■ たんぱく質をどう扱うか?
体はタンパク質からできているので、食事からタンパク質を除去するのは、決して良い選択肢とは思えません。
私も長い間、卵と牛乳OKでのベジタリアンをつづけました。海外のベジタリアンに多いスタイルですが、肉は赤み肉を取り続けておけばよかったなと思っています。
歩き、縦走で重要なのは、心肺機能、血液循環で、血液はヘモグロビンです。ヘモグロビンって鉄とタンパク質が結びついたものなので、Feとタンパク質がないと縦走が弱くなります。
登攀で大事なのは、筋力。筋量は重くなるだけなので要らないけど、筋力は要りますよね。細マッチョがいい訳なので。
筋肉は、異化と同化を繰り返しており、ターンオーバーしています。
<臓器のターンオーバー>
胃 = 3 日
腸 の 微絨毛 = 1 日
子宮 = 30 日
肝臓 = 9 割 は 1 ヶ月、1 年 で すべて
腎臓 = 9 割 は 1 ヶ月、 1 年 で すべて
筋肉 = 9 割 は 1 ヶ月、 200 日 で すべて
血液 = 120 日
骨 = 3 年
松村勇杜. 医者に行く前に栄養で治す: 健康自主管理時代に分子栄養学のすすめ (Kindle の位置No.211-216). Kindle 版.
つまり、1月1日から、筋肉を含む身体を作り始めたら、山に登る日は、2月1日。完璧を求めるなら、200日後の7月20日ってことです。
■ 必要十分料を取るのは意外に難しい
肉200gで、40gのタンパク質しか摂取できないんですよね。なので、肉を200g毎日食べても、アスリートの体を維持するだけのプロテインは摂取できません。
また、プロテインが分解されたアミノ酸は、桶の理論で、過不足があると、過剰分が捨てられてしまいます。
肉だけで取ったアミノ酸は、不足しているアミノ酸のために100%は吸収されないということです。玄米にもプロテインがある!というベジタリアンの反論も知っていますが、リジン欠乏で、納豆やソバと摂取しないと、結局、余剰は捨ててしまうことになります。アミノ酸スコア100の、大豆や卵を取ることはここに意味があり、卵は一日3個です。一個50gの卵から、約6gのタンパク質が摂取できるので、18gです。
肉200gと卵3個で、40g+18g=58gのタンパク質だと、やっとこさ、体重58kgの人の最低需要が賄える程度です。
というので、激しい運動をしたり、筋肉の超回復でビルドアップ中の人は、これでは全然足りません。
となると、プロテインドリンクの出番になるかな?と思います。プロテインドリンクは手軽なので、もうこれを飲み続ければいいのではないか?くらいな勢いになりますが…大事なのは、
消化力がすでに十分あること
です。肉も、卵も、プロテインドリンクも、消化が行われていないと、体に取り込めず、便として排泄されてしまいます。ムダ金は使いたくないですよね(笑)。
■ 消化力=体力
私は勉強ができる人だったのですが、昔、同じような勉強ができる人と話題になったのが、そもそも、努力ができる体質の人とそうでない人がいる
という観察です。私は百科事典を広げて、分かりもしないのに夢中になって文字を追っている=ゾーンに入っている子供でした。他の子どもは文字を読んでゾーンに入ることができないのです。なので、理解力、というのはつけられない。
同じことが消化力に言えます。
消化力が低い子供に、高い子供と同じ量の肉を食べさせても、消化できないので、食べれないのです…私は給食食べれず、最後まで残っているような子どもでした…。
消化力=体格、です。体が大きい人は、内臓の機能が最初から高級車だったのです。体格が弱っちい人=体力が低い人は、消化して、体を作る材料を取り入れる機能が最初から、弱いのです。
ので、まずは消化の問題を解決しないといけません。
■ 虚弱タイプ=スープ とEAA にします
その場合は、ボーンスープ(ブロス)を使います。平たく言えばチキンスープ。
スペアリブでもおいしいボーンスープができます。あとは牛すね肉は、おでんの定番ですよね。おでんは汁に栄養が流れ出ているので、汁を飲まないと意味がありません。
チキンスープ、スペアリブスープ、スープおでん、スープカレーなどでアミノ酸の形式でタンパク質を摂取します。
朝食の定番にしたらよいかもです。
同じことで、消化を経ることが不要のEAAをプロテインドリンクの代わりに摂取すると、もれなく、体を作る材料が摂取できます。
なにしろ、消化酵素を作るだけでも、プロテインが必要なのです。
■ 怪我にはグルタミン
グルタミンはビタミンではなく、アミノ酸の一種ですが、外科手術のあとに使われる点滴に添加されるほどのものですので、怪我の後の回復にはグルタミンを摂取します。
消化が弱く、胃が荒れている人にも、グルタミンとビタミンAを摂取させます。(粘膜の回復)
■ マグネシウム
ここまででやっとタンパク質の需要がカバーできて、それから、次がさらなる機能性というか、その先の話ですが、
次に来るのは、どうもマグネシウムのようです。牛乳の害でマグネシウム欠乏の人が多い、ということになっています。
塩を高マグネシウム含有のものに変える。海塩にします。これはやっている人が多いと思います。今どき食卓塩の人は少ないでしょう。
こむら返りはマグネシウム欠乏ですが、それがあちこちで起きると具合が悪いですよね。というので対策は、
- おやつはイカ、カシューナッツ
- お風呂にエプソムソルト
- 経皮吸収のマグネシウムオイルを作り、習慣化する
です。ミネラルなので、サプリでの経口摂取はあまり効果的でないです。
この辺から、ただ食べるだけでは済まされなくなり、高度化しますね。
■ 脂質、もしくは、水溶性食物繊維
食事で気を付けるのは、次に食物繊維だと思います。
食物繊維としたら、日本人が取るべきなのは、海藻の食物繊維でしょう。マグネシウムなどのミネラルの補給にもなります。毎食、小鉢という形で付ける。酢の物にすれば、一石二鳥です。海苔を多食し、昆布でだしを補強します。
おやつに、おしゃぶり昆布もいいと思います。
食物繊維は、あんまり栄養というイメージがないので、スルーしがちですが、腸内環境の維持に要です。こんにゃくやゴボウなども、良いので、作り置きにして食べるとよいかもしれません。
■ オイル オメガ3
次の食卓の工夫は、サラダオイルを辞め、動物油脂、ココナツオイル、エクストラバージンオリーブオイル、オメガ3系オイル、MTCオイルに切り替えることです。
動物油脂というのは、グラスフェッドバターや放牧豚のラードです。エクストラバージンオイルはオメガ6系なので使い過ぎないようにし、炭水化物が吸収されるのが早すぎる害を防ぐ場合などに使います。
バターとMCTオイルを入れたコーヒーは、これだけで半日持ちますので、山で飲んだらいいかもしれません。
■ 野菜
糖質はわざわざとらなくてもついてくるので、野菜を取れば、勝手に糖質をとったのと同じことになります。米、小麦、などをわざわざ追加して食べなくてもいいということです。
糖質制限食では、一日の糖質量を20gなどに抑えますが、そういう風にしなくても、お弁当についているご飯をまるごとスキップするだけで、十分不要な糖質がへり、栄養バランスうが向上するそうです。
余分な糖質=体脂肪 です。
しかし、登山で言うシャリバテは、主に糖質の不足です。運動前に糖質、というのが、基本的に良い行為で、おにぎり、というのは、山の行くための準備食、なのです。体は糖質を利用して、それから、回路を切り替える用です。
なので激しい運動をする前は、糖質を摂取しても脂肪にならないチャンスです。筋トレでは、ないですよ。あくまでエネルギーをつかうもの。
ご飯をたくさん食べる人=肉体労働者、ということです。頭脳労働の人は、食べてはダメです。
■ アルコール、チョコ
ワインは体に良いです。チョコレートは、砂糖不使用のものに限って体に良いです。
■ まとめ
体に良いものは、総称で指定できず、個別銘柄、って感じです。
つまり、肉、とは言えず、赤身肉です。同じ肉でも、霜降りの松坂牛とか食べていたら健康になれません。赤身の牛肉は、現在非常に手に入りにくいようです。鶏肉でもささみばかり食べていると腱や筋が弱くなります。
週に2回牛肉、2回豚肉、2回鶏肉、1回は魚、みたいな感じに、繰り返し食べることが良いです。魚は毎食でもいいのですが、大きな魚は水銀が生物濃縮されているため、NGで小魚系がおススメです。
野菜も、ただの野菜ではダメで、無農薬有機で露地で栽培されたもの。今の冬に出回っていいるトマトは栄養ないです。
塩なら、ぬちまーすや雪塩。チョコはカカオマス。オイルはエキストラバージンオリーブオイル。MCTオイルやグラスフェッドバター。
という風に、かなり細かく銘柄が指定になり、オイルなら何でもいい、とはいかない。
■ 1週間必要な食材を書き出してみる
牛肉 200g ×2 =400g 豚肉200g×2=400g、鶏肉200g×2=400g 魚200g×1
卵 3個×7 =21個 約2パック
豆乳、豆腐などの大豆製品 100g×7
海藻 30g×7= 200g? 酢の物にして保存。タコ、イカ、エビなど1pと合わせる。
おやつ用イカ、カシューナッツ、いりこ、おしゃぶり昆布
煮て食べる野菜 大根、ゴボウ、など
生で食べる野菜 アボガド、人参、ネギ、レタスなど
ワイン 週1~2本
チーズ 一日、1~2個 25~50g
ボーンブロス用食材、
コーヒー、ハーブティなどのし好品
梅干し(クエン酸)、レモン、ブルーベリーなどの冷凍品
これで、いくらになるか?ということがまとまれば、一週間の食費が出ます。一週間が出れば、一か月が出ますね。