2021/12/28

自分が得意なことは何ですか?それを活かせる立場は何でしょう?

■ 長女キャラ

もともと、長女で親のコントロールが強い中で育ったので、顔色を窺って相手に気に入るようにふるまうというのが、デフォルト設定です。

全体の中を見渡して、素早くリスクを拾うとかも得意です。

■ 客観性

私は後立でバイトしていたのですが、遠見尾根は、7時間とコースタイムにあります。私は4時間20分でした。当時。若い男性は3時間半で登ってきます。これらを総合して、コースタイムの方が改ざんされている、と気がつきました。

『山と高原』の地図が作られた当時のメインの登山者は30代男性、”標準”コースタイムは、30代の男性がテント泊装備を背負ったケースで想定されていたそうです。一方、現代のメインの登山者像は65歳で定年退職した高齢者とか、オフィスの仕事でめったに運動しない都会人とかです。

そのようにメインの登山者像が変わったので、標準コースタイムを倍に伸ばしてあるのです。

決して私が優れているわけではないです。

ある日、午後から雷の予報でした。私は遠見尾根4時間半で歩けるので、当然8時には登山口に立っている予定でしたが、登山したことがない小屋バイトが今日入山するというので、一緒に登ってほしいと事務所に頼まれ、なんと1時間も待たされました。

もう、その時点で今日は最悪の日になると分かっていました…。実際、初めて登山する人が歩くには遠見尾根は大変すぎる登山道なので、予想通り小屋入りは15時。雷に稜線で遭遇し、私の脳裏には、西穂でバタバタと学生が落雷で死んだという遭難事故の記録が蘇りました… 雨の流路をたどって電気が流れるので、水たまりを避け、いつでもハイマツに逃げ込むつもりで歩き、小屋に入ったら、寝込みました…。いや~、最悪の山だったなー。

■ 山岳会のリーダーが持つ連れて行ってあげたい症候群リスク

後は、鎌ナギが最悪の山でした。なんせ連れて行った人が、標高差300mを1時間で歩けないおじさんを含む中高年パーティでした。鎌ナギに着くと、底巻きしないといけないのですが、標高差1700mを底巻きって丸一日別の山を登るのと同じことです。

その上、私とリーダー以外のメンバー5人は、懸垂下降もそこで初めてするのです…。一人が懸垂のセットに15分かかっていたら、5掛け算すると、それだけで1時間以上かかります。そこで無理です!とすぐに声を掛けたのですが…。リーダーは、「それはあなたの意見でしょ」と怒るし…。

一般に登山しかしない、フリーのレベルを味わっていない往年の登山リーダーは、リスク認知が甘く、クライマーが一人いるだけで、その突破力で、すべてが解決できるとバラ色の戦略を考え勝ちです。この時も鎌ナギを底巻きではなく、リッジ登攀で乗り越えて行けると思っていたようでした…私がクライマー役で。

鎌ナギは、超脆い、ただの泥尾根なので、プロテクション取れません。5.13が登れる地元クライマーでも、底巻きで回避して通過しているようなところなのです。脆い場所は、どんな優秀なクライマーでも安全には登れません。

というのは、前知識がなくても見れば分かるような鎌ナギでしたが…見ても納得してくれず、数ピッチ降りても納得してくれず。結局、時間切れでエスケープルートを取り、下山は夜になりました。

信頼されているリーダーでも、こうなってしまうんだなぁ…と良い勉強になりました…。

最初から、標高差300mを1時間で歩けない人を読図で行かねばならない山とか、懸垂下降が必要な山に連れて行きたいという親心…?が、危険だなぁと思っていました。

昨今、山岳会は、人気がなく、人を集めるためにリーダークラスの人は、無理という初心者サービスをしがちです。著名な山、有名な山に連れて行ってやり、喜んでほしい、そして会に根付いてほしいという気持が強すぎるのです。そして、その無理をサポートしてくれる人を良いメンバー、と思いやすいのです。

しかし、もともと、”Aという山を登るために必要な最低限の登山者の能力”ということを登山者に求めないことが間違い、なので、本来は、その人には

「標高差300mを1時間で歩けるようになったら〇〇山に行きましょう」と、目標を持たせるように、声を掛けるべきです。

■ いきなり系

同じことがクライミングの世界にいえ、懸垂下降もまだ練習していないのに、いきなり野北の岩場に連れていくとか…。疑問が多いケースが多いのが、往年のクライマーです。

昔の人はエリートしか山に登っていないので、それでも何とか生きて帰って来れたと思いますが、現代でクライミングに来る人は、エリートというよりも、どちらかというと、ハラハラドキドキしたい、スリルを求めている人、のほうが主流派なので、そのような人たちは、当然ながら、リスク感度が低い人たちです。

リスク感度が低い人にリスクが高いことをさせれば、事故率は当然の帰結として上がります。

九州に関して言えば、特に文化的に、”向こう見ず”が、美化される文化土台が、九州にはあります。

九州男児

という言葉自体がそうでしょう。そして、大体、

・東京や都会に対するコンプレックス、および、

・女性が男性をたててくれるという甘え、

が、文化的基底にあります。

なので、なんにもしないでも、ハイリスクグループ。そこに、無知が加わったら、さらにハイリスクグループ。

というようなことに気がつくのが、得意なことで、それを活かせる立場は、これと言って見つからないので、ご意見番とかいうものかもしれません(笑)。

個人的に、事故統計を取りたいという思いがあります。私は、元々ソフトウェアのエンジニアで、バグをつぶすのを仕事にしていたことがあり、だいぶ成功体験があるからです。



”なんでわたしやねん!”&”ああ、めんど!”

■今日の仏教説話

プルフォアちゃんがほんとウザい…。注目されたい!かまってちゃんモード全開であった。終いには、仏教の暗記を持ち出して、別の参加者と、”どっちが上の仏教徒か?勝負”、まで勃発…。

この人は自分のプロフィール画像をアニメ画像にしているので、ホントに女性なのかも怪しく、プルフォアというのも偽名なので、全く正体を明かしていない。つまり、どこか後ろめたいところがある人、ということが予想できる。

とはいえ、寂しいために、ここのグループに来ている…ということは明らか。

とは思うが、良く付き合ってやってるなぁ、みんな…と思った。私は、いち抜けたーで、相手していない、決していいねもつけていない。

■ かまってちゃん=めんどくさい

この件を鏡にすると、私は、かまってちゃん嫌いというか、子供のころ、4歳の弟と2歳の妹が、母との別れ際にギャン泣きし、それを何とかするのは、私しかいないということがよくあり、それが根底にあり、”かまってかまって!”とアピールされると、ウザくて、逆に離れて行きたくなる…。

実際は、結局は、はいはい、と弟と妹を慰めたほうが速やかに事態は収束する…ということは、頭では分かってはいるのだが、なんだか6歳で心理カウンセラー役をやらされている感じで、心が納得できなかった。それこそ、

なんでやねん!

と6歳の子供心に思っていた…。なんでやねん!の理由は、結局、長女で一番大きいから、あなたしかいなかったから、というのが、理由なんだが。

それをしなくてはならない立場に立つこと自体が、ああ、めんど!というのが、6歳当時の私の本音でした。

ので、本音どおり、いち抜けたーと今日はプルフォアちゃんは、ほかの人にお任せして、他の人がほんとエライなーと感動していた。

■ フラクタル

同じことをクライミングでやっているかもしれません。

”なんでわたしやねん!”と、”ああ、めんど!”っていう心象風景が、そっくりそのままクライミングの中で再現されている…。

俺を立派な男にしてくれー(スゴイルートを登ったクライマーという評判をくれー)というニーズに、なんでわたしやねん!ああ、めんど!という思いをしながら、付き合ってやらねばならない状況に陥りやすい。

たぶん、男性の世界での、恩送りは、そのような中身なのだろう…

あるいは、分かっていないクライマーに分かるように解説するとか…。まぁ、こっちは実害はないから、いい。ブログを書くのは好きでやっていることだし。

■ ただ楽しく登りたい

私はね、ただ楽しく登りたいだけなんですよ。

ビレイヤーは誰でもいいんですよ、ビレイ技術さえちゃんとしてれば。

だから、海外では初見のクライマーと組んで登っています。

なんで、日本では、ただ楽しく登る、っていうのがそんなに難しいことなんですかね?

下手くそビレイヤーとだったら、落ちるところを登らないとか、グリグリを持たせるとかすればいいだけだし、

サクッと登れない難しいグレードをうんうんうなってハングドッグ2時間で登るより、一日10本くらい登れるくらいの難易度のルートをたくさん登ったほうが楽しいってクライミングスタイルが、なんで許容されないんですかね?





2021/12/27

今の生活の中で世の中に貢献するには何ができるでしょうか?

■ 問い

問い)今の生活の中で世の中に貢献するには何ができるでしょうか?

に答えるために、今日は、行縢の記事を書いた。

 ・延岡は甲府並みにクライミング(特に本チャン)メッカである
 ・本チャンには、ルートグレードとピッチグレードがある
 ・ルートグレードは、1級から6級まである
 ・RCC Ⅱと デシマルは、正確に相関していない
 ・10m以上のランナウトというのは、世界トップクラスの中でもさらに上澄みのクラスの人が、しかも20代の若い時に取るリスクマージンである
 ・本チャンは、大ランナウトが核心のため、2グレード下げて登らなくてはならない
 ・つまりトップは、100発100中でなくてはならない
 ・セカンドはその必要はないため、トップとセカンドでは雲泥の差
 
 ・ボルダーのノーマットも100発100中である必要がある
 ・山野井泰史さんの行縢の初登ルートを第二登したのは、奥村晃史さん。

一つの講習会の受けるにしても、予習をするだけで、これだけ知識が得れるということです。予習する習慣は、母校熊本高校で身につけました。









行縢 『日本の岩場(上)』より ”明日なき暴走”

■ 『日本の岩場』CJ編集部 1991年

日本全国を見渡した時、

 日本を代表する岩場

はどこか?と 考えるとこの地図が出てきます。

黒伏山▲

谷川岳▲

明星山▲

劔岳

八ヶ岳

甲斐駒▲

穂高岳

北岳▲

富士山

阿蘇山

大崩山、▲

比叡山、▲

行縢山 ▲

(上)に載っているのは、黒い▲の山だけです。つまり、九州では宮崎が、もっと正確に知名を言えば、延岡市が、岩場という意味では、代表的都市、ということです。

ちなみに甲府は、甲斐駒、北岳、のお膝元、です。

延岡市は甲府より、あんまり分かっていないと思いますが…甲府は一応、山岳資料館が芦安にあって、アルパインクライマーの加藤慶信さんという亡くなられた方の業績が書いてありました。延岡でそういうのは見たことがないです。市として、岩場の地位の高さを認識はしていないかもしれません。

ショートとボルダーは取り上げられていませんが、デカい壁があれば、ショートはそれを1ピッチだけ登ったり降りたりしているだけ。ボルダーは当然ですが、石ころを登っているだけ。

ボルダーからスタートした人だと、ショートであってもロープを使うフリークライミングにステップアップする際は、かなり大きな意識改革が必要です。そうですね、年に3分の1登っても、1年はかかるくらいでしょうか。もっと頻度が少なければ、もっと年数がかかると思います。

■ 昔の人と今の人では覚える順番が逆です

ショートのフリークライミングから、マルチピッチ(ビッグウォール)へ進むにも、かなり大きな意識改革、が必要です。

アプローチゼロ分のマルチ(ゲレンデ。つまりフリークライミングのマルチ)と、山のマルチ(アルパインのマルチ)は、全然違います。なんせ、前穂北尾根なんて、6時間の登山をこなしてから、やっとルートの起点に立つのです。一方、ゲレンデである比叡の白亜スラブは、道路から5分です。全然、スタート時の疲れ度合いが違います。

昔の流れでクライミングしてきた人たちは、山を大きくしてから困難度を上げる、という順番で、教わってきたわけです。登山→山のマルチピッチルート→ ショートのフリークライミング → ボルダー… 私も、この順番です。オールラウンドクライマーと言われます。

大体、登山から入った人は、この順番ですが、インドアクライミングジムから入った人は、順番が真っ逆さま、です。

オールラウンドの反対で、その分野しか知らない”専門家”クライマーです。

そこが、”ビフォアクライミングジム時代のビギナー””アフタークライミングジム時代のビギナー”の大きな違いです。

■ リスク認知が違えば、実力認知の違いを生む

この違いが何を産むかというと、リスクの認識違い、です。

リスクの認識違いが何を産むか?というと、実力の認識違い、です。


このページは、行縢山の山野井泰史さんの開拓ルートです。「明日なき暴走」という名前のルートです。山野井さんは、日本を代表する世界的クライマーでもダントツトップの方です。だだのピオレドール賞ではなく、生涯功労章、を取った方。

”明日なき暴走”のルートグレードを見ると?五級下です。この本にあげてある代表的事例としての5級下は、穂高岳屏風岩緑ルート、谷川岳衝立岩雲稜ルート、丸山南東壁塚田=小暮ルート、です。

AA2は、アメリカンエイド、つまり、カムで、落ちたら、7m落ちる、AA3は、10~20m落ちる、という意味です。その間は、ブランクセクションということです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1P目 20mAA2+: フェイス、ハング下レッジナイフブレード多用

2P目 35m AA2: ボルトラダー

3P目 30m AA3: クラック スカイフック

4P目 15m AA2: フェイス

トータルでボルト7本。アプローチは登山道を徒歩30分。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

”ザック一つで国内を放浪していた20代前半、九州の行縢山に一人で開拓したルートは「明日なき暴走」とした”

そうです。

■ 一般市民クライマーが登るフリーの岩場でのランナウト

現代では、”フリークライミングの岩場”として親しまれている比叡ですが…

ボルトのランナウト許容度合いが、開拓者の言葉を引用すると、”5級で50mにつき3本”、となると… デシマルに置き換えると、10a以上でも、墜落距離は12~13m。

これは、世界的クライマーの山野井さんの20代のころのエイド記録並みのリスクテイクです。

そりゃ、普通の人には怖いのが当然だわなー。

一般にフリークライミングの場合は、確保理論が国から出されており、それによると、6mからの墜落で人体は壊れるということになっているんだが…(汗)。倍、落ちると、どうなるんだろう?

https://www.jpnsport.go.jp/tozanken/Portals/0/kougisiryou/H24kakuhoriron.pdf

というので、一般市民クライマーに、20代の山野井泰史なみの度胸を要求しているってことになりますが…(汗)。

■ 2グレード ゆとりを

これに対策するには、十分な登攀力のゆとり、が必要です。

私は、2グレードアップと教わりました。

つまり、5.7(4級)を落ちないでリードするには、5.9が必要ということです。

5級は、5.10aから上は全部含まれてしまうので、5.11であっても、5.12であっても、5級…とっても幅広く設定されてしまいます。なので、5級を2グレードの安全マージンを取ってリードするには、5.12aがやっとこさRP出来る実力では、全然足りないのです…

ということは、5.11aをやっとこさRP出来るレベルでは、本チャンでは、まあ、4級が安全になるだけで、何の安全マージンも増えたことにならないです…(汗)。

もちろん、5級の中で、易しいものは、手が付けれるものもあるかもしれませんが、そうだとしても、よほどしっかりした情報源で得た内容でないと、行ってみるまで分かりませんね。なんせ、5級は昔の人にとっては、最高グレードだったので、難しければすぐ5級になり、エイドに切り替えていたわけですから…。

■ ボルトルートのフリー

現代のトップクラスクライマーの仕事は、こうしたルートを現代的な基準で正確にグレーディングすることかもしれませんが、フリーの価値観の中では、脆い支点のルートなんて誰も行きたくないかもしれません。

なにしろ、フリーは、困難度、を求めるものであり、危険を求めるものではないので。ドーンウォールで何度もトライしている画像が出てきますが、落ちても落ちてもあきらめないですが、あれが、たまに支点外れるとか、あります?ないですよね。10回落ちて、そのうち1回は外れた、とか、そういうことは想定されていない。だから、チャレンジできるんですよね。100回トライして、やっと1回成功する、というクライミングです。

今日は、アレックスオノルド君のフリーソロの動画が回ってきましたが、フリーソロしているのは、5.11のルートです。イレブンなんて、ジムでは今日初めてジムに来ました!みたいな若い男性は登ってしまいます。

ところが、5.11を100発100中で落ちないで登るためには、5.13が必要ですね、2グレードの法則で言えば。まちがっても、5.11cではないですね。

この考えに基づけば、2段がノーマット、つまり100発100中で登れるためには、4段が登れている必要があります。3級が限界グレードの人が、ノーマットしてよい…おそらく100発100中だろう…と想定できるのは、2グレード下の5級のボルダー課題です。

私は、今の力だと、一般的な5.9は落ちないので、ー2グレードだと、RCCの3級や4級のところは、落ちないだろうということなので、たしかに私がリードした奇数ピッチは、そのようなグレードですので、納得感があります。合って良かった登攀力って感じです。

RCC3級、4級なんてところは、セカンドであればロープで確保しているので、昨日クライミング始めました、みたいな人でも行けます。なにしろ、登攀自体は簡単です。

つまり、トップ(100発100中である必要がある人)とセカンド(そうでない人)の実力には、これくらい差があるということです。

ボルダーだけのクライミング歴2年の人が分かっていないのは理解できるが、普通にマルチやショートを10年も、20年も登っていて、なんで、これくらいのことが分からないのか、分かりません…

■ 1991年の発行

この本が出たのは、1991年で、すでに

30年前

登攀は、1987年の登攀で、さらに4年前。

34年経過しているということです。ボルトラダーのボルトは最低でも34年経過しているということですね。

そのあと、このルートを登った記録は、奥村さんのようです。

http://blog.livedoor.jp/joywall/archives/51762198.html



本当にブイブイ言わせていいのは、こんな記録であるよ、という事例として、

誰からも文句が出そうにない、ダントツクライマーの山野井さんの記録を持ってきました(笑)。

こちらに、2017年の回想が、掲載されています。

https://www.evernew.co.jp/outdoor/yamanoi/2017/20170327.html


■ これを書いている理由

自分が分かったことを相手にも分かってもらう=覚他。


2021/12/26

ボルダリングのインタレストグレード

小山田さんがあげていたので、興味深く拝見した。


①岩質

②ラインがシンプルである

③ロケーションが良い

④ムーブがかっこいい

⑥ランディングが良い

⑦恒久的である




■こちらは、いわゆる本チャン(山)のルートグレードの基準

①スケール

②技術的難度

③確保条件

④岩の状態

⑤ルートファインディングの良しあし

⑥エスケープの良しあし、敗退のしやすさ

⑦アプローチ

⑧自然条件(標高、方位、岩場の安定性、安全圏からの距離)


ボルダーだからもちろん、スケールは無視だが、フラクタルであることが分かる。

■ 基準となるルート

ところで、上記の8つの項目から、以下のように分かりやすいように基準となるルートが設けられている。

1級  前穂高北尾根
2級  剣岳八ツ峰六峰Cフェイス 剣稜会ルート
3級下 八ヶ岳・大同心 南稜
3級  北岳バットレス
3級上 谷川岳一ノ倉沢
4級  穂高岳屏風岩
5級  唐沢岳幕岩
6級  奥鐘山

私が思うには、クライミングジムで5.11が登れるから、北岳バットレス四尾根(3級の本チャンルートです)に行こうとしてしまう人は、こういうのを分かっていないのでは?

というか、私自身も、どの師匠からも、教わったことはない。自分で勝手に調べて分かるようになったんだが。

さらに以下のような情報を現代のフリークライミングインストラクターからもらった。

ルートグレードではなくピッチグレードがRCCⅡで表記してある場合もあるからだ。

Decimal grade vs RCC grade(Japanese grade)
Ⅵ=11a
Ⅵ-=10d
Ⅴ+=10c
Ⅴ=10b
Ⅴ-=10a
Ⅳ+=5.9
Ⅳ=5.8
Ⅳ-=5.7
Ⅲ+=5.6
Ⅲ=5.5
※あくまで参考程度

昔の人は5級以上の難しさにグレードを与えられなったらしく、10Aから上はもう十パひとからげにⅤ級なんじゃないかと思うが…。

つまり、”50mで、Ⅲ級1本、Ⅳ級2本、5級3本”というのは、どういうことか?

となると、デシマルにすれば、5.6ならボルト1個、5.9ならボルト2個、10aから上で3個。つまり、それぞれ25mにつき一本、15、6mに一本、12,3mに一本となるわけだ…。

ショートで登っているフリーなら、どんなに離れていても、7mも離れていたら大ランナウト。

ルートグレードで6級以上は今もつけられていない。第七級、という本があるくらいだしなぁ。

グレーディングシステムは、混乱の元であるのは間違いがないことだろう…。

お金とチャンスと時間が与えられて、これで世の中に貢献することをしてくださいと言われたら、何をしますか?

■ お金とチャンスと時間が与えられて、これで世の中に貢献することをしてくださいと言われたら、何をしますか?

お金の問題がなければ、

1)天野和明さんに頼んで、北鎌尾根レベルの人が前穂北尾根レベルに行けるために必要な力をつけるための具体的技術をカリキュラム化した講習会を行ってもらう。(昨今の山岳会の人はそこが分かっていないと思われるので)

2)山岳総合センター時代の恩師 村上さんに山岳遭難の実際と山岳レスキューの実態についてのレクチャーを1日、二日目は実際に現役で使われている、レスキューテクニックの伝授を行うための講習会をしてもらう

3)佐藤祐介さんが大崩などの高難度マルチに来たときに、トップクラスのクライマー(5.12がスイスイ登れるレベルで、40kgが歩荷出来、標高差2200mの甲斐駒をワンデイ8~9時間で登って降りてこれる人)を対象にマルチピッチ講習をやってもらう

4)室井登喜男さんを講師にしてボルダリングの入門講習会を行ってもらう ジムボルダラー向け、ランディングなどリスク管理のイロハ。

5)小山田大さんを講師にして、ボルダリングにおける開拓プロセスの机上講習と実際の開拓のイロハを伝える講習会を行ってもらう

6)後藤真一さんを呼んで、沢登り向けの安全講習会を行ってもらう (上の小屋沢を東沢鎌の沢的な講習会定番の沢として確立する)

7)主要なクライミングジムの店長さんを、奥村さんのジムに研修に出して、きちんとしたビレイ指導術を習得して帰って来てもらう その際、終了証を渡す

8)九州の岩場における、入門から初級、9アンダーの人が登るべき課題、9レベルの人が安全に登れる課題のリストアップと習得目的の一覧、10代のステップアップの仕方を整理した外岩入門ガイドブックを作る 

9)九州内の岩場での事故を聞き取り調査し、この3年以内の事故統計を取り、事故の内容を公開し、ネットにアーカイブを作る

10)九州で本当に登るべき、良き登山ガイドブックを作る 吉川満さんのご本のビジュアルバージョン 最近の人は文字を読まず、画像で判断するため

11)九州の登山道のコース案内掲示板を韓国並みに整備する(標高差、距離の記述)

12)九州内の山の難易度を長野県並みに整備する 現状だと要らないところにロープが至る所にあり、来るべきでない人も来ることになる

13)人気の山の登山口に韓国並みに、ウォームアップ運動器具、泥落とし場を整備する



弟、いとおし、という弱点

 ■ どのような関係性で登ってきたか?

昨日は、畑に行った。山が分かるオジサンクライマーと世間話して、とりあえず、

 山梨では、素晴らしい山をしてきたんだなぁ…と実感した。

素晴らしい山というのは、

・誠実な山、

・自分の実力に嘘がない山、

というものだ…やっている間、

”向き合っている”

とよく言われた…。課題を一つ一つ、つぶすということだ。向き合っていれば、山は、それに答えてくれた…。

福岡に来て、それがおかしくなってきたが…なんで、同じように真摯にクライミングに向き合っているのに、落ちないで登るのはダメクライマーだとか、否定されないといけないのかな?とか、なんで、いちいち、命がけになっているのかな?と思う。

向き合いにくい環境…と言ったらいいのか?

なぜ、そうなったのだろう???

■ 俺はスゴイことを証明したい心 と モテたい心

それは、他の人のエゴに私が癒着されていたためだ… 課題の分離が出来ていないということ。

俺はすごいということを証明するために行く山に付き合わされるってことだが…。

しかし、男性社会だと、それも多少は必要だろう…と相手の事情を慮る気持ちが強かった。

女性の社会と違って男性社会は、縦社会だから、登れる順であり、登れない奴と思われたら、パートナー探しにも事欠くのだろう…と。パートナーを得るチャネル自体も、ほとんどないし…。岩場に行く以外で相方をゲットできる時というのは少ない。

私はその人には、直接言ってもいるが、まだ結婚していない人だったので、せっかく女性の数が多い九州に来たんだし、エンジョイクライミングを通じて、女性と知り合ったらいいな、と思っていたのだ…。が、どうしても、イケイケタイプの男性は、女性でもブイブイ言わせている人を好むようであった。まぁ、前例を山梨で作ってしまったからな。あとは条件は美人が欲しいということだった(笑)。

つまり、トロフィーワイフ、である。トロフィーワイフを求めること自体が、幼稚だなぁとは思ったが、恋愛だって山と同じで、稚拙な愛から、高度な愛へ進むのが普通だ。要するに経験値が浅いということだろう、と。

あとは、家事要員としてしか女性を考えていない古い考えがうかがえる発言があった。料理ができて自分の親の介護ができる人を欲しいということで、自分の親の介護があるということは相手の親の介護もあるということだと気がつかないようだった。

まあ、単純にその人は未婚だったから、深い意味なく、モテたい、のだろうし、それは未婚の男性なら、まぁ当然の在り方のように思えた。

別の人だが、開拓者が岩場に来ていたので、彼自身の知見を広めるためにも、開拓の手伝いを勧めたら、”開拓者は取り巻きに囲まれているんでしょ”という返事だった…。その返事で、そうかぁ、この人は、取り巻きに囲まれたくて、いきなり2段とか言い出したんだなぁと分かった。

一般に男性は寂しがりなのである。青ちゃんも宴会好きだったのは寂しかったからだろうし、いくら山が大好きでも遠隔地に家族と離れて暮らすのは、時に寂しかっただろう。

ので、孤独は同情するが、2段くらいでは、取り巻きは来ないぞ…(笑)。現実認識が古い。

余談だが、私が岩根でバイトしていた頃、ワールドカップクライマーと不可能スラブを登った女性ボルダラーが、ボルダーに遊びに行っていたことがあるが…当然私はお邪魔虫なので遠慮したが…二人が楽しく登ってきたのは6級とかである。トップクラスの人だって、デートクライミングは6級なんですよ。

2段が登れるより、紳士なほうが、女性にはモテるでしょう…

私は非常に慎重な、リスクを冒さないタイプのクライマーなので、私といると、逆に、相方はリスクを釣り上げて見せる必要が出てしまったのかもしれない…。同じだと思われて、引っ込みがつかなくなると言うか…。

私が思うには、女性と2名で登っている男性クライマーだと、周囲が勝手に遠慮して2名の中に割って入るということがない。

ので、私とジムに行くと、むしろ出会いは減るのではないか?というような気がしたので、特に用事…例えば新人が来て、先輩2名で世話がいるというようなケース以外…は遠慮するようになった。だいだいジムでの練習って、コソ連、って意味だし。

■ 弟という関係性

私は、身長180cmの大男だったアスリートの弟がいた。彼は24歳で急死した。突然の心停止。子供のころはそっくりさんだった。2歳しか年下ではない。

なので、男性は大体、弟、に見える。父親は知らないで育ったので、父という関係性は私には新鮮で嬉しいものだ。

昨日も、畑に行って、70代の往年のクライマーが畑仲間なので、山の話で盛り上がった。気分は、お父さん、である。父娘の関係性。

一方、私にとって一緒に登る男性は、大体が若いことが多く、基本的に、父親よりも弟という関係性に思える。先輩であっても、相手は、私よりも、父親…つまり、師匠から、目を掛けてもらえていない率が高い…つまり、知識的には補佐してやらないといけない対象、と思える。(大体、正しい)

ので、弟と登っている姉ちゃん、というのが私の自意識だ。

■ 相方は弟ではない

そのためにできた”因縁”は、断ち切ったので、それが良かったと思う。

弟のことが念頭にあるために断ち切れないでいた因縁だったからだ…。

どうしても、”頭悪い人”=可哀そう、と思ってしまうんですよね。

弟がそういう風に扱われていて、私としては、”そうじゃない、彼にも分かるように言ってやっていないだけだ”、という気持ちを子供心に強く持っていたので。


しかし、相方になる男性クライマーは、弟ではない。

しかも、30代、40代、ノーマット野郎なんて50代で、私より年上だ。

アホな奴に付き合う必要がなかったのに、なんで付き合ってやる羽目になったんだろう…?

そっちのほうを反省したほうが良い。

クライミングは、どんなに分かりやすく解説しても、分かりたい心(因)がない人には、分かりようがない。

■ 余禄 ノーマットクライマーの二項対立

リアルノーマットクライマーのノーマットの理由=決して落ちない自信があるから。

フェイクノーマットクライマーのノーマットの理由=お金がないから。


リアルノーマットクライマーがノーマットするとき=記録としてアップされる。

フェイクノーマットクライマーがノーマットするとき=何の記録にもならない。


リアルノーマットクライマーの登攀力=有段者

フェイクノーマットクライマーの登攀力=3級


リアルノーマットクライマーの事故時の心境=「申し訳ございません」

フェイクノーマットクライマーの事故時の心境=「死ぬときゃあ死ぬし」


リアルノーマットクライマーの事故ると?=大ニュースになって追悼書籍がでる

フェイクノーマットクライマーの事故ると?=岩場が閉鎖になる


リアルノーマットクライマーが失敗すると?失敗が珍しい

フェイクノーマットクライマーが失敗すると?成功が珍しい


リアルノーマットクライマーがトライするのは?=まぁ最低でも10本の指に入る程度の高難度課題 つまり第10登まで

フェイクノーマットクライマーがトライするのは?=人気課題


どうでしょう?? 思考の遊びです。



2021/12/25

尊敬する人を5人あげるワーク

1)尊敬する人を5人

一人目は、鈴木清高さん。最初の師匠です。”山には順番がある”、を教えてくれた人です。

鈴木さんは非常に頭の良い人で、それがゆえに、結論にジャンプすることがあり、それが誤解で鈴木さんと登らなくなったことが残念でした…。

当時、私はジムで意気投合した”ジムで5.11が登れるからという理由でバットレス四尾根”というクライマーにどうやって四尾根をあきらめてもらうか、苦悩していました。花谷康弘さんが突如ガイド日程が空いたので、花谷さんで先に四尾根を予習させてもらい、その後この彼のフォローをして、それとなく、彼を正解に導いて花を持たせてやろうか?と思っていました。四尾根の核心は登攀ではなく、ラクとルーファイだし、この彼に押し切られて登攀に行き、死ぬ目に遭うよりは、5万でも6万でも払って命びろいしたほうがよいからです。そのことを、ガイド登山にすがる人間だと勘違いされてしまったのです。

この事件での、反省点は師匠に自分の置かれている状況をきちんと説明するということですね。

鈴木さんも、背が低い場合に、エイドでもフリーでも、プロテクションの面で不利なことは理解していなかったと思います。私が三つ峠では2回目でリードできるのに、フリークライミングのレベル感になったとたんにリードが難しい理由が分からなかったと思います。ピンが遠いから私にはプロテクションにならないんですよね。多分、年配の人はボルダリングをしないので、SDスタートが普通のスタートより難しいことが分からない。

その代わり、冬には伊豆半島の沢、など、快適なルート選択が非常に上手で、私もそういうタイプになったと思います。

ATCガイドではなく、ただのATCを持って行っただけで、「リードする気がない人は連れて行きません」という人でした。またルートで核心の大滝をロープなしで越えたら、「そんな山は教えていない」と言ってくれた人でした。

二人目は、くれさん。山岳会の先輩です。信州大学卒で、大学時代から社会人山岳会で登っていたそうで、積雪期の山選びがさすがの選択。渋い選択、なおかつ、レベル感に合った選択をするのが上手でした。ヨセミテまでは行ったそうです。小川山で5.9を登るにも、プリクリップする、会ではもっとも登攀力が高いクライマーでした。

”導かれ感”…というのが、ルートにはありますが、それが読めるようになっていくと、ルート外しが減ります。導かれ感を分かるようになったのが、呉さんからもらった技術。

3人目は、誰かなぁ…。沢の後藤さんかな。沢の講習会に出たら、ものすごくびっしりと書き込みがある地図を見せてくれて、感動しました。すでにその山域は私は歩いていたので、行く資格はある…つまり、下山路は確実、ということです…が、それで十分と思っていた私はガーンとなりました…。それだけでなく、ありとあらゆる尾根と谷に細かい書き込みがあって、ここまで講師は考えて、指導してくれているんだ!と感動しました。何があっても、大丈夫なように考えているということです。

4人目は、青ちゃんですね。なにしろ、レスキュー隊長を務めたほどですから、支点構築技術はしっかりしていましたし、しっかりリスクマージン取っていました。相手のミスで、自分が危険になるというのが、あれでしたが。

青木さんは、宴会大好きでしたので、ここでお酒と宴会を覚えました(笑)。一番勉強になった宴会は、NHKのデナリのエクストリーム滑走を一緒に見た時です。NHKですら嘘ばっかり放映しており、一番易しいルートでスキーを担いで上がったのに、最も難しい尾根で上がったとか、放映していました。そもそも、NHKですら、その滑走の価値が、下りのエクストリーム滑走にあるということを分かっていなかったわけです。

その次は大阪の登攀事情を居酒屋で聞いた時かなぁ。昼から飲んでしまいましたが(笑)。大阪の事情もかなり悪かったので、九州だけが特殊事情ではないと分かりますが…。ともかく、危険でした。

色々相談しましたが、「そんな奴は、ほっておけ」というのが一番効いたかな。あとは、「3点目を取りなさい」。私がアイスで5位しか取れなかったときも、アルパインのクライマーはコンペで勝たなくていいと言ってくれましたっけ。

アイスでは、私のほうが先輩より登れるのですが、「言っておくけど、彼女の方が登れてるよ」と言っていたのが釘刺した格好になった。男性クライマーは、ちゃんとは登れていなくてもリードしたがります…。私よりムーブ的には登れていない人が摩利支天をリードしたのですから...。

青木さんは体重重いのにラッセルがスゴイ上手で驚きました。(私は軽いので、当然ですがラッセル早いです…)

ただ青木さんも石灰岩は嫌いとか、食わず嫌いな面があり、それが足を引っ張っているようでした。ガイド仲間の新保さんが、一生懸命ラオスにリハビリに誘っても、石灰岩は嫌いだ、の一点張り。行けば、きっと気に入ったのに。まぁ昼間から飲んでしまい、登攀どころではなくなったかもしれませんが(笑)。

全般的に年配の人は、現代のフリーには、多少偏見があるような感じでした。鈴木さんも同じだった。鈴木さんは私がフリーに傾くと、嫌みを言うということがあり、だいぶ混乱させられました…。後述する米澤さんも、ドーン・ウォールの価値は分からないみたいだったしな。

5人目は米澤先生。歩きつくした山の記録…。山には順番がある。立派な有名クライマーになった後も、ハイキングにしかならない歩きの山から、その山のすべての沢、という具合に、一番まじめに山に取り組んでいる様子が見えるHPサイトでした。こんなまっとうな山やさんがまだいるんだ~と感動。他にビレイループが2重になっているのにも、感動を覚えました。安全対策バッチリではないですか。

その上、レベル感のジャッジメントが正確で、米澤さんが選んだルートは今の私の実力にぴったりのルートであるという安心がありました。

当時、別の人と登っており、行く岩場が初見の岩場というのがありましたが、どの岩場に行っても、私の実力以上のに取りつかねばならず、危険が大きかったためです。相手も悪意があってやっているわけではないのですが、トポしか情報源がないから、初めて登る人向けに課題が選べない訳です。一番ボルトが危険というエリアを選んでしまったり。例えば初めて行った八面は”下部エリア”で、最もボルトがボロく、至急リボルトの対象になっている浜田ラインとかです。いやはや。知らないということは恐ろしいことですね。

一般に、初心者は、安全に配慮してリード課題を選んでもらうのが会の慣行になっているハズで、ある先輩は、私が小川山もうでを始めたころに、100岩場に自分が登った順番が分かるように書いてくれました。なので、初心者向きに課題を選ぶという発想がないということは、今までそう言うことを自分が後輩としてしてもらってきたことにも、思いが至らなかった人だったのかもですね。

小川山は多くの人が独学でも無理なく課題が選べるような具合に情報が豊富ですが、情報がそう出ていないのです、地方では。誰にどこに聞けばいいかも、情報出ていないですし。ジムの店長も、アドバイスする能力がある人は皆無ですし。

故・吉田さんとかはいれていません…私はフリーではなく、アルパインのクライマーなので。

2) 共通点は何か?

山には順番がある…を実践していること、かな?

技術的に習得を飛ばしていることがない、ということですね。

山は習得しなければならない技術課題をどこでやるのが安全かな?と考えて選ぶと、適切なルートが選択できます。

逆に、選択の動機が、”皆に俺の実力を示してやろう”とかだと、あーあ…という結果になります。

また、リスク管理がバッチリ、というのも共通点でした。フェイルセーフ付、ということです。

そして、貫いているのは、すべての人がフォローに対して強い責任感があったということです。

3)傾向と対策

大事なことは、間を端折ろうとしない人を選ぶことですね。 

師匠らが、そんな奴、ほっておけ、というだろうと想像できる人とは組むべきでない。

あるルートに行きたい、フォローしてくれ、と言われたら、きちんと

動機


計画書 (特にロープの采配と敗退)

を確認することですね。それでめんどくさい奴だと思ってくれたら、ラッキーかもしれません。まぁ、師匠らと山に行ったとき、計画書がないことは良くありましたが、それでも、持っていくべきものの指示などで、敗退計画まで理解可能でした。例えば、インスボンはツインで行きました。

いくら、立派なクライマーでも、老いにはみな勝てない。いくら徒歩5分の湯川で6級がリードで来ても、アプローチ6時間の黄連谷はもう行けないのです。私の黄連谷の相方を色々心配してくれましたが…。

同じことが、私の身長にも言えます。届かないものは届かないですから(笑)。人は変えうるものと変えられないものがあります。

時代の束縛にも勝てません。師匠らの時代を考えると、ヒマラヤからヨーロッパアルプス、ヨセミテまでで、その後、ラッペルダウンのヨーロッパ的クライミングの時代感まで、自分の山、を取り込めたクライマーはいないかもしれません。ボルダリングもです。それは、体力が最大のころに、そういうクライミングが日本で流行っていなかった、ということだと思いますので、仕方ないですね。

■ もともと岩は嫌いだった

フリークライミングの世界は、私は外野です。あんまり好きでないんですよね、岩は。

何篇考えても、同じ予算だったら、アイスルートとか、山に行くための費用に充てたほうが心が満たされ、岩に充てるのは、なんか損した気分になります。

若い男性クライマーと登ると、なんか損した気分というか、本当に損している…。一度証明するようなクライミングデーがありました。

私には登る課題が1,2本しかなく、相手には10本だとしたら、フェアでないです。

それも、別に私の側の事情によるのではなく、日本では岩場の作りがそうだから、みたいな理由でしかないので、そのために不利を被り続ける関係を維持するのは、自分を大切にしていない、ということになります。

海外に行けば、大体、対等にフェアな関係性で誰とでも組めますから、私が一方的に不利になっていると分かる関係を好んでくる人は、私の足元を見て、弱みに付け込んでくる人という意味なのかもしれません。自分が行きたいのには行くけど、私が行きたいのには行かないということですね。

今後日本のクライミングはどうなるのでしょうか。

スポーツクライミングで安全に登攀力を上げたら、その登攀力を使って登る、外岩課題が必要になりますが、そういうのが足りていないかもです。不必要に危険か、過保護すぎるか、みたいなことになっている。

楽しそうなのは、やはり海外で開かれた新しい岩場ということではないでしょうか?

タイとか楽しそうで、アメリカ人の往年のクライマーですら、タイで老後はクライミング三昧したいそうです。温かいですからね。






2021/12/24

Report on Climbing in Kyusyu for about 4 years

Meeting No mat beginner boulderer brought me Ippei Tajima

I met an ingnorant boulerere in Hinokage while I was taking a job training course to be a forest worker in Miyazaki prefectrure... 


思えば、私のクライミング行脚は、近所のクライミングジムを訪ねることから始まったのだった…。

近所に田嶋さんのやっているJoyがあったので、当初、私は、福岡は山梨と違って都会だし、自然界は離れていて、岩場も質の良いものが山梨のようにあるわけではないだろうと想像していたので、ジムクライマーとして福岡ではやっていく気持ちだった。

外岩は最初っから捨てていたわけである。

山梨時代は、外岩が良いのでジムに行く理由がなかった。ジムに行くと言えば、外岩でできなかったムーブをピラニアの室井さんに、「すいません、こんなアンダーでもって、遠めの一手を取る課題ってありませんか?」などと質問していた。要するに完全に外岩の攻略用というジム利用法だった。そもそもアイスはインドアでは、できないですし。

というので、やっと都会!ジムに通って、フリーで一皮むけるぞーと思っていたわけだった。

と・こ・ろ・が!

田嶋さんのジムで、「ブラボーのバイトに応募した」と漏らしたら、なんと2日目で出入り禁止にされたのである。まだ月会費払って2度しか行っていないのに。

しかも、言いがかり。「教えないでください!」とかいう…。その時は、ジムであった大学生男子の一団が、私が登った課題が登れず、「どうするんですか?」とか聞いてきたので、「あの一手がとれたら終わりだよ」と答えただけである。これのどこが教えているんだか。

奥さんはどう見てもクライマーじゃない人だった。ついでに言うなら、ジムがあまり清潔ではなく、いや…これは…(汗)という感じだったので、経営面でこりゃ問題ありなジムだな~という感じだった。

が、ちゃんと『Climbing』とかいう雑誌が置いていたので好感。とりあえず、私は九州クライミング事情が知りたかったのだが…そういう情報の入手先として、ある程度色々…例えば、四阿屋は2グレード辛いと言われているとか…分かるまでは、しばらく通いたいと思っての入会だったが…。

ま、上記のような理由で通うことができなくなった。

(なのでどの岩場も前評判を知らず白紙状態で行くことになった)

しかも、以後、ブラボーがまた…。ブラボーはクライマーがやっていないジムなので、採用面接する人にクライミングの話をしても何も分からない。吉田和正と言って分かるか?当然だが分からない。山梨で登っていたと言って分かるか?分からない。ラオスで登ったと言って分かるか?分からない。要するに採用する人もド素人さん、である。(この人が福岡県連会長になったそうである)

なんとか採用になったが、初日のバイトで、カウンター裏にあるブラックリストを見て、「これ何ですか?」と聞いたら、ビレイが危険な人のリスト。ところが、それを言ってくれた人が「この人たちビレイ待機でこういう風に持たないんですよ」とデモしてくれたその手が…ATCなのにグリップビレイ。

つまり、このジムではATCなのにグリップビレイを教えているってことか…と真っ青になって、その日で辞めた。クライミングの掟は、”君子、あやうきに近寄らず”、である。

なんせ、命より大事な仕事など、現代日本にはない。

これは指摘して後から謝罪が来たが…ビレイでこれであれば、一から十まで、”古色蒼然”である可能性が高く、ずっと修正を言い続けないといけないだろうと想像ができ、しかも、年下の男性が店長でその人が職場で目上となると…?いばらの道しか思いつかないので、私個人にそんな自己犠牲を強いてまで、そこで働く必要はないと思われた。

当時は、まだ福岡一年目で、福岡での生活にバラ色を夢見ていた。久しぶりの都会で深呼吸する気持ちというか…。ヨガもクライミングも、趣味としてみると、田舎の山梨より都会の福岡の方が、より都会で人口が多い分、先進的であるのではないか?と予想できたからだ。

外岩は年に一回の遠征でいいやという気分だった。

正直、小川山に行くも台湾・韓国に行くも、コスト的に変わらない。なら、小川山なんかより、台湾の方が、あるいは韓国にアイスに毎年行く方が合理的に見えた。

■ ジムの質が低い

これが私の福岡一年目だったが、驚いたことに九州の東京・福岡で一番難航しているのは、ジム探しだった。

ジムは、福岡は質が低い。というと反論が出ると思うが、

 クライミングの全体像

が分かっている人が、超少ないわけなのである。

例えば、室井登喜男さんは、ボルダラーであるが、当然アルパインの事も分からない訳ではない。ので、私みたいなアイス大好き!みたいなクライマーがジムに行って、恐る恐る、「あのー、〇〇ってのを登ったんですが、こうこういうムーブが全然できなくて落ちました。似たムーブの課題ないですかね?」とかいう、ジムの人が作ってくれたルートセットガン無視な質問をしても、は?ここは俺のジムだ!俺の課題を登れ!とか言わない訳である。一緒に考えてくれる。

ジムのお兄さんで、「僕、クライミングしたことないんです」みたいな人はいない。「僕、外岩行ったことないんです」みたいな人もいない。(驚くなかれ、福岡のジムでは普通にいる)。

それどころか、「外岩に行く人が嫌い」とお客さんである私に向かって面と向かって、攻撃してくるジム店長もいる。おそらく、嫉妬の裏返しで拗ねてそうなってしまうのだと思うが、お金を払って、わざわざ嫌な思いをしに行くバカはいない。(余談だが、福岡では殿様若者は大変多い。なんでお客が媚を売らないといけないのだ?)

ので、そのジムには全然行く気になれない。課題も、山梨時代のジムより質が劣るし、その上、都会のジムだから高い。

もちろん、それぞれに特化したジムはある。

スタンプは、コンペクライミングをするのなら良いジムらしく、徳永さんというセッターが良いのだそうだが、私はあいにくコンペクライミングには興味がない。そりゃ当然だ。今からオリンピック選手になる!なんてあるわけない。競技で選手が強くなるための課題より、6級5級でも考えさせる課題があるほうが役立つわけである。

普通のジムは、5.6級なんてルートセッターはセットしていない。つまり低グレードを登る人には、良質のルートセッターは、接点がない。

大体、外岩を登るのに、ジムグレードでは3級程度までしか要らない。ので、段の課題でいくら質が良くても、外岩クライマーには無用の長物だ。

ジップロックもボルダラーになるには良いジムだと思えたが、一日いただけで指が痛くなった。課題がボルダー寄り、なのである。ボルダーとは突破力のクライミング。指への負担が重い。外ボルダラーになりたい人に最適なジムだろう。指が痛い=通うには向かない、全身運動にはならない、である。課題は好みというかとても楽しかったので、たまにボルダーが好きな人には、勧めている。

フリークライミングと言えば、普通はロープクライミングである。その名の通りのジムがあり、リードというリードができるクライミングジムもあるが… は、リードエリアが狭すぎて小さすぎ、ビレイヤー同士がぶつかりそうで危険。結局リードするより、ボルダリング壁に落ち着くことになってしまいそうで、意味なし感がある。ここも課題は良かったと思う。

公共のかべでは、アクシオンはタダの筋トレ。しかも、ビレイが怖い人が揃っている。いきがった片手ビレイとか、壁から離れたビレイとかで、そんなものに身をさらしながらやる筋トレは、恐怖耐性筋トレである。恐怖は、ムーブの習得にマイナスであることが科学的にも証明されている。

というので、まぁどれもやっても得るものがないわけではないが、コストに見合わない訳である。そんな無理してまでやらないでも…となる。

なら、ジム代を交通費にかけて無料の外岩に行った方が楽しい。

なんと、福岡で自宅から30分で行ける岩場が近所にあり、これは、山梨時代を更新する岩場の近さ。スラブで良いなら、近所の公園で済ませてしまえる。

ので、結局買い物ついでにスラブに登って、その辺の石垣でスタンスを拾って足置き練習をするのが一番安上がり。しかも、ハンデつけてクロックス。

話がそれたが、つまり、福岡は、クライミングという面では、ぜんぜん九州の東京、ではないということだ。Pump2みたいな良質のジムはない。

ので、シリアスクライマーは、どんどん県外に流れていくということになっている。

私も、この状況ではそれがいいだろうと思う。

■山梨との比較

その点を山梨と比べてみると、山梨は、人口の割にクライマー人口が多く、シリアスクライマーが流れてくる先、流出側ではなく、流入側である。

こんな県は他にはあるまい。長野に流入するクライマーも多いが、基本、北杜市、がクライマーのベストロケーションというのが一般的な認識のようだ。(ユージさんのいる入間も、岩場のある奥多摩に近いが、奥多摩、登攀禁止エリアがあり過ぎでややこしすぎますよねぇ‥)

■外岩

と上記のような事情から、山梨時代の先輩が引っ越してきた時点で、ジムは諦め、ほぼほぼ、山梨アルパインクラブとしての2名での活動が始まった感じだった。

とりあえず、九州の主要な岩場巡り…2年で一巡、出来た。ほぼ主要な岩場は、すべて回ったので、岩場を掌握している感は現在ある。

回った結果、分かったことは、九州のリードクライミングが流行っていない理由。

なにしろ、ボルトがぼろかった…。20年前どころか、40年って感じだった。

見たことがない、ヘンテコ終了点オンパレードは、同時に”生と死の分岐点、展覧会状態”と前に誰かが言った、そのままだった。

見たことがない終了点は、使い方が分からないので、いちいち長野の師匠に聞いていたら、いちいち、外野から、あーだこーだという指摘が入り、遠くはチェコから、格式の高さではUIAAの事務局長から、アドバイスがたんまり来て、これがうわさに聞いていたトンデモ支点なるものか…!と、これまで本で読んで話に聞いていたことを実体験することになった。

           人気ルートの手作り終了点

        一番ポピュラーな道端エリアのシャックル直付け終了点

■ トンデモ横行中

支点や終了点だけではなく、これが噂に聞いていたトンデモクライミング技術か!という経験も、たんまりたまった。

まず最初のトンデモ経験は、

5.9なのに10bムーブ…である。地方での岩場で課題が辛いのは、別に珍しいことではない。問題は、5.9なのに10bムーブが要求されるその状況を好ましいもの、と捉えていることだ。にやにやしながら嬉しそうにそう語る。それが疑問だ。

普通に考えたら、何も知らない5.9が限界グレードの人が取りついたら、10bが要求されるわけで、当然落ちる。つまり、落とすことを意図している。

それでも人工壁だったら落ちるのが当然なのだからいいのではないかと思うが。外岩でそれ? ま、もちろん、その課題で10bのムーブが要求されるところは、終了点間際の上部で、落ちても別に大きな問題にはならないようだったので、問題ではないかもしれないが…。

この騙して、落とす発想が、その岩場では主流だと思われ、不安になった。しかも、支点が奇天烈(上記)。

一事が万事というのが大体クライミング業界だからなぁ…。つまり、発想が幼稚な岩場ってことである。

まぁ、その課題は私がオンサイトできたくらいなので、5.9で妥当だろう。なんせ、そこで最も易しい課題だからだ。下手したら山梨では5.8が付いているかもしれない。

ちなみに、そこは佐世保の海軍の兵隊の若いアメリカ人を連れて行ったが、登れなかった。

この課題の後に続く次の難度(10a)の課題を登ったが、それもオンサイトできた。

後日だが、私が特に喜びもなく静かにオンサイトできた、その課題を、”俺ってかっこいいだろどーだ!”オーラを発しながら登ってくれた若い男性クライマーがいて、かなりシラケた。

43歳からクライミングしている人が、3年程度の修行して登れる程度の難易度のところで、若い男性がカッコつけて、かっこいいのだろうか? 

現代のクライミングのレベル感を鑑みると、どーだ!俺かっけーというオーラをしょってよいのは、5.13から上みたいですよ?その辺も疑問に感じるのが九州で、ブイブイ言わせるグレードが低すぎるというか…。

師匠の青ちゃんは、インスボンをすいすいリードしてくれるが(しかもケガした足で)、常に”俺なんか全然登れない”と言っていて、それも慰めるのがめんどくさかったが、現代のクライミングレベルを考えると、青ちゃんの方が正常だと思う。

普通の若い男性は、まじめにやれば5.12くらいは登れるものだろう。なんていったって、握力17kg、身長152cmの私で5.11が見えているわけだから、男性の11なんて自慢の種になるわけがないのである。実際、小川山で一緒に登っていた男性クライマーで11で自慢していた人はいない。むしろ、引け目に感じているほうだと思う。

ブイブイオーラというのが、これが九州の基本にあるようで、これも、余り易しい課題でやると、滑稽ということだ。すくなくとも一般的に10代でブイブイは変だ。山梨ではそんな人には会わなかった。

その後も、古色蒼然としたアルパインの伝統に触れることになったが…基本的に、みんなあんまり、フリークライミングとアルパインクライミングの差を分かっていないんじゃないか?と思えた。

なにしろ、アルパインクライミングの技術しか教わっていない人がフリークライミングの開拓をしているので、両者が混同されて、意味が分からないことになっているのだ。それどころか、アルパインクライミングの技術もきちんとは教わっていないんじゃないだろうか?

というのは、普通はアルパインのクライマーは、支点はリムーバブルが当然だ。

九州では、それが、ぜんぜん当然にはなっていない。ほとんどの人がカムを使うスキルもなければ、ハーケンも打てない。スキルを身につけないといけないとも、思っていないようだ。

ボルトルートスキルしかないのに、本州の本チャンに行って残置で登る気でいるらしい。それは、自殺行為に等しい。

なにしろ、ちゃんとした本チャン、つまり残置に頼らないクライミングを練習する課題が九州にはない。残置で登る=危険行為ですよ、と明確にメッセージ化されていない。

例えば、本チャンアルパイン的ルートの代表、白亜スラブは、残置などなくても、カムで登れる課題だ。

普通のアルパインのクライミング論理では、残置なんぞ、頼らないクライミングをするのが普通だ。私の旗立岩を高度化したものである。

そんな支点構築スキルが求められて当然の本チャンルートでも、古い信用ならないボルトなんかがあると、ボルトがあれば、落ちて良いと考えてしまう非熟練クライマーが来てしまう。

私と先輩など、終了点を見落としたせいでロープが足りなくなり、中間支点1点のボルトに仲良く2名がぶら下がる羽目になった。あのボルトが抜けていたら、二人とも、さよーならー、である。そして、その支点は、信用ならないカットアンカー。現代のボルトで、”普通”はグージョンの事である。

その経験も悲惨だったが、そもそも、終了点を見落としてしまうとか、ロープスタックさせてロープアップできなくなるような、未熟なクライマーを呼び寄せないようなルートの作りが必要なわけである。

ボルトを抜けば、そんな奴は来ない。

本当の実力が示せるってわけだ。オールナチュプロという言い方が混乱を招くのかもしれないが、同じルートでも、残置で登るクライマーは下手くそ、オールナチュプロで登ってちゃんと登ったことになるのが本チャンだ。

なにしろ、山に残置があるわけがないのだから、残置を頼らずに登るのが、普通にアルパインの完登と言え、それにふさわしい課題だろう。

もちろん、支点さえ自前であれば、エイドを出しても、テンションしても、アルパインだからOKだ。つまり、完全フリーは求められないのがアルパインスタイルだ。

逆にフリーのルート(ゲレンデ、練習用)として性格づけたいのなら、ボルトはリボルトして、落ちれるようにちゃんとメンテすることだ。フリーは、エイドを出さず、完全にロープに頼らず、登るものだからだ。全然、アルパインとは指向性が違う。

大体、最近のクライマーは、どんなお粗末スタイルで登っても、終了点にたどり着いたら、”登れた”と言ってしまう。

終了点見落とした、ロープスタックした、なんて登れたと、普通は胸を張って言うことはできない。復習山行の対象だ。

ま、この事件で、相当懲りたわけである、私は。

これに行ってしまった理由は、単にフォローがいなくて気の毒だなぁ…と、先輩後輩の絆があったためである。

■ 10代が危険

アルパインの論理で、フリーのルートが作られている率は、5.9~5.10代の初級ルートに多い。(おそらく、もともとアルパインのクライマーは全然登れない人が多いからだろう。)

その悲惨さNO1は、八方が岳のボルトラダーうち替えで、1m置きにリボルトされた10c。

現代の一般的なクライミンググレードが登れる人がリボルトしているのではないため、古いボルトの置き換えで思考停止しているわけなので、岩がもったいないことになっている。

その課題をさも、自慢げにお披露目されたときには、ああ…ここまで何も分かっていない人たちだったのか…と目を疑った。いわゆる山岳会の人たちと行ったからだ。本人たちは、自信たっぷりなので、こちらはなにも言えない。

■ アルパインとフリーのルートの最大の差

は、グランドアップか、ラッペルダウンか?である。もちろん。

これが何に現れるか?というと、クリッピングチャンスの捉え方、である。

アルパインの人は、基本をリッジ登攀に置いている。つまり、基本的に落ちない傾斜のベースにところどころ落ちるところがあるわけで、その落ちるところ、というのは、難易度というよりも、おかれた場所の危険度、である。

例えば、高さ30mに置かれた足場板は危険だが、高さ1mにあれば危険でない。なので、難易度というよりも、危険度が問題であり、アルパインだと易しいからと言って、支点を取らずどんどん高度を上げてしまうというのが、初心者が陥りがちなミスだ。

私も過去にやらかしており、初めて行ったアルパインのジョーゴ沢では、核心の大滝でロープを出さずに超えてしまい、師匠に「そんな山は教えていない」とこっぴどく怒られた。しかし、その一度だけであり、しかも一本目で超初心者だった。

アルパインルートでは、危険個所、つまり核心以外は支点がないのが普通だ。言い換えれば、ガバがあるところは、快適に登攀中なので取らない。もちろん、地面が近い間は、取るのはフリーと同じだ。

一方、フリークライミングというのは、そもそも絶対にロープがないと登れない傾斜を登るものだ。だから、フリークライミンググレードは、5.XXというように5から始まるわけだから。3級や4級はロープが要らないグレードなのだから。

なので、フリーでは、落ちること前提である。そこが、アルパインの人は切り替えできないのだろう…。

ガバ=クリッピングチャンス、というのがフリークライミングの前提だが、アルパインクライマーが作ったのではないか?という課題は大体が、ガバ=ボルト飛ばし、になっている。

その結果、フリークライミングの課題なのに、なぜか落ちてはいけない課題、ということになってしまっている。例えば、八面。

私がオンサイトで、見ず知らずのビレイヤー(つまり、信用はまだできない人)を相手に登れたくらいなんだから、5.9でいいとは思うが…なんじゃこりゃ!と思った。

昨日聞いたら、そこは、新人にはトップロープでしか登らせない課題ということだった。んじゃ、トポに、トップロープ課題と書いておくべきである。まぁ、登れたからいいけど。

大体、一番真ん中の良いところにある5.9だったら、その岩場に初めて来た人は、普通に喜んで取り付いてしまうだろう。

余談だが私が登っていた時に、誰でも知っている有名アウトドアウエアのメーカーで店子をやっている男性たちが集団で登っていたが、同じ5.9、若い男子でも全然登れず、TR以外ない感じでしたよ。

まぁ、そんなこんなで、支点の質が40年前であることや、課題の質がアルパインの論理で、作られていること、などから、色々と想定していない、きわどい目に遭った。

いや、ひどい目以外は合っていないというほうが正しいくらいのレベル感だ。

■その他

その他、色々と疑問な出来事が起こった…

最近起きた 公開されている岩場でノーマット

なんて可愛いもので、

クラックなのにボルト、とか

外岩なのに人口ホールド、とか

2名のリードを一人がビレイ、とか

支点ビレイをされているのに、されている本人が気がついていない、とか

背の低い私に向かって、エイドで鍛えてやる…とか。

最期のやつなんて、死の宣告に近い。

昔のエイドルートって、ボルトが打たれたのは、40年以上前だろう…フリー化以前だからだ。つまり、ボロい。そして、背の低い人が、いくらアブミの上段に載ったところで、手が届かないものは届かない。

エイドというのは、困難度は常に距離である。距離と比例してリスクが増すからで、つまりランナウト核心と同じことだ。A1、A2、A3と困難度が上がる内容を調べれば誰だってすぐ分かる。それをちびの新人に向かってやってあげるよっていうのだ。こんなの、殺してあげるよ、喜んでね、と言っているのと同じことだと分からないのだろうか?フリーにおけるAゼロだって、手が届けば出来るが、届かなければできないものだ。

それ以外にも、私のリード中に、他のクライマーをリードさせて、一人で2名をビレイしたトンデモクライマーから、連れて行ってやっても良い、と言われた。そんなトンデモビレイで登らないといけないなら、登らない方がいい。そもそも、2名が一名をビレイするなら分かるが、一名が2名をビレイするなんて、マルチのセカンドを上げる時以外ありえない。連れて行ってやるのは、どう考えても、こちら側である。

というわけで、九州では、理解が反転している人が多数で、その理解の反転は、普通にまじめに論理的に考えたら、変、と気がつく程度のものが多い。

要するに、みんな考えてはいないで、周囲の空気に流されてやってるのだろう…。

つまり、新人は騙されている気配が濃厚だ。ありがたくもなんともないものを、高額で買わされているようなものである。

このような状況なので、山岳会には入らない方が良い。入ったら殺されてしまうかもしれない、ということになっている。一人で2名をビレイするとか、間違った技術を広めているのは、むしろ会のほうなのだ。

■グレードは適正に…とはいえ

一方、グレーディングが辛い、というのは、開拓者が置かれた事情を鑑みて、ある程度は理解できる。

あるグループで、自分が一番登れる人になってしまったとしよう。あるルートを開拓したが、自分以外は誰も再登できない。

となれば、今まで自分が登ってきた最高難易度のものと比較して、それより難しければ、1グレード上げ、易しければ1グレード下げるだろう…それしか、参考になるものがないからだ。

もし、私のように10代がギリギリで、5.9はまぁ落ちないレベルの人が登れば、私が落ちるようなところなら、5.10cかなとかいう付け方ができる。あるいは、何トライでレッドポイントできたか?カウントすることでグレードを与えることができる。私のレベルなら、10cは、2回か3回でレッドポイントが今のスキルなので、レッドポイントにかかった便数で、グレードが図れる。

しかし、開拓において豊富なテストクライマーが得られることは、ほぼないので、一つの岩場の中で、グレードが易しい順から難しい順にきちんと整列していたら良し、というべきだろう…。

■それより問題なのはランナウト

そもそも、フリークライミングは、どこで落ちても死なない前提のクライミングなので、問題になるのは、グレードが辛いことより、ランナウト、である。つまり、落ちてはいけない作り、である。特に、その岩場で一番易しい課題。

何しろ、初めて行った人は、一番易しい課題に取り付くのである。その課題が5.9と書いてあって、10cであっても、どこでも落ちれる作りなら、「あー、難しかったー」で、終わりだ。

ところが、落ちれない作りの課題だと、追い込まれて、やむなしで落ちて大怪我してしまわざるを得ない。四阿屋のインディアンフェースである。行った初日にグランドフォールで腰椎骨折した方に遭遇した。

お気の毒だが、フリーファンには事故報告は乗らなかった模様だ。事故の情報がどこにも載らなければ、事故がその岩場で起きていることも知られないままになる。

もちろん、これがアルパインのクライマーなら、ここで落ちたらヤバい!と思った時点で、エイドの道具、例えばスカイフックなどを出して、安全に降りるなどの対処が可能だが、普通のフリークライマーがスカイフックを持って、岩場…しかも、ゲレンデ…に行くかというと?当然だが行かない。スカイフックなんて名前を聞いたことがある人自体がいないだろう…。

当然、本番でもないゲレンデにスカイフック持っていく人も普通はいない。

というわけで、普通のフリーのクライミングしかしない人向けに、ランナウトした課題、落ちれない課題には、Rを正直につけておくべきだ

大体、フリークライマーというのは、スポートルート、つまりボルトルートでは、ボルトへの信頼をベースにして、俺は安全なクライミングを選んで登っている、と思っている人たちなのだから、ボルトルートに取り付いて、まさか、自分がRつきを登っているとは思っていないのだから。

そもそも、フリークライミングの教育に、エイド技術で急場をしのぐなんて出てこないのだし。

もちろん、落ちたら、ビレイヤーが後ろに走る、とか教わらない。

そんなことを知っているのは、昨今アルパインのクライマーでもいない。アイスのクライマーくらいだ。

アイスでは支点の数が限られるので、できるだけ本数節約で取るので、下のビレイヤーは、「ねぇ、もう、早く取ってよう…これだと私だいぶ後ろに走らないといけないじゃない…」となる。

もちろん、ビレイヤーの方が軽かったら後ろに走ろうが、落ちられれば、前に引かれるので、意味なしである。それどころか、前に引かれてアイス激突して下手したら、ビレイヤーの方が死んで、落ちたクライマーの方が雪のクッションで助かるレベル感である。

■ 総括

というわけで、総括すると、

アルパインの本チャン的ルート = ボルトを抜いて本来の支点を自作するルート設計へ

フリーのルート=ランナウトの問題解決して本来のボルトが信頼できるフリーのルート設計へ

という二つのことが課題なのが九州だ。

あとはトポの充実。ちゃんとトップロープ課題とか、RとかXとかつけておくべきだ。ボルトの設置年月日と施工者名も同様。

要するに、クライミングが怠惰化したのだろう…なにせアルパインのクライマーにとっては支点を自作しなくて良ければ、タダの快適クライミングである。

怠惰でなければ、好意的に考えて、カットアンカーが現代では適切なボルトでないことを知らない=無知だった…のであろうが、どちらにしても、その期間は40年間、で、尊敬に値する行為か?というと?答えは明白であろう。いくら九州が僻地でも、10年遅れとかくらいまでだろう、その言い訳が許されるのは。

フリーのクライミングルートがフリーの論理で貫かれていないことも、基本的には、意味あってつけたグランドアップ課題というよりは、ボルト位置に失敗した、というだけのことであろう。

断っておくが、私は5.11が登れるようになってから取り付く5.9があっても良いと思う。憧れのルートということだからだ。しかし、それには歴史的経緯が必要だ。しかも、そういう性格のルートだということを広く認知され、トポに書いてある必要がある。なにしろ、トポはそのためにあるのだから。

九州では前の世代のツケ…2000年代でも、本州ではとっくにリタイヤしているカットアンカーのボルト付き本チャン、ボルトが信用できないフリールート…に、延々と後世の世代が付き合ってきたわけだ。

その際に、危険になるのは、昨今、10歳以前からエリート教育を受けている最精鋭のコンペクライマーではない。

普通に趣味としてクライミングに接し、クライマーのやっていないクライミングジムでクライミングに接した、一般市民クライマー達だ。彼らにはコーチはいない。師匠も当然いない。クライミングジム店長も頼りにならず、九州では、クライミング講習会も開催されない。

そういえば、御坂山岳会の先輩が九州に転勤になり、その先輩はとっととクライミング辞めてしまっていたなぁ…。それはこういう訳だったのだ。

というので、これで4年間のクライミングの総括、お終い。

やっとこれで、クライミングしなくても良くなりそうでうれしい。


こんなの要らないカットアンカーボルト ペツルではありません
40年前の常識=今は非常識。新規リボルトをカットアンカーでやるのはやめましょう

                 残念な終了点 近すぎ

         自己責任を求めながら設置者責任放棄しているけどね…

    ボルダリングの岩場にもマット使ってくださいと書いて貼っておけばいいのかも?

                                      シャックル直付けは辞めよう。

PS 総じて楽しんでいるというコメントを貰いました(笑)。スリルとサスペンスでした。

あ!もったいない!天野和明@高千穂 天岩戸 The original myth of ancient JAPAN

■ こんなYouTube動画が回ってきました…


こんな動画が回ってきて、いやはや、マジ、もったいないと思いました…。

天野和明さんが、なんと五ヶ瀬に来ていたらしいです。

日之影には、同時期に小山田大さんもいたと思うので、なんと日本を代表するボルダラーと日本を代表するアルパインクライマーが同時にいたのに、なんの恩恵も一般市民クライマーに与えることなく帰ってしまったのではないでしょうかね…

いやはや、なんとも、もったいない。

天野和明さんは、石井スポーツ登山学校の校長先生です。業界の人は、登山の世界に無知な人が多いので、こちらの経歴によると、バイト扱いのころに世界的な記録を打ち立てておられますが… (https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E9%87%8E%E5%92%8C%E6%98%8E

ギリギリボーイズのメンバー

です。

2008年カランカ北壁初登攀によって「第3回ピオレドール・アジア」(金のピッケル賞アジア版)を日本人初受賞
2009年カランカ北壁初登攀によって「第17回ピオレドール賞」を日本人初受賞
2009年スパンティーク北西壁のアルパインスタイルによる登攀によって「第4回ピオレドール・アジア」にノミネート

天野和明, 一村文隆, 佐藤裕介

このうち、二名が山梨在住クライマーです。天野さんはご実家が、甲州アルプス(大菩薩嶺)のあたりで野山を駆け巡って大きくなったそうです。

そんな人がせっかく、僻地の宮崎まで来てくれているのに…。トークの夕べも開かれず…なのかなぁ…。(現地ではあったのかもしれませんが)

本来、技術講習をしてもらえばいいです。交通費はすでに出ているでしょうから、滞在費と講師料だけでもきっとやってくれるのではないでしょうか…この九州でのアルパインの惨状を見たら…。


(現代のシングルの標準は、9ミリ中ごろ。山岳会はまだ11ミリを前穂北尾根に持ってきていました(汗))

行政の人とか、町のジムの人、あるいは山道具屋の人が無知なんだろうなぁ…

大体、強いクライマーがどこかの町に来るときは、宴会に、地元の強いクライマー連中がお呼ばれ、というのが定番コースなのではないかと思いますが…。

五ヶ瀬なら、大分が近い。福岡も別に遠くないです、高速を使えば、3時間半。

いやはや、もったいない! 

こういう一流クライマーが来るときは、ホント、一般クライマーができない山をやっている人たちなので、どうやってステップアップして行ったらいいのか?を聞くと良いと思います。

読図は、マッターホルンでの下山で迷ったときに役に立ったそうですよ(笑)。

私は、敗退に何を使うのか?とか聞いたりしました…現代は、敗退用シュリンゲは、ナッツ。捨てナッツするそうです…。カムを捨てるには、おしいもんなぁ。

懸垂の末端は結ばないと聞いて驚きました…時間を節約するためだそうです。それで馬目さんは、すっぽ抜けで落ちている報告が花谷さんからありました… 

山梨では山道具屋のエルクで、花谷さんのトークショーとかあります…九州では、そういう機会が皆無です。

威張っている山の内容聞いてみたら、ガイド登山で行ったヘルンリ稜とかでガッカリ…そんなのを聞いても、何も触発されません。何の技術もイラナイ… パッケージツアーと同じことです…

九州に必要なのは、さしづめ、そういう風に一流の人の話を聞いて、

「一流というのは、こういうことかぁ…」

とそこはかとなく、現代のトップレベルがどこにあるのかという、知覚を得ることのような
気がします。

それがないので、なんかちぐはぐなことになってしまう。本来ブイブイ言わせるとは、全く無縁のようなグレードで、えばってしまうというのは、現実認識…知覚に混線状態があるという意味でしょう…

もちろん、ブイブイ言わせるような人が本州にだっていない訳ではありません…。

前に瑞牆で、不動の拳の前を通ったら、超・ブイブイ言わせている、嫌みな男子に遭いましたけど…、先輩曰く、「不動の拳だったら仕方ないよ、ちょっとは許してあげようよ」とのことでした。でも、不動の拳ですからね…。もちろん、真の実力者は、どこにいても、ブイブイ言わせる必要自体がないわけですが…。

現代の若いクライマーで九州にお招きしてお話を聞いたらいいような人…というのでは、

ワールドカップの選手の 門田ギハード




など、なんで地元クライマーが盛り上げてあげないのかなって感じです。大分のクライマーです。

結局のところ、せっかく、小山田大さんがいたり、呼ばれて天野和明さんが来たり、若手のローカルクライマーであるギンちゃんが世界の舞台で名を上げたりしても、スルー。

この

 スルー

の原因は何かというと、単なる 無知、なのではないでしょうかね?

それか、内弁慶、な人が通っており、本当の実力者、が評価されないでいるということなのでは?

それでは地元にいる間は、他の人も無知なので、間違った評価も無事でしょうが、出たとたんに、自らのレベルの低さを恥じることになってしまいます…

九州には、、がないのではなく、、が来ても、スルーしているだけなのです。

その結果、ノーマットなんて10年早いみたいな人が、ノーマットと言い出したり、10aでブイブイ言わせたりというような、

 レベル感がちぐはぐな現象

が起こってしまうのです。 分かっている人は、ばかばかしくて、付き合う気になれない、というので、分かっているクライマーは黙ってしまうし…

声が大きい人が言っていることは、大体が、レベル感マッチしていない、とか、技術内容が相当昔のモノ、とか、どちらかというとお金儲け主義、とか、そんなことになってしまっています。

2021/12/23

愛される理由違い

■不思議だなぁ

色々、考えていると不思議な気がしないでもないです…

というのは、

 安易に落ちないクライマーである、

という、まさに

 山梨時代に愛された理由

が、

 九州では愛されない理由

になっている…。

九州ではフリークライミングの岩場であっても、ボルトは信用できない。のにも関わらず、落ちろ落ちろ、と言われる。

エリクソニアンダブルバインドというのがあります。

例:

例えば、「わからないことがあれば何でも聞きなさい」「わからない場合はすぐに聞きなさい」など、普段から親切に接してくれる上司が、実際わからないことがあって、いざ質問をしてみると「少しは自分で考えろ」「何でもすぐに聞くな」など。

よくあるのが、お母さんが、「あなたの好きなのを選びなさい」と言ったのに、ホントに選ぶと、「こっちにしなさい」と言われる…とか。

かなり、あるある、ですよね。

クライミングでは、当然ですが、どんな形態のクライミングも、落ちないで登るために登っています。

要するに、落ちないのが上手なクライマーです。

しかも、支点が信用できない九州の岩場… 落ちない糊代は、支点強度のしっかりした岩場よりも、マージン厚めが良いわけです。当然。

しかも、私は一回、初心者のクライマーにビレイで落とされて頭を7針も縫っているのです。

ピンは取った後にキャッチしてもらえなかったというだけのことなので、私に落ち度はありません。

それでも、山梨では、

”フリークライミングであっても、そもそも、容易に落ちるようなクライミングをしてはいけない”、

などと、ビレイヤーではなく、クライマーの側が反省するのが通例です。

それで、落ちろ落ちろ…と言われるのは、どれだけ嫌だったか…。

大体、落ちなくても、ムーブ解決スイッチが入ったら、ムーブが出てきて登れたことが、何回もありました。私に必要なのは、むしろそっち、でした。切羽詰まると出る、ムーブ。

自分のことを分かっていると感じられる信頼できる相方…

「すぐ落ちるクライマーは俺は嫌いだ」といった師匠の言葉どおり、私もすぐ落ちるクライマーは、嫌いです。支点強度、考えていない。ついでにすぐに人に頼ろうとする、下手くそが多いと思います。

ハングドッグ2時間とか付き合いたくないです、そもそも。



健全な市民クライミングを日本に

■ テレビの害?現代病とは、俺が俺が病だそうです

これは昨日、友人から投稿されたメッセージである。

クライマーのみんなは、もしかして、クライミングを、

  人に自分を認めさせる道具

にしてしまっているんじゃないでしょうかね?

ーーーーーーーーーーーーーー

昨日、久々にちゃんとテレビを見たのだけれど、他人に認められる事(成功だとか他人の為だとか)が最大の価値観のように扱われている世の中の"常識"というのが何とも恐ろしく見えた。

それは大多数の民衆の暴力への認可だと感じる。

自己を否定され、自己を否定し、他人への承認を求める方向へと進む。

他人への承認は満たされない欲望であり、終わりのない欲望はついには暴力へと発展する。

自己肯定というのは自分に何か付加価値がある事によって生じるのではなく、何者でもない"私"が自己により全肯定される事によって為されるものであり、本来の自己に内包されている根源的なものだと私は感じている。

"存在"というものは、そのまま肯定されているから"存在"しているのである。

ただそれが幼い頃から否定され、見えなくなってしまっているが故に、自己否定と承認欲求という形の問題としてあらわれる。

ーーーーーーーーーーーーーー

■ ラッペルダウンで作っているんですよ?

総じて、日本のクライミングシーンは、ヨセミテのグランドアップ開拓の理念からその先の時代へ世界が進んだのに、日本だけが進み損ねているような印象を持っていますが…。

山梨時代に一緒に登っていた先輩など、トップロープ禁止にしていたので、そのせいで上手になれないでいる、と5.13を登るツヨツヨクライマーが指摘していました。

ハラハラドキドキがクライミングの魅力だとすると、どうせリードの方が楽しいのですから、リードしたくなるのがクライマーです。

なので、別にリードしたほうがえらいわけじゃない。それは昔の、アルパインのトップを一部のエリートクライマーだけしか努められなかった時代のノリです。

ラオスでは、自分がリードした課題をほかの人が登りたくないか?周りに聞いてから、ロープを抜いていました。

そこで登っているクライマーは全員が海外旅行中ですし、ラオスなんて医療の整っているとは思えない国ですから、屁のツッパリとかで意固地にリードに拘り、怪我をした方が全員にとってマイナスです。

なんせラッペルダウンのルートは、開拓者だってオンサイトしていないんですよ?

試登しないと、ボルト位置だって決められないんですから。

■ 一般市民クライミングとエリートクライミングは別物ですよ?

大体、5.12がやっとこさでも届く…というレベル感が、かつての山岳会のリーダークラスの人に最低限、必要だという登攀力だと思いますが…、そのくらいのムーブ能力は、最近では12,3歳の子どもにとって、ウォーミングアップなのだそうです。

クライミングは、バレエと同じで非日常の動きなので、動作をやったことがある量、が、まぁ、才能を別にして、そのまま、ムーブ能力、です。

要するに、3歳から始めるお稽古事、伝統芸能とかと同じレベル感です。幼くして始めれば始めるほど、単純に有利。

私はバレエは19歳でスタートしていますが、その当時、世の中には、大人のバレエ教室はないので、12、13歳の子供たちと一緒に混じって教わっていましたが、その後、アメリカでもバレエレッスンを取ったら、60代、70代の人ばかりで、私がダントツにうまかったです…。でも、子供たちに交じれば、ダントツに下手くそです。

同じことが起こるのが、昨今の山岳会。60代で初めて山登りを始めました、みたいな人に交じって、40代で初めて岩、登っています、みたいな人が岩トレしたら、ダントツで上手な方に、自動的に入ってしまいますが、だからと言って、一般のクライミングジムに行ったら?当然20代、30代の男性が主体なのですから、ダントツビリけつです。

当たり前のことが当たり前に起きているだけです。

私はいつも変わっていません。40代女性の平均的な能力を提示しているだけです。

バレエと同じで、クライミングも、エリート教育、早期教育でのレバレッジが偉大です。

大人になって始めた人とは、3グレードも違うのです。

昔の山岳会では、野北がリード出来たら尊敬されたそうです。私もリードで登っていますが、特に難しさを感じない岩場でした。つまり、5.8~5.9レベルです。

そんな世界で、5.12が登れる才能をたまたま有していたら、周囲の人から見たら、まるで神レベルです。誰もがひれ伏すでしょう。

昔は若くして岩登りをスタートするということ自体が稀で、特権的出来事でした。大体、超有名クライマーって、その時代としては、例外的に、若年齢でクライミングをスタートしています。

しかし、今は、多くの人が若くして始められるので、10代で5.12とか普通です。

それは登った年齢と量の問題で、誰でも量をこなせば届く程度なのだそうですから、現代で才能がある、というのは、5.13以上のことになります。

昔、5.8~5.9が登れたら尊敬されたというレベルがスライドアップして、5.12くらいになってしまっているのです。

短く言えば、時代はもう2022年にもなろうという時代なんですよ。昔の常識は昔の常識。

これも、クライミングウォール、落ちても死なない人工壁や、ボルダリングジムができたおかげです。

昔は練習したくても、そんなに身近に練習することができなかったわけです。

登れるグレードの因果関係を見ると、そんな程度のことですから、ある集団の中で自分が、どの程度上手かで、威張ったり、謙遜したり、と態度を変えるのは、滑稽というものです。

■ 結局のところ意志の問題

結局のところ、クライミングのムーブ能力をどこまで上げたいか?というのは、

 意志の問題

です。オリンピックの選手になりたいなら、そりゃ毎日やっていないとなれるわけがありません。

バレエでも、世界のトップクラスになり、ロイヤルで踊るようになった人は、毎日4,5時間踊り、ローザンヌに出て、留学権を得て、さらに毎日8時間踊って、競争をくぐりぬき、主役の座を得るわけですが、そんなこと、趣味のバレエの人がしたいです?したくないですよね。踊ること自体が楽しいので、レッスンは何か他のためにある時間ではなく、人生そのものです。

同じことで、毎日登って特訓している、現代のコンペクライマーがスゴイ登攀力を持っているのは、その通りですが、その代償は、グレードで計られ、比べられ、自尊心を常に傷つけられているってことです。

■ それと同じ価値観を一般の市民クライマーはしなくていいですよ 

日本人は全体主義なので、誰しもが全員、オリンピック選手になるために頑張っているかのように、一般市民クライマーに序列をつけてしまいます。

それは、昔の共通一次世代の遺跡なのでしょうか?

現代は、個性の時代ですし、大人になってまで共通一次しなくていいです。

つまり、トップレベルクライマーがやっていることを一般市民レベルクライマーがやらなくていいってことです。

エリートクライマーになりたい人は、子供から練習してなればいいし、市民クライミングで楽しみたい人は、グレードで他者から承認を求める世界に無理して生きなくて良い、ってことです。

昨日は下呂でボルダリングで、何かに対して努力するという価値観を見出して、人ともきちんと繋がれるようになった10代の男の子の話がNHKで取り上げられていましたが、尊いことだと思いました。

団体競技が合わない人にも個人で行うスポーツのクライミングは合うことがあります。

せっかく市民クライマーで、グレードに縛られないでよい、自由な世界にいるのに、なんで、次々と性急にグレードを上げて行かないといけないんです? 

自分の好きなペースで成長できるという贅沢を享受しましょう。

■ プロセスを味わって進んだほうが、お得

私は、クラックを目指していたのですが、小川山レイバックでスタートですが、一回目に連れて行ってもらったときから、最終的にRPするまで、3年くらいはかかっていますが、そういう風にじっくり成長するのは、楽しかったです。

グレードより、思い出。

自分にとっての、いわくつき課題がいっぱいある。そっちのほうが、私にとっては、味わいあります。

良き思い出がたくさん作れる、それが急がなくて良い市民クライミングのだいご味なのでは…。

グレードより、良き思い出。