2025/12/02

九州クライミングに不足しているもの…講習会。回想録26

さて、続きを書きますね~

ずばり九州クライミングに不足しているもの。それは、以下のような講習会を行う、まともな団体です。

1)ロープワーク基礎講習会

ー強固な支点に結ぶ、身体に結ぶ、ロープを連結する、固定ロープを張る等ー

​2)岩登り&懸垂下降講習会

ー登山靴での岩登り、懸垂下降ー

​3)読図&ナビゲーション講習会

ー地形図やスマホアプリでの読図と目視でのルートの選定ー

4)ファーストエイド講習会

ー救急医から学ぶファーストエイド、山岳レスキュー隊員から学ぶ通報や避難ー

​5)危急時対策講習会

ー登山中のリスクマネジメント、焚火、危急時対応各種、生き残るため必要な事を学びます

6)山岳救助講習会

ー1泊2日、山岳救助理論、引上げ、吊り降ろし、チロリアン、搬送

ちなみに、山岳総合センターでは、焚火は習いませんでした。大体の山で焚火禁止ですけど、ほんとに困ったら焚火するんですかね?

危急時講習は、2度あり雪上訓練とセットで七倉岳のと、沢泊の七倉沢です。雪上訓練のとき、ビバーク訓練なのに、シュラフなしで寝たのは私だけだったという…。私は、いまこそやっておかないでいつやるんだ?と思ったんですけどね。

沢泊で、大雨の中やったので、講習自体が危急時だった(汗)、という思い出があり、私はツエルトで寝ていたのですが、低いところに張ってしまったので、浸水してきてしまい、となりのクライマーに、「浸水してきちゃった、どうしよう」と声を掛けたら、「先生たちのテントへ行き~」と言われ、素直に先生たちのテントに行って、(タープだが)、端っこに無理くり入って寝ました。おかげであったかく寝れた。

朝起きると、沢は荒れ狂っており、水は茶色でした…。ところが私のツエルトは、ぐったりとへちゃげてしまっており、その凹んだところにたっぷりのきれいな雨水がたまって、皆に感謝されたというおまけがつきました。

でかした!きれいな水!みたいな(笑)。

■トイレ講習

私はなにも教わらないで山に来る、ボルダラ―と一般クライマー向けに、ぜひとも開催したほうが良いのは、山の常識、キジうち法だと思います。お花畑は大丈夫ですよね?みなさん?

トイレを野外で適切に行うことができないクライマーが多いのは、山から入らず、クライミングジムから入るからであると思いますが、なら教えたらいいんではないでしょうかね?

岩場がある下界の山、つまり、森林限界上の山ではないのですから、外トイレしてもすぐ分解されます。でも、埋めないといけないし、ティッシュは使わないですよ。使ったら持って帰る。ちゃんと踏んでも運が付かないくらい、深いところに排泄物は埋めます。

沢からは10m以上離れる。登山道はあんまり離れると落ちますので、場所選びがむずかしいのが屋外トイレの技。

そういうことも基礎教育されないで、岩場に来ているので、そこが謎でした。

岩場には登山靴で拓かれた岩場とクライミングシューズで開かれた岩場があるのも区別されていないし…

ともかく、1980年代から、合理的と思えるクライミング教育や登山教育のアップデートが一切行われていないんじゃないか?と思えるのが、私の九州での経験でした

■先生たちが角突き合わせて相談

長野の山岳総合センターでは、どういう教え方が現代に必要か?ということから、先生たちが角突き合わせて相談して決めていました。

一例として懸垂下降にバックアップをつけるべきかどうかについては、結論が出なかったそうです。

班は、10班に分かれていましたが、私の班の男性たちは私より弱かったです。

私が17㎏、男性1が18㎏、2が19㎏、3が20kgを担いで、最も雪上歩行が早かったのが私で、リーダーの先生について歩けたのは私だけでした。それで、私だけ踏み痕を外してラッセルすることになりました。私のラッセル力は普通です。

昨日は水泳で、ある日突然うまくなるブレークスルーが起きて、いきなりクロールの上達を感じましたが、無雪期の歩行も、雪上歩行も同じで、積み重ねているうちに突然上手になります。

そういうのは、山や歩きの習得で、九州でもできると思うんですが、宝満山で2往復、3往復している人を含め、山や歩きができている人を見たことがない…

余談ですが、相方だったアラーキーも、”山や歩き”は、できていないクライマーでした。できていないというか興味がないか、歩きを習得する必要がなかったんではないかと思います。でも彼とは一緒に山にはいかないので、問題なかったというか。フリークライミングに必要なのは、歩きではないので。そこまで相手に求めないですよね。

例えば、明神主稜とかは別の人と行っています。男性と歩きを同じペースにするのは、身長の低い私には結構大変です。しかも山だとザック付きだし。

九州では、山では汗をかかないように山は歩くもんだ、みたいなのは、一切無意味化しているような気がしました。

まぁ、あったかい南国なんですから、雨でぬれてもすぐ乾いちゃうし、北アや南アの山の常識と九州の山の常識が違っても、いいんじゃないでしょうかね?

年中沢登りができるお国柄として重宝すれば。

そういえば、私の班を担当してくれた村上先生は、屋久島に行くなら3月!と言っていましたっけ。屋久島にぜんぜん興味がなくなりましたけどねぇ…パタゴニアの屋久島の動画見て以来。寒い北アからすると南国の山は憧れの地だったけど。もののけ姫みたいなのは、コマーシャリズムで作られているんだなぁと思いました。

私が九州で選んだ山で、我ながらいい線言ってるよなぁと思ったのは、行縢です。

山野井さんの記録も見つけたし、若き日の奥村さんがいかにすごかったのかもわかった。A5とか書いてありました。ひえーです。A5だよ?


あ、話がそれましたが、現代的なフリークライミングの能力を持って、日本登山大系『九州の山』をアップデートしていけばいいだけなんじゃないですかね?九州でアルパインクライミングをしたい若い人は…。

誰かが根子岳に行くのは、他にアルパインクライミングを学ぶ場所がないからだと言っていましたが、いっぱいあるように登山大系からはうかがえますが。

どうも昔の人は、5.9より上は全部ⅥとかV+って書いていたみたいなので、実際は5.11なのか、5.12なのか、まじりあっているようなので、行ってきて、現代バージョンにバージョンアップして、体感○○でした、みたいな報告でも、十分、他のクライマーの知的好奇心を刺激しそうだと思うけどなぁ。そうしたら、10年くらいあっという間に立ちそうですけどね。

昔はグレードの区分が、今ほどしっかりしていなかったそうなのです。

その方が、5.12波状攻撃で若い時期の体力満点な頃を無駄に過ごすより、いいと思うけどなぁ。

まぁ、それには上記のリストのような講習会による知識は絶対的に必要なので、それが呈されていないとなると、いくら若くても、20mの壁を行ったり来たりするだけになってしまう…のは分からないでもないです。

無理して北ア遠征して冬山合宿しないでも、普通にエンドウォールでクライミング力を鍛え、鍛えたクライミング力で、山野井さんや奥村さんのエイド記録をフリーに塗り替えるよう努力したらいいんじゃないでしょうかね?

現実的には、20mどころか、ボルダーで5mを行ったり、来たりすることになってしまっており、まぁ私はボルダーにはボルダーの価値があるとは思いますが、当然ながら、それはアルパインクライミングの価値とは違うわけなんで、九州はアルパインクライミングの僻地であるというのは的を得ていると思います。

ボルダーするのが九州では一番安全というか、進化しているのはボルダーだと思います。
レベルが急騰しているという意味で。

それは九州クライマーのおかげというよりは、小山田大さんの力によるところではないかと思いますが。

ボルダーはボルダー、アルパインはアルパイン、フリークライミングのショートの岩場での成果と、同じフリークライミングでも、マルチピッチやロッククライミングのフリークライミングの成果は違う、ということが、全然区別されていない、で、グレード一点豪華主義なのが、文化的貧困ってことに帰結しそうですが。

まぁ記録を追いかける山というのは、普通の市民クライマーには関係のない話なので、ここまでにしておきます。

要するに九州で山や育成のボトルネックは、基礎教育の欠如にありますよーということが言いたかっただけです、はい。

私が若くてぴちぴちの男性アルパインクライマー候補生だったら…大阪の講習、全部受けまくるけどなぁ。大阪なら、夜行バス4200円ですし。

講習会なんて必要経費だと思うけど。ちなみにアラーキーは受けていなそうだったんですが(詳しくは知らない)、ゲレンデしか一緒に行かないとしたら、そこまで相手に要求したらかわいそうですよね。

山に一緒に行く人と共有しなくてはならない知識とゲレンデ仲間では全然違います。