2024/05/07

【リスク中心思考を身に着ける】セッション解説 デイドリ―ムPart1&Part2 :トップクライマーの登り方

【Vlog】平山ユージ&大西良治のデイドリーム part.2

■ セッション解説

1)どれくらいの期間をかけるか?で実力を示す

パート1 10月31日、パート2 11月7日、ファイナル2月28日。

期間的にも、シーズン初め、中、シーズン終わり際、という感じです。
ワンシーズン中3日の撮影。トータル20日だそうです。

終わらなかったら、来年になりますね。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
山梨県某エリアの「デイドリーム」(5.14b)は日本最難のフィンガークラック。日本のフリークライミング黎明期からトップクライマーの挑戦対象として認識され、未来の課題として継承されてきた。とりわけレジェンドクライマー、故・吉田和正が情熱を傾けたことが知られている。2020年1月、30年以上の挑戦の歴史に終止符を打ち、小峰直城が初登。浦野誠動が第2登、中嶋渉が第3登と続いている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ちなみに、”実力とは、かかる日数で示すものだ”という実力の示し方、も示されているような気がしますね。

1登 小峰っちは、何日かかったんでしたっけ?忘れましたが…。ロクスノの記録の文体がしょぼかったので、がっかりした私だったのでした…。しょぼかったことしか覚えていない(汗)。

3登の中嶋さんは、10日だそうです。

第2登の浦野さんは、かかった日数、ネットに出ていませんでしたが、48歳?!円熟クライマーだったんですね。年齢でも実力を、というか情熱を、示せるかもしれない。

たぶん、一般クライマーは、ルート名だけで実力を示そうとしすぎなのでしょう…

2)1ピン目は大事です!

1ピン目は、パート1では、赤キャメと青キャメで、固め取っていますが、ユージさんの墜落で、赤が飛んだので、2度目では、二つ連結して、強度を高めて使っています。

クラックのクライマーなら習っていて当然の技です。

1ピン目は、2個連結です。

3)ビレイヤーにコールして、キャッチの準備をさせる (行動プロテクション

ユージさんの登りは、登れなくなった時、「はい、テンション」と声をかけるので、私が習った登り方です。

勝手に、”テンション登り”、と呼んでいますが…

これが、九州では全然なく、違和感でした。

テンション登りが、不安なボルトで登る基本の登り方だと思います。

現代の人は、人工壁になれているので、黙って落ちます。

外岩では、落ちそう、とビレイヤーが予期していることが安全対策ですので、ふいに落ちる、アンコントロールに落ちるのはダメです。

リードする許可の有無が、アンコントロールな墜落をしないこと、です。

それに、ロープたるたるで落ちると、落ちる量が多いですよ。

インドアでは、わざとたるませて落としますが、それは常に被っているからです。外岩では、しません。

行動プロテクション:https://allnevery.blogspot.com/2023/05/blog-post_39.html

4)ボルダリングの安全管理 下降路を登る前に安全確保する

アップのボルダー 大ハングでは、まず落ち葉を落として下降路を安全にしています。

5)余計なチョークは落とす

どうも、パモは持っていないみたいですね。あそこ、いつもチョークついて固まっているので、滑る… 服でたたいてチョークをとしていました。

6)ボルダリングの安全管理 クラッシュパッドの移動

大西さんがランディングしたところが、ユージさんが移動したマットの上で、読みがぴったり。流石です。

7)得体のしれない道具は使わない

後ろに見えているパッドと梯子、誰のなんですかね…? いつもあるけど。っていうか、5年前からあるけどなぁ…。

8)プロテクションは厚めにしておく 

デイドリのピンクポイントで設置した、最後のナッツは、どうもユージさんも、登ってみたら、かける余裕はない、みたいでした。登り切ってから、かけるしかないと最終的に判断していました。

ボルトでも、設置してあっても、そこが、片手になれない、かけれない場所だったりしますよね。

事例としては、私にとっては、九州で最初に登った米澤さんの5.10aがこれでした。ボルト飛ばして、登りきるほうを優先したので、ランナウトを受け入れて登らざるを得なくなり、相方は渋い顔をしていました。結果的にはオンサイトでしたが、良いクライミングとは考えられない。米澤さんのグレーディングは激辛なので、あれは普通にアップで取りつくような10aではなかったと思います。

デイドリは、結局、どうせ最終ピンは、クリッピングするゆとりはないので、最後のRP完成動画のほうでは、設置されていませんでした。最後はランナウトを受け入れて登る系です。あっても使えない位置にあれば、意味がないので。

9)ピンクポイントで取りつく

レッドポイントするのに、最初はピンクポイントで登るんですからね。

トップロープで登れたら、はい次、といきなり、レッドポイントで取りつかないですよ?

カムの場所とか検討できないじゃないですか?いきなり本番では…(汗)。

私は、これ、されて嫌でした。私はクラックは習得途中でこっちに来たので、最初からそう言っていたのですが、どうしても疑似リードをする習慣がないみたいでした。カムエイドで、プロテクションを設置して登るのもしなかったら、いきなり登りながらプロテクションを設置することになり、ムーブによほどゆとりがないと登りながら、正確で落ちれる設置はできないですよね?

そこが、分かっていない人たちと登ると、トップロープで一回試登しただけで、あとはいきなりRPしてねーとなり、危険でした。リスクを回避すると、結局、カムに頼らないで登ることになるので、いつまでもプロテクションが確実にならない、ので、十分実力を上げる難しさの課題には取りつくことができない。悪循環です。

プロテクションを軽視している、というのはこういうことですよ。

ピンクで登るためにカムを入れるには、トップロープでぶら下がっている必要がありますが、それには、カムエイドしながらでも、まずは上まで行っている必要があります。

その辺は作業なので、動画には、出ていないです。

10)ビレイ位置

ちなみに故・吉田さんにビレイする場合は、ビレイヤーも、スタートのボルダーの上に上がってビレイしました。地面ではなく。そのほうがより安全ですが、落ちたら、ビレイヤーに激突するかもしれません。(当方、吉田さんの最後のビレイヤーです)

しかし、見ていて指が痛くなるクライミングでした。ユージさんは指にテーピングしていたけど、大西さんはしていないので、出血…。

やっぱ、フィンガージャムは痛いですよねぇ…。

余談ですが、14bはトップクライマー向けなのですが、近くに一般向けの10くらいの初心者向けフィンガーもあります。そっちはフェイスに逃げれます。フィンガーを覚えるところの人は、それで練習してくださいね。

関連記事