さて、続きを書きますね。
たぶん、クライミング界で誤解されている神話の一つに、
開拓者は無条件ですごい、無条件でエライ、があると思います。
開拓者はオンサイトしていないよ、というのは、開拓者の米澤さんの弁です。
そう、試登するから、オンサイトはできないのです。
じゃグランドアップは?グランドアップ時代って、エイドで登っていたんですよね?じゃ、オンサイトっていうのですかね?エイドで。
グランドアップと言っても、リングボルトとハーケンの時代から、登山靴で登っていた時代までいろいろありそうですけど。
登山靴×ハーケンで登るのが、いわゆる本チャンといわれる、山岳地帯でのルートで、北岳のバットレス四尾根とか前穂北尾根とか、ルートの基部に行くだけで普通の人の一日分の登山、6時間くらいかかります。
前補北尾根はグランドアップと思うけど、俺のハーケンが泣くぜーの世界で、そのハーケンって、うっかり打ち込みすぎて取れなくなったの以外は、普通はセカンドが回収するんですよ。残置の理由は、”取ろうとしたけど、取れないから”。
こういう前穂北尾根みたいなのに行くのに、練習する場として発展したのが、三つ峠でしたが、三つ峠は登山靴で拓かれた岩場だったので、4級で易しかったです。それでも中央カンテ以外は、私はリードに自信がつくまで1年くらいかかりました。IW田さん、元気かなぁ。
小川山で登りこんで三つ峠が怖くなくなりやっと登れました。彼のおかげです。
で、小川山は、全然難しいでしょう。完全にクライミングシューズで開拓したルート。
一応マルチもいっぱいあるけど、基本クライミングシューズのルートだと思う。太刀岡はクライミングシューズの山だそうです。
甲府幕岩などもそうでしょう。要するに、登山のクライミングか、フリークライミングのクライミングなのか?は、開拓されるのに、登山靴で開拓されたか?クライミングシューズで名のか?が違うのだと思いますが。
そういえば、甲府幕岩にクライミングシューズなしで行って5.9もまともに登れない人いたなぁ。登山靴で、フリークライミングのルートを行くのは無理だろうと。
比叡のスラブだったら、ソールの柔らかいアプローチシューズならいけるのかもしれませんが、それだと、50m1ピンにしたいと思わないだろうと思います。3級でも。
ということは比叡もクライミングシューズで拓かれたんでしょうね。だから、めんどくさいから、3級は50m1ピン。4級は2ピン、5級は3ピン。だそうで、距離でしか考えていなく、まったくムーブは度外視。
たぶん、きちんと設計されたフリークライミングのルートでは、ガバをとったら、プロテクションを入れるチャンスなのですかさず、1ピン淹れると思います。というか、プロテクションを取るには、ボルトルートであっても、片手で保持できている必要があり、そうなると、ムーブ的に両手が必要なムーブの連続中は入れれない。片手ですむムーブのところに入れます。
私は腕力が少ないので、男子なら片手のところを両手が必要なことがあり、そうすると、クリップチャンスが来ても、片手になれないので、クリップできない、ってことになります。米澤さんの、見晴らし岩での10.Aがそのような課題で、腕力の都合でクリップ飛ばしてリードしました。いや、あれは危なかった。
トップロープなら、こういう人でも安全です。男子はトップロープからいきなりリードに入りますが、トップロープで登れても、リードで安全かというと、以上のような事情でそうでもないです。
普通は、開拓というか、自分のルートを一本設計することで、こうしたことが分かるようになります。私はアイスのリードでわかるようになりましたが、男性にとっては、アイスクライミングはリードの負担がそこまで感じないらしく、全然わかるようにならななかったみたいでした。
米澤さんの課題は、5.12から、ボルト間隔が非常に狭くなっていました。つまり、その課題で、米澤さんはアップアップで、アップアップの課題に5.12を与えているのだということです。そのよう課題でのボルト間隔が適正間隔です。
5.9がギリチョンだという人には、5.12がギリチョンだという人と同じボルト間隔にしないと、公平ではなくなります。
で、5.12くらいのギリギリになってくると、超ボルト同士が近いのでプリクリ棒を出さなくても、Aゼロや、A1で、次のボルトにプリクリップできるんですよ(笑)。
ようするに、勇気って、他人に要求するもので、自分に要求するものではないみたいなんですよね(笑)。
易しい比叡みたいなルートで大ランナウトなのは、勇気の証というよりは、ボルト打つより、登ったほうが楽だったという怠惰の証であっただけのようですし…、日向神はエイドで開拓、四阿屋だってラッペルで開拓。
なら、いったいどこの岩場がグランドアップ開拓で、開拓者の苦労をしのべ!と他人様に強制できるような、高い倫理観で拓かれた岩場なんでしょう???
みたことないよな。って思いますけど。知っている人いたら教えてください。
この昔の開拓者はえらかったんだぞぉっていうのは、神話のほうが独り歩きして、現代のラッペルしかしていない開拓者に、実際以上の名誉を与えていると思います。
現代の、っていっても、ここ30年くらいの現代ですから。すくなくとも、故・吉田さんは、ロープにぶら下がって試登していましたからね。
クラックなら、カムエイドで岩を傷めずに登れるし、ピンクポイントにセットして、ピンクでの初登は可能ですけど、オンサイトとは言わない。だから、初登でもオンサイトとは言えない。
オンサイトは、第二登以降の人へのプレゼントなのかもしれません。せっかくのプレゼントを、最近の人は、ウェブザべとか言って台無しにしているようですが…もったいないねーって感じです。
ムーブが分からないのに、ボルトで守られているから、オンサイトで挑める、保険付き、っていうのが、楽しみの源なのに。
私の考えでは、上記の昔の開拓者は大変だったんだぞぉという神話を流布している人は、自分が開拓に携わったことがない人ですね。
ホントにグランドアップ開拓で拓かれた岩場って、マジ、どこにあるんですか?
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