2024/07/01

【クライミング心理学】ナルシストの攻撃&ダメージからの回復 

自己愛性パーソナリティ障害の人に傷つけられた人が回復する方法

1.  無理に忘れようとしない
2. 信頼できる人に話す
3. 相手を理解する

■ 前提

傷の大きさ= かすり傷から、重症まで。
相手の自己愛性PDの深刻度= 誇大性、賛美欲求、共感の欠如、他人の利用と幅が広い

■ 診断

次の9項目のうち5つに該当すると、単なる性格ではなく人格障害となる。

1)自己重要感の誇大性=自分は仲間とは別格であると思う、自分の業績は独特であると言いたい、
2)限りない成功の空想に囚われている、非凡な美しさ・理想的な愛の獲得に囚われている、
3)地位の高い人への同化、特別に才能がある人たちだけが自分と関係がある、そのような人たちだけがあなたを理解する、凡人には理解できないのだと感じる
4)過剰な賛美を求める 褒めてくれないときに傷つく 普通の人は批判されたら傷つく
5)特権意識 人々が意に沿わないとイライラしたり、怒ったりする
6)搾取的 他人に自分の望むことをさせようとする、他人を利用する
7)共感の欠如 他人の気持ちや欲求に気が付かない、自分勝手
8)嫉妬 他人があなたやあなたの人生をうらやんでいると感じる
9)傲慢な行動 恩着せがましい横柄な態度を指摘されたことがある

意外に本人は苦しい。
https://www.youtube.com/watch?v=nES8WadoOpQ より引用

■ クライミングと自己愛性PDの相性の良さ

以下は、クライミング自体がもつ本質がナルシストと相性が良い点です。

クライミングの事実として、いくつも相性が良い点があるため、クライミング界自体の内的な自浄作用が働かないと、クライミング界はナルシストだらけになってしまいます。

1)自己重要性

クライミングのニュースの在り方、クライミング写真の撮り方などが、過剰に自己重要性を強調しており、岩そのものを強調していない。クライマーを映して、岩を映していない。

2)成功幻想
 ・クライミング界自体が終わりのない成長神話に囚われている
 ・非凡な才能、非凡な業績の獲得に囚われている

3)俺を理解できるのは地位の高いクライマーだけだ、という同化

・誰でも入れるわけではない山岳会や、内輪主義がはびこっている
・また実際、登山の価値やクライミングの評価は非常に難しく、かなり歴史的な勉強が必要である。一般登山客は理解力が不足しているため、ポピュリズムに流れる

4)褒めてくれない傷つき体験

・素晴らしい成果を出しても理解されないことが実際には多い。ので成果自体が過激化する。

 例:スーパー赤蜘蛛フリーソロ
※これは傷ついたということではありません、理解されなかった事例

5)特権意識 

・一般登山者でも、登山初心者にウエアがどうだと怒っている人をよく見かける

6)搾取的 

・ドレイヤーが広がっている。つまり、搾取的関係でクライミングをしたがる人が多い

7)共感の欠如

・相手を殺してしまうような行為も登山やクライミングでは自己責任の掛け声のもとに横行しており、ミスした側の責任が問われない

8)嫉妬 

・ルサンチマンがクライミング界の伝統。 男の嫉妬は気持ち悪い。

9)他者が指摘するほどの傲慢な行動 

・グレードを鼻にかける

■ 改善方法

1)過剰な自己重要性を改める在り方

クライミングのニュースの在り方を見直し、多様な価値観を含める。ローカル岩場の清掃などの募集は、全国レベルで報道すれば、各ローカル岩場で清掃が行われている事実が広く共有される。

クライミング写真の撮り方を見直し、個人が特定できない程度の露出にとどめ、ナルシズムを過剰に刺激しないようにする。岩や山そのものを強調する。

2)成功幻想を矯正する

 ・クライミングに限らず、終わりのない成長は存在しないことを理解する
 ・非凡な才能、非凡な業績の獲得などの成果ではなく、プロセスにも注目した報道を行う

3)特権階級への同化を辞めさせる

・内輪主義ではなく、誰でも岩場に歓迎する雰囲気を作る
・遠い1ピン目などで、よそ者を追い返そうという意図をもった課題作りを辞める
・実際、登山の価値やクライミングの評価は非常に難しく、かなり歴史的な勉強が必要であるので、教育をしっかり行う。特にフリークライミングの歴史は戦後史と同じで、全くまとめられておらず、戦後70年の歴史は空白化している。一般登山客は理解力が不足しているため、ポピュリズムに流れるが、現在の報道体制がそれを助長しているので、ポピュリズムを刺激しない。

4)傷つき体験を改める

周囲に理解されなくても、褒められなくても、傷つかない。賞賛を得ることを目的に、登攀の対象を選ばない。自分の満足を起点に、クライミングの対象を選ぶ。

例:開拓 簡単なルートでも自分で開拓したルートは思い入れがあります。

5)特権意識 

登山者だけがアウトドアアクティビティの頂点に立つわけでないことを納得する。マウンテンバイクやトレイルランも重要な山のアクティビティで共存共栄を目指す。

6)搾取的 

ビレイヤーの地位を向上する。クライミング業界がビレイ技術についての解説をきちんと行う。

7)共感の欠如

自己責任は双方向をの掛け声に。ミスした側の責任をきちんと問う。事故の解析をきちんと行い、情報公開を行う。

8)嫉妬 

過剰な賛美=嫉妬。 過剰に賛美する習慣を改める。

9)他者が指摘するほどの傲慢な行動 

・グレードを鼻にかけるのをやめ、グレード一点豪華主義を辞める。

■ 自己愛性PDのあるクライマーの特徴

以下のうち、5点に該当する。

1)自己重要感の誇大性=自分はクライマーとして別格であると思う。
2)限りない成功の空想に囚われている=永遠にグレード向上を求め続ける
3)特権階級意識 = 俺は特別で、一般人には理解されないと思いたいため、なんとか相手に自分を理解させようとする。例:俺一高。俺だって佐藤ユースケ。
4)過剰な賛美= クライミングで間違いを指摘されると怒る カムのミスプレイスを指摘したら、なんでそんなことを言うんだよ!と返事する。
5)特権意識 = 一升瓶で阿弥陀北稜
6)搾取的 = 一升瓶で阿弥陀北稜に行き凍傷3人、〇〇買ってきてと言って買ってこさせる
7)共感の欠如 = リードの無理強い
8)嫉妬 = 私だって英語が話せたら…
9)傲慢な行動 = 自分がリードした後の回収クライミングを後輩に高く売りつける

■ 回復へのステップ

いや~、こういう人に近づいてしまったのは、なぜ父が私たち兄弟3人を捨てたのか?を知りたかったためなのですが…

回復のステップに最近乗り始めました。

1.  無理に忘れようとしない …白亜スラブ あまりにアホすぎて驚いた
2. 信頼できる人に話す … カウンセラーに話しています
3. 相手を理解する … ナルシストがどういう風に出来るか?理解しました。

■ ナルシストを作る子育て…親からの負の遺産

ナルシストって意外なんですが、生まれてから33カ月以前に親から、十分なケアを与えられず、ネグレクトやアビュースを受けたかわいそうな赤ちゃんなのです。

 男の子は外在化して暴力的になる
 女の子は内面化して内気になる

そうです。男の子は暴れて、親の注目を集めようとしてしまう、ということが将来的な残虐事件にもつながる暴力性の源泉。

幼児への虐待などの犯罪者はほとんどが自身も被害者であるのは、事実なのですが、だからと言って、免罪されるとは言えないので、自分が被害者であることを理由に加害を正当化することはできません。

■ 人としての正常な発達課題の充足を軸にクライマーを判断する


https://www.tatsuki.org/DoshishaThesis3/thesis/2016/19131034Miyakado.pdf
より引用。

■ 12歳~ 

クライミングができるのは、大体12歳以上の大人並みの理解力ができてからなので、学童期以降ですが…

この時期の解説しては、こうなります。
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この時期には,自分が誰かの役に立っている・ものをつくり,より良くできる・完全にできるという感覚をもち,仕事を完成させる「生産性」の喜びを身につけることが必要である
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要するに、先生に言われた通りにできるということです。熊本の会長さんが、「3回落ちたら、ハイ交代!」や、「5.9が4本登れたら次」というルールを守らせようとしたことは、学童期の子供への教え方を大人に強いたということになります。

大人は、自分が成長するために、適切な戦略は自分で選べます。

■ 14歳~

中高生は、クライマーとして身体能力が非常に伸びる時期ですが…思春期は、大人や親に与えらえた自我と自分のしたいことを統合することが大事になります。

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思春期には,子どもは親の価値観や生き方を見て,自分の価値観に取り入れたり修正したりするが,親の 価値観や生き方に矛盾が多くあればあるほど,子どもはそれらを自分にうまく取り込めず, 反社会的な行動をすることで親の生き方を批判する場合がある
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例えば、自分を乗り越えることが大事だと親が言いながら、グレードだけを評価したりすると、子供は混乱します。

褒めて育てる子育てはNGです。

クライマーとしては、自分がどんなクライミングをしていきたいか?を決定する時期だと思います。

名誉を求めるクライミングを俺はしたい!と、心から思っても、もちろん、良いのですが、頭が悪いと名誉でないことを名誉だと勘違いしてしてしまうことも起こります。

たぶん、クライマー的にはこの時期の発達課題で、

 クライマーとして、どんな生き方をしたいか?

の決定に困っているクライマーが多いと思います。

私は、ラオスに一回目に行ったとき、日本のクライミングスタイルを捨て、海外の仲間と和気あいあいと登るスタイルを取り入れたいと思いました。クライミングは国際言語っていうクライミングスタイルです。

なので、正直、ネパールなどの高所登山や5000~6000mでのミックス・マルチピッチクライミングなどの挑戦は、まぁ当然ですが、私とはカンケー無いので、後回しと言うか…記録などを勉強する気にも全くなれませんでした。

それより、楽しく登れる海外岩場を日本のクライマーに紹介するほうが、価値があるというか… もうわざわざ連れて行ってあげるツアーを組んであげてもいいくらいです。当方、仕事では、アテンド経験があるので、随行やツアー企画は慣れています。

話がそれました。もとに戻します。

■ 成人初期期、18歳~

20代の若いクライマーは非常に多いです。
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初期成人期では,友人やパートナーとの出会いが発達において重要になる.自分のこと を愛してくれる重要な他者を見つけ,魅力や愛情を注ぎ,注がれることで親密な関係や相 互的な関係を築くことで,「親密性」を獲得することができる.
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デートを目的にしたクライミングが多い理由かもしれません(笑)。みなさん、クライマー同士での結婚が多いです。

■ 一般成人期 30代~

一般成人期は、
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次世代を育てていくことに対して興味を持つことである.また, 結婚して子どもを育てることが生殖性を獲得する唯一の方法ではなく,自分の特別な才能 を活かした芸術や知識などを社会に与えることも方法の 1 つとしている
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ここに90%のクライマーが位置すると思います。

私なら英語能力、誰とでもすぐ友達になれる能力を生かして、海外クライマーと登るのは、クライミング界への貢献活動です。

■ 50代~ 人生後半に入ったクライマーの在り方

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成熟期の発達課題である完全性とは,「自分の人生は自分自身の責任であるという事実を
受け容れること」(エリクソン 1958=1987: 123)と定義している.
つまり,自分自身がこれまでに作り上げたライフサイクルを評価し直すことで,自分の人生を肯定的に受け入れることだと言える.しかし,成熟期に完全性を獲得できない・欠如したままでいると,自分の人生に後悔や挫折感を持ち,自分の人生を受け入れられない
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自分のクライマーとしての限界も含め、自分のクライミング人生を良し、と納得する態度が必要です。

いつまでも初心者クライマーと自分を比べることで自分を持ち上げようとしていると、必要な納得を獲得できないかもしれません。

最近、高齢のクライマーの投稿で、自分のクライミング人生について語ったものを読みました。

沢やさんでしたが、良いクライミング人生とはなんだろうか?と不思議な思いに囚われました。

素晴らしい業績を残された方だったからです。

そうした人でも苦悩するということは、クライマー界は意外にカウンセラーニーズが高く、私の高い共感性が、話し相手として、そうした心の傷を持った年配のクライマーの聞き役として最適だった、ということが言えるかもしれません。

普通の人は、聞くことがないようなクライミングや人生での挫折や心の傷などを聞かされたことは一回や2回ではなく、私は、焚火を見ながらの山の談話はカウンセリングルームみたいだな~と感じていました。無償のカウンセリングです。

■ 自分自身に誠実な生き方をしましょう

自分自身が楽しい!と思える山だけをすることは、意外に難しいのかもしれませんね。

山をお金に変えたいという思いや、名誉や賞賛が欲しいという思いにとらわれると、したくないことをしないといけない羽目に…。

皆さん、気を付けましょう☆