり、「その人がしているなら、自分もして良いに決まっている」と他人を見て思うのが日本人。

私がそこに居たら、登山者のおじさんは、俺だって行って良いはずだと思ってしまう。つまり、皆、結果が同じになるはずだ、という前提がある。しかも、暗黙の序列があり、無条件で、女が下で男が上になっている。

山では、上記ふたつの日本人の”常識”は、まったく正反対で、赤信号みんなで渡れば・・・?みんなで遭難。これはトムラウシなどでも証明されている。津波も同じだ。

”あれくらい俺でもできるさ” → ”いや、体重の重いメタボおじさんにこそ、つらいでしょう”と、結果は残酷だ。

逆に言えば、一般生活で、あまり実力どおりの結果を得ていない人からすると、山は実力通りの結果を出すので、山はたのしいなーとなるような気がする。

おそらく、山が楽しくない人というのは、山でシビアに自分が単独で行けるところ=自分の実力、であることに、いら立ちを感じるのではないだろうか・・・。余計な憶測だが。

そんなことを思うのは、山でふんぞり返っているオジサン連中が、いつも下界の地位を持ちだすからだ。社長だの部長だの言っても、山ではただの歩けないメタボおじさん。自分の体重の3分の2しか体重がない小柄な女性に、自分の酒を背負ってもらわないと、山で酒を飲むことすらできない。

そんなことを思わずにはいられないような、いい加減系の登山者が一杯の日だったので、山頂はいいかな・・・と一瞬よぎるが、同行者は、乾徳山が初めて、ということだったので、山頂へ向かう。

■ 山頂へ

乾徳山の山頂は、終了点から5分もかからないところにある。山頂直下は鎖場で鎖がでているが、クライマーなら鎖はイラナイで登り降りしてしまえる。

一般登山者の若い男性が、完全ぶら下がりで鎖にぶら下がって鎖を手繰り寄せていたので、終わってから取り付く。デシマルを付けるとしたら、5.6とか、5.7とかかなぁ・・・。

山頂は祠があって、お賽銭が置いてあったが中国人の人たちはお賽銭を持って帰ってしまうのだそうだった。

二人で記念写真を撮った。

山頂からは、黒金山へ続く稜線、牛首のタルなどが見える。ずっと稜線を行けば、奥秩父の主稜線に合流する。

乾徳山は主脈からは離れているので、あまり知られていない。西側を見ると、大蔵経寺山の長いラインと奥に、我が家へ続く、昇仙峡付近の無名のピークの連なりが見える。末端は岬になっていて、愛宕山で終るので、ずーっと頑張れば、愛宕山の麓の我が家からも、徒歩で奥秩父へ到達することができる。

我が家のあたりは武田神社があるが、その奥からは山で、背後に山を配し、脇に小川が流れる位置関係は、風水的にとても良いのだそうだ。

武田神社のさらに奥には、金桜神社があるが、そこを起点にして、昔は金峰山方面に9つの登路あったそうで、大体6日程度かかったそうだから、我が家から徒歩で奥秩父に行くと、6日程度、低山の藪尾根を歩くことになるのだろう・・・そそられないなぁ。

■ 下山

今回は、ベテランと二人で行ってもよかったのだが、夫はまだ乾徳山を知らなかったし、安全管理上も余分な体力があと一人分あっても良かったので、夫を伴った。夫はハイキングなので、待ち合わせは高原ヒュッテとした。

高原ヒュッテでは、電波が入らないらしく、メッセージが入れてあったが、私のスマホでは全然電波が入っていた。夫には電話をしたが、彼は山ではなくても電話を取らないタイプなので、期待していない。しかし、こういうときはいつも連絡が必ず取れるという習慣がないと不安だし、サポートにもならない。

扇平まで二人で降り、ザックはデポして、高原ヒュッテまで、一走りで10分。一登りで20分。合計30分で合流した。同行者には休憩してもらった。電話が使える状態だったら、もっと良かったのだが、まあ、仕方のない時間の支出。

あとは、登りにも使った道をピストンで大平牧場まで。それほど苦も無く降りる。降りて車に乗った途端に雨が降り始めた。

■ 山の締め

帰りは、この辺では唯一の源泉かけ流しのはやぶさ温泉(600円)へ。ちょっと混んでいた。17時前には、すっかりのんびりしていた。

さらに、お食事をして締めた。プチとはいえ、本チャンをして、ギアの入った重いザックを背負った人、二人がラーメン(670円)で、標高差700m分のハイキングしかしていない夫がとんかつ定食(笑)。

何を食べても良いのだけれど、運動量とも、貢献量とも、カロリーは比例していない。

ラーメンで締め 汗をかいた後は塩味の汁気がほしくなります

■ 夫との意識の温度差

夫からは、2時間高原ヒュッテで待つことに文句を言われたが、待つというのは、あらかじめ言ってあり、本でも持って行って、と促していた。計画書も送付していた。

私なら、自然の中でのんびり昼寝でもしながら、2時間過ごすのは苦痛ではない。建物があるくらいなら余計そうだ。むしろ外にいたいので、テント、テントが重いならツエルトでも張って、寝転んでのんびりしたい。寝転んで本でも読んで、暇をつぶすことは家でも、いつもやっていることで、なにも文句はない。

山の師匠を得た頃、強調されたのは、

 自分が何をしてもらえるか?ではなく、パーティに何を貢献できるか?

を考えることだった。

体力がゆとりがあるなら担ぎ、時間にゆとりがあるなら、作業を先に済ませておく。相方のセルフが外れていたら、かける。安環は相手の分もチェックする。懸垂のトップにはロープを弛ませてあげる。メンバーの一人に負担が偏らないようにする。

そういう発想で山岳会も選んだし、私の行動を決めるのは、相手に何がしてやれるか?だ。

今回も、大平牧場の乾徳山は標高差700mしかなく、運動不足で体力低下が気になる夫にも、同行のメリットがある、として同行をお願いした。そうでもしなければ、ソフトウェアエンジニアの夫は、365日運動しないからだ。山中の道案内も私で、トップは、初めてこの山にきたベテランが歩いてくれた。

■ 6年の待ち時間

実は、ここ山梨にいること自体が、私にとっては、6年間もの”待ち時間”、”一時停止”だ。

私の職業上のキャリアは夫の転勤によって断絶され、山梨での時間自体が、いわば、することがない、”待ち時間”だ。

その持てあます時間、夫を待っている時間を少しでも有意義に過ごしたいということで、始めたのが山だ。

山梨では山がとても良い。山が嵩じて3年で、アルパインへ進み、クライミングへ進んだ。

山ヤの皆にとって、お金を掛けてでも、やりたいのが山とするなら、私の場合は、「他にやることもないし・・・」ということでやっているのが山だ。恵まれていて、すみません。

■ 自信

仕方なしにやっているから・・・と言って、手抜きなことはしない。それはモットーだ。

行動原則は、生き方となるから。

だから、1年間の講習を受けたし、読図はゼロから出直して、独学でマスターした。

他にすることもないからやっているとはいえ、結果として、ゼロから6年目で、ここまで来れたことには、誰が何と言おうと動かぬ自負を持っている。

このタイプの自負は、努力の質と量に根拠があり、自分で自分を認めることができる、正当な自負だと思う。資格や地位、パートナーの後光をかざしているのではない。だれかにやらされたのでもない。

私のヨガの仕事のほうでは、ラジオの出演をしているが、それに自負を持つか?持たない。単なる運だからだ。選ばれるのは実力ではないので、華やかではあるが、いくら選ばれても、自信には、つながらない。だから、会社でも部長や課長など地位を与えられるのは、ご褒美とはなるが、自信にはならない。

仮にこれが、他にすることもないからと、コンビニのバイトでもしていて、同じ精神的果実を得れただろうか?単純に不幸になってしまっただろうと思う。だから、6年の待ち時間の過ごし方としては、有意義だと思う。

私にとっては、今回はとても意味がある山行だった。

なぜなら、これは師匠が私にくれようとしたプレゼントがやっと私の手に回帰してきた山だからだ。

しかも、連れて行ってもらうセカンドではなく、自分で企画し、自分でロープ構成を考え、自分でメンバーをお願いした。私の手による、私のための、わたしが作り上げた山。

この3年間の努力を積み重ねた結果、成立した山なのだ。小さいが、確実に。

そこのところが夫には全く伝わっておらず、まるで、連れてこられて迷惑とでも言うような態度しか夫は示すことができないのが残念だった。

同行してくれた先輩は、上記のような事情が分かって、ひと肌脱いでくれた人だ。

■ ケーキでお祝い♪

帰りは、シャトレーゼに立ち寄り、ケーキを買った。この日は父の日のようだった。

私にはバイオロジカルな父は、4歳くらいから会っていないから、見も知らないオジサンでしかないが、人生では、たくさんの父を持った。同様に、山でも多くの先輩がいる。とても幸せなことだ。

小中と学校でも父親代わりとなってくれた恩師がいたし、最初の職場、ロボットの開発部でも師匠がいた。英語ではメンターと言えば、良いだろう。

師匠は技術を伝授し、弟子の方は、師匠がやりたくもない大量のコード生成を受け持つ、という、持ちつ持たれつの関係ではあるが、互いに利益がある関係だった。それは仕事では、最終的には、社外まで伸びた。最後の会社を辞めてからは、客先だったアメリゴが、しばらくメンターとなってくれたものだ。

いつも、年長の実力者にはメンターになってもらう。たまたまではあるが、父娘くらいの年齢差のことが多い。

今日はシャトレーゼのケーキでお祝いだ。父の日のケーキが大きかったが、生クリームのショートケーキにした。夫はいつもチョコケーキ。

シャトレーゼからの帰り、自宅まで残りの10分は、ガス欠になってきたので、夫に運転をお願いした。

でも、帰ったら、いつも私には作業があって、夫はゴロンとするだけ。結局、自分で夫と二人分のコーヒーを淹れて、ケーキセットで祝杯を挙げた。

いつも自分で自分にご褒美を出す。まぁそれが私らしい生き方だ。高校時代に2年バイトして苦労してオール自腹で獲得した進学も、渡米やその結果のTOEICの高得点も、それがもたらした就職先も、17年毎月返済した奨学金の全返済も静かな勝利であり、誰とも分かち合うことがなく、その時が訪れた。

今回は、それを理解してくれる人が、少なくとも一人はいたから、同行者を得ることができたわけだ。

とても充実した二日間だった。


■ 参考サイト

老舗緑山岳会の記録 緑でも行動時間そう変わらない。
山の彼方に 取り付きが分かりやすい 
ぶなの会の記録  ぶななのに、これくらいで長いと言っている・・・(汗)
山と兎
無名山塾 私の感触より難しく書いてある
凄そうな方の記録 

こういう記録は山が分かっている人が書いてくれると助かりますが、分かっている人が会所属者とは限らない昨今の事情を反映しています。良き記録を選ぶのも選択眼の一つかもしれません。

初めて行った時の乾徳山 ロープワークを教わった。ムンターでカラビナ懸垂できるようになった

2016/06/19

連れて行ってもらうはずだったルートに自前で

■ 連れて行ってもらうはずだったルートに自前で♪

今週末は、山の先輩に ”良い先輩はケツを歩いてくれる先輩だ” を地でやってもらいました。

乾徳山旗立岩中央稜です。3P、Ⅳ級+、Ⅲ級、Ⅱ級。

ここは新人のアルパインデビューに良いような、アクセスがよく、アプローチも短く、ピッチ数も3Pのルートですが、一緒に行ってくれる人がいない状態でした。

前の山岳会では入会直後に、ここへ行きたいと申し出ていましたが、先輩の返事は、「支点がしっかりしているフリークライミングのルートにしてください」というもの・・・

アルパインの基本技術である、天候判断、装備の検討、ルートファインディングなどを、どんなに幼稚で、易しい段階からでも、身に着けさせようと考える、昔流の育て方を志向する師匠とは、会の先輩の考え方は乖離がありそうでした・・・。師匠は、登攀技術以前に、山を見る目を重視するということでした。

そして、師匠は易しくてもリードを重視する人でした。アイスでも初年度からリードでした。リードする気がない人には山の技術は教えないと態度をはっきりさせていました。私もその考えに賛成です。

一方、会は危ないことはさせない、ということで3年目でもトップロープだけですし、ビレイなんていつになったらマスターするのと言うような状態でした。一般的に人工壁通いをする人なら1週間でマスターする内容が数年目の人にもマスターできないので、当然の帰結としてアルパインのルートにも行けない、という状態でした。

まぁそれは、教えていない(教える時間が限られている)ので、落ちないルートしか行けない(行かない)。 このことについては現状を考えると、仕方ないなぁと理解はしたのですが、理想的な姿からは程遠いということは確実に言えることでした。ビレイができないと岩には連れて行かないと言わないから、落ちれないビレイしかできるようにならないという道理だったのです。

今回は、アルパイン初年度で、連れて行ってもらうはずだったルートに自前で行くことができるようになり、それはとてもうれしいことでした。

ケツを歩いてくれた先輩には大変感謝です☆

■ 師匠の直伝

来てくれた方は、かなり遠方からだったので、日帰りはもったいないな~ということで、1泊二日として、前日はゲレンデにしました。

ゲレンデは、どこが良いかな~と悩みましたが、せっかくなので、行ったことがない場所が良いだろうと、十二ヶ岳の岩場へお連れしました。ここは百岩場に紹介されていないので、連れて行かれないと分かりづらいからです。

土曜のほうがお天気の予報がよかったので、どちらを先にするか、悩みましたが、前日がゲレンデ、翌日が本番と言うゲレンデ→本番という正当派の流れにしました。これは、師匠の直伝です。

例えば、アイスルートに行く前には、アイスゲレンデを組み合わせ、一泊二日にします。

十二ヶ岳の岩場と乾徳山旗立岩という組み合わせは、師匠鈴木と過ごした、アルパイン初心者の日々を思い起こさせました。あのころは本当にありがとうございました。今、私があるのは、師匠鈴木のおかげです。

不思議なことに、初日の岩場に鈴木さんのお弟子さんがひょここり現れ「あれ!?」と久しぶりの再会。二人ともまったくのゼロの時点で出会い、スタートがほぼ同じ時期です。彼とはルートも師匠をまじえて行ったことがあり、二人とも三年目ですが、彼の方は、アルパイン志向の師匠の会に属して、師匠や一緒にクライミング練習する先輩や同期の仲間に恵まれた会環境で、順調に成長しました。

私は、と言えば、「〇〇さんはもう××ができる・・・」と師匠が話す内容を羨ましく聞いても、相手がいないのですから、与えられない環境に指をくわえるばかり。

一緒に岩に行く、信頼できる相手に恵まれず、クライミング経験を積みたい初心者の時期に、思うように経験値を積むことができずに、フラストレーションを貯めました。

「一緒に行く人がいないと文句を言って行動しないのではなく、会内で仲間を育てるべきだ」という師匠に意見に、「そうだな」と思い、会のメンバーを人工壁での練習に誘ったり、勉強会に誘ったりしましたが、やはり最初からモチベーションが違う人たちは、ダメでした。

善意のつもりでも、ビレイで私を引っ張り落としそうにしたり、ルートでもロープを指定しても持ってこないなど、何が分かっていないか分かっていない状態にあり、無知のために信頼することができないだけでなく、むしろお荷物状態でした。私の方がフォローに回らなくてはならなかったのです。私自身がまだ初心者なのに、ガイド並みに案内したり、安全管理しないといけなかったのです。トップロープを張ってあげる立場です。

まぁ、でも他会の友人によると、師匠の会のような状況が特別良い事例で、私のような状況のほうが、むしろ普通のようでした。特にアルパインに特化していない会では、”トンデモは当たり前”のようでした。

同行者を得ることには、苦労して登ってきたので、もし師匠の会の新人だったら、これくらいの時期には、ここへ連れて行ってもらうだろうというようなルートへは、思うように行けないでいました・・・。

この乾徳山旗立岩も、初心者当時に「おススメしますよ」と師匠から薦められてはいたものの、先輩たちも、このルートを登ったことがなく、提案しても、前述のように、考え方の違いから却下され、という状態・・・。

先輩も連れて行ってくれないし、つるべで行く相手もおらず、行くと返事してくれる相手はルート名を出しても、知らない。つまり、行きたいのかどうかも分からない。

もちろん、会の先輩は、そういうことも理解してくれ、前穂北尾根に連れて行ってくれたので、先輩たちは先輩たちなりに頑張って連れて行ってくれたわけで、感謝しています。

でも前穂北尾根に行った時、ロープ径が11mmだったことには驚きました・・・。確保器に入りません。11mmを使う人なんてイマドキいませんから、アルパインから離れて長いのだろうと分かります。そんな中、新人が行きたい!というから、頑張って行ってくれたんだろうなぁ~。そうかぁ・・・。先輩たちにとっては、とても大変なことだったのです、たぶん。

11mmがちょっと昔のロープだったことも新人は分からなかったので、”なんで私の軽量シングルではだめなのかしら・・・”と当時は思うばかりでした。

それにしても、山梨には、前穂北尾根でなくても、近場でこんなにアルパインの基本を楽しく学べる良き場所があったのねぇ・・・。

この岩場をもっと活用していれば、先輩も負担少なく、新人にアルパインって何がどういうことなのか?というところを伝えることができたでしょう。

新人のペアで連れて来れば、「もう分かったでしょ、あとは二人で勝手に成長してね」という路線も可能になったことでしょう・・・。情報はあったのに、もったいないことでした。

しかも、このルート、別の会で、話をしたら、話をした人が聞いて行ってしまったんですよね。

新人育成のノウハウ・・・それはある意味、昨今は得難いモノと思いますが・・・・は、師匠が思った相手・・・おそらくは私の会の先輩たち・・・へは、伝わらず、外野の耳敏い人に次ぐに伝わってしまった・・・。

このことは、私からしてみると、あたかも、私へ贈られたプレゼントが、私の手をするりと抜けて、誰か他の人へ渡ってしまったような、寂しい気持ちを起こさせるものでした・・・。

”ええ~?!師匠は、私のために”良いよ”と薦めてくれたルートなのに・・・”ということです。

でも、3年、機会の成立を待った甲斐がありました。

3Pと短いルートではありましたが、1P目のⅣ級+の核心部と3P目をリードし、初見でつるべで行くことができました。

初見&つるべ

っていうのが大事な点です。

核心部1P目 ハング下をリード中



2016/06/03

小川山烏帽子岩左岩稜

■ 烏帽子岩左岩稜

去年から行きたかった、烏帽子岩左岩稜に連れて行ってもらいました♪

うーん、ここは難しいクライミングは出てこないので、登攀力的にはそう課題が大きいわけではないですが、高度感があって、落ちたら死ぬな~とリアルに実感できるので、去年の登攀力では、精神的ゆとりがなくて、結構ギリギリだったかも?

今、行って良かったです♪ 楽しめました☆ 

ここに行くには、5.9は平気な感じでリードできるくらいな、ゆとりがあるほうがよいのかな?

私自身、ここを楽しんで登れたことで成長を感じました。

■ リード?

ここをリードするには、ロープの流れを上手に作れる必要があります。以前、相方が太刀岡左岩稜で、5.5のピッチでもロープの流れが上手く作れないで、ロープドラッグにより登れなくなっていました。

リードする人は、ルートファインディングをして、プロテクションを適切な感覚で設置して、という洞察力が必要です。それには、セカンドで登って、どこでピッチを切ったらいいか?プロテクションはどこで取るのが、適切か?など、よく観察しておく必要があります。

■ 最後のピッチ

最後は5.7のワイドなのですが、ザックがあると引っかかって登れないので、ザックだけ別に上げる必要がありました。ここはちょっとだけなのに、ちゃんとしたクライミングって感じであくせくしました。

他には、5.7のクラックが、ロケーションが怖すぎ!落ちたら一巻の終わりな感じの壁でした(汗)
クライミングは易しく、私でも登れました。

他は歩くピッチもあるくらいで、登攀自体は易しかったのですが・・・1P目でプロテクションを回収していたら、環付ビナを落としてしまい、一度取りにローワーダウンで下してもらいました。

一か所、冗長で取ったアンカーのカムをうっかり置き忘れ、翌日取りに戻りました。この取りに戻る方が、ロープワークなど色々と勉強になりました。

■ 寒気が入った日

6月2日は、冬型の気圧配置となり、晴れたのですが、朝廻り目平に着くと、金峰山が白くなっていました。霜が降りたようでした。甲府はもう夏なのに、びっくりです。

ちょっと寒いくらいで、ナノパフを着て登りました。6月なのに!!

■ 記録

9:37出発 10:30登攀開始 ~16時登攀終了 17:33 駐車場