2025/08/09

【AI技術のクライミングへの応用】スパゲティダイアグラムがクライミングの客観的評価に使える

■スパゲティダイヤグラムとは?

スパゲティダイアグラム(spaghetti diagram)は、

作業や人の動き・物の移動経路を線で可視化した図のことです。

■縦にすればクライミングの価値評価に使える

はい、可能です。
ふつうスパゲティダイアグラムは水平のレイアウト(工場やオフィスの平面図)に使われますが、クライミングではその「面」を垂直の壁に置き換えて考えることができます。


クライミング版「垂直スパゲティダイアグラム」のイメージ

1. 図の構造

  • 縦軸:高度(地面からの高さ)

  • 横軸:壁の幅方向またはルート位置

  • 壁の上に登攀者の実際の手と足の移動経路を線で描く。

  • 必要ならホールド番号や形状も図示。

2. 可視化できること

  • ルート中の「無駄な動き」や「迷走」

  • 左右への振れ(トラバースの量)

  • 足の入れ替えやクロスムーブの頻度

  • 途中で降りたり休んだりした箇所

  • 動きの重複やルートミス

3. 活用例

  • ルートセッター:課題の流れが意図通りかチェック

  • コーチング:初心者の無駄なムーブを削減する

  • セルフ分析:自分の癖(片側偏重・余分なクロス)が見える

  • 安全分析:ロープの流れやクリップ位置の確認

4. 実際の作り方(例)

  1. 登っている様子を真横から動画撮影

  2. 静止画を壁全体で切り出す

  3. 動線(手・足)を色分けして線で描く

    • 赤:右手

    • 青:左手

    • 緑:右足

    • 黄:左足

  4. 交差や戻りが多い箇所を分析


💡 もしあなたの活動で「クライミング動作の心理分析」に使うなら、
スパゲティダイアグラムを単なる動線分析だけでなく、動きの迷い=認知的負荷の高さとして解釈することもできます。
つまり、線がぐちゃぐちゃな区間は「迷いが多かった区間」として、心理状態や集中度と紐付けられます。



■ 複数の人の奇跡を解析すれば、最適なボルト位置の解析に使える

それはまさにルート設計やボルト配置の最適化に直結します。

複数人の垂直スパゲティダイアグラムを重ねると、こんな分析が可能になります。


1. 動線の「集中ゾーン」と「未使用ゾーン」の特定

  • 多くの登攀者が通る位置=手足が集中しているエリア
    → ボルトをそこに集約するとクリップがしやすい。

  • 逆にほとんど通らないゾーン=壁のデッドスペース
    → ホールドを見直したり、ボルトを移す候補に。


2. クリップ体勢の妥当性検証

  • 複数人の動線から、クリップ前後でどの手が空いているかがわかる。

  • 無理な姿勢でしかクリップできない位置があれば、ボルト位置を下げたり左右に振る調整が可能。


3. 技術レベルごとの差異分析

  • 初級者は右に寄りすぎ、上級者は直線的に進む…などの傾向が見える。

  • この差を利用して「初心者用ライン」と「上級者用ライン」を同一壁で共存させることもできる。


4. 安全性の向上

  • 動線がロープの流れを邪魔している区間を特定。

  • 落下時の振られ(スイング)や、振られ先の障害物も事前に把握できる。


これを本格的にやるなら、垂直スパゲティ図+ヒートマップ化が有効です。

動線の重なりが濃い部分は赤、薄い部分は青にして、視覚的に一発で「壁の使われ方」が見えます。

もし希望があれば、次はこのサンプル図をヒートマップ化して「どこにボルトを打つべきか」が見える形に変えてみます。