2022/04/28

スポーツ、スポート、アルパイン、フリー、トラッド、アイス、それぞれのクライミング様式と安全管理の違い

たぶん、クライミングの一言で、全部を一緒くたにしてしまうのが、事故の元であり、外岩に出るインドアクライマーが分かっていないことなんじゃないですかね?

スポーツルート = 人工壁。プロテクションが1mおきに打たれ、グレードはセッターによって設定されて比較的信頼がおけ、人為的に難易度が管理されたクライミング。プロテクションが頻繁で、どこで落ちても死亡に至らないように管理されている。なので、限界まで迫り落ちるまで登るのが上達の秘訣。屈曲していても、ヌンチャクを伸ばして屈曲を取り除きながら登るということをしない場合が多いので、屈曲が大きい外岩に対応力が付かないことが多い。

スポートルート= 外岩のボルトルート。プロテクションの距離も開拓者次第。グレードの正確さも開拓者次第。難度が管理されておらず大きく外れることもあるため信頼してはいけない。ボルトも外で何年も放置されているため、管理をしっかり知るまでは、テンション程度にして登り、3ピン目を取るまでは決して落ちてはいけない。落ちないように登るルート。人工壁のスポーツルートと同じ登り方をしてはいけない。屈曲がある場合はヌンチャクを伸ばし、被っている場合もロープの流れに配慮する。競技のビレイは、流すように指導されることが多い。

トップロープ=支点が一点である場合が多いので意外に危険。また落下するとロープの伸びが大きいので、下では危険で、上に行くほど、落ちても安全になる。かぶっている壁では使えない。

リード=3ピン目が取れるまでは、人工壁でも外岩でも気楽な墜落は推奨できない。トップロープでクライミングに慣れた人でも、クリップ体制や、レストタイミング、屈曲や、テラスに当たらない、など、考慮する要素が増えるので、負担が大きく、リードへのステップアップは慎重さが必要。下のビレイヤーのビレイ技術に確実さが必要。

そうでない場合、リードはしないほうが良い。しかし、止むを得ずリードせざるを得ない場合は、2グレード下の絶対に落ちない課題を選んで登り、ローワーダウンはせず、懸垂で降りる。

アルパイン=山岳に地帯にある。遠隔地で事故が遭った場合のレスキューが大変なので、決して落ちることがないように登る。ロープは墜落した場合の遺体の喪失を避けるためのものであり、落ちても大丈夫という意味ではない。プロテクションは自分で打ちながら登るものだが、適宜残置が出てくることが多い。残置は、基本信頼してはいけないが、利用価値を見極めて使う。アルパインのルートに進むには、山の天候などの基礎知識や読図などの知識が必要になり、万が一のために山行計画書を提出し、緊急連絡先を記載する。生活技術などが必要になることも多い。山の形状にあったルートであるため、屈曲が多いのでダブルで登ることが多い。

ビッグウォールは、フリークライミングのカテゴリーに入るが、よりフリークライミング寄りだが、アルパインルートに準じた安全管理が必要と思われる。信頼できない相手のロープワークで登るのは心もとない。体重が有利になる。

フリークライミング=道具に頼らないで登るクライミング。本来は、どこで落ちてもビレイに守られるはずだが、現実的にはそうなっていないことが多い。脆い岩を登るアルパインと比べ、脆い岩は志向しない。フリークライミングはクライミングそのもの、ムーブなど…の困難さを楽しむために行う。つまり登頂のために手段を択ばず、エイドも使う、というわけではない。一般に、フリークライミングでは、スタイルにこだわりがあり、オンサイト、が最も良いスタイルとされる。

トラッドクライミング=自分でカムやナッツでプロテクションを取りながら登るクライミング。トラッドは危険であるという誤解が米国では根強い。イギリスでは違うらしい。私の考えでは、背が低いクライマーには、トラッドによるクライミングが最も安全である。なぜなら、自分に必要な場所にプロテクションを入れることができるため。また登り終えたら、プロテクションを回収するので、クリーンクライミングが志向できる。究極に自然界の造形を利用するため、自然に寄り添ったクライミングと言える。

アイスクライミング=危険であると誤解の多いクライミング。アイスはアックスがバチ効きと言われる、ぶら下がっても大丈夫な安定な状態でしか前進しないので、落ちることがほとんどないクライミング。一番大事なのは、登る対象の氷が、登るに適した氷の状態かどうか?を見極める目であり、トップクライマーのトップ足る理由はその見極めが正確であることによる。

ほとんどの人が脆い氷を登るゲームだと誤解しているため、リスクが不当に高く評価されているクライミング。プロテクションも使い道をよく習熟していれば安心できる。ツインで登ることが多いがショートはシングル。氷も大きいことが多い。

マルチピッチ=複数のショートを登るクライミング。ショートしか登れないと思っている人が、異様にマルチへの憧れを深い意味も理解せず、温めていることが多い。単純にショートの繰り返しであるが、懸垂下降ができない人が取り付くと、帰りに困ることが多いし、敗退したくなったときに、敗退できないので、懸垂下降と自己確保での登攀くらいは、ピンチ策として用意してから行くべきである。その準備がなく行き、急場をしのげないとヘリレスキューになる。山頂を目指す、アルパイン要素が強いマルチと目指さないフリークライミングの要素が強いマルチがある。一般に女性に人気。女性以外には、年配のアルパインクライマーがアルパインに行けなくなったときに、アプローチが短い、フリーのマルチで安全にアルパインの雰囲気を味わう手段になっている。

アイスにもマルチがあり、トラッドにもマルチがある。一般に上に行けば行くほど、墜落は安全になる。

ドライツーリング=アイスクライミングのフリークライミング版。アイスのアックスバチ利きという確実性を排除したクライミングで、フリークライミングの要素が強い。人工のホールドを登る。不確実性が高い分、ボルトは壁面に1mおきについていることが多いが、外岩のドライもある。外岩のドライはかなり難易度が高い。体幹の強さが必要とされるクライミング。

■ 脆い支点への対応

バックアップを取る。バックアップとは2点目のことではなく、3点目のこと。カムで支を作る場合も、2点ではなく3点で作る。

■ 懸垂下降のオーダー

重たい人が支点にバックアップがある状態で先に降りて、支点の安全性を確認し、軽い人はバックアップを回収して最後に降りる。

■ ロープシステムの選び方

まっすぐなルート=シングル  屈曲が多い自然なルート=ダブル

■ 帰りが懸垂になる場合

ロープの長さの半分しか降りれないため、一本で行くと敗退ができないことがある。大抵は、2本のロープを持っていく。

まっすぐなルートの場合、ツインで登れば、セカンドがロープを担がなくて良くなる。