■ 子ども時代のやり直し感
があったんですよね。山梨時代。大人なのに環境的に、「さぁ、遊びなさい!」みたいなことになってしまい…
それで、師匠が何人もできたのですが、それは、父親代わり、みたいな感じが当時からありました。イコールのパートナーではなく、庇護される、守ってもらう、という明らかな関係性を感じていました。
これは、私だけがそうなのではなく、どんな自立した人でも、すべての人が通る道です。というのは、クライマーなら誰でも、ですが、基本、新人は
”分かっていないことが分かっていない”
からです。
昨日、こちらの本、https://books.rakuten.co.jp/rb/978501/
『父生術』を読んだのですが、なんと、かなりの癒しでした…
驚いた。
モーレツサラリーマンが、4歳の息子を世話する中で、
幼児の世界観に寄り添う=父性を得ていく
話です。
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2月22日
再び、玄の学校が始まった。
『お友達といるときはいいんだけど、休み時間に初めて外に出る時怖いでしょ』
「何が怖いの?」
「初めて出るとき、怖いのね」
「どうして怖いの?」
『だって、怖いじゃない』
まだ、外では独りぼっちなのだろう。
再び私の脳裏には、泥だらけの縄とびロープを拾って、校庭の片隅で休み時間が終わるのを待っている少年の影が浮かんだ。
私は、『バーバパパのいえさがし』を読んだあと、横に寝ている息子の横顔から天井に目を移しながら声をつまらせた。今日もだったんだねぇ。でも、泣かないで良く頑張ったね。そう思いながら、慰める言葉も出ない。情けないけど、どう言ってやればいいか分からない。
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このお父さんは、子供にお弁当を作ってやるのですが、イギリスなので、日本みたいな昼食スタイルじゃないんですよね…私も知っていますが、欧米のランチタイムって、ほんとにスナックで、がっつりお昼ご飯って感じじゃないです。
ピーナツバター&ジェリーサンドで終わり。そんな感じなので、日本風にぎゅうぎゅうにお弁当を一杯詰めてしまうと、食べるのに時間がかかって、それで、息子は友達の遊びの輪に入るタイミングを逸してしまうのです。
そのことに父が気が付くのは、うんと後なのです。
考えてみたら、私がラオスで、水を得た魚のようになれたのは、そもそも欧米カルチャーで社会人デビューをした人だったからかもしれませんね。
■ 寄り添いが必要だった、クラックのプロテクションの配置問題
父性の問題とも、単なる知性、洞察力の問題ともいえますが…
チビには、自分のカムセットで登らないと、プロテクションは”保護具”として意味をなさない
って点について、私の本当の願いは、
父性=理解を受け取りたかった
ということなのだと分かりました。この子のように、今、この子が苦労している点は、正当な苦労で、この子がダメな奴、だからできないのではない、という共感、心の寄り添い、理解、ということです。
だって、何百歩も譲っても、遠いプロテクションが私には意味がないことは、真実なのですから(笑)。
えー、なんでこれが怖いんだよ!
っていうのは、そのプロテクションの位置で、ちょうどよい人の価値観の押し付け、です。
なので、師匠の設置したカムで、ピンクポイントしなさい、は、親のエゴ、と同じことだったのです。
俺の弁当が食えないのか?!と同じレベルの(笑)。
だから、私は子供時代の再演をする中で、最後の最後、安心してクラックをリードする、誰かに自分の事情を理解されながら、納得ずくでリードするという関係性の構築に失敗したのです。
簡単に言うと、クライミングパートナーから愛を貰えなかった、ということです。
自分はたっぷりあげているのにね…
■ 試案
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2月22日
再び、クライミングが始まった。
『トップロープのときはいいんだけど、リード怖いでしょ』
「何が怖いの?」
「ボルト遠いとき、怖いのね」
「どうして怖いの?」
『だって、怖いじゃない』
核心ムーブの前にクリップできないのだろう。
再び私の脳裏には、壁の真ん中で、進退窮まって涙を流している女性の影が浮かんだ。
私は、『大蛇山 5.10c』を登ったあと、助手席に座っている相方の横顔から路上に目を移しながら声をつまらせた。今日もだったんだねぇ。でも、泣かないで良く頑張ったね。そう思いながら、慰める言葉も出ない。情けないけど、どう言ってやればいいか分からない。
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こんなところですかね?遠いクリップが怖いだけでなく、リアルな命の危険であることは、届く人には理解できないのですから。
■ 今となっては、もうどうでもいいかもしれないが…
とりあえず、やっておいた方がいいのかなぁ…
クラックのカムの設置の習得。
しかし、心から信頼できるビレイヤーがいないしな…
台湾のケリーにビレイしてもらってクラックを習得する、というのも考えましたが…。
スティーブが、BMCトラッドフェスに誘ってくれたとき、プロテクションを習得に行くのだ、ということにまでは、思考が進んでいなかったので、せっかくの機会を得損ねましたが…
行けばよかったのかも?
そこは、自己愛、と、自分のクライミングニーズに関する理解が、浅かったので、
そんな遠くまで行かないでも…
と思ってしまったのでした。いやはや、スコットランドくんだりまでは、なかなか行く気になれないですよねぇ…
■ 理解される
自分の安全が何か?
ということを理解されるのは、
父性の有無に関係なく、クライマーなら誰でもビレイヤーから得れて当然の権利
です。
そこのところは、日本のクライミングは、とても遅れています。たぶん、
女性が登り始めたのは、ごく最近、子供が登り始めたのは、さらに最近
という事情によるのだと思いますが、
女性から見たクライミング、子供から見たクライミングという視点の多様性
を、現在、主流派である男性は、拒否しています。おれはそう思わねえ、と主流派の意図を押し通し、女性や子供にダメ認定するほうがラクチンだからですね…
しかし、山梨で人工壁登っていた頃でも、私には核心部の被りで長ヌン、でしたよ?
昨日はアイスクライミングのワールドカップを拝見していましたが、ほぼほぼ、全中間支点で、長ヌン… 人工壁で、ですからね。
自分の身が危険にさらされる方がカッコイイ、
というものの見方自体が、どこか、昭和的というか、時代遅れ感、というものを漂わせているように思います。
私が真に求めているもの…それは、後輩の私の側が、逆コーチングなんてしてやらなくていい真に、
尊敬できるクライマー、ですね。
それはランナウト王子ではないことは明らかでしょう。
低い位置の方がグランドフォールのリスクは大きい。登り始めの方がプロテクションは用心がいる。