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2023/09/07

【ボルト】ボルト打ち十戒 汝カットアンカーを使ってはならぬ

10年に一回打ち換えていたら、100年たてば、10回。

あっという間に、スイスチーズみたいになってしまいますよね!


2023/07/31

【Climbing policy】Better to have no bolt at all if you can not afford to fall 落ちれないボルトならないほうがまし

■ A comment that made me feel that I am not a fool 

Now I know I am not the only one who thinks so... so this made me feel very good, I am wise as someone who said this.

---------

if bolts are spaced far apart there is no excuse for not making them reliable at the very least. Otherwise it’s like Russian roulette if you fall off, better to have no bolt, at least than you know that falling is not an option. 

ーーーーーー

If you are a foreigner, go to read this page also. 

https://allnevery.blogspot.com/2023/04/on-miyazaki-climbing-hinokage.html

■ こんなコメントをもらいました

心の癒しになりました。 Chat GPTで上記コメントを翻訳してもらったらどうでしょうか?

要約すると、落ちれないボルトなら、最初からないほうがマシ。なぜなら、落ちることが最初から選択肢にないと分かっているから。

こちらにもそのように記述しています。

4年の総括 九州クライミングの状況 

https://allnevery.blogspot.com/2021/12/blog-post_16.html

です。日本中の岩場でカットアンカーが使われていますので、日本中の岩場がロシアンルーレット状態です。




そのことにそもそも自覚がないから、いいルートだよ!とか素晴らしいルートでしょう!と無自覚にルートを礼賛してしまっています。そして、人に登りに行くように勧めてしまいます。

九州では、このような人が指導者である、という現実があります。つまり指導者もクライミングを理解していない。

落ちれないルートはフリークライミングでは良いルートでは全くないです。特にスポートを志向する現代クライマーからすると、基本、最悪のルートって意味です。

クライミングを肝試し大会だと思っている人が、このようなことをいうわけです。クライミングは肝試しではありません。



2022/09/17

終活・遺産寄付でリボルト資金へ?

■ アメリカはオピオイド系で人がバタバタ死んでいる

巨大製薬会社の陰謀…というドキュメンタリーを見て、

アメリカで登るリスクはこれだな~と。

銃社会、ということ以外には、麻薬社会ってのがあります。自己責任の比率が日本より大きい。

要注意の名前は、オキシコンシンとフェンタニルです。よゐこは近づかないように。

 

しかし、米国企業はこんな感じだよな~と見ていて思いました。誰も悪い者がいない間に巨悪が積みあがる様子が、デジャブー感でした。

■ 遺産を岩場に寄付キャンペーン

 これから、大量の団塊世代のこの世からの引退がスタートするはずですが…みんな家を二つも3つも持っていて、家余でイラナイ、という人が多いです。

そういう人は、相続税で子孫に負担をかけるより、遺産をクライミング界に残すというのはどうでしょうか?

リボルトの基金になれば、この世に素晴らしい業績を残したことと同じになるでしょう。

http://jelf-justice.net/wp/wp-content/uploads/2016/07/%E6%8E%A8%E8%96%A6%E5%9B%A3%E4%BD%93%E8%B3%87%E6%96%9920200825%E6%9B%B4%E6%96%B0.pdfより引用

JFAやその他協会が受け取り手になれば、良い具合に図らわれるのではないでしょうか?

2021/11/13

朗報・どんどん更新が進んでいる40年前のカットアンカー

■ 北海道ではクラファンでリボルト資金調達


https://readyfor.jp/projects/tamaru?fbclid=IwAR1fXA4raFA3Jerqig8ymfwzhdEEHbZVrqUKAGJ49DjX3AtsxuBKm7oDyU8

■ 九州では個人口座




■ 劣化ボルトの様子

以下のものは北海道のものですが…九州も大して変わらないレベル感…。カットアンカーです…。

こんなものを うかつに信頼して、バンバン落ちながら登っていたとは…(汗)

本当に無知とは恐ろしいものです…。

■ 25kN

新規設置ボルトでなら、カットアンカーを使って良い、という誤解が根強くある
ようですが、新規設置のボルトでも、カットアンカーは時代の要請にこたえる強度があるボルトではありません…。 25kNが世界的に岩場のスポートルートに必要とされる強度であり、カットアンカーは、施工に成功しても、最大15kNでカムノーマルサイズ並みしか出ません。

文登研の黒田さんの論文にもその旨記載してあります。

2021/06/21

本当にクライミング界のためを考えれば、という選択肢を取りましょう

 

■ 事実として間違っていることを熱心に解説して私を非難して来る人

もたまにいるんですが…。

そんな人の ”思い込み” を解除するには、何時間もの突っ込んだ議論が必要になると思われ、それをそういう人は要求してきますが…。それこそ、どんだけ…って感じで…。私はそこまで暇人でないというかですね…。さらに言えば、その方にそんな時間を突っ込むほど、その人と親しくない。

昨日は、ワクチンを打つか打たざるべきかで議論になりましたが、打つという人が私を見下した態度をとったのですが… その人に対して、むっとは来たけど、その人が人体実験にあえて参加したいのだったらいいんですしね…彼女の体は彼女の体。私は親でも何でもないので、自分で考えて正解と思う道をとったらいいと思います。

クライミングでは、

 カットアンカーが安全だと私を説得しようとしてきた人

には、驚きました。若い人です。

■ 5-15kNという数字の意味

そりゃ、トラッドでは、カムでバンバン落ちているんだから、適切に設置されたカットアンカーで、打たれてまだ間もない状態であれば、今すぐボルト脱落事故が起きることは考えにくいでしょう…

しかし、だからと言って、UIAAが世界的に基準として定めている25kNを大幅に下回る5kNー15kNで、新規に支点を整備することが正しいことだとは言えない。

つまり、今すぐ死ぬわけじゃないという1点において、白だからと言って、グージョンとカットアンカーを比較して、残りの9点はグージョン採用に現代では正解があるわけですから、カットアンカーでもいいよね、ってことにはならないのです。

■ なんでそういう発想になるのか?

なんで、そういう発想になるのか?ちっともわからなかったなぁ。

おととい山に友人と登りに行った。友人はアメリカ人なんですが、単純に彼女は山登りそんなに好きでも、自然が大好きというわけでもない… 日本のことですら、そんなに知らない、ごく普通のアメリカ人なんですよね…

じゃあ、なんで日本に来たの?と言えば、単純で、日本に住んだことがある、というエキゾチックな経験が彼女は欲しかっただけみたいなんですよね。同じようにエキゾチックな経験を積んだ男性との出会いも出会いやすくなるし…。

短い言葉で言えば、箔って感じですかね。だから、ほんと日本社会に不満だらけで、なんだかなぁ…と思いました。日本はアメリカとは違うから意味があるわけで。

■ 箔

この経験で、そうか、あの文句を言ってきた若い女性クライマーも、そう言うことだったのか…と分かりました。

その人の目的は、岩場を良くするってことではなく、自分を素敵に見せるためのクライミング、ってことだったんですね。

開拓も整備も手伝って、かっこよくステキな、できるクライマー、っていうことだったんですね… 開拓手伝いしたり、その情報を広めることは、彼女を素敵に見せるのに役立つ… 

■ 公共の善を考えるクライマーはごく少数

しかし、経験から言わせてもらえば、大体、クライマー連中っていう人種は自己顕示欲ばっかりで、クライマー連絡向けFBを運用していますけど、参加するクライマー連中の中に、役立つ情報を広めようという考えがある人、全然いません。

男性クライマーが積極的に出す情報って、どこを登って、どこをRPできたとか、自分がカッコよく見える話ばかりで、そういうのを見ると、私などは微笑ましいなって思うだけですけど

…とどのつまり、自己顕示欲、ってことですよね。

まぁ、私は記録として、こんな料理を作ったというFBをアップしていたら、女子力アピールしていると男子は思っていたらしいから…その人の本当の意図っていうのは、いつでも本人に直接聞いてみないことには、何か?と言うことは、分かりませんけれども。

それにしても、私の海外の友人が日本に来て日本文化に興味がありますっていうのに、一向に日本についての本も読まず…。なので、そうか、彼女にとっては日本に住んだことがあるというその経験、で自分がエキゾチックでステキに見えることが来日の目的なんだなって分かる…それと似ています。

■ ビレイヤー資源の取り合い

私は、故・吉田和正さんのビレイヤーになったのは、ただの状況的に仕方なく…です。色々なツヨツヨクライマーに声を掛けたけど、”そんなすごい人とは登れません”とか言って、誰も来なかった。

米澤さんと登っていたのは、米澤さんが開拓者だから、ではなく、初めから存在をHPを通じて知っており、歩きつくした痕跡も知っていたので、とても尊敬していたから。こんなに正しい山やはいないなと思っていました。ついでに、家がかなり近く、一緒に岩場に行くのに、交通費を折半で来て、互いに都合がよかったからです。別に泊を付けよう、と思っていたわけではない。

もし私が賢い選択、を取るなら、今でも米澤さんとは登っていたかもしれません…。ただ相方が怪我をしたときに保険にならないどころか、悪化させるような選択を取る人と登るのはいくら何でもできない…と泣く泣く断念、が正しい状況です。


九州ではクライミングをしていると、ホントに自信のない、自己顕示欲でいっぱいの男性像しか見えてこない…。やればやるほど、幻滅するばかりなので…、やっぱり自然農をするのが、感謝へ直通する道だなぁと思っています。

感謝できることをする、それが正しい選択肢。

しかし、それにしても、なんで山梨では次から次へと感謝しか湧かないような恩寵がクライミングで私にもたらされたのかなぁ… あ、そっか、九州で、この”ボルトは危険ですよ”活動を正しく展開するためだったですね…

というわけで私のクライミングにおけるお役目、は、しっかりと末尾まで全うさせていただきましたので、そろそろ引き上げさせていただきたいと思っています。

付録:揚げ足取りの人に対する対策 https://smartlog.jp/146311

2021/06/16

登山研修VOL.36

 クライミングをこれからも楽しむために…と題された黒田誠さんの寄稿です。

https://www.jpnsport.go.jp/tozanken/Portals/0/images/contents/syusai/2021/tozankensyu36/2-7.pdf

やっぱり、カットアンカーは終コンです。

2021/04/30

リボルトの報われなさとグリーフケア

 ■ 開拓vsリボルトの比較

開拓   vs リボルト

自分が登るため ⇔ 他人が登るため

プライベート  ⇔ パブリック

白いキャンバス ⇔ すでに描かれたキャンバス

自由度あり ⇔ 自由度無し

名誉  ⇔ 名誉なし

命名権あり ⇔ 命名権無し

ボルト代100円時代 ⇔ ボルト代1000円時代


ということです。

先日、著名なボルダー開拓者から、「開拓者はつくづく損だ、誰かがやってくれるとみんな考えている!」という苦情が上がっていました。

ボルトを打たない、ボルダラーの開拓者からすら、そうなのです。

であれば、一番くたびれ損なのは、リボルトしてくれる人だと思います。

私が考える、もっともあるべき道は、自分が開拓して、その開拓したルートのボルトが、経年劣化したために、責任を取って、自分でリボルトする、ということです。

■ グリーフケア

クライマー向けグリーフケア

としてリボルト職人があるというのは、可能性があるかもしれません。

私は弟を24歳の若さで亡くしていますが…、クライミング活動は、なんとなく、弟に付き合っている感覚でした。ある意味、弟の死に対するグリーフケア。

アルパインでは、新井さん、講習生仲間、など、初期に亡くしています。リードで人を落としてしまった人にも会ったし、自分が落とされて頭を縫ったし、ソロで登っている墜落を見たり、九州では一発目のクライミングでグランドフォールを見たし…、もちろん、吉田さんの死もありました… というので、

 クライミングのリスク喚起=死者への弔い

です。リボルト職人と言うのは報いがない仕事ではありますが、グリーフケアとして、無心でボルトを交換する、というのは、ありうるかもしれないなぁと思いました。

2020/02/29

ボルト基金のためのクラウドファウンディング情報収集

■ 寄付型クラウドファウンディング

ボルト基金に適したクライウドファンディングの調査です。

とりあえず、リストアップ

まとめサイト
https://cf-hikaku.net/kifugata/

https://readyfor.jp/

https://readyfor.jp/projects/hatukaichi_2014-8-20

https://readyfor.jp/projects/aladdin

■ クライミング系&実績

ガマスラブ
https://otsucle.jp/cf/project/2156.html

岸良ロックフェス
https://camp-fire.jp/projects/view/206765?fbclid=IwAR2UdXFoEDF_30FIoSO1O-PIyNUIlqxsfzoFkgEgZhYJ15clcQou0rEa-yc

笠間
https://camp-fire.jp/projects/view/220818?list=search_result

パラクライミング
https://camp-fire.jp/projects/view/78239?list=search_result

スピード壁
https://camp-fire.jp/projects/view/91900?list=search_result

■ キャンプファイアは 実績多数

ガマスラブで使ったOtsukleさんより、Campfireのほうがなんとなく、クライミングを再度説明する手間が省けそうな気がしますが…。

両方に、相談を持ち掛けてみると、色々はっきりはするか。


2020/02/27

25kN

■25kN

現代のボルト強度は25kNと確保理論で教わり、ペツルハンガーがついているボルトは、みな25kNの強度があるものだと思っていた、あの頃…。

うぶでした。九州に来て、あんな支点やこんな支点を見かけるようになり、見慣れない支点で微妙に自己評価に自信が持てず、師匠に写真を送っては、「これってどう思います?」と聞きました…。きっと、今までそんなことをしていたクライマーがいなかったんだろうと。

開拓者に会ったときは、素晴らしい出会いだと思い「ボルトを提供させていただきます」と言いました。ボルト提供案は、なんという妙案だったことか…。

さて、ボルトですが、25kN出ているのは、M10グージョンとケミカルアンカーだけです。

M10カットアンカーは、正しく施工され100%強度が出ても、15kN。プアな施工だと5kN出るかしら?

でも、カムってレギュラーサイズ、14kNですよねぇ?スモールカムで4kN。

懸垂用途には、基本的に静荷重しかかからないことになっているので、中間支点よりも強度が落ちることは問題がないらしく、それでどうも、九州の支点は、立木でとることになっているらしいですが… 立木で支点を取るのはいいけど、その場合、木の上に生えた立木の強度は…?何kNなのか、評価不可能。

そして、懸垂は失敗が許されない。
中根穂高さんが、立木は抜けて落ちた事故報告があるけど、ボルト2個もろとも、抜けた記録はないと言っていました。ただし、そもそも、事故報告自体が上がらないので、報告にないと言われても、信用ならないですが…。何事も100%はない。

ちなみに70代で、まだ生き残っているクライマーは、トップロープソロ時は、ダブルストランド。ビレイループすらダブル。

現代の若者は、JFAですら、シングルストランドでぶら下がっていますが、1本だと1本が切れた時終わりですよねぇ?

オールドクライマーは、冗長の法則をかたくなに守っていました。それが生き残りの秘訣なんではないですかね??

2020/02/17

レッドポインターという生き方の限界

■レッドポインターという生き方の限界

結局のところ、カットアンカーは、オールアンカー同様、落ちれないわけなので、レッドポインターと言うスタイル自体が、不可能ということでしょう…(汗)。

フリーのルートであっても、アルパインと同じく、

基本、落ちれない

ってことです。前の師匠の青ちゃんは、「おれ、すぐ落ちるクライマーは嫌い!!」と公言していましたが、私は、なかなか落ちないクライマーでしたので、互いに上手く行きました。

上手になるには、あまり粘らず、体力腕力をセーブして、回数を多くして、レッドポイント狙いのほうがいいよ、と大阪で別のクライマーのおじさんに言われましたが、それも課題の質に寄りけり、です。下部核心のルートでは落ちるのはリスクです…

結局、一度目に、オンサイトで登れないと判明したら、宿題として、ジムに持ち帰り、ジムでうんと実力をあげて、次回は一撃狙い、がいいのではないでしょうか?

オンサイトは、2度目は、もうないので、一撃と言いましたが、やっているほうは気分はオンサイトと同じくらいなもんだと思います。

クイズ カットアンカーの安全性はどう判断したらよいでしょうか?

■ クイズ

このボルトの安全性は、どう判断したらよいでしょうか?

答え
1)引っ張ってみる
2)体重をかけてみる
3)落ちてみる
4)叩いてみる

正解

 ボルトを開けて、中身を開いてみる

■ 開けてみないと分からない

これはカットアンカーです。それがステンレスか鉄かや、メーカーなども外してみないとわかりません。効き具合いも、抜いてみないとわかりません。

アンカーの状態はハンガーを外してみないとなんともいえない。


参考情報
写真は昨年末に伊豆の海金剛の下降点にあったハンガーボルトです。 外からの見た目は同じですね。 しかし、中のアンカーは鉄だったので、電解腐食でネジ山はほとんど無くなってしまっています。 抜けるのは時間の問題という状況ですね。

■ 非現実的

一回一回、全部のカットアンカーのボルトを外して、内部を確認して登るというのは、非現実的です。

■ ブランクセクション以外はカム

ということで、ブランクセクション以外はカムを用いて登るのが、もっとも

  自己責任論 & 安全性

ともに、満たしたプロテクションの解、ということになります。

■ ブランクセクションをどうするか?

1) スキルを上げる

落ちるリスクを受け入れ、100%落ちないスキル(つまりフリーソロ可能なレベル)になってから、取りつく

2)一か八か

落ちるリスクを受け入れ、一か八かの賭けに出て、掛けに勝つ。

3)TRによる試登

トップロープリハーサルを繰り返せば、自動化で、落ちるリスクは、かぎりなく0%にちかく下げることができます。

トップロープリハーサルを10回やって10回落ちなければ、確率論的に、次に落ちる可能性は、かなり低いです。

その上、トップロープリハーサルの数は、本人が好きに増やせる。

試登は、アレックス・オノルド君が、エル・キャップフリーソロに成功した手法です。

4)TR限定

とは言っても、何十回も試登してまで、その課題にこだわってフリーで登りたい!って人も、かなり少ないハズです…先に飽きちゃう…

ので、現実的には、

一般人       → 4)の解。TR限定で登る
エリートクライマー → 1)の解。ゆとり(安全マージン)を増やす。

自分のRP限界グレードが5.14なら、5.12では落ちないだろう、ということです。

5.12が登れる人だと5.8で落ちるということは、考えにくいので、ソロイストなどのソロシステムで登ることも可能になります。

5.8がギリギリの人が、ソロイストで5.8を登ると、ソロイストの信頼性は低いので、非常にリスキーな行為になります。

(5.12)- (5.8) = 4 

で、4グレードの開き。 

一般にアルパインルートでは、2グレード下が適した安全マージンと言われています。

しかし、ランナウトやブランクセクション、では、4グレード開きが要るかもしれませんね。

■ 日本の岩場のボルトの現状について

カットアンカー=外してみないと安全かどうか?が確認できないボルト、です。

つまり、以下の見識では、クライマーは自分を守ることができません。

ーーーーー
日本の岩場の今の現状では、リボルトも、なかなか進まないだろうし、クライマー自身が知識を持って、自分の安全を守ることが大切だと思う
ーーーーーー

この”思想”は、現在、一般クライマーが共有している、マジョリティが持つ思想だと思いますが、この思想では、安全性を確認した、とクライマー本人が思ったところで、まったく確認は取れないということです。

つまり、もはや、この思想が通用する時代ではない、ということです。残念ながら。

何度もいうようですが、

カットアンカー=開けてみないと外から分からない

です。私はレンチを持って行きましたが、今回、六角レンチを持ってきたクライマーは何人いたのでしょうか?

つまり、カットアンカー= 時限爆弾と同じ、です。

この、クライマー自己責任思想、”思う”のは個人の思想なので、思いたけければ思えば、それは自由であるのですが、それがあるべきクライマー像だと人に強要するのは、無理がある、ということです。

現実は、カットアンカーのルートが9割、JFAが認定したグージョンのルートは1割もあるかないかでしょう。

つまり、JFA認定のグージョンでない限り、そのボルト自体の安全性をクライマーが自己責任で受け入れるためには、ボルトを外してみて、中身を見ないことには分からないということです。グージョンですら、レンチで回して、効きを確かめる必要があります。

自分自身が知識を持って、自分自身を守る

というのは理想論ですが、それはハッキリ言って、実現されていないどころか、その理想論の裏を掻くような、ボルト事情です。つまり、その理想論を地で行けば、

カットアンカー引っ張ったり、いろいろしてみて、まぁ、大丈夫そうだから登ろう!

ということになり、

落ちてボルトが外れても自己責任、

となります。外からでも分からないし、引っ張っても分からないのに。

つまり、現在通用している、流布している、クライマー自己責任論をあまりに強く言いすぎることはクライマーの間に事故死を増やします。

現実的に、クライマーが自己責任を取ることが不可能な現状が広がっているからです。

開拓者の人たちには、いつ、だれが、どういう材質のボルトをどのような技術で設置したのか?を明らかにしてもらわないといけません。

それだけ開拓者は責任が重い、ということです。いったん設置したら外目には分からないのですから。

さらに言えば、自分で打ったボルトを開拓者は登っていないことすらあります。開拓者はオンサイトと言うことは一切ない人たちです。開拓をするということは、すべての登攀が、トップロープリハーサル、ということです。

なぜ、開拓者たちがそうしているのか? 誰にも指摘されないですが、それがもっとも安全だから、なのではないでしょうか? ボルトを打った本人ですら、信用しないボルトをほかの人が信用する必要はないのでは?

■ 法的見地

法的見地からは、日本のボルトの実情は、自己責任を取ろうとしても取れない状況です。

なぜなら、国際的に最低基準とされる25kNが出ているボルトはほとんどなく、材質も明らかにされず、トポにも誰が、何年に打ったボルトか記載もされず、判断の根拠が全くない、からです。

このような状況下で死亡事故が遭った場合、”自己責任で登ります”というクライミングジムでよくある一筆があったとしても訴訟では負けること確実だそうです。

つまり、

カットアンカーのボルトを量産しつづけること=クライミング界に単なる登れない負の遺産を量産し、リボルト負担を増やし続けること、

にほかなりません。
単純に開拓者の人は、情報弱者に陥り、このことを知らないだけだと思います。

ぜひ、この知識が開拓者も含め、多くの人に広まることを願っています。

そういえば、リボルト職人の検定を受けた、トシゾーさんも、感想で、よくこんなボルトでバンバン落ちていて死ななかったものだ、運がよかった…と言っていました。

祐介さんらと登る強いクライマーです。


2020/02/15

応力腐食割れ(SCC)

応力腐食割れ(SCC)

ステンレスボルトは安心か?というと、それも違うよ~という情報です。

それはSCC応力腐食割れのためです。目で見えませんし、外側から確認することも不可能です。クライマーは3点でアンカーを作るくらいしか自衛手段がありません。

316、304(ステンレスの材質です)でも、SCC(応力腐食割れ)に事故報告が出ています。

フランスペツルによると、テストしたボルトのうち20%で、1~5kNしか強度がなかったそうです。5kNでは体重を支えられません。

岩質ではカルストが最悪だそうです。平尾台の方には連絡したいです。

気温は関係なく、20度でも、それ以上温かくても起こるそうです。

また雨に濡れないところはむしろ危険だそうです。

UIAAでは、SCCが確認されたボルトは、チタン製ボルトへの転換を推奨しているそうです。

資料必要な方は、差し上げますのでご一報ください。シェアしたいのですが、資料しか送られていないです。

2020/01/07

2020 JFAリボルト講習会のまとめ

注:全15記事、ですので、15記事全部読んでいただくようお願いします。

■時間的経緯

現代では、1985年から数年間のラッシュ時に打たれたボルトが更新期(30~35年)を迎えている。

逆に言えば、新しい岩場であれば、ボルトはまだ新しいため比較的安心 と言える。

 ・2000年以前の岩場 落ちない登り
 ・2000年以降の岩場 フリークライミングの岩場

■ UIAA 基準の強度

 25kN 

■ 現時点での強度を満たすボルト

25kN
・M10グージョン 
・ケミカル
・ケミカル強化された全ネジボルト

5~15kN
・カットアンカー
・M8以下のもの

できれば使いたくないもの
・オールアンカー
・リングボルト
・ハーケン

■ ボルトの安全性の見極め原則

1)材質 
2)種類
3)サイズ
4)施工者

■ 材質

 ・異種金属の組み合わせ=コロージョンによりNG
 ・コロージョンがない場合は、応力腐食による破断がありうる
 ・鉄=酸性雨によりNG
 ・消去法により、ステンレス、もしくはチタン等上位金属

■ 種類
 
 ・カットアンカー = 異種金属のためNG 施工後、効きが確認できない
 ・グージョン =OK  ほぼ360度方向の拡張、効きが確認可能
 ・ケミカル  =OK

■ サイズ

 ・M8 = 細すぎて強度不足
 ・M10 = OK
 ・M12 = OK

■ 施工者

ヒューマンエラーの可能性。施工ミス。多くは下穴が大きすぎるミス。粉塵の除去。

■ 現在危険視されているボルト 

ペツルの刻印があるケービング用ボルト

 ・マニュアル値 15kNしかない
 ・3cmしか穿孔されていない
 ・異種金属 3つのコンビネーションでできている

■ 現在推奨のボルト

 新規 = グージョン、もしくはケミカル
 リボルト = ケミカル

景観等の配慮のため。

■ ケミカルボルトの特徴

 ・景観等になじみ目立たない (アクセス問題再燃中)
 ・ドローに優しい
 ・敗退可能
 ・コスト高
 ・施工が難しい
 ・逆クリップが許されない

■ 1ルート当たりのコストの変化 

高価格化ということです。

 昔 支点一つ数百円 5中間支点として、ボルト数7 数百円×7=7000円~
           長いルートでも、1ルート1万円程度

 今 支点一つ最低1600円 1600×7=11200円 + 日当(人件費) 
           1ルート 3万円程度~

日当:特A級 時給2000円 施工スケジューリングができるレベル。かなり敷居が高い。すでに開拓慣れしている人ですら、B級で精いっぱい。日当が出るため、いい加減なレベルの人は雇用できない。そのためリボルト職人の講習会がある。

■ 個人の時代から、組織の時代へ

ルートへのコストが倍増したため、

 「個人のポケットマネーで施工できる時代は終わった」

という井上さんのセリフが印象的でした。まさしく、そうですね。

しかし、クライミング界への周知は、まだまだなようです。高額なボルトを打ち換えてまで、そのルートを登りたいという魅力があるルートは今後打ち替えが進むでしょう。

高額なため、受益者負担の原則を貫くとしても、ローカルな岩場のメンバーが情報網を持つ必要があります。

■ 記事まとめ

以下の記事が私の今回の、リボルト講習会で学んだことのまとめ、です。

1トピック、1記事の原則になっています。全部読んでくださいね!読まないと、このページの、まとめだけでは分かりませんよ!

17ミリのスパナを持ち歩きましょう
ケミカルアンカーでは逆クリップが許されない
ケミカルアンカーの理由
ボルト=負の遺産となっていないか?
ペツルだからと言って信用できない事例
山岳会代わりにJFA加入しましょう
JFAリボルト講習会 Day2
JFAリボルト講習会 DAY1
悲報: JFAのリボルト講習会に見学で参加してきました
ボルトの見極め まとめ マインドマップ
カットアンカーは、時代遅れ
ボルトの安全性 情報量少ない

■ 当方のボルト吟味の歴史

スタートは油山川で開拓者に会い、ボルトを見せてもらったこの山行(2018年11月)


から、正確な知識を得るまで(2020年1月)、約1年2か月かかっています。

この開拓者の方とは4か月程度でご一緒しなくなり、現在はボルダーをメインに頑張っていますが、ボルトに意識を高めようとして、研究したのが以下の記事です。

ボルトの質や配置については、疑問に思えることが多く、この山行で最初の気づきを得ています。

その後、日向神の支点、比叡のマルチに行くことで、かなり疑問を感じ、比叡では、打ち替えに検討されているボルトが、規格に見合ったものなのかどうか?という疑問を持ちました。結論的に言えば、検討されていたボルトでは、現代の要求するレベルには達していないようです。

こちらの図が、ボルトを見決める際のマインドマップです。大事なことは 

・M10グージョンが良く効いている
・もしくは、ケミカル

の2つ以外では衝撃荷重ではなく、静荷重にしておくなど、用心が必要ということです。

「バンバン落ちるクライマーは、俺、嫌い」と言った青ちゃんの言葉は、現代の岩場事情をよく理解し、反映したものであった、と言わざるを得ません。さすが長く岩やっているだけのことはあります。

小川山のように気軽な墜落は遠慮しましょう。 やはり、国際基準でのボルト整備が、着々と進んでいる岩場は、安心の上、安全です。安普請のツケは命で払うことがないようにしたいものです。後世に負の遺産を残さない、これを目指しましょう。

何度も同じことを話す苦労と間違って伝わるリスク

■一人で同じことを何度も何度も大勢の人に話して回る

一人で同じことを何度も何度も大勢の人に話して回る

というのは、セールスマンならいざ知らず、そりゃ~嫌にもなるだろーなーという感想だった、今回のJFAリボルト講習。

一日しゃべって時給800円(かどうかは知らないが、例えば)だったら、そりゃ、もうやる気減退でしょうね。

講習の様子を動画にとったり、リアルタイムでZoomで配信とか、フェイスブックでリアルタイム配信とかしたら、いんじゃないの?とも思う。

動画や注意喚起の文章があるだけでも、注意喚起されて、出たくなる人、ちょっときっかけになって、より深く知りたくなる人、はたくさんいると思う。

ほとんどの人が日和見菌である現代…特に若者。

若い人ほど、経験値が少ないので、良しあしの判断が、ただのフィーリング、つまり、なんとなくだったりして、行動から人柄を察したり、論理の裏付けがない。なんとなくかっこいい方とか、なんとなく多数派につく、というのが安全策の大半である現代。

きちんとした情報を出す=先手必勝、かもしれません。

17ミリのスパナを持ち歩きましょう

現在のところ信頼できる支点の標準サイズは、10ミリグージョンです。これは六角レンチで言うと、17ミリのスパナということになります。

ネジ頭 スパナサイズ
M8  13ミリ
M10 17ミリ
M12 19ミリ


グージョンの良さは、増締めすることで、効きが確認できることだそうです。

グージョンボルトを選び、サイズ的にも強度が十分であっても、施工ミスはありえます。

最後のチェックは、クライマー自身で。

それには、17ミリスパナが必要です。


ケミカルでは逆クリップが許されない

現在、動画は用意中です。

動画で見たほうが分かりやすいと思いますので動画を用意します。YouTubeを見ましたが、掲載ありませんでした。なんでないんだろう???

以下が、ケミカルの支点を使う際の注意点です。

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・しなやかさに欠けるドッグボーンのクイックドローでは、ロープにドローが引っ張られたときに、支点の反対側にドローが反転しやすい

・ドッグボーンが短いドローでも同じ

・ドローの支点側のカラビナを固定している場合も同じ

・ワイヤーゲートは、マイナーアクシスで安定しやすい
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

以上のため、ケミカルアンカーでは

 ・長めのしなやかさのあるドローを使う 26cm
 ・支点側のカラビナは固定しない
 ・ワイヤーゲートを支点側に使わない
 ・ゲートを互い違いにして使用しない (人的ミス)

等の配慮が必要です。

ちなみに井上さんは、ペツルアンジェ でした。

ケミカルアンカーの採用の理由 景観に配慮

■ ケミカルへの抵抗感

一般にオールドクライマーが開拓者のことが多いこの業界で、ケミカルへの打ち替えが進まない理由は、

 オーバースペック感

というのがあると思います。クライマーの文化の中に、

 過剰な安全を好まない文化

というのがあるのは、事実です。

何しろ、ボルト数を減らそうというのが根底思想。もともと打つのが手打ちのジャンピングで1つ打つだけでも大変だった、という歴史的理由からですが、岩を保護する、という観点からも、人工壁並みに1m置きに打ってあるとやっぱり変だなって感じです。

■ 景観への配慮

ケミカルが推奨される、強い理由の一つは、昨今のアクセス問題のことがあるようです。

天然記念物にくさび問題、に端的にみられたように、クライミングが大衆化していくプロセスで、今まで普通に登られていた場所が、”え?!ボルト打ってある!いいのか!!”と社会の目…批判的な目のこともある…を向けられるようになった、という事情です。

昔はハーケンで、目立たなかったものが、打ち替えで、ピカピカのペツルになってしまえば?

目立ちます。

そして、不必要な注目… ”器物破損じゃないの~?”などを生んでしまいます。

クライマー目線で言えば、危険極まりないハーケンを安全安心なボルトに打ち換えるというのは、打ち換えてくれたクライマーにとっては、何も得るものはなく

 善意以外の何物でもなく、

本当にありがたいお方、なのですが、それは、同時に社会的にみると、

 犯罪

ということになってしまいます。究極のババですね…。善意のリボルトクライマーが、犯罪歴付きになってしまいます。

■ アクセス問題、という単語だけで 忌避感 があります(--;)

アクセス問題を解決する、アクセスファンド、が日本にはありませんが、アクセス問題は、おそらくアメリカでも、相当厄介な感じに受け取られている問題だと思います。

なにしろ、ラオスで登った時、どうもドイツ国内には、すでにアクセス問題を抱えず、楽しく登れる場がないから、ラオスに開拓に行ったという感じなのではないか?とうかがえたんですよね。それは、世界のクライマーの雰囲気で分かりました。

アメリカ人クライマーたちも、大勢がラオスに来ていましたが、アクセス、という単語を聞くだけで、及び腰モードな感じでした。

雰囲気は、誰も寄り付きたくない分野、みたいな?

しかし、誰かが許可を取らない限り、みんなで登る岩場は確保されません。

■ 日本百岩場に載っている岩場でも…

このような忌避感のためか、日本百岩場というきちんと印刷された本に載っている岩場であってすら、

 使用許可の受領

は、

 口約束

だったりして、かなりいいかげんなものであるそうです。その辺に野良仕事をしていた、おじさんに聞いたら、「いいよ、いいよ」と言われた、とか。

そのようないい加減なものであったり、きちんとしていたとしても、

 30年前の許可で、すでに許可をくれた人が亡くなっていたり

ということで、基本的にもう一度取り直さないといけないことのほうが多いのだと。

■ 支点のカモフラージュがマナー化しています

上記のような理由で、アクセス問題が浮上してくると、地権者やほかの利用者へ配慮して

 登らせていただいている

という姿勢が大事になります。そうなるとクライマー自身のマナーだけでなく、ボルトのも、マナーとして、

 目立たないボルト

ということが重要になります。

 ハンガーがないケミカルは目立たない点で非常に有利だ、

ということです。何しろ目立ちませんので。ラッカーなどでのカモフラージュも可能だそうです。

という事情で、岩場のアクセス問題の有無によっては、新規開拓であっても、グージョンで打つよりも、ケミカルのほうが採用に適している、ということになります。

■ 施工が難しい

しかし、欠点もあり、施工が難しいということです。施工者のスキルによりばらつきがある、ということ。それで、

 リボルト職人、

という職位を設けて、きちんと責任をもってケミカルボルトを打つことができる人を育成している、という訳なんですね。

施工の難しさについては、どのボルトも同じですが、下穴が大きすぎれば、当然、抜けます。

粉塵の洗浄が十分でない場合も、同様に抜けやすくなるので、丁寧な施工をするという細やかな配慮が必要です。

■ まとめ

上記に加え、ケミカルボルトには、他にも利点があります。

1)目立たない
2)部品点数が少ない …部品の数が少なく、コロージョンの影響がない
3)カラビナに優しい
4)強度が強い 40kN

逆に、欠点もあります。

1)1本1600円と高価  …接着剤分は除く、です
2)施工が難しい  … リボルト職人検定で対策中です
3)逆クリップが許されない 
4)粘りがない … 破断するときは唐突

です。

とくに逆クリップに関しては、これだけを取り上げて書いておいた方が良いと思いますので、別の記事にします。

ペツルだからと言って信用できない事例

■ ペツルでも信用できない

一般に、ハンガーにペツルの刻印があれば、クライマーは、「あ、ペツルだ~」と、ほぼ絶対的に落ちて良いボルトだと感じていると思います。

しかし、ケービング用で、信頼ができないペツルのケースもあるそうです。

まずは、写真を。



中がコロージョンしています。しかも、ボルト、短い! 何?1.5cm???

これはケービング用で、15kNしか強度がない、ペツル ブリーユ という製品です。この製品が、クライミング用に中間支点として、大変多く使われているそうです。

ペツルには

クールボルト スチール  ×  気候変動により酸性雨のため日本では不可
クールボルト ステンレス 〇  スタンダード品
クールボルト HCR    ◎  

と3種のボルトがありますが、どれもグージョンですが、使えるのは、ステンレス以上の 下の二つだけです。 

さらに、ペツル社は、ハンガーだけのバラ売りもしており、ステンレスとスチールを混同して使うと、ガルバニックコロージョンが起きます。

写真のように、中が腐っていても、外からは確認ができないです。

こちらの取説には、

https://www.alteria.co.jp/download/pdf/ifu/P13.pdf

3cmしか埋め込まれておらず、せん断方向に、15kNしか強度がないことが書かれています。これは、落ちる方向に、という意味です。一般にUIAAの規定するクライミング用途での使用は、25kN以上ですよね。引き抜き方向へはNoと書いていあるだけです。

しかも、絵が手打ちの絵ですから、きっと、ジャンピングで打っていた時代のものなのでしょう…

ということで、この手のボルトを信頼しないようにするのが大事です。見分け方は、頭がグージョンのようにネジになっているか?カットアンカーのように平べったい六角かです。

ネジ山が出ているのがグージョン=OK ボルト

ペツルだけど、NGのボルト ケービング用





2020/01/06

JFAリボルト講習会 Day2

■ 二日目

二日目は、岩場での作業です。いや~井上さんの荷物が重くて、驚いた。ずいぶん昔にしか担いでいない重さでした(笑)。

この日は、いよいよ壁で施工する日です。

見学者は、そこいらで遊んでおいて、ということです。

作業者とサポートの2名一組が効率が良いそうで、下でサポートする人が、グルーガンなどをセットしたり、手元にないものを取って渡したりします。

そういえば、吉田さんに、

「〇〇取って!」と言われ、これどうやって渡しましょう?と聞いたら、「クローブヒッチか何かでロープに結んで」と言われ、すぐクローブヒッチできたので、吉田さんに納得してもらえたことを思い出しました…。

ノットの勉強は自分の肥し。


 作業は、おおよそ、

終了点
1ピン目 
2ピン目


としていくそうです。作業計画が円滑に組み立てられないと、一人だけで作業ができる特A級の職人にはなれないのだそう。

これは、被っているところを打ち直しているところで、被っているとかなり大変…。

新しくなった終了点と古い元の終了点の痕
■ 残置ビナ文化

日本は 

 残置ビナ文化

なのだそうです(驚)! 私は最初から結び替えできるようになってからしか、岩場に行っていないので、そんなこととはつゆ知らず。残置ビナがあるから、みんなそれでトップロープ支点にしてしまうのでは???

日本って時々、かなり歪んだ考えをしますよね… わざと導いて、そうさせておいて、できない奴呼ばわりとか…。

■ 現場の怪しいボルトたち?!

ペツルと書いてあるけどカットアンカー
さてこれらは、現場で取ってきた写真ですが…

どうでしょう?

これは、何ボルトでしょうか?

グージョンでないのは分かりますね~

ねじ山じゃない。

グージョンじゃない=NG

です。


取り除いたカットアンカー もっとスリーブが広がっていても良い

ハンガーが水平 = 緩んでいる

六角レンチがあったら、締めたらいいかもですね~。

これはグージョンです。

ハンガーはマムート。











 これも明らかにグージョンじゃない。

撤去対象ですね。
打ち換えたところのケミカルボルト



JFAリボルト講習会 DAY1

■ JFAリボルト講習会

さて、出ていない人のために簡単に流れをまとめておきます。

1日目:座学 グージョンボルト打ち&ナット締め体験会、温泉後、夜座学 1H
2日目:壁への施工。 職人志望者以外は見学

です。

■ グージョンもしくはケミカル

岩場で見る様々な支点…見るのが初めてだと、どう評価して良いものか???分からないのが普通だと思います。

小川山は、ランナウトはしていますが、ボルトは比較的整備されている方と思いますし、色々な人がたくさん登って人体実験後なので、

 誰かが登って大丈夫だったボルト=自分も多分大丈夫なボルト

という経験則で、大体大丈夫系、ですが、それでも屋根岩2峰のセレクションの最終の懸垂終了点など、ハンガーがグルグルになっていたそうです。


リングボルト、ハーケン、オールアンカーぐらいは、さすがに誰でも見て、変だな、と思うと思いますが、ハンガーがかかっていて、ボルトで留めてあれば、”多分、だいじょうぶなんじゃないか”と思ってしまいます。
右がオールアンカー NG


ボルトであっても、全信頼はできないと言われていますが、

実際問題、ボルトの質が見分けられないと、

 どれも不安 vs どれも肯定

のどちらかしかできませんよね? 

したがって、正確に見極める目を持つことが、

 落ちる勇気への第一歩

です。落ちて安心ボルトという確信が必要です。

なんとなく肯定、というのは、根拠がない。根拠がない=リスクテイカーです。

■ ボルトであっても全信頼はできないとなると…

ペツルハンガーなのに異種金属の事例 右がステン
まずは、材質問題。

ペツルであっても、ケービング用で売られていたものは、鉄、アルミ、ステンレスの3種の異種金属で、ガルバニックコロージョンの問題があるそうです。


見た目、ペツルで、ですよ??? 

これはショックですね!










グージョン
■ ボルトタイプ

ボルトのタイプですが、

オールアンカー → NG
カットアンカー → NG
グージョン → OK







グージョン 頭の見た目

です。30年前に打たれたものは、今後全部打ち替え予備軍となっています。新規開拓であれば、グージョンという選択肢もあるかもしれませんが、打ち換えるなら、ケミカルになります。

■ サイズ

M8 → NG
M10 → たぶんOK
M12 → ほぼほぼOK

曖昧な書き方なのは、施工不良や経年劣化などのほかの問題もあるためです。

あくまでサイズ的に、良いと認められるのは、10ミリ以上のボルト、ということです。

あとはケミカルです。新規に打つのではなく、打ち替えとなったら、選択肢はケミカルです。理由は後述します。

■ グージョンボルト打ち体験&ナッツ締め体験

現在施工されているM10グージョンの良さは、後から、施工の良しあし、岩への効きをナッツを締めることで、感じることができる、チェックすることができる、ということだそうです。

10ミリのビットで 穴をまっすぐあけたら、Hiltiの手動エアブラシで、削りカスを丁寧に払います。このHiltiのエアポンプがリボルト職人検定を受けると、もれなくついてくるそうです。優れものグッズです。ブラシもついてくるそう…



参加者それぞれが1本づつ、ボルトを打ちます。

大事なことは、ハンガーとナットを通してから、ハンマーでたたくこと…

ハンガーの向きは後で調整可能です。

これをやる理由は、効いているかどうか、を締めることで確認できるのがグージョンだからです。

■ ケミカルもやります 

効きをたしかめたら、後は、打ち込んで、その打ち込み痕に、ケミカルで化粧してみます。

へらでそっと撫でるのがコツ。ケミカル剤は、劇薬ですので、特殊なグルーガンを使います。これもHilti。グルーがあちこちについたりしないような、細かな神経が必要。

空気に触れると固着始まりますので、まぁ家でアロンアルファしているときと同じで、用心が必要です。


■ リボルトのほうが大変

ゼロからの開拓より、リボルトのほうが実は大変…。

なぜなら、

 ・既存のボルトの撤去

 ・その穴を生かした絶妙なドリル使い

の2点が必要になるからです…(汗)

つまり、基準に満たないボルトを打ってくれるくらいなら、何も打たないほうがマシ…

という事態になっている。

同じ穴を使う場合、グージョン等の撤去の後はケミカルになります。

これは、現在考えられるベストチョイスのボルトがケミカルだから、という理由になります。別に堕落でもなんでもありません。

ケミカルも薬剤が何種類かあるそうですが、そこはリボルトする人以外必要なさそうな知識なので端折ります。

最大の問題は、強度不足、将来確実にガルバニックコロージョンを起こすこと確実のボルトを新たに打ち込むと、遠くない将来に二度手間、で環境にも、人にも悪いということです。

まさに安物買いの銭失い…

リボルトの場合、ケミカルが高いですが、結局はもっとも安くつく選択、ということです。