以下は登ったことがある人のチェックが欲しいですね。ただ、何がスキルのポイントなのか?は分かりやすくて良いです。トポを書く人がこの視点を持つのが大事だと思う。ヨガの先生として教えるときは、各ポーズについて、故のアーサナは何を習得させる目的で組まれているのか?あなたのテーマはハムストリングスですよ、などときちんとテーマを持たせて取り組ませていました。クライミング界に足りないのはこれです。
屈曲曲した5.8 ロープドラッグの解消、スリングによるラインの最適化
脆い岩場の4級 荷重移動の正確性、浮石を見極める観察眼
垂直のクラック ジャミングによる骨格の利用、NPの確実なセット
ランナウトするスラブ 恐怖下での正確なフットワーク、敗退の判断力
具体的に日本の代表的な岩場を例に挙げ、「グレードの数値」だけでは測れない、本当の技術が試されるルートを段階的に解説します。これらは「お買い得」の対極にある、実力を証明するための「試金石」となるルートです。
1. 小川山:ガマルート(2ピッチ目以降)
グレード: 5.8
試される技術: 「ラインの読み」と「ロープドラッグの管理」
解説:
一見易しい5.8ですが、2ピッチ目はラインが屈曲しやすく、考えなしに最短距離でクリップしていくと、終了点付近でロープが岩の角に引っかかり、**「体が引き戻されるほどのドラッグ」**が発生します。
本物の技術: ヌンチャクをあえて長いスリングに交換し、ロープの通り道を直線化する(引き算と足し算の判断)力が試されます。
2. 城ヶ崎:ファミリークラック
グレード: 5.9
試される技術: 「プロテクションの確実性」と「ジャミングの地力」
解説:
多くのクライマーが「5.11を登れるから5.9なんて余裕」と挑んで敗退するルートです。ジムの保持力は一切通用しません。
本物の技術: 悪い足場の中で手を離し、確実なカムをセットできるか。カムのサイズを一目で判断できるか。フェイスのグレードに頼った「メッキ」が最も剥がれやすいのが、こうした海辺のクラックです。
3. 三つ峠:観音ルート
グレード: UIAA 4級程度
試される技術: 「マルチピッチの総合マネジメント」
解説:
ここは「アルパインの登竜門」ですが、浮石が多く、支点が古いです。5.12を登る身体能力があっても、浮石を掴んでしまえば終わりです。
本物の技術: 「どの岩が動くか」を見極める観察眼、そしてセカンドを引き上げる際のビレイポイントの整理(ロープが絡まないように捌く技術)が試されます。
4. 瑞牆山:調和の幻想(マルチピッチ)
グレード: 5.10a
試される技術: 「多様な技術の統合」と「精神的スタミナ」
解説:
ワイドクラックからスラブ、フェイスまで、1本のルートの中に全ての要素が詰まっています。
本物の技術: 特定の得意分野(お買い得)だけでは絶対に完登できません。各ピッチの要求に対して、シングルで行くかダブルで行くか、どのサイズのギアを温存するかという「戦術」の差が、登攀スピードと安全性に直結します。
「技術の空洞化」を埋めるためのチェックリスト
これらのルートに挑む際、以下の問いに「YES」と言えるか自問してみてください。
予測: 取り付きから、ロープがどこで岩に擦れるか予測できているか?
選択: スリングの長さを「標準(ヌンチャク)」以外に3種類(30/60/120cm)使い分けているか?
余裕: 核心部でパンプした時、無理に突っ込まずに「確実な支点」を作って一旦休む(あるいは敗退する)判断ができるか?
最後に
こうしたルートは、登った後に「グレードの数字以上の疲労感と充実感」があるはずです。それが、技術の空洞を埋めている証拠です。