黒田誠さんは当代のクライマーなら知らない人がいないトップクライマーの一人です。この方が書いているように、令和の今になっても…というのが、残念ながら古い往年クライマーの皆さまです。
残念ながら、私の身内である師匠の一人もそこに加わるであろうと思います。往年の方はロープワークなどしっかりされており、マルチに行くと瞬きしている間にロープを束ねてくださり、安全に関しては通常1重のビレイループさえ、2重化されているような具合です。
若い男性クライマーにはそういう点を見習ってほしい…より高リスクの山にステップアップするには洗練された安全管理が必要だからです。ですが、この両者は全く水と油で、まじりあいません。
理由は、オールクライマーが上下関係の関係性を基本にすること、往々にしてすでに間違いであると業界内で結論づけられた技術を後輩に強いること(事例としては、リードクライマーへの支点ビレイ、肩がらみ、腰がらみ)、そして、登るグレードが違い過ぎて一緒に登っていて楽しくないこと、があります。一言で言えば、”時代遅れ”。
結局のところ、若い男子が相手をしてくれず、誰も師匠クラスの面倒を見ない、となると、ならば、と女性新人クライマーにお鉢がまわってくることになります…
その女性にしても自分がまだ何かを相手から学ぶことがあるビギナー時期であれば、付き合いも我慢が効きますが… 山でタバコをポイ捨てするような時代錯誤感覚の方は、往々にしてセクハラしたり、過去の栄光自慢をしたりしてくるので、なかなか我慢の度量も必要です…。それができるのは、家族くらいではないでしょうか…。まぁ、人は誰でも年を取るので、先々自分もそうなるのだ、と思えば、となると思います。
自分のクライマーとしての成長を犠牲にして、相手にお付き合いでお酌するのも、本末転倒です。
というので、基本的にオールドクライマーは業界内でお荷物化、しています。さらに痛いのは、若い人が入らない山岳会に所属していると、お荷物化していること自体に自覚がなく、若い人に自分のスキルを高値で売ろうとしてしまうことです…。
例えば、ラオスは、誰でも一人で行ける岩場で、行けば誰かと登れますが、上下関係でしか登れず、コミュニティ参加できない往年クライマーは、行ったとしても誰からも声がかからない可能性が濃厚です。そのような状態なのに、ガイドで行く、と言い張ります。交通費とガイド費用をお客さんに出してもらって、リード三昧で登ろうという訳です…。しかし、ですよ? 自分一人で現地まで到達すらできないのに、お客さんの財布で行きたい…って?となります。
が、そのような事例が先にあるらしく、希望を捨てない訳です…。先行事例を作っているのは、古い会のおばちゃんクライマーのような気がします。現地と交流しない日本人、韓国人クライマー集団。おばちゃんが女中のように、動かぬ男性クライマーの間をかいがいしく舞い踊って、ビレイさせていただきます、と低姿勢。ビレイはできて当然でしてもらって当然のものです。ので、女性の側の自尊心の低さも、事態に加担しているような気がします。…が、そんな虫の良いことを考えているのが年配の方の世界観なのです。
時代がこれほどに変わっていることに無自覚、ということなのです。
余談ですが、町でもポイ捨ておじさんはいます。その方たちの心情は?というと、許されたい、ということだそうです。
お前も完璧な人間ではないだろう、なら俺のポイ捨てを許せ、とのこと…。
それとこれとは全く違う問題のような気がしないですが…人が一人で自立するということがなかなか基本にない世界が日本では長く続いた結果のような気がします。
確かに一歩目の海外とか、一歩目のアルパインルートは怖いものですが… せめて同レベルの仲間と一歩を踏み出しましょう…
ヒマラヤも同じと思いますよ?今の時代、ハイキングの人だって個人旅行でヒマラヤ行く時代ですよ?なにせ、許可が下りやすくなったのは、ハイキングパーミットで登れる山ですから。
ちゃんとした冬季登攀でステップアップしたクライマーは、ヒマラヤではなくアラスカのルース氷河やパタゴニア方面を目指している時代です。まとまった書籍はないですが、ロクスノ読み込んだり、ウィンタークライマーズミーティングに出れば分かるはずです。
古色蒼然としたルートを楽しむのは、老後にもできます。若い時しかできない山をすべきでは?