杉野保さんのOBGをお送りいただいて読んでいます。こんな素晴らしい記事が連載されていたとは…。私がクライミングを始めたころのロクスノには、あまり私が読んで楽しいような記事はなく、まぁお金の無駄遣いと思えることの方が多かったんですよね。
ロクスノや岩雪は図書館に置いていない。その上、価値ある記事ばかりではなく、まぁクライミングの流れ的にちょっといかがなものか?と思える記事もあるわけなので、良い連載は、単行本の形にして、抽出しておいてもらいたいものだ。その一つが杉野保さんのOBGであると思う。
■ シュテファン・グロヴァッツのNinja 5.14a
で連載は、クラック時代の名課題から、当然ながら、フェイスルート全盛時代へ移っていくわけだが、その皮切りが、Ninjaでした。小川山のお殿様岩の裏にあるそうです。
Google先生に、お殿様岩と入れても、別のマルチがアップされるし、Ninjaと入れても、第9登を誰かがした、ということしか出てこないため、まぁこのルートの歴史的位置づけというものを知ることがネット上から可能か?というと不可能でしょう。
ネットというものは、最近誰かどこを登ったか?というような、近視眼的情報は得意ですが、歴史的アーカイブというのは、まぁ今から。Ninjaが登られた時代を知らない人は、それを知ることができる立場… 有力山岳会につながり、先輩たちから正しい情報を受け取る、と言うことがない限り、それは難しいのだろうと思います。
私が知っている、ちゃんとしたクライマーと言うのは、大体、もともとちゃんと機能している山岳会の出身クライマーであることが多いです。山梨で言えば、白鳳会レベル。長野であれば、CMC。
ハナシが逸れましたが、シュテファン・グロヴァッツのNinjaは、当時日本の基準を大きくかけ離れ、様子に誰も登れない課題だったそうです。日本男児の矜持ピンチ? かどうかよく分かりませんが、日本の男性には、ものすごく根強い、”外人コンプレックス”があるような気がします。それは肉体的強度において、です。
でも、世界的に見て、地図のはしーっこにあるような、辺境の国、日本までわざわざ来るような人たちって言うのは、市井の普通の人であるはずがなく、ドイツ人の中の最強クライマーじゃないかぎり、そんな辺境の地まで来ないわけで、そういう人たちと、市井の人間を比較する思想自体がそもそも、無理って言うことを思います。なんで、それで奮闘しちゃうのか分かりませんが、おかげで、日本のクライマーは現在、世界列強列伝に名を連ね中で、ひょうたんから駒?的な展開を遂げていますが、それは佐藤祐介さんレベルだけの話ですからね。一般クライマーは、冷静になって、普通の市井のクライマーと普通の市井のクライマー同士で位置づけを理解してください。そうすると日本の一般クライマーは、アメリカなどの一般クライマーと考えると、まぁどっちかというと頭がお花畑っぽいようです。
Ninjaですが、検索では11登者の情報が出てきます。こうした歴史的ルートの再登情報こそ、無料のアーカイブ空間が広がるインターネットが適しているかと思いますが、その前の再登者名はにわかには出てこない。
佐藤祐介 11登
https://www.climbing-net.com/news/satoyusuke_181118/
渡辺海人 9登目
https://www.climbing-net.com/news/ninja_171113/
京屋仁さんの記録
https://www.karrimor.jp/ambassador/k-1.html
吉田さん 2登
https://micki-pedia.com/yoshida-kazumasa.html
シュテファンのHP
https://www.glowacz.de/en/?fbclid=IwAR3TZAleIus-MG7Y42k0I9GiVKMEI4deYCuqqycSoFoeU2kN_4gdnGSu_mY
Ninjaのリボルトについて
https://freeclimb.jp/news/news2012_3.htm?fbclid=IwAR1fC88ikf-L6BhH0mlUOlgZ-v149Bx4P6kimynkW3f_1f26sWU9M76riiY#ninja
とまぁ上記のような情報が得られました。
■ ラッペル+グランドアップ=ドイツ人方式
OBGによると、ボルト位置の悪さは、ラッペルでボルトを打ちながらも、あえて、適切なボルト位置にせず、グランドアップでのトライで、完登を目指したという、ドイツ人の心意気を見せてやる!というような話らしいです。22mで5本しかボルトがないそうですが(笑)。
冒険的=心理的に怖い
という公式になっているようで、なんだか「お前階段何段飛べる?」と同じで少々がっかりしたような気もします。落ちることができないらしく、JFAのリボルトでは位置が改正されています。 今や、5.14も楽しんで登る時代ってことですかね。5.12は上級者ではなく、中級者ですから。
そして、Ninjaは
ボルダームーブをルートに生かせる課題
だそうです…高難度ボルダー3連発。
こういう世界トップレベルの人が取り組むべきゲームが、ラッペル+ボトムアップ=ランナウトあり の世界。
フリーはアルパインの基礎力だから、という理由でフリーをするクライマーとはまた違う話のような気がします。世界レベルの人が世界レベルの難度でやるゲーム理論を、安全管理能力が未熟であることが当然の、初級者がやるのは超無理がありませんかね?と思ったNinjaの紹介記事でした。吉田さんの偉大さをかみしめ中です(笑)。
Ninjyaは『Rocks Around the world』という本の取材目的で取り上げられたそうです。
https://amzn.to/2TZXprK
1500円行かないぐらいで入手可能です。