前項を書いた後、次のようなコメントを知り合いのクライマーからもらった。
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ジムグレードが優しいとは思えないですが
むしろ難しい。
シリアルはフレンチでグレーディングしたと思います。
デシマルとの換算表のずれですかね?
僕はデシマルはわからないしグレードに関してはあまり言わないけど、ジムは岩より難しいのはわかりますよ
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当方の返事:
たぶん、〇〇さんが登るグレードでは辛いと思います。10、9、8級、6~5級は、激アマだと思います
で、このような内容のクライマーでした…
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二子山はジムには合わせて無いですよ。
フランス、スペインに合わせて協議しました。
なのでフレンチでつけてます。
僕もデシマルは経験無いので5.10aを知りません
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■ 全然ジム上がりクライマーの代弁者ではない…エリートクライマーだった…(汗)
日本でデシマルを知らないで過ごせるというのが、すごい!
フランス・スペインしか知らないってエリートすぎて、それで多分、日本の実態感覚と離れてしまうのかもしれません。
私は石灰岩にフレンチグレードをつけるのは賛成です。登り方が全く違います。
花崗岩主体のヨセミテグレードとは別にするのが、登りのスタイルの違いをクライマーに意識させるのに良いと思うからですが…。
しかし、デシマルの5.9や5.10Aなど入門ルート、となっている課題で、ボルトが離れすぎているというのが放置されて、40年…
■ガイドのポジショントーク…命軸ではない。
クライミングガイドの中にも、アメリカの論文を持ち出して、5.9はリスクが高く、5.12はリスクが低いのは当然だ…ということで、現状維持を支持する人が後を絶ちませんが…。ポジショントークでしょう…。そのほうがクライミングガイドの存在意義は保てます。
しかし、結果日本のアルパインクライミングがどうなったのか?
アルパイン業界では2020年でも、ボルトラダーをアルパインですよ~と言って教えており、
フリークライミング業界では、ハングドッグ連打のレッドポインター登り(5.12波状攻撃登り)
そんなクライミングをヨセミテに行きまーすというクライマーがやり続けて、全く的外れな練習方法であることに気が付いていない…。ヨセミテなんてハイキングでも行けますよ?名前だけ言ってもヨセミテでトップアプトしたってことになりませんよね?
そして、グレード一点豪華主義なので、他の人にもそれを勧めて来るクライマーが後を絶ちませんが…
グレード一点豪華主義で登りたくない人は肩身が狭い思いをさせられます。
■ スキルを向上させるための繰り返しと、グレード一点豪華主義は違う
もちろん、スキルを磨くのに、打ち込み、が必要なのは当然です。デッドを私は封印して〇〇年だったので、ジムで再度デッドをしたら、できなくなっていました。
しかし、ジムでの登り方と、外岩での登り方を変えるような器用なことがなかなかできないのは逆も真なりで、初心者のころは連れて行かれた兜山やカサメリ沢で、一生懸命、素人の先輩の危険なビレイで、デッドムーブを繰り出していました…。
いやはや、もう疲れた…
グレードを追いかけるのが楽しいというのは、ドーパミンによる幸福に中毒症状になっているって意味ですよ。
それと繰り返しによる自動化=エンドルフィンは全く違うと思います。
私は自動化には興味がありますが、ドーパミンの快楽には興味はありません。
■ 国際グレード
日本の岩場のグレードがバラバラな現状に、
テストピース
を作り、ボルダーのようにエイハブ船長1級を基準として、そこから易しい、そこから難しい、とものさしの基準を作っていくのは間違った行為とは思えません。
っていうか、前からそうなっているんだと勝手に思っていました。そうなっていなかったんですね… どうりで、5.9がなんかバラバラだと思っていました…。
■ 愛好者人口の中身が海外と違う
海外と比べると、日本の岩場は、愛好者人口が
若くて強い成人男子に偏っている = 普通が偏る= 辛い & 競争
になっていると思います。
海外ではクライミングはもっと市民権があり、女性や子供も登るので、女性(パワーがない)や子供(身長がない)が登れるグレードから、外岩にも課題があります。
海外の初心者グレード 5A (5.2くらい?)
日本の初心者グレード 5.8 (ラオスでは、5cに含まれそう)
私はラオスでは、5cがスタートで全部オンサイトで登り切り、次は6Aという段階になっていましたが、オンサイト祭りで、自信をつけたため、その後の登りはかなり上達していました。
その自信は、九州では危険でしたので、全く登れないというか、登らないほうが良いという判断をしたのですが…九州の5.9の問題は、ボルト配置が遠いことです。
「俺にとっては、5.9」というエゴによる判断が、安全に登るセーフクライミングの原則を上回っているルートがたくさんあります。あの人格者の米澤先生ですら、このエゴを手放すのは難しいのです。
エゴの声ではなくても、遠い課題代表の九州クライミングの父、新原さんの課題が、ボルトが遠くて危険だというのは、現地の人だったら誰でも知っている…背が高くて、もともと体操選手だったような人が作った課題は、一般の人では落ちるだろう…というところにボルトがないです。なぜなら、「俺には要らない」から。
”俺らしさ”をそうやって課題に表現することに固執するのは
自我関与
という心理学用語が着いています。俺ではないものが俺になってしまうって意味です。
課題=俺、になっているので、
腰椎骨折などの重大事故者が出る
などの客観的に観たら明らかに間違っている事件が起こっても、俺を引っ込めて、ボルトの位置を見直す、ということができない訳ですね。俺を曲げさせられたら、嫌だからです。「這っても黒豆」と同じ論理です。
このような事態になっているのが、5.9でも初心者が取り付いてはいけない課題がある、ということの中身です。
新原さんは個人的に面識がありますが、子供たちにクライミングを教えて親切なおじさんでした…そんな人でも、俺のルート、という名誉や栄誉は手放せないのだろうか…と悲しくなりました。
私が行っているのは、あくまで、その人の作品と言えるような限界グレードでの課題ではなく、入門的グレードの課題のことですからね…
米澤さんにとって、5.9が別に何ともないグレードだということは明らかでした。彼の作品は、屋久島フリーウェイであり、あれを改変するという話と、ただの練習用ゲレンデの、彼にとっては重要でも何でもない、名もない5.9を改変するという話と混同しないでくださいね。
■ 迷惑をかけてはいけない=隠ぺい体質
要するに、自分の作った課題で事故が起こっていること自体が、アクセス問題を心配する落ちたクライマー本人から、申告されない…。落ちたクライマーは、迷惑をかけてはいけないという別の呪縛をかけられているからです。
私も、兜で落ちて、いわばは血塗られた岩場になりましたが、あれは自分のせいではなく、リスク認知が甘く、へたくそなビレイヤーのビレイのためでしたが、それでもどこに報告してよいのか分からなかったので、報告していません。
自分のブログに上げたので、そのおかげで、クライマー界には伝達されたと思いますが、そうでないかぎり、知られないままになったでしょう…
■ デシマルの5.9(入門課題)を5.9ギリギリの人が登ったら危険…という問題
国際グレードにするのはいいですけど、デシマル知りません、では、たぶん、皆、納得いかない。
それは当然ですよねぇ… スペインとフランスしかしりませーん、で、スペインとフランスがこうだから、っていうのでは、ただのおしつけ。
なので、10Aや5.9などのデシマルを、ユージさんみたいな、人に教えた経験も豊富で初心者の特性も知っており、海外岩場の経験も豊富で、たくさんの岩場の経験値が高いクライマーが、国際グレードもいくつか登ってみたら、いいのかも?です。
世界のユージがいうことにすら、反論する人が多いですが…それは嫉妬によるものでしょう。
課題に 自我関与 している人も多いですが、開拓者は、岩場 にも 自我関与 しています。
岩場= 俺
ってなるって意味です。それだけ、生きがいの喪失というのは、大きな問題、人生の課題だということです。
岩場に 自我関与 している場合、その岩場の改変を拒む強い動機になります。
なぜなら、俺を改変されるのと同じくらい、強い変容を意味するからです。自己愛がものすごく強い人なのであれば、俺が完ぺきではない、と言われたのと同じ、自己愛の傷つきをもたらします。
そうではなく、より完璧な自己完成に向けて支援するためなのだ…という風に持っていけば良いかもしれません。
つまり、ボルトの配置を変えれば、今でも良い岩場がさらに良くなる、というような持っていきかたです。
■ ジム上がりクライマーの誤解はもっと単純です
今の若いジム上がりの人は、一日目で普通に人工壁リードの5.9は登れるので、当然外の岩も、登れると思ってくるのかもです。それくらい、現代のジム上がりクライマーって、単細胞というか、10年以上クライミングをしていても、25m+35mが60mであること、60mのロープでは登れないこと、が自覚できないくらい、考えが浅いのです。
私自身もまさかそこまで?というくらい、実際に経験してみなくては、納得ができないくらいでしたが…これを言った方の、出身大学の偏差値は、50でしたので、ごく普通の一般の人の知的理解力がそこなのかもしれません…
なので、外岩のグレードと、インドアのグレード、ボルダリングジムのグレードが全く異なることを、口を酸っぱくして言わないと、同じデシマルグレードを使ってしまうと、5.9=簡単、と思ってしまうのではないでしょうか?ここは想像です。
しかし、昔の人にとっては、5.9は上級者グレードで、そこそこ登れる人が作っていたわけですから、超・ランナウトしており、20m5ピンが普通ですので…
それだと事故多発になるのかもですよね… 現代の新人君は。
一方、5.12以上の高いグレードではピンは離れていないです。なので、最初から5.12や8Aが登れるクライマーは、危険って言われても何のこと?となりますし、アルパインのルートに行かないクライマーならなおさら、ボルトは、1.5m置きについているので、危険危険って大げさだなぁということになります。
要するに言っているクライミングの内容が違い過ぎるのです。
今、事故ッているのは、ジム上がり初心者
で、
事故ッている課題はピンの配置が悪いやつ、
です。事故が減らないのは、大昔の40年も50年も前の山岳会の教え方で、現代も教えているからで、
・新人は18歳男子
・ビレイは流して止める制動確保
だからです。 新人ならこれくらいができるだろう…の想定が18歳男子を前提にしており、その前提にしていることにも、指導者側が気が付いていません。無意識だから気が付けるはずがないです。で、やらせてみてできないと、
え?こんなこともできないの?
となり、相手に心の傷を与えることになっています。
そして、ビレイが懐古調… 支点ビレイ、お座りビレイ、2mも離れたビレイ、で、もう全くを持って、シビアなフリークライミングに対応できるビレイにはなっていません。
これは、古い山岳会の流れです。甲府時代も、古い会の常識のままの、山岳会の先輩たちは、フリーの岩場では、輝いてはいませんでした。
時代が移り変わったことに気が付いていなかったのは、甲府でも九州でも同じでしたが、その時代の流れというのは、ジムが最近ではクライミングの入り口だ、ということです。
私のように雪上確保でスタートする人は稀です。