Meeting No mat beginner boulderer brought me Ippei Tajima
I met an ingnorant boulerere in Hinokage while I was taking a job training course to be a forest worker in Miyazaki prefectrure...
思えば、私のクライミング行脚は、近所のクライミングジムを訪ねることから始まったのだった…。
近所に田嶋さんのやっているJoyがあったので、当初、私は、福岡は山梨と違って都会だし、自然界は離れていて、岩場も質の良いものが山梨のようにあるわけではないだろうと想像していたので、ジムクライマーとして福岡ではやっていく気持ちだった。
外岩は最初っから捨てていたわけである。
山梨時代は、外岩が良いのでジムに行く理由がなかった。ジムに行くと言えば、外岩でできなかったムーブをピラニアの室井さんに、「すいません、こんなアンダーでもって、遠めの一手を取る課題ってありませんか?」などと質問していた。要するに完全に外岩の攻略用というジム利用法だった。そもそもアイスはインドアでは、できないですし。
というので、やっと都会!ジムに通って、フリーで一皮むけるぞーと思っていたわけだった。
と・こ・ろ・が!
田嶋さんのジムで、「ブラボーのバイトに応募した」と漏らしたら、なんと2日目で出入り禁止にされたのである。まだ月会費払って2度しか行っていないのに。
しかも、言いがかり。「教えないでください!」とかいう…。その時は、ジムであった大学生男子の一団が、私が登った課題が登れず、「どうするんですか?」とか聞いてきたので、「あの一手がとれたら終わりだよ」と答えただけである。これのどこが教えているんだか。
奥さんはどう見てもクライマーじゃない人だった。ついでに言うなら、ジムがあまり清潔ではなく、いや…これは…(汗)という感じだったので、経営面でこりゃ問題ありなジムだな~という感じだった。
が、ちゃんと『Climbing』とかいう雑誌が置いていたので好感。とりあえず、私は九州クライミング事情が知りたかったのだが…そういう情報の入手先として、ある程度色々…例えば、四阿屋は2グレード辛いと言われているとか…分かるまでは、しばらく通いたいと思っての入会だったが…。
ま、上記のような理由で通うことができなくなった。
(なのでどの岩場も前評判を知らず白紙状態で行くことになった)
しかも、以後、ブラボーがまた…。ブラボーはクライマーがやっていないジムなので、採用面接する人にクライミングの話をしても何も分からない。吉田和正と言って分かるか?当然だが分からない。山梨で登っていたと言って分かるか?分からない。ラオスで登ったと言って分かるか?分からない。要するに採用する人もド素人さん、である。(この人が福岡県連会長になったそうである)
なんとか採用になったが、初日のバイトで、カウンター裏にあるブラックリストを見て、「これ何ですか?」と聞いたら、ビレイが危険な人のリスト。ところが、それを言ってくれた人が「この人たちビレイ待機でこういう風に持たないんですよ」とデモしてくれたその手が…ATCなのにグリップビレイ。
つまり、このジムではATCなのにグリップビレイを教えているってことか…と真っ青になって、その日で辞めた。クライミングの掟は、”君子、あやうきに近寄らず”、である。
なんせ、命より大事な仕事など、現代日本にはない。
これは指摘して後から謝罪が来たが…ビレイでこれであれば、一から十まで、”古色蒼然”である可能性が高く、ずっと修正を言い続けないといけないだろうと想像ができ、しかも、年下の男性が店長でその人が職場で目上となると…?いばらの道しか思いつかないので、私個人にそんな自己犠牲を強いてまで、そこで働く必要はないと思われた。
当時は、まだ福岡一年目で、福岡での生活にバラ色を夢見ていた。久しぶりの都会で深呼吸する気持ちというか…。ヨガもクライミングも、趣味としてみると、田舎の山梨より都会の福岡の方が、より都会で人口が多い分、先進的であるのではないか?と予想できたからだ。
外岩は年に一回の遠征でいいやという気分だった。
正直、小川山に行くも台湾・韓国に行くも、コスト的に変わらない。なら、小川山なんかより、台湾の方が、あるいは韓国にアイスに毎年行く方が合理的に見えた。
■ ジムの質が低い
これが私の福岡一年目だったが、驚いたことに九州の東京・福岡で一番難航しているのは、ジム探しだった。
ジムは、福岡は質が低い。というと反論が出ると思うが、
クライミングの全体像
が分かっている人が、超少ないわけなのである。
例えば、室井登喜男さんは、ボルダラーであるが、当然アルパインの事も分からない訳ではない。ので、私みたいなアイス大好き!みたいなクライマーがジムに行って、恐る恐る、「あのー、〇〇ってのを登ったんですが、こうこういうムーブが全然できなくて落ちました。似たムーブの課題ないですかね?」とかいう、ジムの人が作ってくれたルートセットガン無視な質問をしても、は?ここは俺のジムだ!俺の課題を登れ!とか言わない訳である。一緒に考えてくれる。
ジムのお兄さんで、「僕、クライミングしたことないんです」みたいな人はいない。「僕、外岩行ったことないんです」みたいな人もいない。(驚くなかれ、福岡のジムでは普通にいる)。
それどころか、「外岩に行く人が嫌い」とお客さんである私に向かって面と向かって、攻撃してくるジム店長もいる。おそらく、嫉妬の裏返しで拗ねてそうなってしまうのだと思うが、お金を払って、わざわざ嫌な思いをしに行くバカはいない。(余談だが、福岡では殿様若者は大変多い。なんでお客が媚を売らないといけないのだ?)
ので、そのジムには全然行く気になれない。課題も、山梨時代のジムより質が劣るし、その上、都会のジムだから高い。
もちろん、それぞれに特化したジムはある。
スタンプは、コンペクライミングをするのなら良いジムらしく、徳永さんというセッターが良いのだそうだが、私はあいにくコンペクライミングには興味がない。そりゃ当然だ。今からオリンピック選手になる!なんてあるわけない。競技で選手が強くなるための課題より、6級5級でも考えさせる課題があるほうが役立つわけである。
普通のジムは、5.6級なんてルートセッターはセットしていない。つまり低グレードを登る人には、良質のルートセッターは、接点がない。
大体、外岩を登るのに、ジムグレードでは3級程度までしか要らない。ので、段の課題でいくら質が良くても、外岩クライマーには無用の長物だ。
ジップロックもボルダラーになるには良いジムだと思えたが、一日いただけで指が痛くなった。課題がボルダー寄り、なのである。ボルダーとは突破力のクライミング。指への負担が重い。外ボルダラーになりたい人に最適なジムだろう。指が痛い=通うには向かない、全身運動にはならない、である。課題は好みというかとても楽しかったので、たまにボルダーが好きな人には、勧めている。
フリークライミングと言えば、普通はロープクライミングである。その名の通りのジムがあり、リードというリードができるクライミングジムもあるが… は、リードエリアが狭すぎて小さすぎ、ビレイヤー同士がぶつかりそうで危険。結局リードするより、ボルダリング壁に落ち着くことになってしまいそうで、意味なし感がある。ここも課題は良かったと思う。
公共のかべでは、アクシオンはタダの筋トレ。しかも、ビレイが怖い人が揃っている。いきがった片手ビレイとか、壁から離れたビレイとかで、そんなものに身をさらしながらやる筋トレは、恐怖耐性筋トレである。恐怖は、ムーブの習得にマイナスであることが科学的にも証明されている。
というので、まぁどれもやっても得るものがないわけではないが、コストに見合わない訳である。そんな無理してまでやらないでも…となる。
なら、ジム代を交通費にかけて無料の外岩に行った方が楽しい。
なんと、福岡で自宅から30分で行ける岩場が近所にあり、これは、山梨時代を更新する岩場の近さ。スラブで良いなら、近所の公園で済ませてしまえる。
ので、結局買い物ついでにスラブに登って、その辺の石垣でスタンスを拾って足置き練習をするのが一番安上がり。しかも、ハンデつけてクロックス。
話がそれたが、つまり、福岡は、クライミングという面では、ぜんぜん九州の東京、ではないということだ。Pump2みたいな良質のジムはない。
ので、シリアスクライマーは、どんどん県外に流れていくということになっている。
私も、この状況ではそれがいいだろうと思う。
■山梨との比較
その点を山梨と比べてみると、山梨は、人口の割にクライマー人口が多く、シリアスクライマーが流れてくる先、流出側ではなく、流入側である。
こんな県は他にはあるまい。長野に流入するクライマーも多いが、基本、北杜市、がクライマーのベストロケーションというのが一般的な認識のようだ。(ユージさんのいる入間も、岩場のある奥多摩に近いが、奥多摩、登攀禁止エリアがあり過ぎでややこしすぎますよねぇ‥)
■外岩
と上記のような事情から、山梨時代の先輩が引っ越してきた時点で、ジムは諦め、ほぼほぼ、山梨アルパインクラブとしての2名での活動が始まった感じだった。
とりあえず、九州の主要な岩場巡り…2年で一巡、出来た。ほぼ主要な岩場は、すべて回ったので、岩場を掌握している感は現在ある。
回った結果、分かったことは、九州のリードクライミングが流行っていない理由。
なにしろ、ボルトがぼろかった…。20年前どころか、40年って感じだった。
見たことがない、ヘンテコ終了点オンパレードは、同時に”生と死の分岐点、展覧会状態”と前に誰かが言った、そのままだった。
見たことがない終了点は、使い方が分からないので、いちいち長野の師匠に聞いていたら、いちいち、外野から、あーだこーだという指摘が入り、遠くはチェコから、格式の高さではUIAAの事務局長から、アドバイスがたんまり来て、これがうわさに聞いていたトンデモ支点なるものか…!と、これまで本で読んで話に聞いていたことを実体験することになった。
人気ルートの手作り終了点一番ポピュラーな道端エリアのシャックル直付け終了点
■ トンデモ横行中
支点や終了点だけではなく、これが噂に聞いていたトンデモクライミング技術か!という経験も、たんまりたまった。
まず最初のトンデモ経験は、
5.9なのに10bムーブ…である。地方での岩場で課題が辛いのは、別に珍しいことではない。問題は、5.9なのに10bムーブが要求されるその状況を好ましいもの、と捉えていることだ。にやにやしながら嬉しそうにそう語る。それが疑問だ。
普通に考えたら、何も知らない5.9が限界グレードの人が取りついたら、10bが要求されるわけで、当然落ちる。つまり、落とすことを意図している。
それでも人工壁だったら落ちるのが当然なのだからいいのではないかと思うが。外岩でそれ? ま、もちろん、その課題で10bのムーブが要求されるところは、終了点間際の上部で、落ちても別に大きな問題にはならないようだったので、問題ではないかもしれないが…。
この騙して、落とす発想が、その岩場では主流だと思われ、不安になった。しかも、支点が奇天烈(上記)。
一事が万事というのが大体クライミング業界だからなぁ…。つまり、発想が幼稚な岩場ってことである。
まぁ、その課題は私がオンサイトできたくらいなので、5.9で妥当だろう。なんせ、そこで最も易しい課題だからだ。下手したら山梨では5.8が付いているかもしれない。
ちなみに、そこは佐世保の海軍の兵隊の若いアメリカ人を連れて行ったが、登れなかった。
この課題の後に続く次の難度(10a)の課題を登ったが、それもオンサイトできた。
後日だが、私が特に喜びもなく静かにオンサイトできた、その課題を、”俺ってかっこいいだろどーだ!”オーラを発しながら登ってくれた若い男性クライマーがいて、かなりシラケた。
43歳からクライミングしている人が、3年程度の修行して登れる程度の難易度のところで、若い男性がカッコつけて、かっこいいのだろうか?
現代のクライミングのレベル感を鑑みると、どーだ!俺かっけーというオーラをしょってよいのは、5.13から上みたいですよ?その辺も疑問に感じるのが九州で、ブイブイ言わせるグレードが低すぎるというか…。
師匠の青ちゃんは、インスボンをすいすいリードしてくれるが(しかもケガした足で)、常に”俺なんか全然登れない”と言っていて、それも慰めるのがめんどくさかったが、現代のクライミングレベルを考えると、青ちゃんの方が正常だと思う。
普通の若い男性は、まじめにやれば5.12くらいは登れるものだろう。なんていったって、握力17kg、身長152cmの私で5.11が見えているわけだから、男性の11なんて自慢の種になるわけがないのである。実際、小川山で一緒に登っていた男性クライマーで11で自慢していた人はいない。むしろ、引け目に感じているほうだと思う。
ブイブイオーラというのが、これが九州の基本にあるようで、これも、余り易しい課題でやると、滑稽ということだ。すくなくとも一般的に10代でブイブイは変だ。山梨ではそんな人には会わなかった。
その後も、古色蒼然としたアルパインの伝統に触れることになったが…基本的に、みんなあんまり、フリークライミングとアルパインクライミングの差を分かっていないんじゃないか?と思えた。
なにしろ、アルパインクライミングの技術しか教わっていない人がフリークライミングの開拓をしているので、両者が混同されて、意味が分からないことになっているのだ。それどころか、アルパインクライミングの技術もきちんとは教わっていないんじゃないだろうか?
というのは、普通はアルパインのクライマーは、支点はリムーバブルが当然だ。
九州では、それが、ぜんぜん当然にはなっていない。ほとんどの人がカムを使うスキルもなければ、ハーケンも打てない。スキルを身につけないといけないとも、思っていないようだ。
ボルトルートスキルしかないのに、本州の本チャンに行って残置で登る気でいるらしい。それは、自殺行為に等しい。
なにしろ、ちゃんとした本チャン、つまり残置に頼らないクライミングを練習する課題が九州にはない。残置で登る=危険行為ですよ、と明確にメッセージ化されていない。
例えば、本チャンアルパイン的ルートの代表、白亜スラブは、残置などなくても、カムで登れる課題だ。
普通のアルパインのクライミング論理では、残置なんぞ、頼らないクライミングをするのが普通だ。私の旗立岩を高度化したものである。
そんな支点構築スキルが求められて当然の本チャンルートでも、古い信用ならないボルトなんかがあると、ボルトがあれば、落ちて良いと考えてしまう非熟練クライマーが来てしまう。
私と先輩など、終了点を見落としたせいでロープが足りなくなり、中間支点1点のボルトに仲良く2名がぶら下がる羽目になった。あのボルトが抜けていたら、二人とも、さよーならー、である。そして、その支点は、信用ならないカットアンカー。現代のボルトで、”普通”はグージョンの事である。
その経験も悲惨だったが、そもそも、終了点を見落としてしまうとか、ロープスタックさせてロープアップできなくなるような、未熟なクライマーを呼び寄せないようなルートの作りが必要なわけである。
ボルトを抜けば、そんな奴は来ない。
本当の実力が示せるってわけだ。オールナチュプロという言い方が混乱を招くのかもしれないが、同じルートでも、残置で登るクライマーは下手くそ、オールナチュプロで登ってちゃんと登ったことになるのが本チャンだ。
なにしろ、山に残置があるわけがないのだから、残置を頼らずに登るのが、普通にアルパインの完登と言え、それにふさわしい課題だろう。
もちろん、支点さえ自前であれば、エイドを出しても、テンションしても、アルパインだからOKだ。つまり、完全フリーは求められないのがアルパインスタイルだ。
逆にフリーのルート(ゲレンデ、練習用)として性格づけたいのなら、ボルトはリボルトして、落ちれるようにちゃんとメンテすることだ。フリーは、エイドを出さず、完全にロープに頼らず、登るものだからだ。全然、アルパインとは指向性が違う。
大体、最近のクライマーは、どんなお粗末スタイルで登っても、終了点にたどり着いたら、”登れた”と言ってしまう。
終了点見落とした、ロープスタックした、なんて登れたと、普通は胸を張って言うことはできない。復習山行の対象だ。
ま、この事件で、相当懲りたわけである、私は。
これに行ってしまった理由は、単にフォローがいなくて気の毒だなぁ…と、先輩後輩の絆があったためである。
■ 10代が危険
アルパインの論理で、フリーのルートが作られている率は、5.9~5.10代の初級ルートに多い。(おそらく、もともとアルパインのクライマーは全然登れない人が多いからだろう。)
その悲惨さNO1は、八方が岳のボルトラダーうち替えで、1m置きにリボルトされた10c。
現代の一般的なクライミンググレードが登れる人がリボルトしているのではないため、古いボルトの置き換えで思考停止しているわけなので、岩がもったいないことになっている。
その課題をさも、自慢げにお披露目されたときには、ああ…ここまで何も分かっていない人たちだったのか…と目を疑った。いわゆる山岳会の人たちと行ったからだ。本人たちは、自信たっぷりなので、こちらはなにも言えない。
■ アルパインとフリーのルートの最大の差
は、グランドアップか、ラッペルダウンか?である。もちろん。
これが何に現れるか?というと、クリッピングチャンスの捉え方、である。
アルパインの人は、基本をリッジ登攀に置いている。つまり、基本的に落ちない傾斜のベースにところどころ落ちるところがあるわけで、その落ちるところ、というのは、難易度というよりも、おかれた場所の危険度、である。
例えば、高さ30mに置かれた足場板は危険だが、高さ1mにあれば危険でない。なので、難易度というよりも、危険度が問題であり、アルパインだと易しいからと言って、支点を取らずどんどん高度を上げてしまうというのが、初心者が陥りがちなミスだ。
私も過去にやらかしており、初めて行ったアルパインのジョーゴ沢では、核心の大滝でロープを出さずに超えてしまい、師匠に「そんな山は教えていない」とこっぴどく怒られた。しかし、その一度だけであり、しかも一本目で超初心者だった。
アルパインルートでは、危険個所、つまり核心以外は支点がないのが普通だ。言い換えれば、ガバがあるところは、快適に登攀中なので取らない。もちろん、地面が近い間は、取るのはフリーと同じだ。
一方、フリークライミングというのは、そもそも絶対にロープがないと登れない傾斜を登るものだ。だから、フリークライミンググレードは、5.XXというように5から始まるわけだから。3級や4級はロープが要らないグレードなのだから。
なので、フリーでは、落ちること前提である。そこが、アルパインの人は切り替えできないのだろう…。
ガバ=クリッピングチャンス、というのがフリークライミングの前提だが、アルパインクライマーが作ったのではないか?という課題は大体が、ガバ=ボルト飛ばし、になっている。
その結果、フリークライミングの課題なのに、なぜか落ちてはいけない課題、ということになってしまっている。例えば、八面。
私がオンサイトで、見ず知らずのビレイヤー(つまり、信用はまだできない人)を相手に登れたくらいなんだから、5.9でいいとは思うが…なんじゃこりゃ!と思った。
昨日聞いたら、そこは、新人にはトップロープでしか登らせない課題ということだった。んじゃ、トポに、トップロープ課題と書いておくべきである。まぁ、登れたからいいけど。
大体、一番真ん中の良いところにある5.9だったら、その岩場に初めて来た人は、普通に喜んで取り付いてしまうだろう。
余談だが私が登っていた時に、誰でも知っている有名アウトドアウエアのメーカーで店子をやっている男性たちが集団で登っていたが、同じ5.9、若い男子でも全然登れず、TR以外ない感じでしたよ。
まぁ、そんなこんなで、支点の質が40年前であることや、課題の質がアルパインの論理で、作られていること、などから、色々と想定していない、きわどい目に遭った。
いや、ひどい目以外は合っていないというほうが正しいくらいのレベル感だ。
■その他
その他、色々と疑問な出来事が起こった…
最近起きた 公開されている岩場でノーマット
なんて可愛いもので、
クラックなのにボルト、とか
外岩なのに人口ホールド、とか
支点ビレイをされているのに、されている本人が気がついていない、とか
背の低い私に向かって、エイドで鍛えてやる…とか。
最期のやつなんて、死の宣告に近い。
昔のエイドルートって、ボルトが打たれたのは、40年以上前だろう…フリー化以前だからだ。つまり、ボロい。そして、背の低い人が、いくらアブミの上段に載ったところで、手が届かないものは届かない。
エイドというのは、困難度は常に距離である。距離と比例してリスクが増すからで、つまりランナウト核心と同じことだ。A1、A2、A3と困難度が上がる内容を調べれば誰だってすぐ分かる。それをちびの新人に向かってやってあげるよっていうのだ。こんなの、殺してあげるよ、喜んでね、と言っているのと同じことだと分からないのだろうか?フリーにおけるAゼロだって、手が届けば出来るが、届かなければできないものだ。
それ以外にも、私のリード中に、他のクライマーをリードさせて、一人で2名をビレイしたトンデモクライマーから、連れて行ってやっても良い、と言われた。そんなトンデモビレイで登らないといけないなら、登らない方がいい。そもそも、2名が一名をビレイするなら分かるが、一名が2名をビレイするなんて、マルチのセカンドを上げる時以外ありえない。連れて行ってやるのは、どう考えても、こちら側である。
要するに、みんな考えてはいないで、周囲の空気に流されてやってるのだろう…。
つまり、新人は騙されている気配が濃厚だ。ありがたくもなんともないものを、高額で買わされているようなものである。
このような状況なので、山岳会には入らない方が良い。入ったら殺されてしまうかもしれない、ということになっている。一人で2名をビレイするとか、間違った技術を広めているのは、むしろ会のほうなのだ。
■グレードは適正に…とはいえ
一方、グレーディングが辛い、というのは、開拓者が置かれた事情を鑑みて、ある程度は理解できる。
あるグループで、自分が一番登れる人になってしまったとしよう。あるルートを開拓したが、自分以外は誰も再登できない。
となれば、今まで自分が登ってきた最高難易度のものと比較して、それより難しければ、1グレード上げ、易しければ1グレード下げるだろう…それしか、参考になるものがないからだ。
もし、私のように10代がギリギリで、5.9はまぁ落ちないレベルの人が登れば、私が落ちるようなところなら、5.10cかなとかいう付け方ができる。あるいは、何トライでレッドポイントできたか?カウントすることでグレードを与えることができる。私のレベルなら、10cは、2回か3回でレッドポイントが今のスキルなので、レッドポイントにかかった便数で、グレードが図れる。
しかし、開拓において豊富なテストクライマーが得られることは、ほぼないので、一つの岩場の中で、グレードが易しい順から難しい順にきちんと整列していたら良し、というべきだろう…。
■それより問題なのはランナウト
そもそも、フリークライミングは、どこで落ちても死なない前提のクライミングなので、問題になるのは、グレードが辛いことより、ランナウト、である。つまり、落ちてはいけない作り、である。特に、その岩場で一番易しい課題。
何しろ、初めて行った人は、一番易しい課題に取り付くのである。その課題が5.9と書いてあって、10cであっても、どこでも落ちれる作りなら、「あー、難しかったー」で、終わりだ。
ところが、落ちれない作りの課題だと、追い込まれて、やむなしで落ちて大怪我してしまわざるを得ない。四阿屋のインディアンフェースである。行った初日にグランドフォールで腰椎骨折した方に遭遇した。
お気の毒だが、フリーファンには事故報告は乗らなかった模様だ。事故の情報がどこにも載らなければ、事故がその岩場で起きていることも知られないままになる。
もちろん、これがアルパインのクライマーなら、ここで落ちたらヤバい!と思った時点で、エイドの道具、例えばスカイフックなどを出して、安全に降りるなどの対処が可能だが、普通のフリークライマーがスカイフックを持って、岩場…しかも、ゲレンデ…に行くかというと?当然だが行かない。スカイフックなんて名前を聞いたことがある人自体がいないだろう…。
当然、本番でもないゲレンデにスカイフック持っていく人も普通はいない。
というわけで、普通のフリーのクライミングしかしない人向けに、ランナウトした課題、落ちれない課題には、Rを正直につけておくべきだ。
大体、フリークライマーというのは、スポートルート、つまりボルトルートでは、ボルトへの信頼をベースにして、俺は安全なクライミングを選んで登っている、と思っている人たちなのだから、ボルトルートに取り付いて、まさか、自分がRつきを登っているとは思っていないのだから。
そもそも、フリークライミングの教育に、エイド技術で急場をしのぐなんて出てこないのだし。
もちろん、落ちたら、ビレイヤーが後ろに走る、とか教わらない。
そんなことを知っているのは、昨今アルパインのクライマーでもいない。アイスのクライマーくらいだ。
アイスでは支点の数が限られるので、できるだけ本数節約で取るので、下のビレイヤーは、「ねぇ、もう、早く取ってよう…これだと私だいぶ後ろに走らないといけないじゃない…」となる。
もちろん、ビレイヤーの方が軽かったら後ろに走ろうが、落ちられれば、前に引かれるので、意味なしである。それどころか、前に引かれてアイス激突して下手したら、ビレイヤーの方が死んで、落ちたクライマーの方が雪のクッションで助かるレベル感である。
■ 総括
というわけで、総括すると、
アルパインの本チャン的ルート = ボルトを抜いて本来の支点を自作するルート設計へ
フリーのルート=ランナウトの問題解決して本来のボルトが信頼できるフリーのルート設計へ
という二つのことが課題なのが九州だ。
あとはトポの充実。ちゃんとトップロープ課題とか、RとかXとかつけておくべきだ。ボルトの設置年月日と施工者名も同様。
要するに、クライミングが怠惰化したのだろう…なにせアルパインのクライマーにとっては支点を自作しなくて良ければ、タダの快適クライミングである。
怠惰でなければ、好意的に考えて、カットアンカーが現代では適切なボルトでないことを知らない=無知だった…のであろうが、どちらにしても、その期間は40年間、で、尊敬に値する行為か?というと?答えは明白であろう。いくら九州が僻地でも、10年遅れとかくらいまでだろう、その言い訳が許されるのは。
フリーのクライミングルートがフリーの論理で貫かれていないことも、基本的には、意味あってつけたグランドアップ課題というよりは、ボルト位置に失敗した、というだけのことであろう。
断っておくが、私は5.11が登れるようになってから取り付く5.9があっても良いと思う。憧れのルートということだからだ。しかし、それには歴史的経緯が必要だ。しかも、そういう性格のルートだということを広く認知され、トポに書いてある必要がある。なにしろ、トポはそのためにあるのだから。
九州では前の世代のツケ…2000年代でも、本州ではとっくにリタイヤしているカットアンカーのボルト付き本チャン、ボルトが信用できないフリールート…に、延々と後世の世代が付き合ってきたわけだ。
その際に、危険になるのは、昨今、10歳以前からエリート教育を受けている最精鋭のコンペクライマーではない。
普通に趣味としてクライミングに接し、クライマーのやっていないクライミングジムでクライミングに接した、一般市民クライマー達だ。彼らにはコーチはいない。師匠も当然いない。クライミングジム店長も頼りにならず、九州では、クライミング講習会も開催されない。
そういえば、御坂山岳会の先輩が九州に転勤になり、その先輩はとっととクライミング辞めてしまっていたなぁ…。それはこういう訳だったのだ。
というので、これで4年間のクライミングの総括、お終い。
やっとこれで、クライミングしなくても良くなりそうでうれしい。
自己責任を求めながら設置者責任放棄しているけどね…
ボルダリングの岩場にもマット使ってくださいと書いて貼っておけばいいのかも?
シャックル直付けは辞めよう。