2025/12/31

自分との体格差(リスクの差)を想像できる知性があるか」をあぶり出すためのヒアリングシート案

 相手の「誠実さ」や「技術」だけでなく、「自分との体格差(リスクの差)を想像できる知性があるか」をあぶり出すためのヒアリングシート案です。

これらを事前に(あるいは岩場に向かう車中で)カジュアルに投げかけることで、致命的な事故につながるパートナーシップを回避できます。


【クライミング・パートナー選定】リスク解像度チェックシート

1. コミュニケーションの「安全性」を確認する

いきなり技術的な話をする前に、相手が自分の意見を尊重するかをテストします。

  • 質問: 「今日、もし私が『このルート、怖くて取り付きたくない』と言ったらどうしますか?」

    • 危険: 「それくらい大丈夫だよ」「もったいないよ」と説得・否定してくる。

    • 安全: 「了解、別のルートにしよう」「何が不安か教えて」と柔軟にプランBを考えられる。

2. リスクの「因数分解能力」を確認する

「状況次第」で片付けないか、具体的なリスク管理の基準を聞き出します。

  • 質問: 「リードで取り付くとき、落ちてもいい(フォール練習も含め)と判断する基準は何ですか?」

    • 危険: 「気合」「慣れ」「落ちないつもりで登る」といった精神論。

    • 安全: 「ボルトの信頼性」「ランナウトの距離」「墜落時のテラスの有無」など具体的要素を挙げる。

3. 「体格差によるリスクの非対称性」への理解を確認する

ここがKinnyさんにとって最も重要な、「想像力の境界線」を探るステップです。

  • 質問: 「私の身長(150cm未満)だと、あの核心部でボルトに手が届かない可能性があるんですが、その場合のリスクについてどう思いますか?」

    • 危険: 「足で稼げばいけるよ」「みんな登ってるから大丈夫」と、身体的差異を根性論で埋めようとする。

    • 安全: 「確かにクリップ位置が高くなるね」「プリクリップするか、別のラインを探るべきだね」と、リスクが増大している事実を認める。

4. 万が一の「被害想定」の具体性を確認する

  • 質問: 「もしここで私が墜落したら、どこまで落ちて、どこに体が当たると思いますか?」

    • 危険: 「いや、落ちないでしょ(笑)」と笑って流す。

    • 安全: 「ロープの伸びを考えてここまで落ちる」「ビレイヤーが少し浮くからこの岩に当たるかも」と、物理的なシミュレーションができる。


パートナーを見極める「判定基準」

判定相手の反応取るべき行動
信頼(安全)リスクを細分化して話し合い、プラン変更を厭わない。積極的に対話を進め、安全なクライミングを楽しむ。
保留(要観察)悪気はないが想像力が足りない。教えれば理解する。自分のリスク(リーチ不足など)を数値や事実で伝え続ける。
危険(ならず者)自分の価値観を押し付け、こちらの不安を「弱さ」と見なす。即、ペアを解消する。(その場では登らず、撤退する勇気を持つ)


みんな根性論に陥っていることに自覚がないですよね。