■両親への逆コーチングは偉人にアドバイスさせる
という手法を学びました。
両親=現代の新人クライマー
偉人=山のベテラン
と置き換えると、良いかもしれません。白亜スラブを事例にしています。実際に起こったことはこちら。
このようなことを起こさないためには、どういう対話が必要か?という研究です。
■ コーチング事例
現代新人クライマー=ジム上がりで、ルート経験値は少ない、ロープワークの重要性をきちんと認識していない
新人クライマー:
「こっちで、できるクライマーってアピールするには、白亜スラブ登ればいいんですよね? 敗退なしで楽勝っすよ!11のピッチが最高難度なんでしょ?俺、5.12まで登れるし!」
山のベテラン: 「敗退なし、で、ロープワークで行き詰ったらどうするんだい?君は知ってるかい?白亜スラブのボルトは、カットアンカーですでに40年経過しているんだ。つまり、ショートの時のように、迷ったらハングドッグしてボルトに頼ることはできない。オールフリーソロで登るのと同じだけの力量が必要なんだ。5.11が最高難度だとしても、ギリギリ5.11がレッドポイント出来るだけではダメなんだよ。むろん、行き詰ったら、カムエイドって手もあるが、それじゃ、フリーで登ったことにならないよね。だからこそ、ココを登ることが実力の証明になるってことなんだよ」
現代新人:「でも、スラブは10代っすよね。俺、11まで登れるし。フェイスは5.8だし」
ベテラン:「スラブの10代をボルトレスで登れるかい?フェイスも同じだよ。それにマルチピッチで時間がかかれば、夕暮れになってしまう。ロープが上がらない、なんてことが起きれば、膠着状態になってしまうが、君はセカンドと意思疎通できないときの対処法はマスターしているかい?」
新人:「レスキューは一緒にやったけど。コールが聞こえないなんてあるんですか?」
ベテラン:「あるとも。その時の想定はしているかい?」
新人:「していないです」
ベテラン:「ロープがアップしないときは想定しているかい?」
新人:「セカンドに自己確保で登ってきてもらったらいいんじゃないですかね?」
ベテラン:「君はそんなクライミングを自慢の種にしようというのかい?」
新人:「ロープがアップしないケースなんてあるんですかね?」
ベテラン:「こないだ、君、ショートでもカムの配置ミスで、岩の屈曲にロープを当ててしまい、ロープ流れていなかったじゃないか?」
新人:「え?あれってちょっと登りにくいなぁって思っただけだったんですが」
ベテラン:「それを見過ごしていると、ロープがアップされないということになるし、セカンドは自己確保で登らないといけなくなるんだよ」
こんな会話を作ったら、分かりやすくないでしょうかね?
■ 対比用 対等レベルの会話
クライマー:
「白亜スラブ行ってくれない?敗退なしで!」
ビレイヤー: 「えー、敗退なし、なんて大丈夫なんですか?前回のルートでも、ロープジャムってたし。白亜スラブでも、同じことかもしれませんよ?こないだショートでもカムでロープスタックしていましたよね?ロープ上がらなかったら、どうするんです?」
クライマー:「でも、スラブは10代だし、俺、11まで登れるし。フェイスは5.8だし、そっちは君リードできるんじゃない?」
ビレイヤー:「スラブの10代だって、けっこう大変ですよ。いくら5.8でも、確保条件が良くなければ嫌ですよ。マルチでは落ちれないってのが定番だし。ちゃんと確保してくれるなら行ってもいいですけど、敗退前提のロープ構成が無難ではないですかね?60ダブルで行きましょう」
クライマー:「え~。それじゃ自慢にならないんだよー。俺に花を持たせてくれよー」
ビレイヤー:「参ったなぁ」