近所の自転車屋さんなら、最低5か所は巡ったし、福岡ライダー御用達、正屋も、はるばる行ったし、車を飛ばして色々行ったけど…マウンテンバイクという買い物は、すでに登山で洗礼を受けていた私にも、ホント難しい買い物なんですよね…。
■ 分かっている人がほとんどいない
というのは、メーカーの店、ジャイアントでも、マウンテンバイクは、”そもそも売れない”ので、知識がある店員さんがいない。店員さんがそもそも、「乗るところがないので、売れないんです」という。取り寄せると、納車は9月です、という具合だ。
形がマウンテンバイクでも、おいてあるのは、全部クロスバイク。違いはフレームを見れば、サスペンションがついていない。
サスペンションがないと、山は凸凹しているので、不快な乗り心地になるんだが、重さという代償もついて回るので、結局、その人の好み、というところに落ち着く。
しかし、初心者には、そんなことは分からないのに、店員さんは、ハードテイルにしますか?フルサスにしますか?とか聞いてきたら、売れるものも売れない。
一般的に、本格的なアウトドアアクティビティでは、初心者ほど、手厚いギアが必要だ。これは法則だ。
技術の不足をギアでカバーするためだ。クライミングで例えるなら、ATCではなく、ATC-XPを買わないと、初心者クライマーは、折り返しビレイの方法を知らないので、セカンドの確保ができなくなる。
さて、マウンテンバイクの話題に戻ろう。大事なのは、ディスクブレーキ。今どきディスクブレーキでないなんて、という言葉が、今どきグージョンでないなんて、という岩場と同程度の感覚だ。安物買いの銭失いなのだ。そこは、フレームがカーボンか?アルミか?というのとは違う。アルミでも良いものは良い。
私が今回、チャリを乗り換えたのは、規格的な問題だ。タイヤ径は、29インチ以外は市場から駆逐されつつある。
私は体が小さいので、29インチはかなり大きく感じられ、逆に小さいのを求めてしまったために、中古のマウンテンバイクを購入することになったが、その時も詳しい人が紹介してくれた相手から購入。それは、小さいほうが私はコントロールしやすいという誤解があったため。タイヤ径は大きくないと、障害物を乗り越える際の摩擦がたりない。業界もそれを学習して、タイヤ径が大きくなったのだそうだ。
■ 機能には金を払うが、承認欲求に払う気はない
それでも6万で、6万あれば、新品のクロスバイクは、平気で買える。
つまり、その中古バイクも、元々かなり高額だったってことだ。20-30万円はしたのだろう。人が見るたびにこれは、すごい、とうなる。
買った私本人は、どこがすごいのか、いまいちわからずに、自転車とりあえず何でもいいからないと、山を走れない!という気持ちで買ったからだ。
■ 冬靴を買ったときのこと…
思い出すのは、冬靴を買ったときのこと。1足目だが、大阪も東京も山道具屋、全部回ったが、置いていない。やっと出してきてもらった女性用の冬靴は、4年倉庫で眠っていました、ってものだったが、保温材がないものだったので、山が嵩じたら(=縦走はあっという間にマスター)、すぐお蔵入りし、ダブルブーツを買い直すことになった。縦走なら、ずっと歩いているから、シングルブーツでいいのだが、ビレイがある山を冬にするとなると、凍傷はリアルな脅威で、一回目で、指が黒くなった。
クライミングジムで、「あ、凍傷になっているね」と軽ーい感じで教えてもらった。本人は、あれ?靴が当たって豆になってる、くらいの感覚で、まさか凍傷とは思ってもみなかった。
シングルの冬靴→ダブルの冬靴、となったように、26インチのフルサス・ディスクブレーキ、カーボンフレームの中古MTBから、29インチのフルサス、メリダへ…。6万円から、20万円のステップアップになった。
アイスクライミングだけではなく、ダブルブーツはだいぶお世話になった。高かったがそれだけの価値はあった。シングルブーツは、今では、春山でしか出番がない。このメリダ車も、ガンガンお世話になる予定だ。
■ アウトドアの買い物の特徴…店員さん自体が無知
しかし、アウトドアの活動というのは、どんな活動でも、正解、にたどり着くまでに、紆余曲折させられる…その間の無駄な出費… シングルブーツは49800円で、ダブル6万円を買えなかったのは、店員さんが無知だったから(笑)。
店員さん自体が冬山を分からないし、アイスクライミングする女性にも会ったことがない。
一般にダブルなんて、高所登山する人しかイラナイと店員さんは教え込まれているが、それは、登攀がある登山が一切わからない人の頭の中。
山で登攀する=ビレイ時間はじっとしている=遭難した時と同じ、だ。冬山で体が、温かくいられるのは、ずっと動いているからであり、適切なウエアなどのギアが不足しているとき、凍傷を避けるために寝ないで行動し続ける人もいるくらいだ。
自転車も同じで、MTBのモンベルみたいな、ジャイアントの社員でも、山を走ったことがないし、走っている女性ライダーに合ったことがない。女性どころか男性ライダーすら知らない。MTBといえば、YouTubeで見るもの、みたいなことになっているらしいのだ。
だから、今の自転車ブームはロードバイクのこと。ロードバイクは本格的っぽ過ぎて怖いという人が、ハンドルがフラットのマウンテンに来るが、要するにほしいのは、かっこよさ。機能ではない。機能で買う人は、ニーズが満たされればすぐに購入決断する。
というので、今回はめでたく平山さんと繋がったことで購入できた。
機能的に過不足のない自転車を購入できたと思う。
■ 自分の価値を言語化するということ
平山さんは、たぶん、自分の価値をまだ全然、言語化できていないみたいだった。
クライミングで初めてロープを購入する前に、天野和明さんという世界中が尊敬するピオレドール受賞者に、9ミリ中頃、と教わって買った、みたいな感じだったが、この説明では、だれにもわからないだろうしなぁ…。
平山さんのマウンテンバイクの経歴もかなりスゴイ。が、それでは、彼の価値の説明にはならない。私のように、鼻が利く人にピン!とくるだけ。
彼には、マウンテンバイクを適切に”処方”する能力がある。 処方箋能力、だ。
平山さんのお店: https://allnevery.blogspot.com/2023/01/blog-post_13.html
■ 一般ピープル
平山さんのお店に1,2時間いたら、飛び込みのお客がだいぶ入ってきたが、どのお客さんも、山を走ったことがないので、ただ単に、
かっこいいから
というので、MTBを求めてくる人たちで、主たる狙いは、アスファルトの上をかっこいいアウトドア風(ホントの機能がないもの)つまり、ビームスが出しているようなアウトドア風衣類に身を包みたい、の一環としての自転車、を求めている人たちだった…。
一人のおじさんは、いい人で、山で乗る、用途がないだけが、ボトルネックのようだったのだが、平山さんは山に誘わない。その様子を見て、えらいなーと思った。
というのは、私はクライミングでは、外岩に出る資格の無い人を本格的という形容詞がつき、ある程度の覚悟がいる外岩の世界に呼んでしまっていたかもしれないからだ。それは良くない。自ら入ってくる人だけを助けるべきなのだ。それを自覚して、今宿のジムの店長なる人物は断った。なんも分かっていないボンボンだった。捨て台詞は、私が思っているより俺は分かっている、だそうだった(笑)。分かっていないことを分かっていない。
もう一人の女性客は、単なるかっこよさの追求がその人の求めているものだった…承認欲求ってことなんだが…。それだと普通の女性は、20万円とか払う気には、なれない。機能に”命がかかっていない”、”安全性がかかっていない”と、人間が承認欲求のために出せる金額なんて、たかが知れている。安ければ安いほどいい、みたいなことになるため、アマゾンには、2-3万円のマウンテンバイク風自転車があぶれている。福岡には、ブランド買い取り古着屋があふれている。
余談だが、安いマウンテンバイク風自転車は、ちゃんとしている人には、”なんちゃって商品”とバレている。それは素人さんでも分かるので、なんとかバレないメーカー名の、安物が欲しいのだ、そういう人は(笑)。
それで、ノースなどのちゃんとしたメーカーでも、ブランド名ロゴは付いているが、最高級ラインのハードシェルと同じ見た目の安物バージョンを売ってる。街着には十分だからだ。それで、ホントに最高級ラインを持っている人は怒る。誤解を受けるので。そのため、通にしか分からない小さい差をメーカーは付けないといけなくなる。自転車なら、それはサスペンションだろうか(笑)?
平山さんはそういうお客さんにも、丁寧に解説していた。
歯科タービンでセールス大阪府トップになったことがある私の意見は、このお客さんに機能解説するのは時間の無駄だよなーと思った。黙ってお客さんが欲しいのが何なのか深まるまで帰すのがいい。いい自転車なんで値引きはないからだ。値を引いてはいけない。
私以外のセールスは、値引き競争に参加してひどい目に遭ってた。
なんせ、お客さんが欲しいのは、緑色のおっされーなチャリで、ネックは価格であり、たったの6万円も承認欲求に出せないのだ。ウエアもなんちゃってアウトドア風で固めている人だったから、彼女の主訴がカッコよさであることは分かる。
私だったら、タダでもいらない、フルサスでもないクロスバイクで悩んでいるようだった。彼女が欲しいのは、ただの承認欲求で、悩んでいるのは、もっと安く承認欲求を満たしてもらいたいから。
福岡にはそんな人ばかりがあふれている。おっされーに金出す人って意味。ビームスとか、そういうの人気ですよね。あー、バカバカしい(これは私の私見です)。
余談だが、田舎の人は、なんちゃってアウトドア風の人とリアルアウトドアの人の区別がつかない。年配の人も同じだ。
だから、私が凍傷を避けるためにダブルブーツを履き、ビレイパーカを着ていても、おしゃれでそうしていると思って、ブランド物がどうたら、とぶつぶつ文句を言ってくる。
そりゃ、おじいさん、おばあさんは、氷点下でアイス登らないからいいよねぇ。
あるいは、農家出身の人は、誰にでも分かるブランドのロゴがついた服を着て、”田舎者だと思ってバカにすんなよ、ちゃんとしたものを着ているぜ”、と突っかかってくる。馬鹿にしている人、誰もいないのに、本人の妄想がそうさせるのだ。しかも、そのロゴが…ラルフローレンとかのひと昔前の奴だったりして、情報弱者ぶりを表現していて、痛い。
そんなこんなで、”承認欲求地獄”に生きている人が多いのが地方都市であり、猫も杓子もアークテリクスを着ている(笑)。大濠公園を大自然だと思って、自転車乗っている人がアークテリクスのヤッケを着て、ビアンキの自転車に乗って、自己満足している。大濠公園しかないんだから、仕方がないのかもしれないが…。それを指摘しても、大濠公園が本モノの自然じゃないことは分からないみたいだった。福岡の次の2番になる熊本では、闇はもっと深い。洋服代で身を壊す人もいる。
承認欲求だけの世界に生きているということは、本質的には、その人は、
まだ人生を生きていない。
つまり、気の毒ではあるわけだが、本人はそんなことは思ってもみない。6万円の自転車が買えない、のは、承認欲求に自分が囚われているためだ、ということすら分からないのだ。
ほんとに欲しいのが承認である、という自覚があれば、何を買えばいいのか?も分かるだろう。ブランドロゴがついた一番の廉価品だ。なんなら中古でも良い(笑)。
クライミングも同じで、”3級しか登れないのに、2段をノーマットで登りたい”、とか、”ロープがあっても意味がない、脆い岩場である根子岳が登れるようなアルパインクライマーになりたい”、とか、意味している内容は、
・私は自分の頭でちゃんと考えていません、
・私を動かしているのは、承認欲求で、皆と同じことがしたいだけです
という2点でしかない…。だから得るべきものは、仲間入り。
ベテランたちは、このような承認欲求に対して、寛容だ。
承認欲求には俺も動かされていたよなぁ、共感するよ!
ということで、受け入れられているんだが…その共感が、事故の温床になって、初心者ボルダラーがノーマットで外ボルダーをして岩場が事故り、事故で岩場が閉鎖になり、クライマー全員が登れなくなる。九州にはアルパインのルートが根子岳を外せば、ないと言えばないので、しかたないなぁ、うーん…と甘受しては、根子岳で延々と死者の名前の列が増える…。(脆いルートを何とかする技術もギアも、この世に存在しない)
そんな結末になっているのだ。
業界的教訓: 共感力は、生命を保存する方向に選択的に使いましょう。