2023/01/07

機能不全家族ニアイコール九州のクライミング環境

 ■ どこかで話題になっているんだろうなぁ…

昨日は、九州の4年の総括の話が、突然の閲覧上位リストにあがり、一体どこでどういう風に話題になっているんだろうなぁと思いました。

 https://allnevery.blogspot.com/2021/12/blog-post_16.html

自分で言うのもなんですが、私の立場から見えた九州の状況を、ホントに適切にまとめていると思います。

つまり、九州のジムは、岩登り大好きというより、クライミング人気にぶら下がるお金の方に興味があって、みんなやっているだけで、山好きでも、岩好きでも、クライミング好きですらないかもしれないってことですね…

こちらに来た当時の私は、脱・初心者しつつあるくらいのクライマーで、フリークライミングの登攀歴3年(アルパインはもっと前から)、10cを2,3便で登れ、11が初オンサイトくらいの実力でした。女性では普通のスピードですね。女性は男性のマイナス1グレードです。

海外での登攀も一人でこなせ、やっと自立できるようになってきたね~というころです。クライマーとしての自由をやっと謳歌しはじめたところ。

今は、心に受けた傷から、自己修復中です。全く孤立無援で大変な戦いでした。

■ 機能不全家族

私は子供のころ、厳しい環境で育ったので、自分に課す課題が厳しく、あんまり甘えないのです。甘えないというのは、相手に要求しない、って意味です。

山梨時代にいた家庭的な山岳会では、新人男子(30代、背高い)って、先輩どころか同期の私にすら、「トップロープ張ってください」って真顔で言ってきていました…しかも人工壁!で。 私は言ったことないです。逆に、「まだ、こんだけしか登れないのにリードしろ、リードしろ、と言われるんですが、してもいいんでしょうか?」な感じです。

考えてみたら、そういう風に甘えられるほうが、山岳会を家族だとすると、健全なような気がしますね。

■ ロープ持ってもらうのがふつうらしかった

私の、甘えない癖は、機能不全家族の出身によるところです。体格が劣る女性は当然要求して良い「ロープ持って」すら言わないので、台湾に行ったときは、パートナーの米国人男性が私のザックの重さにビックリ仰天し(カム一式とロープのクラックセットが入っていた)、強制的にロープは召し上げられました…。向こうは、めちゃ驚いていました。

これは、私がアイス出身だからです。アルパインアイスがスタートなので、そもそもザック25kgが定番でした。12~3kgだったら何も持っていないのと同じくらいの軽さです…。フリークライミングに来たら、感心されるので、は?と思っていましたが、考えてみたら、フリーのクライマーって全然、歩きがダメですよね…歩荷も。アイスはギアが重くて、まずはギアを担いでゲレンデまで行くところが核心です…。大体、遠い。小滝でも1時間は歩かないとつかないです。

この事件で、自分で自分に男性並みの要求を課していることが分かったのですが…、これって、日本の女性はみんなそうですよね? 一般社会でも、フルタイムで働いて家事して子供産んで、って、男性の倍以上働いて、男性と同等の給料は要求しないでいる。

(そのためか、世界中で日本人女性はお買い得商品と目されているようです(笑)。大人気です。その逆が日本人男性でお買い損と思われている(笑)。)

私も子供のころからその路線で、武闘派。家で母親代わりに家事して、家族の夕食を作り、その上、学校でも級長で成績も1~2位、生徒会連盟の仕事まで追加される、みたいな学生時代を過ごしました…いやー、マジ、疲れた、あの頃。嘘ではなく、過労で気絶したことがあります。

当時は子供で、世間の普通が分からず、社会が私に要求するがままにすると、そういうことになりましたが、大人になっても同じで、子供を産もうとすると働け、働こうとすると家族の面倒は誰が見るの?という具合で、女性の人生って、あのー、それって何人、分身いるの?不可能なんですけど?みたいな感じです。

クライミングでも、結局、同じで、男性と同じ基準で女性を裁くならば、女性への負担は、倍増どころかべき乗です。なんせ元のパワーが小さく、背も低いのでリスクは倍増で、能力的には半分なのに、リスクは普通の人より大きい訳で、技術的要求度も高いわけですから。

同じ1年の経歴なら、5.11登れる男性より、5.10登れる小柄な女性の方が、純粋なムーブの力は上かもしれません。なんせ、私の先輩はフィジカル強い人でしたが、5.12RPの実力があっても、アイスではムーブ私の方が上でした…それを考えると、あまりムーブの洗練が無くても5.12までは男子は登れちゃうんだということですから…。

女性でパワーや身長に不利がある人は、車に例えると、軽自動車でオフロードを走らされ、高速道路を80㎞でなんとか走っているみたいな感じです。

その女性の私と比べても、

 昨今の新人男性は、全く登れない状態&ロープワーク白紙状態、で岩場に現れる

と思います。

それは前述のように、彼らが、健全家庭?で育っているから(笑)。

こちらは車で例えるとベンツなのに、高速を40㎞で行くようなものです。160㎞出るのに、40㎞。まぁ、それでも、同じところにつきますけど。

 先輩、トップロープ張って~っていうのは、男子ですよ、近年。直接、言わなくても、先輩をおだてて岩場に行き、岩場で、僕のぼれません、僕無理です、と言えばいいだけ、と分かっているので、ちゃっかりそうするようです。

そのような男子には、先輩たちも用心深く、ガラスのハートを守ってやっているようで、

 それくらい自分でしなよ、いい加減リードしろよ、

とか言わない。トンデモビレイをしていたとしても、誰も指摘しないです。ちょっとした指摘で拗ねて、来なくなるから。まさに箱入りです。

でも、そのような会の在り方のほうが、「お前、こんなのも登れねーのか」という旧態依然の根性路線のよりは、いいのかもしれません。

甘えさせる母親と厳しい母親どちらがいいのか?みたいな、答えの無い問いのように思いますが。

■  機能不全家族

機能不全家族の要点というのは、

 子供を守ってやるはずの親が脅威になっている

って点です。

 新人を守ってやるはずの仲間(山岳会、指導者)がむしろ脅威になっている

というのが九州クライミングとの類似点です。

なんせ、指導者と自認する人自らが、スポーツクライミングのようにポロポロ落ちるクライミングを、40年経過したカットアンカーで実践してみせ、ルートでは残置に頼って実践し落ちるている、ということなのです。

あるいは、指導者の側がやってはいけないビレイをしているとか。指導中のクライマーより登攀できないとか。

なので、守ってくれるハズのものが逆に、脅威になってしまっています。

それが私には過去のデジャブーとして再現されるので、ダメです…。この関係性では私は安心して登れません。

つまり、機能不全家族の連鎖、みたいなことになっているってことです。

■ 指導者に再教育が必要

結局、その指導者もクライミングの指導は、受けていないので、そうなってしまったんではないでしょうかね?

あるいはビレイでも同じですね… ビレイは、座ってやってはダメだとか、支点ビレイは使わないとか。

フリークライミングのビレイをしないとだめですよね。

スポーツクライミングのビレイは、コンペビレイです。オーバーハングしたところを落として止めるビレイを、ランナウトした外岩課題でやったら、グランドフォールになります。なんせ、後ろに走れ、くらいなビレイが必要なんですよ?

アルパインクライミングしか存在しない時代のクライマーのビレイは、基本お粗末です。落ちた人を止める経験値はゼロだからです。

その上、アルパインルートだと自慢しているのに、ボルトルートです。本州のアルパインロックでは、残置はそもそも使えないように、抜かれているのが現代の在り方です。

残置に頼ってはいけない!

というのが、アルパインをやっている新人に最初に言われることです。

九州ではイケイケ自慢なのに、ボルト信仰、ボルト=安全、という信念が出来上がっている

のですが、これは全くの誤解です。

カットアンカーなんて、1本100円以下しかしないんですよ?今どきクライミングジムのホールドだって、1ホールド数千円とかですよ?しかも、その100円のが40年経過していて、異種金属っていうのが、普通になっている状態です。 まさにロシアンルーレット。


 あなたが人の親だったら、子供にこんなルートを登らせるでしょうか?

■ 機能不全家族の連鎖を止める

結局、きちんとした教育がない、というのが問題の発生源だけれども、今指導している人は、自分もきちんとした教育は受けていないので、

 ハイハイ~落ちていいよーしか言えない

のだろうということです。

(正しくは、外岩では3ピン取るまでは死んでも落ちるな、です。そう思っていても、新人は1ピン目で落ちるものなのです)

クライミング教育に関して言えば、

スポーツクライミング、フリークライミング、アルパインクライミングの3つはしっかり区別する、

ってことです。これをちゃんと教育としてできているのは、

 親がクライマーだった2世クライマー教育

だけのようです。

現在、トップクライマーとして名をはせている人たちは、ほとんど、クライマー2世です。

親がクライマーならば、後輩には人ごとのように、”自己責任でしょ”と言って突き放し、教えないクライミング教育も、自分の子どもに対してならば真剣です。本音を言うでしょう。

私の師匠だった青ちゃんも、私には娘に語り掛けるように本音で語ってくれました…そりゃ死なれたら、困りますよね。

逆に言えば、2世クライマーのように、自分の命をしっかりジブンゴトとして考えてくれる指導者がいない一般クライマーは、丸腰で挑んでいるので、よほど用心していないとかなり危険ということです。

山岳会も、用心しないと機能不全家族状態です。

きちんとした指導を受けていない先輩、というのも同じで、ちゃんとしたトップの責任は取れない自分の行動を棚に上げて、セカンドに遅いとか、文句言うレベル感です… トップには責任がある、ということ自体が学び損ねているんですね…。

ということなので、一般の市民クライマーは、本州で研修を受けましょう。

 

      こういう課題設定でリスクをピックアップする訓練をしましょう