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2020/10/21

私にとって、失礼とは…

■失礼な!!

先ほど友人からなのですが、誰でも歩けるような低山のトレッキングの誘い、有料で2000円が来て、

かっちーん

と来たのですが(笑)、私の登山日数すでに600日越え、積雪期ですら120日越え、アイスクライミングだけでも50日越えで一般の人の8年分に相当、積雪期登山ガイドレベルの能力があります… きっと、そういうことに私自身が高いプライドを持っているから、なんでしょうね…。

無料だったら行ってあげてもいいけど、有料だったら絶対行かない(笑)。マイクロバスに乗るような山をしないで済むために、登山能力を高めてきたわけで…。

他の人がそういう山をしても、どうとは思わないけど…、自分がその人と同じレベルだと前提で思われるのがものすごく嫌です。

つまり、本心ではそのような山を馬鹿にしているわけですね…。

まぁ、私も年を取ったら、マイクロバスに乗る山をするのかなぁ…。今の様子じゃ、年をとっても、一人で歩ける小さな山に登っているような気がします…。小さい山に登る気になれないのは、体力余って退屈し、運動量不足だからです。日本の山じゃ甲斐駒をタイムトライアル的に登るしか、今の体力に合っている山ないでしょう… まぁどんな山でも毎日登っていれば、体力アップにはなるでしょうが…山に魅力を見出せないので、下界では水泳しています。

私の理想は、どんなに力が衰えても

 自分で担ぎ、自分の足で稼げる山に登ったフレッド・ベッキー
 
 誰かに登らせてもらった5.11より、自分で登った5.8のほうが楽しい

のです。ごめんね。5.8ですら登らせてもらって、それでうれしい人。

私は心が狭いので、そのような人たちは、もっとレベルを下げて、自分で登れるような山に自分で行くべきだという意見です。

レベルをどれだけ下げても、「け!こんな山しか登れねーのか!」と私は言わないと思いますが、マイクロバスで行く耶馬渓に敬意を感じることは、ちょっと出来かねますね~


2020/09/09

千日回峰行にみる本当の自己責任とは?

千日回峰行で、万が一行が続けられなくなった場合に備え、埋葬料10万円をもって歩くというくだり。これこそ、正しい

クライマーの自己責任

じゃないか!と思ったのですが…

ところが…現代的な埋葬費用を調べてみたら!!!

231万円なんて持って歩けない(笑)!!!

日本のお葬式費用 231万円
アメリカは44万4000円、
韓国は37万3000円、
ドイツは19万8000円、
イギリスは12万3000円
(婚葬祭業の株式会社サン・ライフの資料による)

このデータだとイギリスが一番質素なお葬式みたいです…日本ではお葬式にかかる費用のほうがコロナ禍で生き延びる費用より大きいかもしれない…

2020/08/08

八面山 上部エリアアプローチで あわや滑落

■あわや滑落

昨日は、偵察で、あわや滑落、という、一シーンがあり、山慣れしていない同行者に対するリスク管理を配慮してあげる難しさを痛感させられました。

その方は、おそらく、パーティの2番目に、私の後ろで歩けば、そこをまったく問題なく通過することができたと思うのですが、私は強いリーダーではないので、”俺の前を歩くなんて無礼だ!オーラ”は、出していません。結果、民主的なリーダーの弱点が露呈した格好に。

また、その方はそこを通るのは2回目だったので、ご自身が疑問を持たずにトップを歩かれた際に、私も、それが危険行為とは思いつかなかったのです。

滑落しそうになったのは、フィックスロープが2本同時に出ている箇所で、下るときに、左に行かないように、とクライムダウンで注意した左を登りで使ってしまい(たぶんうっかりミス)、靴が滑ったようでした。明らかにフットスタンスないので、クライマーは、登りでそこを使わないですが…。フィックスロープが無かったら、滑落するところでした…。
 
事故防止のための活動で事故を起こしていたら、振出しに戻るどころか…となる(汗)。

フィックスロープが多発するようなアプローチ道は、アプローチでの事故が多いです。

下りが最も危険ですが、登りでも、リスク意識が希薄だと、重大事故になりうるというこ
とが分かりました。

クライマーは空荷ではなく、重たいギアを背負ってそこを歩くわけですが、今回は、空荷で偵察だけの人でも、滑落ヒヤリハットです。

現代のクライマーは、ジムあがりの人が多く、ハイキング慣れ、歩き慣れが不足している人もままいます。八面上部エリアのアプローチは、登山グレードでは難路に値しますので、十分気を付けて通行されてください。

■ レスキュー難度を書いておく

傾斜がある場所では、落ちればどこでもレスキュー出動の可能性があります。

そこはアプローチ10分程度ですが、だとしても、救急車を呼ぶとなると、

背負い搬送

になります。

ただ背負い搬送の場合、
自分の体重=背負えるマックス、

です。私は47kgなのでどんなに頑張ったとしても47kg以上の人は背負えません。男性で47kgの人はいないので、私はどのような人と一緒でも、誰も背負えないという意味です。

昨日の八面上部エリアの場合、背負い搬送ではフィックスが出ていたとしても無理なので、事故が遭った場合は、岩場から直接クライミングルートで、引き上げがいいのか、アプローチ道を何とかして、引き上げるか、となりますが、どちらにしても、相当のレスキューワークが必要な難レスキューになるかもしれないと思いました。

新時代のトポには、そのような記載も重要情報として必要かもしれません。小川山では、地蜂の巣を踏む程度で、アプローチがそこまで困難というのは、あまりないかもしれません…

ただクライマーになると、一般登山者時代の感覚はマヒして、悪路もこれくらいは、歩けて当然、という風になっているかもしれません。

その上、新時代のクライマーはジムあがりで、歩きのほうは全くダメ、つまり、アプロー
チでも事故を想定しないといけません。
今回の滑落の場合、最大の原因は、4級のアプローチ程度であっても、そこを自己判断で歩く用意ができていない人に自己判断で歩かせてしまった、ということです。そこをその人は自分の力では歩けないので、連れていくべきではなかったのです。

前回は私のリーダーシップがあったからこそ安全に歩けたところだったので、彼が自己判断で自分の安全を守れると思うのは時期尚早だったのです。

何事も起こらなくて良かったですが、ラオスで、同レベルの個所がどう扱われているか?

と思うと、やはり確実に安全性を高まる方法はなく、クライミングや山歩きには適性がある、ということにならざるを得ないグレードかもです。

私は大堂海岸では、自分の安全管理に、この箇所よりもやや危険なくらいの場所では、ザックをおろし、確保を取って、とまどこっこしいことをしていますが、この箇所はそこまですることはなく、靴が滑るということ(=ギア不足)は、行く前に指摘していたことなので、防ぎようがなかった、という感じです。

やはり、経験値順に歩く、という山の掟を知らないことがリスクだったかもしれません…。

■ 100岩場 記述は、貧弱で誠実さと信頼性に欠ける

これが100岩場の上部エリアアプローチの記述です 4級のアプローチです
足元に注意しながら5分で着く… 4級でフィックスロープが設置していある場所の記述としては、いささか

貧弱

で、

誠実さと信頼性に欠ける

と言わざるを得ません。

2019/12/28

『ロットプンクト』レッドポイントの意味

■ 勝つことだけが至上

『ロットプンクト』を見ました。

を見ました。2つのことが分かりました。

1)西洋社会の歴史の先端を行くヨーロッパ…は、気の毒なくらいの競争社会だということ。そこで、歴史のトップを走る若者… この場合、アレックス・メゴス君ですが… は、必然的に競争に生き、勝たない自分が許せない。それほど自尊心が低いこと。

2)そういう社会がヨーロッパ社会の基調で、ヨガもその解毒剤として使われていますが、解毒するより、もしかして、火に油を注いでいるかもしれないこと。

■ ラオスでバケーションの人と強化合宿の人

ラオスに行くと、岩場がドイツの人の開拓というのもありますが、ヨーロッパの人が多く大陸文化を感じます。アメリカにいる頃も、アメリカ人よりむしろヨーロッパ人のほうが、日本人の私とは感性が近く、イタリアやポーランドの人とより感性が近かった気がしていました。オーストラリアなどの新大陸の人は、みんないい人ですが、怠けものすぎ?みたいな???

あ、話がそれましたが、ヨーロッパの歴史は、競争で進化してきた。

それは、アレックス君のようにクライミング史を塗り替える使命を背負った人にとっては、勝たねばならない、弱い俺なんか価値がない、と自分を奮い立たせること、となる。

彼は世界最難を登るまで、弱い自分は許せない。だから、登る。だから、激しいトレーニングにも耐える、という論理構造なのです。

うわ~、大変そう~!

しかも、分かりやすいけど、その考え、間違っているし!

弱い人間に価値が無かったら、世の中の99.999999…...%の人、価値がありませんね!って話になってしまいますから(笑)。

そういう価値観だと本人も生きるのが大変になっています。その証拠に、彼には、メンタルトレーナーが24時間体制でバックアップしていて、クライミングよりメンタルが課題…。これはかっこいいんじゃなくて、かっこ悪いわけですね。

自分がしたいことをするのに、3人も4人も他人を巻き込まないとできないわけで。まぁ、それも弱さを受け入れていることなんだ、と言えばそうですけど、そういう自覚があるとは見えない。彼のコーチはクライミングのコーチじゃなくて、癇癪をおこして泣く子をなだめる、お母さん・お父さん役を精神科医がやっているだけです。大人だから、もう癇癪を起して泣いたりはしないですけど、メンタルの状態は一緒です。

それでメゴス君が気の毒になりました。そのままで君は価値ある人間なんだよって言ってあげたくなりました。

あとコーチも気の毒に。私はそういう立場にだけは立ちたくないなー。誰かの精神のトイレ役じゃんね。

二つ目に気が付いたのは、ライフスタイルです。

私はラオスにいるときは6時前に起きてヨガし、朝食は一番乗り、みたいな生活で、9時前には岩場でいそいそと出かけており、イメージは、強化月間!!でした。

が、多数派は、バケーションに来ているので、のんびり起きて、のんびり登るということで、私みたいに強化月間な人は、ごく少数でした。

だから、つよつよ君が組みたがってくれたのかなと。ビレイは交代なので、パッパ登りたい人と、だら~としたい人では合わない…。なんで私に来るのよ、ヤダなーと思っていたのですが、すみません!

ヨガは一般的には東洋の思想を西洋社会に伝えるものですが、西洋での解釈が、ヨガが本来、求めてきた解釈と違っているところもあります。特にアシュタンガヨガでは、それが強くて、アクロバティックな競演になっています…。

インド人の先生たちが、”そうじゃなーい!”と声を荒げそうです。インドの本場ではジャンプバッグ禁止だそうことでした。ほっとくと、これ見よがしの競演になるからだそうです。そういう人たちに教えないといけないのは、秀でることではなく、調和すること、自分のしたいようにすることではなく、先生に従うこと、です。

ヨーロッパ人種がもともと好戦的な人種で、それが故に、彼らはそういうポーズの見せびらかしを、まぁ、楽しくてやっているので、仕方ないのだと思います。ヨーロッパ文化って、略奪の文化なので。

なので、アレックス君がヨガをしているところが出ているのですが、ただの肉体トレーニングに成り下がっているので、全くヨガとしての効果が生まれていないのは、ヨガの先生だったら、私ではなく誰が見ても分かるなーって感じでした。アーサナ、できるからやっているだけ。

というので、なんだかなーな映画でした。パタゴニアは何を広めたいのでしょうか(笑)?

■ 献身とサレンダー

ここには、お百度参りのように、岩に献身する、自分を捧げる姿はなく、自然環境との調和的ライフスタイルもなく、あるのは、ただエゴと岩との闘いに、現在のところ、勝っているよ、って話でした。

ギュリッヒの後継者が、メゴス君なのだということは分かりましたが、メゴス君を子供のお手本にしたい!という親は少ないだろうと思います。

親が与えてやりたいのは、ありのままの自分を愛せる自尊心ですし、幸福は、満足と感謝にあるからです。

この映画は、主に、”不足”に注目することが主の映画でした…、パワーが足りない、強さが足りない、〇〇が足りない、です。

なんか気の毒で、若い人だから、その価値観から救ってあげたい!と思ってしまいました。

■ 才能や能力の不均等な配分について

才能や能力と言うのは、一般に公平には分配はされていない。

ので、たまたま恵まれてしまった人は、それを自分のものだ、と思わないで使うと良いです。これはおそらく富も同じです。

”自分”、と、”それを見ている自分は別”、ということです。

クライミングの才能がある”自分”を見て、コーチの目で、愛してあげるというのが、”それを見ている自分”が持つべきあり方です。そうすれば、もっと楽に努力ができるようになると思います。

■ レッドポイントの意味

東洋的には、レッドポイントっていうのは、ほとんどお百度参りと同じです。プロセスに価値がある。 10回かかったんだなぁとか。16日間かかったんだなぁとか。

西洋的には、レッドポイントって、「勝利宣言」…(汗)。 なんだかなぁ…。





2019/03/08

A jag is not a bolt

A Jag hold = a bolt?

As I grow as a climber, I noticed that a jag in the climbing route equals to a bolt.
Meaning they skip a bolt there, since there is a jag, and since it is not likely to fall.

Likeliness of fall

But the likeliness of a fall is depend on your skill.

Like Alex need zero bolts in El Cap as a 900 m high boulder...free soloed.  IF he insists minimum bolts in El cap, and there is no bolts there, there is no one who can climb the Elcap except for him.

So the theory of putting a bolt depending on how good the holds are, is denied ultimately.

Expectation 
I often hear people say, "This is easy. Normal climber is not going to fall usually." But I have seen many immature climbers, fall on where "normal" climber never fall... first of all, what is "normal" here... who is judging "normal "and "usually"? 

I have seen "a young man" falling in the first clip of gym lead wall which usually meant easy jag. Because in the gym, to avoid injuries, they usually put difficult part(crux) on top of the wall not in the beginning. Is he exception?

The 5th grade
Plus, 5.XX means you need a rope for safety by definition. Fun climbing needs safety at first them pride and ego second.  So if you don't need the bolt you can just skip it. If you want to climb unsafely, it is your freedom but you can not force to the others...especially the climbers of lower climbing skills.  Everyone spend some time as a beginner. Be nice to the ones who follow your pass.

Laos
I had so much fun in Laos and their placement of bolts were safety first. And even 5.13 climbers seemed to enjoy the climb. Death-wishing climb and fun climb for regular people are different.

Climb for everyone! Not just for experts! 

2019/02/17

未知と困難

登山の基本的な価値観は

1)未知
2)困難

と思います。

一般に一般ルートの山は、道を歩く山ですから、1)未知という価値感は捨て去っています。

一般ルートの山をいくらやっても、体力以外の未知の要素は身につかない。補助輪を付けた山ということです。

フリークライミングは当然ですが、2)困難をクライミングで追及したものです。

というので、私はどの山にも1)未知と2)困難の両方があるのが良いと思っています。

技術で言えば、読図と登攀の両方が含まれるということです。ただ岩場のアプローチに読図が役に立つかというと、まぁあんまり役に立たないです。

将来スーパーアルパインを目指す人にとって、読図が要らないか?というと、要ります。

山岳同定できないと遭難した時、困ります。二つ目の尾根の3つめの枝沢を登るというような言葉が理解できないでも困ります。

未知の未踏峰に行くことに準備する山というのは

1)道なき道を行くという要素と
2)困難な登攀、という

二つの要素、価値観が含まれた山=質的に登山の本質をとらえた山だと思います。

雪があれば、登山道がもともとある山も道なき道になりますが、積雪期をやれないとすると…、

藪山と岩

ということになるかなと思っています。

いわゆるハイグレードハイキングの西上州の山、みたいな感じかなぁと想像しています。

2019/02/15

敗北と失恋

”正しく山と向きあう、対話する” ということは、どういうことだろうか?

福岡に来たとき、背振山全山縦走をするべきだと分かっていました…。

山ヤのあるべき姿として師匠に教わったことをする…山には順番がある…山の全体像をまずは掴むような山をする。つまり縦走だ。それから沢。そして岩。そして冬期。

清く正しい山ヤのあるべき山をするのが本来すべきこと、でした。

しかし…やらなかった。

標高が低い山なんて、いまさら、やる気になれないという訳だったのだろうか?

縦走の始点と終点で舗装路を歩かないといけないのは嫌だとか、幕営適地が分からないとか、イノシシが出たらヤダとか、もう暑くてやってられない!とか、色々と言い訳が出てきて、やろうと思えば、できることをする勇気が出ないでいました。結局のところ、言い訳をして先延ばしにしていたのです。

公平に見れば、新しい生活に慣れるのにも忙しかった。アシュタンガヨガとクライミングジムと遠征で手いっぱいだったのも情状酌量の余地はある…が、たかが数日が、ひねり出せない言い訳にはならないだろう。

そんな中、先輩が後を追うように引っ越してきた。おかげでパートナー不在の状態から解放された。先輩が来てくれて、再び岩を頑張れるようになった。

一つの挫折が訪れた。それは、白亜スラブというルートで、地元のクライマーたちの尊敬を集めるルートだ。

白亜スラブに行き、どんなに頑張っても私には白亜スラブはないと分かった。一種の敗北だった。

1ピッチ目から、とんでもなくピンが遠い…。

ジャンダルムの奥様の話をご存じだろうか?ジャンダルムに西洋人のクライマー夫婦が来た話だ。奥さんの方が頑として動かなくなるのだ。なぜなら、そこはロープなしには危険で、落ちたら一巻の終わりだから、である。困り果てた旦那さんが、レスキュー要請し、レスキューがロープをもって行ったら、その奥さんは華麗なムーブでスイスイとジャンダルムを超えて行ったのだと。

私自身も、”ロープを出すか出さないかの判断は、登攀の難度ではなく、そこで落ちたらどうなるか?である”と教わった。

なので、落ちたら死ぬところではロープを出す。しかし、たとえロープを出したとしても、ランナウトなら意味がない。ランナウトというのは、ノーザイルと同じという意味だからだ。

しかし、私の目の前に広がる景色は、大ランナウト祭りばかり…。

そして、私はランナウトによるアドレナリン分泌に強いタイプではなく、どうも真逆のタイプみたいだった。

”取れるところで取らないプロテクションは、馬鹿っぽい”とも習った。そして、目の前に広がる景色と、そして、それを是とする文化が…私を非国民扱いする。

アルパインを始めて1年目で、残雪期の易しい時期を狙って行ったジョーゴ沢で…オールフリーソロで抜けたら、師匠に「そんな山は教えていません」と叱られた。

そんな師匠が見たら、なんというのだろうか?と思った…。

インスボンの大ランナウトを見たときも、私にはリードは無理だと思えた…セカンドでも落ちたのは、ほんの1、2回だけで、実際のところは、ほとんどノーテンションで登ったんだけど…。

開拓者の三沢さんは、神風特攻隊とランナウトを重ねているようだった。

「男にはどうしても行かねばならないときがある」…そうだろうか? 肉弾三銃士となって死んでくれた人の死を否定するような発言はしたくないが、戦没者の犠牲の上に保たれた命はない。日本は、結局のところ神風特攻隊がいてもいなくても、広島と長崎の原爆をもって外部から強制的に止められるまで、全員が死に尽くすまで、集団自殺を辞めることができなかったのだ。沖縄戦では、自ら死を選んで死んでいった人たちが大勢いる。

ランナウトにおける”やらねばならぬ時”は、神風特攻隊の心情的な風情と似ているのだろうか?

でも、岩って、好きでやっているんだしね…。特攻隊は真実かどうかは別として、心情としては、「お国のために」と思って死んでいったはずである。

が、クライミングのトップが登るのは、「お国のため」でもなく、「パーティのため」でもなく、「セカンドのため」ですらなく、「自分のため」だ。しかも、やっても一円にもならない、「娯楽のため」でしかない。

100歩譲って、「俺がやらねば誰がやる」という心情であるとしても、現代では「誰も頼んでいない」と言われるのが落ちだろう。

例え戦争になったとしても、一個人が死をもって全うするほどの大義はないというのが現代人の大方の考えなのではないだろうか?

今でも社会問題の抗議に焼身自殺などというのが、第三世界ではたまにあるが、現代日本ではただの自殺とされてしまうだろう。義憤とすら判断してもらえないかもしれない。

軍人さんは知らないが、日本兵に良く例えられる会社員は、もはや誰も「滅私奉公」なんて信じない…。会社は個人を守ってくれない。国も個人を守ってくれない。誰が守ってくれるのか?それは親しい仲間以外にないだろう。

いまや、会社のために「死」を含む、一か八かを敢えて選ぼうとする人などいないだろう…

そのようなものは、”誰も頼んでいないヒロイズム”、なのではないだろうか?

「ザイルのトップには責任がある」と言っても、一か八かに出て、落ちてしまい、そして怪我でもしようものなら、敗退するよりも、多くのロスとなってしまう。

「度胸のある人はいいけれど、度胸だけの人はちょっと…」と言われるのがオチだ。

男はやらねばならないときがあるかもしれないが、やるんだったら100%成功させないと、度胸だけの人だったね、で終わられてしまうのである。

それは女性だったら、なおさらなのではないだろうか?

■ 失恋

私は、登山のスタートが遅く、アルパインのスタートも42歳と遅い。真剣にフリーに取り組み始めたのは1年後からだ。

だから、最初から初級ルート程度を射程範囲におくつもりで、そもそも、山ヤの仲間内で尊敬を得るような、すごい山を志向していたつもりはない。初級ルート程度が楽しめれば、と思っていた。

のだが、それでも、この白亜スラブを経験する前までは、なんとなく、私も、あと数年このペースで頑張れば、5.11くらいなら登れるようになり、5.11が登れるということは、日本中のクラシックルートは、たぶん、どこでも登れるようになるのではないだろうか?と、ぼんやりと捉えていたようである。Ⅴ級A1なら、行き詰まれば、A1すればいいって話なんじゃないかと思っていた。

まざまざとそれは真実味のない空想だと白亜スラブに行ったことで、理解でき、夢が打ち砕かれた訳だ。

どこでもスイスイといくには、5.12が必要で、5.12は私にはない。

ただ、楽しい台湾クライミングトリップ目前だったので、台湾から帰ってくるまで、そのことについては、一旦保留ボタンが押され、よく消化できないでいた。

しかし、やはりよく考えると、私は一度ここで失恋をしたのだと思う。

一度ではなく、2度か…。一度目は山を失ったとき。そして2度目は岩での挫折。

自分の限界を知るという経験だったということだ。

■ 引っ張りだこ

あまり登れない私がクライマーとして人気がないのと違い、先輩のA木さんは、どこに出しても引っ張りだこだ。特待生が来たと言われている。私はお荷物が来たと思われている。

ある時、彼が後輩の私を気遣って「彼女はアイスをとってもきれいに登るんですよ」と、誰かに言ってくれた。涙が出そうになった。かばってくれているのだ。

私なりに精いっぱい頑張ったのがアイスクライミングだった。それを見て知っているのは師匠のほかは、彼だけだった。最初のころの端にも棒にもかからない初心者当時の私の登攀を見て知っているのは…。

登攀は、正直、私には微笑まない。

雪では、あんなに心を開いてくれた山も、岩では、にこりともしない…。

私が単独で阿弥陀北稜をやったときは、この先輩だけはとても喜んでくれた。

たぶん、他の人は、私が失敗したほうが喜んだかもしれない。私の山が向上していくことに協力的だった人は、ほとんどいない。それでも向かい風の中を進んできたのだ。

しかし、山が懐を開いてくれないという考えは、傲慢であり、自分の能力を高く見積もりすぎているからだろう…。真実は、ただ努力が足りていないだけの話なのだろう。

それは、登山歴50年というほどの人でも、この地にきたら、やはり背振の尾根と沢を歩きつくしたのだから。何もやっていないのに、文句垂れなのは私の方だろう。

私は今、その人が汗みず垂らして歩き、地図にはどこにも毛虫マークがない岩場を発見し、開拓して掃除して、コケを落として登れるようにした油山川の岩場を、ただ道標に導かれて、歩くだけで登りに行ける。

どれだけ恵まれていても文句を言う人は文句を言うし、恵まれていなくても、文句を言わずにコツコツと積み上げる人には、世界はそれなりに答えてくれる。それが見て分からぬか、というものだ。

つまるところ、山を愛してやっていないから、山が愛し返してくれないだけだ、たぶん。

山を愛することは最初のうちはたやすい。難しいのは、逆境においても、山を愛し続けるということだ。尊い行為というのはそういうものだ。

一緒に登ろうよと言ってくれる人がいて、本当に涙が出そうになった。

もし、すべてを捧げたら、岩は、私に微笑んでくれるのだろうか?

というか、私はそもそも、そこまでの献身をできるのだろうか?

何より、それをしたいのだろうか?

それすら分からないが、それは誰かが分かっているのだろうか? 

私には、あのようなルートはないと分かった今、岩を続けて、これからどこへ向かい、どこへ行こうとしているのだろうか? 

自分自身が最大の謎だ。
比叡、大ランナウトを登攀中の私


2018/11/26

クライミングインストラクターが運営するゲストハウス

■クライミングインストラクターが運営するクライマーのゲストハウス

台湾の岩場では、現地ガイドのXQがゲストハウスを運営していました。

QXはシンガポール人のクライミングガイドですが、資格はアメリカの資格です。(つまりシンガポールはアメリカ文化圏ということ、最近技術ですね)

彼の地元シンガポールのクライミングジムで募集した人たちがゲストハウスに泊まり、クライミングツアーに参加し、雨の日は技術講習。つまり、初心者が体験する初めての外岩がシンガポール人の場合は、台湾ってことです。

ゲストハウスでは、ビールとコーヒーを飲めば、ボルト基金になります。QXが、実質、岩場の管理者として岩場のリボルトを管理しており、管理台帳を発表しています。

https://allnevery.blogspot.com/2018/10/13.html

岩場についてまずやることは、最新の管理台帳のアンカー状態をトポに書き写すことです。

トポはこちらから購入できますが、現地で買う方がかなり安いです。倍くらいかな。
http://www.t-mapa.com/item/bk-rctw/


おそらくQXは管理人として誰かに指定されているわけでも何でもないですが、仕組みとしてうまく行っているようです。

QXは1対1の講習であれば、一日6000元。日本円で24000円。1対2であれば、4000元。16000円だそうでした。ゲストハウス宿泊費は、一泊600元(2400円)でした。1週間以上の滞在で割引があります。

私はガイドされず自分で登ってきました。このような仕組みは、大変有効な仕組みだと思います。

■ 無料で教わる場所

今の日本は山岳会=教えてもらうところ、技術を盗むところ、という過去の習わしに、縛られすぎているのではないでしょうか?

海外では、クライミングはインストラクターから手ほどきを受けるもの、というのは、通常のことのようです。

そこから段々自立を獲得して、インストラクター不要になっていく。

日本の山岳会というのは仕組み的に時代遅れになっていますが、無料で技術を教えるという前提がある組織です。ので、「俺は教わっていなんだから、勝手に盗めよな」「こんなに懇切丁寧に解説しているのに、全然分かるようにならない」という不満や不服も出てきます。

無料では教えないというのが当たり前な海外…日本も、そうしたほうが、教える側にも責任感が出て、きちんと最新の技術を教わろうとするでしょうし、教わる側も真剣でしょう。

一番損をしているのは、有料で教わって無料で教えている私のような人で、一番得をしているのは、無料で教わって有料で教えている現代の60代のガイドさんのような気がしますが。最後は愚痴でした。

そう言えば、山岳会の先輩が、「おれ教えられるような技術持ってない」と言っていましたが、その人が一番しっかりした先輩でしたっけ…。

2018/11/24

トップロープの張り方を教えたある日のこと

■ 受け取り上手

昨日は自分のクライミングが進捗したというよりも、後輩が楽しんでくれたことで、満たされた気持ちになった。ので、後輩に感謝。

連れて行く後輩にたいして、先輩は責任がある。

ので、もちろん、色々と教えないといけない。

教えることは、”与えること”、だろう。だが、この”与える”が、”奪われていること”、に感じさせてしまうような人もいる。受け取っていて当然、という態度の人だ。なので、受け取り上手な資質というのは、それはそれで大事なこと。

昨日はトップロープの張り方、を教えたんだが、その中の技術的要素を分解すると

1)立木でのスリングのかけ方
2)ブーリンでリング荷重してはいけないこと
3)折り返しビレイでのローワーダウンとセカンドのビレイ
4)立木の懸垂セット
5)懸垂で急傾斜の崖にアプローチする方法vsローワーダウンでアプローチする方法の2種と比較
6)立木にトップロープをセットする支点
7)懸垂下降の途中停止

これらの要素は、ただ、裏から回ってトップロープを張る、ということを達成するために必要な技術なんだが… もし、個別にバラバラで教えたら、全然できるようにならないのではないか?と思う…。

というのは、前に一緒に組んでいた男子の初心者君たちが作ってくれる支点類や、崖へのアプローチの仕方とかが・・・あれえ?大丈夫なの?という具合だったからだった…

■ ポイント1 情報の共有

昨日は、下から見て、後輩が登りたいラインと私が登りたいラインそれぞれを観察した。

あらかじめどの支点に行く予定か、目星をつけないといけないからだ。それは支点のタイプによりギアも異なるため。

後輩が登りたいラインの終了点は、直径60cmほどの立木だった。これに終了点を作るのに必要なのは、スリングと環付きビナだ。スリングは持ってきたか?と尋ねると持っていないという答え。なので、180cmのスリングを貸した。環付きビナは1枚あるそうだった。

私の登りたいラインのほうの、終了点は普通の残置ビナだったので、ヌンチャク2枚。

■ ポイント2 現場の危険評価

さて裏に回ると、上部は普通に歩けた。

が、当然だが、立木は崖のギリギリにあり、目視確認できる終了点はなかった。

さて、どこからロープを出すか?

崖までノービレイで行くような軽率なことをしてはいけない。

だいたい崖の端は土が緩く何かにつかまっていたとしても、不意に足元が崩れないとも限らない。

後輩が登りたいラインの立木は、直径60cmほどの大木だが、そこまでには4mほどあり、直径20cmくらいの木にフィックスが張ってあった… 2mくらい下にインラインフィギュア8ノットで、取っ手が作って合った。

私の登りたい課題の終了点のほうは、大樹の陰でよく見えなかった。きっと岩肌にあるのだろう。私は、大樹まで行って、のぞき込むようなことはしない。

さて、どっちを先に張ろうかと考えた。効率が問題だ。

…一人だったら、フィックスを取ってある立木に懸垂でとりつくしかない。今あるギアは、スリング1、環付き2、ヌンチャク2、以外は、各自、下降器、セルフしかない。

立てるところでまず考えるのはセルフ。立木のフィックスが張ってある、その結びの輪にセルフを掛ける後輩…。見ると、ブーリンで取ってあった。ブーリンの輪にセルフを掛けるとリング荷重になってしまう。リング荷重はノットがほどけるということを伝える。まぁ、この場では、セルフに体重をかけないから、荷重はかからない。ので、問題はないんだが…。でも、ブーリンにリング荷重は習慣的に良くないと思う。なので、フィックスを見るときは、何というノットでフィックスが取ってあるか?を見るのが大事だ。避けたリスク、その1.

リング荷重が嫌だったので、セルフを取るのに、スリングの支点が欲しいと思い、最初は私を確保してもらうことにする。そうすれば、二人とも確保された体制になるからだ。

安定した立木であることをたたいて確認し、立木の高い位置にスリングでタイオフして、しっかりと固定し、それにセルフをかけ、体重を預けてもらう。常に静荷重をかけておいた方が実は安全だし体制も安定する。

彼女の確保器は、ノーマルATCなので、私をローワーダウンしてもらうのに、支点から、カラビナ1枚で折り返して、上にロープが引かれるようにしてもらう。これはマルチでセカンドの確保と同じ。

私はアンザイレンし、最初の支点まで降りたら、ヌンチャク2枚でトップロープ支点にし、ロープを投げて、1つ目が完了。懸垂より途中停止がやりやすい。止めて、と言えば、終わりだからだ。その後クライムアップ。

次は、使用中のスリングが必要なので、ビレイを解除して、同じ立木に懸垂下降のセット。後輩には自分のスリングで直接立木にセルフを取ってもらった。2番で降りないといけないこと、私が先に降りて、スリングで支点を作り、それにロープを通すので、彼女は、懸垂したら、セルフを取り、立木のロープを引き抜いて、下降しないといけないことを説明。

この懸垂は、4mほどの短い距離の懸垂なので、ロープの途中を使った。ただし、すっぽ抜けは怖いので、短いほうの末端は結んだ。長いほうは上に残しておいた。

60cmの巨木に来ると、終了点は根からとることもできそうだった。つまり、短いスリングしかなくても、なんとか作れるようだった。下を見ると岩がテラスになっていたので、これは高い位置に終了点があるほうが、ロープと岩がこすれないと思い、根で取るという選択肢を排除して、立木の幹でとることにした。固定分散にして環付きビナを掛ける。支点ができたら、懸垂を解除するのに、セルフを支点に取った。荷重が抜けたロープを、カラビナに通して下におろすと、課題自体は8m程度なので、すぐロープは地面についた。再度懸垂下降をセットし、そのまま下降。

後輩には降りる前に、フィックスロープも末端を輪にしてセルフを取ることができること、自分のスリングで木の根に直接セルフを掛けるか、支点のシェルフにかけることもできることを伝えた。上の懸垂のロープを引き抜かねばならないからだ。

私自身は下で彼女が懸垂するのに備えて、ロープを引っ張る=途中停止させることができる、ように準備した。

懸垂下降は、最近は初心者には、バックアップ付きを教えることが多い…私もそれで習ったし、彼女もだ。ただ実践では、バックアップはむしろ邪魔になってしまうことが多いのだが、それも、そうだということが分かるまで場数が必要だ。ベストプラクティスというのは大事だが、四角四面に教えられた1通りの方法しかできない=思考停止状態、というののほうが、山ではむしろ問題であるような気がする。

私は太ももに巻いて途中停止する方法を最初に教わったので、彼女にもそれを教えた。これは、懸垂のセットをするときも、ロープをたるませるのに使える。ロープのたるみがないと、確保器の中にロープを入れるところから、四苦八苦になる。

彼女が降りている最中、試しにロープを下から引っ張ってやった。降りれない、ということなんだが、これも初心者は知らないことが多い。

無事、トップロープが2本取れた。ここまでで、解説に時間をたくさん取ったので、ここまでで、1時間くらいかかった。

清高さんの教え方は、こんな感じだった。

2番目の師匠の青ちゃんは、危ないから、と自分で張りに行ってしまって、教えないタイプの人だった。

なので、私は一向に支点の様子を知るようにならず、不満を抱いた。自立を阻止されているような気分になったからだ。

なので、連れて行ってもらった岩場には、自分で勝手に後輩を連れて行っていた。

あるとき、青ちゃんが靴を忘れ、取りに帰るので先にやっておいてということになり、私が支点構築に行くのに、後輩のかっちゃんを連れて、支点に行ったことを知ると、激昂した。なんで怒られるのか?分からなかった…。

ので、行ったときの様子を詳しく説明した。私は、今回のこの後輩にしたのと同じように、かっちゃんにもセルフには念には念を入れて、立てるところから、ローワーダウン、もしくは懸垂で支点に取り付いたんだが…。

一般に男子は、立てるところから、ロープを出す発想がなく、支点構築に行かせると、一か八かのギリギリトライを披露してくれることが多い。ので、当然ながら一人では行かせられない。

青ちゃんは、支点構築は一人で行くのがベストという考え方だったが、私はそうは思わない。自立したクライマーを育てるには、支点の知識が必要だからだし、一人で行くと懸垂以外確保手段がなく、いちいち時間がかかる。2名だとスタカットという手段がいつでも使える。

今回は、後輩には、ベストプラクティスと言えるものを見せることができたのではないか?と思う…少なくとも私が知っている技術で出来るベストプラクティス。

それが登攀そのものよりも、私には充足感というか満足感をもたらした。

登攀自体は、むずかしく、スリングでの簡易エイド(Aゼロ)もだいぶ持ち出した。エイドを持ち出したのは、後輩にエイドの方法も見て盗んでほしかったからだ。知らないと、登れないときに引き上げてもらうしかなくなるから、知らないと困る。

クライミングそのものは、誰が教えなくても勝手に上手になるんじゃないだろうか?と思う。でも、エイドの仕方とか、ロープの張り方みたいなことは、教わったり見たりという経験がないと、どうしたものか、となってしまうだろう…。

実際、私は初期のころ、師匠クラスの人とは出かけておらず、初心者と出かけていたら、貧弱な支点構築だった。例えば、腕くらいの木でトップロープしていて、バックアップの木が直径60cmだったりした。

自分が危険な目にあわされているとも知らず登っていたのだ(笑)。

そんな人と登りたい人がいるのだろうか?いくら登れるクライマーでも…

まぁその時は私も初心者で、支点をアドバイスする力量がなかったから、自己責任なのだが、無知に付け込まれている、とも言える。正しいことを知らなければ、間違ったことを指摘することもできないからだ。

自己責任というのは、情報量が同じであって、公平な立場で、なりたつことだろう。

もし連れて行ってくれた人が「僕の支点はあやしいですが、それでも一緒に行ってくれますか?」と聞いてから、誘ってくれたなら、支点の予習でもして出かけたのかもしれないが…。

ということで、昨日のクライミングは充足感がたっぷりだった。

私は自分が教わった通りに教えているのだが、他にも教え方があるのだろうか?

■ 自分自身を知る

私にとってのクライミングムーブの習得は、上達や達成感ではないのかもしれない。

上達や達成感は、安全構築技術という基本的技術の上に、上達したら儲けもの、程度のものかもしれない。



2018/11/17

恐怖心を羅針盤に

私は元々、あんまりクライミングでは不必要に、つまり高さそのものに、恐怖にかられるタイプではなく、三つ峠など自分の力量以下のルートでは、何が怖いの?程度の認識で、ハーケンもリングボルトも、別に怖がらずに使っていました…おそらくそれは無知ゆえの自信に見えたのでしょう。

師匠の青ちゃんを三つ峠に案内したら、「こんな支点を信用したらあかんよ」と言われました… みたら、それはでっかい懸垂用支点で、これを信用しないなら、どれ信用するの?!みたいなやつでした…。

でも、青ちゃんは歴戦の戦士だろうし…。 自分の意見と師匠の意見では、どちらが信頼性があるか?というと師匠のだろうし…。でも、それを信用しないなら、テラスから帰れませんよねぇって場所でした。

そこにはそれ以来行っていない…。会の先輩も全然連れて行ってというか、ついてきてくれなかった。(けど、都岳連もそこでやってるくらいだから、たぶん大丈夫なのではないかなぁ…)

一方、小川山が始まったとたん恐怖でした…。これは正しい恐怖なのだったと理解。

ラオスに行ったら楽しかったので、ラオスには、正しいボルト間隔だと楽しいのだということを理解するために行ったんだろうな~と。毎年、海外に行く人が多いのは、日本ではチャレンジするに値するルートっていうのは、少ないからなのかもしれません。日本の課題は、”みじかしい”のが多いので、日本の課題だけを登って、脱初心者するのは、難しいのかもしれないです。

今回学んだことは、”恐怖” こそが、身を守ってくれているということ&そして、その働きは正確であるようだ、ということです。

なぜなら、私は、今回三倉で、リードで取りついた入門クラックは、怖くはなかったのです… 50cm置きにカムをかませ、カムエイドで上がったので、立木に来た時点で玉切れになりましたが(笑)。それでいいのです。怖い時に、カムエイドで降りることもできるわけですから。 実際、小川山レイバックはカムエイドで降りたことがあります。あれも正確な危険回避でした。

菊池さんのクラック講習では、初心者はカムを50cm置きに噛ませて、サイズを覚えろと言っていました。私はまさに初心者ですので(笑)、それがやりたかったのですが、ビレイヤーがおらず、ここ数年は、実現していませんでした。なので、ビレイしてくれた先輩には大感謝☆

プロテクションを覚えてから、その次にムーブの習得へ進むべき、というのが、最初の師匠のS木さんの意見でした。今の時代は、先にムーブ、先にトップロープ、でゆとりを作ってから、外岩、ですが、そういう教え方ではない教え方でした。最初からギリギリ?(実はS木さんは、登攀はあまり上手ではありませんでした…)

お口直しに行った日向神でも、5.9も10Aも別に怖くはなかったのです。数か所、ボルトが遠いところはありましたが。アンカーについても、自分で触ってみて、まぁ、今回これを使って死ぬようなことは無いだろうと。

(ただし、ベストプラクティスとは言えないアンカーだろうということは分かりました。どのくらい危険なのか?は、神のみぞ知るですが、国際基準と照らし合わせて、良いものと言えないのは確かです。日本では訴訟になった場合、設置者側が負けることのほうが判例的に強いようです。)

なので、結局のところ、私は自分の恐怖心をきちんと判別して、自分で自分の身を守るということができているのではないか?と思います。

しかし、このようなボルトの状況にあるため、各個人が、使用するかしないかについては自己責任で考えないといけないこと、JFAが整備した岩場が少ないことなどは、きちんと言葉にして伝えられた覚えはありません。

あやふやなボルト支点の確認の仕方、あるいはあやふやなアンカーの確認の仕方を教わった覚えもない…。教えていないのに、身を守るのは自己責任ですってのは、責任取りたくても取れないでしょう。今はやりの自己責任と同じで、自己責任とは言うものの、本質は責任逃れの言葉になってしまっていますね。

きっと会の先輩や師匠の青ちゃんが三つ峠がきらいなのは、ペツルでないからでしょう…先輩にはハーケンやリングは、オブジェだ、とは言われましたが、それらのボルトを信頼するかしないか?その信頼できないルートを登るか登らないか?が、自己責任だとは聞いていません。結構、普通に、はいリードしてね、みたいなノリで、リードしまーすとやってきたと思います。今回はペツルでさえも、腐食するため、確認が必要と言うことでした。

自己責任論は、情報が対称であるときに成立可能な理論です。

ですので、私が後輩に言うべきことは、日本の岩場全体が、ボランティア運営のため、日曜クライマーレベルのホームセンターで調達したようなものもあるということ、それを使って登る場合、安全性は各自が確認し、安全だと自分が思える場合のみ、取り付くべきこと、そうしたことはトポには載っておらず、事前に自ら調べるべきこと、などを伝えるでしょう。

こうした情報…ボルトの安全性や、腐食、置かれている環境、終了点での注意点、必要なロープ長…などなどが、海外のトポには掲載されている…このことで、日本のトポが貧弱であるということが分かりましたが、日本のトポしか知らない場合、それをそのまま、うのみにしてしまうしかないかもしれません。

また、日本の文化的背景から、上の人の言うことを聞いていれば大丈夫、と思いがちですが、一方、”上の人”は、そこまで強い責任感は持っているわけではないようです。

そのような、あいまいな感じの中でクライミングを続けて行かざるを得ない訳ですが、大事なことは、判断のよりどころを他人ではなく、自分に求めることです。

そして、そのよりどころとは、恐怖、であると思います。

恐怖心こそは自分の身を守ってくれるもの。愛すべきもの。

人は恐怖にかられると必死になって学びます。英語も同じことで、のっぴきならない状況にならないと、話せるようにならないものです(笑)。

しかるに、どれくらいその人が英語が話せるか?というのは、どれくらいその人がのっぴきならない状況に耐えたか?という指針ということです。

クライミングも同じで、その人の悪さへの実力はどれだけ苦労したかということだろうと思います。

悪いところに強い先輩がいますが、さぞかし怖い思いをしたのだろうと(笑)

今回は私は、自分の危険回避能力について自信を深めました。

2018/04/20

心理的トラップを避ける

■ 心理的トラップ

”山をする”という”山ヤ道”には、あちこちに心理的トラップが仕掛けられている。

それらを避ける、ということには、ある種の自信がある。

最大の心理的トラップは、

  俺(私)のことを世間に認めさせたい!

という名誉欲を起源にしている。これは、一昔前の山のスタイルでは、肯定されている。しかし…

そんなことが重要か? 

答え) 全然、重要じゃない。

世間に俺を認めさせるためなら、死んでも結構!と思う人でない限り。

なので、私は、ほんの少しでも、

 競争心

を煽られた場合は、その山をお断りすることにしている。ラジャスな山はしない。

パートナーの競争心や名誉欲に付き合っていたら、自分が死ぬ羽目になるのは、歴史どころか、身近な友人の死が証明している。

しかし、自分を認めさせる相手として、重要な人が、一人だけいる。

 自分だ。

自分で自分に負けないということは唯一重要。なので、

 闘争心

は、多少必要かもしれない。と最近、考えを改めた。

 強い心

と言ってもいいかもしれない。

その(強い心)と(適切な判断力)のバランスが、山の醍醐味。

平たく言えば、ただの無謀になるか?チャレンジになるか?ということだ。

■ 事例

トレーニングはしていない、すでにメタボ、酒は飲む、予習のゲレンデでは、3手で腕アップ、みたいな人が、阿弥陀北稜というのは、ただの無謀。

それを止めない山の仲間。これは、心が広いのか?それとも、仲間としての役割を果たしていないのか?

どちらか知らないが、私自身は、相手が自滅的な行為を取ろうとしたら、それを指摘するのが最低限、パートナーとしての務めと考えているタイプのクライマーだ。悪しからず。

2017/05/13

インスボン秒読み中

■ インスボン秒読み中 Ready to the flight to Korea for climbing



いや~ 去年は行けなかったインスボン。

I could not go to Korea last year, since I was not climbing good enough. 

今年は行ってもいいようです、実力的に(笑)。

This year, I can!!

みやげを買ってこい!と言われ、菊正宗の生もと造りを…何種類かあった。

My partner wants some Sake for souvenir...

純米大吟醸、純米、本醸造

とりあえず、カンに着けたいようなので純米。
大吟醸は特別な事情向けかなぁ。

パートナーの青ちゃん、しばらく前に落っこちて、ショックを受けていたので、励ましか。

Also he wants me to buy him some medication...for his injury... he had a fall recently there in Korea...

I wonder if he's OK to keep climbing... he might be too tired or something?

フェイタス買ってきてって大丈夫なのかなぁ…

初めての韓国、どうなるでしょうか…。

This is my first tour to Korea and I am so excited!!

一般の岩装備以外には、歯磨きセットとシュラフくらいしか必要ないみたいなのですが、ザック、ラオスに行った時と比べ、スカスカ… クライミング久しぶりで不安。

今回は、ラオスと比べると期間が半分というのがありますが…。

今日は朝から、ヨガのクラスを2つも受けた…。実は筋トレしたら、胸筋はホントにないらしく、頭痛が…。胸の筋肉が足りていない。筋トレ後に頭痛になる人は、世の中にいるらしく、ヤフーご意見箱に出ていた…。よほど軽い負荷から始めないといけないらしい。

筋トレすると、頭痛がするって、ホントにどんだけ!な感じ。クライミングには、胸筋、肩の筋肉いらないんですね… 

I had a weight training the other day, for my chest, and I had a headache!  A headache!!! I could not believe myself!  I am soooo weak... I don't know how I had managed to climb!!  

インスボン、ちゃんと登れるかなぁ。まぁスラブだから、大丈夫かなぁ。どうも、クラックも、あるようなのですが、内面登攀ではないそうなので、むしろ不安に…(笑)

I put Yumales in my climbing gear(^^)!

ユマール入れておきました(笑)

労作性頭痛

2016/12/28

ペツルだって安心はできない

■ 快晴

今日は素晴らしい快晴だ♪ 

これぞ山梨の冬!気分も爽快だ。雲一つない青空が広がっている。山梨では、冬は快晴続き。冬こそが素晴らしいのに、誰も気が付いていない(笑)。 

外国の人もこぞって冬がいいと言っているのにね。

昨日、山の先輩から、メールがきた。後輩を気にかけてもらっていて、うれしい~。

メールの内容は、

 ボルトにぬんちゃくを掛けてレストしていたら、ボルトが抜けてグランドフォールした

というものだった。

 ボルト(ペツル)だって抜けるんだよ、

ってことだ。 最近ではすっかりペツルを信頼しきって、ラオスではテンションかけかけで登ったからだ。

ラオスは、きちんと整備された岩場なので、そこが快適クライミングの理由。

■ ラオスでのこと

ラオスで、日本の常識は世界の非常識、の一例をみた。

 中間支点のペツルにぬんちゃくを掛けてレストするのは、日本独特の習慣だと分かった。

外国人のクライマーに 「そんなことしてるの、日本人だけだよ」と言われた(笑)。

そうだったんだー。 「なんのためにビレイヤーいるの?」と言われたことも。

たしかに、そのためにグリグリがあるんだしね。

■ 緩んでくるんです~

しかし、私が外国人と同じ調子で、テンションもらっていると、体がどんどん下がってくる・・・(汗)

下のビレイヤーに「下げないで~」と声を掛けると、「支点にぬんちゃくかけろ!」と非常識だと言わんばかりの調子で、返事してきた。

まだ1分もぶら下がっていない・・・(汗)。 

5分ぶら下がる程度でも、ぬんちゃくセルフは必要ないだろう。そのためのグリグリだし。

10分なら、さすがにあったほうがいいだろう・・・。

2時間なら、もうビレイヤーに、ごめんなさい・・・だろう。その人は自分で上からラッペルして、自分だけでムーブを固めてから、登るべきだと思う。

ビレイヤーはクライマーの子分ではない。

クライマーはビレイヤーの精神的支えがあってこそ、自分の限界にトライできるのだ。

落ちても止めてもらえるのだという精神的支えを提供していないビレイヤーは、ビレイヤー失格だ。

このことがあってから、この人はビレイ中によそ見をしている人だと言うことが分かったので、限界には挑まないで、楽勝のところとトップロープだけをお願いすることにした。

■ 思いやり vs 我まま発露の場

クライミングとは、思いやりを学ぶ場だ。 最近、そう思うようになった。

我まま発露の場・・・と思っている男性クライマーが多すぎる。

女性と男性だと、男性は、女性にわがままを通しやすい。わがままを通しやすいから・・・という理由で、女性をパートナーに選んでいる男性は、ルート選択で分かる。

自分の都合だけで選んでいるからだ。その女性にとって無理だったり、肉体的に危険が及ぶと分かる、つまり実力以上の、一言でいえば、”無謀な”ルート選択をする。

より経験のあるクライマーが、二人のペアではそこはまだ無理だよ、と言ったとしても、譲らない。

なぜなのだろうか? 自分が行きたいから、としか考えられないではないか・・・。

これでは、時間の問題で、常に実力以上のルートを強いられる女性パートナーの側は、殺されてしまうではないか・・・。

これは考え方と態度の問題だから、こういう行為をする人と組んでいると永遠に危険は去らない。

山はルートを選ぶところから、山なのだから・・・。

■ 頼っていいよ~

当然だけど、クライマーは、ビレイヤーに頼っている。頼っていいよ~というのがビレイヤーの役目なのだ。

だから、核心部に臨むとき、クライマーは、下のビレイヤーに「頼むよ~」と声を掛けるのである。

頼り甲斐、それが一番大事なビレイヤーの資質である。

■ ボルト抜ける

頼り甲斐と言う意味では、ボルトは、

   ハーケン < リングボルト < ペツル 

の順で、頼りがいがあると考えられてきた・・・が、ペツルも頼れない、というのが、ペツルにぬんちゃくセルフしていての支点崩壊によるグランドフォール・・・。

最後の砦、ビレイヤーは何をしていたんでしょう・・・

どうも、手を放していたとしか考えられないですが・・・

要するにぬんちゃくセルフには、

 下のビレイヤーが油断して両手を離してしまうというリスク

があるようですね!

 ハングドッグをいれつつ登るようなスタイルでフリークライミングをする場合は、リードでも
 グリグリがベター

という理由がまた一つ増えたような?






2016/12/21

ジムも行ってます

■ 褒められる(汗)

最近、すごく上達したらしく、皆に褒めらえる・・・ クラックも褒められたし・・・ アイスも。

褒めてもらえる=警戒・・・ (笑)

というのは、今まで褒めてもらっていないから~。

最近では、アイスもリードできるんじゃないかと言われてしまった・・・まじ~?!

■ 要因を考える

うーん、休息上達の要因は?ラオスに行ったら、突然、上手になっていたんだけど・・・

ラオスと日本では何が違ったのか?

別にラオスのクライミングが私の得意分野だったわけではないんだけどなー 前傾壁だし。

でも、得意分野でなかったから、良かったんだろうか?

ラオスは久しぶりの海外で、私の海外へ行きたい!という気持ちのはけ口となったのだろうか?

それとも、何か他の要因???

グリーンクライマーズホームにいた人たち= 私と価値観が似ている人たち・・・というのはあったかも?

最近は、初心者のアリと登っている。アリはまだ始めたばかりだ。でも、一緒に登ると楽しいので、レベルが一緒かどうか?というのは、あんまり関係がないのかもしれない?

山岳会に行ったのが、そもそもの間違いだったのだろう・・・
もうずっとクライミングと自分で歩ける程度の雪山でいいや~と感じてしまう今日この頃。

時に、そもそもなんで、苦しく、寒いアルパインなんぞに、血道上げていたのだろうと思う日さえあるくらい・・・

伊豆はあったかいし、クライミングは登れるようになってきて楽しい・・・

アイスも楽しいし、帰宅すれば、温かいお風呂とご飯、あったかいお布団・・・

幸せだな~と単純に思う。

寒いテントでシュラフにくるまっていても、それはそれで、自分が思うよりは、快適で、意外に平気だな~とも思うんだけど。

でも、”困難に打ち勝った!やったー!”じゃなくても、平気にもなった。

体力より、指力欲しかったりもするし・・・。いや体力も欲しいんですが・・・。

悪いアイスが前は楽しかったんだけど・・・フリーの悪いのは全然楽しくない・・・。易しく、ボルト間隔が近いと楽しい。





2016/12/12

日本の特殊性

■ スポーツクライマー宣言?!

最近、理解したことがあります・・・

① 日本の岩場は世界一難しい

これは本当です。なぜなら、日本の岩場は、上手な人に合せてボルトが打ってあります。

5.13が登れる人にとって、5.11は易しいため、「これくらい要らないだろう」と、ボルト間隔が遠い。

5.11登れる人にとって、5.9は楽勝なため、「これくらい要らないだろう」と、ボルト間隔が遠い。

5.9が楽に登れる人にとって、5.7は楽勝なため、「これくらい要らないだろう」と、ボルト間隔が遠い。

つまり、”そのグレードがギリギリの人にとって”は、永遠にボルトが遠い状況が続くわけです。


したがって、私が取った作戦は正解でした。

作戦: 5.9が楽勝になってから、5.7に取り付く
     5.10Aが楽勝になってから、5.8に取り付く
     5.10bが登れるようになってから、5.9に取り付く

    ・・・・延々と続く・・・ 

まだ道半ばですが、日本のフリークライミングとボルト間隔事情は特殊なので、このようなことになっています。

このことはラオスに出かけて、分かりました。適切な感覚で打たれたボルトルートを体験したからです。

適切でないボルト間隔でボルトが打たれているルートで、クライミング力が十分でない場合にリードが怖いのは、当然で、メンタルが弱いわけではないのです。

例えば、十二ヶ岳の岩場のカンテルートは、5.7程度ですが、上部で7mほどもランナウトしています。5.7がギリギリの人・・・多くの山岳会の新人・・・にリードさせられないのは、道理です。一方で大抵の人が、一回で登れてしまうというのも、道理です。

TRでは楽勝で登れるのに、リードは怖いという現象は、危険認知力の結果でさえあるかもしれません。

怖いという感情は、危険を知らせるものなので、きちんと怖さを理解しておかないと、ただの無謀になってしまいます。

②フィロソフィーが成長を阻害している

クライミングを楽しむ、という意味では、いわゆるフィロソフィーが邪魔をしている、という側面があります。

オンサイトの重視は重要ですが・・・時と場合を使い分けなければ、自ら死を招く最悪の事態を招いたり、成長の鈍化を招きます。

こだわりは大事なことですが、何のためにクライミングをしているのか?それは楽しむためであり、怪我をしたり、死んでしまったりしては意味がないことを、改めて再認識しないことには、優先順位の混乱をもたらします。

死んでもよいレジャーなど、レジャーではありません。

登れるルートを登っているだけでは成長はできません。登れないルートに取り組むためには、トップロープはどのようなグレードに取り組むようになっても、必要なものです。

③ガラパゴス化が進んでいるかも?

日本では、スポーツ化つまり、安全性が高まり、大衆化して行っているフリークライミングは、世界と同じ歩調では進化していないようです。

つまり、クライミングの世界においても、他分野の例にもれず、ガラパゴス化が進んでいるかもしれません。

世代交代が遅れていることと、新しいものを嫌う風潮、新しい環境への適応力の不足、というのが原因のようです。

しかし、フィロソフィーも、現実の肉体の衰えには勝てませんので、時間の経過とともに、安全なボルト間隔でのスポーツルートにニーズが高まってきそうです。

④結果としてアルパインクライマーが最強

このように、一般的なクライミングビギナーには厳しい、日本の外岩環境。

結果として、日本では、ある程度上手になってからしか、外岩に行かないという風潮が蔓延していますが、外岩でのボルト間隔の遠さや課題の辛さ(おなじ5.9でも長さがないため、その分難しい・・・を考えると、致し方ありません。

短くても落ちたら危ないからです。いや、短いほうが落ちたら危ない。

厳しい環境を潜り抜けるためか、ランナウトには強くなると思います。というのは、この怖がりの私でさえ、今回ラオスのルートでは、クリップ一個飛ばしてしまったことがあるからです。

日本では、ウエストに来る前に、頭の上でクリップしているような私がですよ?クリップ忘れただけじゃなく、ま、イラナイかな・・・なんて、そのまま行ってしまいそうになったんです(笑)。

しかるに・・・このような厳しい環境で育ったならば、強くなるに決まっています。普通なら、選抜されて、とっくに死んでしまったり、怪我してしまったり、向いていないとあきらめたりする環境です。

残った人たちが、優秀であるのは否めない事実でしょう。事実、私がみたラオスでの外人さんクライマーは、よほどの上手な人を除き、ムーブ知らないのかなぁ~的な、全部正対でパワーで解決って感じの人たちでした。

山岳会だったら、ずっとトップロープしかさせてもらえないかもしれないムーブの稚拙さで、ガンガンリードしていました。

彼らがムーブのニーズに気が付くには、かなりの月日が必要でしょう・・・・フィジカルで解決するのが楽しいしスポーツ的だし・・・

一方、日本では、短くとも落ちれないので、クライミング力のゆとりはシビアです。5.9は、実質ムーブ不要で登れるグレードですが、それでもムーブがあると楽ですし、そのため、ムーブが板につかないと、クライマーとみなされないかも?

というので、日本は強いアルパインクライマーやフリークライマーを育てるのに、最適な環境かもしれません。鍛えたい人向け?

・・・が、趣味でフリーを楽しむ一般クライマーにまで、厳しい環境を押し付ける必要はないわけなので・・・


結論:

・背の低い人は、ちびっこ問題がない課題を登りましょう
・腕力に自信がない人は、前傾壁ではなく、スラブを登りましょう
・指力の自信がない人は、垂壁のカチ課題ではなく、前傾壁を頑張りましょう
・落ちても安全な前傾壁は、意外に怖がりな人向けです
・トラッドも、プロテクションは自前なので、意外に怖がりな人向けです







2016/11/04

ギアの点検

■ ギアの点検・メンテナンス

 シーズンも終わりに近づき、ギアの点検とメンテナンスをする。主に剥がれそうなシールをきちんと張る。名前を付ける。

ギアはたまに点検しないと。新たに購入したもあるし・・・。蛍光黄色のテープを目印にしている人は多いので、今回はペンキを検討中。

This is going to be an end of the season, so I am doing overhaul of my gear and think about what to add.  Since I am going to buy some stuff in internet shopping again.

■ リスト

1)ぬんちゃく

・ペツルジンアクセス 6本1セット 

・長いスリングに変更したジンアクセス ⇒ 新たに購入。

・Aゼロ用ぬんちゃく ×1

・メトリウスの長いぬんちゃく ×1 被り用

・両方とも安環付の手作りぬんちゃく ×1

=ぬんちゃくはOK

2)ビナ

・マムート ツイストロック×2

⇒ 一つは師匠がくれた♪ 一つは沢用に自分で購入。したがってひとつ追加。

・BD HMS型 ×2  ⇒ 変化なし

・BD 黄色のベントゲート ×1 ⇔変化なし

・BD 黄色のストレートゲート ×1 ⇒ 変化なし

・ロックテリクス ゲートがブラックのストレートビナ ×2  ⇒流動分散用 変化なし

3)環付ビナ

・赤のゲートのビナ ⇒ 変化なし

4)スリング  ⇒全部増減なし

・ナイロン 120cm×1、60×3
・ダイニーマ 120cm×1 60×4
・180cm ダイニーマ ×1 沢用
・240cm ナイロン ×1 太い立木のトップロープ支点用

その他、捨て縄用。

5)確保器

・ATC 
・ATC ガイド
・マムートスマート ⇒ 新 あまりつかっていない
・グリグリ2 ⇒ 今回購入

・セットで使う用のビナ ⇒変化なし

6)アルパインレスキューキット

・ハーケン ×2 
・タイブロック 
・イボイノシシ
・ザイル通過用ケブラーコード ⇒ NEW
・マイクロトラクション ⇒ NEW
・ロープクランプ ⇒ 変化なし 

・セットで使う用のオーバルビナ ⇔変化なし

7)セルフ

・PAS ⇒ 変化なし




 終了点キット
 2個 増えたビレイデバイス































■ 買足し品?

買足す必要があるのは、スクリューなので、冬用ギアのワイヤーゲートのヌンチャクを検討しているが・・ 80mロープも検討中。

まだ思案中・・・。 これというものが見えてこないな~。

(検討事項)
・ワイヤーゲートは、ロープ側はいいが、ハンガー側には事故例あり
・ただ軽さがメリット。

試しにスクリューにワイヤーゲートを掛けてみたが、やっぱり引っかかりがあって、イマイチな使い心地かもしれない。

バラのビナを買足す必要があるだろうか・・・。思案中。ルートに行くとバラの方が助かるし・・・。ただ、バラのビナも、キーロックのストレートゲートが一番良い。

■ 問題は何枚買うか

そうなのだ。ぬんちゃくセットで買うと、バラせるので、バラのビナが必要だったら、ぬんちゃくをばらせば良いとも言える。

あるいは、購入しようとする、ぬんちゃくを自作するべきか?自作すると割高ではあるが。

問題はワイヤーゲートであることよりも、ワイヤーゲートだとピンロックで、そこに引っかかり、破断が起きる可能性があることだ。

■ まとめ

今シーズン新たに増えたもの・・・

1)マイクロトラクション
2)ミュールムンター用 ケブラーコード
3)長いドッグボーンのぬんちゃく
4)マムートスマート
5)ペツルグリグリ2
6)師匠がくれたツイストロックのマムートのビナ
7)安環ぬんちゃく 
8)ロープバッグ 

クイックドローの研究

■ クイックドロー

ぬんちゃくを新たに購入しなくてはならないので、研究中。

ペツルのジンアクシスを使っているが、スリングが固く、カラビナが反転しないので、アルパインにはあまり向かない。

ジンアクセスはスポーツクライミング用とうたっている。実際、私はスポーツクライミングをしていたので、ジンアクセスで問題なかった。

・スリング(ドッグボーン)が細いほうが、アルパイン向き ボーンがねじれてくれるため
・ボルト側ビナが重要な問題
・カラビナ自体は小さいほうが強度が強い

■ クイックドローの基本

ボルト側がワイヤーゲートの場合、事故がが報告されている。

☆クイックドローはハンガー側、ロープ側共にクライミング進行方向に向かないようにセットする。
☆ワイヤーゲートカラビナはロープ側のみの方が望ましい。
☆クイックドローのスリングは長めでしなやかなほうが望ましい。
☆リードクライミング時は常にカラビナの状態に注意する。
☆どうしても身体に干渉して外れる可能性があり、危険な場合はハンガー側に安全環付カラビナを使用する。
☆ボルトやハンガーについて、勉強し見分けられるように努力する。
 

出展:http://mezase8a.exblog.jp/8119331/

■ ワイヤーゲートビナの破損事故事例 (岩 Not アイス)
  • ワイヤーゲートは、ボルト側に掛けない
  • ワイヤーゲートはノーズが特に弱い
http://yukiyama.co.jp/mountain/2013/02/wire-gate-carabiner-accident.php

■ キーロックがベター

ひっかかりがある ワイヤーゲート

ひっかかりがない

古いカラビナは、ピンロックで、セカンドで回収するときも、ピンの部分が、ハンガーにぶつかって、回収しづらいです。これはいつも実感しています。

新しいカラビナは、みなキーロックですが、ワイヤーゲートだと、まだピンロックが主流です。

以下のリンクは、DMMのテストで、ピンロックにハンガーが引かかった状態での、墜落テストです。カラビナが破断しています。

http://dmmclimbing.com/knowledge/carabiner-and-bolt-interaction-vid/

キーロックのワイヤーゲートも販売されていますが、少々割高です。

ノーズの形状については、こちら

■ まとめ

ハンガー側は、キーロックで、ワイヤーゲートでなくてノーマルゲートが、ペツルボルト&ハンガーとの相性が良い。

ハンガー側がワイヤーゲートのカラビナだと、マイナーアクシスの場合の強度が弱く、事故例が報告されている。(BDフードワイヤー)

これは岩の場合。

アイスの場合は・・・?軽量化もあるので、悩み中。



  ハンガー側が通常ゲートのクイックドローは、あまり販売されておらず、BDのポジワイヤーがある。


とロックテリクスのライトテックセットが、それに当たる。ライトテックセットの方が、ボーンが細い。重量も68gと軽い。

2016/11/02

グリグリ2来ました♪

■ グリグリ2 Grigri 2

ラオス前傾壁に向けての準備で、グリグリ2をトレッキンでゲットしました♪

It's been how many years...? since I  had heard about Grigri... I just did not think I'd need them to belay my partner... I am quite confident to stop a fall of my partner with a regular ATC. 

なにしろ、ラオスの課題、長いらしく、ずっと確保器を握っているのは疲れるかもなぁと思い、グリグリ2の購入に踏み切りました。

が・・・エライ安かったなぁ。

 商品代金20213円、送料896円 + 受取時に払う関税1000円

でした。

However, I am going to go to Laos for my first climbing trip and I heard that the wall is long over hang that is similar to artificial wall. So Grigri finally comes in handy.

カム小さいサイズ3つとグリグリ2です。カムは一つ4700円だった。

I also wanted to purchase some camming devices so I tried international net shopping... these things used to be a difficult thing but now it had became so easy.... easy as you shop domestically.

税金1000円払いました 

グリグリ2
グリグリは 6000円くらいでした☆

練習に行かなくては・・・。

カムは、0.75、0.5、0.4です。

■ ロクスノ 057号

南木曽の岩場の話を読みたいと思い、ロクスノ057号をお買い上げ。

ロクスノ、図書館に置いてほしいんですが・・・。


三重県大河内地区などでは、ロッククライミングを推進して、観光拠点としているらしいですが・・・

山梨もそうしたらいいのに・・・。

というか、山梨こそ、そうするべきかと。


This is Japanese rock climbing magazine, ROCK&SNOW.

I am new to these this magazine, since I started to climb from mountaineering...
my first belay was standing axe belay, not ATC...

Free climbing and Alpine climbing has grown so apart... these days.

I am new to free climbing and finally comfortable reading these kind of magazine...

now I feel comfy to be a beginner climber.

Before I did onsight 5.9 or 5.10a I was not quite sure if I am a climber yet. 

アウトドアクライマーになるための講習項目

■ 言語化、体系化が遅れた分野 

先日、ベースキャンプに行ったら、このような張り紙があった。

私のいる山梨では、アウトドアクライミングをデビューするかどうか?は、山岳会に参加しない場合、運による。

登りたいと思った側が、主体的に学びを選択することができない。

しかも、何ができるようになったら、次のステップに進めるのか?ということが体系化されていない。

大切なことは、体系化であり、知識の見える化だ。

クライミングの大事なことは、初期にきちんと何をどう分かっているべきか?を教えてもらうと言うことだと思う。危険認知ができない人が多すぎる。

・・・のは、教える側が、きちんと言語化して危険を教えないからではないだろうか?

■ アウトドアクライマーになるための講習項目

レベル1) トップロープクライミング  参加資格 ハーネス、シューズ、チョークを持っていること

  1.  岩場のルール、マナー、アクセス
  2.  トポの見方
  3.  岩の形状の名称
  4.  トップロープの体験
  5.  ロープの束ね方、末端の取り扱い
  6.  セルフビレイ
レベル2) トップロープビレイ  参加資格 インドアでのトップロープのビレイができること
         
  1.  トップロープのビレイの実践
レベル3) リードクライミング  参加資格 インドアでリードクライミングができること
  1.  ライン取り
  2.  危険個所の把握
  3.  墜落ポイントの想定
  4.  擬似リード
  5.  ぬんちゃくがかかった状態でのリード
  6.  他のクライマーとのかかわり、マナー
  7.  フォール
レベル4) リードビレイ   参加資格 ビレイ器を持っていて、インドアでリードビレイができること
  1.  ビレイポイントの見極め方
  2.  ルート状況に合わせた安全なビレイ
  3.  クライマーとの打ち合わせ
レベル5) マスター    参加資格 クイックドローを6本以上持っていること
  1.  ギアの使い方、点検
  2.  的確なぬんちゃくのセット
  3.  終了点、ハンガーボルトの安全確認
  4.  自分の登れるグレードの判断
  5.  マスター・リードの実践
  6.  クイックドローの回収
  7.  プレクリップ
レベル6) アウトドア総合力 
  1.  終了点の結び替え
  2.  懸垂下降
  3.  トップロープのセット
  4.  クライミング俗語の理解

■ 検証

トップロープクライミングとトップロープのビレイは、全くの初心者でも、その日に終わってしまう。トップロープのビレイができない人は稀だ。

インドアで出来てもアウトドアで出来ないと言うことはないので、資格2は変だと思う。それより、

 ・確保器を持っていて、
 ・ロープ径との相性が分かっていること、
 ・トップロープ支点を作れるロープワーク

を、参加資格にするべきだろう。

そして、レベル6を先に教えるべきだ。レベル3のリードに戻る。インドアのリードとアウトドアのリードでは、終了点が違い、アウトドアのリードで終了点についたときに、どうしていいのか、分からなくなった人を知っている。

リードのビレイは、シビアだ。ここで皆、ちょっとつまづく。リードのビレイなのに、だらりんビレイの人や一ピン目を掛けていないのに、緊張していない人が多い。

参加資格は、教えてもいいレベル、というより、最低限の必要ギアと言う感じがするので、

   リードクライミングに進む人は、ロープを持っていないといけない、

ということがお留守になっている気がする。

  リードは自分のロープでするもの

だからだ。人のロープをいつまでも借りる気でいる、というのは恥ずかしいことだ。

■ ロープの知識が非常に重要になる

ロープを購入するときは、ロープの研究をすると思う。そして、ロープの研究をするときにこそ、墜落係数2だとか、1だとかの確保理論や、危険についての勉強が出てくる。

したがって、

 自分のロープを買わない=そうした知識が無いことが明らかな人

に リードクライミングさせるのは、危険かもしれないと思う。

墜落係数2を分かっていないで、墜落してはいけないところで墜落するかもしれない。

http://b-camp.jp/iruma/wp-content/uploads/2015/11/outdoor_subject.jpg より引用



Seeker

■ 瑞牆本 上巻

昨日は、またピラニアでクライミング♪ クライミングバムの女性と出会った。楽しかった☆

昨日はついに瑞牆本の上巻をお買い上げ♪ この本をもって、瑞牆のエリア探索に行こうかな?

今週末は、小川山に行くことになった。

■ シーカー

たまたま何かの拍子に回ってきた性格診断。やった見たら、私は、Seeker=探し求める人、であった。

Life Goals: Search for a better way, winning
Fear: Conformity, entrapment, weakness, failure
Response to Problems: Escaping, fighting if the reward is great enough
Life Tasks: See the world, be a strong person
Personal Gifts: Autonomy, ambition, identity, courage, discipline
Personal Pitfalls: Inability to commit, chronic disappointment, arrogance, ruthless

人生の目的: より良き方法を模索すること

恐れるもの: 長い者に巻かれる生き方、罠、弱点、失敗

問題に対する反応: 逃げるか戦うか

人生の課題: 世界を見る 強く生きる

パーソナルギフト: 主体性、野心、個性、勇気、規律

個人的な落とし穴: コミットできないこと、慢性的失望、傲慢、非情

ふむ。なんだか、腑に落ちる。

■ 対策

1)コミットできているか? → 今しかできないことをきちんとやっておく

2)慢性的失望に陥っていないか? → 気にしないで、Move On

陥っているかもしれない。特に山岳会や山の世界に関する失望は、憧れが大きかっただけに、大きいかもしれない・・・。

3)傲慢に陥っていないか? → より優れた集団に属す

陥っていたが、あまりにひどすぎるビレイや危険認知だったから、環境が悪かったと思う。自分が傲慢に陥らないで済む程度は、尊敬でき、優れた集団に属すほうが私自身のためになる。

4) ruthless → 理性より感情を優先する場合もあること。

合理思考すぎる場合もあるかも?

5)パーソナルギフト: 主体性、野心、個性、勇気、規律

確かにその通りだと納得。主体性を発揮するとき、私は一番気持ちが良いので、かなりリードクライミング向き(笑)。

■ すべきこと ダルマ

   より良い方法を模索する活動

なるほど。と言う感じ。私は模索することが好きなのだ。なるほどな~と納得。