2022/04/08

【訃報】村上周平先生

 ■訃報  村上先生

山岳総合センターのリーダー講習で、私の班の講師をしてくれた村上先生が、突然亡くなられていたことを昨日、知り、ショックです…


■ 引っ越してきた人はメンバー集めができない

パタゴニアで講演会があったので、その機会に、七倉沢での雪訓を提案しようかと先生にメールを打ったら、返事がなく…お忙しいんだな…と思って断念したところでした…。

去年もチャレンジし、去年はコロナで講習シーズンの先生の予定が空いていたので大チャンスでしたが、有効な数のメンバーが集まらなかったんですよね… でも雪上訓練なしの冬山なんてありえないし…。

というのは、こちらの若い人の会を毎年見ていますが、会の最大のイベント冬山合宿がなかなかきちんと催行できないでいるからです… GWの雪訓が無ければ、誰だって本格的な山には踏み込めませんから、仕方ないよな…と見ていて気の毒だったのです。

その前の年も、危急時講習を開いてもらおうとしたら、講師料は無料でいいよ!と先生は言ってくれたのでした…

しかし、残念ながら人を十分集めることができそうな見込みがなかったのです… 引っ越してきた人というのは、知り合いゼロなので…

■ いわゆる”登り返し技術”などは、”危急時講習”で教わる項目であることが新人さんは分からない

55mの登り返しができない人は来るな!という話題が、フリークライミング協会関係の人のブログに上がっており、現代のフリークライミングのクライマーの技術不足によるチャレンジが、問題視されていましたが…

神須ノ鼻のこちらの記事 http://blog.livedoor.jp/jamminggentleman/archives/28868811.html 

登り返し技術って、フリークライミングの教科書の中に出てきませんよね? ビレイ講習とかトップロープ講習、リード講習というのは聞いたことがあっても、

 懸垂下降講習、

 ローワーダウン講習、

 登り返し講習、

 自己確保で登る講習、

 ビレイヤーの自己脱出講習

 介助懸垂講習

…とか、フリーの世界で、聞いたことがないです。

ユマーリングというのは、エイドクライミング、ですから、フリークライミングを教えます、と標榜している講習が教えなくても、普通のことですし…。

エイドの技術も、要る、必要性がある、という自覚が、フリークライミングの指導者の意識の中には、存在しない訳で、教えられていないものを、ジム出身のクライマーに求めても、そりゃ無理だろうと思います。

アルパインの技術講習の中では、上記のようなことはすべて、

 危急時講習

に含まれます。しかし、危急時講習ときけば、フリークライミングのクライマーは、

「緊急で危険…って、フリークライミングでは起こらないからなぁ…」

ということで、誘っても誰も来ません。甲府時代もフリーの友人をレスキューの講習に誘いましたが来ませんでした。

こういう仕組みで、フリーの人たちは教えられそこなっているのです。

山岳会に属していない人たちはなおさらですが、昨今は参加していても、指導体力がない、ということがほとんどのケースになっています。やっても表面だけで実践できないということです。

アッセンダー&マイクロトラクションによる登り返し

https://allnevery.blogspot.com/2021/04/blog-post.html

https://allnevery.blogspot.com/2021/04/ct.html

ダブルストランドでより安全なバージョン

■ 後悔… 人の命はひと時のことなのだ…

去年、自腹を切ることになってでも、何としても頑張って、やっておけばよかった…。

人の命は突然失われることもあり、時間は無限でないと、弟の死で分かったはずなのに、やはり、また同じあやまちを繰り返してしまいました… 

村上先生は、チャーミングな方でした。

私が打った、ゆるゆるのハーケンをこっそり抜いて、後ろ手に隠して生徒を慌てさせたり、ザックに荷をつめるのが遅い人たちを、ボケっと待っていたら、先生が「すいません!」と言ってきたり…、それで、パッキングが遅いというのは、ダメクライマーって意味なんだなぁと… そんな風な指導をしてくれた、先生でした。

リードの仕方を教えてくれたのも先生でした。立木で支点を取りながら、簡単なところを登っただけですが、霧が晴れるように、意味が分かった瞬間でした…。なので、私も同じ教え方を後進の人にはしています。リードクライマーに付き添わせて、同じことをさせる、という教え方です。

八ヶ岳のバリエーションに行くときは、先生の知り合いであることで、少し安心が増えた。

先生は遭対協の方でした…

八ヶ岳の救助では、愚かな記録が多く、いつも怒っていましたっけ… 私が一人で、阿弥陀北稜に行った時は、万が一の保険になってくれました…。

あの時は、海外から取り寄せたドッグボーンがなぜか大量に来て、先生に引き取ってもらったのでした…。バリエーション後に引き取りの約束をしていたので、私が現れなければ、先生が遭難に気づくだろう、という段取りになっていました。

先生の安らかなご冥福を祈っています。