2024/06/02

【クライミング界の平等】 クライミング界の詭弁と男性特権保護= 遠いボルトの配置


日本型家父長制を変えるには 男性のためのフェミニズム入門⑦ Progressive! Channel 中野晃一

家父長制=男性は家庭に居場所がない。会社にも居場所がない。

結果、家父長制と言っても男性はピンとこない。

結果、ホモソーシャルな事なかれ主義社会 になる。

これって、そのまんま、クライミング社会のように思えるんですが…。

■ アルパインクライマーは家父長制 フリークライマーは民主制

アルパインの世界は伝統的に、リードする人が絶大な権力を持っています。

しかし、フリークライミングの世界は、違います。誰が何をどう登ろうが、リスクは、理論上は同じです。

リードするほうがトップロープよりエライ、というアルパインクライミングの根拠は、ルーフをやってみれば、全く覆されます。リスクは、ルーフを登る人にとっては、リードも、セカンドも同じです。

フリークライミングにおいては、ひとつのクライムは、ビレイヤーとクライマーの共同作業です。

■ 誰がえらいのか決めないと落ち着かない性格に育てられてしまった人=九州人

日本社会は、家父長制を取り入れた歴史があるので、アルパインクライミングの師弟制度や山岳会内での年功序列は、高度経済成長時の日本社会にとって、理解が容易だったシステムだったのでしょう。

しかし、フリークライミングが台頭すると、

 群れの中で最も登れる人= 子供、若い女性

という、従来、もっとも庇護されてきた人たちになり、

 成人男性

は、威張ることができなくなります。

威信の源泉である高い身長や重たい体重も、まったく逆効果で、フリークライミングには不利だからです。

役に立つとすれば、歩荷だけになり、荷物持ち担当、と、課長から単純労働者に格下げされた気分を味わうことになってしまいます。

なので、私は荷物を男性に持たせたことはありません。別にフリークライミングの岩場は、近いので、重さが私の課題になったことはないからです。

■ 遠いボルトは最後の砦

最後の砦…しがみついているのが、遠いボルト。

高い身長を有利にしているのは、同じスタンスにたったとき、女や子供…低身長者…の手が届かないほど、遠い位置にボルトを打つことです。

そうすれば、背が高いのでそこに立てば、楽勝で安全確保の業であるクリッピングができるという優位性を保つことができます。


私は、この男性優位性へのしがみつき行為が、遠いボルトということに具現化しているだけなのに、それをカモフラージュする手段として、開拓者著作権を持ち出して、遠いままに維持しようとしている詭弁がクライミング界にはあると考えています。

なぜなら、そうでないかぎり、普通は、自分よりか弱いものの命を脅かすボルトの配置を是正しない、なんて、人間性の発想として不自然だからです。自分より弱い者を守ろうとするのは、人類共通の本能です。

遠いとたぐり落ちの危険が増すのは、クライマーなら誰でも分かるようなことですし。

平等を持ち出さなくても、かわいそう、という気持ちが湧くと思います。

それが普通になっていないのは、文化的影響が考えられるからです。

ちっぽけな既得権を手放せないのは、そうしないと、男の沽券にかかわると思っているということだと思います。

■ 適正ボルトは男らしくないか?

現に適正な間隔にボルトを打って、男の沽券など手放している現代的な思想の開拓者は大勢おり、その人たちが、”情けない男扱い”されている様子はうかがえません。

手放しても大丈夫だと分かっていても手放せないのは、心に傷を抱えている、ということです。

■ 清い開拓者は40cm下に打つ

ある時、開拓者から聞いた話です。

ボルトを打とうと思ったときは、大体、自分が思う場所から、距離にして40cm下に打てば、間違いがない、

という解説を聞きました。

納得しました。180ー40は140で、140cmの身長は、ちょうど、小学6年生の身長でこれくらいから、外岩が可能になる年齢だからです。

■ 幼児虐待加害者と同じ心理

上野千鶴子さんの著書に、児童性愛の加害者の心理が回答されています。

驚いたことに、これはリードを強いるおじさんクライマーの心理と同じでした。


おじさんは、君を愛しているから、こんなことをするんだ。


おじさんは、君を愛しているから、(君がいやがる)こんなことをするんだ(だから、きみも抵抗しないで、協力してほしい)。

これが、リードを怖がっている人に対する行いと同じ心理だと、お気づきになることができるでしょうか?

比叡のリードでは、私は、はっきり嫌だ、と言いました。

ギア(カム)を持っていなかったからです。アイスギア全部、背負ってリードしたんですよねぇ。

しかも、その時、初対面の人のビレイで。


(先輩である俺)は、(後輩である君)を愛しているから、君が嫌がっているリードクライミングを、君に無理強いするんだ。

きっと本人も無理強いのクライミングを会や仲間から、無理強いされて育てられてきた人なのでしょう。

・子供には(部外者には)何をやっても大丈夫
・言いなりにしやすい
・無邪気で単純
・騙されやすくコントロールしやすい

が、児童性愛被害者=やられやすい人の特徴です。

■ フリークライミングは、民主主義ですよ

私はそんな育てられ方はしませんでした。

私の師匠は、私がリードで取りついても、怖がっていると、”いいから、もう降りてきなさい”という人です。 

なんでこんなのが怖いの、とは言いませんでした。

そりゃそうだ、ピンが遠いから怖いんだから。サルだって分かる。

他者が育てた、まともなクライマーをダメにするのは、一日。育てるのは100日。

そんなこと(ほとんど虐待)してるから、会に若い奴が入ってこなくなるんですよ。

若い男子だってバカじゃないでしょう。