2024/05/09

【リスク中心思考を身に着ける】セッション解説 沢

NHKスペシャル] 4K 世界初!深さ200メートル以上の谷をロープ1本で命がけの垂直降下 | ヒマラヤ“悪魔の谷”~人跡未踏の秘境に挑む~ ...

沢もいろいろ技術がありますが、男子は見て盗め!ということで、言語化されて教わっていない上、見せてもらっても、盗めないのです…

というわけで解説します。

■ スタートの懸垂下降は、これは、繰り出し法です

懸垂下降するには方法がいくつかあります。

1)両方まとめて投げる
2)繰り出す

ブッシュが出ていたりしたら、投げるのは無しです。理由まで言わないと、想像力がない人は分からないか…(ため息) 当然、ブッシュに引っ掛かるからですよ。

ブッシュに引っ掛かって解かないといけなくなったことがある人は分かるはず。

末端は、結ぶのが教科書通りです。すっぽ抜け事故は、メインの過失事故です。一流以外の人は、全員結んでください。

繰り出し法は、セカンドが繰り出してあげます。難点は落石を巻き込みがちなことです。しかし、ロープの流れを丁寧に作れます。

■ 懸垂下降のセット

しかし、大西さん、バックアップついてんのかなぁ…見えない。たぶん、登り返す場合に備えて、グリグリなんではないかと思うのですが…。

セカンドの田中さんの懸垂は、エイト環のみでバックアップがない。たぶん、セカンドなので、下でコントロールできるからでしょう。下で、ロープを引っ張れば、セカンドは止まります。

慣れている人なら、途中停止は足に巻けば、できます。途中停止の方法も複数を知っていることが大事です。

■ 懸垂にはスタティック 

あと、このロープはスタティックです。

クライミングにはダイナミックロープしか使いませんが、これはキャニオニングなので…下るだけのつもりなのかなぁ…

降りてみて足りなかったので、別の日に、再度長いロープで戻ってきています。この判断は重要ですね。ロープが足りない場合、途中でつぎ足したくなりますが…懸垂で途中つぎ足したノットをまたぐのは…かなり面倒。できないことはないですが、空中懸垂でやるのはいやだなぁ…。

一般人のキャニオニングは、山梨なら、ほら貝のゴルジュです。あれ、めちゃ楽しかった、また行きたい!

■ 沢にボルト… 一番悪環境じゃん?

九州の人はリスク認知が全くできておらず、祝子川本谷に2名で、つまり、私と相方だけで誘われたので、さすがに危険だろうと思って、ある会を率いる会長に、判断を仰いでみたら…

「ボルトが打たれていてスポーツクライミングみたいなルートだよ」

ということでした・・・全く見当はずれです。

まずもって、2名で沢というのが、超・一流だけが許される形式です。私はベテランとしか2名での沢をやったことはありません。アラーキーはベテランどころか、その反対で、こっちが面倒見てやらないといけない対象なので、無理です。あと二人、だれかいたらいけるかもしれません。リスクがある山や沢は、最低4名です。リスクには相手も含まれます。

年中水がかかっているところに、ボルト打ったら、そのボルトを信用することはできないのが当然ですよね? 正解は、「ロシアンルーレットみたいなルート」です。

沢では、確保器も、外岩でのビレイとは話が違います。エイト環使いこなしてくれないと困ります。

ゴルジュにつかまったとき、流してくれないと溺れ死んでしまいます。そういうのが分かっていない人と行くと?まぁ、殺されますよね。

さらに言えば、徒しょうでは、私は軽いので流されやすく、チロリアン(斜張り)が必要なことがあります。

チロリアンって、やったことないです!ってクライマー男子が10人いたら、10人の世界なんですよ。

山岳総合センターでは、最初のころに教わります。ツエルト張るときに使えますよ。

ユースケさんの無人島探検でも、出ていました。チロリアンなんて、俺、要らないからやらない、という発想の人がほとんどなんです。

そういう人は、ジムと外岩ゲレンデ程度にしておくことです。ゲレンデで5.12が登れたとしても、男子が言っている、5.12って、何時間もうんうん唸ってハングドッグしての結果ですし、グレードは、彼がチロリアンを張れるとか、エイト環が使えるとか、リスク管理ができるという証明には全くなりません。

会を率いている、という実績?も、リスク管理ができている、という確証には全くなりません。

その人の言動から、推し量ると、やはり、人の命に責任を持つ立場、というのは避けたほうがよろしいのでは?と思える発言内容です。

■ ヒマラヤの”沢”?

いや~、ヒマラヤももう、ピークは登りつくしてしまって、もうめぼしいのはないって意味でしょうね…

こないだユースケさんとトシゾーさんも行っていましたよね、ヒマラヤの沢。

そりゃ峰が高ければ、渓谷も深いよなぁ。

コロナが開ければ、クロスケオテ谷なんて誰も見向きもしない…(笑)。エイドで初登なんて、現代では、誇りとなるより、むしろ、え?って記録だと私は思いましたが、コロナで国内で何か…ないかとなると残っているところがホントにない…ってことなんですよね。

しかし、エイドでは…。

本来フリーの時代になって、もう何十年もたっているのに…。

どういうスタイルが良いのか?ユースケさんの無人島の記録を参考にしてはどうでしょうか。

そういう意味でアップしてくれたんだと思うよ?

■ 心理学的欠落 … 男子が視野狭窄に陥る理由

人は、注意を向けたところ以外は、気が付かなくなる、という心理学の法則があります。


なので、いかに俺をPRするか、という視点しかもっていないと、

 他の人が行った危険行為  例:支点ビレイ

などが見えなくなるんですね。

初心者の時代のクライマーも、自分が楽しいだけでアップアップなので、ベテランがやった支点ビレイが、現代クライミングでは最初にされてはいけないこと、支点ビレイをされそうになったら、断りなさい、と言われているビレイだと、気が付くことが、そもそもできない。

右も左も分からない時代に、親に連れられて、一度渡った赤信号は、渡るのが当然になります。

なので、本に書いてあっても、ダメなのです。

しかし、見ても学ばない…。行動から意味を読み取る訓練、って、本を読まない人、にはできていないことが多いです。

男子は、”俺”に夢中…カッコつけることに夢中…だから、確証バイアスが作用して、お手本を見せたところで、学ばないんだということが5年かけて分かったことです。