2020/04/06

ナチュラルライフ&クライミング

書いておかないといけないなーと、ここ1年程度思い続けて、書いていないことがある。

それは、アウトドアと近い生活をここ10年程度続けてきて、

現代人としての在り方に疑問を感じ、そして、方向を転換したいと思っている、

ということだ。

私自身は元々が自然志向で、アトピーなどで自分の肌に、科学的なものが合わないという事実があり、できるだけ、自然なもの、を求める傾向があった。

しかし、都会生活は忙しく、電車の通勤と社内での競争に忙しく、大阪の18年はバレエで健康を損なわないのがやっとだった。

転機がきたのが、登山をスタートしたことで、登山は最初から雪の山に登っている。そうした厳しい環境に身を置いても、まぁ一人で厳冬期の雪山にテント泊して大丈夫なら、まぁ、どんな環境でも大丈夫なんだろう、と思えるようになった。

まぁ平たく言えば、自信がついた、のである。それまでは、基本的に、自然界の厳しさ、と言われても、それがどういう意味なのか?それこそ、見たことも聞いたこともない状態なわけで、自分がやって行けるのか、よく分からなかった、というのが率直なところだ。なにしろ、都会の生活は、日ごろの暑い寒いというところから、???な生活なのだ。

暑さ、寒さもほとんど感じないで済むように、空調され、雨にも濡れずに会社に行ける。

というので、そのような生活に飼いなさられた都会の社畜生活は18年だった。

そこから抜け出したのは、ほんの偶然でしかない…。様々な偶然が重なり、今があるわけだが…。モノの見方が変わっただけで、別に中身も変わっていなければ、立場も変わっていない。

ただ、自然を恐れなくなっただけだ。自分には、色々な困難に耐えて行ける力がある、という自己効用感が自然の中で暮らすこと、について生まれた。

これは山小屋暮らしなどでも同じだ。

■ 自然に寄り添った生き方がしたい

私自身は、自然により深く、密接に寄り添った生き方がしたいと思っている。

それで選んだ職業が畑仕事、というわけで、私は自然界が好きだが、別にクライミングの亡者という訳じゃない。

しかし、妥協というのは、なんにでも必要で、クライミングをしないならば、まぁ、あるもので我慢する、という姿勢が必要なのは分かる。

そこで登場するのが、クライミングジム(笑)。というわけで、私にとってはジムはそのような位置づけだ。

私が追求したいのは、より自然に寄り添った生き方のほうで、

それがどういう形で可能なのか?

ということのほうで、クライミングで自分がどこまで成長できるか?ということよりは、興味がある。

■ 独占されたくない

なので、ジムや外岩など、クライミングをさせてあげるよ~というご機嫌取り?をされても…うーんって感じ。クライミングなら、別に一人でも、まぁできてしまうからだ。

ラオスに行ってあげるよ~も同じで、実のところ、来てもらわなくていい。
むしろ、私一人で行ったほうが、仲間の輪が広がっていい、ということになるのだ…

というのは、男性のパートナーは、できたら二人だけで登りたい、相手を独占したいというエネルギーが強すぎ、どうしても、私の”色々なクライミング文化に触れたい”という願望のほうは叶わないことが多いからだ。

スカートのすそを踏んづけられる方が多く、ありがとう~ということのほうが少ない。

前回の韓国でも、ファン君がソラクサンに誘ってくれたのに、相方がファン君は女たらしだと言い張るので、仕方なく、辞めたのだった。

私はそうは思わなかったんだけど…








段級グレードの考察

■ 段級グレード

段級グレードのメモリを見ていると、明らかなことは、

級 vs 段

の、対立構造、だ。

一方、Vグレードには、この対立構造がない。

なにしろ、Vグレードでやっていれば、ただV0からスタートするだけなのだ。

V0、V1、V2、V3、V4、V5‥‥と延々と続く。

1級と初段に境目がない。今世界の最難は、V17で、そこから見れば、V10(3段)であっても、まだヒヨコ。

だから、 有段者という言葉、も生まれないし、有段になることで、ステージが上がった感もない。

つまり、あっち側とこっち側がない。

日本人はあっちとこっちを作りたがる国民性ではないだろうか?

■ スタート位置感の違い

まぁ、段級システムでは、初段からが、外ボルダリングのスタートだということが、この区切りから訴えられている。

そこから、初段、2段、3段…と段をあげていく。日本のトップクライマー小山田さんは、今6段くらいなのだろうか?

私の観察では多くの男性が、2,3段で行き詰まる。たぶんそこら辺からは、肉体改造もしくは、豊富な才能のどちらかがないと先へ行けない。

一方、Vグレード採用なら、V0からだ。比較すると、どうみても、スタート位置は、かなり低い。

つまり、Vグレードのほうが、スタート位置が低いわけで、よりインクルーシブなモノサシと言える。より初級者に優しい。

このスタート位置感は、デシマル変換した場合の5級…5.9が始まる位置と呼応していると感じられる難易度だ。 

段級のスタートは10級からだ!と反論がでそうだが、インドアジムの10級や9級は、とってつけたような、どうでもいいグレードで、黙っていても、誰でも登れる。実質は、インドアでも、あるいはハンデがある人で7級あたりからしかスタートしない。

同じ、よんきゅう、と言う言葉を使うせいで、RCCIIのグレードとの混乱も大きい。山岳部出身者のような、アウトドアからスタートした人たちには、滑らかな滑り出しがしにくく、混乱を招いている。

《参考》
Decimal grade vs RCC grade(Japanese grade)
Ⅵ=11a
Ⅵ-=10d
Ⅴ+=10c
Ⅴ=10b
Ⅴ-=10a
Ⅳ+=5.9
Ⅳ=5.8
Ⅳ-=5.7
Ⅲ+=5.6
Ⅲ=5.5

この上、デシマルは避けて通れないわけで、段級グレードは

 混乱
 階級感

を加えるだけで、あまり、大きなメリットがないように思う、どうだろうか?上手くいかない仕組みなら、返上したらいいのに、と私などは思う。

■ 劣等感を植え付ける仕組み?

日本の段級システムだと、段以前の人は、まだ級の段階だね~みたいな感じに、どうしてもなってしまうし、なにより、グレーディングも、級のグレーディングは、かなりいいかげんなんだそうだ。

つまり、当てにならない。

というわけで、ここでも一般社会と同じことで、より力や知識のある者から、より力や知識のない者に対する搾取が起きている…。

より低グレードの人たちのほうが、正確なグレーディングを必要とするのは当然だ。

しかし、それがおろそかになっている。これは、5級以下の課題は、きちんとしたルートセッターに作らせず、適当にやっています、というジムと同じだ。

強者がより富み、弱者がより弱くなる仕組み…

■ 内弁慶 

より高グレードを登る人たちのほうのグレーディングが正確か?というとそうでもなく、

前の課題より辛かったから

という主観オンリーで、そのグレーディングが、第二登という客観性によってテストされていない。

当然だが、力が落ちていれば、以前、簡単だった課題も難しく感じるもの。人間は年を取るので、50代まで成長し続けるとは言われているが、実際は、20歳以上の人間は、すべて成長期ではなく、老化に向かって流れており、つまり、流れに反して泳ぐ魚のようなものだ。誰かほかの人のチェックがなければ、主観はすぐに間違う。

第2登の価値が、あいまいにされているため、本当に初登グレードがあっているか?

という議論はほとんどされないようだ。

これは、どう表れるか?というと、内弁慶、として現れるようで、Vグレードに直したら、いきなり世界最難とかだ。

そうなると、内輪の人しか見ていないから、みたいな甘々な理由で発表したグレードが、いきなり世界の注目を浴びることになる(笑)。そうなると、実はそれほど難しくはなく、もっと簡単だったりすれば、かなり恥ずかしい事態だろう。

というようなことは、古いロクスノによると、たびたび起きていることのようである。

それもこれも、Vグレードをつけないがため。

段級でのグレードを世界に換算すると、ステップアップの速度が世界と足並みがそろわないらしいのだ。

だから、段級グレードは、世界最高レベルの日本のトップクライマーたちを利しているわけではない。

じゃあ、誰の利益になっているのか? 

うーん。もしかして、俺は有段者だ、と言いたいオジサンたちのささやかなエゴ?

■ 多数の意見を反映するとより正確になっていく系

おそらく、一般的なグレードは、多くの人の平均的な意見を反映すれば、するほど、正確になっていく、という性格のものだ。

グレードなんて、目安なのだから、登った人にアンケートを取り、その平均を当てはめて行けば、自動的に正確になるようなものだ。

だが、なぜかすでにVグレードはあるのに、段級が採用されてしまっている。

というので、その意図は何か?ということになってしまうんだが…。意図はわからないが、結果どうなったか?は分かる。

それがおそらく、日本ガラパゴス化の原因…ということなんだろうなぁと。

■ Vグレードのメリット

Vグレードでやっていれば、ただV0からスタートするだけなのだ。

V1、V2、V3、V4、V5‥‥と延々と続く。1級と初段に境目がない。

だから、有段者という言葉も生まれないし、ステージ上がった感もない。あっちとこっちがない。

あるのは、トップのV17以外は、みんな押しなべて、自分の限界と戦っているんだなぁという、

”やっていることはグレードが違っても同じ”、という連帯感

のほうだ。

トップ以外は、みな結局のところ同じでないかという連帯のほうが強く出る。

私としては、こっちのほうがうんといい世界観のように思う。

この動画は、V17と検索した時に表示される現在のトップクライム。

九州のリボルト講習会の延期のお知らせ

九州のリボルト講習会受講希望者・関係者の皆さまへ 

こんばんは、JFAの井上大助です。いつもお世話になっております。 
4月下旬に計画しておりました九州でのリボルト講習(ボルトの勉強会)ですが、新型コロナウィルスの感染拡大を受け、しばらく延期したいと思います。 
東京では日に日に感染者数が増えており、欧米の状況を見ていますと、日本でも2~3週間後にピークが始まることが予想されています。
とくに今回は医療関係者の方も参加希望メンバーの中におられることから、余計なご負担をかけたくないというのもありますし、私・井上自身も都内のフィットネスクラブというかなりハイリスクな現場で仕事しているものですから、無事であるという確証がありません。 
気候も良くなり、岩場での作業には好適な時期を迎えますが、通常のクライミングよりも事故の起こる要素の多いリボルト作業をいま行なうわけにはいかないという判断をした次第です。 
この状況が落ち着きを見せ始めたら、早めに日程をご提案して、開催日を決めたいと思いますので、何卒、ご理解のほどお願い申し上げます。 

以上よろしくお願いいたします。 
JFA環境委員長 井上大助

2020/04/05

近況…クライミングとの距離感 唐泊ボルダーの発見

■ 書き方が悪い

最近、ジミー・チンの映画『フリーソロ』を見て、なぜ、アレックス君がエルキャップをフリーソロしなくてはいけなかったのか?

彼が登る必然性などが上手に描かれていることで、クライミングの価値を正しく伝えることに成功している、ということが分かった。

それで、このブログの書き方を反省している。完全に私の備忘録としか機能していない。

というか、最初からその予定で書いてはいたのだから、当然だが…。とはいえ、様々な行動の必然性が理解できるように書いたほうがいい。

ので、今後は、きちんと経緯が分かるように書いていく予定だ。

■ ハートブロークンだった岸良

岸良の岩場では、去年、怪我をしたにもかかわらず、私の怪我より自分の宴会が大事だという相方のために、2日も医者にかかれず、直りが悪くなってしまったという、残念な経緯があった。

1年経って、そのクラックを登る機会ができたわけだが… もちろん、意味合いとしてはリベンジだ。

ところが、またしても…一緒に行った人に一杯食わされたため、登れなかった…。

きちんとギブ&テイクになっていない…。

私は自分が登りたい課題が登れず、付き合いクライミングばかりやらされている羽目になっている。大堂海岸も同じだった。

今回は信頼していた人に一杯食わされたので、かなり残念だった。いつも、ちゃっかりやられている。

■ 大阪で元気回復

大阪は、福岡とは違い、私の味方がいる、と感じられる町だ。

ラオスにも何回もおいでと言ってもらった。今回はラオスはリスク管理から行かなかったのだが。前回いた日本人の看護婦さんはいない上、私の最大のリスクは、脱臼が癖になること。今が正念場だ。

私はライフワークで、不登校の子どもたちのための支援をしたいと思っており、そのための用事で、アースバックハウスの工法を知ろうと大阪へ出かけた。ところが、その用事が急遽、おじゃんになった。

それで、ジムでも行くか、と出かけたのが、いつものヒグラシさん。久しぶりだったがとても楽しい時間を過ごした。あんなに楽しかったのは久しぶりだ。

この時の喜びのことを詳細に本当は書くべきだったのだが、他にも色々と忙しいことがあり、色々なことが急展開したのだった…不動産のこと、コロナ禍のこと。

ヒグラシで小島さんとお話ししたことは、なんだか私には本当に転換点、だった。

どういうことか? ここに、岩との対話を本当に愛している人たちがいる、という実感だ。

それにご縁も感じた。私は初心者のころも大阪では初めてのジムがヒグラシさんなのだ。

■ グレード偏重

現代のクライミングは、高グレードのグレード争いに偏り過ぎている。しかも、フリーではなく、チョークを使ったエイドにどんどん傾いている。

30数年来のデイドリの初登より、チョークの特集が拡大視される。誰が見たっておかしいと分かるだろう。

福岡のジム業界は、現代事情を表現してしまっており、ジムの人は悪気はないのだが、例えば、近所のジムは、「僕、外岩は行かないんです」というようなオーナーさんだ。

要するに、クライミングがただのビジネスのネタ、になってしまっている。

そこには、理想、というのがない。目の前の需要に盲目的に合わせたら、こうなるのが落ちだ。

フリークライミングのエイド化は、こうしたジムで進行中なのだ…。それは、そもそもフリークライミングがどういう意味か、咀嚼しなかったためだろう。

プラスチックをいくら登っても、母なる大自然については何も分かるようにならない。ただ自分の登攀能力について、エンドレスに挑戦が続くだけだ。コンペを見れば分かる。

外に岩場に出て、岩と対話していれば、自然の偉大さが分かってくるし、どんなクライマーも、どんどん謙虚になっていくものだ…

それが起こらないクライミングは、どんなクライミングだって、どこかネジがおかしい…。掛け違いが起こる理由は、自然との乖離、だ。

ヒグラシの方は、岩が好きなんだろうなぁ、という純粋なエネルギーを感じたし、それでホッとしたのだった。伝統というか、ちゃんと岩と対話している、ホワイトクライマー?は、ここに生息していたのか!みたいな(笑)。

アルパインのクライマーとフリーのクライマーは全く登る目的が違う。

おそらくマナーが悪いクライマーというのは、どっちにもいるんだろうが、組織化の度合いが強いのは、アルパインのクライマーのほうなのだろう。

フリーのクライマーは、フリーを登る限り組織化する必要もないし、だから組織力もなく、マナーが良いクライマーが、マナーの悪いクライマーのあおりを食っても、打つ術なし、な状況なのだろう。

■ ジョン・ギル&ヒロさん

そんな状況が見えてきたころ、ヒロさんの店で、ジョン・ギルのボルダリング本を借りてきて読んだ。

これも、私が考えていたことが、実際に裏付けを貰ったような内容だった。

ジョン・ギルは、もとは体操選手だったのだった…。九州に来たとき、私はヨガとインドアジムを頑張る気でいたのだが、ボルダーやクライミングで体操が有利だ、という私の見解は合っていたし、そのために私が選んだヨガがアシュタンガヨガで、そしてクライマーの先輩にも、アシュタンガを紹介したのは、すごく賢明なことだったのだ。

私がクライミングにおいて、方向音痴に陥っていなかった、ということが、ジョンギルの本で分かったのだ。大丈夫、正しい方向に進んでいる。

■ 烏帽子の事故

そんな勇気をくれたヒロさんの店で、たまたま隣に座った年配の女性クライマーに、日曜に烏帽子を案内してもらうことになった。おとどし、青ちゃんと行って太陽が一杯を登った岩場だ。

今回の烏帽子も、色々と経験値になった。

まず事故対応のまずさ…。

山岳会で登っているそうだったが、どうしても判断が会の判断という甘さが出る。自分で判断しなくなる、ということだ。

仲間が足首骨折事故という羽目になったのに、どうしたか?ただ電車に載せてお終い、だった。

私自身が足の肉離れという大きな事故をしたときに、相方から受けた対応も最低なものだったが、現代人の自己中はここまで来たのか?という感じだった。

そのほかの対応も、どこか非常識で、おかしかった。このことで、事故に遭った場合に、自分を引っ込めることができる人=良心の声に従える人、としか組むべきでないと分かったし、勉強になった。

大事なのは、その人が自分の軸=良心に従えることであって、上の命令が聞ける組織人であることとか、ではない。

■ 肝試し大会の山

あとは安全マージンへの理解がある…。一緒に行ったクライマーは、ジムで5級のムーブが完成されていない、6級もまだそうだった。

ので、フリークライミングの世界では、まだ基本的には5.9に安心して取りつかせていい段階にない。それで、事故者多発課題の斜陽をRPだそうで、もちろんTRリハーサルの後だから自動化で登ったのだろうが、それでも、それで調子こけば、事故になる。安全マージンが十分でないのだ。ギリギリなのだ。そのこと、ゆとりの有無がまだ分かる段階にないクライマーということだ。

事故にならないかなるか?は、自分でリードで、取りついていい課題かどうか?の判断ができる、ということだ。

会の主従関係で登ると、自分の登る課題を選ぶ目がつかない、という、こうしたリスクがあるのだ。

こうしたことが次々に起こったのが大阪で、大阪に行ったのは、良い面も悪い面もあった。

私の結論は、大阪のヒグラシみたいなジムで登って、あとは年に一回ラオスに一か月行けれればいい、というものだった。

なにも、命の危険を冒してまで、登らないといけない岩なんてのは、ないわけなのだから。

■ 先輩の先輩に送ってもらったロクスノバックナンバーのこと

さて、そんなこんなで、大阪では、あれこれと色々と思うところがあり、クライミングのアウェーの地、福岡ではクライミングとは、潔くおさらば!して、本格的に畑仕事に精を出す気でいた…。

半農半Xは私の願いである。私は自然と寄り添った生活を前ほど恐れていない。

だから、実は、JFAの年会費も更新しないでいたほどだ。

もう、人の心を忘れて、自分さえ登れればいいというクライミングには、うんざりしたし、私の周囲には、一緒に登りたいクライマーもいない。

みな自分の損得勘定のことしか考えていない。私が登れ、登りたいと言っている課題が目の前にあってですら、ロープの末端を結んではくれないクライマーと、何年一緒に登ったところで、私が上達することはありえない。

というので、さっさと切り替えて、畑を頑張る予定にしていたのだった…

ところが、そんな折、以前一緒に登っていた蒼氷の先輩の先輩…寺沢さんという女性の先輩から、古いロクスノが届いたのだった…

それは、杉野保さんの死亡事故について、私が彼のOldButGoldと題した記事を読みたいと思ったからだった。

人って言うのは、温かいものだなぁ。

これらのロクスノを読むのは、謎解きの解を貰うような経験だった…。

色々な謎がだいぶ、これらの古いロクスノで、歴史を知ることで溶けたのだった…

■ 近況

というので、再びクライミングのほうへ、また私の情熱の軸足が少しぶれることになった。

畑の帰りに、あまり期待もせずに立ち寄ったクライミングジム…。

そこのジムのお兄さんは、すでに2段、3段が登れるクライマーなのだそうで、九州のクライマーとしては、JFA寄りの…つまりホワイトクライマー寄りの…枝村ガイドや田嶋さんを知っているそうだった。お二人とも、私は顔見知り程度でしかないが。

ジム自体も、私の好みの課題のような気がした。

さらに、畑の近くでボルダーがあるなぁと見ていたら、どうもそれらのボルダーは、すでにグレードがついていて、唐泊ボルダーというらしかった。

https://kurume.joywallclimbing.com/rockpath/karatomari/%e7%a6%8f%e5%b2%a1%e5%b8%82%e8%a5%bf%e6%b5%b7%e5%b2%b8-%e5%94%90%e6%b3%8a-%e3%83%9c%e3%83%ab%e3%83%80%e3%83%aa%e3%83%b3%e3%82%b0%e3%82%a8%e3%83%aa%e3%82%a2%e3%83%88%e3%83%9d-2016%e7%89%88/?fbclid=IwAR1IP5zUJFQbS1mcNERcbYlKj4Aod7zx87OW-Ex1I0QW3Pc7ZCHbQ1GxFZ4

この二つの出来事で、またクライミングの神様が、私をクライミングから手放したがっていないのだろうと思った。


新しい教え方を模索

■新しい教え方を模索

すでに2段3段を登れるような人にルートを教える場合、今まで私が踏襲してきたような、アルパインと同じで、懸垂&ロープワークを教えるのと同じやり方ではない、良いやり方があるのでは?と思案中…。

というのは、ボルダラーは、ボルトを追いかけるような、ちんけな登りはしない。

というか、ボルダーにはボルトはない。

ボルトを追いかけないクライマーとして、一度、ボルトがないという前提で、ルートの既存ルートを見たら、どういうボルト配置になるのだろうか?

1)当人がハイボルダーであると感じられる高さ=1ピン目
2)2ピン目は1ピン目の総長より短くあるべき
3)3ピン目は、1+2ピン目総長より短くあるべき
4)以下続く

という範囲内で

・レストできるところにボルト そこからリーチが短い人のことも考え、ボルト位置は40cm手前

上に行くほど、他に要因がない限り、ボルト間隔は離れて行っても良いということになるはずなんだが。

(レスト位置からボルトまでの距離)は、普通、ルートセットするようなクライマーは、標準的なリーチで届く限界は知っていると思います。大体、男性が思っているより、だいぶ手前になる。

横はあまり変わらない。縦が変わる。

これは、オールドクライマーにはない視点だ。

古い人は、自分以外のクライミングの中身を知りません…古い人が奏でていたクライミング物語は孤独の歌。

2020/03/30

山の神さまの導き…良心

■山の神さまの導き

これまで私は山の神さまの導きで、ここまで来ました。

正直、なんで山?と自分でも思っていました…だって、私、英語科ですよ?全然、体育会系でない…。小さい時から、絵本を読んでいたような子で、全然アウトドア系ではなく、むしろ、青白い子どもでした。

雪の山をやっていたころは、山が私を呼んでいる!と思っていましたし、山口輝久さんの『北八つ彷徨』を読んではいいなぁと思っていましたが、クライミングをしないといけなくなってからは、どちらかというと、白い頂きを見ては、今日みたいな日は縦走だよなぁ…と思いつつ、寒ーい谷間でアックスを振る、みたいなことも良くありました…。

クライミングは、向いていないから、辞めたいなぁ… 絶対、場にそぐわっていないよなぁ…と思っていたのですが…、その度に、奇跡のようなステキな出来事が起きて、また山に戻ることになりました。

うーん…、今回も大阪に行ったときに、私のクライミング上の謎が次々と解ける出来事が…。

クライミングジムのヒグラシに行ったときは、驚きました。私の想像していたクライミングの世界についての見解と、ジムのオーナーさんが思っていたことは大体同じだった…。ジムのグレードのほうが外のボルダーより辛い理由も分かりました…。

また、烏帽子での出来事も、やはり、必要な出来事でした…。とにかく大事なことは、

 良心に従うこと

というか、

 良心以外に従わないこと

です。 

良心に従っていれば、クライミングにせよ、山にせよ、おそらく安全に行うことができます。

もちろん、風に飛ばされてしまった故・杉野さんのように、外的リスクをゼロにすることはできませんが、それは町にいても同じです。コロナがなくても、人は100%死にます。

■ 幸せ

幸せについては、求めたものを得られるのが幸せなのではなく、すでに持っているものを幸いだと感じられることが幸せなのだ、と思います。

福岡に来て、甲府時代以上に近所に岩場があります(笑)。会ったこともなかったJFAの井上さんともお会いする機会があり、ボルトに関する知識は甲府時代の比較ではありません。先日は山の先輩にロクスノ送っていただき、ええ~!とびっくりするやら、勉強になるやら。

海外登攀の経験値も増え、なんだか…ありがたいことだなぁと思っています。

フリーを始めた時、やっとあるグレードが登れるようになった途端に、もう次のグレードへ追い立てられるので、こりゃ、きりがないわい、と思いました。このような世界は、”もっともっと”の世界であり、私が求める”充足の世界”とは違う、と思いました。しかし、今現在、とりあえず、私は、もっともっとではなくて、充足の世界にも、すでにたどり着いているようです。もし、私が自分の心に従うとすれば、です。

これも怪我があったからこそ、で、怪我をしなかったならば、心理的暗示…上を目指さねばクライマーじゃない…にかかったまま、グレードを追いかけさせられ、なんだか話が違うなぁ、嫌だなぁ、と思いながら、つまり、”葛藤”を抱きながら、進まなくてはならなかったと思います。

私の持つべきパートナーは、私が自分の心に従って登ることを許容できる人です。

だから怪我をしたことは、私の意思を周囲の人に理解してもらう後押しであり、マイナスではありません。怪我がなければ、嫌々ながら、高いグレードを求めて登らざるをえなかったでしょう。

ここまで来たのは、私じゃなくて、山の神様が背中を押してきたので、押されるがままに歩いた結果だっただなー

私の割り切れ具合が分かるでしょうか…(笑)。なんかエライすっきりしました☆


2020/03/29

8a.nu について

■ 世界のクライミングサイト

世界には、一杯クライミングサイトがあるんですね~

こんなサイトを今回、古いロクスノから知ることになりました。

https://www.8a.nu/jp/crags/routes/?fbclid=IwAR00TY-0S6J6gLnVkSLI1_VFFeA6gO1_9NaLIvuI1srBPu8PWA1j1f_JwW0


Hourai (Shinshiro)Tick List Japan180

Biccyu (Takahashi)Tick List Japan53

JoyamaTick List Japan52

Mt arigasaTick List Japan31

MizugakiTick List Japan7

鳳来
備中
城山
瑞牆

となんとなく、紹介されている岩場が偏っているような気がしないでもないですが…、今の日本のボルト状況を見ると、一般の岩場を紹介するのは、ちょっと難しいですので、強いクライマーが行くところだけを紹介したほうがいいかなぁと思ったりします。

ボルダーなら紹介しても安心。そういえば、昇仙峡も海外クライマーが登っていたのは、ボルダーでしたよねぇ。キャンディクラッシュ。



Rock&Snow 024号 Mars & 『グレーディングを考える』

■ OBG 『Mars 5.13 d』

これは、城ケ崎のMars5.13dについての故・杉野保さんの記事が載っている号です。Old But Goldという、クラシックだが、味わいのあるルートという、大変すばらしい文章の連載です。個人的に杉野さんのOBGだけの単行本化を期待しています。

Marsは適正グレードであれば、5.14aであり、もし当時、そう発表されていたら、世界最難だった、ということになります。

■ 『グレーディングを考える』

この号は別途、草野さんのスタートした日本独自の段級システムがスタートした歴史的経緯が分かるようになっています。

特集で「グレーディングについて」という対談が、

小山田大さん、平山ユージさん、室井登喜男さん、杉野保さんの4名

で語られており、グレーディングの事情を知ることができます。

この特集で分かることは、室井さんのグレーディングが甘いので、海外から問い合わせが来てしまい、本当なのか?!と問題になっているという話です。

・自分の課題しか登らない
・開拓しかしない
・海外の岩場で登らない

ということが原因で、客観性の欠如となり、グレードがどんどん上がって行ってしまい、本来v15でないかもしれないにもかかわらず、v15と発表してしまう理由になっています。

これは、多かれ少なかれ、日本の開拓クライマー全員に言えることのようです。

開拓するようになると、大体、自分の課題しか登らなくなります。 前に登った〇〇が、11dだったから、それより少し難しいから、12、と設定したりしてしまいます。

しかし、その前の11dも確実ではない可能性がありますし、その時の体調が良くて、易しく感じただけだったり、得意な課題だったり、あるいは、岩のコンディションの良しあし、など、客観性を阻害する、色々な要因があります。

・自分の得意不得意
・季節
・岩のコンディション
・体調

そう言ったもので、客観性が脅かされるということです。一般に安定したクライマーであれば

・かかった便数
・かかった時間

などで、グレードは適切につけることができるようです。

■ アルパインのクライマーがつけたグレードは怪しい

一般にアルパインのクライマーは、打ち込む経験値がなく、

 かかった便数や時間で、グレードを判断することは無理

だと思います。アルパインは打ち込むタイプのクライミングではないので。大体12くらいまでは、男性クライマーも打ち込む経験値はほとんどないのではないでしょうか。

■ ほかの人の課題を登る & 海外で登っている

グレーディングをする人にも資格制がいるのかもしれません。要件は

・ほかの人の課題も日常的に登っていること
・海外でも登っていること

です。そうでないと、どんどんと主観化して、視野が狭窄し、グレードが甘くなったり辛くなったりします。

■ まとめ

024号は、大変お勧めの号です。

グレーディングについて、疑問が大きい方はぜひ一読されることをお勧めします。

Mars の吉田和正さんは、控えめのグレードを付けたために世界に名を知られることなく、生涯を終えられましたが、本来リン・ヒルより以前に5.14Aを登った方です。

吉田さんのことがさらに好きになりました。

https://amzn.to/33Roimg

それにしても、Mars についての記事が、この号に載っていることについては、とってもシュール、と言わざるを得ませんね。



2020/03/28

読了 『ジョン・ギルのスーパーボルダリング』

■ ジョン・ギルの人気本

これ、アマゾンで14989円なんですよね…それで、大阪で、ヒロさんに借りてきたんですが…

https://amzn.to/3dAx7Wk

■ 体操が有利なボルダー

九州に来たとき、アシュタンガヨガをクライマーの先輩に紹介したんですが、やっぱりボルダラーにふさわしいヨガはアシュタンガヨガだということで、アクロバティックな動き、体操があっているということに確信を深めました。

ジョン・ギルは、ボルダラーなら読んでおいてよいかも。大学の教授で、体操、特に吊り輪が好きだったそうです。

ダイナミックムーブこそがボルダラーの特権だからやらないともったいないと。

あと松脂禁止。チョークは自分に罪がある、と言っています。体操でチョーク使うんですね、そこから来たらしい。

とにかくボルダーは、体操、です。指力と体操。

■ 赤布が自分を追いかけてくるようになる

読図ができるようになると、尾根を降りていたら、赤布の行った先で、決断の証拠のように出てくるようになります。赤布が追いかけてくるようになる。

それと同じことでした。

九州行くなら、ボルダーだなぁ = 体操だなぁ =アシュタンガヨガだなぁ

= ジョンギルの本= やっぱりー!

この本は私の思想があっていたことの、赤布でした(笑)。 

■ ボルダー

私はボルダーも永遠に4級でいいです(笑)。日本中の4級を味わう系でいい。

強くなりたいと思っていません。

一生、リードも、ラオス通いでもいいかなーって思うくらいですもん…。

毎年、11月~3月にラオス行って、帰りに湯川でアイス登れたら、満足。

日本の岩場vs龍洞 比較

■龍洞の岩場のトポ

には、

1)ボルト設置年

 ”スポーツルート”と書かれた課題のほとんどは、2012年のボルト設置です。

2)使用ボルトタイプ
 
 ステンレススチールの316グレード 一体型、グルーインが2004年ごろから使用されています。

3)問い合わせ先

Climbstone@yahoo.com に問い合わせしてください

と書かれています。

たぶん、これが責任ある立派な開拓者の態度で、そうじゃない事例が一杯日本国内にはありますが…。

尊敬に足る事例を見ていないので、若い人は、悪い事例を見ても悪い事例と気が付かないだけなのでは???




道具に対する正しい使用法

道具に対する正しい使用法は当然のことすぎて、誰も口うるさく言わない上、できて当然なため、スルーになっています。

以下は最低限必要です。

1)自宅で、取扱説明書をよく読む 
  適合ロープ系
  禁止の使い方
  基本的な仕様の仕方
 
2)人工壁でテスト使用をする 

3)外岩で安全な状況でテスト使用をする

■ 事例

私の山岳会の新人男性50代は、初めての確保器を購入したのはいいのですが、全く取扱説明書を読まず、いきなり持ってきていたので、確保器の上下がさかさまでした。

分かっていてフリクションを減じるためにさかさまなのではなく、無知のためのさかさまです。

確保器はロープとの相性があります。フリークライミングで必要なのは、シングルロープ向けの確保器です。シングルスロットの人工壁用とは、使い分けましょう。フリークライミングでは、終了点で回収がある場合、懸垂下降が必要な場合があるからです。

余談ですが、フリークライミングをする人は懸垂下降を練習してから、岩場に行く必要があります。回収の方法を先に覚えて、岩場にいきましょう。

■ 事例その2

クリックアップをテストしたいということでしたが、フォールを止められず、グランドフォール。

頭を7針縫うことになりました。

人工壁で使用になれてから、外岩で使いましょう。