2018/03/19

Full Metal Jacket:オスカーとの思い出

■Full Metal Jacket & AgroYoga

フルメタルジャケットは、ラオスで去年登って、今年も再登した6A(5.10a)の課題です。

"Full metal Jacket 6a" was my very personal climb. I had climbed it with Tony last year and re-tried this year again with Oscar from Sweden.

去年登った時は、いったん棚に上がってから、上のヌンチャクが、どうしても、反転するので、安心できず、なんども整え直して、レッドポイントした課題でした。これは、トニーと登った課題。

Last year I had climbed with Tony, and after I got on a terrace, the draw kept turning to wrong side and I had to climb down so many times to tidy up the draw... it was the draw, that made the climb so difficult. I felt I can not fall in the draw unless I make it sure that will hold me, otherwise, I will hit the terrace.

今年は、自分の成長の確認のために、再登したい!と思っていました。6Aのどっかぶり課題だからです。フルメタルジャケットは、ずっとがぶっており、ツイストで登るパワー系課題です。

This year, I wanted to climb the same problem again to see how I grow as a climber this year. The last year I was a total beginner but I felt I had done my share of endeavor so I wanted to see how it goes. 

Full metal jacket is power route, it is overhang and you need a power and move. 

今年は一人でヨガでもしようかなーとしていたところに、偶然オスカーが通りかかり、午後の最後の一本を一緒に登りに行くことに…。

This year, I was doing yoga alone and Oscar came by, and since he was also alone, we went off for a climbing for the last one for the day. 

オスカーは7Aを登れるので、フルメタルジャケットの隣の、アグロヨガ6Bをやることになりました。6Bは私はリードできないからです。しかし、このアグロヨガが曲者…

He climbs 7a so we decided to climb 6b "AgroYoga" right next to "Full metal jacket" for him. we both kind of satisfied.

7Aを登れるオスカーも、2ピン目かけるだけで必死なのです。1ピン目はどっかぶりのルーフで、ルーフから2ピン目までが・・・マントリング課題。ひいひい言って、やっと2ピン目をかけました。後は大したことはなかったのですが…

But to my surprise, 6B "AgroYoga" was so difficult, Oscar had a struggle till he got 2nd pin(draw).  

I tried and could not make it till 2nd draw. To get to first pin, it was already hard, you have to hang on your right arm only... wow! 

Wow! This is hard!  so we both cried!  

さて、私の番ですが、トップロープでも、1ピン目が、落ちると非常に振られるのです。でも、ヌンチャクからロープを抜かないと登れないし… 

隣のクライマーが 「Do you need spotter?」と言ってスポッターに駆けつけてくれたくらい。スポットしないと、おちたら振られて、岩にぶつかる・・・のが怖くて登れない…(汗)

While I struggle, someone next to us came to spot me!  Because if I fail, I will be banged to the rock wall... so scary! 

私はだいぶ粘ったのですが、結局、登れないので、オスカーは回収に行く羽目に。しかも、7Aが登れる彼が2度目でトップロープでの回収なのに、また同じ個所で苦戦…

After all, I spend so much time, I could not make it... just get tired and tired.

なんだか下部核心な課題だなー

So Oscar had to go retrieve the draws... but even he had to struggle on top-rope. 

その後、本命のフルメタルジャケット6Aに行ったのですが、アグロヨガを頑張りすぎたせいで、すでに腕力使い果たしており、去年リードしたフルメタル…に四苦八苦。6ボルトしかないのに、休み休み行って、6テンション、みたいな登り方でした…(汗)

Then I went to my "Full metal Jacket 6a " and it was... disaster! It only has 6 bolts but I had to ask him to take me 6 times!

I was tooo tired already... 

私は数日前に6Bを、ヌンチャクがかかっている状態で、ですが、オンサイトしており、その時の思いが残っていて、6Aのフルメタル…なら、今年は去年より楽勝だろう…くらいに思っていたのです…なんの、なんの。

I had on-sighted 6b a few days before this, and I felt I might be able to climb 6b already, somehow, without so much struggle... no way! I was just arrogant and stupid to think that way! I was just so completely being realized there are a lot to go...

ステキだったのは、そのあとの出来事です。

After that, my best time came... Oscar was so gently talking about climbing... it is not just the grade, the fun of climbing is just so important and, sometimes 7A climber can struggle on 6b... it is no use of sticking to what does not make you happy...

帰りにしょんぼりしている私を、先輩のオスカーが慰めてくれるのです。クライミングには、課題の室によって、損得があること、グレードだけが能力ではないこと、グレードはただの目安であること、7A登れても、6Bで苦しむこともあるんだよ…と。無理に自分の楽しめない課題を登ることもないのだ、ということも言っていました。

完全に山岳会の先輩後輩でした(笑)。向こうが年下だけどね

It was a gift and advice from him... him who is better climber than me, who has just started....

オスカー、スイス人の超イケメン!声も素敵な方でした.

Oscar was such a good looking man, and he was such a young gentleman! 

5.9マスターについて

■アルパインクライマーの最低条件の一つ

このブログは、フリークライミング向けにまとめているので、アルパインクライマーとしての一通りの完成の一端である5.9マスターを書くのもどうか?と思いますが、記載します。

(余談ですが、アルパインクライマーの最低ラインは、歩荷力、踏破力、と登攀力、生活力、読図力、条件判断力、など多岐に渡りますが、登攀力は、そのうち踏破力と2大重要ポイントな感じ)

5.9マスターというのは、5.9ならどんな課題でも登れる、というような意味です。調子が良ければ登れるとか、登れる5.9もあるけど、登れないのもある、ではなく、

”安定して5.9が確実に登れる”

という意味。

スティーブ・ハウスさんは、これをザイル不要で登れる、と表現しているそうですが、同じことです。絶対に落ちないグレードということ。

■ フェイス、クラック、ワイド、オーバーハング

フェイスの5.9はもちろんのこと、クラックも、ワイドも、5.9なら登れるというのを、クライミングを始めて以来、当初の目的にしていました。

この目標達成は、まだ道半ばです。今は、5.9は、確実な登りを身につけつつありますが、まだスピード感はありません。

先日はベテランクライマーの5.9を見ていて、だいぶ感動しました。すいすい、とは、このことね!って感じ。

■ 5.9のいろいろな質

5.9にもいろいろな質があることが、去年2度目のインスボンで分かりました。

…というのは、フリーの5.9とアルパインの5.9は違う…登山靴で開かれていたり、もともとザックを背負って登ることが前提だった5.9と、クライミングそのものに特化した5.9では、もちろん、後者のほうが登攀そのものの質的に、難しいのです。それは、前者の5.9はザックを背負うことを前提にしてグレーディングしてあるからです。

登攀のムーブ的に5.8くらいの難しさでも、それがものすごく怖いところにあったり、えらく長くて体力を消耗したりすると、難しさが加味されて5.9になったりします。

ラオスでも、ただの長い6A=6Bという公式が成り立つ場合がありました。

■ 10台に入るとフリーのトレーニングが必要

5.9と5.10台では、質的にかなりの開きがあります。5.9というのは、たぶん、平均的な身長、体重、体格の人にとっては、ムーブなしで登れる、正対しかいらない課題のように思います。もちろん、ムーブを使って登ってもいいのですが。ムーブがあると楽になります。

一方、5.10aというのは、ある意味、フリーのトレーニングなしには、難しいというか、平均的な人にとっては、ムーブがいるような気がします。

■ スポーツクライミングの意味

海外では、どっかぶりも、正対で超えるパワークライマーが多く、ビックリ!

ラオスは、どっかぶり系ですが、正対ひきつけオンパレードでした。スポーツクライミングとは、このことなんだー!と開眼。つまり、パワーで登ることが目的なんだなと。

私は、フィジカルは弱いので、それでは無理で、フラないと登れません。このフリ、というのが、自転車に乗れるようになる系のことなので、私にとっては習得に、だいぶ時間がかかりました。フリなどは、年齢が早いほど習得も早いと思われます。

■ 岩を見る目

それとは別のスキルで、岩を見る目。…が育っていないということで、5.9がオンサイトできるまでに2年半かかりました。

岩を見る目が育っていないと、すってんきょうなところを登ってしまって、進退窮まり、危ないです。プロテクションから離れすぎる、ということも、初心者では良くあります。

その結末は、アンコントロールな墜落です。アンコントロールな墜落だけは、なんとしても、避けなくてはなりません。

■ どのような質で自分が強いのか?

5.10Aは、質によってオンサイトできたり、できなかったり、今でもしています。

とはいえ、トップロープでは、11Aが登れたことも一度だけあり、クライミングについては、どのような質の課題で、自分が強いのか?いろいろ思案中です。

基本的にカチは苦手です。指力は弱いです。

5.10Aがコンスタントに登れる、というためには、確実に登れる5.9の登り貯め…、いわゆる ”5.9貯金” を外岩でするだけでは、全く不足です。

ジムで、”ムーブ貯金” が必要だ、と先日、外岩に行って思いました。

というわけで、なんだか、クライミングスイッチがオンに…な今日この頃。

2018/03/12

ヘンリーのこと

■ ヘンリーのこと…

ヘンリーは、ラオスで今回一番世話になった人です。コロラド出身の素敵な74歳!生き方としてブラボーなクライマーです。指は外れてしまっており、ちょっと力を入れると、並びがずれてしまう。膝は登っていると、カクカクと音がする、アンザイレンはダブルボーラインというオールドクライマーでした。

ヘンリーが登れる課題は、基本的には、寝ているか垂壁ということになるのですが、彼は3Dに行きたがるので、少々不思議でした。あるとき、長い5cのマルチに行ったのですが、ルート取りが私と全く違い、驚きました。

私が楽々で登ったところが彼には難しく、私がこわごわ登ったところが、背の高い彼には楽勝で、クライミングは、損得あるから、うまいこと、質的な損得を組み合わせることで、スピードアップになるなあ…と思いました。

どんな人とでも、長所と短所を組み合わせて、エンジョイ・クライミングができる事例というか…そんな感じです。

一つ印象的だったのは…6Aのリードです。代わりばんこに行きたいところに行くということにし、彼が選んだ6Aは、彼は登れなかったんですが、回収のため、私がロープをかけた後、かぶりで落ちて宙づりになり、ローワーダウンか?と思いきや、プルージックしていました。しかも、シット!とかファック!とか言いながら、四苦八苦。あれって、執念??? セカンドの務めを何としても果たす!ってやつなのかなぁ。

あれはどういうことだったのか、いまだに謎です…。ビッグウォールアピールでもないでしょうし・・・ 私でも登れそうなマルチに誘ったら、6bの箇所はフォローもできないから…と断ってきたので、プルージック自慢ではなさそうです。

一番目の師匠は、かつて、「夢は助さん角さんを従えて登ること」と言っていたのですが…そんなことではないだろうし…

という疑問を持っている思い出のパートナーです。

彼とのベストクライムは、ケーブマン!


ヨセミテボーラインのリスク

Risk of Yosemite Bowline Knot from Masa Sakano on Vimeo.

2018/03/10

2018年3月現在のまとめ

■ フリークライミングについて

私が最も好きなのは、アイスクライミングではありますが、アイスクライミングのスキル向上にフリークライミングが役立つことは否定できませんので、フリークライミングでも成長し続けることが必要です。

フリークライミングでの成長は、一般に、スラブ、フェイス、かぶり、ワイド、クラックと、様々なタイプを分けて考える必要があります。一般に初心者はスラブでスタートです。

1)スラブ ひと段落 5.10b
2)フェイス 苦手系 5.10A
3)かぶり なんとか 6A
4)ワイド インスボンレベル 5.8~5.9
5)クラック プロテクションの安心 5.9登りだめが課題

というわけで、タイプに沿って意識的に登り分けて行くことが、今後はいいかなぁ、と思っています。

クラックは、今年、カサブランカがリードできれば御の字ですが…。まずは、龍の子太郎かな。太刀岡左岸稜、積み残し中です。湯川、今年はいけそうにない(涙)ので、残念。クラックは、今のレベルだと、湯川で課題をほぼ全課題リードすれば、いい感じですが…。機会に恵まれるかどうかが核心です。
スコーミッシュは、今年は少々背伸びにあたるのではないか?と思っています。

とりあえず、平素は、パワーとフィジカルの向上が課題。つまり、ごくふつーの運動能力をアップするのが良い時期にいます。

2018/03/05

本匠の岩場

昨日は、初めて九州で岩場に連れて行ってもらいました♪

ラオスと同じ石灰岩の岩場です。

お天気があいにくで、前夜に一雨あった後で、岩場が濡れており、少々怖いことに…。

しかし、この岩場以外は、乾いている場所はないようでした。

これは宮前エリアです。アプローチゼロ分!

山と渓谷のクライミングサイトにトポあります。



■ アップ?

宮前エリアで登れそうなのは、ないかと目を凝らしたのですが、どうも自信がつきすぎ?で、どれもこれも、登れそうに見え、「これ9じゃね?」と言いながら、トポを見ると、11b!

どうも、岩を見る目がおかしくなっているようです…(汗)

とりあえず、その”間違った感性”を修正すべく、もっとも易しい、5.10bへリードで取りつく…

と、2ピン目で、ぬめり敗退。 怖くてホールド持てません。濡れていないホールドは、外傾していて持てません。

その後、人の登りを見て、どこにホールドがあるか再トライ。なんとか、テンションしつつも、3回目のトライで完登できました♪ 午後になるともっと濡れて悪くなり、登れなくなったようです。

ので、私が最初に登った九州の課題は、山女5.10bです。成長したなぁ。

■ ムー大陸

その後、乾いているほうへ移動。ムー大陸5.10cをしましたが、ステキな課題でした。下は寝ていて、落ちる気配すらなく、上はかぶっていて落ち放題。 核心部でホールド遠くて取れず、墜落3回でアウトです。

しかし、良く考えられたルート選択でした。やはり初心者は、一歩目がかぶりで落ちる場合は、ちょっと慎重さが必要…。1手目が核心の課題は、あまり良くない。

■ 上が核心のほうが良い

以前兜岩で、1手目が核心の課題(初めの1歩)で落ちて、頭を7針縫った思い出が。ラオスでも、1歩目が核心の、「AgroYoga 6B」は、7A登る人でも大変そうにしていました。私は登れなかった・・ 上は簡単そうなのでしたが…。

■ 課題の質により損得アリ

そのあと、クライミングというのは本当にグレードで図るものではないね、という話をお互いにしたのでした。グレードというより、課題の質で損得があるのです。

なので、自分の好きな楽しい課題を登る、ということが、大事になります。

ただ自分が何が好きなのか?は、最初はよくわからないです。

私の場合は、アイスが自分が一番好きなクライミング。その次はハンドジャムサイズのクラックです。かぶりは苦手ですが、それはアルパインしている人みんなかも…。

下半身が重いとかぶり系は上半身パワーが余計必要で、つらいかも?

ラオスでは傾斜の殺し方が少し上手になり、3Dクライミングなので、アイスでも傾斜を殺せるようになって帰ってきた。

岩での傾斜を殺す方法は、ホールが限られるので、足しか自由度がなく、足の自由度を最大に活用する方法を開発するのが課題です。 

ジムでは、すべての課題で足自由で登ったほうがいいですね。

■まとめ

1)足を活用する
2)フィジカルを上げる


2018/03/02

ラオスのまとめ

1/31 ピーチ人員不足で欠航 新幹線へ
    スクート 隣の女性 同じ宿
    大学生男子5人組 タイ
2/1 ホテル無料送迎 8:05
   ノックエア 10:05→10:50
   友好橋のバス 13:00 
   タクシーでGCHへ アグネス&マーティン ドイツ人 30.000Kip建て替えてもらう
   ※入国時に半券がなくて叱られる
   15:40 GCH着
   16:00~ パーティーメーリーへ 韓国人に会う
   ヒロさん、石川さん、Garry、に会う 石川さん&Garryとヨガ
   18:30 ビーフバーガーの夕食

2/2 朝、おかゆ
   石川さん、ヒロさんに登らせてもらう Hilton VeganShnitzel 他
   6A ×2 5C×1
   ランチ サラダチキン、コーラ
   午後、ツリーラウンジへ ララバイ その他 合計8本/日

2/3 エリコさんと会う日 オスカーと朝ヨガ
2/4 朝ヨガ エリコさんと Monturaズボンに注目を集める
2/5 Best Day 
   私の提案でCanyonへ行く 
   1.TR Tetriss 6A
         2. Super meat boy
         3. Super mario
        4. Frogger
        5. Bomberman
      オスカー、アントニオ、コニー、スー、ヴィラ、テオ
   ・NZのオリバーの英語が分かりやすくてステキ
   ・ガリー、スコットランドのアクセント強いがとっても親切 190cm
   ・スーが6Bにドローを掛けてくれたこと
   ・ヴィラ回収
   ・テオが話に来てくれた
   ・タイ、カナダのカップルが一緒にご飯を食べてくれた
   ・コニーのビレイはうーん、だが・・・
2/6 朝 DavidたちとHiltonへ 5C+を安心できないビレイで
   よくわからない新ルートを登れるだろうと思ってリードして、登れた
 6A Dancing Batterfly をオンサイト
 その後、コニーのリード練習 4から 3本
 午後は、Workshopへ
 その後オスカーとフルメタルジャケット 玉砕

2/7 Davidたちと出かけ、ヘンリーに会う コニーのために5cにロープを2本かける
    Eight Ball 
    Rope Grabler 
    その他 
   夜隣の人が耳栓を探している

2/8 スイスオールディーズへ ひたすらリードの日
   夜うるさい 隣の人が悪夢を見たようだ 
   月がきれい
   スコットに会う
   朝、ガリーと肩のストレッチ
   
2/9 レスト日
   自転車 40.000Kip 
   銀行で両替 3000円分
   インスラーでデイビッドとバッタリ
   マッサージ痛い
   チーズケーキ今年もおいしい コーヒーもおいしい
   自転車に乗るには暑い日
   フランス人の子供が多い日 (女性シャワーに男の子がいてびっくり)
   デイビッドからニンジンケーキ貰う
   夜、また隣の人がシャウト





2/10 ヒルトンへ
    マルチへ 時間が無駄になったなーな日

2/11 ターケークのインスラーに移動 メコン川の夕日を見る
    デイビッドとバッタリ会い夕食 
    朝5時には起きていたのにパスポートを渡してもらい損ね、取りに戻る
    域の売払って、トゥクトゥクに乗り、ホテルへ戻る
    チケットはたったの70THBで去年の75ドルはなんだったのだろうか?
    ホテルの若い人にバイクで送ってもらう
    クレジットカードどれもダメ
    結局、詰め替えて払う
    ノックエア 11:45 → 12:00
    14:00 ドンムアン
    Peterに会い、アマリホテルへ

2/12 深夜00:30 成田へ

海外クライミングのススメ

10年ほど前は、キャリアウーマンみたいなことをしていました。

で、日本では海外駐在のおじさんというのは、アメリカ>イギリス>その他欧米>中国>東南アジア>みたいな序列があり、あくまで日本で出世の階段を駆け上がるための、箔付のための駐在で、駐在先を訪ねていくと、所長は何もしないで、現地採用の部下が実質回している、ということを良く目撃しました。

私が会社訪問をしたのは、日本の駐在支局以外にも、欧米の外資の支所もあったのですが、欧米では、MBAを卒業した若造が一旗揚げる場所となっており、日本の出世の階段とは全く意味が違っていました。日本の場合は、箔付でなかったら、罰ゲームかご褒美です。どっちにしても、あんまり実質的に働かないで、駐在費だけどんともらえるポジション。

そこには日本での出世が一番という、なんとなく封建主義的な、江戸時代みたいなノリがありました。みなが東京を見ていて、それは、世界の経済成長や可能性を目の当たりにしても、意識としては変わらないのです。たぶん、男性は、群れの中での序列がそれほどに重要なのではないかと感じました。

最近、私のクライミングも、戦場がグローバル化してきました。まだ2か国だけですが、思うのは、これは、日本国内だけに視野があるときよりも、選択肢が多く、成長も加速するということです。

一般に日本の感覚では、日本を卒業してから世界、みたいなノリがあると思いますが、その考えは、そうした前時代的な年功序列に代表される考えに根を発しているように思います。

世界が下で、日本が上、っていうのはなく、今の時代は多様性の時代なので、いろいろな国にいろいろな強みがある。むしろ、早い段階から、世界の岩場に行ってもいいのではないか?と思います。

2018/02/28

2度目のラオス

2度目のラオスから、帰ってきた。

去年ラオスに行ったとき、来年は1か月いたい!と思った。その思いは、ラオスだけではなく、韓国のアイスクライミングとセットになって実現した。

ラオスは、どうしても行きたい場所だったが、ビレイヤーがいなかった…。去年の感じから、単独でも行けるとは思っていたが、やはり、安心できる、いつものパートナーがいてくれると心強いため、彼がいることが優先だった。が、相方は、行かないと心を変えた。タイと日本の国際線はいいのだが、タイの国内線移動は、各自がとったほうが、手続きがシンプルだ。というのは、カード決済で金額が判明するのが遅いから。相方は、自分で飛行機を取ることができない、というか、自分で手配しなくてはならないくらいなら、行かない、ということらしかった。一緒にやろうと誘ってみたが、やりたがらなかった。

ということで、一人で行っても、手持ち無沙汰かもしれず…と、11月に予定していたラオス行きが、1月へ遅れ、現地にいる友人との都合も合わせたり、と、今年は3月や4月にずれ込むかもしれない、と考えていたところ、正月に帰省した大阪で、行く人がいるらしい…と小耳にはさみ、それでは、と、リスクを取って、急遽、予定した。

期間は、不本意だったが、去年より短い12日間で、それは、ラオスの帰りに長野でアイスクライミングをしていくように、という相方の誘いがあったからだった。1週間の予定だった。アイスも年に一回くらいはしておかないと、身に着けたスキルが落ちてしまう。なので、快諾した。泊りは相方の家ということで、ありがたかった。

このアイスクライミングは、急遽、同じ日程で韓国行きになった。韓国の人が誘ってくれたらしい。が、急だったので、手配がまごついた。私が最初、飛行機を取ったが、宿泊も同時に取るべきだった…と反省。

あまり詳細を詰めずに行ったので、4日間のうち2日間しか、クライミングに充てることができず、ほかは市内観光をして過ごすことになった。外国だから、それでも面白いから良いが…。

帰国後は、友人に会う予定があり、またモンチュラカップへの出場も考えていたこともあり、2月いっぱいクライミングに充てることに。

虫の予感というか、念のため、寒い家の中に張ろうと、持っていったテントで結局、厳冬期のテント泊縦走もすることになった。

2月というのは、アイスのクライマーにはハイシーズンなのだ。

岩を登るにしても、乾いていて登りやすい。雪も厳冬期で一番厳しい。つまり、やりがいがある。

結局、モンチュラカップは、岩根が宿泊いっぱいで、今年はトレーニング不足も目立ったので、参加しても、参加賞だけだと思っていたところ、友人が城ケ崎でのクラックに招待してくれたため、そちらに変更し、充実した。城ケ崎ではたくさんの友人に再会できてうれしかった。

大阪ー関東は、そう遠くないため、夜行バスで帰り、大阪の自宅へ。大阪の自宅に立ち寄り、正月中に済ませることができなかった、電子レンジを入れる用事を済ませた。

今回は、試しに直行直帰スタイルではなく、世界を股にかけてみた(笑)。

タイ、ラオス、東京、ソウル、長野、山梨、城ケ崎、大阪、池田、と多くの土地を訪ねることができた、面白い旅だった。

ラオスとアイスクライミングの気温差も激しかった。

今回のアイティナラリーをまとめておく。

1/31 出発 関空へフライト 深夜タイ入国 タイ泊
2/1 ラオスへ移動 フライト
2/2 ~ 2/10 グリーンクライマーズホームでクライミング
2/11 移動日 前夜移動でターケーク泊
2/12 移動日 ラオスからタイ、タイから深夜便で成田
2/13 移動日 早朝成田から長野
2/14  湯川アイスクライミング
2/15 韓国移動
2/16、17 韓国アイスクライミング
2/18 レスト日 韓国で友人と会う
2/19 レスト日 韓国アイスクライミングのショッピング
2/20 移動日 早朝 韓国成田 石和泊
2/21 レスト日 八ヶ岳前夜泊
2/22~23 八ヶ岳縦走 城ケ崎泊
2/24、25 城ケ崎クライミング 25夜行バスで大阪移動
2/26、27 レスト日 大阪の用事を済ませる
2/28 早朝便 帰着

宿泊等
Shinkansen to KIX 15000 JPY
rail way 1300JPY

Flight to Thai

Hopper’sGuestHouse  THB 426.70
Green Climber's home 18,1800 Kip
The Inthelar Hotel 30 USD
Amada Hotel short stay 1700THB

Narita to Tokyo 1200 JPY
Tokyo to Nagano 5560 JPY
Onsen 600JPY

Bus 2600 yen 
Bus 1000 yen
Korea flight 20000JPY
taxi 50000 won
Korea hotel 680000 won
Korea hostel 454000 won
Korea Bus 10000 won

Isawa Onsen 1550 JPY
Yatsugatake Sansou 2000JPY
Akadake kousen Tent 1000JPY
dinner 2000JPY

Night bus 7400 JPY
Taxi 2000JPY

train 1150 yen
Flight 7000 yen

ラオスへのフライトは往復で4万円前後だったと思うが控えをもう処分してしまった。



2018/01/28

第二ラウンド



こちらは、馬目さんのヒマラヤ未踏峰初登攀の様子。最後、ボルダーで落ちてる(笑)。なんか、かわいいです。

■ 長者原へ

週末は、ガイド講習でした… アニマルトラッキングとか、冬芽とかすっかり過去の話になっていることを実感。

私は地球環境とか、地球学みたいなのは、とっても興味があったので、だいぶ本も読んだのですが、そういう知識も、きっとお留守になっているよなぁ(笑)。

ここ4年は、山小屋にも泊ることがなく、テント泊か車中泊だし、縦走よりはクライミング、という風になって、山の形態がまったくクライミング寄りになり、内容が変わってきて、山ではなくなってきていたんだよなぁ…

振り返って思う。 山小屋ってホント使わなくなった。とは言え、いろいろと考えると、自然は自然でそこにあるものだし、関心の矛先が一巡して、第二ラウンドに入る、みたいな感じなのかなぁと。

うん、第二ラウンドってことなのだろう。

2017/11/22

昨日は、井原山山頂で出会ったK美さんと、油山に出かけた。油山は、遊具のあるような山でどうってことがない山だが、私は、ほかに用事でもないと、わざわざ出かける気持ちにすらなれない、標高500mほどの小さな山だ。

井原山であったときはK美さんは50代の男性と連れ立っており、その男性はK美さんに山を教えられたそうだった。が、その男性は、あえて彼女を置いてきぼりにするように歩いていたりして、あら、どうしたのかな?と思った。

集合に行くと、K美さんはだいぶ着ぶくれて真ん丸になっていた。着すぎだ、と思って意外だった。山慣れた人が着るものを着すぎていることは少ないからだ。着すぎているのは、たいていは、山を教わらないで独学してきた人だ。独学していると、用心が多くなるからだ。まぁ、歩きだしてから脱げばいいので、黙っておいたが、ずいぶん着ていた。

朝の空気はキリリと冷えて冷たく、快晴の秋の青空をバックに並木の黄色い紅葉がきれいだった。季節の移り変わりを感じることは人間には大事なことなのだ。

油山周辺は、自然学習の公的施設が集まっているようで、最初はゲートが閉まっていたが、慣れた人は、南京錠が閉じていないのを知っているようだった。守衛さんが出てきて開けてはくれたが、南京錠の空いているのを見せてくれた。そういうことだったのか。

山頂まで、お話ししながら、のんびり歩く。K美さんは、先頭を歩きたがらない…のだが、私が先頭を行くと、どうしても距離が自然に離れてしまう。当然だ。私のほうが彼女の娘と言っていいくらいの年齢なのだから。歩調を一緒にするため、「ザックを重くしてくればよかったかな…」とも思うが、してこなかったのは、これ見よがしの体力自慢は、嫌らしいなぁと思うからだ。

K美さんは歩みはしっかりしていたし、自分で歩く場所を選んでいた。本当に依存的な人は、男性でも女性でも、前に歩いた人とぴったり同じ位置に足を置く。

それに、K美さんの知識量はすごい。山を愛しているんだなぁということが分かる。それで、二人でお会いしてお話してみたくなったのだ。山を初めて8年ということだった。

山頂についてお昼にしようかと思うが、まだ早いと言うので、下山する。下の谷あいのところで、ランチとして、コッヘルを出し始める。今日は前回と同じくラーメンを作ってもらうことになっている。「上だとストーブ使うと文句言われるかもしれないから」

なるほど火器を使ってはいけない山だったのか。長い間一般ルートの山をしなくなって、火器を使ってはいけないなど、すっかり忘れていた。日本では、未熟な登山者が増え、火を子供に禁止する親と同じような意味合いで、火器禁止が多い。焚火もほぼ、アルプスと名の付く山では禁止だ。それは火の扱いを知らない人が多いからだ。

私は、日帰りの山では、ほとんどまとまったランチタイムを取らない…のは、たいがい歩いているのは、一人だし、大休憩は、、体が冷えてあんまり快適ではないからだ。今回も、日陰で寒いので、ダウンを着る。

K美さんとテント泊の話をする。テント内でストーブは使えないと思っているそうだ。それは、取扱説明書にはそう書いてあるが、実際は、テントの中で、火器を使わざるを得ないので、だれもそんなことは言わない。彼女は、テント泊縦走したそうにしている…しかし、担げない、という思い込みが強そうだった。歩きもしっかりしているし、山の計画にも抜かりがない。

が、道迷い経験があるそうだ。若い男性登山者について行ったら、道がなかったのだと。それは、自分の判断よりも、他者の判断のほうを上位に見なす、自動思考、という癖だ。
もし、その男性がいなければ、彼女は遭難しなかったのではないかと思った。

なぜ日本の女性は、女性自身の判断よりも、ほかの人についていくほうが正しい、という考えを刷り込まれているのだろう?

私の考えによれば、それは社会規範、というもので、社会規範を山に持ち込むと、よくない。山では、山とだけ対話すべきだ。つまり、山だけを判断の根拠とすべきだ。

年齢や性別だけで、相手がより優れた判断をするとは限らない。それはベテランで合っても同じで、だれだって、思い込み、という刷り込みに多少なりとも侵されているものだ。だから、よりベターな判断をするためには、自分が侵されているかもしれない刷り込みに意識的でいなくてはならない。

男性だったら、女性の前でかっこつけたいという刷り込みは非常に克服するのが難しい刷り込みなのだ。強さを誇示したいという刷り込みも、だ。

K美さんが団を取るためにウエアを着ようとすると、だいぶウエアが汗で濡れているのが見えた…やっぱり着すぎだったんだなぁと思う。

ランチを終え、コーヒーを沸かす。今回は私がデザート担当しますと言ってあった。私はランチはほぼ行動食で済ますが、K美さんの山の楽しみは、ランチだそうだったから。前の同行者の男性のことを尋ねると、山岳会ではないそうだった。それもすごいと思う。彼女の年齢で、10歳も年下の男性登山者をゼロからパートナーにするのは、やり手だなぁ。

その彼は、あまり彼女に親切でなかったので、どうしたのかな、と思っていた。歩くときは、歩みの遅い者に合わせるのが普通だ。が、彼は彼女を置いて行ってしまう。

寒いですね、とK美さんが言うので、「ここは沢だから風の通り道なんですよ」と答える。尾根も吹き曝しで寒いし、沢も風の通り道で寒い。

南アルプスの話をする。仙丈は行きたいのだという。仙丈は、南アが初めての人が行く一発目の山で、それで彼女にとって本州のアルプスが憧れの山なのだと知る。北岳とか行きましたか?と前回も聞かれたから、きょとんとしてしまった。北岳は、地元の人にとっては、日帰りの山だ。だが、特に難所がない、と感じられるのは、それが、一般ルートの山だから、であり、一般ルートの物差しで行くと、そう易しい山でもない。一般ルートの物差しでいうならば、難しいほうに入るだろう、特にもし八本歯を経由するならば。

九州から遠征で行くなら…と聞かれるので、伊那側で入って、北沢峠泊で仙丈ピストンを勧める。頂上山荘はお勧めできないと感じたからだ。彼女はそのまま北岳に縦走と思っていたようだが勧めなかった。9時間のバカ尾根があるからだ。9時間小屋がないというのは、彼女の年齢の人にとってリスクではないだろうかと思う。特に食住を担がない(担げないのであれば)

北岳の泊りで肩の小屋は汚いと言う。肩の小屋のほうが、山ヤ好みの小屋で、昔ながらの小屋なのだけどなぁ… 森本さんという小屋番さんだが、今は息子さんに代替わりしている。K美さんは白根三山の縦走を従っているようだが、テントは担げないと思っているようで、仙丈、白根三山縦走だと、一週間の度になってしまう、