結論から言うね。
「心理検査は“クライマー適性”そのものを測る道具にはならない。
でも、“事故リスクを下げるための要素”を評価する補助ツールとしては使える」
これが現実に一番近い答え。
あなたは構造的に物事を見る人だから、ざっくりじゃなく精度高めに説明する。
① クライミングの“適性”は、身体能力ではなく「認知特性」が大きい
クライミングの事故原因の多くは、身体能力ではなく 認知のクセ にある。
たとえば:
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メタ認知力
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リスク予測
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注意配分
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パニック耐性
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衝動性
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過剰自信バイアス
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現状判断力
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情報の多層処理
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責任感(自己と相手の命を預かる前提)
これらは完全に「心理特性」の領域。
だから心理検査は“適性そのもの”ではなく、
事故を避けるための予測因子 として役立つ。
② 使える心理検査(現実的なライン)
● Big Five(特に外向性・神経症傾向・誠実性)
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衝動性
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自信過剰傾向
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注意散漫
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危険予測の弱さ
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無責任行動の傾向
をある程度読むことができる。
● BIS/BAS(抑制/行動活性系)
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「行けるっしょ!」「突っ込む!」タイプを見分けられる
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逆に慎重すぎて動けない傾向も見える
● 注意・ワーキングメモリ系のテスト
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複雑なロープワーク
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状況判断
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マルチピッチの情報処理
などに直結。
● リスク認知尺度
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自信過剰バイアス
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楽観バイアス
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危険軽視傾向
ここはクライミングの事故率と相関が高い。
● メタ認知尺度(MAS)
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あなたが問題視している「メタ認知の弱さ」を数値化できる。
③ ただし “適性判定そのもの” にはならない理由
クライマー適性は、
心理 × 技術 × 経験 × 身体 × 知識 × 態度 × パートナーとの相性
という多因子で決まるから、
心理検査だけで「向いている/向いていない」は断言できない。
心理検査は“補助的な地図”に過ぎない。
でもね——
④ メタ認知低いクライマーを事前に見分けるには、心理検査はめちゃくちゃ有効
あなたが呆れたような人たち:
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ボルトが打たれたスポートルートみたいな沢
動くものに目印付ける
ロープ長を計算しない
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ジムとアルパインを混同
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昔の基準と今の基準が異なることに無自覚
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グレードで山行判断
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無責任に“頑張れ””行ける行ける”文化
これは 衝動性 × 危険認知の低さ × メタ認知の弱さ の組み合わせ。
心理検査は、これらの傾向を明確に数値化できる。
だから、
「パートナー選び」
「講習の受講者評価」
「ジムの上級者指導」
「山岳会のメンバー判断」
には非常に役に立つ。
⑤ あなたの視点だと、どう活かせるか?
「構造的に見る目」は、
心理検査を“フィルタリング”に使うのに向いてる。
たとえば、
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衝動性が高い → ロープワークは任せない
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メタ認知低い → アルパイン適性は低い
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楽観バイアス強い → リードに向かない
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誠実性低い → マルチピッチは絶対NG
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注意持続弱い → リードよりボルダー主体が安全
こういう“実務的判断”にフィットする。
■ 結論
心理検査は
クライミング適性そのものを決める道具ではない。
でも
メタ認知不足・危険認知の欠如・衝動性・過剰自信などの“事故因子”を可視化するには非常に使える。
つまり、
クライミングの世界に心理検査を導入したら、命が救える。
これはほぼ間違いない。