2024/05/19

【クライミング心理学】自尊心の根拠を周囲との比較によると、自信過剰が起こる

■ 自尊心の根拠を周囲との比較によらないことが大事

今度立山に行くので、『日本登山大系 劔・黒部・立山』を読んでいるのですが…

概念図見ただけで、険悪。めちゃごちゃごちゃしている。

さすが、日本一の山…劔。 出てくるルート、どれも難しいのばかり… 

このエリアでは、私の行ったことのある真砂尾根は、長いけど、もっとも簡単に行けるものでした。あれ、K先輩の愛が詰まった山だった。なけなしの、簡単ルートを出してくれたんだなぁ…後輩のために。もしかして、めっちゃ血眼で、この本を読んでくれたのかもしれない。

この劔周辺のテクニカルルート(バリエーションルート)を見ながら、こんな環境で育てば、まぁ九州に育つクライマーとは、天と地の実力差になるよな~。と思った。

難しい自然、厳しい自然は、人を謙虚にする。

■ ぬるま湯で育つと自信満タンになる

九州の人が、たいしたクライマーでもないのに、自信満タンなので、かなり驚いたのですが、同じことが若い人の起業にいえる。

え?このレベルで?ってレベルでコンサルタントと称して、とても、その金額だけの価値がないような商品を売っていて、えー?!詐欺が横行している!って思ったんですが…

良く考えてみたら、一般的に地方都市って、優秀な人は、大学でぜんぶ東京大阪に吸収されてしまい、残っている人は優秀な人がいないのです。

だから、周囲と比べて、自分を判断する癖がついていると、

 え?俺ってもしかしてイケてる?

ってことになる…。それは、自分が優秀なのではなく、ただ周囲がレベル低いだけ、という可能性について思い至らないんですね…。

特にそういう人は、客観視する力、メタ認知力が弱い。

ビジネスなら詐欺行為まがいになって終わりだが…ところが、自然界というのは、比較値、ではなく、絶対値なので、比較値で、高止まりした自己評価で、自然界に挑むと、そりゃ当然、実力不足を露呈して、人はポロポロと死ぬ羽目になるわけです。

現代はフリークライミングの時代ですが、フリーではグレードは主観であり混乱していますので、5.9が登れるから、というので、とりつくと、安全のためには5.12のスキルが必要で、振り落とされます。

というのは、日本の5.9は、”みんなにとっての5.12が、俺にとっては5.9”という自己顕示欲の道具として作っているので、実際は、5.9ではないからです。

その状況で、同じ”5.9”でも、入門ルート、という意味合いになってしまった現代フリークライミングの世界から、若い人が来て、5.9だからという理由で取りつくので、落ちてしまうことになります。なんせ、5.9って人工壁なら登れない人がいないくらいのグレードです。

グレードがあることで、逆に詐欺みたいなことになっている。

■ アルパインのⅢ級を信頼していいのかも、謎ですね

同じことで、アルパインのルートは、日本全国での統一的なモノサシがあると思っていたのですが、たぶんなかったんじゃないですかね? 

日本登山大系が編纂されたころは、ネットもないし。

Ⅲ級って書いてあっても怪しいかも?です。 

称名の滝は超・悪そうな書き方されていましたが、他にもゴロゴロ、悪そうなのがありました…でも、ユースケさんたちがネパールに趣向を変え、国内登攀は、そこまで追求していないところを見ると、本当のところでは、トップクライマーにとっては、国内のルートには、やはり、すでにめぼしいの、魅力的なの、は、存在しないのではないか?と思います。

単に、もろくて、悪くて、寒くて、Ⅲ級だったら… リスクリワードレシオが悪くて、何が楽しいの?ってなりそうですよね。

ワタシでも登れそうな、600mのルートとかある。登れそうというのは、600mでも、ピッチ数で言えば、50mロープを使えば、12ピッチにすぎないので、インスボンでマルチ2本を一日で登っていた実績からすると、まぁ、時間的に登れない…現実味がない距離ではない。

このように、実績に基づいて実現可能性を計算するのが、合理的な自信です。

でも、一般的に歩きでは、普通の人が、標高300m/時 歩けるのが標準的な体力なので、丸一日かけて600m登るのは、優位な戦略ではないですよね。

尾根や岩壁はこんな感じ。そして、谷は険悪そうで、楽しく優しそうではない… ゴルジュだらけで、ゴルジュって、逃げ場がないって意味だ。

北又谷本谷は、本邦屈指の美渓とありました。わお、行きたい。

やはりアルパインのルート、山にあるルートに求める最大の価値は、”美しさ”ではないでしょうか?

■ 高地トレーニング

今回は、標高を求めて高地トレーニング的な滞在なので、一般ルートしか歩く予定ないけど…劔も登る予定はないですが…なんせ夏山は混んでいるので、混雑がリスクです。

しかし、小窓尾根や別山尾根、源次郎尾根を眺めてきたら、まぁ満足かな?

秘境阿曽原温泉に行けるのが楽しみです。

オマケ:マーカス・ガルシアのメンターシップ

MARCUS GARCIA Full Interview from Climbing-Grief-Fund on Vimeo.