ロープを切ることができるナイフはペツルスパサです。
ギザギザがあれば、他のナイフでも構いません。
ナイフ事例今回の記事は以上です。
ロープと支点強度の捉え方も、現代版の理解と昔の理解 の二つがあると思います。
昔の支点は脆弱、そして、ロープは麻とかで三つ撚りとかです。
一方、現代は支点強度があがり、ロープはカーンマントルです。
つまり、ロープの衝撃吸収能で、人体を損傷から守るという考えに180度方向転換していますので、流さなくていい、というのが基本になっています。
一度、スラブをリードしているときに、「落ちたら流して止めてあげますよ」と自慢げに言われて、ビックリ仰天しました。現代のロープでは、スラブで流して止めるって必要はないです。流したら怪我の量が増えるだけです。ただでも大根おろしなのに。
この方は、普通の岩場のリードでも、「落ちます」と声をかけて落ちたら、「まだ俺が準備していない、アンコントロールな墜落をしないでくれ」と言ってきました。それも間違っています。
クライマーはどこでもいつでも落ちる可能性があるので、ビレイヤーが、下でサボっていい時間はゼロ時間です。
私は、3ピン目を取るまで落ちてはいけないというクライミングを自分はしますが、1ピン目で落ちるクライマーに文句を言ったことはありませんし、止めれなかったということもありません。人工壁ですら、です。
■ ロープは体格で選ぶべきものが違いますよ
私は軽いクライマーなので、ロープは伸びが良いものを使っています。
同じロープを体重が重いクライマーが使うと、安全ではなくなります。
重たい人でハングドッグが長い人は、伸びよりもデュラブルなロープを使ったほうが合理的です。
私はロープに全体重や衝撃を与える場合というのは、ローワーダウンくらいなのです。めったに落ちないので。落ちる場合も軽いので、柔らかいロープが良いわけです。
柔らかい軽いロープは細系であることが多いので、耐久性は劣ります。毎日毎日登っている人には向きません。
そういうことが、ロープは会のもの、ではなく、
一人一本自分で自分のリードに適していると思えるロープ
を選んで持ってくるべき理由です。
■ メンテ
アイスクライミングをする人は、ロープは岩と兼用ではダメです。表皮が凍り付いて、グリップしても確保器の中を滑っていきます。防水加工は必須です。また、防水スプレーを登るたびに毎回しないといけないです。帰ったらロープを干します。
一方、岩登りだと、ロープのメンテにそこまで気を使うケースは少ないですが、雨の日のクライミングで泥が付いたりしたら、帰ってロープを洗い、日陰に干します。
カーンマントルのロープは、表皮が結構重要です。表皮の中に泥の細かい粒子が入ると、磨き粉のようになって、カラビナを削ることになってしまいます。一方、芯がふにゃっとしていても、不思議と結構、持ちます。もちろん、ふにゃっとなった時点で、そこからカットして使ったほうが良いとは思いますが。
■ 文字通り命綱
ロープも使い慣れると、文字通り命綱、であることを忘れがちになってしまいますね。
支点も同じです。
ゆでがえる現象っていうやつですね。
大丈夫、大丈夫、と言いながら、段々と大丈夫ではなくなっている…というものです。
九州の支点の、”生と死の分岐点状態”は、そのようなプロセスで発展したのであり、日本中のほかの場所でも同じではないかと思います。
『最新!アルパインクライミング』にこのような記述があります。
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いわゆる「ロープを流して止める」制動確保は30年ほど前までは、ビレイの鉄則だった。
それは、ビレイ方法も「肩がらみ」だったからという前提がある。
中略
70年代前半~中盤で、おりしもビレイは「グリップビレイ」そして「エイト環」と大きく変わりつつあり、さらに現在のビレイデバイスが登場するにいたって、確保方法はロープを瞬間にロックする「静的確保」(スタティック)へと決定づけられたのである。
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あまりにも当たり前のことなので、誰でもそうしていると思ったら違うようでした…
カムやアイスアックス、その他、ギアの貸し借りは、自立したクライマーはほとんどしません。コンペに出るのに、ほんのちょっとの間、アイスフックがいるとか、試しに振ってみたいとか、そんな話があるときは、借りたり使ったりしますが、最初からカムを買いそろえる気がないままに、クラックの岩場に行くとか、自分の本気トライで、人のロープで登るとか、ありえませんよ。何しろ、リスクのコントロールを楽しむのがクライミングなので、人の土俵で相撲を取るようなことになります。
印象的だったのは、私が初心者時代に確保器を落とした時、先輩が残念そうに
「落としちゃったら、内部に見えない亀裂が入るから、もう使えないね」
と残念そうに言ったことです。それくらい、ギアの性能には気を遣うのが通常です。