さて、続きを書きます。
アキさんは山の会出身です。ヒマラヤに行くと言って、燃えているおじちゃんたちがトレーニングの山をするのに、ごまめでついていってクライミングを覚えたと言っていました。
また、国体選手に選ばれて、人工壁もそれなりのトレーニングを受けたそうです。
私のように自腹で足で稼いできたクライマーとは違いますよね。で、このへき地化した九州クライミング、というか、福岡クライミングですが、を救うべき立場にあるのは、アキさんでしょうってのが、私の目から見た合理性でした。
なので、アキさんのクライミングスタイルについて問い合わせが来た時は、ポジティブな返事をしておきました。アキさんのビレイは良いし、危険なのは山の会からハンドダウンされたと思しきリスク志向性だけでした。
■よそ者の役目
そもそも論ですが、私は、転勤についてきて偶然、福岡にいるだけなので、福岡に根を下ろして、ココに一生いるつもりで生活しているわけじゃないんです。
まぁ、昔から、
よそ者、邪魔者、変わり者、が変化をもたらす
といいますから、私の役目としては、正しい行動をとったと思うんですよね。
それに正しく反応してくれたのが樋口先生で、それに応答してくれたのがフリークライミングインストラクター協会の奥村会長で、奥村さんの講習会に来てくれた九州のクライマーたちには、正しいクライミングの種がまかれたということだと思います。
アキさんは、奥村さん率いるフリークライミングインストラクター協会の公認インストラクターになったと思いますが、まさに適任ではないでしょうかね?
今後セーフクライミングを九州に広めるのに頑張ってほしいです。
■クライミング能力はリスク管理能力ではない
フリークライミングインストラクターの資格の要件である、5.12×5本のオンサイトという要件って、スティーブ・ロングさんいわく、フランスの物まねで、フランスではすでに反省が出ているそうなのです。
奥村さんや優君が直接、UIAAのスティーブと話をして、何がクライミングインストラクターとしての合格にふさわしい能力なのか?話し合ったらどうなんですかね?
これは、日本の次世代クライミングの在り方を決める重要な方向性のような気がしますから、ちゃんと詳しい人同士が話を詰めたほうがいいような気がします。
ユージさんのほうが適任なのかな?その辺は私は分かりませんが。スティーブさんは誰に対してもオープンだと思いますよ。
そもそも、クライミングインストラクターの質をフランス方式の「高難度のオンサイト数」で質を担保しようとする仕組みは、原理的に限界が既に見えている。
なぜかというと:
● 技術・安全管理・指導力 と
● 自分のクライミング能力(難度)
は必ずしも一致しないからです。
難度はあくまで「運動スキル」であって、インストラクターの本質である
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危険予知
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リスク評価
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トラブル時の対処
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教える技術
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集団行動の管理
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ロープワークの精度
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メンタルの落ち着き、人格
はお留守であることが多いです。5.12なんて昨今、高校生なら一発で登れるんですよ?
私が事例になっている。高い登攀能力はありませんが(当然でしょ)、リスクにはうるさいです(当然でしょ、遊びで死にたくないです)。
私の師匠だった青木敬一も同じで、高いグレードは登りませんでしたが、セーフクライマーでした。
■ゲレンデフリークライミングはアルパインクライマーの老後の遊び
なんせ、私みたいな、雪→アイス→フリークライミングと進化した人にとっては、体力的にアルパインクライミングは、もう定年退職したい。
アルパインリタイヤ後は、安全安心な(はずの)フリーのゲレンデで、のんびり岩を楽しみたい。
そのようなクライマーにとって、どうクライミングを指導していくべきかっていう議題は、関係がないはずというか…。それって、相手違いなんじゃないのかなって?
わたしなんて、43歳でスタートしたクライマーなんで、そんな人(基本、ごまめでしょ)にまで、フリークライミングの未来を担う役目や負担をお願いするんですか?ってことになっちゃいますよね?
もちろん、大人で言語化可能な新人として、ココがおかしいよ、あそこがおかしいよ、これが分かりにくいよ、あれが分かりにくいよって指摘する役割は十分果たしているっていうか…
もう十分役目は果たしているような気がするしなぁ。
アルパイン出身の人から見たら、ボルトがプリフィックスされていてトップロープが張れる岩場で登ったり下りたりするのは、ちょうど良い気分転換で、筋トレになっていいな程度の活動なんですよね。
なんなら、ボルトなんて、いらないくらいで、懸垂の支点は立木で取れます。
まぁこの立木支点が、ボルトより危険説もありますが、その比較対象のボルトはカットアンカーではないかもしれません。
岩の上に生えている立木は根が張っておらず(当然ですよね)、あんまり信用すると危険です。ので、懸垂支点にするには、バックアップを必ず取ります。アルパインの掟ですね。
■屋久島フリーウェイ
そういえば、前述のクマちゃんは、屋久島で、支点1点で降りるようなことを強要され、ひえー、となったのだそうです。
鈴木清高師匠の教えですが、このような場合、重たい人が先におります。バックアップを取って、重たい人が下りて大丈夫なら、次に降りる人はバックアップを解除して次に降りても、たぶん大丈夫という可能性が高まっているという寸法です。
重たい人が先に降りる
→ 荷重テストになる
→ 次の人の安全性が確認される
懸垂下降では失敗が許されないので、途中停止やカラビナでの懸垂、足からみみたいなのも含め、たとえ確保器自体がなくても懸垂下降ができるようにしておくのが大事です。バックアップをプルージックで取る方法をも知っておかないとだめですよ。念のため。
- プルージックでバックアップ
- 確保器が無くても懸垂できる
- カラビナ懸垂
- 足絡み
- 途中停止の知識
そういうのは、なぜか教えてくれないフリークライミング族。なんでなんでしょうね?
■メンターシップ
いつも思うのですが、男性クライマーとベテランクライマーを一対一でリンクしたらどうですかね?
師弟制度のマッチング。
というのは、『メルー』と言う映画に描かれていた師弟関係が素晴らしく、師弟の弟子である方が、どういう風に師匠から、クライミングの課題を受け継いでいくかということが、非常によくわかる感じだったからです。ジミー・チンとコンラッド・アンカーの師弟関係が描かれています。
福岡のクライミングジム店長系の男子なんて、私に師匠役を頼ってくるという、なよっちさ。付き合ってられません。
それこそ、はぁ?女子に頼るんかい?しかも、これって、頼られて付き合っても、ポイされる系ですよね。捨てられるって、付き合う前からわかる系。恋愛に例えれば。
私の側からしたら、おとといおいでって感じです。
そういえば、御坂山岳会にいるときに正月の宴会で「で、お前。どんな奴(男)がいいんだ?」と重鎮に聞かれましたが、その時は「私より強い人(はあと)」とテキトーに答えましたが、自分よりリスク感知能力がしっかりしている人がいいです。
今までがトンデモな人ばかりなので、もう疲れた(笑)。
此方は私の今日のNOTEです。
https://note.com/kinny2021/n/na722204c00de?app_launch=false
■海外に事例を求めてみた
他に海外の人ではこの方は非常に良い活動されていると思います。
https://youtu.be/lEl6gSCX5f0?si=mowSOQks7f0xxxJf
Marcus Garciaさん。
https://www.youtube.com/@MarcusGarciaclimber
です。
この動画はとてもメンターシップが素晴らしいです。こういう人に教わりたい!