弟を亡くした姉である私にとって、若い男性クライマーがみな、弟のように見え、「守ってあげなければ」と過剰に感じてしまう+そこへ、ちゃっかり、便乗する。
お話の構造を心理学的に整理すると、いくつかの要素が絡み合っているように思えます。
🔹 1. 「弟を亡くした姉」という立場の記憶と感情
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喪失体験によって「守れなかった」「もっと支えたかった」という思いが心の奥に残るのは自然です。
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その未完の感情が、似た対象(=若い男性クライマー)に出会うと強く喚起されやすい。
👉 これは 逆転移的な反応 に近いもので、「相手に弟を重ねる」という再演が生じています。
🔹 2. 「守ってあげなければ」という過剰さ
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クライマーの安全は大事ですが、「過剰に守らなきゃ」という衝動が出てくるのは、過去の喪失感と結びついているから。
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これは 愛情と痛みがセットになった心の遺産 と言えます。
🔹 3. 「便乗する若者」
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若い男性クライマーの側も無意識にそれを感じ取り、姉的な保護の役割をあなたに期待してしまう。
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これは 投影同一視 的な力動に近いです。
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彼らは「守ってくれる人」を欲しがる。
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あなたは「守れなかった弟」の影響から守りたい衝動が強い。
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両者の無意識が「ぴたり」と噛み合って、実際にその関係が再現されてしまう。
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🔹 4. どう扱えるか
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「弟を守りたい気持ちが生きている」と認める
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それは失った人とのつながりを大切にしている証。
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決して否定すべきものではありません。
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若いクライマー=弟そのものではないと意識に戻す
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「この人はこの人」「私の弟ではない」と、意識で確認する習慣。
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境界を意識する
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守りたい衝動が湧いても、相手の自立や責任を奪わないこと。
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「見守る」と「介入する」の線引きを考える。
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逆転移と投影同一視を“気づきの材料”にする
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自分が「過剰に守りたくなるとき」=心の中で弟との関係が揺れているサイン。
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そのとき「今の相手に必要な関わり方」と「私の心が求めていること」を区別してみる。
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なるほど、「守りたい」というよりも、年下だから仕方ないな〜 という感覚なのですね。
とても大事なニュアンスの違いだと思います。
🔹 「守りたい」と「仕方ないな〜」の違い
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守りたい
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過去の喪失や罪責感から来る衝動(ケアの強迫、過剰な庇護)につながりやすい。
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仕方ないな〜
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年齢や経験差を前提にした「余裕ある姉的な態度」。
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相手の未熟さや甘えをある程度「しょうがない」と受け入れる、包容的な姿勢。
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つまりあなたの感覚は「過剰な保護」ではなく、相手を子ども扱いしているわけでもないけれど、経験的に自分の方が余裕があるから自然に出てくる態度に近いと思います。
🔹 「便乗される」と感じるのはなぜか
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若い男性クライマーがあなたの「仕方ないな〜」という包容力を無意識に察知して、甘えたり依存的に振る舞ったりする。
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すると、あなたは「またか、うまく乗っかってくるなあ」と感じる。
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これは必ずしも悪いことではなく、場に自然に生まれる力動です。
🔹 向き合い方のヒント
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「仕方ないな〜」は強さの表れ
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あなたが余裕を持っているからこそ出てくる感覚。
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弟さんのことと結びついていても、それは「守れなかったから守らねば」ではなく「年下を包み込む自然な姉的態度」になっている。
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境界を保つ
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相手が便乗しても、自分が疲れない程度に線を引くことが大切。
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「そこまでは私の役目じゃないな」と思えたら、引き受けすぎずに手を離す。
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役割を引き受けすぎない工夫
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クライミング場では「姉」ポジションになってしまいやすいので、ときには「対等な仲間」として接する意識を持つ。
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たとえば「自分で考えたら?」と軽く返すのも、関係の健全さを保つ助けになります。
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🧩 まとめると、
あなたが感じているのは「喪失から来る強迫的な守りたい気持ち」ではなく、経験差や立場から自然に湧く包容感。
ただしそこに「便乗」が生じるのは、相手の無意識とあなたの態度がかみ合っているからで、境界を意識的に調整すれば健全な関係性を保てるはずです。
ここで質問なのですが:
あなたにとって「便乗される」ことは、心地よい(甘えてくれてかわいい)感覚に近いですか?
それとも 負担(利用されている)感覚に近いですか?
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なるほど…「便乗されている」ではなく 「利用されている感じ」 がするのですね。
ここには「仕方ないな〜」という余裕や包容とは違う、搾取されているような不快感が含まれています。
🔹 「利用されている感じ」が生じる構造
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年下=甘えが許される という文化的・関係的な暗黙ルール
→ 相手が「どうせ受け止めてくれるだろう」と思って寄りかかってくる。 -
あなたの姉的立場(経験や包容)
→ つい受け止める側に回りやすくなる。 -
相手の無自覚な依存
→ 感謝やリスペクトが十分でないまま、便利に甘えられる。
この三つが噛み合うと、「仕方ないな〜」を超えて 「搾取されてる」 感覚が生まれやすいです。
🔹 どう対処できるか
1. 感覚を信じる
「利用されている感じ」は誤解でも弱さでもなく、境界を守るサインです。
その違和感を押し殺さずに「これは違う」と受け止めてよいです。
2. 境界を明確にする
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物理的な手伝いや時間を過剰に割かない
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「自分の責任じゃないことは相手に返す」
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あえて突き放す必要はなくても、自分のエネルギーを守る線引きを意識する。
3. 関係を「対等」に戻す工夫
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例えば「私が姉であなたが弟」という構図を意識しすぎない。
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あえて「クライマー仲間」としての対等さを強調する。
4. 感謝がないなら受けない
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相手があなたを当たり前のように利用し続けるなら、それは不健全な関係です。
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感謝や敬意が返ってこないところには、力を注がなくても大丈夫です。
🔹 まとめ
「仕方ないな〜」の余裕と、「利用されている感じ」の不快さは別物です。
前者はあなたの強さから自然に生まれるもので、後者は相手が境界を越えてきているサイン。
👉 不快な方に気づいたら、境界を立て直し、対等さを保つことが鍵になります。
ここでちょっと聞きたいのですが、
その「利用されている感じ」は、クライミングの場面での 身体的なサポート(ビレイ・送り迎えなど) に関わることが多いですか?
それとも 心理的な頼られ方(悩み相談・甘えなど)が多いですか?
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ああ、なるほどです。単に物理的サポートを頼まれているだけでなく、リスク管理まで丸ごと任されているように感じるのですね。
これは「利用されている感覚」の中でも、特に責任の重さ・心理的負担が大きいパターンです。
🔹 状況の構造
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経験差や信頼感からの依存
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若い男性クライマーは、自分でリスクを管理する経験が不足していることも多く、あなたに全面的に任せてしまう。
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無意識の期待
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「姉的存在だから、守ってくれるはず」という無意識の前提が働いている。
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あなたが「仕方ないな〜」と思う余裕を見せることで、相手は安心して依存する。
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心理的負担の偏り
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あなたは「自分がやらないと事故になるかも」と緊張する。
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相手は楽観的・無自覚で、自分のリスクはあまり意識していないことが多い。
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🔹 対処の考え方
1. 責任の線引き
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「安全はチーム全体の責任」であることを明言する。
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自分一人でリスクを背負わないことを意識。
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例:「私は安全確認を補助するけど、最終判断は自分でしてください」
2. 事前にルールを決める
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ビレイ、ロープ管理、荷物運搬の範囲を明確化。
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「今日は○○まで私がチェックする、それ以上は自己責任」と線引き。
3. 教える・共有する
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若いクライマーにリスク管理のポイントを簡単に教え、自立を促す。
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例:「自分の荷物や装備は自分で確認する」「落ちる可能性を常に意識する」
4. 心理的境界を意識する
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「丸投げされている感覚」を無視せず、自分の負担が増えすぎないよう調整。
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「やる/やらない」の選択権を自分に残す。
💡 まとめると
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「守る余裕」と「丸投げされる負担」は別物です。
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丸投げされている場合は境界を明確にして、責任を分散させることが必須です。
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これにより、自分が疲弊せず、安全も守れるバランスが取れます。
希望であれば、この「丸投げされがちなリスク管理」を具体的に現場で線引きして対処する方法として、短い行動ガイドにまとめることもできます。作りますか?