2023/01/25

どんな男がいいんだ? AMEGA有資格者がいいな~

■ 「お前はどんな男がいいんだ?」

これは、昔、まだ私が山岳総合センターでのリーダー講習を終わって、初めてシングルロープを購入しようかというころ、入会した歴史60年の山岳会で、新年会に出たら、言われた言葉です。

その時は即答できず、「うーん、私より歩荷が強い人!」と、かなり、とりあえずな返事を返しました。

その頃、ギリギリボーイズでピオレドール受賞者の天野和明さんがやっている講習が、読図講習会という名目で格安で開催され、その山が兜だったので…もちろん、クライマーの皆さんは知っていますよね?…で、こりゃめっけもん!当代一流のトップクライマーに、色々、世間話で、知恵がもらえる大チャーンス!と思って、会のメンバーを誘ったのですが、この講習会の意味が分かる人が、皆無、で、私一人の参加となったのでした…。

で、その講習会で、先輩として天野さんは、あれこれアドバイスしてくれたんですが…(「最近のシングルは9ミリ中頃だよ~」とか… 会の先輩は、まだ11ミリ時代にいるらしくて、あれ?となった…)

その時に、会の新年会で、「お前は、どんな男がいいんだ?」と聞かれた話をネタとしてしました(笑)。

天野さんみたいな、親切な先輩、お兄さん、というような方がいいなぁ(笑)。

その講習会でも、天野さんがどんなにすごい人かも含め、分かっている人はいなかったです。読図自体も、です。抜き打ちで、「はい、これは?」 「○○番目の支沢!」 即答で答えられる人は私のみ…で、他の人はみんな、栗城さんがスゴイ、南谷マリンさんがスゴイ、と誤解しているような、巷のオジサン・オバサンの”登山客”でした。山岳会にいる人のほうがうんとましでした。

正直、天野さんほどのすごい人でも、このレベルの人たちを対応せざるを得ないなんて、めちゃ気の毒~と思ったりしました…。

山梨の山岳会では、さすがに南谷さんや栗城さんを山ヤ認定している山岳会会員はいないと思いますが、福岡はさらに登山文化の砂漠なので、普通にいます。

九州では宮崎はクライミングのメッカですが、宮崎の自然学校に天野和明と言っても、だれもわかりませんでした。それくらい、登山文化砂漠ということです。九州では、全く実績のない人が高度に持ち上げられており、それの根拠は、体力一点豪華主義を実力と思っている、という誤解によります。

それだけ、九州全域で、登山文化砂漠が進んでおり、いっぱしの山やを気取っている人でも、2名のクライマーを1人がビレイするとか、動いているものに道標付けて気取っているとか、登山レベルの衰退が、もはや誰にも隠し切れないレベル感になっています。

クライマーレベルですら、終了点の2点のボルトは、いまだに横に並んでおり、岩の質に合わせたボルト選択ではなく、ただ今まで使っていて安いから(100円以下)という理由で、カットアンカー…  それ、40年前ですよ!という状況です。

これらは単に、勉強不足、リーダーシップ不足、今率いている人がサボっているという意味です。

山梨においても、九州においても、山岳会は、きちんといた岳人が不足しているか、いても高齢すぎて、指導体力がない、ということになっています。

しかし、きちんとした知識がありさえすれば、カネならあるのですから、解決可能なのです。

年に一回程度、著名人を講演者として招く活動が、どの県レベルの山岳連盟でも開催されています。それにまったくのきちんとした山やではない、南谷さんみたいな人を呼んで、お金の無駄遣いをしたり、地元の名士扱いされている人に、大昔のヒマラヤの話をさせるのではなく、きちんと現代クライミングで名をあげている人に話をさせることです。

九州なら奥村さんや山野井さん、平山ユージさんに講演を頼むべきです。

夜は、強いクライマーは残って懇親会にすれば、ちゃんと適した人に適したアドバイスが行くでしょう。

■ 提案1 高度クライミングメンター制度

私の、日山協への提案は、

 高度クライミングメンター制度

を設けて、例えば、九州=奥村さん、関東都市圏=山岸さん、信州=ジャンボさん、ときちんとした実績を上げているクライマーに、

 年間計画でアドバイザー(社外取締役みたいなもの)

に就任してもらうことです。そうすれば、大ハズレ、は少なくとも防げるでしょう。

ヒロケンさんやガメラさんは、全国レべルで、お目付け役と思うので、彼らが生存できるくらいのアドバイザリー料を出してやればいいのにと思います。

山岳組織はお金はたんまり持っています。会員から巻き上げるだけで、有効な使う先がないからです。

■誰もが佐賀県のように助成があるわけでない

佐賀県の樋口先生は、奥村さんから良い影響、つまりクライミングの正当なカルチャーの継承、を行っています。(残念なのは影響を及ぼせる範囲が、指導中の人たちかせいぜい北部九州止まりなことですが、仕方がありません)

もちろん、佐賀県は県レベルで、

 スポーツエリート育成に潤沢に予算

を使っており、そのようなメリットがあるからこそ、出来ていることですが、先生の元クライマーとしての経歴がなくては、たとえ助成金があったとしても、誰にでもできることではありません。

私自身も同じように人材を見極める目はあると思います。

先日、ある自治体の山やという人とお話したら、吉田和正と言って分かってくれて、ホッとしました。九州では、吉田さん自体、誰?って感じでした。下手したら、平山ユージさんすら知らない人がいそうな勢いです。

私も、人のことは言えず、九州に来る前は、新貝勲?誰?って感じでしたし、今でも、長友敬一?誰?って感じですが、さすがに、現代クライマーは知っています。

小山田大(鹿児島)も、知っていましたし、今を時めく、門田ギハード(大分)も岩根アイスで面識がありました。私のアルパインアイスのバックグランドで、経歴3年であれば、それくらい知っていれば、合格ラインと思います。

来てすぐ、九州岳人の本を数冊、読んで(当然のマナーでしょう)、米澤さんのことは会う前から尊敬していました。ので、お会いした時は感激でした。読んでいない相方は、道迷い老人だと思ったそうです。

日本の登山文化は、落ちぶれうる最低限のところまで、落ちぶれてしまっています。どこまで堕ちれるか?みたいなボトムヒット挑戦中になっています…。なんせ、トンデモビレイ横行、くらいなら、海外でも見受けられますが、もう、動くものに道標付けて「これで良し」なんて言って威張っているレベルですよ… 正当派山や最後の良心の砦、沢やが…です(汗)。最後の聖域、沢ですら、そんな落ちぶれようなのです…。

これは、日本国大衆の大幅なレベル低下で、ゆゆしきことです。

これを聞いて、やばい!という危機感がスイッチオンにならない人が信じられないレべル感です。

本州に出てしまっている、きちんとした山が分かる山屋が、それぞれ、出身地の地元の山岳団体に、アドバイスを与えれば、すぐにも解消できるようなことです。(福岡は井上D助さんがいますよね)しかも、お金もかからず。

ちなみに私の強みは、本物が分かること、です。大学山岳部でもなく、30代後半と体力のピークはとっくに終わったのちにスタートした登山歴トータル10年で、王道を理解できているのは、私の独学の強みが生かされた結果です。

■ 山岳団体の上の人が参考にすべき 雑誌

1)文登研 登山研修 https://www.jpnsport.go.jp/tozanken/tabid/215/Default.aspx

2)ヒマラヤ → 高所登山 日本ヒマラヤ協会

E-mail haj@kde.biglobe.ne.jp

3)Climbers  → 入手先不明

ロクスノは、どうも、偏った取り上げ方になっており、あまり読むべきところがないかもしれません。執筆しているメンツも40年同じ、みたいなことになっています。

■ そもそも、現代の若者は、雑誌というか、文字自体を読みません

言うまでもないことですが、日本山岳会とかの会報を見ても意味がないです。おじいさんたちが昔話を語る会になっているだけです。余談ですが、九州では、地域の町内会は、80代が権力のトップに立っており、その地で生まれ育った65歳でも、”まだ下っ端”だそうです。

同じことがクライミング界にも起こっており、80歳が、20代、30代の若者が主体のボルダラーに、クライミングの喜びを語れるでしょうか?無理ですよね!

とっとと50代、40代の実績がある、若者が憧れることができるクライマー、生き方を含めて価値を語れるクライマー、に権限移譲すべきなのです。(例:山野井泰史、山岸尚将、横山ジャンボ、小山田大、佐藤祐介、天野和明)

実績というのは、世界的な登攀ができるというのは基本的要件で、それだけではなく、視野の広さに基づき、現代の膠着状況に、解決案をもたらせる、という意味です。語れる、というのは、登攀グレードでは解決できません。知性と十分な社会人経験が必要です。

世界で登っていると当然ですが、国内で登っているだけでは見えない視野の広がりがあります。九州内だけでなく、他所も知っている、というのも視野の広さにつながります。

視野が狭い=視点が低く、第三の解、が出せないというので、突破できる案は発案できないです。

■ 提案2

Youtubeチャンネルで、トップクライマーが自らクライミングトークを録画して、月間1000円程度の有料コミュニティを運営して配布する、というのを日本のクライマーは誰もやっていません。

アメリカでは、アレックス・オノルド君やトニー・コードウェルが、クライミング教育チャンネルをすでにやっています。イギリスのヘイゼルもやっています。日本のトップクライマーも、安定した収入源を得る手段としてYoutubeは良い方法です。

トップクライマーと自認する人は、○○を開拓しましたと、お金には一円もならない結果報告だけの日記を上げるのではなく、自主財源作り(サブスクコミュニティ)に取り組んでみてください。

そういう話が私が協力したい方面であり、スポーツクライミングのコーチになりたいと思ったことは一度もありません。   (アルパインのクライマーなんだから当然ですよねぇ)

それこそ、現代的なクライマーの自己実現の道であると思います。 

(なら、お前がやればという声が聞こえてきそうですが、5.10止まりの人のクライミング指南を聞きたい人がいると思いますか? 私は何度も言いますが、海外でも一般クライマーと同等に登れますが、いわゆるアイドル=世界的クライマーではないですし、なりたいと思ったことは一回もありません。すごい人がどのような人なのかという日本人の発想の乏しさが問題です。別に私がスゴイという意味ではありません。)

台湾ですら、AMEGA有資格者から指導が受けられます。日本はどうでしょうか?