行かないことをお勧めする第一のルートが根子岳です。
本州でも、きちんと情報を持っている(つまり伝統と繋がっている)クライマーは、穂高屏風岩には行きません。群発性地震で、脆くなって以降、行かないというのが定番になっています。実は最近、山梨で一緒に登っていたこともあるクライマーが、同所で遭難して一人死亡、友人のほうは大怪我でした。同様の場所が根子岳。
以降、2名のクライマーの言葉を引用しておきます。
ーーーーーーーーーーー
最近、インドアでガンガン登れるので勘違いして外岩にでも登れるだろうという若い人が増えたようなので注意が必要ですね。
ボルダーで段が登れると自慢していた人が、県体壁のリードで5.10台でテンションを掛けるのは珍しくありません。マルチ特に本チャンになったらなおさらですね。(※ 私個人の経験からも、”5.9の外岩がリードできないのに、エイハブ船長1級は登れる”のが若い男子でした…。ボルダーのグレードをそのままリードのグレードに置き換えるのは危険です)
阿蘇の鷲ヶ峰にはうちのメンバーには行くなと言っていますが、各地の若い人が登っているのが気になります。ここは、クライミング自体は易しいですが、
自分の立っている岩自体がいつ崩壊してもおかしくない状況です。
そんなことも気にしないで登っているので昨年の根子岳での死亡事故も
「やっぱりな」と思います。
安全なクライミングを広めていきましょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーー
阿蘇の鷲ヶ峰、虎がは昔からもろくて有名でしたが、根子岳は熊本地震前は安定していて私たちも時々行っていました。熊本地震後はアプローチのヤマタガウドルートは登山禁止になっているはず(解除されたという情報は持ちません)ですし、縦走路も天狗の南面が崩壊してしまったのでその後行く事はなくなりました。縦走路は本チャン入門としては最適でした。安全面でキチンと判断+指導できるリーダーがいれば入門者の訓練とかアイゼントレーニングとかには良いところだったのではないかな?と個人的には思っています。九州には他にはそんなところはありませんし・・・
日向神の愛のエリアとか比叡山とか龍頭泉もそうですが、1本目が遠すぎるような気がします。日向神については開拓者の一人と話をしたことがありますが、ご本人も「今考えると遠すぎる気がする。今となってはルートのグレードとかの問題もあるしボルトを打ち足すこともできないしね」と言う事を言われていました。
比叡山は極端です。あれは肝試しと同じだと思います。登山初心者がジャンダルム縦走をしてドヤ顔するのとあまり変わりないんじゃないの?なんて個人的には思います。鉾岳なんて30mピン1本が当たり前みたいな打ち方です。開拓者を尊重しなければいけないことはわかりますが、それも度が過ぎると...。
山をやってきてクライミングに進んだ人と始めからクライミングしかしていない人では温度差はありますよね。アブナイ人はどっちも危ないですが、アブナイ内容はちょっと違います。
野口あきよさんがいつも言ってるように「世間の人にクライミングと言うと、アッあの危ないやつね。と言う返事が返ってくる。クライミングは安全に楽しめるスポーツだと言う事を私は世間に広めたい」・・・本当に安全に楽しめるスポーツにしなけりゃですね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■ 登山史、山の本を読みましょう!
山の本を読むと、阿蘇の山では死者の列が出来ています。
『九州の岳人たち』など、図書館でもいくつか出ていますので、よく読まれてみてください。(私は九州に来て一冊目に読みました)
合わせて、日本国全体のクライミングの歴史が分かる、現代登山史を読むこともお勧めします。
RCC Ⅲ級、Ⅳ級の程度の低い脆いルートで墜死し、行縢の椿のようなルートへ行くことを逃す機会損失の無意味さをかみしめてもらいたい気がします。
そもそも、現代クライマーが命をかけるべきところはそこではないよ、って意味です。
その意味が分かるには、クライミングの歴史を一通り知るしか仕方ありません。
■ 行縢 椿
2022年1月8日にフリー化されたマルチです。
ロープスケールおよそ180m、6Pのマルチピッチ
https://www.climbing-net.com/news/tsubaki_220110/
http://blog.livedoor.jp/jamminggentleman/archives/26310298.html?fbclid=IwAR3eVo37247UzgxQEmOHwNX6bqEb6BaEyDkGgWNlM4FHCThgoGQPcB_10zw
ーーーーーーーーーー
昨年テルくんが登った行縢山の椿5.14bを全ピッチリードでRPしたそうです。
ーーーーーーーーーー
現代アルパインクライミングのトップクライマーらは、古いOldButGoldな壁のフリー化に向かっているようですが、基盤となっているのは、5.12がスイスイ登れるレベルと確実なプロテクションであって、まだ9も登れないうちから、肝試しコースではないかもしれないです。
ちなみにOLDButGOLDは、杉野保さんの著書のことです。https://amzn.to/336d2GP
肝試し(脆さの追求)を積み上げてしまうと、論理的に考えて、人間の力は自然界の力より劣るので、どうしても、確率の問題で、大自然に命をさらわれていくことになります…つまり、脆い山をわざと登るのは、ロシアンルーレット、です。
足元の大地が大丈夫、というその根拠は何ですか? 根拠がしっかりしていることが一番大事です。
■ 山にイチかバチかはない
山にイチかバチかはない…と私は最初に教わりました。
たとえ、脆いアイスを登って、「アイガー北壁」みたいなロープになったこんなルートでも、落ちないという確実性があるから登ったのであって、イチかバチかをしたわけではありませんでした。
こちらは私の、新人時代の一本です。非常にもろい溶けたアイスを登った記録。
中津川滑沢 http://iceclmb.blogspot.com/2014/02/blog-post.html
アイガー北壁ロープ、と冗談で言っています。雪稜用を岩用と併用するのはNGです。