2024/06/20

【指導記録】懸垂下降は、(腕でぶら下がる)から(腰でぶら下がる)へのパラダイムシフト

■ロープに頼る=腕でロープを掴む

一昨日は山にいました。

そこで気が付いたこと、です。

■懸垂下降は、腰でぶら下がるへのパラダイムシフト

登山で出てくる鎖場になれてしまうと

(ロープに頼る=腕でぶら下がる) という思い込みが形成され、

それを 

(腰でぶら下がる)

に変えることが懸垂下降の習得項目、といえるかもしれません。

登山道で、ロープや鎖が出てきたら、手でつかみますよね。それを引っ張りながら登れ、という意味に、誰も教える人がいない、一人で登っている、普通の人だったら、感じてしまいます。

■ 鎖は引っ張ってはいけない

本来は、鎖場の鎖って、引っ張ってはいけない、と私は教わりました。

九州では、山のグレーディングがないので、難しい山に老女が来てしまう。

ので、そういう特別に配慮が必要な人に向けて、ロープがアチコチについていて、山梨で登っていたころは絶対ここにはロープないよな、ってところにもロープが出ています。

なので、元気いっぱいの若い男性でも、

ロープを見れば、手で引っ張ることに ”無意識に”誘導されている

んでしょうね。

無意識だから、その箇所が

そもそも、ロープや鎖に頼らないと登れないようなところではない、

のに、使うように誘導されていることに気が付けない、ということです。

既設の鎖だと、毎年何十人もの人が鎖場の鎖に全体重をかけて、ゴボウで降りたり登ったりしている、ということです…。

支点に力が異様にかかって非常にむしろ、危ないです。

支点がロシアンルーレット化しています。

■ ロシアンルーレットを危険だと指摘すると、むしろ逆に無謀呼ばわりされる

それを危険だ、と指摘すると?

逆に、鎖なしで登れということを言ってることになり…老女に向けて、それはかわいそうだ、というのが、拡大解釈されて、元気一杯の男性でも、同じだ、となってしまいます。

鎖を使わず登れ、と言うなんて、ひどい奴だ、という解釈です。

■ 逆に体力的・技術的には無理をすることになる

九州のクライミング界で起きたことですが、逆に、私が支点の強度を問題にすると、じゃ支点を使わず登ればよい、という話になり、今度は保険なしに飛躍します…。

それは4級(5.8)40Mランナウトを、登れというのと同じことになってしまいます。

ロープをつけるのは正しいのですが、40mランナウトしたら、ロープをつけている保険には全くならない…。というので、部分点までゼロ点になってしまう…。ならフリーソロするほうがまだはっきりしているってことになります。

つまり、この辺のバランス感覚のずれ感、というのは、本州で普通に安全に登っているクライマーと登らないと、意味自体が分からないのかもしれないです。

5.8から上でランナウトを、フリーソロ出来る人が、40mランナウトしても、別に怖いとすら感じないのが普通だと思いますが、世の中には、若い男性でも、老女と同じく、山で弱者で、同じ5.8でも怖いと感じる人がいます。

5.10を登る人が5.7をフリーソロするのは、怖くないです。

また

5.12を登る人が5.9をフリーソロするのは怖くないです。

逆言えば、

5.7なら、5.10の人はフリーソロ出来る(するのが健全化は別)

この厚みは、個人別かもしれません。

最初から運動能力が高かったり山に向いているタイプは、保険なしでも、保険がないことにそもそも気が付かず、登りたい!と感じるようです。その人口比率は、たぶん3:1くらいなのではないかと思います。