ラベル 第一章 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 第一章 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2015/08/01

確保理論基本


■ 確保理論の重要ポイントだけをまとめました。   

≪ポイント!≫ 

 ・スタティック vs ダイナミック 

 ≪ポイント!≫ 

・シングル vs ダブル(ハーフ)  
・ロープ径 11~10ミリ シングル、9~8ミリ ダブル 7ミリ ツイン











































■ カラビナ

≪ポイント!≫ 
・ゲート、スパイン、ナローエンド、ブロードエンド
・持つときはナローエンドを持つこと。
・ゲートの向きはロープの流れと常に反対方向に。

・HMS型=ムンター用
・0型=3分の1引き上げ用
・変D型=スタンダードな基本形
・ベントゲート=ロープクリップ用
・ワイヤーゲート=軽量
・ツイストロック=セルフビレイ、ビレイ器との連結
・スクリューロック=支点用

・常に最大強度が出るメジャーアクシスで使う 例:ヌンチャク、支点

・命に係わるパワーポイントには、2枚(ダブル)で使う。例:トップロープ支点のパワーポイント。


■ セルフビレイ

≪ポイント!≫ 
・テンションしておく
・デイジーは使わない。 PASはOK。ナイロンスリングもOK。ダイニーマはNG(結び目で強度が半分に)。



■ クライマーのビレイ

≪ポイント!≫ 
・弛ませず、張りすぎず
・真下に立つ

・中間支点が、腰の高さより、上、足元付近に来てからは落下係数が大きいので危険が増す




■ プーリー効果

≪ポイント!≫ 
・約2倍の衝撃がかかる。 支点に強度が倍必要。




■ アンカー構築の例

≪ポイント!≫ 

・流動分散 vs 固定分散
・60度以内

1)強固であること  
2)多重性
3)均等荷重
4)パワーポイントの固定

以上すべて、
(http://www.jpnsport.go.jp/tozanken/Portals/0/kougisiryou/H24kakuhoriron.pdf より抜粋転載。)




リードに進ませる要件

Rock&Snow誌に「プロがすすめるスタンダード技術」という連載があります。

その第六回、「リードに進ませるための条件」という記事です。

■ リードに進ませるための条件

それによると・・・

・登っている最中、自分が落ちるかどうか、または落ちそうかどうかの察知ができていること

だそうです。 なんだ ”絶対、落ちないこと”ではないのか・・・??? 

・この部分の能力が欠落すると、ところかまわず突然落ちたりちょっとしたことですぐ手を離してしまったりする

そうです。 クライミング事故の急増はこの点に寄るのだそうです。

≪クリップの仕方≫
・クリップそのものの練習
・クリップポイントは頭胸の高さ 腰クリップはダメ

≪リード時の危険要因の理解≫
・そもそもリードは墜落係数が大きいのでアブナイ
・手繰りおち
・ロープ跨ぎ
・Zクリップ
・ランナウト
・ラインから外れる
・登り出しでのフォール 3つ目のクリップまでは安心しない
・アンコントロールな墜落

墜ち方というは重要なようです。決して

・何かをつかもうとしてはいけない
・足で着地する
・「落ちる!」など声を出させる


コール

■ コールはシンプルに!

コールは、まずは余計なことを出来るだけ言わない、というのが重要かと思います。

例: リードクライマー: 「ビレイ解除」
   セカンドクライマー: 「了解」
   リードクライマー: 待つ
   セカンドクライマー:「ビレイ解除」

これでは長い。一つ余分。、

   リードクライマー: 「ビレイ解除」
   リードクライマー: 待つ
   セカンドクライマー:「ビレイ解除」

で十分です。

次は、

   セカンドクライマー: 「ロープ一杯」
   リードクライマー:「登っていいよ」
   セカンドクライマー:「登ります」

コールは、実は 二つだけ、で成り立ちます。 英語にしてみると単純なんですよね。

ビレイ解除は英語ではビレイオフです。登っていいよは、ビレイしたよって意味ですから、ビレイオンです。

例: リードクライマー: 「ビレイオフ!」 ビレイオフしてくださいの意
   セカンドクライマー:「ビレイオフ!」 ビレイオフしましたの意


   セカンドクライマー: 「ビレイオン!」 ビレイしてくださいの意
   リードクライマー:「ビレイオン!」   ビレイしましたの意

   セカンドクライマー:「クライミング!」

ということは ONとOFFの2種類しかコールはイラナイんです。

だから、笛だけでも意思疎通が可能です。

 ON = オッケーと言う感じで ピッピー!
 OFF= ノーと言う感じで ピー!

ダメダメ~と言いたい時は、警戒音でピー!とし、そうそう!と言いたい時はピッピーです。

でも、これ、同じ笛でやっているパーティがいると、隣の笛と紛らわしいんですよね・・・



中間支点

■ クイックドローを購入

クライミング場利用の認定試験を受けますが、その時に必要なので、クイックドローのセットを買いました。 ペツルのジンアクセスです。先輩たちが使いやすいと、おすすめの製品。
    クイックドローのことをクライミングの俗語で、”ぬんちゃく”と言います。

 この道具は、中間支点用です。 

クライミングは一般に二人一組で登ります。片方が先に行き、残りは下でビレイする。先に行く人をリードクライマーといいますが、リードクライマーが落ちないように、とりあえずロープを仮止め的に支点に掛けるのに使うのがヌンチャクです。登りながら自分の身長分くらいづつ、ロープを掛けておくと、たくさんは落ちないですよね。そのためです。

なので、ぬんちゃくはリードクライミングをしなければ、基本的には必要ない道具なので、購入順序としては、後回しになります。

クライミングへ憧れが先行する人は、エイトノットも結べないのに、ずらっとヌンチャク持っていたりして・・・。これは恥ずかしいので辞めましょう。リードクライミングするようになったら、買いましょう。

 ■どのヌンチャクを買う?

ヌンチャクを買う必要は、すでにクライミングを始めて2か月後くらいから、感じていましたが、リード中にクリッピングのしやすさを考えられるほど、まだ余裕がなく、借りたぬんちゃくで、問題なかったのですが…

 私の基本方針は

 一回しか買わないのだから、手に入る、もっともよいものを買う

です。

登山用品は非常に高価です。が、そうそう買い換えるものではありません。なので、自分の命を守ってくれる道具ですから、ケチるところではない、というのが私の意見です。

ただ山の価値観の一つに、”プアな道具立てで登る”というものがあるのも知っています。登山はできるだけシンプルな道具で登るべきだという価値観があります。

大事なことは、つたなかろうが、おそかろうが、自分の力で登ることです。

また、昔の山やさんはカラビナ一枚で確保でき、そういう時代は落ちて死ぬ人はいなかったそうですが、確保器や下降器が登場した今は道具のセットミスで墜落して死ぬ人がいるそうです。

 ⇒ こちらのサイトを参照。

しかし、私が考えるのは、

究極のシンプルを追求したら、使い勝手の良い道具を少数精鋭で持つ、

に収れんするのではないか?ということです。質が高く、数が少なく、です。

というわけで、命を守るための登山用品はあまり価格は関係ない、ですが・・・とはいえ、安く買える店と高い店があれば安い店で買いたいですよね。

一般に ペツル製品は高額、ブラックダイヤモンド製品はエコノミーです。

クライミング用品である限り、必要になるスペックはどれも満たしていますから、どれを買ってもいいといえばいいので、分かれ目は、”使い勝手の好み”です。

■ 好み = 自分をよく知る

私は、握力が弱い。一般に男性の平均が50kg、女性の平均が30kgですが、私は左手18kg、右手28kgしかありません。 これは小さいころからで、体力測定で、クラスメートより顕著に低い値を示すのでした。 ジャンプ力とか踏み台昇降とか、平均よりいいのに・・・です。なので、自分の弱点として、長年付き合ってきています。 でもまぁ、一般社会で握力弱いからってあんまり問題になることはなかったのですが、クライミングでは大問題です・・・(><) 生死にかかわります。

ので、私にとって起りそうなアクシデントは、岩をつかめない、という事態です。

その恐ろしいシチュエーションでありそうなのは、ヌンチャクをつかむことです。 

フリークライミングは言うまでもなく、何からフリーか?というと、道具からフリーと言う意味ですので、道具に頼らず登るのが重要ですが、落ちると道具に頼るでは道具に頼るほうがまだましです。

で、フリーなのにヌンチャクをつかんだりと、ちょっとズルすることをA0と言います。エーゼロ・・・、私はクライマーのプライドより、命を取りたいので、頻繁に発生しそうです。

そして保持力がないので、もともと少ない力は大事に使いたいので(省エネ)、クリッピングなどで無駄な力を使いたくない、ので、クリッピングのしやすさを重視。

≪私のヌンチャク選択基準≫
1)スリングが太くて握りやすい (細いスリングは握りにくい)
2)クリッピングしやすい
3)軽さ
4)価格
5)ブランド

あとは軽さがネックでした。 ヌンチャクは1個ではなく、5~10くらい使うもの。1個100gを5個、腰にぶら下げたら、500g。 というわけで、一番軽い68gのペツルアンジェだと、半分まで行かなくてもかなり軽くなります。

軽いヌンチャクは大概、軽量化をワイヤーゲートにすることで計っています。 片方がワイヤーのと両方がワイヤーのがあります。

ワイヤーゲートは、ロープが外れやすいという欠点が。さらにクリッピングもしづらい。

参考サイト

ワイヤーゲートは雪山でいいのですが・・・。

軽量化を考えると、ペツルのアンジェがありますが、これを先輩に行ってみたところ、口をそろえて「使いづらい!」と。現在のところ、もっとも高額なアンジェ・・・使いづらいのならパス決定。

というわけで、ジンアクセスになりました。 

ヌンチャクは、カラビナの形状の他に、スリングがナイロンかダイニーマか、というのもあります。

長さですが、支点の遠さ次第なので、これは各種の長さを持つしかなく、最初のヌンチャクセットとしては市販されている標準的なもので妥協するしかありません。

参考サイト: http://www.yamanakama-sirius.org/oyakudachi/karabiner.pdf



■ ギアを買ったら取説をじとーっと見つめましょう☆

私は思うのですが、技術情報で一番信頼がおける情報というのは・・・ギアの取説ではないか?と。

ギアの取説、言葉はないのに、そのギアの使用で既に知られているリスクや、間違った使用はあらかじめイラストで描いてあります。 

そのイラストを見て、理解するのは難しくない。  見て知った内容を、応用するのが難しいのかな?

以下はぜんぶアルテリアの ペツル ジンアクセスの取説から切り抜きです。PDFで資料は配布されているので、PDFから画像を拝借しています。

http://www.alteria.co.jp/download/pdf/ifu/M_ANGE_SPIRIT_DJINN.pdf

私が机上講習が必要だと思うのは、このように画像が必要だからです。山で絵を見て説明できない。

■ カラビナはメジャーアクシスでしか使ってはいけない
メジャーアクシスで使いましょ!

■逆クリップしてはいけない
逆クリップはいけない
 こちらにも詳細があります。

逆クリップしてはいけないへGO!

■固定側を上(ボルト側)にしてはいけない

固定側は下


















■ 凸では、岩角にゲートが当たり開いてしまうことがある
岩角にゲート



■逆クリップは良くない例2
スリングのねじれ

















■ メジャーアクシスで使いましょう、の例 

長いスリングのヌンチャクが必要な事例

長いスリングが必要な時
























というわけで、クイックドロー(ぬんちゃく)については、そんなに覚えることが多いわけではない。

取説は、素晴らしい☆

私のジンアクセスは、スリングの剛性が高いので、捩じれるリスクは低いです。

捩じれるカラビナを持っている人は、クイックドローの向きについて、より注意深く意識的でいる必要がありますね。


← 細いダイニーマのスリングのヌンチャクは

 よじれる

というリスクがある。

でも、アルパインヌンチャクなんて、カラビナとスリングを結束しただけでぐるぐるよじれるのですから、

 使う場所、状況に合わせて使う器具を選択する

のが良いのかもしれません。

立木 ⇒ スリングとビナ

ハンガーボルト ⇒ ヌンチャク

懸垂下降

■ 懸垂下降

懸垂下降は、言うまでもなく大事な登山技術です。で、知っておくべきことはいろいろありますが、最大のことは

懸垂下降は失敗が許されない

です。クライミングで落ちても登った分だけしか落ちませんが、懸垂で落ちると地面に着くまで落ちます。落下距離最大。

敗退に使う技術 = 守りの技術

であることも重要なポイントです。普通のクライミングは登ったら尾根を歩いて帰ります(笑)。懸垂が必要なのは、敗退の時です。逆に言うと、敗退できないのに登りに行ってはいけません。

■バックアップのこと

バックアップはトップで降りる人以外要りません。で、バックアップ以外にも、途中停止の方法はいろいろあります。

私が最初に教わった懸垂下降は、カラビナ+太ももがらみ でした(笑)。

大事なことは、懸垂下降している途中で止まりたくなったとき、両手を離せることです。

仮固定の結び目なども講習会では学びます。山岳総合センターでは、懸垂下降は、

 エクステンションつき+バックアップつき

で教えています。基本的に、フリークライミングではなく、前穂北尾根をリーダーで登れること、というアルパインクライミングのリーダーを養成することを目的にしているからです。

ですから、セカンドで登る普段は、シンプルにATCだけで降りていいです。が、それだけ知って、十分というわけではありません。それしか知る気がないと言うことは万年セカンドのつもりって意味です。

■ケブラーコード

これはアラミドという繊維みたいです。
これは懸垂下降で使っているプルージックコードです。エーデルリッドのもの。アラミドコードスリングです。 アラミドはケブラーのことです。ケプラーはデュポンの登録商標。

ケブラーコードは今まで切り売りしかなかったのですが、カラファテでソウン(というか圧着?)のものを見つけ、おススメされていたので買いました。1000円くらいでした☆ これは今見たらケブラーではなくアラミドと言う繊維ですが、用途は同じです。

他所でも見かけるようになったので、おススメ品だと思います。ケブラーは強度が強いので、ロープ径が細くできます。

すると何が良いのか?

巻きつけ系のノットは、巻きつけるコードと巻きつけられるロープとの径の差で巻きついている

ので細いほうが有利です。ケブラーのことは講習会の講師に教わりました☆

 ■ 懸垂セット例

 自宅には支点になるようなものがないので・・・
スイマセン・・・(^^;)

通常は

懸垂支点と
セルフビレイの支点は別

です。ここでは一緒になっています。

ランヤードは、私はPASにしています。

が、それ以前は、

120cmのナイロンスリングに、結び目

を作って使っていました。

PASがいいのはバックアップを付けた懸垂下降では、かならずエクステンションが必要ですが、距離の調節がしやすいことです。
 さらに、PASだと何が良いか?

というと、

荷重テストが楽

です。

←つまりこのように、体重を少しずらせば、荷重の方向が楽にずれます。

下のPASには、今荷重がかかっていないので、だらりん、としています。

荷重テスト

は、初心者は軽視しがち、です。

でも、いきなり体重を懸垂支点に掛けず、
信頼できる支点かどうか、確認してから、体重をかけるようにしないといけません。

これはノーマルな懸垂のセットで、

バックアップがついていません。

トップで降りる以外の人はバックアップ要りません。

ロープの流れはもうできているから、途中停止などしないですし、スピードが速すぎるなどの時は、先に降りた人がロープを引けば、停止するからです。


 バックアップを付けたところ。

この位置関係が重要

下降器の下です。

握るとロープが出て、
降りれます。
 位置関係を分かりやすくしたところ。
 師匠からは、以前より、このようなセットも教わっています。

あまり使っていません(笑)

のは、カラビナが1枚余分に必要だからですが、

このセットで何も問題はありません。

下のビナにハーネスが付きます。
 ■ ムンターヒッチ(イタリアンヒッチ、半マスト)

ムンターはどんな作り方でもいいです。

重要なのは

HMS式のカラビナを使うこと

ゲートの向きに注意すること

です。

私の作り方は指です。
 できた!
 こうなります。
 ゲートにロープがかからないのが重要です。

クローブヒッチ(マスト結び、固定)
は、セルフビレイ用なので、片手で作れないといけません。

しかし、、ムンターは安定しているところで、基本的に使うノットなので、両手でもOKです。
 確保器に適合するロープの径はだいぶ違います。

左は、スポーツクライミング用の確保器なので、セカンドの確保用の穴がありません。ノーマルATCです。
シングルロープを前提にしているので、穴が太いです。

右は、本チャン用の確保器なので、セカンドの確保機能があります。

ATCガイドです。 ダブルロープを前提にしているので、穴が狭いです。

これは、一般に普及しているプルージックコードです。

結び目はダブルフィッシャーマンが決まりです。

このプルージックコードは太いので、

巻回数
相手になるロープの直径

で、何回巻くとプルージックが効くか?

が違ってきます。それはやってみないと分からないことです。
足りないと思ったら、巻きつけ回数を増やします。

巻きつけ系の結びには何種類もあり、プルージックやブリッジプルージックは両方向に動きます。
私はバックアップは、下にしか動かないクレイムハイストでやっています。結びは自分が良く利く、と思ったモノを選びます。


■まとめ

  • 懸垂下降は失敗が許されない
  • 懸垂下降は自分の身を守るための技
  • ケブラー
  • ランヤードはPAS(スリングで代用可) 
  • PASは荷重テストが楽
  • PASは長さ調整が楽
  • バックアップをつけるときはエクステンションが必要
  • セルフの支点と懸垂の支点は別に取る
  • ムンターでも降りれるとなおよい(カラビナ懸垂)
  • スポーツクライミング=シングルロープ前提=穴の大きい確保器
  • アルパインクライミング=ダブルロープ前提=穴の小さい確保器
  • プルージックは効きをその都度確かめる
■おすすめの書籍

『教科書になかった・・・』には、指で作るムンターが載っています。

『ロープレスキュー』は、この方面の権威、堤信夫さんの本で結びが網羅されています。めざしとかも載っています!


   

セルフビレイ

■セルフビレイ

セルフビレイはメインロープで取るのが基本ですが、やっていると分かりますが、

1)片手ですぐセルフがとれる

2)長さ調節がしやすい

3)使っていないとき、邪魔にならない

のが、ポイントです。

■ セルフビレイは何で取るか?

最近、メトリウスPAS を買いました☆ 

最初にセルフビレイ基礎知識をまとめておきます☆

≪セルフビレイの基本≫

1)何はなくともセルフビレイ
2)セルフビレイはメインロープで取るのが基本
3)支点は2点以上から
4)ダイニーマスリングは、結び目を作ると強度が半分に低下
5)ナイロンスリングは、結び目がショックアブゾーバーになる
6)セルフビレイのスリングは、タイインループにつなぐ


というわけで、私はダイニーマを使わずナイロンスリング+環付ビナに結び目を作って、セルフビレイのスリングにすることにしていました。

■ PAS人気

しかし、業界のスタンダードは今PASなのは知っていました。
カラファテでもPASを薦められ、ただお金がなくて買えなかったのです・・・(^^;)

こちらのブログで、ギリギリボーイズの天野さんもPASを薦めています。

私も買いたいとは思っていましたが、

・今のところ、本チャンルートには行かない(行けない)し、
・マルチピッチは体験的ルートのみ
・フリーでしばらく岩に慣れるべき

ということで、買い物リストの後回しに入っていました。しかし、北岳バットレス四尾根が浮上したので考えを変えました(^^)。

■ 基礎知識 スリングの知識

以下はスリングの取説です。 このブログでも何回も出している画像です。

≪スリングの取説から分かること≫

1)スリングタイオフ 16kN
2)2重にすれば   2×22kN 
3)コブを作ると、  12kN
4)2本を連結すると 10kN  (やってはいけない)

5)ペツルのハンガーボルトに直接タイオフしてはいけない(切れるから)
6)支点間の角度が90度以上になるような角度で使ってはいけない。
7)スリングとロープがこすれるような、ローワーダウンをしてはいけない。カラビナを噛ませること。
8)スリングに落ちてはいけない。

初心者は必ず1回は、セルフビレイのスリングに落ちて、ガツンと行ってしまうようです(^^;) 衝撃荷重をりかいしていないとセルフビレイのスリングに落ちたり、ぬんちゃくセルフに落ちたりしてガツンと痛い思いをします。

■ デイジーチェーン

デイジーチェーンは、少し前によくセルフビレイのスリングとして使われていたようですが、これは本来の用途ではないそうです。

基本的に、アブミの距離の調節用のスリングがデイジーチェーンです。

そして、各ループは2kNしか強度がない、そうです。なので、あまりおススメではありません。

使い方をうっかりすると、セルフが全然とれていない!ということになることがよく本に書かれています。

良い映像を先ほどの天野さんのサイトで発見しましたので、ここでも紹介します。

ああ、怖ろしい・・・ というわけで、デイジーチェーンをセルフビレイのスリングに転用することは、没、決定です。


■ PASの利点

PASの利点をまとめておきます。 こちらに取説が出ています。

1)PASの各ループには18kNの強度がある (強度)

2)どのループからもセルフを取ることができる(長さ調節、冗長性)

3)ラッキング時にはコンパクトにまとめることができる 

≪使い方≫
1)タイインループにPASをつなぐ
2)適切な長さにしたPASを分散加重したマスターポイントにクリップし、残ったループを他のポインにクリップする。
















※しっかりしたラッペルアンカーに限り、直接アンカーにクリップする使い方もできる。

















要するにたくさんのスリングが連結なので、独立分散とおなじですね!

この使い方を見ると、環付ビナは2個使っているようです。 メインロープでのセルフを入れるとセルフビレイ3つ?! 

ビレイ点が同じであれば、保険は増えていないので、2個でいいかもしれません。スイングのセルフビレイは基本的にビナは1個で教わりました。

またこの写真の人は、タイインループではなく、ビレイループにPASをセットしていますが、私は講習会ではタイインループにつけるように習いました。 

名前からしても  タイイン(アンザイレンと同義) ループ
            ビレイ(相手のビレイ用) ループ

という意味ではないかと思われますし、この写真の人は、メトリウスの、各パーツが特別に強化されたハーネスを着用しているようです。

■ PASの欠点

カラビナとの相性が悪い

ということです。 スリングのセルフの時はカラビナは動かないように留めておくのが普通ですが、それができません。なんらかのパーツがいるようになりますが、そうすると、ラッキングの時、コンパクトにまとまるというメリットが少なくなるかもしれません。

■ カラビナはオートロック?

こちらの国際山岳ガイドの方は、セルフビレイのカラビナは、スクリューゲートではなく、オートロックを薦めています。

スクリューゲートを締めるのを忘れなければ、どちらでもよいと思いますが、沢での岩登りでギリギリだったときはスクリューゲートが良かったです。ただ、雪稜ではゲートに雪が入ってつかいにくいとも聞きますので、現場の要求に合わせるのが大事ですね。

岩ではとりあえず足場があるところであればどちらでもよいかも?

セルフビレイはとにかくすぐ取れる、ということが大事だと思います。



 しかし、カラビナとスリングだと 2500円くらいで済みますが、PASとオートロックのビナだと、約8000円。 安全とはお高いものですね。

リードのビレイ

■ リードのビレイ

リードのビレイのアレヤコレヤをまとめました。

 1)正しい位置に立つ
 
 2)制動手は、順手。
 
 3)制動側は確保器より下で握る。(角度に注意!)

最大の関心は、立つ位置 と 繰り出し です。

■ ビレイヤーの立ち位置はどこが良いのか?

1~3本目の中間支点までは、一本目のランニングの真下。コツとして、しゃがんでから立ち上がると、ロープが素早く出せる。

・3本目のクリップ以降は、ゲレンデの場合、クライマーが見える位置に少し離れても良い。フォールすると壁に引き寄せられるので、フォールの可能性に備えて、壁を蹴るという心の用意をしておく。

大前提の基本は、一本目のクリップの真下です。分からなくなったら真下に行こう!

私は先輩が登り詰めて、見えなくなっても真下に立っていたら、「見えるところに少し離れてもいいよ」と言ってもらいました。見えないと、ロープが引かれてから繰り出すことになります。実際の岩場では、こういうことが多いはずですが、ゲレンデでは3本目以降は見えるところでもよい。

■ 座ってビレイ?

座ると、ロープの繰り出しが適切にできなくなるそうです。

ただし、狭いテラスなどでハンギングビレイしている時って、要するに座っていますよね(笑)、セルフビレイに。それはOKです。

■ ロープの繰り出しの仕方

・基本は、たくさん出しすぎず、かといって、クライマーがクイックドローにロープを掛ける動作を邪魔しない長さで。

1つめのヌンチャクから3つ目までは細かく微調整して出し入れする。

・ビレイヤーから出たロープがビレイデバイスより下になってはいけない。

・3本目まではクリップ後の弛みは軽く引き戻す。

・3本目以降は、少し後ろに下がっても良く、弛みも地面につかない程度で良い。
 
手で出すと同時に一歩前進する。

・中間支点より上にクライマーが登り始めたら、ロープを引っ張っていると登れないので、クライミングの邪魔をしないよう、ロープを出す用意をする。

・クリップの時、ロープの長さが足りなくならないように、十分に出してあげる。制動側でない腕の十分引き伸ばす。

・出しすぎはすぐに戻す。(といってもすぐに登りでまただすことになるので、3クリップ目まででよい)

・クリップ時は手繰り墜ちの危険に備える。

■ 手の位置

・手の位置は確保器の制動が効く場所です。


http://www.lostarrow.co.jp/support/pdf/support_0338.pdf


どうして、手の位置が間違っている人が多いのかな?技術書のイラストが分かりにくいのかもしれません。


■ フォールを止めるということについて

基本: ロープは出ている長さの10%くらい伸びる

その伸びでグランドフォールしないか常に考える。

基本: 体を浮かせて止める

飛び上がり&ぶら下がりで止めるくらいでよい。

・ビレイの初心者は短いルートには向かない
・核心部が下部にあるルートにも向かない
・テラス、でっぱったハング、突起物があればグランドと同じとみなす(ぶつかる危険がある)

■ なぜ確保器を使うべきなのか?

理由: 確保に特化して開発された道具だから。

改めて言うまでもないことですが、とりあえず確保器がない確保もあるということを知らない人向けに。

(器具を使わない確保の例: 肩がらみ、腰がらみ、グリップビレイ、エイト環、スタンディングアックスビレイ)

器具を使った確保にエイト環を使用した方法もありますが、エイト環は確保というより、下降用に開発された道具です。(参考:ペツルサイト。http://www.lostarrow.co.jp/support/ti_56.html

確保に使うのは転用です。カラビナもそうです。確保用ではなくて、確保にも使えるという話。

セカンドベストというわけです。なので、もっともよい確保を考えるなら、確保のために開発されている確保器を使うべき。

確保器が使える状況下で、使わないビレイは、あまり根拠がありません。もっともよい確保が確保器によるものだからです。

逆にギアがない状態でも確保ができるという技術は欲しいものなので、カラビナをつかった確保も知っておくべきです。

■ なぜリードのビレイはボディビレイがいいのか?

理由: 衝撃を吸収するため。

 支点ビレイ: ビレイ器をアンカーに接続するビレイ方法。
 ボディビレイ: ビレイ器を身体に接続するビレイ方法。
 ダイナミックビレイ: 制動をダイナミックに(つまり流しながら)行うビレイ
 スタティックビレイ: 制動をスタティックに(流さないで)行うビレイ

私がリードをビレイすると、大抵が浮きますが、これはロープが流れているのと同じですね。ビレイヤーが浮く=ロープが流れる=ダイナミックビレイ状態。

なので、今日通常に行われているリードのビレイは、ボディビレイ&ダイナミックビレイですね。

支点ビレイだと墜落の衝撃が支点に集中します。どうも墜落時の衝撃は衝撃を逃がす、衝撃を分散させるのが大事らしいです。

ビレイヤーが浮く=衝撃を吸収した証。積極的に浮くのがいいのかもしれません。

ちなみにセカンドのビレイは支点ビレイです。でもセカンドなので、アンカーにはそう大きな衝撃はかかりません。

アンカーを大事に使わないと壊れたら? もう即ピンチです! 

確保理論

■ 国立登山研究所の確保理論 テキスト

国立登山研究所が編纂している確保理論のテキストは、非常に優れたテキストですので、これを読むことを強くお勧めします。

国立登山研修所 確保理論テキスト研究会編 確保理論テキスト

"最初に、言っておいてよ、もう!"というような知識が一杯です。

やっぱりクライミングの入門者は一回、確保理論の机上講習をした方が良いと思います。私の意見はクライミングする前に義務付けたらいいくらいだというものです!!!
■ 内容

構成は

 1)ロープの知識
 2)カラビナ
 3)確保理論
 4)セルフビレイ
 5)クライマーのビレイ
 6)アンカー

です。 こんなのすっ飛ばして、クライミングだけしているのが、超アブナイ!ロープワークができない人にクライミングを教えないほうがいいです。

クライミングなんて、本人さえ登る気になれば、ほっておいても上達しますが、ロープワークは
教わらないとできない。良い教本もないです。

ロープの知識やカラビナの知識は、すぐさまロープがどう確保しているのか?の安全知識につながります

■ロープ

UIAAスタンダードフォールテストは、シングルだと80kgを対象にしているが、ダブルだと55kg
対象にしている。 

1)インパクトフォースの小さいロープは、衝撃が小さいという意味です。

 ・墜落者
 ・アンカー
 ・ビレイヤー

への負担を軽減してくれる。 これ、ベテランでも大きいほうが良いと勘違いしている人もいるので要注意。

2)耐墜落回数の多いロープは、耐久性に優れる

3)伸び率が大きすぎないロープは、確実な確保を行いやすい

4)寿命は毎週の使用で1年。月2~3回の使用で3年。

■ カラビナ

1)常にメジャーアクシスで負荷がかかるように注意しながら使うこと

2)ロープワークの関連しないパーソナルな個所には、ツイストロックの環付ビナを使う
  例:ランヤード、 ビレイデバイスとの接続

3)ムンターヒッチやアンカー用にはスクリューロック 

■ 確保理論

 ・グランドフォールさせない

 ・壁やテラスに体が当たらないような配慮をする

 ・衝撃力を十分に考慮した確保で確実にクライマーを止める

1)確保のポイント

 1)クリアランス
 2)衝撃力 落下係数、ダイナミック係数をコントロールし、衝撃力を押さえる (流す、ということ)
 
2)確保でコントロール可能な要素

  〇スタティックビレイ
   ・墜落者の体重  ⇒ 制御不能
   ・ロープ係数   ⇒ 制御不能
   ・落下係数    ⇒ 制御可能 つまり、落下係数が大きくならないように中間支点を取って登る

  〇ダイナミックビレイ
   ・墜落者の体重 ⇒ 制御不能
   ・ロープ係数  ⇒ 制御不能
   ・落下係数  ⇒ 制御可能
   ・ダイナミック係数 ⇒ 制御可能 つまり流すということ。

3)落下の衝撃

 例: 体重60kg 高さ3m 

   自由落下        9kN (ボルダリングなど)
   スタティックビレイ  3.7kN
   ダイナミックビレイ 2.28kN (ロープを50cm流した場合)

4)プーリー効果

最終支点には (墜落の衝撃そのもの) + (衝撃の0.7F倍)の力がかかる。 つまり、1+1.7の力がかかるので、およそ倍の強度が必要になる。

■セルフビレイ

1)メインロープでとる
2)ずっと落下係数ゼロを保つ (ずっとテンションしておく)

■クライマーのビレイ

1)ロープを弛ませない
2)ロープを張りすぎない
3)クライマーはランナウトしたところでは墜落は許されない

4)フォロワーのビレイには3つある
  ・アンカードビレイ  ⇒ 確保器、ムンター
  ・リダイレクトビレイ ⇒ 支点で折り返してビレイ 支点に強度が2倍近く必要
  ・ボディブレイスビレイ ⇒ 肩がらみ、腰がらみ

■ アンカー

1)アンカーをビレイステーションと言う

2)固定分散 ⇒ 強度が低い場合はパワーポイントを固定する

3)支点構築の鉄則

  1)強固であること  

  2)多重性

  3)均等荷重

  4)パワーポイントの固定

強固であること、とは、壊れないこと。支点が壊れず、カラビナが壊れず、スリングが切れず、ロープが切れないこと。

多重性とは、一つが壊れたとしても別のバックアップがあること。支点は必ず2個以上。

均等荷重とは、個々のアンカーに荷重が分散されること。それには角度が重要。60度以内。

パワーポイントの固定とは、固定分散の方法。

ーーーーーーーーーーーー以上ーーーーーーーーーーーーーーー


■ リードのビレイをマスターしましょう!!

先輩に連れて行ってもらうには、リードのビレイをマスターする必要があります。

以前、リードのビレイのコツをまとめたページを作ったので、そちらを参考にしてください。

リードのビレイも出来ないし、セカンドとしてクライミング力もなければ、ガイド登山しかありません(^^;)




3)基本のロープワークを覚える

■結束 (結び目、ノット)

アルパインクライミングで 最低限必要なノットは、次の3つです。

 ・エイトノット
 ・クローブヒッチ (固定、マスト結び)
 ・ムンター     (仮固定、半マスト、イタリアンヒッチ)

ノットは、時代によって呼び方が違い、()の中の呼び方をする人もいます。

■ きれいなノット 

ノットの基本は

 ・弛みや遊びがない
 ・ねじりがない
 ・末端処理

の3つです。ノットは摩擦力で締るものなので、きっちりきれいなノットにします。

■ フリクションノット

フリクションノットは懸垂下降のバックアップとして必ず必要です。

 ・オートブロック
 ・プルージック(ブリッジプルージック)
 ・クレイムハイスト

フリクションノットで大事なことは

 ・メインロープとの径の差が効きを左右する
 ・片方にしか動かないノットと両方動くものがある

を理解していることです。

■その他

タイオフ
ラインドターン
ツーバイト

ラビットノット
オーバーハンドノット

■ 用途

エイトノット → アンザイレン(メインロープと自分をつなぐ)
クローブヒッチ → セルフビレイ、何かと固定したい時、固定分散
ムンターヒッチ → カラビナによるビレイ、カラビナ懸垂、一時的にロープを落としたくない

フリクションノット → 懸垂下降のバックアップ、宙吊り登り返し、プルージック登攀

■ 支点

流動分散

タイオフ

■ 一連の流れ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
まずアンザイレンし (エイトノット)

ビレイし

リードクライマーが中間支点を作りながら登り (場合によってはタイオフ)

終了点に着いたら、セルフビレイを取って、アンカーを作り (クローブヒッチ、ラウンドターンなど、流動分散)

ビレイ解除のコールをし 

ロープアップし

セカンドの確保を作って 

セカンドクライマーは中間支点を回収しながら登り

セカンドもメインロープでセルフビレイを取る (クローブヒッチ)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

という具合に出てきます。

懸垂下降では

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
まずアンザイレンをほどき、

ロープの片方は落とさないため、必ずムンターでどこかに仮固定し   (ムンター)

ロープの両末端を脱落防止し (エイトノット、またはオーバーハンドノット)

ロープを束ね (振り分け)

ロープダウンしたあと

懸垂下降のセットをし (フリクションノット)

懸垂下降して降りる
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

という流れになります。

2015/07/31

ロープのまとめ方

■ 振り分け

登山の場合、ロープは振り分けで束ねるのが普通です。

これはあまりにも当然だからか、講習会でもちゃんとは教えてくれません。 

なので、現場で教わっていてもいなくても、自分で人のしぐさを盗み見て、身に着ける必要があるのは同じようです。

■ 振り分けの仕方 

手で振り分ける方法です。懸垂下降などでロープを投げるときは、これが便利です。



■ロープの束ね方 肩で束ねる方法

手でもてないほど、コイルが太くなったり、径が太くてそもそも重い場合は、肩で束ねます。

これも練習して、素早く出来るようになるのが重要です。ロープがあれば、家で練習することができます。

逆にいうと、ロープがないと家で練習することができません。のでロープを買わない人は、万年セカンドを自ら宣言していることになります。



参考:
非常によくまとまっているビデオつきサイト

■ その他

自分が、スポーツクライミング志向なのか、フリークライミング志向なのか、アルパイン志向なのか、まずは分かるくらいになってから、ロープを買いましょう。

■ ロープへ心遣い

昔ながらのスタイルの講習会では、ロープの長さがきちんと揃っていないような、汚い束ね方をすると叱られます。またロープを踏むことを嫌う人は多いです。

これは、細かなことを軽視しないで、細心の注意を払う、ということが、のちのちの岩登りにおいて、命を守る、ということになるからではないか?・・・と思います(^^)。

■ 購入先

クラミングドットコム
カラファテ

今はアマゾンでも売っています。が、商品知識がないと買いづらいと思います。

基本の岩セット

初心者がアルパインクライミングをスタートするにあたって、最低限必要なものは

 ・ロープ
 ・確保器+安全環付カラビナ
 ・ハーネス
 ・ヘルメット
 ・自己確保用のランヤード(PASかスリング) + オートロック(または安全環付)のカラビナ
 ・ビレイグローブ

です。

1)ロープはダブルを買います。フリークライミングで登攀力をあげてから、山岳地帯でのクライミングを行いたい人は、シングルを先に購入します。詳細はこちら

ロープは最初の数か月は何を買って良いのか分からない上、実際の山行は先輩のロープを使うことになりますので、後で購入しても良いですが、古いロープで良いので、誰かからもらうか何かしないと、ロープワークの練習やロープをまとめる練習ができません。

2)確保器は、ATCガイドまたはルベルソ4を買います。ハーネスに接続する用の安全環付カラビナも買います。

3)ハーネスは、厳冬期の手袋をしても着脱できる物を買います。

4)ヘルメット、は山岳用であれば何でも良いです。見えない箇所でも良いので、名前と血液型を書いておきます。

5)自己確保用のランヤードは、PASを購入するか、120cmのスリングに環付ビナを付けて代用とします。デイジーチェーンは間違って解除されてしまうケースがあるため、おススメできません。

6)ビレイグローブは、手のひら部分が皮であればよく、ワークマン等で売られている、数百円の物で良いです。ハーネスにぶら下げやすいよう、細引きを付けておきます。




確保器はセカンドの確保機能付きを

■ビレイデバイス

このような形をしているもの
確保器のことをビレイデバイスと言います。これは、

 ATCガイド
 またはルベルソ4

のどちらをまず購入します。アルパインクライミングでは、リード・フォローで登るためです。

■ ATCガイドは2006年から

ブラックダイヤモンドのATCガイドが発売されたのは、2006年です。

ATCガイドはマルチピッチクライミングで使用するのに、もっともオーソドックスな確保器

です。

結論から言います。確保器は

 ・スポーツクライミング ⇒ バケツ型チューバ―
 ・マルチピッチクライミング ⇒ ATCガイド
 ・アルパインクライミング ⇒ ルベルソ4 (雪稜向けに軽量化。アルパインクライマーの花谷さんはルベルソ派でした)

です。本チャン、マルチピッチクライミングを目指す人は

 ・ATCガイド OR ルベルソ4

を、買いましょう。 マムートからも同等品が出ています。

■ガイドでなくても、ガイドモード必携

基本的に”ガイドモード”とか”セカンドの確保機能”と呼ばれるものが付いているものを買っておかないと、後で買い直しになります。

アルパイン系の人には、チューバ―と言われる、バケツ型のビレイデバイスはダメです。

チューバ―はフリークライミングのショートピッチ用です。

一番無難なのは、発明した、本家本元のブラックダイヤモンド社のATCガイドを買うことです。

■ エイト環は下降器

実は、エイト環も持っています。

エイト環は、ATCガイド以前の確保器の標準、デファクトスタンダードです。

セカンド確保のセット

エイト環とATCガイドを比べます。

≪エイト環≫
・本来の用途は下降器
・ビレイにも使える
・ビレイ時、ロープが双方向に流れる
・制動力は比較的低い
・使用に慣れが必要

≪ATCガイド≫
・用途はビレイ用
・懸垂下降にも使える
・セカンドの場合、手を放しても確保されるので安全性が高い
・制動力は比較的高い
・使用に慣れが必要だが比較的楽

つまり、8環は懸垂下降のために開発された道具、確保器はビレイのために、開発された道具です。

結論を言うと、ATCガイドがあれば、エイト環はだんだん使わなくなります。というのは、確保器でラッペル(懸垂下降)できるので。

リードのビレイで制動手(ブレーキハンド)を離すことができないのは、どちらも同じです。

が、セカンドのビレイでは、ATCガイドの場合は、両手を離したとしても、フォローの墜落を止めることができます。

どちらのデバイスを使ったにしても、荷重がかかった状態で、解除するのは、大変なのは、当然のことで、よく言われるように「解除が難しい」という欠点の指摘は欠点に当たりません。

何しろ、エイトカンやムンターでの確保で荷重がかかったまま失神でもされたら、制動手も離せず片手しか使えません。それなら、せめて両手があくATCガイドのほうがマシです。

エイト環であっても、カラビナでの確保であっても、ボディビレイでも、荷重がかかったら、身動きがとれないのはみんな一緒なので…。

たとえば、セカンドが墜落し、宙吊りになり、自分でマッシャーで登り返せない、となると、リードクライマーが引きあげなくてはならなくなりますが、その際、テンションがかかったロープをどうするか?というと大変難しい技術になってしまいます。

≪セカンドビレイ中のビレイヤーの自己脱出≫

肩がらみ・腰がらみ → どうにもならない。動いたら相手を落としてしまう。相手の墜落で自分も落ちる可能性が強い。
エイト環 → 固定して、徐々に荷重を固定先に移す。
ATCガイド →固定不要。すでに固定されていて、ビレイヤーは自由になっている。

なので、「セカンドの確保に使えるけど、解除が難しいよね」は、ATCガイドを使わない根拠にはならない。

解除は使わない方がベターなので、再度登れるならセカンドが登り始め、テンションを解除した方が良い。 

つまり、すぐ落ちて「引き上げてください」というような性格のセカンドクライマーなら、最初からムンターで確保した方が、セット方法を変えなくて良いので楽です(笑)

セカンドの安全性が最も高いのは、やはりATCガイドです。落ちても固定されるとわかっていると、セカンドの人は心が穏やかでいれます(笑)

自分はパートナーをカラビナで確保できるベテランも、今日クライミングを始めましたという新人にきわどいラインを確保してもらう時は、ATCガイドで確保してもらいたいと思うと思います。

ただし、私はエイトカンも持っています。時々は練習しておくといいです。落としたときの保険になりますし、沢登りではエイト環での確保でなければダメな場合があります。


クライミング用のロープについて

■ロープの種類

スタティック=伸びない=補助ロープ用
ダイナミック=伸びる =クライミング用

スタティックをリードのクライミングに使用してはいけない

■ 使い方の種類

①シングル 
 ・一本で使う
 ・スポーツクライミング
 ・もっとも一般的
 ・径は9.0mm~10.0mm

②ダブル(ハーフ)
 ・二本束ねて使う
 ・支点が分散する。
 ・マルチピッチやアルパインでよく使われる
 ・ロープ操作が煩雑になる
 ・径は8.0~9.0mm 

③ツイン
 ・2本を1本として使う使い方
 ・アイスクライミングで使われる
 ・ダブルより軽量
 ・下降に便利
 ・径は7.4mm ~ 8mm (細い)

■ 用途にあったロープを購入しましょう

人工壁などのスポーツクライミング → シングルロープ 30m
フリークライミング(外岩) → シングルロープ 50m、または60m
アルパインクライミング → ダブル 50mまたは60m

ダブルを購入する場合は、ザイルパートナーと

 色違い
 同じ径
 同じ長さ

になるように購入します。 一般にクライミング用品全般に言えることですが、何を購入すべきか理解できるようになったときが購入しどきです。

アルパインを目指す人は、50mのダブル1本は最低所有しているのが普通です。最近は60mを所有している人も増えてきているそうです。

■性能

・衝撃荷重 : 値が小さいものほど衝撃の吸収力に優れている=よく伸びる →リード向き
・伸び率: トップロープでの使用が多い場合はこの値が低いロープの方が扱いやすい
・外皮の厚さ: 厚いほうが耐久性が高い。通常は40%
・外皮のズレ: ラッペルがある場合はずれがゼロのもの。
・コーティング: 外岩で使用する場合は重要。
・しなやかさ: しなやかなほど操作性が高い。

(『クライミング用具大全』より抜粋要約)

■補助ロープとは?
 
・8㎜以下の細い径のもの。
・リードでは使わなくて、傾斜のないところで万が一に備えて使うもの

■ 新しいロープには新しいビレイデバイスを

新しいロープはより細く高性能=古いビレイデバイスとは合わない

■ 参考

http://column.kojitusanso.jp/ksguide/2010/08/post-20.html
http://www.youtube.com/watch?v=-bTbJczTYSE

■まとめ

アルパインを志す人は、最初にダブルのロープを一本買います。ザイルパートナー同士で一人一本持ち寄って、山行が成立します。