■ 言葉を与えないと概念が理解されない
新しい概念には、名前を与えないと人間は認識できないのです。
■ 既存ルートボケ
今の日本クライミング界を表現するのに、アルパインクライミングでは、
”既存ルートボケ”
が適していると思います。
ボルトはきのこのように岩に生えている、と思っており、何年たっても、そこにあれば使うという発想が、既存ルートボケです。残置を使ってはいけないというのは、現代では岩講習の初日に言われることです。
しかも、残置することが当然、と考えている。
道があるところしか歩かないから、道しか歩けなくなっている状態…。
未踏の山には、残置は当然ありません。
■ 人工壁ボケ
で、フリークライミングの世界で起きていることは、
人工壁ボケ
ボルトは、人工壁のように強固で、落ちても安全だという錯覚=ボケです。
40年前の外岩のボルトを人工壁と同じように信頼して登る人がありますか。
ダメです。
信頼できないボルトで登るなら、登り方自体を工夫しないといけません。
もちろん、無防備な墜落は不可です。
ついでに言えば、”人工壁ボケ”は、
グレードが客観的指標であり、ある5.10cが登れたら、俺は10cが登れるんだと思ってしまうこと
です。
5.12が人工壁で登れても、外岩の5.10cで2時間半かかっています。
それは、
人工壁のグレードは、客観指標
外岩のグレードは、主観指標
だからです。登った人の好きにグレードをつけてよく、本当は5.12なのに、5.10cとつけてもいいし、逆に5.10cなのに、5.12つけてもいい、ということです。
■ リーチ
人工壁でも明らかですが、手が届かなければ、グレードは全く意味がありません。
クリッピングポイントで、ボルトに手が届かなければ、そのクリップは安全ではなく、当然リスク…たぐり落ちという最も危険な落ち方…は、大きくなります。
グレードを決定しているホールドの位置関係だけでなく、ボルト配置、ボルトとボルトの距離が遠いということは、背の低いクライマーにとってより危険という意味です。
なんで何年も登っていて、それが分からないのかなぁ。
小川山でトムと一緒…を触った初日で私には分かりましたけど…。
男性はなぜか分からないようですが、ヘイゼルがちゃんと語っていますよ?世界のトップクライマーです。