2020/03/23

クライミングガイドが要求する安全マージンとオールドクライマーが要求する安全マージン

斜陽
■ 薄い安全マージン=オールドクライマー

先日、私より10歳くらい年配の初心者クライマーとジムをご一緒した。と言っても、私は負傷で見ているだけだ。彼女はジムグレード5級が登れていなかった。

のにもかかわらず、斜陽(5.9)という非常に事故が多い課題をRPできたと喜んでいたので、なるほどなーと思った。彼女はオールドクライマーと登っているのだ。オールドクライマーの価値観は、蛮勇、だ。

■ 厚い安全マージン

私はクライミングをスタートしたころ、クライミングガイドをしている石田登山教室の石田さんに小川山で会ったことがある。

たまたま、金峰山登山の前泊でテントが隣。それでキャンプファイアを見ながら、言葉で言えば、ランナウト、という言葉の意味などを教わった。

石田さんの教室では、インドアリード壁で5.11が登れるレベルというのが、外岩デビューレベル、とあった。

これには議論があり、5.11へ行くのは結構時間がかかるため、ガイドが儲けるためだろう、と悪口を言う人もいた。

しかし、私は、ガイドさんにとっては、お客に怪我をされた場合のことが気になるはずで、決して怪我や死亡事故だけはさせるまいと考えるはずだと推理し、一応、このグレードと意見は、心に止めておいた。

私自身は、会の先輩と行くときは、5.5でいいので、リードということにしていた。最初の師匠の鈴木さんの方針だった。

ただ先輩によっては、後輩にクライミングさせるのは、自分の登攀のついで、という人もおり、そうなると、後輩は自分にとっては難しすぎる課題に取り付くので、TRになってしまう…ので、私は自分の会で、5.5をリードしているころ、別の会で、5.11bなどをTRしていた。師匠は私が登る、落っこちそうな5.7を真剣にビレイしてくれていた(笑)。

それから2年後…

結局、5.9がオンサイトできるまで2年半かかった。

たぶん、このころ、ベースキャンプでは、5.10dくらいまで登れていたので、このレベルがおそらく石田さんが言っている5.11レベルなのだろうと。段級なら5級が登れるレベル。私は辛いと言われているピラニアの5級は少数の苦手課題を残して、比較的登れたので、それくらいで、やはり外岩デビュー期、だと思う。

後は、どんどん易しい課題をリードしてリード経験を貯めればいいのだが、日本ではボルトの関係で、それがしにくいので、やはり、海外が良いと思う。

先日ご一緒した方は、ジムでのムーブを見ていると、まだぎこちなく、クライマーらしさは今から、みたいなムーブだったので、その技量で、重大事故が多い5.9の斜陽をさせられたということで、大変、気の毒な気がした。(本人はそうとは知らないで平和だと思うが)

■ 自分のリードに向いた課題

私自身も、課題を選ぶ、という視点は、初めて5.9がオンサイトできたころは持っておらず、そういう時点で、つっこむことがクライミングだ!というクライミング文化だと、死亡事故が多い、ということだと思う。

特に若い男子は、安全とプライドの天秤では、プライドのために安全を犠牲にしてしまい勝ちだ。

■ 外は十分グレードにゆとりを

ジムで十分グレードや技量をあげたとしても、外岩は別の技量がいるので、やはり、5.5をリードしながら、5.11をTRでもいいので触るというような、二刀流は必要だと思った。

外には外の安全対策がいるのだ。

■ ランナウト

結局のところ、ランナウトした課題は初心者は避けるべきだ。落ちた時、ボルトが信頼できない、怪しいボルトも避けるべきだ。

絶対落ちないところしかリードしない。これでいい。初心者のうちは。

二人目の師匠、青ちゃんがかなり私に登らせる課題は選んでくれた…。私は女性なので、オーバーハングは苦手で、スラブなら何とか…ので、今さらながら、ありがとね~と思った次第。