2015/07/31

ロープのまとめ方

■ 振り分け

登山の場合、ロープは振り分けで束ねるのが普通です。

これはあまりにも当然だからか、講習会でもちゃんとは教えてくれません。 

なので、現場で教わっていてもいなくても、自分で人のしぐさを盗み見て、身に着ける必要があるのは同じようです。

■ 振り分けの仕方 

手で振り分ける方法です。懸垂下降などでロープを投げるときは、これが便利です。



■ロープの束ね方 肩で束ねる方法

手でもてないほど、コイルが太くなったり、径が太くてそもそも重い場合は、肩で束ねます。

これも練習して、素早く出来るようになるのが重要です。ロープがあれば、家で練習することができます。

逆にいうと、ロープがないと家で練習することができません。のでロープを買わない人は、万年セカンドを自ら宣言していることになります。



参考:
非常によくまとまっているビデオつきサイト

■ その他

自分が、スポーツクライミング志向なのか、フリークライミング志向なのか、アルパイン志向なのか、まずは分かるくらいになってから、ロープを買いましょう。

■ ロープへ心遣い

昔ながらのスタイルの講習会では、ロープの長さがきちんと揃っていないような、汚い束ね方をすると叱られます。またロープを踏むことを嫌う人は多いです。

これは、細かなことを軽視しないで、細心の注意を払う、ということが、のちのちの岩登りにおいて、命を守る、ということになるからではないか?・・・と思います(^^)。

■ 購入先

クラミングドットコム
カラファテ

今はアマゾンでも売っています。が、商品知識がないと買いづらいと思います。

基本の岩セット

初心者がアルパインクライミングをスタートするにあたって、最低限必要なものは

 ・ロープ
 ・確保器+安全環付カラビナ
 ・ハーネス
 ・ヘルメット
 ・自己確保用のランヤード(PASかスリング) + オートロック(または安全環付)のカラビナ
 ・ビレイグローブ

です。

1)ロープはダブルを買います。フリークライミングで登攀力をあげてから、山岳地帯でのクライミングを行いたい人は、シングルを先に購入します。詳細はこちら

ロープは最初の数か月は何を買って良いのか分からない上、実際の山行は先輩のロープを使うことになりますので、後で購入しても良いですが、古いロープで良いので、誰かからもらうか何かしないと、ロープワークの練習やロープをまとめる練習ができません。

2)確保器は、ATCガイドまたはルベルソ4を買います。ハーネスに接続する用の安全環付カラビナも買います。

3)ハーネスは、厳冬期の手袋をしても着脱できる物を買います。

4)ヘルメット、は山岳用であれば何でも良いです。見えない箇所でも良いので、名前と血液型を書いておきます。

5)自己確保用のランヤードは、PASを購入するか、120cmのスリングに環付ビナを付けて代用とします。デイジーチェーンは間違って解除されてしまうケースがあるため、おススメできません。

6)ビレイグローブは、手のひら部分が皮であればよく、ワークマン等で売られている、数百円の物で良いです。ハーネスにぶら下げやすいよう、細引きを付けておきます。




確保器はセカンドの確保機能付きを

■ビレイデバイス

このような形をしているもの
確保器のことをビレイデバイスと言います。これは、

 ATCガイド
 またはルベルソ4

のどちらをまず購入します。アルパインクライミングでは、リード・フォローで登るためです。

■ ATCガイドは2006年から

ブラックダイヤモンドのATCガイドが発売されたのは、2006年です。

ATCガイドはマルチピッチクライミングで使用するのに、もっともオーソドックスな確保器

です。

結論から言います。確保器は

 ・スポーツクライミング ⇒ バケツ型チューバ―
 ・マルチピッチクライミング ⇒ ATCガイド
 ・アルパインクライミング ⇒ ルベルソ4 (雪稜向けに軽量化。アルパインクライマーの花谷さんはルベルソ派でした)

です。本チャン、マルチピッチクライミングを目指す人は

 ・ATCガイド OR ルベルソ4

を、買いましょう。 マムートからも同等品が出ています。

■ガイドでなくても、ガイドモード必携

基本的に”ガイドモード”とか”セカンドの確保機能”と呼ばれるものが付いているものを買っておかないと、後で買い直しになります。

アルパイン系の人には、チューバ―と言われる、バケツ型のビレイデバイスはダメです。

チューバ―はフリークライミングのショートピッチ用です。

一番無難なのは、発明した、本家本元のブラックダイヤモンド社のATCガイドを買うことです。

■ エイト環は下降器

実は、エイト環も持っています。

エイト環は、ATCガイド以前の確保器の標準、デファクトスタンダードです。

セカンド確保のセット

エイト環とATCガイドを比べます。

≪エイト環≫
・本来の用途は下降器
・ビレイにも使える
・ビレイ時、ロープが双方向に流れる
・制動力は比較的低い
・使用に慣れが必要

≪ATCガイド≫
・用途はビレイ用
・懸垂下降にも使える
・セカンドの場合、手を放しても確保されるので安全性が高い
・制動力は比較的高い
・使用に慣れが必要だが比較的楽

つまり、8環は懸垂下降のために開発された道具、確保器はビレイのために、開発された道具です。

結論を言うと、ATCガイドがあれば、エイト環はだんだん使わなくなります。というのは、確保器でラッペル(懸垂下降)できるので。

リードのビレイで制動手(ブレーキハンド)を離すことができないのは、どちらも同じです。

が、セカンドのビレイでは、ATCガイドの場合は、両手を離したとしても、フォローの墜落を止めることができます。

どちらのデバイスを使ったにしても、荷重がかかった状態で、解除するのは、大変なのは、当然のことで、よく言われるように「解除が難しい」という欠点の指摘は欠点に当たりません。

何しろ、エイトカンやムンターでの確保で荷重がかかったまま失神でもされたら、制動手も離せず片手しか使えません。それなら、せめて両手があくATCガイドのほうがマシです。

エイト環であっても、カラビナでの確保であっても、ボディビレイでも、荷重がかかったら、身動きがとれないのはみんな一緒なので…。

たとえば、セカンドが墜落し、宙吊りになり、自分でマッシャーで登り返せない、となると、リードクライマーが引きあげなくてはならなくなりますが、その際、テンションがかかったロープをどうするか?というと大変難しい技術になってしまいます。

≪セカンドビレイ中のビレイヤーの自己脱出≫

肩がらみ・腰がらみ → どうにもならない。動いたら相手を落としてしまう。相手の墜落で自分も落ちる可能性が強い。
エイト環 → 固定して、徐々に荷重を固定先に移す。
ATCガイド →固定不要。すでに固定されていて、ビレイヤーは自由になっている。

なので、「セカンドの確保に使えるけど、解除が難しいよね」は、ATCガイドを使わない根拠にはならない。

解除は使わない方がベターなので、再度登れるならセカンドが登り始め、テンションを解除した方が良い。 

つまり、すぐ落ちて「引き上げてください」というような性格のセカンドクライマーなら、最初からムンターで確保した方が、セット方法を変えなくて良いので楽です(笑)

セカンドの安全性が最も高いのは、やはりATCガイドです。落ちても固定されるとわかっていると、セカンドの人は心が穏やかでいれます(笑)

自分はパートナーをカラビナで確保できるベテランも、今日クライミングを始めましたという新人にきわどいラインを確保してもらう時は、ATCガイドで確保してもらいたいと思うと思います。

ただし、私はエイトカンも持っています。時々は練習しておくといいです。落としたときの保険になりますし、沢登りではエイト環での確保でなければダメな場合があります。


クライミング用のロープについて

■ロープの種類

スタティック=伸びない=補助ロープ用
ダイナミック=伸びる =クライミング用

スタティックをリードのクライミングに使用してはいけない

■ 使い方の種類

①シングル 
 ・一本で使う
 ・スポーツクライミング
 ・もっとも一般的
 ・径は9.0mm~10.0mm

②ダブル(ハーフ)
 ・二本束ねて使う
 ・支点が分散する。
 ・マルチピッチやアルパインでよく使われる
 ・ロープ操作が煩雑になる
 ・径は8.0~9.0mm 

③ツイン
 ・2本を1本として使う使い方
 ・アイスクライミングで使われる
 ・ダブルより軽量
 ・下降に便利
 ・径は7.4mm ~ 8mm (細い)

■ 用途にあったロープを購入しましょう

人工壁などのスポーツクライミング → シングルロープ 30m
フリークライミング(外岩) → シングルロープ 50m、または60m
アルパインクライミング → ダブル 50mまたは60m

ダブルを購入する場合は、ザイルパートナーと

 色違い
 同じ径
 同じ長さ

になるように購入します。 一般にクライミング用品全般に言えることですが、何を購入すべきか理解できるようになったときが購入しどきです。

アルパインを目指す人は、50mのダブル1本は最低所有しているのが普通です。最近は60mを所有している人も増えてきているそうです。

■性能

・衝撃荷重 : 値が小さいものほど衝撃の吸収力に優れている=よく伸びる →リード向き
・伸び率: トップロープでの使用が多い場合はこの値が低いロープの方が扱いやすい
・外皮の厚さ: 厚いほうが耐久性が高い。通常は40%
・外皮のズレ: ラッペルがある場合はずれがゼロのもの。
・コーティング: 外岩で使用する場合は重要。
・しなやかさ: しなやかなほど操作性が高い。

(『クライミング用具大全』より抜粋要約)

■補助ロープとは?
 
・8㎜以下の細い径のもの。
・リードでは使わなくて、傾斜のないところで万が一に備えて使うもの

■ 新しいロープには新しいビレイデバイスを

新しいロープはより細く高性能=古いビレイデバイスとは合わない

■ 参考

http://column.kojitusanso.jp/ksguide/2010/08/post-20.html
http://www.youtube.com/watch?v=-bTbJczTYSE

■まとめ

アルパインを志す人は、最初にダブルのロープを一本買います。ザイルパートナー同士で一人一本持ち寄って、山行が成立します。