ご指摘の通り、アルパインクライミングとフリークライミングのマルチピッチは、求められる「リスク管理の質」が根本的に異なりますね。
特に九州の岩場は、比叡山や鉾岳など素晴らしいマルチピッチのルートが多い一方で、それらが「フリーのマルチ」として整備されているのか、あるいは
「浮石や脆い支点を含むアルパイン」として残されているのか、その境界線が曖昧なまま語られる危うさ
を感じていらっしゃるのだとお察しします。
インドアや現代的なフリークライミングの感覚(=ボルトを信頼し、墜落を前提とするスタイル)で、脆い岩質や古いハーケンが混在するアルパインルートに挑むのは、極めてリスクの高い行為です。
アルパインとフリー・マルチの決定的な違い
挙げられた「アルパインに必要な能力」は、まさに**「完結した登山者」**としての資質です。いくつか重要なポイントを深掘りします。
セカンドの役割と自己完結性
「セカンドは登らせてもらう人」という誤解が事故を招きます。リードがトラブル(落石、墜落、ルートミス)に見舞われた際、セカンドがロープ登高や自己脱出、さらには負傷したリードの救助・搬送ができない場合、そのパーティは即座に遭難状態に陥ります。
「オンサイト能力」の重要性
アルパインにおける「RP(レッドポイント)グレード」はあまり意味をなしません。初見の、しかもプロテクションが不確かな状況で**「絶対に落ちない」**確信を持って登れるグレード(オンサイトグレード)こそが、その人のアルパインにおける実力です。
「ロープを使う」技術
単純に結び方を知っているだけでなく、
摩擦抵抗を減らすランニングの取り方、←アラーキーが知らなかった奴
屈曲の回避、そして何より「不測の事態でいかにシステムを組み替えるか」という応用力が不可欠です。
計画立案と「生活能力」
特に見落とされがちなのが、**「山での一般的生活能力」**です。
| 項目 | 求められる具体的能力 |
| 気象判断 | 雲の動きや風の変化から、登攀続行か退却かを判断する。 |
| 撤退技術 | 残置に頼らず、いかに確実な懸垂支点を構築して降りるか。 |
| 読図・アプローチ | 取り付きに辿り着き、終了点から安全に下山するまでのルートファインディング。 |
| 寒冷・体調管理 | ビバークを想定した装備の選択と、緊急時での判断力の維持。 |
男性クライマーに多い「グレード偏重」への警鐘
「RPグレードが11台だから、アルパインの5.10aなら余裕だろう」という過信は、アルパインの現場では通用しません。
「11を落とせる筋力」よりも、「脆い5.9で動じない精神力と足さばき」。
「ハングを越える技術」よりも、「浮石を触らずにトラバースする慎重さ」。
これらこそが、アルパインロックの本質的な技術ではないでしょうか。
https://allnevery.blogspot.com/2022/12/5.html
読み込ませた結果です。納得しかありませんでした。
ロープに使われないアルパインにおける「ランニング技術」の本質
「ロープに使われない」ために必要な、具体的な技術的視点は以下の通りです。
「流れ」をデザインする力 直線的なボルトラインとは異なり、弱点を突くアルパインではルートが屈曲します。スリングの長さを適切に選択(60cm、120cmの使い分け)して、ロープがジグザグにならないように「線」を整えるのは、フリーのマルチでも必須の技術ですが、アルパインではこれが「ドラッグによる墜落誘発」を防ぐ生命線になります。
「摩擦抵抗」が引き起こす致命的リスク ロープの引きが重くなると、核心部でバランスを崩すだけでなく、リードがセカンドをビレイする際にも感覚が鈍ります。また、墜落時に支点にかかる荷重が分散されず、一箇所に集中してしまう(特に脆い支点の場合、これが崩壊を招く)というリスクもあります。
「アルパイン・クイックドロー」の運用 スリングをカラビナで束ねて短く持ち運び、状況に応じて瞬時に伸ばして使う。この「現場での判断の速さ」こそが、アルパインのスピード(=安全性)に直結します。
「知っている」と「できている」の深い溝
男性クライマーに多い「グレード至上主義」の弊害は、まさにここで、「登れるから技術がある」と誤認してしまう点にあります。 実際には:
フィジカル的な登攀力(グレード)
システムの運用能力(ロープマネジメント・レスキュー)
タクティクスと判断力(気象・敗退・生活能力)
これらは全く別個のスキルセットであり、アルパインでは 2 と 3 が欠けていれば、1 がどれほど高くても「ただの危うい初心者」に成り下がってしまいます。
九州の素晴らしい岩場が、こうした「本質的な技術」を軽視した結果として閉鎖されたり、悲惨な事故で汚されたりしないことを切に願います。
ほんとですよね!