■ 吉田さんがつないでくれた縁 トニー
クライミングは、ご縁繋がり。
ラオスに初めて行ったとき、私は到着してすぐで、一服したい、というタイミングなのに、いきなり登らされ、翌日は寝て、元気になって、”さぁ、登るぞー!”となったら、今度は、「町を見ますか?」と昨日通り過ぎたところに戻らされ、やれやれ…といった調子で、パートナーとの意思疎通がチグハグだった。せっかく遊びに来ているのに、いやいやながらリードさせられている…という有様。
それを見ていたアメリカ人クライマーがいた…Tony。
私が余りに可哀そうだったので、声をかけてくれたのがTony。非言語コミュニケーションが苦手なのは昨今外国人ではなく、日本人男性。
結局、スイスから来たリディアと3人で一緒に登ることになったんだよな。大体、登りたいグレードが似ていたから…。
で、Tonyは、なんと北海道の紋別というめちゃマイナーな町で登っていたクライマーだった。
吉田さんのビレイヤーを昇仙峡でしていた…と私が話したら、なんと!吉田さんを知っていた!!のである。
Tonyのおかげで、ラオスでは楽しく登れた♪ 吉田さんが繋いでくれたご縁だった。
あんまり楽しかったんで、2回目は一人で行ったんだが、問題なく、外国人の人たちと組んで登れた☆ 初日だけ大阪のクライマーがビレイしてくれて、下地作り(笑)。あの時はありがたかったなぁ…
その後3回目のラオスに行きたいんだが、私は膝を亜脱臼してしまった怪我の治りが非常に悪く、2年経っても治り切れておらず、とても思い切った登りは、実はできない…。
海外では、ボルトが良くて、日本で登るみたいなびくびくした登り方(大墜落ではなく、テンション程度にしておく)は、しなくて良く、伸び伸び登れるのが、だいご味なのに…。
膝は、クライマーの大事なアイテム…ということでせっかく二年前に誘ってもらったのに、行くことはできなかった…。膝の方が大事。
海外では怪我できない。特にラオスの医療って…2度目に行ったときは、医療関係者が知り合いにいたけど、結構すごそうだった…。ラオスで怪我するのは嫌だ。
で、なかなかラオス3回目を決行できないでいる…という現在地。
■ トニー 旭川行くけど、どこのジム行ったらいいの?
そういうわけで、Tonyとは今でも、友達なんだが、旭川行くので、どこに行ったらいいのか?と聞いて、出てきたジムが…
ガッツウォール
正式名称はとっても長かった(笑)。https://themoeru0213.amebaownd.com/
その上、森林計画を立案されている役場の方がクライマーだったので、その方に聞いても、ガッツウォール。アサヒカワライドの杉浦さんに聞いてもガッツウォール。
ということで、ほんとにガッツウォールは素晴らしいジムみたいな感じだ。
■ 誠実なオーナー
オーナーの岩瀬さんにお会いして、セットの作り方…私は、外岩をたくさん登っていないと良いセットはできないと聞いているんだが…そうなのかな?と、最近のフリークライミングは、自然界からは、かけ離れて違う方向に行っているような気がするんだが…
私は自然の岩が好きで、あまりプラスチックは好きでないので…どちらを向けばいいのだろう…と実は悩んでいる…を相談したら、僕も分からないんです…という答えだった。
で、なんだか共感した…そうだよねぇ…これって考え続ける系の奴かな…
吉田さんみたいなクライマーにしか、この答えは出せないかも…?
もしかすると、吉田さんは外岩だけを登ってトップクライマーになることができた、幸福な時代に生きたのかもしれない?
今の時代なら、もうプラスチックなしに14を登ることはできないのかもです。
■ 到達困難度高し!
ただガッツウオールはなかなか、到達が困難なジムでした…。一番近いバス停に泊るバスが一時間に一本しかなく、帰りが困難。
それでオーナーさんの配慮で、帰りは登っていたクライマーで同じ方向の人が送ってくれました。久保田さんだったかな。
しかも、そのバス停の案内も、上級テクみたいで、Google先生でトライしましたが、バス停Aに案内され到着すると、今度はバス停Bに行くように指示され、Bにつくと今度はCと…これは、永遠にキリがない、と自覚しました。雪国は、バスが遅れるので、情報が更新されることがネックになる。想定より歩きに時間がかかるので、1分先のところに行くにも5分かかったら、歩いているうちに違うバスの方が早いみたいなことになります。
で、初日は挫折。しかも、旭川は空気が重たいのか、排気ガス濃密なんです…あっという間に頭が排気ガスで痛くなった…。旭川には住めないなーと思いました。
一人一台なんでしょうね…甲府と同じだな。日本国中の小さな田舎町が、一人一台の車所有を前提にしていない町の設計で、朝夕に大渋滞ですよね…。夫は甲府時代は渋滞を避けるためにめちゃ早起きして会社に行っていました。
ガッツウォールに行く案内は、バス会社のお姉さん…つまりプロ…が、15分くらいうなって見つけてくれました。
■ 吉田ホールド&吉田日記
そんなこんなで、苦労して、やっとたどり着いたガッツウォール。行って良かった…。
吉田ホールドがあり、ご年配で吉田さんのビレイを長くされていた大先輩の方と、お会いすることができました。深謝!
すでにご病気を患っておられるそうだったので、吉田さんの思い出を分かち合いたい人は、早く出かけたほうが良いかもしれません。
吉田さんが残した日記を見せてもらいました。
本州のクライマーで、無雪期に名寄の見晴岩に車で行きたい人いれば、一緒に行きたいです。
■ 日本で最初のフルタイムクライマー(バムクライマー)=嫉妬サバイバル
私は女性なので、男性の嫉妬の世界は、よく分からないのです…
でも、吉田さんの言動から、吉田さんが一身に男性クライマーの嫉妬を受けているのだろうということはうかがわれました。
九州に来て、嫉妬の総攻撃に会うということがどういうことか?ということが分かった。
ただのおばちゃんで、へっぽこクライマーの私ですら、そんな攻撃を浴びるのですから、吉田さんはどれほどだったかと思うと…なんだか気の毒感が募ります…。(嫉妬についての考察はこちら)
吉田さんは、クライミングと引き換えに、世間の幸福と言われるものをすべて投げ出した人、というので有名でした…。
吉田さんが言った言葉で、印象に残っているのが
軒先貸して母屋取られる
です。まさにクライマー業界を表している。
ビレイ貸して命取られる
です。しかも、クライミングは自己責任という免罪符で、加害者は責任を問われない。
その投げだしたもの…母屋取られたもの…の中には、知名度、経済的幸福、一つの家庭を作り上げる喜び、結婚、そして、最後は健康まで…入っていたのかも?
吉田さんはキャリア上の成功すらも、譲って、名を成すこと…89年のMarsを5.14で登録する…より、実を取り、登り続けた…その記録が吉田日記なのです。
でも、案外、日記の中の吉田さんは、失ったもののことは気にしていない様子です。
それが嬉しかった。
■ 吉田パンケーキ!
クライミングバム…って70年代の流行だったんですね。私は72年生まれなので、知らない。
《吉田パンケーキ》
・小麦粉 ふくらし粉 (アメリカなら、”オールパーポスフラワー”にはすでに入っている)
・スキムミルク
・水
・プロテインパウダー ※ 吉田さん、プロテイン入れていたんですね!いいなぁ!
・レーズン
焼いて、バターとジャムをかけて、シナモンを振る。
■ 日本の小麦は鉄が添加されていない…
私も最近、分子栄養学を勉強して、米国の市販小麦粉には、葉酸と鉄が添加されていることを知りました。
アレックス・オノルド君はビーガンですが、それは小麦粉が日本のとは違うからです。
なので、卵とプロテインパウダーが入っているところが、クライマーっぽさというか、アスリートに必要な栄養があるところです。
海外だとこれに鉄も葉酸も入っているんで、日本なら、強化したほうがいいかもです。
吉田さんも実は栄養学的に欠損があったんじゃないかな‥と思ったりします。悪性リンパ種ということでしたが、ガンとも言われました。血液のガン、が悪性リンパ腫ですよね…
それは長年のカツカツに切り詰めたバム生活から、起こったものなのかもしれません。
■ 貧乏は自由の同義語!
でも、
貧乏は自由の同義語、
なのです。今でも。
ジャンボさんだって、奥村さんだって、伊藤さんだって、ユースケさんだって、みんなカツカツです。ただ、今では、”貧乏”という言葉を使わず、
シンプルライフ
っていうんですよ!
吉田さんの病気は、本来、なくても良かったような気がしました…。もし、日本の小麦にアメリカ並みに鉄が添加されていれば…。もちろん、これは私の仮説ですが。
現代のバムクライマーは、分子栄養学で、自己防衛しましょう☆
そして、バンバン吉田さんの後に続いて、バム生活を楽しみましょう!
《参考》
https://www.cochrane.org/ja/CD011302/PUBHLTH_xiao-mai-fen-nitie-wojia-erutopin-xie-gajian-riyi-ban-noren-demotie-gazeng-erunoka
https://hakuraidou.com/blog/92772/