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2022/09/29

やっぱり崩れたよなーの図

 皆伐跡地の再造林地… こんな林業やったらダメって、木を切り倒す前から結論がでているのに、ウッドショックで、木材価格が上がったと思って儲かると思ってやっちゃうんですよね…

クライマーと地域をつなぐ活動も、よーく気を付けていないと、クライマーを

  自然破壊の手先

にしてしまう結末になります。

再造林をしてくれる人を探している林業は、

 ババ抜きのババを引いてくれる人

を探している林業です。誰もやりたがらないのは、人手がないからではなく、

 やっても意味がない

からです。その証拠に大型フォワーダを自社で買って、10年で返済可能な勢いで木材搬出業者はもうかっていますし、フェラーリも買えそうです。一方植える人、は、この写真のような結果を被ることになります。


2022/02/09

花崗岩=杉・ヒノキ美林

 ■糸島の100年生の森

を今日は見学に行っていました。まさか、福岡の糸島で、100年の森を見ることができるとは…まさに灯台元暗し。

福岡に来てすぐのころ、浮嶽にクラックのボルダーを探しに行ったことがあったのですが、その時、通った林道際が現場でした。

クラックがある=花崗岩=水はけがよい=良材の杉・ヒノキ、という法則のようで、行縢とかと同じです。行縢のあのデカい杉は400年とか500年のだったのでしょう…

        100年生の森(希望の林業) 
        近所の皆伐後再造林地 ほとんど絶望の林業

何故絶望なのか?補助金依存体質だからです。自主自立の精神ゼロ…寄生虫根性だけ。

■ 県有林×素材生産者(木こり)=成功

糸島の100年生は、県有林にあるそうで、素材生産者(つまり、木こり。自営業者)の方が運よく、10年に一回の間伐を繰り返すことが出来て、この美林が維持できているのだそうです。

つまり、森林組合にお願いしてしまうと技術不足により、本来もっと高い価格で売れる銘木クラスの大直径の木材も、残念ながら二束三文の価格で売りたたかれることになるのだそうです… それは、伐り出すときに材を傷つけてしまうから、なのだとか。

つまり高度な技術がない森林組合に任せると、山主は損をしてしまうってことですね。

森林組合も、中身はよりけりです。山岳会と同じですね。山岳会も中身は空洞化が進んで、山岳会に所属している=技術が伝授されているとか、全く法則として成り立ちません。

■ 架線集材

架線での集材は、研修で教わらなかったので、初めて見ました!これなら大型林道どころか、小型の林道すら、作らなくて済むのです。

林道がない=災害がない、の法則は成り立ちます。

■ 伐倒技術の高さ 

そして伐倒を見せてもらったのですが、あまりの早さにあっけにとられました…。

いや~私たちが研修でやった時は、ちんたらしたものだったんだなぁ~と。

おいづる切りだったのですが、いつ芯を切ったのか、それすら分からないくらいの速度でした。受け口追い口も一発で会合し、つる(ヒンジ)もきちんと残り、ものの5分もせず、100年生が、バッコーンと倒れました。しかも、伐倒方向が正確でかかり木にもならず。

明らかな技術力…つまり

・伐倒方向が正確

・会合が正確

・切り込みが正確

=早い&安全

まさに正確さがスピードにつながる、アルパインクライミングの技術力と同じ方式です。ロープもきちんとまとめられないくせに、ルートに出ようとする若い人が多すぎです。まずは、ロープをまとめる練習からですよ。登れるグレードを自慢する前に、確実な技術力が身についていることを自慢しましょう。セカンドでも、ロープアップされないとき、あるいはトップが動けなくなったときに自分で自分のしりぬぐいができるくらいの技術力は最低要りますよ。



■ 懸案の枝はらい

枝払いも見せてもらい、すごく参考になった。チェーンソーの歯を材と平行にするのが大事なのだそうです。


■ 安全対策が…皆無…これは真似できない

ただ安全対策は、昔からの人は、ノーヘルですし、防振手袋もチャップスもなく、あらー!これでは、誰かに雇われることはできないですね~!!でした。

そもそも、事業者は、保護服を義務付けられていると思います…さらに言えば、海外では、個人装備での防御は、ほぼ常識。

達人の場合は、そもそも技術がしっかりしていれば、アブナイことはやらない。

しかし、一般人の場合は、達人になる間に、死んだり怪我したりしてしまいます。良い子は、自分がどちらに現在属しているのか?冷静に考えて、自分の装備を選びましょう…

■チェーンソーはエンジンを優しく使う

大径木を伐ったことなかったのですが、玉切りというか、スライスをさせてもらい、チェーンソーをふかし過ぎてアブナイよ、とアドバイスを貰い、非常に参考になりました。

めいっぱい握って伐る必要がある場合はほとんどないのだそうです。言い訳させてもらうと、初めて研修外で使ったお借りしているチェーンソー、めちゃくちゃ切れ味悪くて、残念な感じだったんですよねぇ…。

■ 初めてのハスク

初めて、ハスクバーナで玉切りした… ハスクは、チェーンソー界のロールスロイスです。

私は体も小さいし、チェーンソー自体がとっても怖かったので、林業就業者研修では、なんと、”子軽”で、済ませたくらいです。子軽は、とても小さいチェーンソー、伐倒や玉切り用ではなく、枝払いや支障木の伐採などの、ちょっとした用途用)。

でっかい4.5kg級のチェーンソーで、え!こんな高級銘木を伐っていいんですか?!という直径60cmの位の材を伐りました…。

「やってみ!」と言われて、やってみた自分に感動しました…。人は成長する者なんだなぁ…。なんせ、研修では、”無理無理無理無理…”と完全に腰が引けていましたもんね。

今日は、なんというか、花崗岩がつないだご縁、でした…。

クライマーは、花崗岩Loveな人が多いと思いますが、アウトドアスキルを活かした職業に就きたいあなたは、木こりになりましょう☆

それも、超・達人レベルになることをお勧めします。安かろう悪かろうの薄利多売林業は、『絶望の林業』と呼ばれているくらいです。

2021/11/12

山やの出口…別荘地暮らしに役立つ林業知識?

 ■ 山ヤの出口は別荘暮らし?!

御坂山岳会でもそうだったが、年配の山ヤは、最終的に別荘を山の中に買って余生を過ごそうと考える人が多数らしい。

別荘を買うと、別荘以外に不必要に広大な土地…植林地であることが多い…が、もれなくついてくる。その森をどうしたものか?よく分からないらしく、薪にする、などとして活用している人は、ほとんどいなかったよなぁ…。

私も、当時は伐倒の知識がなかったので、アドバイスしようにもできなかったのだが…。長野などでは、伐倒を別荘暮らしの人に向けて教えたら、喜ばれるに違いない。

■ 伐倒届

伐倒は届け出が必要だ。しかも、かなり前。一か月前には届け出をしていないと伐れない。

 

■ 森林の用途

放置されたら、天然林へ遷移するか?というと、杉はする可能性があるが、基本的にヒノキはほかの木と共存するのは苦手なコミュ障木であるようで、混交林化しないらしい。

ヒノキの場合は人為的にギャップを作ってやらないといけないようだ。カラマツは落葉するから、勝手ににほかの木が入っているような気がするがどうなのだろうか?小川山で観察できるが。

小川山へ行くにも信州峠を通って行けば、大規模な皆伐地を見ることがある。また近隣に昔の牧場跡があるが、大規模なソーラー設置予定地になってしまい、地元の人が設置反対運動を広げている。大平牧場だ。飯盛山にあり、奥秩父全山縦走する人にとっては、入り口、もしくは出口の山。

クライマーはのんきに小川山で必死にグレードアップに励んでいるが…。グレードで、どっちがすごいかという競争に、不毛さを感じるのは、趣味のクライマーばかりではないだろう。昨今、世界のトップクライマーは軒並み子供だからなぁ。

■ 伐採が盛んな地域=災害多発地

皆伐と大規模水害の関連は証明されているので、伐採が多いところ=皆伐地であり、水害の危険があり、下流に農地を構えるのは、要注意である。自伐型林業の先進地区である、高知は入っていない。

各県の森林計画書を見たわけでないが… 宮崎県などは、単層育林(スギなら杉しか植えない森、木のモノカルチャー畑)を是としており…そういう場所はいかんせん、大規模皆伐になりやすい。

山体崩壊が起こっている様子が、普通に林道を走っていて見える。怪しいのは、森林認証みたいなのを取っているようなPRがあることだ。

これでは、都会で自然派で良かれと思った人が騙されてしまう。大規模皆伐で伐採された材を使うことは、下流の災害と災害補助金依存体質をサポートすることになる。

行政が自伐型林業に好意的な地域を選ぶのは一つの解であろう…


■ 直径何センチが伐れたらいいか?

これは宮崎県の場合だが、28cmであれば、私のような非力な女性でも、なんとかなりそうなサイズ感である。

5cmくらいの支障木でも、受け口追い口を入れて講師は伐っていた。一般の人が伐倒した後を最近見ることがあったが、追い口も受け口もなく、当然、”つる”もなかったので、少しがっかりした。それでも何とかなっているということだ。

皆伐だと、ものすごい量を伐るのだそうだが、自伐型林業だと、せいぜい一日5本だそうだ。

クライミングでも、アスリートクラスになれば、毎日部活のノリで一日3時間くらい登っているが…エンジョイクライミングの趣味で登る人たちは、週に一日、もしくは二日、一日5本も登れば、お腹いっぱいである。

■ 間伐してているかどうか

間伐対象がないと合わせると、過半数は間伐していない。間伐対象がないというのは、保安林などにしてしまったのだろう…そのほうが固定資産税が安いのだろう。

切り捨て間伐というのは、山に置きっぱなしということで、拾って薪にすることができる。(生木なので重たい)

結局のところ、約2割しか適切な間伐は実施できていない。

ときどき山に行って薪に必要な分を伐採する、という生活は、成り立たせられそうに見える。自分が使う分なら、伐倒に人件費を上乗せしなくていいわけだしなぁ。

特に長野に別荘を構えてしまって、カラマツ林がもれなくついてきている人などは特にそうだ。



■ 皮むき間伐

埼玉で、皮むき間伐をした人たちが今回研修に参加していて、利点を教えてくれた。伐倒時に軽いこと。材を持ち出すときにも枯らした後なので軽いそうだ。

生木を伐倒しないで、皮むき間伐を行った後、伐倒するというのは、女性に適した方法であるかもしれない。

現在では鹿さんが、勝手に皮むき間伐をしてくれるのだが…。

林業男子 Kindle無料

『 林業男子』という本がKindle無料で読めますが、東京チェンソーズなどのお話が出ています。

https://amzn.to/3D8N8il

自伐型林業=小さい林業、が、水害を起こさない、つまり、大規模な林道を作って林道が壊れる→水害→水害による災害補助金→水害を待ち望む の悪循環を断ち切る、希望の道となっていますが、その先鋒隊?東京チェンソーズ。造林や育林も書かれているので、下刈り、という苦役からは開放されていないかもしれませんが…。

誤解が多いですが、下刈りや地拵えは、自伐型林業、では、行程そのものが不要になります。皆伐(全伐)すると、その後に必要になる作業が、下刈り、地拵え、再造林、です。

森林ファンド、元祖女性林業家、女性の林業者、映画『WoodJob!』の裏話など…気になる情報の裏側がたくさん書かれていて、非常に参考になりました。

映画『WoodJob!』は見ていましたが、東京チェンソーズと関連があるとは知らなかったなぁ。

また、不動産の方で、小規模特定事業者の指定で作る、”空き家リモデル”に私も注目していましたが、その森林版が森林ファンドですね。

この本、無料で読めて、参考になる取り組みが多いので、おススメです。




東京チェンソーズ

最近知った、東京チェンソーズ


ウエアが メット+チャップス。大事なのはチェップスが北欧風ということなのではないのかなぁ…。 

私が思うには、男子の動機の8割は、かっこいい!である。

3Kと言われる山仕事に人気がなくなったのは、たぶん、かっこよくない、と指定されてしまったからなのではないだろうか…?ふと思っただけなんだが…。

東京チェンソーズを支えるのは、東京美林倶楽部のようだ。


■ 男性の動機

男性、というより、男子、だろうなぁ…。

 1)かわいい女性がいる

 2)カッコイイ

これだけで、9割5分を占め、危険だからやりたくない、給料が安いから嫌だ、などというのは、後付けのとってつけたいい訳なんではないのかなぁ…。

本音は、

 ・頑張っても女子の注目を集めることがないから、やだ。

 ・かっこいくないとヤダ

の2点に集約されるのでは…?

だって、アルパインクライミング、超危険ですよねぇ。昔はみんな男のロマンでやっていたわけですが、年を取ると、やらなくなる。理由を聞くと?

 「寒いのはやだ」

と言われて目が点に。だって、30年前は温暖化した今よりもっと寒かったでしょうに…

そもそもやっていることが好き

というのは大事なことだと思います。

東京チェンソーズは、プロモーションの方法がとても参考になると思ったのでした。

男性はかっこよくないと動かないんですよ!!!






2021/11/07

初・伐倒!

■ 体が小さい不利をどう乗り越えるか?

私は体が小さい。体重は50kg行かないし、身長は152cmしかない。”昔”の日本人サイズ。

ボディサイズが小さいということは、出せる馬力、つまり、エンジンサイズも小さいってことだ。

その1)担げる歩荷サイズも小さい。(相方が歩けなくなっても背負い搬送できない)

その2)当然だが、手が届く範囲(クライミングでは、”リーチ”という)も狭い。

勢い、男性が背負うと普通に見える50リットルのザックを背負うと、小学1年生がランドセル背負ったみたいな状態になってしまう。

大体、クライミングしていても、リーチの問題で、あそこにガバがある!とか言われても届かない…。ガバが、ガバにならない。

この写真、分かります?でかく見えるけど、実は50リットル。男性は100リットルを担いでこのサイズ感です…。

林業では? 

チェーンソーが不必要にデカでかく見える。

お嬢ちゃん、子どもの遊びじゃねーんだよ~な雰囲気になってしまう…(まぁ、もうお嬢ちゃんって年齢でもないが)

ので、もうほんと、自信がないって言うか、

 体格的に適性に問題あり

と理性が言ってくる、伐倒…。しかし、自伐型林業を行うに際し、伐倒ができない、っていうのは、ありえないからなぁ…。

しかし、伐倒をマスターする、”易から難へのプロセス”、が、なかなか見えてこないんだよなぁ。

■ 祝・一本目


さて、このような状態で、自信がない中ですが、先日、初めてチェーンソーにて、1本目の伐倒を経験しました。

講習仲間が記念すべき、その様子を動画に収めてくれましたので、じゃーん、公開。

嬉しかった~!I村さん、ありがとう~(T_T)



ふたつ目の動画では、先生の背中から、私が講習生の中で、どのような立場であるのか?推し量っていただければ…と思います。先生の背中が物語る、そこはかとない、”しゃーねーなーな雰囲気”と”私の本気度”の不釣り合いさが、見て取れる動画です(笑)。

ホントは、そこまで気合入れるようなサイズ感でもないのよ~な感じなのかな~?

■ 細い木の方が伐倒は難しいですよ

この日は、午後雨の予報で、伐倒はチームで順番なのですが、私は3班あるうちの一班。一班では、一人はもう伐倒したので、二人目ですが、前述のI村さんが紳士的に、「僕はいつでも伐ろうと思えば、伐れますから」とバッター席を譲ってくれました。私は是非、今日中に伐倒経験を積みたいと思っていたので、全員の中で一人目…。プレッシャーあります。

前回の実習で選木した、ピンクリボンが付いた木のうち、もっとも細いものを選びました。

細い径から、大径木に行くのが、易から難、なのではないか?と思ったからです。

しかし、工藤講師によると、「細い木の方が難しいですよ」とのこと…。

うーむ。考えこんでしまいます。

しかし、間伐するとなると、不要の木を刈るわけです。太く立派な木を伐るということは、機会的に少ないような気がします。

私が伐りたい!と思う(であろう)邪魔な木、間伐したほうがよさそうな、弱った木、というのも、そう大きな太い木ではないだろうと思います。

というので、今回は、難しいという点は、指導者がいる間に、難しいケースを体験しておく、ということにしました。失敗するなら、フェイルセーフである、指導者がいる環境でやったほうがいいですよね。

■ 必要機材

さて、伐倒です。そうです。伐倒には手順があるのです。

(もう前の晩にシュラフの中で、何度もシミュレーションていますが…。)

まず、準備作業をします。

チャップスをつけ、ヘルメットをかぶり、笛、防振手袋、チョーク、楔、ハンマーを用意。

■ 林道などであらかじめ、チェーンソーの始動

朝一回目に使うときは、エンジンが掛かりにくいので、平坦なところで、あらかじめ掛けておきます。この時、エンジンオイル、チェーンソーオイルが十分に入っているか、もついでに確認。

講師に、「始動するときも、手袋してね~」と声を掛けられました。防振手袋です。

■ チェーンソーの選択

小さいチェーンソーの小軽を選択。

本来、小軽は、伐倒用途ではなく、支障木の伐採用なのですが、大きいチェーンソーは、私の体格には合っておらず、現時点では振り回されてしまい、リスクを感じます。また、私が購入する予定のものも、エコーの小型充電チェーンソー(前述の林家、佐藤さんが使っていたもの)なので、今回は、用途的に合っていないのは、目をつぶって、小軽。

本来は、ノーマルサイズ4.5~5kgサイズのものが良いようです。

写真は、プロも使っている小さめチェーンソー。充電式。

■ 支障木を伐る

・伐倒した際に邪魔になりそうな木、
・退避場所に退避するときに邪魔になる木

を伐ります。手首、足首サイズの灌木が多いです。これは手のこや、鉈でも伐れます。

みんなが手伝ってくれ、嬉しかった!

■ 伐倒方向の検討

今回は、真下、真横、右斜め45度下方、の3つの可能性がありました。

真下はできるだけ避けるべき、というのがセオリー。集材は楽そうですが、他の人の伐倒で、木が勢いよく、谷底まで流れて行ったのを見ましたしね。

真横というのは、木の重心の関係から、なかなか難しい方向なのだそうです。枝が山側ではなく、谷側に張り出しているので、大抵の木は、谷側に重心があるからですね。

そこで、相談の上、今回は、右斜め45度下方、に決定。

これは、仲間と講師で相談して決めました。一人で伐るとなると、まだ悩んでしまうところかもしれません。

■ 伐倒方法の選択

私が選んだのは、小径木だったので、おいづる伐りは要らないだろうと、想定。

林業用チョークで、受け口と追い口のマーキングをします。

この時、ぐるりと木の周りを観察。エンジンがかかると、音でも緊張して、観察できなくなりますから。

■ コール

ここまで出来たら、

「周囲の安全確認よし!上よし!伐倒方向よし!退避場所よし!」と指差し確認します。

そして、ピッピー(伐る用意していますー!)と笛をならします。

■ いよいよ伐倒です!

まず受け口を作ります。チョークマークの通りにチェーンソーを入れますが、深さは、直径の4分の1程度。一般の人が思うより浅いです。

チェーンソーの背で伐るのは、安定が悪く、私にはまだ不安なので、腹のほうで伐れる体制に体を持って行きます。

この時、

・伐倒方向との兼ね合い、
・退避場所との兼ね合い、
・山の傾斜との兼ね合い、

で、危険なところや不安定なところに立たないようにします。傾斜がきつい場所のほうが、立ち位置の選定は難しそうです。

受け口を作る時、難しいのは斜め伐りです。斜めに切るときは、背は使わない。腹です。30~45度です。なんか雪崩の頻発傾斜と同じ角度ですね(笑)。

また、こねる、という言い方をしますが、チェーンソーを伐倒する木に入れたあと、方向を変えようとしない、ということが大事です。火花が散っているときは、こねているときです。

私のは小径木だったので、受け口は比較的容易に伐れました。大事なことは

  会合点を合わせる

ことです。太い木のほうが難しいように思います。

■ ガンマークを見ます

伐倒方向は、受け口で決まりますので、ガンマークでチェックします。

■ 本合図

受け口ができたら、いよいよ、本合図をします。

 ピー、ピッピー (いよいよ、伐るぞー)

です。

■ 追い口を入れます

さて、追い口入れ、は、木が倒れ始める可能性があるので、緊張のしどころ、です。奥のほうを伐り損ねる、ということが多いので、しっかり奥まで良く見ながら、目的のところまで、チェーンソーを入れます。

この時、指導で、のこ道が閉じてしまわないように、小さい楔を入れて、伐りました。

■ 楔を打ちます

一つ目の動画は、楔を打っているところです。

楔の打ち方は、奥深いものです。基本はハの字ですが、私の木は、小径なので、ハにならない…。小さいのをどんどん打ち進めたら、長さ分、全部使ってしまいました…。大きいのを入れて、小さいのを出し、さらに打ちます。

打ちながらも、退避準備。上を見て、木が倒れ始めたら、一目散に逃げるためです。

追い口から、楔までを素早くスムーズに行うことが大事だそうです。倒れる方向が楔である程度、確約できるからですね。

打つ時は、一回一回、上をみる。パーン上を見る、パーン上を見る、というように、楔だけに集中しないようにします。

■ 成否…かかり木

伐倒の成否は、かかり木になってしまったら、失敗、って感じがしてしまいます。

伐倒方向を選ぶときに、かかり木がない方向を選ぶべきなのですが、例えば、真横、など、伐倒自体に熟達が必要で、真横を選べない、となると、次善の伐倒方向では、かかりやすい方向となってしまい、かかってしまう…ということも起こりえます。

■ かかってしまったら

残念ながら、私もかかってしまいました…くすん。このような時は、フェリングレバーの登場です。

基本的に、丸太状態になった木を回して係りを取ります。私のは、なんとか地面まで倒れましたが、かかり方によっては、右に回しても、左に回しても、周囲の枝に乗ってしまう、という状態を作ってしまうことがあります。

かかり木処理になると、余計な時間がかかるので、ばーんと地面に倒れたら、ホントにスッキリ!しますが、かかってしまったら、あーあ、って感じ。

この日の研修では、6人伐倒して、かからなかった人は2名くらいで、ほとんどかかってしいまいました。そうなると、色々と他の道具も必要になってしまいます。

かかりが取れて、材が安定したら、

「材の安定よし!」とコールして、

 ピー

で、終了の合図をして終わりです。

■ パチパチ~ 祝・伐倒

今回の伐倒は、このような感じでした。

私は以前に大阪のほうで、間伐ボランティアの経験がありますが、伊賀の森で伐った木は、手のこサイズで、「これ日ごろのストレス解消にバッチリね~」と思ったのとは裏腹に、伐倒が本格林業サイズ…20mはある飫肥スギで、緊張で汗びっしょり。あまりに濡れたので、後で着替えました。濡れたままだと低体温症です…。

これは、本気モード、っていう伐倒で、ボランティアレベルの経験値は、何の役にも立たないのだ、ということが、改めて理解できたのでした。

他の男性の研修生も約1名の慣れた人を除いては、似たり寄ったりで、伐倒は男性にとってもストレスレベルが高い作業のようです。初めての人はあたふたしています。体格的に不利がある女性の私だから、ここまで緊張して伐倒するっていうことでもないようです。

チェーンソーに慣れているK藤さん、かなりの大径木を選んでいましたが、彼は動じることなく、普段のまま。聞いてみたら、いつも薪風呂で、薪がいるので、チェーンソーに使い慣れているのだそうです。やっぱり、慣れですかね?

伐倒も一回しただけでは、「ワタシ、伐れます!」とは言い切れません。伐った後、かかり木になってしまったら、処理のために、また色々な知識や道具が必要になってしまいます。

 シンプルな道具立てで伐れる=熟達者

ということです。初心者ほど、色々なギアや知識が必要、ということは、アルパインクライミングやフリークライミングの世界とも共通でした。

初・林業アルバイト!

■ 自伐型林業・就業者支援講習

私は、大阪OL時代から、森林の保全活動には興味があり、間伐ボランティアなどに良く行っていました。山梨へ転勤になった際も、初めて出かけた山は、芦安ファンクラブ主催の南アルプスの登山道整備ボランティアです。(こちらが当時の様子

今回は、自伐型林業の講習に出ています。

■ 女性でもできる林業のバイト

偶然ですが、外ボルダーで全国的に有名な日之影町の方が、チェーンソーの講習の先生でした。工藤建樹先生です。(日之影トポ http://hinokageboulder.com/

福岡から延岡まで通うのは遠すぎて、お財布ピンチよ!と訴えたせいか?先生、助け舟を出してくれました(笑)。

そんな事情だったら、

   女性でもできる林業のバイトを紹介してあげるよ!

ということで、出かけてきました。

■ 山は複数 の鉄則

講習会の仲間と3人で参加。どうも林業の世界では、

  ”スリーマンセル”(Three man cell)

と言うらしいですね。安全対策のために3人一組で行動しましょう、ということ。

クライミングも、一人でもできるけど、怪我をしたときに救援が…というので、仲間と行動するよう、指導を受けます。まぁ、聞かない人も多いですけど、単独だとリスク行動取れない(笑)。リスクを取るのが楽しいのですから、リスクが取れないと、つまり、楽しくないかもしれない(笑)。

なにせ、足をねん挫しただけで、”這って帰った”とか、良く先輩から聞かされます。昨今、若い人は、山岳会に行かないので、こんな話を聞かされていないのかもしれませんが…。

余談ですが、私がいた御坂山岳会では、事故ゼロ&ヘリ出動ゼロを誇っていました。が、よく考えたら、這って帰っているだけ、だったのかもです(笑)。会の宴会で聞かされることと言えば、ピンチをどう乗り越えたか?って話ばかりだからなぁ。 

  ”山は自己責任”

と言われますが、山を甘く見て、自己責任を取る羽目になったらどうなるか? そんな話が聞けるのが山ヤの宴会(笑)。あ、でも、死んじゃったら、這っても帰れないよなぁ(笑)。

■ ステキなロケーション!一面のススキ野原

さて肝心のバイトですが、

  こーんなステキなロケーション! 気分の良い野っぱら

で、初アルバイト!

 佐藤さんとおっしゃる方の下請けでした。佐藤さんは、60代(と思う…多分)の山のベテラン。

道具持っていない!と訴えたら、ちょいちょいと山の小灌木を刈払機できって、さすまた(猪八戒が持っているやつ)を作ってくれました!なんてワイルド!びっくり~!

いつも田んぼの電柵下の草刈りで使っている刈払機が、丸ノコみたいで驚いた!

  「”あさり”をつけるんだよ」

と教えてくださりました。これがその”あさり”とあさりをつける道具。


あさりというのは、のこぎりのように、刃が左右に開いているという状態のことです。

奥の四角い治具で、刃を押し倒して、あさりを付けます。これだけのことで、刈払機が丸ノコにバージョンアップとは!もちろん、キックバックをさせない技術力あってのことだとは思いますが。(アサリ出し動画

刈払機は、農業では、みんなプロテクターもつけないで、「あーあ、また草刈りかぁ~、草には勝てないよなぁ~」と、トホホな感じで使っている、おなじみの道具です。林業の刈払機は、ワンランク上な感じですね。パワフルで、驚きました。

■ 地拵え

私たちが依頼を受けたのは、
   
  地拵え(じごしらえ

と言って、皆伐跡地に植林を行う作業の前段階、準備作業です。

明るいカヤ畑になっていた。早速、ベテランが作業のデモ。


刈られたカヤを列に集めて、植林する苗を植える地面を見えるようにする、という作業です。

植林するにも、地面が見えないと植えにくい、ということなんですね。

これがビフォーとアフター。
ビフォー

 アフター

こちらが佐藤さんに撮っていただいた動画! 私と相方が作業しています。たまたまですが、二人とも青い服、着てる。


作業は、屋外作業なので、トイレ、当然ですが、ありません(笑)。ま、山ヤの男子で問題になる人がいるとは思えないけど。女子も当然、お花摘み、です。

農業などの野外労働では毎度のことですが、あっという間に休憩…。休憩多いな~と、普通の人は驚くかもしれません。9時にスタートしたのに、10時半には休憩、12時はもちろん休憩、15時にも休憩…休憩だらけだよなぁ。しかも16時であがり。

でも、これも、疲労を貯めずに、体を大事にして働く工夫なんだろうな。疲れていなくても従うに限りますね。

で、休憩中、とにかくススキが満開できれいだった。

しかし、なんでススキばっかりなんだ?!と思ったら、どうも、鹿がほかのは、全部食べちゃって、残るのがススキだけ、ってことらしいです…。

ほおずきが、時々、出てきて、見つけたら、パクっ!

薄いベージュのカヤの中で、オレンジ色が光っています。

けっこう、おいしいほおずきだったよ。

昔の人は、ほうずきを食べると流産すると言ったそうです…。









■ 鹿の食害 深刻

鹿の食害は、深刻らしく、この日は同じ現場で、他の講習生仲間が、遠くで鹿柵設置のアルバイト中なのが見えました。

そういえば、山梨県の三つ峠でも、鹿柵設置のボランティア活動をしましたが、設置したとたんに植生回復したんですよね。鹿、ホント困りますね。

別件ですが、鹿肉のロースト、今までの人生で食べた中で、一番美味しいロースト肉だったなぁ…。岡山のクライマーに貰ったものでしたが。ローストビーフと同じ手法で作れる。

■ 一日の成果


こちらが、今回、どうなったか?遠くから見て撮影した結果です。プロは、同じ時間で、この見えている範囲の下のほうまで終わってしまうのだそうです。えっええ~?すごい!

そういえば、林道を運転していて、山が横のシマシマのストライプ模様になっているよなぁと、よく思っていました。カヤを寄せたものを下から見るとストライプになっています。

これだったんだなぁ。

   森が本当に、ひとつひとつ手作りで作られていること

に感動しました。黙々、粛々と作業できる、瞑想チックなバイトでした。

帰りは、心地よい疲れを感じ、日之影温泉に入って帰りました。外ボルダーの筋肉痛とは、全然、違うな。全身で運動したなって感じでした。まぁ、やっていることが、大きな箒で掃く、みたいな動作だからですね。

お天気が良い日で癒されました☆

工藤先生、佐藤さん、お世話になりました!